説明

家庭用電気製品

【課題】コストの増大を抑え、確実に誤装着を防止する。
【解決手段】胴体13および底体29を有する外装体と、前記底体29に配設され、縦方向の一方に偏った位置に、横方向に突出する接続端子42A,42B,43を有する器具用プラグ38と、前記外装体内に配設され、難燃性を有する非導電性材料からなる構成部品(基板ホルダー51)とを備え、前記難燃性構成部品に、前記底体29に対して器具用プラグ38を縦方向逆向きに装着した誤装着状態では前記接続端子43に干渉し、正規装着状態では前記接続端子43に干渉しない逆付け防止片62を突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器、電気ポットおよび加湿器等の家庭用電気製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の家庭用電気製品は、外装体の内部に、目的の動作を実行するための負荷部品、負荷部品を制御するための制御基板、および、部品を収容配置するための種々の構成部品が配設されている。そして、外装体には、商用電源に電気的に接続するために、器具用プラグが配設されている。
【0003】
前記器具用プラグは、非導電性材料からなるケースを備え、該ケースから外装体内に突出し、電源回路等を実装した基板に接続される第1端子部と、ケースの接続凹部内に突出する第2端子部とを有する。そして、電源コードの端部に設けられた相手方プラグを、前記接続凹部内に差し込むことにより、第2端子部と相手方プラグ内の端子とを電気的に接続するものである。
【0004】
前記第1端子部と第2端子部とは、それぞれ接合または連続された一対のもので、これらにより1つの接続端子を構成する。また、この器具用プラグとしては、一対の電力供給用接続端子を有する2極のものと、一対の電力供給用接続端子および1つのアース用接続端子を有する3極のものとがある。
【0005】
そのうち、3極の接続端子を有する器具用プラグは、一対の電力供給用接続端子が、縦方向の中央から一方に偏った位置に、平行に突出するように設けられている。また、1つのアース用接続端子は、縦方向の中央から他方に偏った位置において、一対の電力供給用接続端子の間に位置するように突出されている。なお、2極の接続端子のみからなる器具用プラグは、アース用接続端子が設けられず、縦方向の一方に偏った位置に一対の電力供給用接続端子のみが突設されている点でのみ相違している。
【0006】
このような器具用プラグは、接続端子が偏った位置に突設されているため、組立作業性等を考慮して取付方向が規定されている。しかし、器具用プラグのケースは、挿入断面形状が矩形状をなすため、取付方向を縦方向逆向き、例えば、電力供給用接続端子が上側に位置している状態を正規取付位置にしているにも拘わらず、電力供給用接続端子を下側に位置させるという誤装着の可能性がある。
【0007】
そこで、従来では、前記外装体における器具用プラグの取付部に、誤装着の場合には所定の接続端子の第1端子部に干渉することにより装着を阻止し、正規装着の場合にはいずれの第1端子部にも干渉しないことにより装着を許容する逆付け防止片を設けたものが提供されている。
【0008】
しかしながら、この家庭用電気製品では、逆付け防止片を取付部に一体的に設ける場合、この逆付け防止片が取付部の内部に突出する形状をなすため、成型金型の構成が複雑になり、コスト高になるという問題がある。しかも、取付部の構造によっては、逆付け防止片を一体的に設けることができない場合がある。また、逆付け防止片は、その機能上、接続端子に接近させた設計とならざるを得ないため、その材料は難燃性材料が要求される。よって、逆付け防止片を取付部に一体的に設けた場合においては、取付部を形成する外観部品である外装体を難燃性材料とする必要がある。しかし、難燃性材料は、その成分上、光沢のない材料が一般的であるため、外観を重要視する必要がある外装体には使用できない。一方、別体の逆付け防止片を取付部に組み付ける構成とした場合、取付部の構造に拘わらず設けることは可能であり、外装体を形成する材料の問題も生じないが、部品点数の増加、および、組立作業工程の増加により、更にコスト高になるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、コストの増大を抑え、確実に誤装着を防止できる家庭用電気製品を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の家庭用電気製品は、胴体および底体を有する外装体と、前記底体に配設され、縦方向の一方に偏った位置に、横方向に突出する少なくとも2極の接続端子を有する器具用プラグと、前記外装体内に配設され、難燃性を有する非導電性材料からなる構成部品とを備え、前記難燃性構成部品に、前記底体に対して器具用プラグを縦方向逆向きに装着した誤装着状態では前記接続端子に干渉し、正規装着状態では前記接続端子に干渉しない逆付け防止片を突設した構成としている。
【0011】
本発明の家庭用電気製品では、底体とは異なる難燃性構成部品に、誤装着状態で器具用プラグの接続端子に干渉する逆付け防止片を突設するため、器具用プラグを取り付ける底体の形状に拘わらず確実に設けることができるうえ、部品点数の増加および組立作業工程の増加もない。しかも、難燃性構成部品に設ける逆付け防止片は、別体からなる底体の取付部に進入させる必要性により、難燃性構成部品から外向きに突出する形状をなすため、成形金型の構成は簡素であり、コストの増大を抑制できる。また、外観部品である底体は、難燃性材料で構成する必要がある逆付け防止片を設けないため、外観を重視した好適な光沢材料を使用することができる。
【0012】
この家庭用電気製品では、前記器具用プラグは、一対の接続端子の間に、縦方向に所定間隔をもってアース端子を横方向に突設した3極のものであり、前記逆付け防止片は、誤装着状態で前記アース端子に干渉するものであることが好ましい。このようにすれば、1つの逆付け防止片で確実に誤装着を防止できるため、コストの増大を確実に抑制できる。
【0013】
この場合、前記アース端子が縦方向下側に位置する状態を正規装着位置とすることが好ましい。このようにすれば、水等が浸水し易い製品下側に電力供給用接続端子が位置しないため、製品の安全性を向上できる。
【0014】
また、前記難燃性構成部品は、基板を配設するための基板ホルダーであることが好ましい。このようにすれば、外装体または外装体の内部に導電性材料からなる構成部品が存在しても、確実に絶縁性能を維持したうえで器具用プラグの誤装着を防止できる。しかも、基板ホルダーは、その機能上、難燃性材料で形成する必要があるため、この基板ホルダーに逆付け防止片を設けることにより、新たな部品を追加したり形成材料を変更することなく、本発明を実現できる。そのため、家庭用電気製品の材料選択を含む設計の自由度を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の家庭用電気製品では、底体とは異なる難燃性構成部品に、誤装着状態で器具用プラグの接続端子に干渉する逆付け防止片を突設するため、外観を損なうことなく、製造コストの増大を抑制したうえで、器具用プラグの誤装着を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1および図2は、本発明の実施形態に係る家庭用電気製品である炊飯器10を示す。この炊飯器10は、炊飯鍋11を着脱可能に収容する炊飯器本体12と、該炊飯器本体12の上端開口を閉塞する蓋体65とを備えたものである。
【0018】
前記炊飯器本体12は、図1および図3に示すように、鏡面仕上げを施した金属(ステンレス)製の筒体からなる胴体13と、該胴体13の上端開口に配設した円環状の肩体20と、胴体13の底に配設した底体29とを有する外装体を備えている。
【0019】
前記胴体13は、図3および図4に示すように、金属板を絞り加工により下部の直径を徐々に小さくした略円筒形状のものである。この胴体13の上端縁には、肩体20を固定するために、水平方向外向きに突出するフランジ部14が設けられている。また、胴体13の下端縁には、後述する底体29と基板ホルダー51とを固定するための底部15が水平方向内向きに突出するように設けられている。そして、この底部15の中央には、略円形状をなす中心穴16が設けられている。この中心穴16は、基板ホルダー51を嵌合して固定するために、内周縁に外方に延びる3つの嵌合溝17a〜17cが設けられている。そのうち、嵌合溝17a,17bは、その延び方向が直線的に一致するように設けられ、嵌合溝17cは、嵌合溝17a,17bにかけて延びる仮想線に対して直交する方向に延びるように設けられている。また、中心穴16には、商用電源からの電力線を導入するとともに、後述する逆付け防止片62を貫通させて外側に突出させるための切欠部18が設けられている。さらに、底部15において中心穴16の周囲には、底体29をネジ止めにより固定するためのネジ孔部19が設けられている。
【0020】
前記肩体20は、図1および図3に示すように、胴体13のフランジ部14に対して固着される樹脂製のものである。この肩体20は、その中央に炊飯鍋11を着脱可能に装着するための開口部21が設けられている。また、肩体20の背面側には、後述する蓋体65を開閉可能に軸着するためのヒンジ接続部22が設けられている。さらに、肩体20の正面側には、蓋体65を開放不可能にロックするためのロック爪部23が設けられている。前記開口部21の外周部には、略環状をなすように下向きに突出するガイドリブ24が設けられている。このガイドリブ24は、胴体13を組み付ける際に正規装着位置にガイドするためのものである。
【0021】
本実施形態では、この肩体20は胴体13より外方に突出するように形成され、その突出部分正面側に操作パネル部25が設けられている。この操作パネル部25は、肩体20に設けた孔に別体の操作部材26a〜26eを配設するとともに、これら操作部材26a〜26eの背部(内部)にスペーサセット27が配設され、このスペーサセット27の背部にスイッチを実装したスイッチ基板28が配設されている。
【0022】
前記底体29は、図1,3,5に示すように、胴体13の下部に配設される受皿形状をなす非難燃性および非導電性を有する光沢のある樹脂製のもので、その底には略球状に突出する脚部30が周方向に等間隔でもって設けられている。また、この底体29の上面には、環状および放射状に突出する複数の補強リブ31が設けられている。そして、本実施形態では、底体29の下位に位置する中央に複数の排水孔32が設けられている。また、底体29には、胴体13のネジ孔部19に対応するネジ挿通部33が設けられている。
【0023】
本実施形態の底体29には、商用電源と接続するための器具用プラグ38を配設するための取付部34が設けられている。この取付部34は、側面視矩形状をなすように設けた貫通孔の縁から四角筒状をなすように外向きに突設した矩形状突出部35と、該矩形状突出部35の内面と面一をなすように内向きに延びる上端開口の矩形状枠部36とを有する。これにより、底体29の外部から内部へ水平方向内向きに貫通した側面視矩形状の空間からなる取付部34が形成されている。なお、この取付部34の上端開口部37は、基板ホルダー51から延びるリード線を導入するとともに、後述する逆付け防止片62を進入させるものである。また、上端開口部37を形成する矩形状枠部36の上縁は、底部15の切欠部18から胴体13内に進入するように傾斜されている。
【0024】
前記器具用プラグ38は、難燃性および非導電性を有する樹脂製のケース39と、一対の電力供給用接続端子42A,42Bと、1つのアース用接続端子43とを備えた従来と同様の3極のものである。前記ケース39は、一側端を開口し、逆側の他側端を閉塞した四角筒状のもので、その内部が、図示しない電源コードの端部に配設した相手方プラグを挿入接続する接続凹部40を構成するものである。また、このケース39の上側面および下側面には、切起構造を施すことにより弾性係止片41が形成されている。前記電力供給用接続端子42A,42Bおよびアース用接続端子43は、ケース39の閉鎖面39aから外向きに突出する第1端子部と、閉鎖面39aから接続凹部40内に突出する第2端子部とを備え、これらが互いに加締めにより接合されたものである。なお、前記第1端子部は制御基板50にリード線によって接続され、第2端子部は相手方プラグの接続端子と着脱可能に電気接続される。また、前記電力供給用接続端子42A,42Bは、縦方向である垂直方向において、中央から一方に偏った位置に同一高さで横方向である水平方向に突出するように設けられている。また、アース用接続端子43は、電力供給用接続端子42A,42Bと垂直方向に所定間隔をもって位置するように、垂直方向において、電力供給用接続端子42A,42Bとは逆側に偏った位置で、これらの中間に位置するように、水平方向に突出するように設けられている。本実施形態では、この器具用プラグ38は、電力供給用接続端子42A,42Bが上側に位置し、アール用接続端子が下側に位置する状態が、前記取付部34に対する正規装着位置となるように設定されている。
【0025】
前記胴体13、肩体20および底体29からなる外装体の内部には、図1および図3に示すように、炊飯鍋11を着脱可能に収容するための金属製の内胴44が配設されている。この内胴44は、肩体20の開口部21の下端から下向きに延びる上端開口で下端閉鎖の筒状のもので、その底の中央には、加熱ヒータを配設した略椀状の加熱板(図示せず)および炊飯鍋11の温度を検出する温度センサ(図示せず)を配設する凹部45が設けられている。この凹部45の中央には、温度センサを配設して固定するための貫通孔46が設けられている。また、この貫通孔46の周囲には、加熱板を固定するためのネジ孔部47が設けられるとともに、複数の排水孔48が設けられている。なお、この排水孔48は、平面視で後述する基板ホルダー51の水受部57内に全て位置する。また、この内胴44の外周部には、発泡メラミンからなる断熱材49が配設されている。図1および図6に示すように、この断熱材49は厚肉のシート状をなし、前記肩体20のガイドリブ24と内胴44との間に挟み込むようにして配設されている。
【0026】
また、外装体において内胴44の下部の略中央には、制御基板50を配設するための難燃性および非導電性を有する樹脂製の基板ホルダー51が配設されている。この基板ホルダー51は、図3および図5に示すように、平面視矩形状をなす仕切壁52と、該仕切壁52の外周縁から上下方向に突出するように設けた外周壁55とを備えたものである。前記仕切壁52は、水平方向に延びる水平部53と、該水平部53の端縁から上向きに傾斜して平面状に延びる傾斜部54とを備えている。前記外周壁55は、仕切壁52の外周縁を囲繞するように上下に突出するもので、水平部53において、傾斜部54と対向する端縁の一側に偏った位置に、筒状に膨出する膨出部56が設けられている。前記仕切壁52と外周壁55とで囲繞された上端開口の上側は、上方から滴下する水を受ける水受部57を構成する。また、下端開口の下側は、制御基板50を配設するための基板配設部58を構成する。そして、前記外周壁55の膨出部56内は、水受部57内から基板配設部58の下側まで延びる排水路59を構成する。また、基板ホルダー51には、膨出部56を設けた側に一対の嵌合部60,60が設けられるとともに、反対側中央に嵌合係止部61が設けられている。前記嵌合部60,60は、前記底部15の嵌合溝17a,17bに嵌合される変形不可能なものである。前記嵌合係止部61は、底部15の嵌合溝17cに嵌合されるもので、弾性的な変形が可能なものである。
【0027】
前記基板ホルダー51は、嵌合部60および嵌合係止部61によって胴体13の底部15に対して所定位置に装着される。また、底体29は、同様に胴体13の底部15に対してネジ挿通部33を通してネジ孔部19にネジで締め付けることにより、所定位置に装着される。そして、本実施形態の基板ホルダー51の外周壁55には、この正規装着状態で、取付部34の上端開口部37内に進入するように垂直(縦方向)下向きに延びる逆付け防止片62が設けられている。具体的には、この逆付け防止片62は、器具用プラグ38の正規装着状態では、その電力供給用接続端子42A,42B間を越え、これらの間に位置するアース用接続端子43には干渉しない位置まで延びる棒状のものである。そのため、アース用接続端子43が上側に位置し、電力供給用接続端子42A,42Bが下側に位置するように底体29の取付部34に装着した誤装着状態では、中央に位置するアース用接続端子43に逆付け防止片62が干渉して、底体29を胴体13の底部15に密着できないように構成している。
【0028】
図1および図7に示すように、肩体20において、胴体13の全周より突出した部分の下部は、操作パネル部25に対応する正面側がパネルカバー63により被覆され、他の周囲が一対のカタカバー64A,64Bにより被覆されている。 前記パネルカバー63は、肩体20の正面において、その先端縁から胴体13にかけて操作パネル部25の下部を被覆する平面視円弧状をなす樹脂製のものである。前記カタカバー64A,64Bは、操作パネル部25の下部を除く前記肩体20の突出部分において、パネルカバー63から肩体20の背面中央までの下部を被覆する樹脂製のものである。
【0029】
前記蓋体65は、図1に示すように、炊飯器本体12に対して背面側のヒンジ接続部22で開閉可能に軸着され、炊飯鍋11の開口を密閉状態に閉塞する平面視円形状のものである。この蓋体65は、樹脂製の第1蓋部材66と、該第1蓋部材66の下側に配設される樹脂製の第2蓋部材67と、前記第1蓋部材66の上側表面に配設される装飾カバー68とを備えている。この装飾カバー68は、胴体13と同様に鏡面仕上げを施した金属(ステンレス)製のものである。また、前記第2蓋部材67の下部には、金属製の内蓋本体69の外周部に炊飯鍋11の開口縁をシールするシール部材70を配設した内蓋71が着脱可能に配設されている。なお、符号72は、ロック爪部23に係合するロック部72aを有する開放釦である。
【0030】
前記構成の炊飯器10を組み立てる場合には、例えば、肩体20に対して外側から操作部材26a〜26eを配設した状態で、図6に示すように、内胴44を装着した肩体20を天地逆向きにし、スイッチ基板28を配設したスペーサセット27を操作パネル部25の背部に配設してネジ止めにより固定する。ついで、スペーサセット27の表面にパネルカバー63を配置するとともに、内胴44と肩体20のガイドリブ24との間に断熱材49を配設する。
【0031】
その後、胴体13の内側に制御基板50を装着した基板ホルダー51を配置し、嵌合部60,60を嵌合溝17a,17bに嵌合させた後、嵌合係止部61を弾性的に撓ませながら嵌合溝17cに係止させる。そして、図7に示すように、この基板ホルダー51を装着した胴体13を内胴44に被せるように配置し、ネジで締め付けることにより固定する。ついで、肩体20の外周部にカタカバー64A,64Bを配置し、ネジで締め付けることにより固定する。なお、図7には胴体13に配設した基板ホルダー51は図示していない。
【0032】
最後に、底体29の取付部34に器具用プラグ38を装着し、各接続端子42A,42B,43の第1端子部に制御基板50から延びるリード線を接続して底体29を胴体13の底部15に配置し、底体29のネジ挿通部33を通して底部15のネジ孔部19に対してネジで締め付けることにより、胴体13に対して底体29を固定する。
【0033】
この際、胴体13の底部15において、切欠部18からは基板ホルダー51の逆付け防止片62が外向きに突出している。そのため、底体29の取付部34に対して器具用プラグ38を縦方向逆向き、即ち、アース用接続端子43を上側に位置させ、電力供給用接続端子42A,42Bを下側に位置させて誤装着している場合、底体29を胴体13の底部15に配置すると、アース用接続端子43に逆付け防止片62が干渉し、底体29を胴体13の底部15に対して密着するように配置することができない。例え密着させて配置できても、底部15のネジ孔部19と底体29のネジ挿通部33とは一致せず、ネジで締め付けることはできない。そのため、作業者は、器具用プラグ38の取付方向が誤っていると判断できる。
【0034】
このように、本発明の炊飯器10では、器具用プラグ38を取り付ける底体29とは異なる難燃性構成部品である基板ホルダー51に、誤装着状態でアース用接続端子43に干渉する逆付け防止片62を突設しているため、器具用プラグ38を取り付ける底体29の形状に拘わらず確実に設けることができる。また、外観部品である底体29は、難燃性材料で構成する必要がある逆付け防止片62を設けないため、外観を重視した好適な光沢材料を使用することができる。そのため、炊飯器10の外観を損なうことなく、部品点数の増加および組立作業工程の増加もない。しかも、逆付け防止片62は、別体からなる底体29の取付部34に進入させる必要性により基板ホルダー51から外向きに突出する形状をなすため、該基板ホルダー51の成形金型の構成は簡素であり、コストの増大を抑制できる。
【0035】
また、本実施形態では、器具用プラグ38がアース用接続端子43を有する3極のものとし、逆付け防止片62を誤装着状態でアース用接続端子43に干渉するように設けているため、1つの逆付け防止片62で確実に誤装着を防止できる。そのため、コストの増大を確実に抑制できる。しかも、正規装着状態では、アース用接続端子43が下側に位置するように構成している。即ち、水等が浸水し易い下側には、電力供給用接続端子42A,42Bが位置しないため、製品の安全性を向上できる。
【0036】
さらに、本実施形態では、逆付け防止片62を設ける難燃性構成部品を基板ホルダー51としているため、外装体または外装体の内部に導電性材料からなる構成部品(胴体13および内胴44)が存在しても、確実に絶縁性能を維持したうえで器具用プラグ38の誤装着を防止できる。しかも、基板ホルダー51は、その機能上、従来より難燃性材料で形成する必要があるため、この基板ホルダー51に逆付け防止片62を設けることにより、新たな部品を追加したり既存部品の形成材料を変更することなく、本発明を実現できる。そのため、炊飯器10の材料選択を含む設計の自由度を向上できる。
【0037】
なお、本発明の家庭用電気製品は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、器具用プラグ38の正規装着位置を、アース用接続端子43を上側とし、電力供給用接続端子42A,42Bを下側に位置させた状態とし、誤装着状態では、一対の電力供給用接続端子42A,42Bまたは電力供給用接続端子42A,42Bの一方に干渉するように、基板ホルダー51から逆付け防止片62を突設する構成としてもよい。勿論、このように構成すれば、アース用接続端子43を具備しない2極の器具用プラグ38でも適用でき、同様の作用および効果を得ることができる。
【0039】
また、本発明では、器具用プラグ38において、各接続端子42A,42B,43とケース39との位置関係および構成を明確にするために、垂直方向を縦方向とし、水平方向を横方向と規定したが、水平方向の幅を縦方向、水平方向の奥行きを横方向としてもよく、その方向性は希望に応じて変更が可能である。
【0040】
さらに、前記実施形態では、本発明の特徴である器具用プラグ38の取付構造を炊飯器10に適用したが、電気ポットや加湿器にも適用可能である。言い換えれば、本発明は炊飯器10に限られず、胴体および底体を有する外装体と、底体に配設される器具用プラグ38と、内部に難燃性を有する非導電性材料からなる構成部品とを備えた家庭用電気製品であれば、いずれでも適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係る家庭用電気製品である炊飯器を示す断面図である。
【図2】図1の炊飯器を示す斜視図である。
【図3】炊飯器本体の断面斜視図である。
【図4】胴体の平面図である。
【図5】底体と基板ホルダーと器具用プラグとの関係を示す分解斜視図である。
【図6】組立作業の一工程を示す斜視図である。
【図7】組立作業の他の一工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
10…炊飯器(家庭用電気製品)
12…炊飯器本体
13…胴体
20…肩体
29…底体
34…取付部
38…器具用プラグ
39…ケース
40…接続凹部
42A,42B…電力供給用接続端子
43…アース用接続端子
44…内胴
51…基板ホルダー(難燃性構成部品)
55…外周壁
62…逆付け防止片
65…蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体および底体を有する外装体と、
前記底体に配設され、縦方向の一方に偏った位置に、横方向に突出する少なくとも2極の接続端子を有する器具用プラグと、
前記外装体内に配設され、難燃性を有する非導電性材料からなる構成部品とを備え、
前記難燃性構成部品に、前記底体に対して器具用プラグを縦方向逆向きに装着した誤装着状態では前記接続端子に干渉し、正規装着状態では前記接続端子に干渉しない逆付け防止片を突設したことを特徴とする家庭用電気製品。
【請求項2】
前記器具用プラグは、一対の接続端子の間に、縦方向に所定間隔をもってアース端子を横方向に突設した3極のものであり、前記逆付け防止片は、誤装着状態で前記アース端子に干渉するものであることを特徴とする請求項1に記載の家庭用電気製品。
【請求項3】
前記アース端子が縦方向下側に位置する状態を正規装着位置としたことを特徴とする請求項2に記載の家庭用電気製品。
【請求項4】
前記難燃性構成部品は、基板を配設するための基板ホルダーであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の家庭用電気製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−27764(P2008−27764A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199641(P2006−199641)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】