説明

家庭用電気製品

【課題】 ICタグを利用して利用者制限や機能制限を行い得るようにする。
【解決手段】 マイコン機能を有し、各種の操作を行う操作パネル部33を備えた家庭用電気製品において、ICタグ36を保持した人Mが近づいたことを認識する認識手段と、該認識手段によりICタグ36の保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段とを付設して、ICタグ36を保持した人Mが家庭用電気製品Aに近づくと、家庭用電気製品Aの認識手段がICタグ36の保持を認識し、運転状態が安全側(例えば、運転ができないロック状態、操作不能状態等)に移行せしめられるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、家庭用電気製品に関するものであり、さらに詳しくは、ICタグを利用して利用者制限や機能制限を行い得るように構成した家庭用電気製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気炊飯器や電気貯湯容器等の熱を発生する家庭用電気製品の場合、乳幼児や機械の構造に疎い老人がむやみに近づくと、機器自体あるいは発生する湯気等により誤って火傷をしてしまうおそれがある。また、エアコン、加湿器等の環境製品の場合であっても、幼児や老人により操作を間違うおそれがあり、その場合、居住環境を悪化させてしまうという不具合が発生する。さらに、テレビ、ビデオ等の家庭用電気製品の場合、録画予約等を行っている時、幼児や老人により誤った操作が行われると、予約解除されてしまうなどの不具合も発生する。
【0003】
上記したような不具合は、いずれの場合も、家庭用電気製品の構造に疎いか、操作を誤ってしまうおそれが多分にある幼児や老人と家庭用電気製品とのかかわりにより生ずるものであり、これを防止することは、家庭内は勿論、多数の人が集う公共の場においても急務とされている。
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているように、家庭用電気製品において、製品識別機能とセンサー機能とを一つの部材(例えば、ICタグ)に保有させることにより、製品識別用ICタグをセンサーとして用い得るようにしたものが提案されている。しかしながら、家庭用電気製品において、ICタグを利用して利用者制限や機能制限を行い得るようにしたものは、未だ提案されていない。
【0005】
【特許文献1】特開2005−168830号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、ICタグを利用して利用者制限や機能制限を行い得るようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、マイコン機能を有し、各種の操作を行う操作パネル部を備えた家庭用電気製品において、ICタグを保持した人が近づいたことを認識する認識手段と、該認識手段によりICタグの保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段とを付設している。
【0008】
上記のように構成したことにより、ICタグを保持した人が家庭用電気製品に近づくと、家庭用電気製品の認識手段がICタグの保持を認識し、運転状態を安全側(例えば、運転ができないロック状態、操作不能状態等)に移行させることとなる。従って、幼児や老人のように、構造に疎い人などにICタグを保持させておけば、利用者制限や機能制限を達成することができ、安全性や誤操作防止を確保することができる。
【0009】
本願発明では、上記課題を解決するための第2の手段として、マイコン機能を有し、各種の操作を行う操作パネル部を備えた家庭用電気製品において、ICタグを保持した人により前記操作パネル部の入力キーが操作されたことを認識する認識手段と、該認識手段によりICタグの保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段とを付設している。
【0010】
上記のように構成したことにより、ICタグを保持した人が家庭用電気製品における操作パネル部の入力キーを操作すると、家庭用電気製品の認識手段がICタグを保持した人による操作を認識し、運転状態を安全側(例えば、運転ができないロック状態、操作不能状態等)に移行させることとなる。従って、幼児や老人のように、構造に疎い人などにICタグを保持させておけば、利用者制限や機能制限を達成することができ、安全性や誤操作防止を確保することができる。
【0011】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた家庭用電気製品において、前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を報知する報知手段を制御する信号出力手段を付設することもでき、そのように構成した場合、ICタグを保持した人が近づいた家庭用電気製品の運転状態が安全側の処理に移行したことが報知手段(例えば、音声、ブザーあるいは表示)により報知されることとなり、ICタグを保持した人の安全性をより確実に確保することができる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1、第2又は第3の手段を備えた家庭用電気製品において、前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を所定の携帯電話に知らせる通信手段を付設することもでき、そのように構成した場合、家庭用電気製品が安全側の処理に移行したこと(換言すれば、ICタグを保持した人が家庭用電気製品に近づいたり、使用したりしたこと)が通信手段により所定の携帯電話に知らされることとなり、携帯電話を携帯している人が家庭内等での異常事態を知ることができ、速やかな対応ができる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の第1の手段によれば、マイコン機能を有し、各種の操作を行う操作パネル部を備えた家庭用電気製品において、ICタグを保持した人が近づいたことを認識する認識手段と、該認識手段によりICタグの保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段とを付設して、ICタグを保持した人が家庭用電気製品に近づくと、家庭用電気製品の認識手段がICタグの保持を認識し、運転状態が安全側(例えば、運転ができないロック状態、操作不能状態等)に移行せしめられるようにしたので、幼児や老人のように、構造に疎い人などにICタグを保持させておけば、利用者制限や機能制限を達成することができ、安全性や誤操作防止を確保することができるという効果がある。
【0014】
本願発明の第2の手段によれば、マイコン機能を有し、各種の操作を行う操作パネル部を備えた家庭用電気製品において、ICタグを保持した人により前記操作パネル部の入力キーが操作されたことを認識する認識手段と、該認識手段によりICタグの保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段とを付設して、ICタグを保持した人が家庭用電気製品における操作パネル部の入力キーを操作すると、家庭用電気製品の認識手段がICタグを保持した人による操作を認識し、運転状態を安全側(例えば、運転ができないロック状態、操作不能状態等)に移行せしめられるようにしたので、幼児や老人のように、構造に疎い人などにICタグを保持させておけば、利用者制限や機能制限を達成することができ、安全性や誤操作防止を確保することができるという効果がある。
【0015】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた家庭用電気製品において、前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を報知する報知手段を制御する信号出力手段を付設することもでき、そのように構成した場合、ICタグを保持した人が近づいた家庭用電気製品の運転状態が安全側の処理に移行したことが報知手段(例えば、音声、ブザーあるいは表示)により報知されることとなり、ICタグを保持した人の安全性をより確実に確保することができる。
【0016】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1、第2又は第3の手段を備えた家庭用電気製品において、前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を所定の携帯電話に知らせる通信手段を付設することもでき、そのように構成した場合、家庭用電気製品が安全側の処理に移行したこと(換言すれば、ICタグを保持した人が家庭用電気製品に近づいたり、使用したりしたこと)が通信手段により所定の携帯電話に知らされることとなり、携帯電話を携帯している人が家庭内等での異常事態を知ることができ、速やかな対応ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0018】
第1の実施の形態
図1ないし図3には、本願発明の第1の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器が示されている。
【0019】
この電気炊飯器は、図1に示すように、米と水とを収容する内鍋3を取出自在に収納し得るように構成され且つ空間部4を有する二重構造の器体1と、該器体1の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体2とを備えている。
【0020】
前記器体1は、外側壁を構成する板金製の外ケース5と、底壁を構成する合成樹脂製の底ケース6と、肩部を構成する合成樹脂製の肩部材7と、内周壁を構成する合成樹脂製の有底筒状の保護枠8とからなっており、前記外ケース5、底ケース6、肩部材7および保護枠8に囲まれて前記空間部4が形成されている。なお、前記保護枠6内には、前記内鍋3が取り出し可能に収納されることとなっている。
【0021】
前記保護枠8の底面中央部には、内鍋温度を検出するための温度検出手段として作用する温度センサー9を臨ませるためのセンサー穴10が形成されている。
【0022】
前記センサー穴10を包囲するように炊飯時における主加熱手段として作用する環状のメインIHコイル11が前記保護枠8の底面および該底面から側周面に至る間の湾曲部に対応して配設されている。該メインIHコイル11は、交番磁界(換言すれば、電磁波)を発生するものであり、該交番磁界の電磁誘導により前記内鍋3に誘導渦電流を発生させ、該誘導渦電流の抵抗熱を利用して加熱するものとされている。なお、内鍋3は、メインIHコイル11により誘導渦電流を発生させることのできる材質(例えば、磁性体材料)により構成される。
【0023】
前記メインIHコイル11は、前記保護枠8の底面に対して固定されたコイルダイ12と前記保護枠8の底面との間に挟持されている。符号13はフェライトコアであり、メインIHコイル11による磁気が下方に存在する機器に対して影響を及ぼさないように遮閉する作用をなす。
【0024】
前記センサー穴10内には、前記内鍋3の底部に対して接触するようにして温度センサー9が設けられている。また、前記内鍋3の側面部外方には、後に詳述するように、炊飯時・保温時における補助加熱手段として作用するサブIHコイル14A,14Bが設けられている。
【0025】
前記器体1の底部(即ち、底ケース6の内底部)には、前記メインIHコイル11の通電制御を行うためのパワートランジスタおよび整流用ダイオードブリッジ(図示省略)等の電子部品を冷却するヒートシンク15へ冷却風を圧送する電子部品冷却ファン16が配設されている。また、前記器体1の底壁(具体的には、底ケース6)には、前記電子部品冷却ファン16に対向して空気入口17,17・・が形成されている。符号18は前記電子部品が配設されている制御基板である。該制御基板18には、後述する送受信ユニット37が配設されている。
【0026】
一方、前記蓋体2は、外面を構成する合成樹脂製の上板19と、内面を構成する真空二重構造の下板20とによって構成されている。該下板20は、上下2枚のドーナツ形状の金属板(例えば、ステンレス板)20a,20bの間の空間を真空空間21とした構成とされている。この蓋体2は、前記肩部材7の一側に形成されたヒンジユニット22を介して器体1に対して弧回動自在且つ着脱自在に取り付けられている。
【0027】
そして、前記蓋体2の中央部には、前記上板19から垂設された筒部23が形成されており、該筒部23内には、炊飯時に発生する水蒸気を外部へ排出するための蒸気排出通路24を有するスチームキャップ25が着脱自在に取り付けられている。
【0028】
前記蓋体2の下面には、該蓋体2の閉止時に前記内鍋3の開口部を密閉するための熱良導体(例えば、アルミ合金)からなる放熱板26が取り付けられている。符号27は放熱板26の周縁と内鍋3の開口部との間をシールするシールパッキン、28は放熱板26と蓋体下板20との間をシールするシールパッキンである。
【0029】
前記肩部材7には、肩ヒータ29が設けられており、該肩ヒータ29に対しては、前記蓋体2の閉止時に放熱板26の外周縁が圧接され、放熱板26は肩ヒータ29からの熱伝導により加熱されることとなっている。この肩ヒータ29は、断面逆U字状のヒータリング30と、該ヒータリング30内に配設された発熱体31とからなっている。符号31aは肩ヒータ29を保持するために前記肩部材7に取り付けられた肩ヒータ保持具である。
【0030】
符号32は蓋体2の閉止状態を保持するためのロック機構、33は各種操作キー、液晶表示装置等が設けられている操作パネル部である。
【0031】
前記送受信ユニット37は、ICタグ36を保持した人M(図4参照)が近づいたことを認識する認識手段としての機能と、該認識手段によりICタグ36の保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段としての機能と、該運転状態移行手段の作動時に当該状態を報知する報知手段(ブザー、音声手段あるいは表示手段)を制御する信号出力手段としての機能と、前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を所定の携帯電話38(図4参照)に知らせる通信手段としての機能とを備えている。
【0032】
次いで、前記ICタグ36および送受信ユニット37の構成について、図2を参照して説明する。
【0033】
前記ICタグ36は、電源回路36bと、無線周波数(RF)回路(ワイヤレス送受信回路)36cと、変調回路36dと、復調回路36eと、CPU36fと、該CPU36fに対して入出力可能に接続され、後述するサーミスタ36gにより検知された温度検知データが随時記憶されるメモリ36aと、前記内容器3の底面中央部の温度を直接検出し、CPU36fを介してメモリ36aにメモリするサーミスタ36gとを有して構成されている。
【0034】
前記電源回路36bは、蓄電池として作用するコンデンサ(図示省略)を内蔵しており、このコンデンサは、コイル型の第1の送受信アンテナ38とともに共振回路を形成している。このコンデンサには、第1の送受信アンテナ38が特定の周波数の電波(前述の共振回路が共振する周波数の電波)を受信したときに、その相互誘導作用により生じる電力が充電されるようになっている。そして、この電源回路36bは、前記コンデンサからの電力を整流し安定化してCPU36fに供給し、ICタグ36を活性化することとなっている。また、前記第1の送受信アンテナ38は、例えば複数枚の軟磁性アモルファス箔又は複数枚の金属箔を耐熱性樹脂又は耐熱性無機材料からなる絶縁層を介して積層してなる磁芯部材38aと、該磁芯部材38aの外周に巻成された耐熱性被覆導線38bとからなっており、耐熱性の高いものとされている。
【0035】
また、前記メモリ36aは、例えばROM、RAMおよびEEPROMを含み、CPU36fの制御の下で、後述する送受信ユニット37からの送信電波のデジタル・データ通信による読み出しコマンドに応じて、前記メモリ36aに記憶されているデータ等の読み出しを行うとともに、必要に応じ、送受信ユニット37からの書き込みコマンドに応じて必要なデータの書き込みを行うことができるようになっている。
【0036】
上記したように、ICタグ36は、それに対応して前記機噐1内の空間部4における前部側(即ち、操作パネル部33の下方空間)に配設された送受信ユニット37とワイヤレスに送受信可能に構成されている。
【0037】
前記送受信ユニット37は、前記ICタグ36側に記憶されたデータを読み出して、前記制御基板18側のマイコンに転送して入力するとともに、ICタグ36側のメモリ36a内に必要な情報を書き込むように構成されており、前記第1の送受信アンテナ38と相互誘導作用する同じくコイル型の第2の送受信アンテナ39が受信した電波データを処理するデータ処理回路部を有する。第2の送受信アンテナ39は、前記ICタグ36側の第1の送受信アンテナ38に対して所定の電波を送信し、且つICタグ36側の第1の送受信アンテナ38からの所定の電波を受信するように構成されている。また、データ処理回路部は、前記第2の送受信アンテナ39に接続されており、バッテリを内蔵する電源回路37aと、無線周波数(RF)回路(ワイヤレス送受信回路)37bと、変調回路37cと、復調回路37dと、CPU37eと、該CPU37eに対して入出力可能に接続され、前記ICタグ36のメモリ36aから読み取った情報を記憶するメモリ37fとを有して構成されている。
【0038】
前記ICタグ36中のメモリ36aに記憶されたデータの読み出しは、前記送受信ユニット37側の第2の送受信アンテナ39から前記ICタグ36側の第1の送受信アンテナ38に向けて2値化されたデジタル・データ信号を特定周波数の電波により送信することにより行われる。このデジタル・データ信号は、変調回路37cで変調を受け、RF回路37bで増幅されて第2の送受信アンテナ39から送信される。該送信された電波は、ICタグ36側の第1の送受信アンテナ38により受信され、この受信時のアンテナコイル間の相互誘導作用により電源回路36bの蓄電用コンデンサに電力が充電される。そして、この充電電力は、電源回路36bからCPU36fに動作電力として供給され、ICタグ36を活性化して、RF回路36cを作動させる。
【0039】
そして、ICタグ36側のCPU36fは、この受信信号(読み出しコマンド信号)に基づいて、前記メモリ36aに記憶されているデータを送信する。このデータの送信は、上記同様に2値化されたデジタル・データ信号を変調回路36dで変調した後、RF回路36cで増幅することによって第1の送受信アンテナ38から送出することにより行われる。この送信されたデジタル・データは、送受信ユニット37側の第2の送受信アンテナ39で受信され、前記データ処理回路部でデータ処理されて、上述のマイコンに転送される。
【0040】
また、前記送受信ユニット37側のCPU37eの入力ゲートには、入力装置(入力回路)37gが接続されており、所定の外部入力手段からの必要な追加情報が入力装置37gを介して入力され、CPU37e、RF回路37bを通してICタグ36側のメモリ36aに書き込まれるようになっている。
【0041】
さらに、本実施の形態においては、前記ICタグ36は、家庭内電気製品の使用を制限するために家庭内電気製品の使用が適さない人(例えば、幼児や老人等)の身に付けて使用されるものであり、そのメモリ36aに予め固有の情報を記憶させている。
【0042】
つぎに、図3に示す電気回路図に基づいて、本実施の形態にかかる電気炊飯器における電気的構成を説明する。なお、図1に示された各部に対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
【0043】
商用交流電源40からの電力は、内鍋3の異常加熱を検知して溶断する温度ヒューズ41および整流回路42を経てメインIHコイル11およびサブIHコイル14A,14Bに供給されることとなっている。符号43は平滑コンデンサ、44,45は共振コンデンサである。
【0044】
前記メインIHコイル11およびサブIHコイル14A,14Bには、マイクロコンピュータユニット(以下、マイコンと略称する)46からIGBTドライブ回路47,48を経た指令によりそれぞれON/OFF制御されるパワートランジスタ49,50からの制御信号が与えられることとなっている。
【0045】
前記マイコン46は、所定のプログラムに従ってパワートランジスタ49,50の制御を行い、これによりメインIHコイル11およびサブIHコイル14A,14Bへの通電を制御する。符号52は各種スイッチ類、53は液晶表示装置である。
【0046】
ついで、図5に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における利用制限機能について詳述する。
【0047】
通常運転状態にある家庭内電気製品(ここでは、電気炊飯器A)において、ステップS1において使用制限を実施するICタグ36を身に付けた人Mが近づいたか否かの判定がなされ、ここで、肯定判定されると、ステップS2において電気炊飯器がロック状態に移行せしめられる(即ち、運転状態が安全側に移行せしめられる)。これと同時に、ステップS3においてICタグ36を保持した人Mが近づいた電気炊飯器Aの運転状態が安全側の処理に移行したことが報知手段(例えば、音声、ブザーあるいは表示)により報知されるとともに、ステップS4において電気炊飯器Aが安全側の処理に移行したこと(換言すれば、使用制限を実施するICタグ36を保持した人Mが電気炊飯器Aに近づいたこと)が通信手段により所定の携帯電話38に知らされる。
【0048】
上記したように、本実施の形態においては、使用制限を実施するICタグ36を保持した人M(図4参照)が家庭用電気製品(例えば、電気炊飯器A)に近づくと、電気炊飯器Aの認識手段(送受信ユニット37)がICタグ36の保持を認識し、運転状態が安全側(例えば、運転ができないロック状態、操作不能状態等)に移行せしめられることとなっている。従って、幼児や老人のように、構造に疎い人などにICタグ36を保持させておけば、利用者制限や機能制限を達成することができ、安全性や誤操作防止を確保することができる。
【0049】
また、本実施の形態においては、ICタグ36を保持した人M(図4参照)が近づいた電気炊飯器Aの運転状態が安全側の処理に移行したことが報知手段(例えば、音声、ブザーあるいは表示)により報知されることとなっているので、ICタグ36を保持した人の安全性をより確実に確保することができる。
【0050】
さらに、本実施の形態においては、電気炊飯器Aが安全側の処理に移行したこと(換言すれば、ICタグ36を保持した人が電気炊飯器Aに近づいたこと)が通信手段により所定の携帯電話38(図4参照)に知らされることとなっているので、携帯電話38を携帯している人が家庭内等での異常事態を知ることができ、速やかな対応ができる。
【0051】
第2の実施の形態
図7には、本願発明の第2の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器における利用制限機能の内容であるフローチャートが示されている。
【0052】
この場合、送受信ユニット37は、ICタグ36を保持した人M(図6参照)により操作パネル部33の入力キー52が操作されたことを認識する認識手段としての機能と、該認識手段によりICタグ36の保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段としての機能と、該運転状態移行手段の作動時に当該状態を報知する報知手段(ブザー、音声手段あるいは表示手段)を制御する信号出力手段としての機能と、前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を所定の携帯電話38(図6参照)に知らせる通信手段としての機能とを備えている。
【0053】
ついで、図7に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における利用制限機能について詳述する。
【0054】
通常運転状態にある家庭内電気製品(ここでは、電気炊飯器A)において、ステップS1において操作部スイッチ(換言すれば、操作パネル部33の入力キー52)が押されたか否か(換言すれば、ON操作されたか否か)の判定がなされ、ここで、肯定判定されると、ステップS2において入力キー52をON操作した人Mが使用制限を実施するICタグ36を身に付けているか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定されると、電気炊飯器Aがロック状態に移行せしめられる(即ち、運転状態が安全側に移行せしめられる)。これと同時に、ステップS3においてICタグ36を保持した人Mが近づいた電気炊飯器Aの運転状態が安全側の処理に移行したことが報知手段(例えば、音声、ブザーあるいは表示)により報知されるとともに、ステップS4において電気炊飯器Aが安全側の処理に移行したこと(換言すれば、使用制限を実施するICタグ36を保持した人Mが電気炊飯器Aに近づいたこと)が通信手段により所定の携帯電話38に知らされる。
【0055】
一方、ステップS2において否定判定された場合、ステップS6に進み、通常使用状態が継続される。
【0056】
上記したように、本実施の形態においては、使用制限を実施するICタグ36を保持した人M(図6参照)が家庭用電気製品(例えば、電気炊飯器A)における入力キー52をON操作すると、電気炊飯器Aの認識手段(送受信ユニット37)がICタグ36の保持を認識し、運転状態が安全側(例えば、運転ができないロック状態、操作不能状態等)に移行せしめられることとなっている。従って、幼児や老人のように、構造に疎い人などにICタグ36を保持させておけば、利用者制限や機能制限を達成することができ、安全性や誤操作防止を確保することができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、ICタグ36を保持した人M(図6参照)が家庭用電気製品(例えば、電気炊飯器A)における入力キー52をON操作した電気炊飯器Aの運転状態が安全側の処理に移行したことが報知手段(例えば、音声、ブザーあるいは表示)により報知されることとなっているので、ICタグ36を保持した人の安全性をより確実に確保することができる。
【0058】
さらに、本実施の形態においては、電気炊飯器Aが安全側の処理に移行したこと(換言すれば、使用制限を実施するICタグ36を保持した人Mが電気炊飯器Aにおける入力キー52をON操作したこと)が通信手段により所定の携帯電話38(図6参照)に知らされることとなっているので、携帯電話38を携帯している人が家庭内等での異常事態を知ることができ、速やかな対応ができる。
【0059】
本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の家庭用電気製品にも適用可能である。例えば、ICタグを保持している人が近づいたとき、加湿器なら加湿停止したり、電気ポットも保温へ移行したりすればよく、同時に音声やブザーなどで報知するようにしてもよい。
【0060】
また、ICタグの識別処理は、家庭用電気製品の停止中、運転中、操作中のどの場合においても働き、識別に応じての処理がなされる。
【0061】
また、環境商品(例えば、エアコン、空気清浄機など)において、ICタグの情報によって、その人が室内にいるときは通電するが、いなくなったら省エネモードに移行するか、停止処理するようにしてもよい。
【0062】
また、環境商品(例えば、エアコン、空気清浄機など)において、ICタグの情報(例えば、年齢・性別・人数)によって、設定温度や運転状態を最適な設定に変更させるようにしてもよい。
【0063】
また、フィルター等の交換部品を内蔵している環境商品において、ICタグによる情報(人数・使用時間等)から、付属品の交換サインを報知させるようにする場合もある。
【0064】
なお、ICタグを保持している人だけが、利用できたり、製品の設定を変更できたり、運転のON/OFF操作ができるようにする場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器の縦断面図である。
【図2】本願発明の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器に使用されるICタグおよび送受信ユニットの回路構成図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器における電気的要素の結線回路図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器の使用制限機能を説明するための概略説明図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器における使用制限機能の内容を示すフローチャートである。
【図6】本願発明の第2の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器の使用制限機能を説明するための概略説明図である。
【図7】本願発明の第2の実施の形態にかかる家庭用電気製品の一例である電気炊飯器における使用制限機能の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1は器体
2は蓋体
33は操作パネル部
36はICタグ
37は送受信手段(送受信ユニット)
Aは家庭用電気製品(電気炊飯器)
Mは人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコン機能を有し、各種の操作を行う操作パネル部を備えた家庭用電気製品であって、ICタグを保持した人が近づいたことを認識する認識手段と、該認識手段によりICタグの保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段とを付設したことを特徴とする家庭用電気製品。
【請求項2】
マイコン機能を有し、各種の操作を行う操作パネル部を備えた家庭用電気製品であって、ICタグを保持した人により前記操作パネル部の入力キーが操作されたことを認識する認識手段と、該認識手段によりICタグの保持が認識された場合には運転状態を安全側の処理に移行させる運転状態移行手段とを付設したことを特徴とする家庭用電気製品。
【請求項3】
前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を報知する報知手段を制御する信号出力手段を付設したことを特徴とする請求項1および2のいずれか一項記載の家庭用電気製品。
【請求項4】
前記運転状態移行手段の作動時に当該状態を所定の携帯電話に知らせる通信手段を付設したことを特徴とする請求項1、2および3のいずれか一項記載の家庭用電気製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−61939(P2008−61939A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245561(P2006−245561)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】