説明

家電機器制御システム

【課題】家電機器に対する操作性を向上させる。
【解決手段】ユーザインタフェースを構築するための判断基準となる距離を取得する(ステップS01)。次いで、新たな家電情報の有無を判定し、新しい家電情報があれば、ステップS02において家電情報取得部からネットワークに接続された家電各々からの家電情報を取得してステップS03に進む。更新すべき新たな家電情報がなければ、ステップS02をスルーしてステップS03に進む。ステップS03において、判断情報と家電情報とに基づいて、表示部に表示させる情報の優先順位を決定する。次いで、この優先順位に基づいて、構築したインタフェースを表示部に表示させる。次いで、家電機器との間の距離の変化があるかどうかを判定し、距離の変化があればステップS01に戻り、新たなインタフェースを構築するための上記処理を行い、距離の変化がなければ、処理を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電機器制御システムに関し、特にネットワークに接続された電気製品等のネットワーク機器を一元管理、操作するネットワーク家電機器制御システムにおいて、多数存在する操作対象のネットワーク家電機器を効率的に操作することができるユーザインタフェースを構築し、提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ケーブル網などのネットワークの普及と共に、ネットワーク家電が注目されている。ここで、ネットワーク家電とは、様々な家庭用電気製品(家電機器)をネットワーク、例えばインターネットに接続することにより、ネットワークを介して外部から操作を可能としたり、互いの特徴、機能を組み合わせた協調動作を行わせたりすることが可能な家電機器の総称であるが、以下、本明細書では、ネットワーク家電機器と称する。
【0003】
家庭に設置されている様々な家電機器をネットワーク越しに操作することが可能になると、これら家電機器を一元的に操作することができる端末(リモコン装置などの制御装置)が望まれる。家庭に存在する大量の家電機器を一元的に管理するためには、これらを効率的に操作するためのユーザインタフェースが必要となる。例えば、下記特許文献1では、各部屋にどの家電が存在するかを予め把握しておき、各部屋に埋め込まれた位置把握のためのタグ(例えば位置情報を記録したICチップなど)を用いて、家電操作端末がどの部屋に位置するかを認識し、数ある家電の中からその部屋の中に存在する家電のみを操作対象とすることが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特表2006−525597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に示されるような、家電操作端末が位置する部屋と同室内に存在するか否かのみで操作対象の家電を限定する技術では、部屋の外に設置されているネットワーク上の家電機器を操作することができない。例えば、書斎に存在するDVDレコーダをリビングから操作することはできない。
【0006】
また、一般的に家電を操作する家電操作端末において、例えば家電操作端末にディスプレイが備えられているものもあるが、ディスプレイの大きさがそれほど大きくないため、一度に表示可能な家電機器に関する情報量は限られている。これらの限られた機能を効率的に使用し、ユーザの操作しやすいインタフェースを構築することが望まれている。しかしながら、特許文献1に示されるような部屋単位で操作対象の家電を決定する方法は、家電単位で操作対象か否かを決定することしかできず、ネットワーク家電機器に対する操作インタフェースとしては不十分であった。
本発明は、家電機器に対する操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、表示部を有し、複数の家電機器を制御する家電機器制御装置であって、それぞれの家電機器における操作コマンド毎の優先度情報を取得する家電機器情報取得部と、制御装置側で決定する操作コマンド各々に対する優先度を決定するための判断情報を取得する判断情報取得部と、前記優先度情報と、前記判断情報とに基づいて、各家電のコマンド毎の表示優先度を決定し、該表示優先度に基づいて操作ボタンを前記表示部に優先的に表示させるインタフェース構築部と、を有することを特徴とする家電機器制御装置が提供される。
【0008】
前記判断情報取得部は、それぞれの家電機器との間の距離情報を第1の判断情報としてリアルタイムに取得し、前記インタフェース構築部は、前記優先度情報と、前記距離情報と、に基づいて、前記優先度情報が高く、前記距離情報が近い距離を示すほど高い表示優先度として算出し、該表示優先度に基づいて操作ボタンを前記表示部に優先的に操作ボタンを表示させることが好ましい。前記距離情報を、各家電機器との近距離通信により取得することが好ましい。尚、「距離情報を第1の判断情報としてリアルタイムに取得する」とは、常に取得していなくても、例えば、1s、10s周期などで取得する場合、リモコン装置に動きセンサを設けておき、動きを検出したタイミングで取得する場合も含むものとする。
【0009】
また、前記判断情報取得部は、それぞれの家電機器の操作のためのコマンド毎の操作回数を第2の判断情報として取得し、前記インタフェース構築部は、前記優先度情報と、前記操作回数と、に基づいて、前記優先度情報が高く、前記操作回数が多いほど高い表示優先度として算出し、該表示優先度に基づいて前記表示部に優先的に操作ボタン表示させることが好ましい。
【0010】
前記家電機器を操作の関連性の近いカテゴリ毎に分類し、直前の操作に基づいて、前記近いカテゴリの操作又は家電機器に関する優先度を高くすることもできる。前記家電機器の操作に基づいて変化する異なる状態に対して、異なる優先度情報を有するようにしても良い。前記表示部は、タッチパネル式となっており、操作ボタンに基づいて操作可能となっていても良い。
【0011】
上記に記載の家電機器制御装置と、前記家電機器制御装置との間で短距離通信により両者間の距離を取得する距離取得部を有する家電機器と、を有することを特徴とする家電機器制御システムであっても良い。
【0012】
本発明は、上記の制御を行う方法、該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、該プログラムを記録する記録媒体であっても良い。プログラムは、インターネットなどの伝送媒体によって取得されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の家電機器制御装置によれば、携帯性を重視した制御装置の限られた表示領域に、家電機器を操作するための適切なユーザインタフェースを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面を参照しながら、本発明の各実施の形態によるネットワーク家電機器制御システムについて説明を行う。尚、以下では、ネットワーク家電機器制御システムを例にして説明したが、家電機器制御装置が、複数の家電機器の情報を取得できる構成であれば、全ての家電機器がネットワーク接続されていない場合であっても、利用可能である。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1Aは、本発明の第1の実施の形態によるネットワーク家電機器制御システムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1Aに示すように、本実施の形態によるネットワーク家電機器制御システムAは、家電機器制御装置1と、家電機器31と、を有している。家電機器31をここでは1つだけ示しているが、実際には、多数のネットワーク家電機器が存在する場合を想定している。
【0016】
家電機器制御装置1は、各家電機器31等から受け取った操作情報を蓄積する蓄積部3と、家電機器制御装置1のユーザインタフェースを構築するインタフェース構築部5と、構築したインタフェースを表示する表示部7と、家電機器31等から送信された各種の情報L2を受け取る家電情報取得部11と、ユーザインタフェースを構築するための判断基準となる判断情報を取得する判断情報取得部15と、ユーザからの操作を受け付ける操作入力部17(タッチパネル式の操作部でも良い。)と、これら各部の動作を制御する制御部(CPU)21と、家電機器に対し制御のためのデータを送信する操作コマンド送信部23と、を含んで構成される。
【0017】
図1Bは、家電機器31の概略構成例を示す機能ブロック図である。図1Bに示すように、家電機器31は、家電機器の機能を発揮する機能部33と、制御部(CPU)35と、家電機器の家電情報を家電機器制御装置1の家電情報取得部11に送信する(L2)家電情報送信部37bと、家電機器制御装置1の操作コマンド送信部23から送信された操作コマンドを受ける操作コマンド受信部37aと、を有している。
【0018】
図3は、本実施の形態によるネットワーク家電機器制御システムに登録されている家電機器の部屋における配置例を示す図である。図3に示す配置例は、単なる一例であるが、ここでは、隣接する2つの部屋41、42を含む家X内に複数の家電が配置された場合を例にして説明を行う。本実施例では、図3に示すように、テレビ43、エアコン45、空気清浄機47、DVDレコーダ51、が、部屋41と部屋42とにそれぞれ配置されているものとして説明を行う。各家電機器には、それぞれ、後述するようにUWB(Ultra Wide Band)などの無線電波発信モジュール43a、45a、47a、51aが備えられており、このUWB発信モジュールから発信される電波に基づいて、符号53、55などで示されるようにユーザに従って移動する家電機器制御装置1の位置が変化した場合の、各家電機器との間の距離を算出することができる。また、ここでは説明のためにUMBを用いた通信、測距方法を示すが、その他の無線技術、例えば、ZigBeeやBlueTooth、赤外線通信(Ir)、2.4GHz帯無線通信などを用いても良い。また前述の無線通信技術や有線通信技術と、赤外線や超音波などを用いた測距モジュールを組み合わせても良いことは言うまでもない。
【0019】
図2は、家電機器制御装置1における動作の流れを示すフローチャート図である。処理が開始されると(開始)、ユーザインタフェースを構築するための判断基準となる判断情報を取得する(ステップS01)。次いで、新たな家電情報の有無を判定し(ステップS011:家電機器から送られてくる家電情報と、自己が既に記憶している家電情報を比較する)、新しい家電情報があれば(Yes)、ステップS02において家電情報取得部11からネットワークに接続された家電各々からの家電情報を取得(記憶)してステップS03に進む。家電情報は、後述するように、例えば家電操作コマンドリストに基づくコマンド毎の優先度の情報である。
【0020】
更新すべき新たな家電情報がなければ(No)、ステップS02をスルーしてステップS03に進む。ステップS03において、判断情報と家電情報とに基づいて、表示部7に表示させる情報の優先順位を決定する。次いで、この優先順位に基づいて各情報の表示の有無などを決定し、ステップS04において、構築したインタフェースを表示部に表示させる。次いで、家電機器との間の判断情報の更新、例えば距離の変化があった場合はステップS01に戻り、新たなインタフェースを構築するための上記処理を行う。他方、距離の変化がなければ(No)、処理を終了させる(終了)。
【0021】
上記のフローチャート図では、ステップS02において家電情報取得部11から家電情報の取得を行う例について説明したが、このような情報をあらかじめ蓄積部3に蓄積しておき、これを読み出すことでステップS02における家電情報取得を行っても良い。また、家電情報取得処理についても、判断情報の変化を起因としてこの処理を行うようにしても良いし、ユーザ操作に応じて明示的に家電情報取得対象の家電を指示するようにしても良い。また、ステップS05において距離の変化を常に監視しながら待ち続け、インタフェースの更新を継続するようにしても良い。また、上記の例では、判断情報として、距離を用いた例を説明したが、その他の情報、例えば家電の動作状態(高負荷な処理を行っているか否か)を判断情報とし、直ぐに動作可能な家電の優先順位を上げるようにしても良いし、天気や湿度などの環境情報を取得してユーザの次の動作を推定し、ユーザが次に操作をしそうな家電の優先順位を上昇させるような判断情報を設定するものとしても良い。
【0022】
以下に、本実施の形態による家電機器制御装置1の各構成部について、さらに詳細に説明する。まず、蓄積部3について説明する。家電機器制御装置1は、家電機器31から得られる情報を記録した蓄積部3を有する。ここで、家電から得られる情報とは、家電を操作するためのコマンド群(以下、「家電操作コマンドリスト」と称する。)、並びに、それに付随するメタデータ情報(以下、「家電操作コマンドメタデータ」と称する。)を指す。本実施の形態では、説明を簡単にするために、家電操作コマンドリストは、ネットワークに家電機器が登録される際に家電機器制御装置1にネットワークを介して送信され、既に蓄積部3に記録されているものとして説明する。但し、家電操作コマンドリストが必要になるタイミング、例えばユーザが操作対象の家電機器を特定したタイミングで逐次家電機器から家電操作コマンドリストが送信されるようにしても良い。
【0023】
この家電操作コマンドリストに付随する、家電操作コマンドメタデータは、家電操作コマンドリスト内のコマンドのそれぞれに対する付加情報を記したデータである。ここで、付加情報とは、コマンドの詳細を示す付随情報のことを示すが、本実施例では、コマンドの付加情報として、コマンドの識別子(ID)、優先順位(Priority)が存在するものとして説明を行う。また、本実施例で扱う、各コマンドに付加された優先度は、コマンドを持つ家電機器がコマンド表示の優先順位として付加しているものであり、本実施例では、値が高い方の優先度が高いものとしている。
【0024】
本実施の形態では、このメタデータをXML形式で記述する例について説明するが、他の形式でメタデータを記述するようにしても良い。
【0025】
図5から図8までは、家電操作コマンドメタデータの記述例を示す図である。図5では、テレビ43の操作コマンドとして、“電源”63、“音量”65、“チャンネル”67の、それぞれの表示優先度を、メタデータとして記載する例を示している。<テレビ>から</テレビ>で挟まれた中には、テレビの操作コマンド各々に付されるメタデータの一覧が記載されている。各操作コマンドのメタデータ63、65、67は、<command>と</command>に挟まれた中に記載されており、各操作コマンドとの対応をとるための識別子を<id>と</id>に挟まれた位置に、各操作コマンドの優先度を<priority>と</priority>に挟まれた位置に記載している。各操作コマンドの優先度は1〜5の5段階で設定され、数字が大きいほど家電を操作するのに重要なコマンド、すなわち、ユーザインタフェース上に表示する場合の優先度が高いものとする。例えば、図5に示すテレビでは、電源の優先度が5と高く、次いで、音量が4、チャネルも4として決められている。図6は、エアコン45の家電操作コマンドメタデータの例を示す図である。このエアコン45の家電操作コマンドメタデータ71では、操作コマンドとして、電源73が優先度5であり、温度75が優先度4であり、モード選択77が優先度2である。同様に、図7は、空気清浄機47の家電操作コマンドメタデータの例を示す図である。この空気清浄機47の家電操作コマンドメタデータ81では、操作コマンドとして、電源83が優先度5であり、モード選択85が優先度3であり、タイマー操作87が優先度2として設定されている。
【0026】
尚、家電操作コマンドメタデータは、家電の動作状況に合わせて動的に変化するようにしても良い。すなわち、電源がオンされている場合は、電源をオフするよりも、録画の操作が行われる可能性が高いため、その操作コマンドの優先度を高くするなど、家電の動作状態に応じて各コマンドの優先度を変化させるようにしても設定しておいても良い。
【0027】
例えば、DVDレコーダの家電操作コマンドメタデータについて、図8A、図8Bを参照しながら説明する。図8Aは、DVDレコーダの電源がOFFの時の家電操作コマンドメタデータの例を示す図であり、図8Bは、DVDレコーダの電源がON時の家電操作コマンドメタデータの例を示す図である。図8Aに示すように、DVDレコーダの電源がOFFの時の家電操作コマンドメタデータ91は、コマンドの優先度として、この場合には、電源93の操作コマンドには優先度5が、録画95の操作コマンドには優先度4が、録画リスト表示97の操作コマンドには優先度3が設定されている。一方、図8Bに示すように、DVDレコーダの電源がONの時の家電操作コマンドメタデータ101は、コマンドの優先度として、この場合には、電源103の操作コマンドには優先度4が、録画105の操作コマンドには優先度5が、録画リスト表示107の操作コマンドには優先度3が設定されている。
【0028】
次に家電情報取得部11について説明する。家電情報取得部11は、家電機器から情報を取得する(図1のL2参照)。家電機器から取得する情報としては、図5から図8までで説明した家電操作コマンドリスト、家電操作コマンドメタデータの他に、家電が動作完了時などにその旨を通知するメッセージなどを含んでも良い。本実施の形態では、各家電機器と家電制御装置との通信手段は、特に限定されるものではないが、例えば、超広域無線技術や無線LAN、Bluetooth、赤外線通信技術などの無線通信技術や電力線通信、有線LANなどの有線通信技術を用いて通信するものとする。
【0029】
次に、判断情報取得部15について説明する。判断情報取得部15は、ユーザインタフェースを構築するための判断基準となる情報(以下、「判断情報」と称する。)を取得する。判断情報とは、例えば、家電機器制御装置1と各家電機器31との物理的な距離であり、その他、各コマンドの実行回数などを加味しても良い。判断情報取得部15は、家電機器制御装置1自身に内蔵されていても良く、或いは、外部の情報取得装置と連携して判断情報を取得するようにしても良い。家電機器制御装置1と各家電31等との距離は、例えば、超広域無線技術(Ultra Wide Band、UMB)を利用し、各家電31に備えられたUWB発信モジュールから発せられる電波が、家電制御装置1に接続されたUMB受信モジュールに到達するまでの時間を測ることにより距離を測定することができる(参考文献、神谷 泉著「測位技術の調査とICタグ、UWBの側位への応用」国土地理院時報、2005 No.106)。ここでは説明のために、UWBでの測距を用いたが、前述した他の通信方式による測距、例えばZigBeeを用いた測距方式であっても良い。(参考文献、高島雅弘, ZHAO Dapeng, 柳原健太郎, 武次潤平, 原晋介, 北山研一, 福井潔, 福永茂「ZigBeeを用いた屋内位置推定方式」電子情報通信学会大会講演論文集 Vol.2005)また、その他赤外線や超音波を用いた専用の測距モジュールを用いて距離を計測するものとしても良い。
【0030】
次にインタフェース構築部5について説明する。インタフェース構築部5は、家電情報取得部11及び判断情報取得部15で取得した各種情報をもとに、家電機器制御装置1のユーザインタフェースを構築する。
【0031】
さらに、各家電31から家電機器制御装置1には、それぞれ図5、図6、図7、図8A、図8Bに示すような、家電操作コマンドメタデータが送信されており、また、判断情報として、各家電31と家電機器制御装置1との距離が上記のように測定されて、判断情報取得部15から入力されたものとして説明を行う。
【0032】
インタフェース構築部5は、まず判断情報取得部15から、家電31との間の距離情報Dを取得する。さらに、家電情報取得部11から取得した家電操作コマンドメタデータ内から各コマンドの優先度P_hを取得する。ここで、コマンドの優先度P_hは、前述したように、<priority>と</priority>に挟まれた例えば1〜5までの5段階の例えば整数値であり、その数値が大きいほど家電を操作するのに重要なコマンドであると規定されているものとする。
【0033】
次に、取得したこれら二つの情報(家電操作コマンドメタデータ、距離情報D)を用いて、家電各々の操作コマンド毎に、家電制御装置A1上での表示の優先度P_i(以下、「表示優先度」)を判定する。表示優先度P_iの計算には、例えば以下のような計算式を用いる。
P_i=a×P_h+b×1/D … (式1)
【0034】
ここで、a、bは、予め、家電機器制御装置A1に設定されている任意の係数である。
例えば、図3の符号53の位置に家電機器制御装置1が位置している場合の例について説明する。図4においては、家電と距離との関係が示されており、テレビが0.5m、エアコンが1.5m、空気清浄機が4m、DVDレコーダが5mとなっている。すなわち、距離だけの関係から言えば、距離が近い順番に優先度が高くなる。これと、各操作コマンドの優先度P_hとにより、表示の優先度P_iが求まる。
【0035】
判断情報取得部15から取得した各家電31と家電機器制御装置1との距離が、例えば、図4に示されるものであった場合に、上記式1に基づき計算された各操作コマンドの表示優先度P_iを、図9に示す。但し、ここで、係数a=10、b=50としている。尚、係数bは、距離を重視した場合に、aは、距離よりもコマンドの優先度を重視した場合に各々大きくする係数である。図9に示すように、家電毎に、各操作コマンドに関する表示優先度P_iが求められており、ここではテレビの電源コマンドが150と高く、DVDレコーダの録画リスト表示は40と低い。なお、係数a,bはユーザの嗜好に応じて変化するようにしても良い。例えば、係数a,bに値を設定するための設定画面を通じて、ユーザが任意の値を入力できるようにしても良いし、ユーザの操作履歴に応じて係数a,bが動的に変化するようにしても良い。
【0036】
インタフェース構築部5は、求めた表示優先度P_iを基に、ユーザインタフェースを構築する処理を行う。図12は、家電機器制御装置1の表示部7上に操作コマンドをアイコンとして並べた例を示した図である。図12に示すように、表示部7において、操作コマンドを示すアイコン121、123、125、…は、表示優先度P_iが高い順に上から並べられている。表示優先度P_iが同じものが複数存在する場合は、例えば、ランダムに表示する順番を決めるものとしても良い。タッチパネル式のユーザインタフェースにすれば、そのGUIに基づいて、直接操作ができるため便利である。
【0037】
家電機器制御装置1の表示解像度が低い、表示領域が狭いなどの理由により全てのコマンドを表示しきれない場合は、複数ページに表示を分け、符号111、113、115に示すスクロールバーのようなページを送る為のインタフェースを設けることにより、全てのコマンドを見ることができるようにしても良いし、符号137に示すような一覧表示のためのボタンを設けておき、表示されていないコマンドを一覧にして表示させ、そこから操作を行うなどの手段を設けるようにしても良い。また、本実施の形態では、表示優先度P_iが高いコマンドをユーザの目に付きやすい画面上部に配置するようにインタフェースを構築する例について説明したが、図14に示すように表示優先度P_iが高いコマンドを、上位から選出し、家電ごとに(161、171、181、191)まとめて表示(161)するものとしてもよい。
【0038】
符号53の位置では、家電機器制御装置1に最も近い位置にあるテレビの操作コマンドの表示優先度P_iが高くなり、本実施の形態では、テレビの操作コマンドのアイコンが優先的に表示されるようになる。2番目に近い位置にあるエアコンの操作コマンド各々も、全体的に表示優先度P_iは高くなるが、端末と家電の距離関係に加え、各操作コマンドの優先度も加味していることから、コマンドの優先度が低いエアコンの操作コマンド“モード選択”よりも、DVDレコーダ、空気清浄機の操作コマンド“電源”の方が優先して表示されている。
【0039】
同様に、図3の符号55の位置に、家電機器制御装置1が位置した場合の各家電との距離が、図10の表で示される値であった場合には、上記式1に基づく表示優先度P_iは図11に示される表のようになる。この場合には、エアコンとの距離が図10に示すように0.5mと近くなったため、図11に示すように、表示優先度P_iは、エアコンの電源に関する値が高くなっている。このように、家電機器制御装置1の位置に依存して、表示優先度P_iは適宜変更され、更新されるため、表示部に表示される表示インタフェースも使いやすいように変更されるという特徴を有する。この場合における操作コマンドを、その表示優先度P_iが高い順にアイコンとして、上から並べると、図13に示すようになる(ここでも、係数a=10、b=50とする。)。
【0040】
このように、家電機器31と家電機器制御装置1との距離のみからではなく、家電機器31から取得した各コマンドに依存する優先度も加味した表示優先度を計算することにより、家電機器制御装置1の周囲に存在する家電機器31等を操作するためのコマンドをより効率的に配置したインタフェースを構築することが可能になる。
【0041】
次に操作入力部17について説明する。操作入力部17は、家電制御装置1に表示されたユーザインタフェースに対するユーザの操作を受けつける。ここで、操作入力部17は、例えば表示部7上に配置にされたタッチパネルによってユーザの入力を受け付けるようにしても良いし、一般的なリモコンや携帯電話で用いられているボタンやキーボードで入力を受けつけるようにしても良い。
【0042】
最後に操作コマンド送信部23について説明する。操作コマンド送信部23は、操作入力部17で受け付けたユーザの操作に基づき、対応する操作コマンドを家電機器31に送信する。本実施の形態では、家電情報取得部11の説明において述べたように、家電機器31と家電制御装置1との通信手段を特に限定するものではなく、前述したような各種有線、無線通信技術を用いて、通信を行うことができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、ユーザが選択した操作コマンド履歴を家電機器制御装置1のユーザインタフェースの構築に反映させる点において第1の実施の形態とは異なる。
【0044】
本発明の第2の実施の形態によるシステムの一構成例を示す機能ブロック図を図15に示す。
【0045】
本実施の形態によるシステムBでは、家電制御装置201は、第1の実施の形態に示した家電制御装置1の各機能部203等に加えて、操作履歴蓄積部209が備えられている点を特徴とする。図15では、図1を参照しながら説明した各機能部と同等の機能を持つ各機能部には同名の機能部の名称を付すものとし、その説明は省略する。
【0046】
操作履歴蓄積部209には、操作入力部217でユーザが実行した、家電機器操作のためのコマンドの実行回数をコマンド毎に記録しておく。
【0047】
判断情報取得部215では、蓄積部209に記録されたコマンド毎の実行回数H_comを取得し、インタフェース構成部205では、表示優先度P_iの計算式に、第1の実施の形態において示した式1の代わりに、以下のような計算式を用いる。
P_i=a’×P_h+b’×H_com … (式2)
【0048】
ここで、a’、b’は、あらかじめ家電制御装置201に設定された任意の係数であり、第1の実施の形態と同様の係数である。上記の第1の実施の形態と同様、ユーザの嗜好に応じて任意の値が設定できるものとしても良いし、動的に変更しても良いことは言うまでもない。その他の処理は、第1の実施の形態と同等であるため説明を省略するが、上記式2を使用することによって、ユーザが頻繁に実行するコマンドが優先的に表示されやすくなり、利便性が高まるという利点がある。
【0049】
変形例として以下の式を用いても良い。
P_i=a×P_h+b×1/D+b’×H_com (式3)
【0050】
この式によれば、距離Dとコマンドの履歴とも加味してインタフェースの表示の優先度を決定するため、よりきめ細かい制御に基づくインタフェース表示が可能になる。
【0051】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第1、2の実施の形態例などで作成されたインタフェースに関する、ユーザが操作した後のインタフェースの組み換え処理に特徴がある。
【0052】
例えば、家電制御装置1の表示部7に、図12に示すようなユーザインタフェースが示され、ユーザがこれに基づいてテレビの電源を押した場合に、家電制御装置1は以下の手順でユーザインタフェースを組み替える処理を行う。
【0053】
まず、既に取得している家電操作コマンドメタデータから、各家電の家電カテゴリ種別を取得する。本実施の形態の場合、図5、図6、図7、図8に示すように、テレビ及びDVDレコーダの家電カテゴリ種別は“AV家電”(category 62、category 102)、エアコンは“白物家電”(category 72)、空気清浄機は“健康家電”(category 82)に分類されている。
【0054】
次に、既に求められている各家電のコマンドの表示優先度P_iを、以下の条件に基づき更新する。
1) ユーザが直前に操作した家電と同一カテゴリに分類される家電である場合に、その家電の優先度P_i’に対してある値cの優先度を加える。
P_i=P_i’+c
【0055】
2)1)以外のカテゴリに分類される家電である場合には、その優先度P_i’をdだけ下げる。
P_i=P_i’−d
【0056】
ここで、c、dは家電制御装置A1にあらかじめ設定されている、任意の定数であるものとして説明するが、実施例1、2で示したように、ユーザの嗜好などに基づきユーザが設定できるものとしても良いし、動的に変化するものとしても良い。
【0057】
3)最後に、上記の式により更新された表示優先度P_i’に基づき、新たな、ユーザインタフェースを構築する。
【0058】
以上に示した表示優先度P_i’に基づき、ユーザインタフェースを再構築することにより、ユーザが直前に操作した家電と同一カテゴリに分類される家電の操作コマンドの優先度が高くなり、優先されて表示されるようになる。
【0059】
例えば、第1の実施の形態においては、図3の符号53で示す位置に家電機器制御装置1が存在すると、距離が近いテレビ43の操作コマンドが優先的に表示されやすくなり、逆に距離が遠いDVDレコーダ51の操作コマンドは表示されにくい。一方、本実施の形態において説明したように、家電機器制御装置1を通じてテレビ43を操作すると、表示優先度P_iが更新され、テレビ43と同一カテゴリであるDVDレコーダ51の操作コマンドの表示優先度が上がり、ユーザインタフェース上の上位に表示されやすくなる。これにより、同一カテゴリ間の家電での連携、例えばテレビ43で表示している番組をDVDレコーダで録画するなどの連携操作が行いやすくなるという利点がある。もちろん、表示部におけるDVDレコーダの表示を目立つように点滅等させて、実質的に優先度の高い表示を行った場合と同様にすることも可能である。
【0060】
(まとめ)
本実施の形態による家電機器制御装置によれば、携帯性を重視した制御装置の限られた表示領域に、家電機器を操作するための適切なユーザインタフェースを構築することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、家電機器における制御端末装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1A】本発明の第1の実施の形態によるネットワーク家電機器制御システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図1B】家電機器31の概略構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】家電機器制御装置1における動作の流れを示すフローチャート図である。
【図3】本実施の形態によるネットワーク家電機器制御システムに登録されている家電機器の部屋における配置例を示す図である。
【図4】図3の符号53で示す位置から家電までの距離を家電毎に示した図である。
【図5】テレビの家電操作コマンドメタデータの記述例を示す図である。
【図6】エアコンの家電操作コマンドメタデータの記述例を示す図である。
【図7】空気清浄機の家電操作コマンドメタデータの記述例を示す図である。
【図8A】DVDレコーダにおけるオフ時の家電操作コマンドメタデータの記述例を示す図である。
【図8B】DVDレコーダにおけるオン時の家電操作コマンドメタデータの記述例を示す図である。
【図9】図4に示される配置における、各操作コマンドの表示優先度P_iの計算結果を示す図である。
【図10】図3の符号55の位置に、家電機器制御装置が位置した場合の各家電との距離を示す図である。
【図11】図10に基づいて算出した表示優先度P_iの計算結果を示す図である。
【図12】操作コマンドを、その表示優先度P_iが高い順にアイコンとして、上から並べて表示させたインタフェースの第1例を示す図である。
【図13】操作コマンドを、その表示優先度P_iが高い順にアイコンとして、上から並べて表示させたインタフェースの第2例を示す図であり、家電機器制御装置が移動した場合の例を示す図である。
【図14】表示優先度P_iが高いコマンドを、上位からいくつか選出し、家電ごとにまとめて表示させたインタフェース例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態によるシステムの一構成例を示す機能ブロック図を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
A…ネットワーク家電機器制御システム、1…家電機器制御装置、3…蓄積部、5…インタフェース構築部、7…表示部、11…家電情報取得部、15…判断情報取得部、17…操作入力部、21…制御部(CPU)、23…操作コマンド送信部、31…家電機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有し、複数の家電機器を制御する家電機器制御装置であって、
それぞれの家電機器における操作コマンド毎の優先度情報を取得する家電機器情報取得部と、
制御装置側で決定する操作コマンド各々に対する優先度を決定するための判断情報を取得する判断情報取得部と、
前記優先度情報と、前記判断情報とに基づいて、各家電のコマンド毎の表示優先度を決定し、該表示優先度に基づいて操作ボタンを前記表示部に優先的に表示させるインタフェース構築部と
を有することを特徴とする家電機器制御装置。
【請求項2】
前記判断情報取得部は、それぞれの家電機器との間の距離情報を第1の判断情報としてリアルタイムに取得し、
前記インタフェース構築部は、前記優先度情報と、前記距離情報と、に基づいて、前記優先度情報が高く、前記距離情報が近い距離を示すほど高い表示優先度として算出し、該表示優先度に基づいて操作ボタンを前記表示部に優先的に操作ボタンを表示させることを特徴とする請求項1に記載の家電機器制御装置。
【請求項3】
前記距離情報を、各家電機器との近距離通信により取得することを特徴とする請求項2に記載の家電機器制御装置。
【請求項4】
前記判断情報取得部は、それぞれの家電機器の操作のためのコマンド毎の操作回数を第2の判断情報として取得し、
前記インタフェース構築部は、前記優先度情報と、前記操作回数と、に基づいて、前記優先度情報が高く、前記操作回数が多いほど高い表示優先度として算出し、該表示優先度に基づいて前記表示部に優先的に操作ボタン表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の家電機器制御装置。
【請求項5】
前記家電機器を操作の関連性の近いカテゴリ毎に分類し、直前の操作に基づいて、前記近いカテゴリの操作又は家電機器に関する優先度を高くすることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の家電機器制御装置。
【請求項6】
前記家電機器の操作に基づいて変化する異なる状態に対して、異なる優先度情報を有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の家電機器制御装置。
【請求項7】
前記表示部は、タッチパネル式となっており、操作ボタンに基づいて操作可能となっていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の家電機器制御装置。
【請求項8】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の家電機器制御装置と、
前記家電機器制御装置との間で短距離通信により両者間の距離を取得する距離取得部を有する家電機器と
を有することを特徴とする家電機器制御システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−41344(P2010−41344A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201371(P2008−201371)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】