説明

家電製品

【課題】 工程検査および製品仕様の設定を自動化できるようにする。
【解決手段】 マイコン式の制御ユニットと、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能とを備えた家電製品において、前記送受信機能に、工程検査ラインに付設された検査装置との間で工程検査情報や製品仕様設定情報を授受できる機能を設けて、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能を利用して工程検査および製品仕様設定を行うことができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、調理用等に用いられる家電製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調理用として用いられる家電製品(例えば、電気炊飯器)において、インターネットに接続可能な無線通信手段を付設し、この無線通信手段によってインターネットから取得した炊飯に関する情報等を送受信できるように構成したものが知られている(特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−174965号公報。
【0004】
【特許文献2】特開2001−87128号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記家電製品の製造工程においては、工程検査および製品仕様の設定が不可欠であるが、従来は手作業に頼っており、作業性およびコスト面でのネックとなっていた。上記特許文献1,2に開示されている送受信機能は有効に利用されていなかった。
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、工程検査および製品仕様の設定を自動化できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、マイコン式の制御ユニットと、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能とを備えた家電製品において、前記送受信機能には、工程検査ラインに付設された検査装置との間で工程検査情報や製品仕様設定情報を授受できる機能を設けている。
【0008】
上記のように構成したことにより、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能を利用して工程検査および製品仕様設定を行うことができることとなり、工程検査および製品仕様設定の自動化が可能となる。
【0009】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた家電製品において、前記工程検査情報は、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から検査装置側に送信され、検査装置側においては所定の判断基準に基づいて合否判定を行うように構成することもでき、そのように構成した場合、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより、製品側から検査装置側への工程検査情報が送信され、検査装置側においては所定の判断基準に基づいて合否判定が行われることとなり、工程検査の自動化がより一層簡単に実現できる。
【0010】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第2の手段を備えた家電製品において、前記検査装置による合否判定結果を製品側に送信し、製品側に設けられた表示部に表示するように構成することもでき、そのように構成した場合、検査装置による合否判定結果を製品側の表示部で容易に確認できることとなり、便利である。
【0011】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第2又は第3の手段を備えた家電製品において、前記検査装置により不合格判定された場合には、前記検査装置側からの送信あるいは製品側の自己補正機能により合格判定が得られるように補正を行い得るように構成することもでき、そのように構成した場合、検査装置により不合格判定された場合には、検査装置側からの送信あるいは製品側の自己補正機能により合格判定が得られるように補正できることとなり、不合格製品を可及的に少なくできる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第1の手段を備えた家電製品において、前記製品仕様設定情報は、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から前記検査装置側に準備完了の送信が行われた後に前記検査装置側から送信され、製品側においては当該製品仕様設定情報に基づいて必要情報を自己のマイコン制御ユニットにより設定するように構成することもでき、そのように構成した場合、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から前記検査装置側に準備完了の送信が行われた後に前記検査装置側から製品仕様設定情報が送信され、製品側においては当該製品仕様設定情報に基づいて必要情報が自己のマイコン制御ユニットにより設定されることとなり、製品仕様設定の自動化がより一層簡単に実現できる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の第1の手段によれば、マイコン式の制御ユニットと、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能とを備えた家電製品において、前記送受信機能には、工程検査ラインに付設された検査装置との間で工程検査情報や製品仕様設定情報を授受できる機能を設けて、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能を利用して工程検査および製品仕様設定を行うことができるようにしたので、工程検査および製品仕様設定の自動化が可能となり、作業性の向上およびコストダウンに大いに寄与するという効果がある。
【0014】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた家電製品において、前記工程検査情報は、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から検査装置側に送信され、検査装置側においては所定の判断基準に基づいて合否判定を行うように構成することもでき、そのように構成した場合、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより、製品側から検査装置側への工程検査情報が送信され、検査装置側においては所定の判断基準に基づいて合否判定が行われることとなり、工程検査の自動化がより一層簡単に実現できる。
【0015】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第2の手段を備えた家電製品において、前記検査装置による合否判定結果を製品側に送信し、製品側に設けられた表示部に表示するように構成することもでき、そのように構成した場合、検査装置による合否判定結果を製品側の表示部で容易に確認できることとなり、便利である。
【0016】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第2又は第3の手段を備えた家電製品において、前記検査装置により不合格判定された場合には、前記検査装置側からの送信あるいは製品側の自己補正機能により合格判定が得られるように補正を行い得るように構成することもでき、そのように構成した場合、検査装置により不合格判定された場合には、検査装置側からの送信あるいは製品側の自己補正機能により合格判定が得られるように補正できることとなり、不合格製品を可及的に少なくできる。
【0017】
本願発明の第5の手段におけるように、上記第1の手段を備えた家電製品において、前記製品仕様設定情報は、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から前記検査装置側に準備完了の送信が行われた後に前記検査装置側から送信され、製品側においては当該製品仕様設定情報に基づいて必要情報を自己のマイコン制御ユニットにより設定するように構成することもでき、そのように構成した場合、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から前記検査装置側に準備完了の送信が行われた後に前記検査装置側から製品仕様設定情報が送信され、製品側においては当該製品仕様設定情報に基づいて必要情報が自己のマイコン制御ユニットにより設定されることとなり、製品仕様設定の自動化がより一層簡単に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
以下においては、本願発明の家電製品の一例である電気炊飯器を例にとって説明する。
【0020】
まず、図1を参照して、電気炊飯器における電気的要素の回路構成を説明する。
【0021】
符号1は商用交流電源であり、該商用交流電源1からの電力は、内鍋の異常加熱を検知して溶断する温度ヒューズ2および整流回路3を経てワークコイル4に供給される。符号5は平滑コンデンサ、6は共振コンデンサ、7は同期トリガ回路である。
【0022】
前記ワークコイル4には、マイクロコンピュータユニット(以下、マイコンと略称する)8からIGBT駆動回路9を経た指令によりON/OFF制御されるパワートランジスタ10からの制御信号が与えられることとなっている。
【0023】
前記マイコン8は、所定のプログラムに従ってパワートランジスタ10の制御を行い、これによりワークコイル4への通電を制御する。この通電制御は、センタセンサ(図示省略)内に内蔵されたサーミスタからの出力信号に基づいて行われる。
【0024】
図1において、符号11はPWM回路、12は表示部として作用する液晶表示装置、13は操作部、14はセンサ入力回路、15はブザーである。
【0025】
上記マイコン8には、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能である赤外線送受信装置16が付設されている。
【0026】
図2には、この電気炊飯器におけるマイコン基板17および検査ラインに付設された検査装置Xの概要が示されている。
【0027】
図2において、符号18はマイコン基板17の入出力端子、19は検査装置X側の赤外線送受信装置、20は電力計、21はEEPROMである。
【0028】
そして、電気炊飯器の送受信機能である赤外線送受信装置16には、工程検査ラインに付設された検査装置Xとの間で工程検査情報や製品仕様設定情報を授受できる機能が設けられている。このようにすると、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能を利用して工程検査および製品仕様設定を行うことができるようになる。
【0029】
ついで、図3のフローチャートを参照して、電気炊飯器における工程検査および製品仕様の設定について詳述する。
【0030】
ステップS1において定格AC100Vの電源が投入されると、ステップS2において無負荷時の電圧が検出され、ステップS3において外部電圧値との比較がなされ、ステップS4において電圧値の校正(換言すれば、補正)が必要か否かの判定がなされる。ここで、「校正有り」と判定された場合には、ステップS5において電圧値の校正が実施され、ステップS4に戻る。この電圧値の校正は、ステップS4において否定判定(換言すれば、「校正無し」と判定)されるまで行われ、ステップS4において否定判定されると、ステップS6に進み、電圧値の校正値がEEPROM21に書き込まれる。上記制御により、電圧検出回路の校正が行われる。
【0031】
ステップS7においてワークコイル4への出力(100%出力)がONされ、ステップS8において電流・電圧が検出され、ステップS9において検出電流値および検出電圧値に基づいて電力値が算出されると、ステップS10において外部電力値との比較がなされ、ステップS11において電力値の校正(換言すれば、補正)が必要か否かの判定がなされる。ここで、「校正有り」と判定された場合には、ステップS12において電力値の校正が実施され、ステップS10に戻る。この電力値の校正は、ステップS11において否定判定(換言すれば、「校正無し」と判定)されるまで行われ、ステップS11において否定判定されると、ステップS13に進み、電力値の校正値がEEPROM21に書き込まれる。上記制御により、電流検出回路の校正が行われる。
【0032】
ステップS14において基準電力値との比較がなされ、ステップS15において電力値の補正が必要か否かの判定がなされる。ここで、「補正有り」と判定された場合には、ステップS16において電力値の補正が実施され、ステップS14に戻る。この電力値の補正は、ステップS15において否定判定(換言すれば、「補正無し」と判定)されるまで行われ、ステップS15において否定判定されると、ステップS17に進み、補正値がEEPROM21に書き込まれる。上記制御により、調整後の検査が行われる。
【0033】
ついで、ステップS18において機器情報(例えば、品番、サイズ等)の確認が行われ、ステップS19において機器情報がOKか否かの判定がなされる。ここで、否定判定された場合、ステップS20においてNG報知(換言すれば、不合格報知)がなされ、制御は終了するが、ステップS19において肯定判定された場合には、ステップS21において固有データ(例えば、ラインNO、ロットNO等)がEEPROM21に書き込まれ、ステップS22において校正、補正データの送信が行われ、その後制御は終了する。上記制御により、機器情報の確認が行われる。
【0034】
上記したように、本実施の形態においては、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能を利用して工程検査および製品仕様設定を行うことができるとともに、検査装置X側においては所定の判断基準に基づいて合否判定が行われる。
【0035】
また、検査装置Xによる合否判定結果は製品側に送信し、製品側に設けられた表示部(例えば、液晶表示装置12)に表示される。このようすると、検査装置Xによる合否判定結果を製品側の表示部で容易に確認できることとなり、便利である。
【0036】
また、検査装置Xにより不合格判定(換言すれば、NG判定)された場合には、検査装置X側からの送信あるいは製品側の自己補正機能により合格判定が得られるように補正が行われることとなる。このようにすると、不合格製品を可及的に少なくできる。
【0037】
また、上記制御においては、校正・補正中にはその旨を表示部(例えば、液晶表示装置12)に表示するようにしてもよい。
【0038】
ところで、この電気炊飯器においては、図4に示すように、赤外線送受信装置16を生産工程において利用することもできる。例えば、保温温度検査において、保温温度データを送信し、その製品の合否判定を行ったり、その他、炊飯・保温電力値、炊飯エージングのトータル時間、トータル消費電力量などのデータをパソコンAに送り、製品の固有データの管理に応用することもできる。
【0039】
本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる家電製品の一例である電気炊飯器における電気的要素の構成を示す回路図である。
【図2】本願発明の実施の形態にかかる家電製品の一例である電気炊飯器におけるマイコン基板および検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる家電製品の一例である電気炊飯器の工程検査および製品仕様設定の内容を示すフローチャートである。
【図4】本願発明の実施の形態にかかる家電製品の一例である電気炊飯器の他の使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
8はマイコン
12は表示部(液晶表示装置)
16は送受信機能(赤外線送受信装置)
Xは検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコン式の制御ユニットと、インターネットを利用してメーカー側サーバーとの交信や製品間の無線交信を行う送受信機能とを備えた家電製品であって、前記送受信機能には、工程検査ラインに付設された検査装置との間で工程検査情報や製品仕様設定情報を授受できる機能を設けたことを特徴とする家電製品。
【請求項2】
前記工程検査情報は、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から検査装置側に送信され、検査装置側においては所定の判断基準に基づいて合否判定を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載の家電製品。
【請求項3】
前記検査装置による合否判定結果を製品側に送信し、製品側に設けられた表示部に表示するように構成したことを特徴とする請求項2記載の家電製品。
【請求項4】
前記検査装置により不合格判定された場合には、前記検査装置側からの送信あるいは製品側の自己補正機能により合格判定が得られるように補正を行い得るように構成したことを特徴とする請求項2および3のいずれか一項記載の家電製品。
【請求項5】
前記製品仕様設定情報は、電源投入後予め決められたキー操作を行うことにより製品側から前記検査装置側に準備完了の送信が行われた後に前記検査装置側から送信され、製品側においては当該製品仕様設定情報に基づいて必要情報を自己のマイコン制御ユニットにより設定するように構成したことを特徴とする請求項1記載の家電製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−288716(P2006−288716A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113372(P2005−113372)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】