容器包装分離装置
【課題】 物品ごみからの容器包装の分離を確実に行うことができ、さらには設備費が安価でメンテナンスも容易な容器包装分離装置を提供する。
【解決手段】 本発明の容器包装分離装置は、高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するためのであって、少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体を前記容器包装に向かって噴射する高温流体噴射手段と、前記容器包装の外側表面と前記高温流体噴射手段とを相対移動させることにより前記容器包装を溶断する容器包装溶断機構とを備える。
【解決手段】 本発明の容器包装分離装置は、高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するためのであって、少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体を前記容器包装に向かって噴射する高温流体噴射手段と、前記容器包装の外側表面と前記高温流体噴射手段とを相対移動させることにより前記容器包装を溶断する容器包装溶断機構とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄された食品ごみを含む様々な物品ごみから容器包装、食品、物品をそれぞれ回収し、廃プラスチック資源や畜産用飼料あるいは農業用有機肥料にそれぞれリサイクル可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニやスーパー等において販売されている弁当、おにぎり、麺類、総菜、牛乳、パン等の食品は、鮮度を保証するために所定の時間が経過すると廃棄され、塵芥収集業者によって回収された後にごみ処理場において焼却処分されている。
また、パン工場やコンビニ向けの食品を製造している食品製造工場においても、製造に伴って発生する不要な食材や売れ残りの食品等が廃棄される。
しかしながら、これらの食品ごみは、畜産用飼料や農業用有機肥料のための資源という観点から見ると新鮮で栄養価が高いものであり、これらを有効利用することなく焼却処分することは貴重な資源を無駄にすることになる。
そこで、これらの食品ごみを有効利用するための様々な提案がなされているが、いずれにおいてもまず最初に、食品ごみを食品そのものと容器包装とに分離する必要がある。
【0003】
食品ごみを食品そのものと容器包装とに分離する最も一般的な従来技術は、食品ごみを食品および容器包装ごと一体に破砕して細分化した後にふるい選別や比重選別を行うことにより、細分化された食品本体から容器包装の破片を回収するものである。
ところが、食品ごみを容器包装と一体に破砕すると、容器包装を構成しているプラスチック片等の食品本体への混入が避けられないため、豚等の家畜の食用に供する畜産飼料に供することができない。
【0004】
これに伴い、食品ごみを破砕することなく食品そのものと容器包装とに分離する技術がいくつか提案されている。
例えば、下記特許文献1に記載されている「パック食品の生ごみ分別方法及びその装置」においては、回転する平刃物、熱線、加熱した回転ロールをパック食品に押し付けることにより、生ごみとプラスチック容器あるいは包装類とに分離するようになっている。
【0005】
また、下記特許文献2に記載されている「食品とその包装の分離装置」においては、コンベアベルトで挟持した食品に回転刃を押し付けることにより、中身の食品と包装とを分離するようになっている。
【0006】
さらに、下記特許文献3に記載されている「プラスチック製ごみ袋の破袋方法」においては、家庭から出されたごみを収納しているごみ袋にレーザー光線を照射することによりこのポリ袋を破袋し、その中に入っているごみを容易に取り出せるようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−62438号公報
【特許文献2】特開2002−1290号公報
【特許文献3】特開2002−28520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献1および特許文献2に記載されている技術は、いずれも回転する刃物や、熱線、加熱した回転ロール等を食品の外側表面に押し付けるものであるため、処理する食品ごみの形状によっては回転刃物等が食品の外側表面に接触せず、その容器包装を切断できない箇所が生じて、食品本体と容器包装との分離を確実に行えなくなるおそれがある。
また、食品ごみの外側表面に沿わせて回転刃物等を移動させるための機構が複雑であり、設備費がかさんでしまう。
【0009】
また、上記特許文献3に記載されている技術は、レーザー光線を用いるものであるため、処理する食品ごみの裏側にレーザー光線を照射することができず、食品本体と容器包装との分離を行うことが困難となる。
また、レーザー光線照射装置は高価であり、設備費がかさむばかりでなく、メンテナンスも容易に行うことができない。
【0010】
さらには、近年、コンビニやスーパー等で販売されている化粧品等、数多くの品物が高分子材料製のパッケージによって包装されている。
ところが、これらの品物が使用されることなくごみとして各家庭から廃棄されると、従来はこれらの品物からパッケージを効率的に分離する方法が無かったため、やむを得ずごみ処理場において焼却処分しており、資源の再利用を図ることができないばかりでなく、大気汚染や二酸化炭素の排出量の増加につながっていた。
【0011】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、食品ごみを含む様々な形態および形状の物品ごみに幅広く適用できるととともに、これらの物品ごみからの容器包装の分離を確実に行うことができ、さらには設備費が安価でメンテナンスも容易に行うことができる容器包装分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する高温流体噴射手段と、
前記容器包装の外側表面と前記高温流体噴射手段とを相対移動させることにより前記容器包装を溶断する容器包装溶断機構と、を備えることを特徴としている。
【0013】
すなわち、本発明の容器包装分離装置は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄される食品ごみを含む様々な物品ごみの容器包装が、高分子材料製のフィルムや薄板、または高分子材料が積層されあるいは含浸された紙材等から形成されていて、その融点より高い高温流体の噴流によって容易に溶断できることに着目したものである。
例えば、物品の容器包装の材料として一般的に用いられているポリプロピレン(PP)の融点は約110℃〜165℃であり、ポリエチレン(PE)の融点は約110℃であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)の融点は約260℃である。
したがって、これらの材料の融点よりも高い温度の高温流体の噴流を容器包装に向かって噴射することにより、容器包装を溶断することができるから、様々な物品ごみから容器包装を分離する作業を容易に行うことができる。
容器包装に向かって噴射する高温流体は、その圧力を高めるとともに、極めて小さい内径の噴射口から噴射することにより、容器包装の溶断効率および溶断精度を高めることができる。
また、食品ごみの場合には、食品そのものに水分が多量に含まれているので、食品そのものが容易に発火することはない。
また、物品ごみに向かって噴射する高温流体は自在に揺らぎ、あるいは変形することができるから、物品ごみの複雑な形状にも容易に追従してこれを確実に溶断することができる。
また、固体の物体である回転刃物とは異なり、流体を用いて容器包装を溶断するのであるから、物品ごみの容器包装との間の間隔を常に一定に保つ必要も無い。
また、レーザー光線発振器のように高価で複雑な設備を必要としないから、安価で簡単な設備とすることができ、そのメンテナンスも容易である。
なお、容器包装と食品との分離は、容器包装が溶断された後における食品の自然落下や作業者による手作業、あるいは機械を用いて行うことができる。
さらに、高分子材料から製造された容器包装には、例えば高分子材料を含浸させた紙材、または高分子材料のフィルムを積層しあるいはそれで裏打ちした紙材等、高温、高圧、高速の流体噴流で溶断しあるいは切断できる材料が含まれる。
【0014】
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載した容器包装分離装置における前記高温流体の温度が、前記高分子材料の発火点よりも低いことを特徴としている。
すなわち、上記した容器包装材料の発火点は、ポリプロピレン(PP)が約440℃、ポリエチレン(PE)が約350℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)が約510℃である。
したがって、これらの発火点よりも低い温度の高温流体を容器包装に向かって噴射することにより、容器包装の発火を防止しながら容器包装を溶断することができる。
【0015】
容器包装に向かって噴射する高温流体は、可燃性ガスを燃焼させることにより得られる燃焼ガスとすることができる。
具体的には、例えばプロパンガスを燃焼させることにより得られる高温の燃焼ガスそのもの、あるいは炎そのものとすることができる。
また、バーナあるいはボイラ等の高温燃焼ガスの供給源から得られる高温燃焼ガスに大気を混合することにより、所定の温度の高温流体を得ることがてきる。
このようにして得られた高温流体は、コンプレッサあるいはポンプによって加圧し、細径ノズルから容器包装に向かって噴射することができる。
【0016】
また、容器包装に向かって噴射する高温流体は加熱した炭酸ガスとすることができる。
すなわち、容器包装の材料の発火点よりも高い温度に加熱した炭酸ガス(二酸化炭素ガス等)の高温高圧噴流を用いて容器包装を溶断するときに、容器包装が発火しても、その周囲が炭酸ガスによって覆われるため、直ちに鎮火することになる。
なお、炭酸ガスに代えて不活性ガスを用いることもできる。
【0017】
さらに、容器包装に向かって噴射する高温流体を水蒸気とすることができる。
すなわち、容器包装の材料の発火点よりも高い温度の水蒸気を用いて容器包装を溶断するときに、容器包装が発火しても、その周囲が水蒸気によって覆われており、かつ容器包装と水蒸気との接触によって水が生じるから、直ちに鎮火することになる。
【0018】
加えて、請求項1または2に記載した容器包装分離装置は、前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する消火機構をさらに備えることができる
なお、この消火機構は、容器包装のうち高温流体によって溶断した部分に水を噴射し、あるいは水をミスト状に噴霧するものとすることができる。
あるいは、容器包装のうち高温流体によって溶断した部分がその上を摺動するテーブルあるいはその上を転動するローラの表面を水で濡らすとともに、この水で濡れた表面に容器包装のうち高温流体によって溶断した部分を接触させることにより消火する構造とすることもできる。
さらには、容器包装のうち高温流体によって溶断した部分に消火用のガス、例えば二酸化炭素等の炭酸ガスや不活性ガス等を噴射することもできる。
加えて、容器包装に向かって絶えず水や炭酸ガス等を噴射し続けることもできるし、例えば光学的な監視装置によって容器包装の発火が認められたときにのみ噴射する構造とすることもできる。
したがって、物品ごみの容器包装を高温流体によって溶断するときに容器包装が着火しても、直ちにこれを消火することができる。
【0019】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを吊り下げた状態で上下軸の回りに回転させる吊下手段と、
回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、を有することができる。
すなわち、吊り下げた物品ごみの容器包装の底部を溶断すると、容器包装によって包まれていた物品が自然に落下するから、物品ごみからの食品の回収を容易に行うことができる。
また、高温流体接離手段を用いることにより、容器包装の溶断が終了した時点で直ちに高温流体を容器包装から離間させることができるから、容器包装が発火する可能性を最小限に抑えることができる。
なお、物品ごみの全周にわたって容器包装を溶断して容器包装を2つの部分に分離するのではなく、容器包装のうち円周方向の一部が溶断されないようにすることにより、容器包装を一体に回収することが可能となる。
【0020】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを載置した状態で上下軸の回りに回転する回転テーブルと、
前記回転テーブル上で回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、を有することができる。
これにより、吊り下げることができない物品ごみや、落下させると破損するような物品ごみについても、その容器包装を容易に溶断して食品から分離することができる。
【0021】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみがその上面上を摺動しつつ前方に搬送されるとともに左右方向に延びる溝が前記上面に凹設されている支持手段と、
前記溝の内部において前記高温流体噴射手段を左右方向に移動させる移動手段と、
を有することができる。
すなわち、支持手段の上面上を摺動しつつ前方に移動する物品ごみに同期させて、左右方向に高温流体噴射手段を移動させることにより、高温流体によって容器包装の底部を溶断して切れ目を入れることができるから、物品ごみからの容器包装の分離を容易に行うことができる。
また、溝よりも前側において支持手段の上面を水で濡らしておくことにより、容器包装のうち溶断した部分を水で濡らしてその着火を防止し、あるいは消火することができる。
【0022】
前記容器包装溶断機構は、
水平にかつ互いに平行に延びる軸線の回りでそれぞれ同一方向に回転するとともにそれらの上に前記物品ごみを載置可能な一対の回転体と、
前記一対の回転体上に載置されて回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる、前記一対の回転体の間に配置された接離手段と、
を有することができる。
すなわち、一対の回転体上で回転している物品ごみに高温流体を接触させることにより、この物品ごみの容器包装を全周にわたって溶断することができるから、物品ごみからの容器包装の分離を容易に行うことができる。
このとき、高温流体に対して回転方向後側にある回転体の表面を水で濡らすことにより、容器包装のうち溶断した部分を水で濡らしてその着火を防止し、あるいは消火することができる。
【0023】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみをそれらの間に受容可能に互いに対向するとともに前記高温流体噴射手段をそれぞれ支持している一対の対向部分を具備した支持部材と、
前記高温流体が前記容器包装を溶断する進出位置と前記高温流体が前記容器包装から離間した後退位置との間で前記支持部材を往復動させる支持部材駆動手段と、
を有することができる。
すなわち、おにぎりや平たい弁当のように比較的厚みが薄い物品ごみ等の場合には、上下一対の対向部分を有した支持部材を往復動させてその間にこのような物品ごみを受容することにより、上下一対の対向部分にそれぞれ設けられた高温流体噴射手段から噴射される高温流体によって、この物品ごみの容器包装の上下両側面を一度に溶断することができる。
このとき、容器包装の上下面ばかりでなく容器包装の縦壁面にも高温流体が接触するから、物品ごみの全周にわたって容器包装を溶断し、物品ごみからの容器包装の分離を容易に行うことができる。
【0024】
この場合、容器包装溶断機構は、
上下方向に往復動して前記容器包装の左右両側面をそれぞれ溶断するための第1の支持部材と、
左右方向に往復動して前記容器包装の上下両側面をそれぞれ溶断するための第2の支持部材と、を有することができる。
すなわち、うどんや冷やし中華そばのように容器包装が椀状の物品ごみ等の場合には、上下方向に往復動する第1の支持部材によって容器包装の左右両側面を溶断するとともに、左右方向に往復動する第2の支持部材によって容器包装の上下両側面を溶断することができる。
このとき、椀状の容器包装の傾斜している左右の両側面にも高温流体が接触するから、容器包装が椀状の物品ごみ等の場合であってもその全周にわたって容器包装を溶断し、物品ごみ等からの容器包装の分離を確実に行うことができる。
【0025】
さらに、前記高温流体噴射手段は、
前記支持部材の一対の対向部分の先端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第1組のノズルと、
前記支持部材の一対の対向部分の基端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第2組のノズルと、を有することができる。
すなわち、支持部材の互いに対向する部分に複数の高温流体噴射手段を設けることにより、支持部材の一回の往復動に伴って容器包装の側面に複数回にわたって高温流体を接触させることができるから、物品ごみの容器包装を確実に溶断することができる。
【0026】
加えて、前記第1組のノズルが前記支持部材の基端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射し、前記第2組のノズルが前記支持部材の先端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射するようにすることができる。
これにより、例えば支持部材が上下方向に往復動して容器包装の左右の両側面を溶断するときに、第1組のノズルによって容器包装の上面を溶断し、第2組のノズルによって容器包装の下面を溶断することができるから、容器包装をより一層確実に溶断することができる。
【0027】
また、上記の課題を解決するための請求項15に記載した手段は、
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
前記物品ごみに向かって付勢される本体部分と、
前記物品ごみの外側表面上を転動する、前記本体部分に回転自在に支持されたローラと、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する、前記本体部分に支持された高温流体噴射手段と、
前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する、前記本体部分に支持された消火機構と、を備えることを特徴としている。
【0028】
すなわち、請求項15に記載した容器包装分離装置においては、物品ごみに向かって本体部分を付勢することにより、物品ごみの外側表面にローラを当接させることができるから、物品ごみの外側表面と高温流体噴射手段との間の間隔を常に適切な値に保つことができる。
また、本体部分に消火機構が設けられているから、物品ごみの容器包装のうち高温流体によって溶断した部分が発火することを確実に防止することができる。
そして、本体部分、ローラ、高温流体噴射手段および消火機構が一体にまとめられているので構造が極めて簡単であり、そのメンテナンスも容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、様々な形態および形状の物品ごみにも幅広く適用できるととともに、物品ごみからの容器包装の分離を確実に行うことができ、さらには設備費が安価でメンテナンスも容易に行うことができる容器包装分離装置を提供することができる。
これにより、コンビニ、スーパー、食品製造工場等より廃棄された食品ごみを含む様々な物品ごみから容器包装を確実に分離することができるから、食品ごみの場合には、新鮮で栄養価の高い食品本体を回収して、栄養価が高く、かつプラスチック片等が混入していなくて安全な畜産用飼料あるいは養分豊富な農業用有機肥料にリサイクルできる。
また、容器包装を破砕することなく回収することができるから、回収した容器包装を廃プラスチック資源あるいは再生紙用資源として有効に活用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図1乃至図15を参照し、本発明に係る容器包装分離装置の各実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、同一の部分には同一の符号を用いて重複した説明を省略するとともに、物品ごみの一例としての食品ごみを搬送する方向を前後方向と、鉛直方向を上下方向と、両方向に垂直かつ水平な方向を左右方向と言う。
【0031】
第1実施形態
まず最初に、図1乃至図3を参照し、第1実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0032】
本第1実施形態の容器包装分離装置100は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄された多数の食品がポリ袋等の容器包装1aに収納されている食品ごみ1から容器包装1aを分離するためのものである。
食品ごみ1は、搬送方向(矢印A)に向かって水平に延びるガイドレール2と、このガイドレール2上を転動するローラ3と、このローラ3から垂下する吊下部材4とにより、吊り下げられた状態で搬送される。
そして、ガイドレール2上の所定位置においてローラ3が停止すると、吊下部材4の上端に固定されている平歯車5に、モータ6により回転駆動される平歯車7が噛み合う。
すると、食品ごみ1はモータ6によって回転駆動され、矢印Bで示したように上下軸の回りに回転する。
【0033】
食品ごみ1の斜め下方には、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9がリニアガイド10上に設けられている。
このリニアガイド10は、モータ11を正逆回転させることによってノズル9を食品ごみ1に対して接離させるものであり、その作動は制御装置12によって制御されている。
【0034】
なお、容器包装1aに向かって噴射する高温流体8は、例えばプロパンガスを燃焼させることにより得られた高温の燃焼ガスに大気を混ぜることにより、少なくとも容器包装1aを構成している高分子材料の融点よりも高い温度に調整したガスを、図示されない高圧ポンプによって加圧し、やはり図示されない配管を介して供給することができる。
また、高温流体8は、加熱した炭酸ガス、あるいは水蒸気とすることもできる。
【0035】
さらに、図2に示したように、食品ごみ1が回転する方向(矢印B)において高温流体8を噴射するためのノズル9よりも後側には、食品ごみ1の容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分に向かって水をミスト状に噴霧するためのノズル13が設けられている。
【0036】
食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときには、制御装置12がモータ6を作動させることにより食品ごみ1を上下軸の回りに回転させるとともに、制御装置12がモータ11を作動させることによりノズル9を進出させて高温流体8が食品ごみ1の容器包装1aに接触するようにし、同時に制御装置12がノズル13を作動させてミスト状の水14を噴霧させる。
【0037】
このとき、制御装置12は、食品ごみ1の容器包装1aを全周にわたって溶断するのではなく、その円周方向の一部1bを溶断しないように高温流体8のノズル9を後退させる。
これにより、図3に示したように、食品ごみ1の容器包装1aは円周方向の一部分1bにおいてつながっており、2つの部分に分離することがない。
そして、高温流体8による食品ごみ1の容器包装1aの溶断が進むと、図3に示したように容器包装1aの内部に収納されている多数の食品Sは自然に落下し、食品ごみ1の容器包装1aと食品Sとの分離が完了する。
【0038】
すなわち、本第1実施形態の容器包装分離装置100は、吊り下げられた状態で搬送される食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8の噴射によって溶断するものであるから、容器包装1aに収納されている食品Sを自然落下させることができ、食品ごみ1の容器包装1aと食品Sとを極めて簡単に分離することができる。
また、容器包装1aのうち高温流体8によって溶断した部分にノズル13からミスト状の水14を噴霧するから、容器包装1aの着火を防止し、あるいは着火した容器包装1aを消火することができるばかりでなく、食品Sに付着する水の量を最小限に抑えることができる。
さらに、食品ごみ1の外側表面には凹凸があるが、高温流体8は自在に揺らぎあるいは変形することができるから、ノズル9から噴出する高温流体8の噴出長さを適宜設定することにより容器包装1aを確実に溶断することができる。
なお、食品ごみ1の外側表面の位置を光学センサによって測定し、この測定結果に基づいて制御装置12がリニアガイド10の進退量を制御することにより、容器包装1aの表面に高温流体8が確実に接触するようにすることもできる。
【0039】
第2実施形態
次に図4および図5を参照し、第2実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0040】
本第2実施形態の容器包装分離装置110は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄された多数の食品が容器包装1aに収納されている食品ごみ1から容器包装1aを分離するためのものである。
食品ごみ1は、ローラコンベア21,22によって矢印A方向に搬送される途中で、回転テーブル23上に一つずつ移載される。
この回転テーブル23は、図示されないモータによって矢印B方向に回転する。
回転テーブル23の右側には、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9がリニアガイド10上に設けられている。
また、回転テーブル23の左側には、食品ごみ1の容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分に向かって水をミスト状に噴霧するためのノズル13が設けられている。
【0041】
食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときには、回転テーブル23を回転させるとともに、ノズル9を進出させて高温流体8が食品ごみ1の容器包装1aに接触するようにし、かつノズル13を作動させてミスト状の水14を噴霧させる。
そして、食品ごみ1の容器包装1aが全周にわたって溶断されると、食品ごみ1は搬送方向前側のローラコンベア22上に移載される。
これにより、食品ごみ1から容器包装1aを分離する作業を、ローラコンベア22上において容易に行うことができる。
【0042】
すなわち、本第2実施形態の容器包装分離装置110は、回転テーブル23上において食品ごみ1の容器包装1aを溶断するものであるから、吊り下げることができない食品ごみや、落下させると飛散するような食品ごみについても、その容器包装1aを容易に分離することができる。
【0043】
第3実施形態
次に図6および図7を参照し、第3実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0044】
本第3実施形態の容器包装分離装置120においては、食品ごみ1aが、ガイドレール2に沿って前進するフック4によって引っ張られ、テーブル(支持手段)31の上面上を摺動しつつ前進する。
テーブル31の上面には、左右方向に傾斜して延びる一対の凹溝32,33がそれぞれ凹設されており、かつこれらの凹溝32,33の内部には、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9がリニアガイド10によって往復動するように設けられている。
【0045】
また、テーブル31の上方には、テーブル31の上面のうち凹溝32,33よりも搬送方向前側の部分にミスト状の水を噴霧するためのノズル13がそれぞれ設けられている。
さらに、ガイドレール2の上方には、食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときに発生する臭気やガス等を集めるためのフード34およびルーフファン35が設置されている。
【0046】
食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときには、テーブル31上を摺動しつつ前進する食品ごみ1に同期させて、凹溝32内でノズル9を移動させることにより容器包装1aの底面を溶断して切れ目1cを形成するとともに、凹溝33内でノズル9を移動させることにより容器包装1aの底面を溶断して切れ目1dを形成する。
これにより、容器包装1aの底面には十字形の切れ目が形成されるから、図6の右端部に示したように、食品ごみ1がテーブル31を通過してフック4によって吊り下げられると、容器包装1aの内部から食品Sが自然落下し、食品ごみ1の容器包装1aと食品Sとを極めて簡単に分離することができる。
【0047】
すなわち、本第3実施形態の容器包装分離装置120は、テーブル31上を摺動しつつ前進する食品ごみ1の容器包装1aの底面を高温流体8によって溶断するものであるから、容器包装1aの底面と高温流体8との間の間隔寸法を常に最適な値に維持することができる。
また、容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分が、水14によって濡れているテーブル31上を摺動しつつ前進するから、容器包装1aの着火を防止し、あるいは着火した容器包装1aを消火することができるばかりでなく、容器包装1a内に収納されている食品Sに付着する水の量を最小限に抑えることができる。
【0048】
第4実施形態
次に図8を参照し、第4実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0049】
本第4実施形態の容器包装分離装置200は、例えば容器包装41aによって包まれている細長いパン41bのような食品ごみ41から容器包装41aを分離するためのものであり、食品ごみ41を矢印A方向に搬送するローラコンベア42,43の間には、水平にかつ互いに平行に延びる軸線の回りでそれぞれ同一方向に回転する前後一対の回転ドラム(回転体)44,45が配設されている。
これにより、ローラコンベア42上を矢印A方向に搬送されてきた食品ごみ41は、前後一対の回転ドラム44,45の上に乗り上がり、矢印Dで示したように回転する。
また、前後一対の回転ドラム44,45の間には、容器包装41aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9が上下動自在に設けられている。
【0050】
食品ごみ41の容器包装41aを高温流体8によって溶断するときには、前後一対の回転ドラム44,45上で回転している食品ごみ41に向かってノズル9を上昇させる。
すると、食品ごみ41の容器包装41aはその全周にわたって高温流体8により溶断され、左右に分離する。
次いで、左右に分離した容器包装41aを矢印Eで示したように左右方向に離間させることにより、前後一対の回転ドラム44,45上には細長いパン41bのみが残るので、この細長いパン41bを押動してローラコンベア43上に移載して回収する。
【0051】
すなわち、本第4実施形態の容器包装分離装置200は、前後一対の回転ドラム44,45上に食品ごみ41を載置して回転させるものであるから、細長いパン41bのような小型の食品ごみ41からも容易にその容器包装41aを分離することができる。
また、搬送方向後側にある回転ドラム45の表面を水で濡らすことにより、食品ごみ41の容器包装41aのうち高温流体8によって溶断した部分を水で濡らしてその着火を防止し、あるいは消火することができる。
【0052】
第5実施形態
次に図9乃至図13を参照し、第5実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0053】
本第5実施形態の容器包装分離装置300は、例えば三角形状のおにぎりパック51からその容器包装を分離しておにぎり本体を取り出すためのものである。
そのため、おにぎりパック51は、搬送テーブル52上において図示されない搬送装置により矢印A方向に順次搬送されるとともに、搬送テーブル52に設けられた開口53の部分において左右方向に接離自在な一対のホルダ54,55によって保持される。
これらのホルダ54,55は、おにぎりパック51を下方から支持する部分54a,55aと、前後に挟持する部分54b,55bおよび54c,55cを有している。
さらに、これらのホルダ54,55には、図示されない吸引ポンプに接続された負圧配管54d,55dがそれぞれ接続されている。
【0054】
また、図11に示したように、搬送テーブル52に設けられた開口53の下方には、おにぎりパック51の容器包装を溶断するための容器包装溶断機構60が設けられている。
この容器包装溶断機構60の側面視コ字型の支持部材61は、図12に示したように、おにぎりパック51を前後方向に挟むように受容可能に互いに対向する一対の部分62,63を有している。
これらの部分62,63は、その上端(先端)側にノズル9aをそれぞれ有するとともに、その下端(基端)側にノズル9bをそれぞれ有している。
また、この支持部材61は、エアシリンダ64のピストン65の先端に固定されて昇降自在に支持されている。
【0055】
各ノズル9a,9bから噴射された高温流体8によっておにぎりパック51の容器包装を溶断するときには、図11に示したように支持部材61が降下して高温流体8がおにぎりパック51から離間している後退位置と、図12に示したように支持部材61が上昇して高温流体8がおにぎりパック51に接触している進出位置との間で支持部材61を上下方向に往復動させる。
このとき、ノズル9aから噴射された高温流体8aがおにぎりパック51の前後の両側面51a,51bに2回ずつ接触するので、この部分の容器包装を確実に溶断することができる。
【0056】
また、上側のノズル9aが支持部材61の下端側に向かって下向きに傾斜しているので、図12に示した状態から支持部材61が降下するときに、ノズル9aから噴射された高温流体8aによっておにぎりパックの上面51c部分の容器包装を確実に溶断することができる。
さらに、下側のノズル9bが支持部材61の上端側に向かって上向きに傾斜しているので、図12に示したように支持部材61が最も上昇したときに、ノズル9bから噴射された高温流体8bによっておにぎりパックの下面51d部分の容器包装を確実に溶断することができる。
【0057】
おにぎりパック51の容器包装を溶断する作業が完了すると、図13に示したようにおにぎりパック51は、おにぎり本体51eと左右一対の容器包装部分51f,51gとに分かれるから、矢印Gで示したように左右一対のホルダ54,55を左右方向に離間させることにより、おにぎりパック51からその容器包装51f,51gを確実に分離することができる。
【0058】
すなわち、本第5実施形態の容器包装分離装置300は、前後一対の対向部分62,63を有した支持部材61を上下方向に往復動させてその間におにぎりパック51を受容するとともに、前後一対の対向部分62,63にそれぞれ設けたノズル9a,9bから噴射された高温流体8a,8bによって、その前後両側面ばかりでなく上下両側面の部分の容器包装を一度に溶断するものであるから、その容器包装を全周にわたって一直線状に溶断することができ、三角形状のおにぎりパックからその容器包装を確実に分離することができる。
なお、本第5実施形態の容器包装分離装置300における支持部材61を横向きに寝かせて左右方向に進退させるようにすれば、平たいパンや、平たい箱状の弁当等の容器包装を溶断して分離することができる。
【0059】
第6実施形態
次に図14を参照し、第6実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0060】
本第6実施形態の容器包装分離装置300は、腕状の容器包装によって包まれている冷やし中華そばパック等の食品ごみから、その容器包装を分離するためのものである。
これに伴い、この容器包装分離装置310は、矢印Fで示したように上下方向に往復動して冷やし中華そばパック70の左右の両側面70a,70bをそれぞれ溶断するための第1の支持部材71と、冷やし中華パック70の上下の両側面70c,70dをそれぞれ溶断するための第2の支持部材72とを備えている。
【0061】
これにより、本第6実施形態の容器包装分離装置300によれば、図14に示したように上下方向に往復動する第1の支持部材71に設けたノズル9a,9bから噴射された高温流体8a,8bによって、冷やし中華そばパック70の容器包装の左右の両側面70a,70bを溶断することができるとともに、図15に示したように左右方向に往復動する第2の支持部材72に設けたノズル9c,9dから延びる高温流体8c,8dによって、冷やし中華そばパック70の容器包装の上下の両側面70c,70dをそれぞれ溶断することができる。
したがって、冷やし中華そばパック70の腕状の容器包装を全周にわたって一直線状に溶断することができるから、この冷やし中華そばパック70からその腕状の容器包装を確実に分離することができる。
【0062】
第7実施形態
次に図16を参照し、第6実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0063】
本第7実施形態の容器包装分離装置400は、食品ごみ1に向かって常に付勢されている本体部分81と、食品ごみ1の外側表面上を転動する、本体部分81に回転自在に支持されたローラ82と、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射する、本体部分81に支持されたノズル9と、容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分に向かってミスト状の水14を噴霧する、本体部分81に支持されたノズル13とを備えている。
【0064】
すなわち、本第7実施形態の容器包装分離装置400においては、食品ごみ1に向かって本体部分81を付勢することにより、食品ごみ1の外側表面にローラ82を常に当接させることができるから、食品ごみ1の外側表面とノズル9の間の間隔を常に適切な値に保つことができる。
また、本体部分81にノズル13が設けられていてミスト状の水14を噴霧するから、食品ごみ1の容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分が発火することを確実に防止することができる。
そして、本体部分81、ローラ82、ノズル9およびノズル13が一体にまとめられているので構造が極めて簡単であり、そのメンテナンスも容易に行うことができる。
【0065】
第8実施形態
次に図17を参照し、本発明の容器包装分離装置を用いて食品ごみを処理する工場の全体レイアウトについて説明する。
【0066】
図17に示した処理工場90においては、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄されて搬送されてきた多数の食品ごみ1が受入ステーション91に到着する。
受入ステーション91に到着した食品ごみ1のうち、ポリ袋に収納されている食品ごみ1は、図1乃至図3を参照して説明した第1実施形態の容器包装分離装置100、あるいは図4および図5を参照して説明した第2実施形態の容器包装分離装置110、または図6および図7を参照して説明した第3実施形態の容器包装分離装置120を用いることによりそのポリ袋が破袋され、取り出された食品は搬送ライン92上に移載されて搬送される。
コンテナに収納された状態で受け入れた食品は、手作業によりコンテナから取り出されて搬送ライン93に移載される。
搬送ライン92,93上を移動する食品は、自動選別機94によりあるいは手作業によってそれぞれ牛乳、パン、弁当、麺類、総菜、おにぎり等に分別され、処理ライン95A,95B,95C,95D,95E,95Fにそれぞれ移載される。
なお、肉類が含まれている食品については、牛を肥育するための飼料として用いることができないので、管理を厳密に行うために専用の処理ライン96に投入される。
【0067】
分別されたパンは、図8を参照して説明した第4実施形態の容器包装分離装置200を用いることにより、パンそのものと容器包装とに分離することができる。
また、おにぎりは、図9乃至図13を参照して説明した第5実施形態の容器包装分離装置300を用いることにより、おにぎりそのものと容器包装とに分離することができる。
さらに、腕状の容器包装に入っている麺類や、箱状の容器包装に入っている弁当類は、図14および図15を参照して説明した容器包装分離装置310を用いることにより、麺およびご飯と容器包装とに分離することができる。
加えて、牛乳やジュース等の紙パック容器入り飲料は、回転刃を用いてその紙パック容器包装を切断するとともに、切断した紙パック容器包装の内部に高圧空気を吹き込むことにより、牛乳やジュース等の液体を完全に分離することができる。
【0068】
容器包装と分離された食品は、それぞれ畜産用飼料製造装置あるいは農業用有機肥料製造装置に供給されて製品化される。
また、食品から分離された容器包装は、それぞれ廃プラスチック資源あるいは再生紙用資源として回収される。
【0069】
すなわち、本発明の容器包装分離装置を用いると、コンビニ、スーパー、食品製造工場等より廃棄された食品ごみから容器包装を確実に分離し、新鮮で栄養価の高い食品本体を回収することができるので、栄養価が高く、かつプラスチック片等が混入していなくて安全な畜産用飼料あるいは養分豊富な農業用有機肥料にリサイクルできる。
また、容器包装を破砕することなく回収することができるから、回収した容器包装を廃プラスチック資源あるいは再生紙用資源として有効に活用することもできる。
【0070】
以上、本発明に係る容器包装分離装置の各実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した第5、第6および第7実施形態の容器包装分離装置においても、高温流体によって溶断された容器包装が発火することを防止するためにミスト状に水を噴霧することができる。
また、第3実施形態において用いたフードやルーフファン等の気体回収機構は、他の実施形態の装置においても用いることができる。
また、上記の説明においては、コンビニ、スーパー、食品製造工場等より廃棄された食品ごみを例に取って説明したが、食品ごみには限定されず、高分子材料製の容器包装によって様々な物品、例えば化粧品等が包装されている各種の物品ごみについても、本発明に係る容器包装分離装置を適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態の容器包装分離装置を示す側面図(a)と正面図(b)。
【図2】図1に示した容器包装分離装置の作動を説明する平面図。
【図3】図1に示した容器包装分離装置の作動を説明する側面図。
【図4】第2実施形態の容器包装分離装置を示す平面図。
【図5】図4に示した容器包装分離装置の作動を説明する正面図。
【図6】第3実施形態の容器包装分離装置を示す側面図。
【図7】図6に示した容器包装分離装置の平面図。
【図8】第4実施形態の容器包装分離装置を示す側面図(a)と平面図(b)。
【図9】第5実施形態の容器包装分離装置を示す側面図。
【図10】図9に示した容器包装分離装置の正面断面図。
【図11】図9に示した容器包装分離装置の作動を説明する側面図。
【図12】図9に示した容器包装分離装置の作動を説明する側面図。
【図13】図9に示した容器包装分離装置の作動を説明する正面断面図。
【図14】第6実施形態の容器包装分離装置の作動を説明する正面図。
【図15】図14に示した容器包装分離装置の作動を説明する正面図。
【図16】第7実施形態の容器包装分離装置を示す平面図。
【図17】本発明の容器包装分離装置を用いて物品ごみを処理する工場の全体レイアウトを示す図。
【符号の説明】
【0072】
1 食品ごみ(物品ごみ)
1a 容器包装
8 高温流体
9 ノズル
10 リニアガイド
13 ノズル
14 水
51 おにぎりパック
54,55 ホルダ
62 支持部材
70 冷やし中華そばパック
71 第1の支持部材
72 第2の支持部材
90 物品ごみを処理する工場
100 第1実施形態の容器包装分離装置
110 第2実施形態の容器包装分離装置
120 第3実施形態の容器包装分離装置
200 第4実施形態の容器包装分離装置
300 第5実施形態の容器包装分離装置
310 第6実施形態の容器包装分離装置
400 第7実施形態の容器包装分離装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄された食品ごみを含む様々な物品ごみから容器包装、食品、物品をそれぞれ回収し、廃プラスチック資源や畜産用飼料あるいは農業用有機肥料にそれぞれリサイクル可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニやスーパー等において販売されている弁当、おにぎり、麺類、総菜、牛乳、パン等の食品は、鮮度を保証するために所定の時間が経過すると廃棄され、塵芥収集業者によって回収された後にごみ処理場において焼却処分されている。
また、パン工場やコンビニ向けの食品を製造している食品製造工場においても、製造に伴って発生する不要な食材や売れ残りの食品等が廃棄される。
しかしながら、これらの食品ごみは、畜産用飼料や農業用有機肥料のための資源という観点から見ると新鮮で栄養価が高いものであり、これらを有効利用することなく焼却処分することは貴重な資源を無駄にすることになる。
そこで、これらの食品ごみを有効利用するための様々な提案がなされているが、いずれにおいてもまず最初に、食品ごみを食品そのものと容器包装とに分離する必要がある。
【0003】
食品ごみを食品そのものと容器包装とに分離する最も一般的な従来技術は、食品ごみを食品および容器包装ごと一体に破砕して細分化した後にふるい選別や比重選別を行うことにより、細分化された食品本体から容器包装の破片を回収するものである。
ところが、食品ごみを容器包装と一体に破砕すると、容器包装を構成しているプラスチック片等の食品本体への混入が避けられないため、豚等の家畜の食用に供する畜産飼料に供することができない。
【0004】
これに伴い、食品ごみを破砕することなく食品そのものと容器包装とに分離する技術がいくつか提案されている。
例えば、下記特許文献1に記載されている「パック食品の生ごみ分別方法及びその装置」においては、回転する平刃物、熱線、加熱した回転ロールをパック食品に押し付けることにより、生ごみとプラスチック容器あるいは包装類とに分離するようになっている。
【0005】
また、下記特許文献2に記載されている「食品とその包装の分離装置」においては、コンベアベルトで挟持した食品に回転刃を押し付けることにより、中身の食品と包装とを分離するようになっている。
【0006】
さらに、下記特許文献3に記載されている「プラスチック製ごみ袋の破袋方法」においては、家庭から出されたごみを収納しているごみ袋にレーザー光線を照射することによりこのポリ袋を破袋し、その中に入っているごみを容易に取り出せるようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−62438号公報
【特許文献2】特開2002−1290号公報
【特許文献3】特開2002−28520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献1および特許文献2に記載されている技術は、いずれも回転する刃物や、熱線、加熱した回転ロール等を食品の外側表面に押し付けるものであるため、処理する食品ごみの形状によっては回転刃物等が食品の外側表面に接触せず、その容器包装を切断できない箇所が生じて、食品本体と容器包装との分離を確実に行えなくなるおそれがある。
また、食品ごみの外側表面に沿わせて回転刃物等を移動させるための機構が複雑であり、設備費がかさんでしまう。
【0009】
また、上記特許文献3に記載されている技術は、レーザー光線を用いるものであるため、処理する食品ごみの裏側にレーザー光線を照射することができず、食品本体と容器包装との分離を行うことが困難となる。
また、レーザー光線照射装置は高価であり、設備費がかさむばかりでなく、メンテナンスも容易に行うことができない。
【0010】
さらには、近年、コンビニやスーパー等で販売されている化粧品等、数多くの品物が高分子材料製のパッケージによって包装されている。
ところが、これらの品物が使用されることなくごみとして各家庭から廃棄されると、従来はこれらの品物からパッケージを効率的に分離する方法が無かったため、やむを得ずごみ処理場において焼却処分しており、資源の再利用を図ることができないばかりでなく、大気汚染や二酸化炭素の排出量の増加につながっていた。
【0011】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、食品ごみを含む様々な形態および形状の物品ごみに幅広く適用できるととともに、これらの物品ごみからの容器包装の分離を確実に行うことができ、さらには設備費が安価でメンテナンスも容易に行うことができる容器包装分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する高温流体噴射手段と、
前記容器包装の外側表面と前記高温流体噴射手段とを相対移動させることにより前記容器包装を溶断する容器包装溶断機構と、を備えることを特徴としている。
【0013】
すなわち、本発明の容器包装分離装置は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄される食品ごみを含む様々な物品ごみの容器包装が、高分子材料製のフィルムや薄板、または高分子材料が積層されあるいは含浸された紙材等から形成されていて、その融点より高い高温流体の噴流によって容易に溶断できることに着目したものである。
例えば、物品の容器包装の材料として一般的に用いられているポリプロピレン(PP)の融点は約110℃〜165℃であり、ポリエチレン(PE)の融点は約110℃であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)の融点は約260℃である。
したがって、これらの材料の融点よりも高い温度の高温流体の噴流を容器包装に向かって噴射することにより、容器包装を溶断することができるから、様々な物品ごみから容器包装を分離する作業を容易に行うことができる。
容器包装に向かって噴射する高温流体は、その圧力を高めるとともに、極めて小さい内径の噴射口から噴射することにより、容器包装の溶断効率および溶断精度を高めることができる。
また、食品ごみの場合には、食品そのものに水分が多量に含まれているので、食品そのものが容易に発火することはない。
また、物品ごみに向かって噴射する高温流体は自在に揺らぎ、あるいは変形することができるから、物品ごみの複雑な形状にも容易に追従してこれを確実に溶断することができる。
また、固体の物体である回転刃物とは異なり、流体を用いて容器包装を溶断するのであるから、物品ごみの容器包装との間の間隔を常に一定に保つ必要も無い。
また、レーザー光線発振器のように高価で複雑な設備を必要としないから、安価で簡単な設備とすることができ、そのメンテナンスも容易である。
なお、容器包装と食品との分離は、容器包装が溶断された後における食品の自然落下や作業者による手作業、あるいは機械を用いて行うことができる。
さらに、高分子材料から製造された容器包装には、例えば高分子材料を含浸させた紙材、または高分子材料のフィルムを積層しあるいはそれで裏打ちした紙材等、高温、高圧、高速の流体噴流で溶断しあるいは切断できる材料が含まれる。
【0014】
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載した容器包装分離装置における前記高温流体の温度が、前記高分子材料の発火点よりも低いことを特徴としている。
すなわち、上記した容器包装材料の発火点は、ポリプロピレン(PP)が約440℃、ポリエチレン(PE)が約350℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)が約510℃である。
したがって、これらの発火点よりも低い温度の高温流体を容器包装に向かって噴射することにより、容器包装の発火を防止しながら容器包装を溶断することができる。
【0015】
容器包装に向かって噴射する高温流体は、可燃性ガスを燃焼させることにより得られる燃焼ガスとすることができる。
具体的には、例えばプロパンガスを燃焼させることにより得られる高温の燃焼ガスそのもの、あるいは炎そのものとすることができる。
また、バーナあるいはボイラ等の高温燃焼ガスの供給源から得られる高温燃焼ガスに大気を混合することにより、所定の温度の高温流体を得ることがてきる。
このようにして得られた高温流体は、コンプレッサあるいはポンプによって加圧し、細径ノズルから容器包装に向かって噴射することができる。
【0016】
また、容器包装に向かって噴射する高温流体は加熱した炭酸ガスとすることができる。
すなわち、容器包装の材料の発火点よりも高い温度に加熱した炭酸ガス(二酸化炭素ガス等)の高温高圧噴流を用いて容器包装を溶断するときに、容器包装が発火しても、その周囲が炭酸ガスによって覆われるため、直ちに鎮火することになる。
なお、炭酸ガスに代えて不活性ガスを用いることもできる。
【0017】
さらに、容器包装に向かって噴射する高温流体を水蒸気とすることができる。
すなわち、容器包装の材料の発火点よりも高い温度の水蒸気を用いて容器包装を溶断するときに、容器包装が発火しても、その周囲が水蒸気によって覆われており、かつ容器包装と水蒸気との接触によって水が生じるから、直ちに鎮火することになる。
【0018】
加えて、請求項1または2に記載した容器包装分離装置は、前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する消火機構をさらに備えることができる
なお、この消火機構は、容器包装のうち高温流体によって溶断した部分に水を噴射し、あるいは水をミスト状に噴霧するものとすることができる。
あるいは、容器包装のうち高温流体によって溶断した部分がその上を摺動するテーブルあるいはその上を転動するローラの表面を水で濡らすとともに、この水で濡れた表面に容器包装のうち高温流体によって溶断した部分を接触させることにより消火する構造とすることもできる。
さらには、容器包装のうち高温流体によって溶断した部分に消火用のガス、例えば二酸化炭素等の炭酸ガスや不活性ガス等を噴射することもできる。
加えて、容器包装に向かって絶えず水や炭酸ガス等を噴射し続けることもできるし、例えば光学的な監視装置によって容器包装の発火が認められたときにのみ噴射する構造とすることもできる。
したがって、物品ごみの容器包装を高温流体によって溶断するときに容器包装が着火しても、直ちにこれを消火することができる。
【0019】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを吊り下げた状態で上下軸の回りに回転させる吊下手段と、
回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、を有することができる。
すなわち、吊り下げた物品ごみの容器包装の底部を溶断すると、容器包装によって包まれていた物品が自然に落下するから、物品ごみからの食品の回収を容易に行うことができる。
また、高温流体接離手段を用いることにより、容器包装の溶断が終了した時点で直ちに高温流体を容器包装から離間させることができるから、容器包装が発火する可能性を最小限に抑えることができる。
なお、物品ごみの全周にわたって容器包装を溶断して容器包装を2つの部分に分離するのではなく、容器包装のうち円周方向の一部が溶断されないようにすることにより、容器包装を一体に回収することが可能となる。
【0020】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを載置した状態で上下軸の回りに回転する回転テーブルと、
前記回転テーブル上で回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、を有することができる。
これにより、吊り下げることができない物品ごみや、落下させると破損するような物品ごみについても、その容器包装を容易に溶断して食品から分離することができる。
【0021】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみがその上面上を摺動しつつ前方に搬送されるとともに左右方向に延びる溝が前記上面に凹設されている支持手段と、
前記溝の内部において前記高温流体噴射手段を左右方向に移動させる移動手段と、
を有することができる。
すなわち、支持手段の上面上を摺動しつつ前方に移動する物品ごみに同期させて、左右方向に高温流体噴射手段を移動させることにより、高温流体によって容器包装の底部を溶断して切れ目を入れることができるから、物品ごみからの容器包装の分離を容易に行うことができる。
また、溝よりも前側において支持手段の上面を水で濡らしておくことにより、容器包装のうち溶断した部分を水で濡らしてその着火を防止し、あるいは消火することができる。
【0022】
前記容器包装溶断機構は、
水平にかつ互いに平行に延びる軸線の回りでそれぞれ同一方向に回転するとともにそれらの上に前記物品ごみを載置可能な一対の回転体と、
前記一対の回転体上に載置されて回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる、前記一対の回転体の間に配置された接離手段と、
を有することができる。
すなわち、一対の回転体上で回転している物品ごみに高温流体を接触させることにより、この物品ごみの容器包装を全周にわたって溶断することができるから、物品ごみからの容器包装の分離を容易に行うことができる。
このとき、高温流体に対して回転方向後側にある回転体の表面を水で濡らすことにより、容器包装のうち溶断した部分を水で濡らしてその着火を防止し、あるいは消火することができる。
【0023】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみをそれらの間に受容可能に互いに対向するとともに前記高温流体噴射手段をそれぞれ支持している一対の対向部分を具備した支持部材と、
前記高温流体が前記容器包装を溶断する進出位置と前記高温流体が前記容器包装から離間した後退位置との間で前記支持部材を往復動させる支持部材駆動手段と、
を有することができる。
すなわち、おにぎりや平たい弁当のように比較的厚みが薄い物品ごみ等の場合には、上下一対の対向部分を有した支持部材を往復動させてその間にこのような物品ごみを受容することにより、上下一対の対向部分にそれぞれ設けられた高温流体噴射手段から噴射される高温流体によって、この物品ごみの容器包装の上下両側面を一度に溶断することができる。
このとき、容器包装の上下面ばかりでなく容器包装の縦壁面にも高温流体が接触するから、物品ごみの全周にわたって容器包装を溶断し、物品ごみからの容器包装の分離を容易に行うことができる。
【0024】
この場合、容器包装溶断機構は、
上下方向に往復動して前記容器包装の左右両側面をそれぞれ溶断するための第1の支持部材と、
左右方向に往復動して前記容器包装の上下両側面をそれぞれ溶断するための第2の支持部材と、を有することができる。
すなわち、うどんや冷やし中華そばのように容器包装が椀状の物品ごみ等の場合には、上下方向に往復動する第1の支持部材によって容器包装の左右両側面を溶断するとともに、左右方向に往復動する第2の支持部材によって容器包装の上下両側面を溶断することができる。
このとき、椀状の容器包装の傾斜している左右の両側面にも高温流体が接触するから、容器包装が椀状の物品ごみ等の場合であってもその全周にわたって容器包装を溶断し、物品ごみ等からの容器包装の分離を確実に行うことができる。
【0025】
さらに、前記高温流体噴射手段は、
前記支持部材の一対の対向部分の先端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第1組のノズルと、
前記支持部材の一対の対向部分の基端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第2組のノズルと、を有することができる。
すなわち、支持部材の互いに対向する部分に複数の高温流体噴射手段を設けることにより、支持部材の一回の往復動に伴って容器包装の側面に複数回にわたって高温流体を接触させることができるから、物品ごみの容器包装を確実に溶断することができる。
【0026】
加えて、前記第1組のノズルが前記支持部材の基端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射し、前記第2組のノズルが前記支持部材の先端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射するようにすることができる。
これにより、例えば支持部材が上下方向に往復動して容器包装の左右の両側面を溶断するときに、第1組のノズルによって容器包装の上面を溶断し、第2組のノズルによって容器包装の下面を溶断することができるから、容器包装をより一層確実に溶断することができる。
【0027】
また、上記の課題を解決するための請求項15に記載した手段は、
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
前記物品ごみに向かって付勢される本体部分と、
前記物品ごみの外側表面上を転動する、前記本体部分に回転自在に支持されたローラと、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する、前記本体部分に支持された高温流体噴射手段と、
前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する、前記本体部分に支持された消火機構と、を備えることを特徴としている。
【0028】
すなわち、請求項15に記載した容器包装分離装置においては、物品ごみに向かって本体部分を付勢することにより、物品ごみの外側表面にローラを当接させることができるから、物品ごみの外側表面と高温流体噴射手段との間の間隔を常に適切な値に保つことができる。
また、本体部分に消火機構が設けられているから、物品ごみの容器包装のうち高温流体によって溶断した部分が発火することを確実に防止することができる。
そして、本体部分、ローラ、高温流体噴射手段および消火機構が一体にまとめられているので構造が極めて簡単であり、そのメンテナンスも容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、様々な形態および形状の物品ごみにも幅広く適用できるととともに、物品ごみからの容器包装の分離を確実に行うことができ、さらには設備費が安価でメンテナンスも容易に行うことができる容器包装分離装置を提供することができる。
これにより、コンビニ、スーパー、食品製造工場等より廃棄された食品ごみを含む様々な物品ごみから容器包装を確実に分離することができるから、食品ごみの場合には、新鮮で栄養価の高い食品本体を回収して、栄養価が高く、かつプラスチック片等が混入していなくて安全な畜産用飼料あるいは養分豊富な農業用有機肥料にリサイクルできる。
また、容器包装を破砕することなく回収することができるから、回収した容器包装を廃プラスチック資源あるいは再生紙用資源として有効に活用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図1乃至図15を参照し、本発明に係る容器包装分離装置の各実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、同一の部分には同一の符号を用いて重複した説明を省略するとともに、物品ごみの一例としての食品ごみを搬送する方向を前後方向と、鉛直方向を上下方向と、両方向に垂直かつ水平な方向を左右方向と言う。
【0031】
第1実施形態
まず最初に、図1乃至図3を参照し、第1実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0032】
本第1実施形態の容器包装分離装置100は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄された多数の食品がポリ袋等の容器包装1aに収納されている食品ごみ1から容器包装1aを分離するためのものである。
食品ごみ1は、搬送方向(矢印A)に向かって水平に延びるガイドレール2と、このガイドレール2上を転動するローラ3と、このローラ3から垂下する吊下部材4とにより、吊り下げられた状態で搬送される。
そして、ガイドレール2上の所定位置においてローラ3が停止すると、吊下部材4の上端に固定されている平歯車5に、モータ6により回転駆動される平歯車7が噛み合う。
すると、食品ごみ1はモータ6によって回転駆動され、矢印Bで示したように上下軸の回りに回転する。
【0033】
食品ごみ1の斜め下方には、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9がリニアガイド10上に設けられている。
このリニアガイド10は、モータ11を正逆回転させることによってノズル9を食品ごみ1に対して接離させるものであり、その作動は制御装置12によって制御されている。
【0034】
なお、容器包装1aに向かって噴射する高温流体8は、例えばプロパンガスを燃焼させることにより得られた高温の燃焼ガスに大気を混ぜることにより、少なくとも容器包装1aを構成している高分子材料の融点よりも高い温度に調整したガスを、図示されない高圧ポンプによって加圧し、やはり図示されない配管を介して供給することができる。
また、高温流体8は、加熱した炭酸ガス、あるいは水蒸気とすることもできる。
【0035】
さらに、図2に示したように、食品ごみ1が回転する方向(矢印B)において高温流体8を噴射するためのノズル9よりも後側には、食品ごみ1の容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分に向かって水をミスト状に噴霧するためのノズル13が設けられている。
【0036】
食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときには、制御装置12がモータ6を作動させることにより食品ごみ1を上下軸の回りに回転させるとともに、制御装置12がモータ11を作動させることによりノズル9を進出させて高温流体8が食品ごみ1の容器包装1aに接触するようにし、同時に制御装置12がノズル13を作動させてミスト状の水14を噴霧させる。
【0037】
このとき、制御装置12は、食品ごみ1の容器包装1aを全周にわたって溶断するのではなく、その円周方向の一部1bを溶断しないように高温流体8のノズル9を後退させる。
これにより、図3に示したように、食品ごみ1の容器包装1aは円周方向の一部分1bにおいてつながっており、2つの部分に分離することがない。
そして、高温流体8による食品ごみ1の容器包装1aの溶断が進むと、図3に示したように容器包装1aの内部に収納されている多数の食品Sは自然に落下し、食品ごみ1の容器包装1aと食品Sとの分離が完了する。
【0038】
すなわち、本第1実施形態の容器包装分離装置100は、吊り下げられた状態で搬送される食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8の噴射によって溶断するものであるから、容器包装1aに収納されている食品Sを自然落下させることができ、食品ごみ1の容器包装1aと食品Sとを極めて簡単に分離することができる。
また、容器包装1aのうち高温流体8によって溶断した部分にノズル13からミスト状の水14を噴霧するから、容器包装1aの着火を防止し、あるいは着火した容器包装1aを消火することができるばかりでなく、食品Sに付着する水の量を最小限に抑えることができる。
さらに、食品ごみ1の外側表面には凹凸があるが、高温流体8は自在に揺らぎあるいは変形することができるから、ノズル9から噴出する高温流体8の噴出長さを適宜設定することにより容器包装1aを確実に溶断することができる。
なお、食品ごみ1の外側表面の位置を光学センサによって測定し、この測定結果に基づいて制御装置12がリニアガイド10の進退量を制御することにより、容器包装1aの表面に高温流体8が確実に接触するようにすることもできる。
【0039】
第2実施形態
次に図4および図5を参照し、第2実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0040】
本第2実施形態の容器包装分離装置110は、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄された多数の食品が容器包装1aに収納されている食品ごみ1から容器包装1aを分離するためのものである。
食品ごみ1は、ローラコンベア21,22によって矢印A方向に搬送される途中で、回転テーブル23上に一つずつ移載される。
この回転テーブル23は、図示されないモータによって矢印B方向に回転する。
回転テーブル23の右側には、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9がリニアガイド10上に設けられている。
また、回転テーブル23の左側には、食品ごみ1の容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分に向かって水をミスト状に噴霧するためのノズル13が設けられている。
【0041】
食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときには、回転テーブル23を回転させるとともに、ノズル9を進出させて高温流体8が食品ごみ1の容器包装1aに接触するようにし、かつノズル13を作動させてミスト状の水14を噴霧させる。
そして、食品ごみ1の容器包装1aが全周にわたって溶断されると、食品ごみ1は搬送方向前側のローラコンベア22上に移載される。
これにより、食品ごみ1から容器包装1aを分離する作業を、ローラコンベア22上において容易に行うことができる。
【0042】
すなわち、本第2実施形態の容器包装分離装置110は、回転テーブル23上において食品ごみ1の容器包装1aを溶断するものであるから、吊り下げることができない食品ごみや、落下させると飛散するような食品ごみについても、その容器包装1aを容易に分離することができる。
【0043】
第3実施形態
次に図6および図7を参照し、第3実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0044】
本第3実施形態の容器包装分離装置120においては、食品ごみ1aが、ガイドレール2に沿って前進するフック4によって引っ張られ、テーブル(支持手段)31の上面上を摺動しつつ前進する。
テーブル31の上面には、左右方向に傾斜して延びる一対の凹溝32,33がそれぞれ凹設されており、かつこれらの凹溝32,33の内部には、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9がリニアガイド10によって往復動するように設けられている。
【0045】
また、テーブル31の上方には、テーブル31の上面のうち凹溝32,33よりも搬送方向前側の部分にミスト状の水を噴霧するためのノズル13がそれぞれ設けられている。
さらに、ガイドレール2の上方には、食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときに発生する臭気やガス等を集めるためのフード34およびルーフファン35が設置されている。
【0046】
食品ごみ1の容器包装1aを高温流体8によって溶断するときには、テーブル31上を摺動しつつ前進する食品ごみ1に同期させて、凹溝32内でノズル9を移動させることにより容器包装1aの底面を溶断して切れ目1cを形成するとともに、凹溝33内でノズル9を移動させることにより容器包装1aの底面を溶断して切れ目1dを形成する。
これにより、容器包装1aの底面には十字形の切れ目が形成されるから、図6の右端部に示したように、食品ごみ1がテーブル31を通過してフック4によって吊り下げられると、容器包装1aの内部から食品Sが自然落下し、食品ごみ1の容器包装1aと食品Sとを極めて簡単に分離することができる。
【0047】
すなわち、本第3実施形態の容器包装分離装置120は、テーブル31上を摺動しつつ前進する食品ごみ1の容器包装1aの底面を高温流体8によって溶断するものであるから、容器包装1aの底面と高温流体8との間の間隔寸法を常に最適な値に維持することができる。
また、容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分が、水14によって濡れているテーブル31上を摺動しつつ前進するから、容器包装1aの着火を防止し、あるいは着火した容器包装1aを消火することができるばかりでなく、容器包装1a内に収納されている食品Sに付着する水の量を最小限に抑えることができる。
【0048】
第4実施形態
次に図8を参照し、第4実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0049】
本第4実施形態の容器包装分離装置200は、例えば容器包装41aによって包まれている細長いパン41bのような食品ごみ41から容器包装41aを分離するためのものであり、食品ごみ41を矢印A方向に搬送するローラコンベア42,43の間には、水平にかつ互いに平行に延びる軸線の回りでそれぞれ同一方向に回転する前後一対の回転ドラム(回転体)44,45が配設されている。
これにより、ローラコンベア42上を矢印A方向に搬送されてきた食品ごみ41は、前後一対の回転ドラム44,45の上に乗り上がり、矢印Dで示したように回転する。
また、前後一対の回転ドラム44,45の間には、容器包装41aに向かって高温流体8を噴射するためのノズル9が上下動自在に設けられている。
【0050】
食品ごみ41の容器包装41aを高温流体8によって溶断するときには、前後一対の回転ドラム44,45上で回転している食品ごみ41に向かってノズル9を上昇させる。
すると、食品ごみ41の容器包装41aはその全周にわたって高温流体8により溶断され、左右に分離する。
次いで、左右に分離した容器包装41aを矢印Eで示したように左右方向に離間させることにより、前後一対の回転ドラム44,45上には細長いパン41bのみが残るので、この細長いパン41bを押動してローラコンベア43上に移載して回収する。
【0051】
すなわち、本第4実施形態の容器包装分離装置200は、前後一対の回転ドラム44,45上に食品ごみ41を載置して回転させるものであるから、細長いパン41bのような小型の食品ごみ41からも容易にその容器包装41aを分離することができる。
また、搬送方向後側にある回転ドラム45の表面を水で濡らすことにより、食品ごみ41の容器包装41aのうち高温流体8によって溶断した部分を水で濡らしてその着火を防止し、あるいは消火することができる。
【0052】
第5実施形態
次に図9乃至図13を参照し、第5実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0053】
本第5実施形態の容器包装分離装置300は、例えば三角形状のおにぎりパック51からその容器包装を分離しておにぎり本体を取り出すためのものである。
そのため、おにぎりパック51は、搬送テーブル52上において図示されない搬送装置により矢印A方向に順次搬送されるとともに、搬送テーブル52に設けられた開口53の部分において左右方向に接離自在な一対のホルダ54,55によって保持される。
これらのホルダ54,55は、おにぎりパック51を下方から支持する部分54a,55aと、前後に挟持する部分54b,55bおよび54c,55cを有している。
さらに、これらのホルダ54,55には、図示されない吸引ポンプに接続された負圧配管54d,55dがそれぞれ接続されている。
【0054】
また、図11に示したように、搬送テーブル52に設けられた開口53の下方には、おにぎりパック51の容器包装を溶断するための容器包装溶断機構60が設けられている。
この容器包装溶断機構60の側面視コ字型の支持部材61は、図12に示したように、おにぎりパック51を前後方向に挟むように受容可能に互いに対向する一対の部分62,63を有している。
これらの部分62,63は、その上端(先端)側にノズル9aをそれぞれ有するとともに、その下端(基端)側にノズル9bをそれぞれ有している。
また、この支持部材61は、エアシリンダ64のピストン65の先端に固定されて昇降自在に支持されている。
【0055】
各ノズル9a,9bから噴射された高温流体8によっておにぎりパック51の容器包装を溶断するときには、図11に示したように支持部材61が降下して高温流体8がおにぎりパック51から離間している後退位置と、図12に示したように支持部材61が上昇して高温流体8がおにぎりパック51に接触している進出位置との間で支持部材61を上下方向に往復動させる。
このとき、ノズル9aから噴射された高温流体8aがおにぎりパック51の前後の両側面51a,51bに2回ずつ接触するので、この部分の容器包装を確実に溶断することができる。
【0056】
また、上側のノズル9aが支持部材61の下端側に向かって下向きに傾斜しているので、図12に示した状態から支持部材61が降下するときに、ノズル9aから噴射された高温流体8aによっておにぎりパックの上面51c部分の容器包装を確実に溶断することができる。
さらに、下側のノズル9bが支持部材61の上端側に向かって上向きに傾斜しているので、図12に示したように支持部材61が最も上昇したときに、ノズル9bから噴射された高温流体8bによっておにぎりパックの下面51d部分の容器包装を確実に溶断することができる。
【0057】
おにぎりパック51の容器包装を溶断する作業が完了すると、図13に示したようにおにぎりパック51は、おにぎり本体51eと左右一対の容器包装部分51f,51gとに分かれるから、矢印Gで示したように左右一対のホルダ54,55を左右方向に離間させることにより、おにぎりパック51からその容器包装51f,51gを確実に分離することができる。
【0058】
すなわち、本第5実施形態の容器包装分離装置300は、前後一対の対向部分62,63を有した支持部材61を上下方向に往復動させてその間におにぎりパック51を受容するとともに、前後一対の対向部分62,63にそれぞれ設けたノズル9a,9bから噴射された高温流体8a,8bによって、その前後両側面ばかりでなく上下両側面の部分の容器包装を一度に溶断するものであるから、その容器包装を全周にわたって一直線状に溶断することができ、三角形状のおにぎりパックからその容器包装を確実に分離することができる。
なお、本第5実施形態の容器包装分離装置300における支持部材61を横向きに寝かせて左右方向に進退させるようにすれば、平たいパンや、平たい箱状の弁当等の容器包装を溶断して分離することができる。
【0059】
第6実施形態
次に図14を参照し、第6実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0060】
本第6実施形態の容器包装分離装置300は、腕状の容器包装によって包まれている冷やし中華そばパック等の食品ごみから、その容器包装を分離するためのものである。
これに伴い、この容器包装分離装置310は、矢印Fで示したように上下方向に往復動して冷やし中華そばパック70の左右の両側面70a,70bをそれぞれ溶断するための第1の支持部材71と、冷やし中華パック70の上下の両側面70c,70dをそれぞれ溶断するための第2の支持部材72とを備えている。
【0061】
これにより、本第6実施形態の容器包装分離装置300によれば、図14に示したように上下方向に往復動する第1の支持部材71に設けたノズル9a,9bから噴射された高温流体8a,8bによって、冷やし中華そばパック70の容器包装の左右の両側面70a,70bを溶断することができるとともに、図15に示したように左右方向に往復動する第2の支持部材72に設けたノズル9c,9dから延びる高温流体8c,8dによって、冷やし中華そばパック70の容器包装の上下の両側面70c,70dをそれぞれ溶断することができる。
したがって、冷やし中華そばパック70の腕状の容器包装を全周にわたって一直線状に溶断することができるから、この冷やし中華そばパック70からその腕状の容器包装を確実に分離することができる。
【0062】
第7実施形態
次に図16を参照し、第6実施形態の容器包装分離装置について説明する。
【0063】
本第7実施形態の容器包装分離装置400は、食品ごみ1に向かって常に付勢されている本体部分81と、食品ごみ1の外側表面上を転動する、本体部分81に回転自在に支持されたローラ82と、食品ごみ1の容器包装1aに向かって高温流体8を噴射する、本体部分81に支持されたノズル9と、容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分に向かってミスト状の水14を噴霧する、本体部分81に支持されたノズル13とを備えている。
【0064】
すなわち、本第7実施形態の容器包装分離装置400においては、食品ごみ1に向かって本体部分81を付勢することにより、食品ごみ1の外側表面にローラ82を常に当接させることができるから、食品ごみ1の外側表面とノズル9の間の間隔を常に適切な値に保つことができる。
また、本体部分81にノズル13が設けられていてミスト状の水14を噴霧するから、食品ごみ1の容器包装1aのうち高温流体8によって溶断された部分が発火することを確実に防止することができる。
そして、本体部分81、ローラ82、ノズル9およびノズル13が一体にまとめられているので構造が極めて簡単であり、そのメンテナンスも容易に行うことができる。
【0065】
第8実施形態
次に図17を参照し、本発明の容器包装分離装置を用いて食品ごみを処理する工場の全体レイアウトについて説明する。
【0066】
図17に示した処理工場90においては、コンビニ、スーパー、食品製造工場等から廃棄されて搬送されてきた多数の食品ごみ1が受入ステーション91に到着する。
受入ステーション91に到着した食品ごみ1のうち、ポリ袋に収納されている食品ごみ1は、図1乃至図3を参照して説明した第1実施形態の容器包装分離装置100、あるいは図4および図5を参照して説明した第2実施形態の容器包装分離装置110、または図6および図7を参照して説明した第3実施形態の容器包装分離装置120を用いることによりそのポリ袋が破袋され、取り出された食品は搬送ライン92上に移載されて搬送される。
コンテナに収納された状態で受け入れた食品は、手作業によりコンテナから取り出されて搬送ライン93に移載される。
搬送ライン92,93上を移動する食品は、自動選別機94によりあるいは手作業によってそれぞれ牛乳、パン、弁当、麺類、総菜、おにぎり等に分別され、処理ライン95A,95B,95C,95D,95E,95Fにそれぞれ移載される。
なお、肉類が含まれている食品については、牛を肥育するための飼料として用いることができないので、管理を厳密に行うために専用の処理ライン96に投入される。
【0067】
分別されたパンは、図8を参照して説明した第4実施形態の容器包装分離装置200を用いることにより、パンそのものと容器包装とに分離することができる。
また、おにぎりは、図9乃至図13を参照して説明した第5実施形態の容器包装分離装置300を用いることにより、おにぎりそのものと容器包装とに分離することができる。
さらに、腕状の容器包装に入っている麺類や、箱状の容器包装に入っている弁当類は、図14および図15を参照して説明した容器包装分離装置310を用いることにより、麺およびご飯と容器包装とに分離することができる。
加えて、牛乳やジュース等の紙パック容器入り飲料は、回転刃を用いてその紙パック容器包装を切断するとともに、切断した紙パック容器包装の内部に高圧空気を吹き込むことにより、牛乳やジュース等の液体を完全に分離することができる。
【0068】
容器包装と分離された食品は、それぞれ畜産用飼料製造装置あるいは農業用有機肥料製造装置に供給されて製品化される。
また、食品から分離された容器包装は、それぞれ廃プラスチック資源あるいは再生紙用資源として回収される。
【0069】
すなわち、本発明の容器包装分離装置を用いると、コンビニ、スーパー、食品製造工場等より廃棄された食品ごみから容器包装を確実に分離し、新鮮で栄養価の高い食品本体を回収することができるので、栄養価が高く、かつプラスチック片等が混入していなくて安全な畜産用飼料あるいは養分豊富な農業用有機肥料にリサイクルできる。
また、容器包装を破砕することなく回収することができるから、回収した容器包装を廃プラスチック資源あるいは再生紙用資源として有効に活用することもできる。
【0070】
以上、本発明に係る容器包装分離装置の各実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した第5、第6および第7実施形態の容器包装分離装置においても、高温流体によって溶断された容器包装が発火することを防止するためにミスト状に水を噴霧することができる。
また、第3実施形態において用いたフードやルーフファン等の気体回収機構は、他の実施形態の装置においても用いることができる。
また、上記の説明においては、コンビニ、スーパー、食品製造工場等より廃棄された食品ごみを例に取って説明したが、食品ごみには限定されず、高分子材料製の容器包装によって様々な物品、例えば化粧品等が包装されている各種の物品ごみについても、本発明に係る容器包装分離装置を適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態の容器包装分離装置を示す側面図(a)と正面図(b)。
【図2】図1に示した容器包装分離装置の作動を説明する平面図。
【図3】図1に示した容器包装分離装置の作動を説明する側面図。
【図4】第2実施形態の容器包装分離装置を示す平面図。
【図5】図4に示した容器包装分離装置の作動を説明する正面図。
【図6】第3実施形態の容器包装分離装置を示す側面図。
【図7】図6に示した容器包装分離装置の平面図。
【図8】第4実施形態の容器包装分離装置を示す側面図(a)と平面図(b)。
【図9】第5実施形態の容器包装分離装置を示す側面図。
【図10】図9に示した容器包装分離装置の正面断面図。
【図11】図9に示した容器包装分離装置の作動を説明する側面図。
【図12】図9に示した容器包装分離装置の作動を説明する側面図。
【図13】図9に示した容器包装分離装置の作動を説明する正面断面図。
【図14】第6実施形態の容器包装分離装置の作動を説明する正面図。
【図15】図14に示した容器包装分離装置の作動を説明する正面図。
【図16】第7実施形態の容器包装分離装置を示す平面図。
【図17】本発明の容器包装分離装置を用いて物品ごみを処理する工場の全体レイアウトを示す図。
【符号の説明】
【0072】
1 食品ごみ(物品ごみ)
1a 容器包装
8 高温流体
9 ノズル
10 リニアガイド
13 ノズル
14 水
51 おにぎりパック
54,55 ホルダ
62 支持部材
70 冷やし中華そばパック
71 第1の支持部材
72 第2の支持部材
90 物品ごみを処理する工場
100 第1実施形態の容器包装分離装置
110 第2実施形態の容器包装分離装置
120 第3実施形態の容器包装分離装置
200 第4実施形態の容器包装分離装置
300 第5実施形態の容器包装分離装置
310 第6実施形態の容器包装分離装置
400 第7実施形態の容器包装分離装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する高温流体噴射手段と、
前記容器包装の外側表面と前記高温流体噴射手段とを相対移動させることにより前記容器包装を溶断する容器包装溶断機構と、
を備えることを特徴とする容器包装分離装置。
【請求項2】
前記高温流体の温度が前記高分子材料の発火点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載した容器包装分離装置。
【請求項3】
前記高温流体が可燃性ガスを燃焼させることにより得られた燃焼ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載した容器包装分離装置。
【請求項4】
前記高温流体が加熱された炭酸ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載した容器包装分離装置。
【請求項5】
前記高温流体が水蒸気であることを特徴とする請求項1または2に記載した容器包装分離装置。
【請求項6】
前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する消火機構をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項7】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを吊り下げた状態で上下軸の回りに回転させる吊下手段と、
回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項8】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを載置した状態で上下軸の回りに回転する回転テーブルと、
前記回転テーブル上で回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項9】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみがその上面上を摺動しつつ前方に搬送されるとともに左右方向に延びる溝が前記上面に凹設されている支持手段と、
前記溝の内部において前記高温流体噴射手段を左右方向に移動させる移動手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項10】
前記容器包装溶断機構は、
水平にかつ互いに平行に延びる軸線の回りでそれぞれ同一方向に回転するとともにそれらの上に前記物品ごみを載置可能な一対の回転体と、
前記一対の回転体上に載置されて回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる、前記一対の回転体の間に配置された接離手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項11】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみをそれらの間に受容可能に互いに対向するとともに前記高温流体噴射手段をそれぞれ支持している一対の対向部分を具備した支持部材と、
前記高温流体が前記容器包装を溶断する進出位置と前記高温流体が前記容器包装から離間した後退位置との間で前記支持部材を往復動させる支持部材駆動手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項12】
前記容器包装溶断機構は、
上下方向に往復動して前記容器包装の左右両側面をそれぞれ溶断するための第1の支持部材と、
左右方向に往復動して前記容器包装の上下両側面をそれぞれ溶断するための第2の支持部材と、
を有することを特徴とする請求項11に記載した容器包装分離装置。
【請求項13】
前記高温流体噴射手段は、
前記支持部材の一対の対向部分の先端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第1組のノズルと、
前記支持部材の一対の対向部分の基端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第2組のノズルと、
を有していることを特徴とする請求項11または12に記載した容器包装分離装置。
【請求項14】
前記第1組のノズルが前記支持部材の基端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射し、
前記第2組のノズルが前記支持部材の先端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射する、
ことを特徴とする請求項13に記載した容器包装分離装置。
【請求項15】
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
前記物品ごみに向かって付勢される本体部分と、
前記物品ごみの外側表面上を転動する、前記本体部分に回転自在に支持されたローラと、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する、前記本体部分に支持された高温流体噴射手段と、
前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する、前記本体部分に支持された消火機構と、
を備えることを特徴とする容器包装分離装置。
【請求項1】
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する高温流体噴射手段と、
前記容器包装の外側表面と前記高温流体噴射手段とを相対移動させることにより前記容器包装を溶断する容器包装溶断機構と、
を備えることを特徴とする容器包装分離装置。
【請求項2】
前記高温流体の温度が前記高分子材料の発火点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載した容器包装分離装置。
【請求項3】
前記高温流体が可燃性ガスを燃焼させることにより得られた燃焼ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載した容器包装分離装置。
【請求項4】
前記高温流体が加熱された炭酸ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載した容器包装分離装置。
【請求項5】
前記高温流体が水蒸気であることを特徴とする請求項1または2に記載した容器包装分離装置。
【請求項6】
前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する消火機構をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項7】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを吊り下げた状態で上下軸の回りに回転させる吊下手段と、
回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項8】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみを載置した状態で上下軸の回りに回転する回転テーブルと、
前記回転テーブル上で回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる接離手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項9】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみがその上面上を摺動しつつ前方に搬送されるとともに左右方向に延びる溝が前記上面に凹設されている支持手段と、
前記溝の内部において前記高温流体噴射手段を左右方向に移動させる移動手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項10】
前記容器包装溶断機構は、
水平にかつ互いに平行に延びる軸線の回りでそれぞれ同一方向に回転するとともにそれらの上に前記物品ごみを載置可能な一対の回転体と、
前記一対の回転体上に載置されて回転している前記物品ごみの外側表面に対して前記高温流体噴射手段を接離させる、前記一対の回転体の間に配置された接離手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項11】
前記容器包装溶断機構は、
前記物品ごみをそれらの間に受容可能に互いに対向するとともに前記高温流体噴射手段をそれぞれ支持している一対の対向部分を具備した支持部材と、
前記高温流体が前記容器包装を溶断する進出位置と前記高温流体が前記容器包装から離間した後退位置との間で前記支持部材を往復動させる支持部材駆動手段と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した容器包装分離装置。
【請求項12】
前記容器包装溶断機構は、
上下方向に往復動して前記容器包装の左右両側面をそれぞれ溶断するための第1の支持部材と、
左右方向に往復動して前記容器包装の上下両側面をそれぞれ溶断するための第2の支持部材と、
を有することを特徴とする請求項11に記載した容器包装分離装置。
【請求項13】
前記高温流体噴射手段は、
前記支持部材の一対の対向部分の先端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第1組のノズルと、
前記支持部材の一対の対向部分の基端側にそれぞれ設けられて互いに対向する、前記高温流体を噴射するための第2組のノズルと、
を有していることを特徴とする請求項11または12に記載した容器包装分離装置。
【請求項14】
前記第1組のノズルが前記支持部材の基端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射し、
前記第2組のノズルが前記支持部材の先端側に向かって傾斜する前記高温流体の流れを噴射する、
ことを特徴とする請求項13に記載した容器包装分離装置。
【請求項15】
高分子材料から製造された容器包装によって物品が包まれている物品ごみから前記容器包装を分離するための容器包装分離装置であって、
前記物品ごみに向かって付勢される本体部分と、
前記物品ごみの外側表面上を転動する、前記本体部分に回転自在に支持されたローラと、
少なくとも前記高分子材料の融点より高い温度の高温流体の噴流を前記容器包装に向かって噴射する、前記本体部分に支持された高温流体噴射手段と、
前記容器包装のうち前記高温流体によって溶断された部分に向かって消火用流体を供給する、前記本体部分に支持された消火機構と、
を備えることを特徴とする容器包装分離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−7663(P2006−7663A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190082(P2004−190082)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(597086966)株式会社 環境システムズ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(597086966)株式会社 環境システムズ (5)
【Fターム(参考)】
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