説明

容易に除去できる耐水性化粧メイクアップ組成物

【課題】容易に除去できる耐水性化粧メイクアップ組成物。
【解決手段】ケラチン物質をメイクアップするための化粧料組成物であって、オイル状の連続相を有し、少なくとも1のポリ電解質、25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤、及び少なくとも1の染料を含む化粧料組成物において、ポリ電解質が分岐状である及び/又は架橋されていることを特徴とする化粧料組成物。オイル状の連続相を有し、良好な耐水性を示し、容易に除去される、ケラチン物質のメイクアップのための及び/又は非治療的なケアのための化粧料組成物を製造するために、少なくとも1のポリ電解質、及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤の組合せの使用、及び関連する化粧方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケラチン物質、特に皮膚、口唇、及び/又はケラチン繊維をメイクアップするための、及び/又は非治療的ケアのための化粧料組成物であって、水に耐えることができ、容易に除去されることのできる化粧料組成物に関する。
【0002】
より詳細には、本発明に従う組成物は、顔、体、及び/又は口唇、及びケラチン繊維、例えば睫、眉毛、及び毛髪のためのメイクアップ製品、より詳細には睫のメイクアップ製品を構成し得る。
【0003】
それは特に、それぞれ「トップコート」若しくは「ベースコート」としてもまた公知である、メイクアップの上若しくは下に施与されるべき透明若しくは着色されたメイクアップ組成物、又は睫をトリートメントするための組成物であり得る。
【0004】
本発明に従う組成物は、睫のための製品、即ちマスカラ、眉毛のための製品、又は毛髪のためのメイクアップ製品の形であり得る。本発明はより特にマスカラに関する。
【0005】
実際には、基本的に2つのタイプのマスカラ配合物があり、即ち、第一は、水性連続相を有するマスカラであり、「エマルジョンマスカラ」として公知であり、それは水におけるワックスのエマルジョンの形である。第二は、溶媒又はオイルの連続相を有するマスカラであり、それは無水であるか又は低濃度の水及び/又は水溶性溶媒を有し、「ウォータープルーフマスカラ」として公知であり、ワックス、ポリマー、特に半結晶性ポリマー、又は親油性ゲル化剤であり得る少なくとも1のオイル状の構造化剤の非水性溶媒における分散物の形で配合されている。
【0006】
本発明は、より詳細には上で定義された「ウォータープルーフ」タイプの組成物又はマスカラに関する。
【0007】
これらの「ウォータープルーフ」のマスカラは、ある種のメイクアップ除去剤、特に主として水をベースとする、又は水溶性、特に水性溶液であるメイクアップ除去剤に関しては、困難な、又は不可能でさえあるメイクアップの除去をもたらすことが公知である。従って一般的にメイクアップの除去は、オイル若しくは有機溶媒をベースとする特定のメイクアップ除去剤を使用して行われる。しかし、これらのメイクアップ除去剤は、目に刺激があり得、特に刺すような痛みを起こすことがありえ、又は目にベールを残すことがあり得、又は目の周りの皮膚(瞼)に不快なグリース状の残渣フィルムを残すことがあり得る。
【0008】
従って、良好な耐水性、及び例えば通常のメイクアップ除去剤により除去される良好な能力の両方を示すことができる化粧料組成物に対する需要がある。
【背景技術】
【0009】
書類フランス国特許出願公開第2 785 801号、欧州特許出願公開第1 152 022号、フランス国特許出願公開第2 774 996号、国際特許出願国際公開第95/35089号及び国際特許出願国際公開第99/26445号は、「増粘化ラテックス」、「増粘剤」又は「逆ラテックス」として公知である増粘化組成物について記載している。
【0010】
書類フランス国特許出願公開第2 785 801号及びフランス国特許出願公開第 2 774 996号は、水性相、油相、O/Wタイプ(水中油型)の乳化剤及びW/Oタイプ(油中水型)の乳化剤、及び強い酸の官能基を含むモノマーに基づく、分岐状又は架橋されたアニオン性ポリ電解質を含む組成物を特に開示する。
【0011】
書類国際特許出願国際公開第99/52499号は、体積を大きくする効果を生み出す目的のために、ポリアクリル酸ナトリウムを含む口紅を主に記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ケラチン物質をメイクアップする、及び/又はケラチン物質の非治療的なケアのための化粧料組成物であって、良好な耐水性及びメイクアップ除去剤のタイプに関わらず容易なメイクアップ除去を合わせることができる化粧料組成物を得ることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の側面に従うと、本発明はケラチン物質のメイクアップのための化粧料組成物であって、オイル状の連続相を有し、少なくとも1のポリ電解質、25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤、及び少なくとも1の染料を含む化粧料組成物において、ポリ電解質が分岐状である及び/又は架橋されていること、及び水及び/又は場合により存在していてもよい水溶性溶媒の含有量が、組成物の合計重量に対して50重量%未満であることを特徴とする化粧料組成物に関する。
【0014】
本発明に従う組成物は特に、洗い流さない化粧料組成物であり得る。即ち、本発明に従う組成物は、使用後に続いて、問題のケラチン物質から該化粧料を完全に除去することを目的として、すすぐことを必要とするメイクアップ除去溶液とは一般的に異なる。
【0015】
本発明は、より詳細にはケラチン物質、好ましくはケラチン繊維に施与されることを意図された組成物に関する。
【0016】
即ち、第二の側面に従うと、本発明はケラチン繊維をメイクアップするための及び/又はケアするための洗い流さない化粧料組成物であって、オイル状の連続相を有し、少なくとも1のポリ電解質及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含む化粧料組成物において、ポリ電解質が分岐状及び/又は架橋されていること、及び水及び/又は場合により存在していてもよい水溶性溶媒の含有量が、組成物の合計重量に対して50重量%未満であることを特徴とする化粧料組成物に関する。
【0017】
第三の側面に従うと、本発明はケラチン繊維をメイクアップするための及び/又は非治療的ケアのための洗い流さない化粧料組成物であって、オイル状の連続相を有し、少なくとも1のポリ電解質及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含む化粧料組成物において、ポリ電解質がアクリルアミド/2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸コポリマー、粉末状の架橋されたスターチグリコレート、ポリアクリレート、澱粉に基づくグラフト化されたコポリマー、イオン化可能な多糖類誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アルキルアクリレートコポリマー、AMPS(水性アンモニアで部分的に中和され、高度に架橋化されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、(架橋された又は架橋されていない)ポリオキシエチレン化されたAMPS/アルキルメタクリレートコポリマー、及びこれらの混合物から選択されること、及び好ましくはアクリルアミド/2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸コポリマー、ポリアクリレート、及びそれらコポリマーから選択されることを特徴とする化粧料組成物に関する。
【0018】
第四の側面に従うと、本発明は、上で定義された組成物をケラチン物質に施与する少なくとも1のステップを含む、ケラチン物質をメイクアップする化粧方法に関する。
【0019】
第五の側面に従うと、本発明は上で定義された洗い流さない組成物をケラチン物質に施与する少なくとも1のステップを含む、ケラチン繊維をメイクアップするための及び/又は非治療的ケアのための化粧方法に関する。
【0020】
第六の側面に従うと、本発明の課題は、上で定義された方法のいずれか1つに従って得られることのできるメイクアップを含む、メイクアップされた補助物(support)である。
【0021】
第七の側面に従うと、本発明は、オイル状の連続相を有し、良好な耐水性を示し、容易に除去される、ケラチン物質をメイクアップするための化粧料組成物を製造する方法であって、少なくとも1のポリ電解質、及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤の組合せの使用を含む方法に関する。
【0022】
第八の側面に従うと、本発明は、スクシネート、ケラチン物質をメイクアップするための及び/又は非治療的ケアのための洗い流さない化粧料組成物を製造する方法であって、少なくとも1のポリ電解質、及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤の組合せの使用を含む方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
下の実施例から分かるように、本発明に従う組成物はそのような技術的な利点を示す。
【0024】
表現「オイル状の連続相を有する化粧料組成物」は、該溶媒媒体又はオイルと接触すると希釈される若しくは分散されることができる系を意味することが意図される。
【0025】
表現「揮発性の有機オイル又は溶媒」は、環境温度及び大気圧において皮膚と接触したとき1時間未満内に蒸発することのできる有機オイル又は溶媒(若しくは非水性媒体)を意味することが意図される。揮発性オイルは環境温度において液状であり、環境温度及び大気圧において特に0.13Pa〜40、000Pa(10−3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜8,000Pa(0.01〜600mmHg)の範囲の零でない蒸気圧を有する揮発性化粧料用オイルである。
【0026】
本発明の文脈において、用語「ケラチン物質」は、皮膚、口唇、爪、毛髪、睫、及び眉毛を含む。
【0027】
本発明の文脈において、用語「ケラチン繊維」は、特に毛髪、睫、及び眉毛を意味することが意図される。さらに皮膚をメイクアップすることは、特に体、手、首、又は顔をメイクアップすることを含む。
【0028】
本発明に従う組成物は、生理学的に許される媒体、特に化粧的に許される媒体、即ちケラチン物質、特にケラチン繊維、例えば毛髪、睫、及び眉毛と特に相溶性であるところの媒体を含む。
【0029】
本発明の文脈において、用語「化粧的に許される」は、その使用が、ケラチン物質への施与に適合する化合物を意味することが意図される。
【0030】
一般的に、簡単のため、他に記載されない限り、内容物は固体であると示される。
【0031】
ポリ電解質
用語「ポリ電解質」は、水又は任意の他のイオン化媒体中に溶解されたとき、解離して、少なくとも1のイオンを与える能力を有するマクロ分子物質を意味することが意図される。言い換えると、ポリ電解質は、少なくとも1のイオン化可能なモノマーを含むポリマーである。
【0032】
特に、ポリ電解質は、水に溶解されたとき、ポリイオン、例えばポリアニオンを与え得る。ポリ電解質は、ポリ酸、ポリ塩基、ポリ塩、又はポリ両性体であり得る。本発明の文脈において、それは好ましくはポリ酸、好ましくは強いポリ酸である。
【0033】
好ましくは、本発明に従う化粧料組成物に含まれるポリ電解質は、分岐状及び/又は架橋されたアニオン性ポリマーである。
【0034】
好ましくは、ポリ電解質は、組成物の合計重量に対して0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上の固体の濃度を超えると、水性溶液中でゲルを形成することもまたできる。このゲルは、少なくとも10Paに等しいフロー閾値τにより、振動レオロジー(oscillating rheology)(ν=1Hz)を特徴とすることができる。
【0035】
さらに、本発明に従う化粧料組成物がフィルム形成性ポリマーを含むとき、ポリ電解質は、このフィルム形成性ポリマーとは異なることが有利である。
【0036】
解離の間に形成されるポリイオンの対イオンは、無機又は有機のいずれの性質でもよい。
【0037】
特に、ポリ電解質は分岐状若しくは架橋されたアニオン性ポリマーであり、カチオンはアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属カチオン、例えばナトリウム若しくはカリウム、又はアンモニウムであり得る。
【0038】
ナトリウムカチオンNaが好ましく、そのことは、主にそれが以下のポリ電解質のリストに記載されている理由であるが、該リストはこの特定に対イオンに何ら制限を構成するものではない。
【0039】
ポリ電解質として、
アクリルアミド/Na AMPSコポリマー、例えば、界面活性剤としてポリソルベート80を含み、オイル相としてイソヘキサデカンを含む、Seppic社により販売されているSimulgel600(商標)、又は同じ会社により販売されているSimulgel EG(商標)、Simulgel A(商標)及びSimulgel 501(商標)が挙げられ得る。
【0040】
Simulgel 600(商標)は、特に書類フランス国特許出願公開第 2 785 801号に記載されている。それは実際は逆ラテックスである。AMPSポリ電解質は、AMPS及びアクリルアミド、それ自身は50〜70%の割合で存在する、をも含む混合物中で30〜50モル%の割合まで、部分的に又は全体的に特にナトリウム塩又はアンモニウム塩の形で塩に変えられた2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ−1−プロパンスルホン酸である;
粉末の形態における架橋されたスターチグリコレートナトリウム;
ポリアクリレートナトリウム、例えばAtofina社により販売されているNorsocryl S35(商標)、又はCognis社により販売されているCosmedia SP(商標);
イオン化可能な多糖類誘導体、例えばセルロース塩及びアルギン酸ナトリウム塩;
澱粉をベースとするグラフト化コポリマー例えばGrain Processing Corporation製のWaterlock(商標)(例えばA−180及びG−400)
Synthalen K(商標)タイプのポリアクリル酸;
Pemulen(商標)タイプのポリアクリル酸アルキルアクリレートコポリマー;
AMPS(水性アンモニアで部分的に中和され、高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、例えばClariant社により販売されている;
(架橋された若しくは架橋されていない)ポリオキシエチレン化されたAMPS/アルキルメタクリレートコポリマー;
カルボキシメチルセルロース及び任意のイオン化可能なセルロース誘導体、及び
それらの混合物
である。
【0041】
ポリアクリレートナトリウム塩及びアクリルアミド/AMPSコポリマー及びそれらのコポリマーは最も特に本発明に適する。
【0042】
ポリ電解質の含有量はもちろん、除去性が効果的に改善され、同時に化粧料組成物の耐水性に不利益でないように調節される。
【0043】
ポリ電解質の量は、ポリ電解質の性質に大きく依存して変化し得る。一般的にこの量は、該組成物によりよい除去性を与えるのに必要かつ十分である量に少なくとも等しい。それは有効量ともまた呼ばれる。
【0044】
この除去性は特に下の実施例に与えられる試験により評価され得る。
【0045】
本発明の好ましい実施態様に従うと、ポリ電解質は組成物の合計重量に対して0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、特に0.5重量%以上の含有量で存在する。
【0046】
好ましい変形に従うと、ポリ電解質は、組成物の合計重量に対して0.05〜15重量%、さらにより好ましくは0.1〜10重量%、よりよくさらに0.5〜5重量%の範囲の含有量において化粧料組成物中に存在することが好ましい。
【0047】
本発明者は、オイル中の分散物におけるポリ電解質は「水のポンプ」として作用するという仮説を提示したが、これは本発明にいかなる制限も構成しない。すなわち、この「水のポンプ」の役割は、該組成物が水性相と接触に至らせられたとき、よりはっきりと見られる。電解質を含む水性リザーバー中の、対イオンの存在による高い浸透圧の存在のために、該リザーバーは相反転(phase inversion)が得られるまで膨張する。
【0048】
即ち、巨視的なレベルにおいて、メイクアップ除去の間に、本発明に従う化粧料組成物のフィルムは、フィルム中にマイクロ分散された数多くの「水のポンプ」により水和する。該フィルムは、破れやすくなり、その機械的強度の破壊をもたらす。フィルムの破砕が次に起きる。
【0049】
25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤の存在は、一度水和された化粧料組成物を最終的に安定化させること、即ち水性連続相を有するエマルジョンの形態で、言い換えると水中油型エマルジョンの形態で安定化させることを可能にする。
【0050】
界面活性剤
本発明に従う組成物は、25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含む。
【0051】
特定の実施態様に従うと、界面活性剤は組成物の合計重量に対して0.1重量%以上の含有量で存在する。界面活性剤は、組成物の合計重量に対して0.3〜10重量%、よりよくさらに0.5〜15重量%、よりよくさらに1.5〜10重量%の範囲の割合で存在し得る。
【0052】
ポリ電解質が、25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤と既に配合された組成物の形態で本発明の組成物に取り込まれるとき、上で定義された界面活性剤の量は、ポリ電解質配合物中に含まれる該界面活性剤の量を考慮に入れる。
【0053】
表現「6以上のHLB」は、Griffinの意味内において25℃において6以上のHLB(親水性−親油性バランス)を意味することが意図される。
【0054】
Griffinに従うHLB値は、J.Soc.Cosm.Chem.1954年(第5巻)、249〜256ページにおいて定義されている。
【0055】
(乳化する)性質の定義及び界面活性剤の機能については書類“Encyclopedia of Chemical Technology,Kirk−Othmer”、第22巻、333〜432ページ、第3版、1979年、ワイリーを、ノニオン性界面活性剤については、この参考文献の特に347〜377ページを参照されたい。
【0056】
本発明に従う化粧料組成物に含まれる、25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤は、イオン性、ノニオン性又はイオン性及びノニオン性の混合物であってもよい。
【0057】
単独で又は混合物として使用され、本発明に従う組成物中に存在し得る、25℃において6以上のHLBを有するノニオン性界面活性剤の中で、特に以下のものが挙げられ得る:
グリセロールのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル(1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含み得る);
脂肪族アルコール(特にC8〜C24、好ましくはC12〜C18アルコール)のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたエーテル(1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含み得る)、例えば30のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化セタリールアルコールエーテル(CTFA名“Ceteareth−30”)及び7のオキシエチレン基を含むC12〜C15の脂肪族アルコールの混合物のオキシエチレン化エーテル(CTFA名“C12〜15 Pareth−7”)、例えばShell ChemicalsによりNeodol 25−7(商標)の名前で販売されている;
ポリエチレングリコール(1〜150のエチレングリコールユニットを含み得る)の脂肪酸エステル(特にC8〜C24酸及び好ましくはC16〜C22酸)、例えばPEG−50ステアレート及びPEG−40モノステアレート、例えばICI Uniquema社によりMyrj 52P(商標)の名前で販売されている;
グリセロールエーテルのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪酸エステル(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22酸)(1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含み得る)、例えば、Seppic社によりSimulsol 220 TM(商標)の名前で販売されているPEG−200グリセリルモノステアレート;30のエチレンオキシド基でポリエトキシ化されたグリセリルステアレート、例えばGoldschmidt社により販売されている製品Tagat S(商標)、30のエチレンオキシド基でポリエトキシ化されたグリセリルオレエート、例えばGoldschmidt社により販売されている製品Tagat O(商標)、30のエチレンオキシド基でポリエトキシ化されたグリセリルココエート、例えばSherex社により販売されている製品Varionic LI 13(商標)、30のエチレンオキシド基でポリエトキシ化されたグリセリルイソステアレート、例えばGoldschmidt社により販売されている製品Tagat L(商標)、及び30のエチレンオキシド基でポリエトキシ化されたグリセリルラウレート、例えばGoldschmidt社製の製品Tagat I(商標);
ソルビトールエーテルのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪酸エステル(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22酸)(1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含み得る)、例えばUniquema社によりTween 60(商標)の名前で販売されているポリソルベート60、及びまたポリソルベート80、ポリソルベート40、及びポリソルベート20、
ジメチコンコポリオール、例えばDow Corning社によりQ2−5220(商標)の名前で販売されているもの;
ジメチコンコポリオールベンゾエート(Fintex社製のFinsolv SLB 101(商標)及び201(商標));
プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのコポリマー、EO/PO重縮合体としてもまた公知である;
及びそれらの混合物。
【0058】
EO/PO重縮合体はより詳細にはポリエチレングリコールブロック及びポリプロピレングリコールブロックからなるコポリマー、例えばポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合体である。これらのトリブロック重縮合体は、例えば以下の化学構造を有する:
H−(O−CH−CH−(O−CH(CH)−CH−(O−CH−CH−OH、
この式において、aは2〜120、及びbは1〜100の範囲である。
【0059】
EO/PO重縮合体は、好ましくは1000〜15000、よりよく2000〜13000の範囲の重量平均分子量を有する。該EO/PO重縮合体は、1リットルの蒸留水中10gにおいて、20℃以上、好ましくは60℃以上の曇り点を有する。曇り点は、ISO標準1065に従って測定される。本発明に従って使用され得るEO/PO重縮合体として、例えばSynperonic(商標)、例えばSynperonic PE/L44(商標)及びSynperonic PE/F127(商標)の名前で、ICI社により販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合体が挙げられ得る。
【0060】
単独で又は混合物として使用される、本発明に従う組成物中に存在し得る、25℃において6以上のHLBを有するイオン性界面活性剤はアニオン性又はカチオン性であってもよく、その中で特に以下のものが挙げられ得る:
シリコーン界面活性剤、例えばジメチコンコポリオールホスフェート、例えばPhoenix Chemical社によりPecosil PS 100(商標)の名前で販売されている製品、
アミノ酸誘導体、例えばラウリルサルコシネート及びラウリルタウレート、
16〜C30脂肪酸塩、特にアミンから誘導されるもの、例えばトリエタノールアミンステアレート、
ポリオキシエチレン化脂肪酸塩、特にアミン又はアルカリ金属塩から誘導されたもの、及びそれらの混合物、
リン酸エステル及びその塩、例えば「oleth−10リン酸DEA」(Croda社製のCrofados N 10N(商標))、
スルホスクシネート例えば「PEG−5クエン酸ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム」及び「リシノレアミドMEAスルホコハク酸2ナトリウム」、
アルキルエーテルサルフェート、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム、
イセチオネート、
アシルグルタメート例えば「水添タローグルタメート2ナトリウム」(味の素社により販売されているAmisoft HS−21 R(商標))、及びそれらの混合物。
【0061】
トリエタノールアミンステアレートは最も特に本発明に適する。これは、一般的にステアリン酸及びトリエタノールアミンの単純な混合により得られる。
【0062】
特に挙げられ得る代表的なカチオン性界面活性剤は、
アルキルイミダゾリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトサルフェート、
アンモニウム塩、例えばN,N,N,−トリメチル−1−ドコサナミミウムクロリド(ベヘントリモニウムクロリド)
である。
【0063】
本発明に従う組成物は1以上の両性界面活性剤、例えばN−アシルアミノ酸、例えばN−アルキルアミノアセテート及びココアンホジアセテートをもまた含み得る。
【0064】
25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤が、実際に、オイル状の連続相を有するエマルジョンの形態であるような量で存在することを確実にするように、注意が払われる。
【0065】
25℃において6以上のHLBを有するノニオン性及びイオン性の界面活性剤もまた組み合わせて存在することができる。
【0066】
さらに、本発明に従う化粧料組成物は好ましくは、25℃において10以上のHLBを有する1以上の界面活性剤、さらにより好ましくは12以上のHLBを有する界面活性剤を含む。
【0067】
本発明の組成物は、オイル状の連続を有する組成物である限り、低いHLB、例えば6未満のHLBを有する界面活性剤をもまた含み得、その中で以下のものが挙げられ得る:
a) 25℃において6未満のHLBを有するノニオン性界面活性剤:
糖類のエステル及びエーテル、例えばスクロースステアレート、スクロースココエート、ソルビタンステアレート及びそれらの混合物、例えばICI社により販売されているArlatone 2121(商標);
ポリオール、特にグリセロール、又はソルビトールの脂肪酸エステル(特にC〜C24及び好ましくはC16〜C22の酸)、例えばグリセリルステアレート、例えばGoldschmidt社によりTegin M(商標)の名前で販売されている製品、グリセリルラウレート、例えばHuls社によりImwitor 312(商標)の名前で販売されている製品、ポリグリセリル−2ステアレート、ソルビタントリステアレート又はグリセリルリシノレート;
Dow Corning社によりQ2−3225C(商標)の名前で販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物;
脂肪族アルコール、例えばセチルアルコール又はステアリルアルコール;
HLBが6未満であるようなエトキシル化数を有するエトキシレート化された脂肪族アルコール。
【0068】
オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたソルビトールエーテルの脂肪酸エステル(1〜150のオキシエチレン基を含み得る)、例えば16.7のHLBを有するポリソルベート20、15.6のHLBを有するポリソルベート40、14.9のHLBを有するポリソルベート60、及び15.0のHLBを有するポリソルベート80が、25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤として本発明に最も特に適切である。
【0069】
本発明に従う組成物は、他の界面活性剤を含み得、該他の界面活性剤は、ポリマーの粒子の水性分散物の導入を通して該組成物へと導入され、これらの界面活性剤はそれらを安定化させるために慣用的に用いられているものである。
【0070】
オイル
本発明に従う組成物は、少なくとも1のオイル又は有機溶媒を含む。オイル又は有機溶媒の混合物であってもよい。
【0071】
本発明に従う組成物は通常、組成物の合計重量に対して10〜90重量%、好ましくは15〜80重量%、よりよくは20〜60重量%の範囲のオイルの合計量を含み、それは非水性溶媒媒体ともまた呼ばれる。
【0072】
本発明の組成物中に存在するオイルは、揮発性オイル/非揮発性オイル、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0073】
本発明の文脈において、基本的に揮発性オイルを含む化粧料組成物が好ましい。
【0074】
表現「揮発性オイル又は有機溶媒」は、皮膚と接触したとき、環境温度及び大気圧において1時間未満内に蒸発できるオイル又は有機溶媒(非水性媒体)を意味することが意図される。
【0075】
揮発性オイルは環境温度において液体であり、特に、環境温度及び大気圧においてゼロではない蒸気圧を有し、特に0.13Pa〜40000Pa(10−3〜300mmHg)、好ましくは1.3Pa〜8000Pa(0.01〜60mmHg)の範囲の値を有する圧力を有する揮発性の化粧料オイルである。
【0076】
揮発性オイル(又は有機溶媒)は、炭化水素をベースとするオイル、シリコーンオイル、又はフルオロオイル、又はそれらの混合物であり得る。
【0077】
用語、「炭化水素をベースとするオイル」は、主に水素及び炭素原子を含み、場合によって酸素、窒素、硫黄、リン原子を含んでいてもよいオイルを意味することが意図される。揮発性の炭化水素をベースとするオイルは8〜16の炭素原子を含む炭化水素をベースとするオイル、そして特にC〜C16の分岐状アルカン、例えば石油起源のC〜C16のイソアルカン(イソパラフィンとしてもまた公知である)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとしてもまた公知である)、イソデカン、イソヘキサデカン、そして例えばIsopar(商標)又はPermetyls(商標)の商標名で販売されているオイル、C〜C16の分岐状エステル、ネオペンタン酸イソヘキシル、及びそれらの混合物から選択され得る。他の揮発性の炭化水素をベースとするオイル、例えば石油の留出物、特にShell社によりShell Solt(商標)の名前で販売されているものもまた使用され得る。
【0078】
揮発性オイルとして、揮発性のシリコーン、例えば揮発性の直鎖又は環状シリコーンオイル、特に≦6センチストローク(6×10−62/s)の粘度を有し、特に3〜6の珪素原子を有するもの、これらのシリコーンは任意的に1又は2の炭素原子を有する1以上のアルキル又はアルコキシ基を含んでいてもよい、が使用され得る。また本発明において使用され得る揮発性オイルとして、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、ヘプタメチルブチルトリシロキサン及びそれらの混合物が特に挙げられる。
【0079】
特にフッ素化された揮発性有機溶媒、例えばノナフルオロメトキシブタン又はパーフルオロメチルシクロペンタンもまた使用され得る。
【0080】
有利に、揮発性オイルは、8〜16の炭素原子を有する炭化水素をベースとする揮発性オイル、例えばイソドデカン、シリコーン揮発性オイル、例えばデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)又はドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、及びそれらの混合物から選択される。
【0081】
本発明に従う組成物は、環境温度において液状である、少なくとも1の非揮発性の水に不溶である化合物、特に少なくとも1の非揮発性オイル又は有機溶媒をもまた含み得、非揮発性の炭化水素をベースとするオイル、及び/又はシリコーン及び/又はフルオロオイルから特に選択され得る。
【0082】
非揮発性の炭化水素をベースとするオイルとして以下のものが挙げられ得る:
植物起源の炭化水素をベースとするオイル、例えばグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド、その脂肪酸はC〜C24の変化する鎖の長さを有し得、これらは直鎖又は分岐状であってもよく、そして飽和又は不飽和であってもよい;これらのオイルは特に小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ種油、トウモロコシ油、アプリコット油、ひまし油、シア油、アボガド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、かぼちゃ油、骨髄油、黒スグリ油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイナッツ油、パッションフラワー油、又はジャコウバラ油;又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されるもの、またDynamit Nobel社によりMiglyol810(商標)、812(商標)、及び818(商標)の名前の下に販売されるもの;
10〜40の炭素原子を含む合成エーテル;
鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐状の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、水素化されたポリイソブテン例えばパーレアム(parleam)、及びスクワラン、及びそれらの混合物;
合成エステル、例えば式RCOORのオイル、ここでRは1〜40の炭素原子を含む直鎖又は分岐の脂肪酸残基を表し、Rは炭化水素をベースとする鎖を表し、それは特に、1〜40の炭素原子を含む分岐状であり、ただしR+R≧10であり、例えばプルセリンオイル(オクタン酸セテアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸のC12〜C15アルコールエステル、ラウリル酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、オクタン酸、デカン酸、又はリシノール酸のアルコール又はポリアルコールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ヒドロキシル化されたエステル、例えば乳酸イソステアリル又はリンゴ酸ジイソステアリル、及びペンタエリスリトールエステル;
12〜26の炭素原子を有する分岐状及び/又は不飽和の炭素に基づく鎖を有する、環境温度において液体であるところの脂肪族アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール及び2−ウンデシルペンタデカノール;
高級脂肪酸例えばオレイン酸、リノール酸、又はリノレン酸;
及びそれらの混合物。
【0083】
本発明に従う組成物において使用され得るところの非揮発性シリコーンオイルは、非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、ここでポリジメチルシロキサンは、ペンダント状である、又はシリコーン鎖の末端にあるアルキル基若しくはアルコキシ基を含み、これらの基はそれぞれ2〜24の炭素原子を有する、フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであり得る。
【0084】
本発明の組成物において使用され得るフルオロオイルは、書類欧州特許出願公開第847752号に記載されているように、特にフルオロシリコーンオイル、フッ素化ポリエーテル又はフッ素化シリコーンである。
【0085】
本発明に従う組成物中の揮発性のオイル又は有機溶媒の含有量は、組成物の合計重量に関して20〜80重量%、特に30〜70重量%、よりよく35〜60重量%の範囲であり得る。
【0086】
本発明に従う組成物中の非揮発性オイル又は有機溶媒の含有量は、組成物の合計重量に対して0.01〜30重量%、特に0.1〜25重量%、よりよく一層0.1〜20重量%の範囲であり得る。
【0087】
水及び/又は水溶性溶媒
本発明に従う組成物は、水及び少なくとも1の水溶性溶媒を含む水性相を含み得る。この場合、水及び/又は水溶性溶媒の含有量は、組成物の合計重量に対して50重量%以下、好ましくは40重量%以下、よりよく一層30重量%以下である。
【0088】
好ましくは、その含有量は、組成物の合計重量の20重量%未満、0.1〜20重量%、より特に1〜10重量%の範囲であり得る。
【0089】
どの場合においても、本発明に従う組成物中の水及び/又は水溶性溶媒の含有量は、組成物が相反転なしに、オイル状の連続相の形態であり続けるようなものである。
【0090】
本発明において、用語「水溶性溶媒」は、環境温度において液状であり、水と混和性のある化合物を意味する(25℃及び大気圧において50重量%より高い水における混和性)。
【0091】
本発明に従う組成物中で使用され得る水溶性溶媒もまた揮発性であり得る。
【0092】
本発明に従う組成物中において使用され得る水溶性溶媒の中で、1〜5の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、2〜8の炭素原子を有するグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びジプロピレングリコール、C及びCケトン及びC〜Cアルデヒドが挙げられ得る。
【0093】
水性相(水及び/又は水溶性溶媒)は、変性されていない形態で本発明に従う配合物中に取り込まれることができる、又は該組成物を構成する1以上の成分によりそこに取り込まれることができる。即ち水は、特にラテックス、又は擬似ラテックス即ちポリマー粒子の水性分散物の導入により組成物中に導入され得る。
【0094】
組成物中の水及び/又は水溶性溶媒の含有量が組成物の合計重量に対して5重量%未満であるとき、「無水」組成物と呼ばれる。このタイプの組成物もまた本発明の一部である。
【0095】
本発明に従う組成物に含まれ得る、下に記載されるすべての成分はもちろん、それらの存在が所望される効果、すなわち良好な耐水性の維持と同時に改良された除去性を示すことに影響を与えない、又は実質的に影響を与えないような含有量で取り込まれる。
【0096】
構造化剤
本発明に従う組成物は、ワックス、半結晶性ポリマー、及び親油性ゲル化剤、及びそれらの混合物から選択された、オイル相又は有機溶媒を構造化するための少なくとも1の剤を含み得る。
【0097】
構造化剤は、組成物の合計重量に対して0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜50重量%、さらにより好ましくは1〜40重量%を占めていてもよい。オイル状の構造化剤の量は、該剤の構造化する性質の関数として当業者により調節され得る。
【0098】
ワックス
本発明の文脈において考慮下のワックスは、一般的に、環境温度(25℃)において固体である親油性の化合物であり、固体/液体の可逆の状態変化を有し、30℃以上、200℃まで、特に120℃までの融点を有する。
【0099】
ワックスを液状の形態(溶融)に至らせることにより、それをオイルと混和性にして、顕微鏡的に均一な混合物を形成することが可能であるが、該混合物を環境温度まで冷却すると、混合物のオイル中でのワックスの再結晶が得られる。
【0100】
特に、本発明に適するワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有し得る。
【0101】
本発明の目的のため、融点は、ISO標準11357−3;1999に記載された熱分析(DSC)により観察された最も発熱的ピークの温度に対応する。ワックスの融点は示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により“MDSC 2920”の名前で販売されている熱量計を用いて測定され得る。
【0102】
測定プロトコルは以下のようである:
ルツボに入れられた5mgのワックスの試料は、加熱速度10℃/分において−20℃から100℃の範囲の第一昇温に付され、次に10℃/分の冷却速度で100℃〜−20℃に冷却され、最終的に5℃/分の加熱速度において−20℃〜100℃の範囲の第2昇温に付される。第2昇温の間に、空のルツボ及び試料のワックスを含むルツボにより吸収されるエネルギーの差のばらつきが温度の関数として測定される。化合物の融点は、温度の関数としての吸収されたエネルギーの差のばらつきを表す曲線のピークの頂上に対応する温度値である。
【0103】
本発明に従う組成物において使用され得るワックスは、環境温度において固体である、動物、植物、鉱物、又は合成起源のワックス及びそれらの混合物から選択される。
【0104】
本発明に従う組成物中で使用され得るワックスは、一般的に0.01MPa〜15MPa、特に0.05MPa超、特にとりわけ0.1MPa超の硬度を有する。
【0105】
硬度は、Rheo社によりTA−XT2i(商標)の商品名の下に販売されるテクスチュロメーター(直径2mmのステンレススチールのシリンダースピンドルが装備されている)を用いて、以下の操作の間に、時間の関数としての力(圧縮力又は延伸力)(F)の変化を測定することにより、20℃において測定された圧縮力を測定することにより決定される:
スピンドルは0.1mm/秒の速度で移動され、次にワックスに0.3mmの浸透深さまで浸透する。スピンドルが0.3mmの深さまで浸透したとき、スピンドルは1秒間(緩和時間に相当する)静かに保たれ、次に0.1mm/秒の速度で引き抜かれる。緩和時間の間、力(圧縮力)はそれがゼロになるまで大きく減少し、そして次にスピンドルの引き抜きの間に力(延伸力)が負になり、次に0の値に向かって再び上昇する。硬度はスピンドルの表面とワックスが接触するようになる瞬間におけるスピンドルの表面とワックスとの間で測定される最大圧縮力に対応する。この力の値はMPaで表される。
【0106】
硬度を測定するために、ワックスはワックスの融点+20℃の温度において溶融される。溶融されたワックスは直径30mm、深さ20mmの容器に注がれる。ワックスは環境温度(25℃)において24時間再結晶化され、次に、硬度の測定の前に20℃において少なくとも1時間貯蔵される。
【0107】
本発明に適するワックスの例として、特に炭化水素をベースとするワックス、例えば蜜蝋、ラノリンワックス、イボタ蝋、ハゼ蝋、パラフィン、ある種のポリエチレンワックス及びワックス状のコポリマー、及びそれらのエステルが挙げられ得る。
【0108】
直鎖又は分岐のC〜C32の脂肪鎖を有する動物又は植物オイルの触媒的水素化により得られたワックスもまた挙げられ得る。これらの中で特に挙げられ得るワックスは、異性化されたホホバオイル、例えばDesert Whale社によりIso−Jojoba−50(商標)の商品番号で製造又は販売されているtrans異性化された部分的に水素化されたホホバオイル、水素化ヒマワリ油、水素化ひまし油、水素化ココナッツ油、水素化ラノリンオイル、及びHeterene社によりHest 2T−4S(商標)の名前で販売されているビス(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラステアレートである。
【0109】
シリコーンワックス及びフルオロワックスもまた挙げられ得る。
【0110】
Sophim社によりPhytowax ricin 16L64(商標)及び22L73(商標)の名前で販売されているセチルアルコールでエステル化されたひまし油の水素化により得られるワックスもまた使用され得る。そのようなワックスは、フランス国特許出願公開第2792190号に記載されている。
【0111】
1つの特定な実施態様に従うと、本発明の組成物は「粘着性のあるワックス」と呼ばれるワックス、すなわち0.7N.s以上の粘着性及び3.5Mpa以下の硬度を有するワックスを少なくとも1、含み得る。
【0112】
粘着性のあるワックスを使用することは特にケラチン繊維に容易につき、ケラチン繊維に対して良好な接着性を有し、滑らかで均一で濃くするメイクアップの形成をもたらす化粧料組成物の製造を可能にする。
【0113】
使用される粘着性のあるワックスは、0.7N.s〜30N.sの範囲、特に1N.s以上、とりわけ1N.s〜20N.sの範囲、特に2N.s以上、とりわけ2N.s〜10N.sの範囲、特に2N.s〜5N.sの範囲の粘着性を有する。
【0114】
ワックスの粘着性は、Rheo社によりTA−XT2i(商標)の商品名の下に販売されるテクスチュロメーター(45度の角度を形成する円錐形のアクリルポリマーのスピンドルが装備されている)を用いて、時間の関数としての力(圧縮力又は延伸力)の変化を20℃において測定することにより決定される。
【0115】
測定プロトコルは以下のとおりである:
ワックスはワックスの融点+10℃に等しい温度において溶融される。溶融されたワックスは直径25mm、深さ20mmの容器に注がれる。ワックスの表面が平らでかつ滑らかになるように、ワックスは環境温度(25℃)において24時間再結晶化され、粘着度の測定の前に20℃において少なくとも1時間貯蔵される。
【0116】
テクスチュロメーターのスピンドルは0.5mm/秒の速度で移動され、次にワックスに2mmの浸透深さまで浸透する。スピンドルが2mmの深さまで浸透したとき、スピンドルは1秒間(緩和時間に相当する)静かに保たれ、次に0.5mm/秒の速度で引き抜かれる。
【0117】
緩和時間の間、力(圧縮力)はそれがゼロになるまで大きく減少し、そして次にスピンドルの引き抜きの間に力(延伸力)が負になり、次に0の値に向かって再び上昇する。粘着度は、負の値の力(延伸力)に対応する曲線の部分に対する時間の関数としての力の曲線の積分に相当する。粘着度の値はN.sで表される。
【0118】
使用され得る粘着性ワックスは、一般的に3.5MPa以下、特に0.01MPa〜3.5MPaの範囲、とりわけ0.05MPa〜3Mpa、あるいは0.1MPa〜2.5MPaの範囲さえの硬度を有する。
【0119】
硬度は前に記載されたプロトコルに従って測定される。
【0120】
使用され得る粘着性ワックスは、C20〜C40のアルキル(ヒドロキシステアリロキシ)−ステアレート(アルキル基は20〜40の炭素原子を含む)を単独で又は混合物として含み、特に式(I)のC20〜C40のアルキル12(12’−ヒドロキシステアリロキシ)ステアレート
【0121】
【化1】

ここで、mは18〜38の範囲の整数である、又は式(II)の化合物の混合物を含む。
【0122】
そのようなワックスは特にKoster Keunen社により“Kester Wax K 82 P(商標)”及び“Kester Wax K 80P(商標)”の名前で特に販売されている。
【0123】
上に記載されたワックスは、一般的に45℃未満の溶融開始温度を有する。
【0124】
本発明において、約0.5〜30マイクロメートル、特に1〜20マイクロメートル、より特に5〜10マイクロメートルのオーダーの平均「有効」体積直径D[4.3]として表される寸法を有する小さい粒子の形態で提供されるワックス(以降「マイクロワックス」と呼ばれる)が使用され得る。区別のため、より大きいサイズのフラグメントの形で本発明に従って使用されるワックスは以降「慣用のワックス」と呼ばれる。
【0125】
本発明の組成物において使用され得るマイクロワックスとして、カルナウバマイクロワックス、例えばMicro Powders社により“MicroCare 350(商標)”の名前で販売される製品、合成マイクロワックス、例えばMicro Powders社により“MicroEase 114S”の名前で販売される製品、カルナウバ蝋及びポリエチレンワックスの混合物からなるマイクロワックス、例えばMicro Powders社により“Micro Care 300(商標)”及び“310(商標)”の名前で販売される製品、カルナウバ蝋及び合成ワックスの混合物からなるマイクロワックス例えばMicro Powders社により“Micro Care 325(商標)”の名前で販売される製品、ポリエチレンワックス、例えばMicro Powders社により“Micropoly 200(商標)”及び“220(商標)”、“220L(商標)”及び“250S(商標)”の名前で販売される製品、及びポリテトラフルオロエチレンマイクロワックス、例えばMicro Powders社により“Microslip 519(商標)”及び“519L(商標)”の名前で販売される製品が挙げられ得る。
【0126】
本発明の組成物において、ワックスの混合物を使用すること、特に1以上の慣用のワックス、例えば特に粘着性ワックス及び/又は45℃以上の溶融開始温度を有するワックス、及びマイクロワックスとして公知である1以上のワックスを使用することはもちろん可能である。本発明の組成物は、組成物の合計重量に対して0.1〜70重量%の範囲の含有量のワックスを含み得る;特に組成物の合計重量の0.5〜50重量%、より特に1〜30重量%のワックスを含み得る。
【0127】
半結晶性ポリマー
用語「ポリマー」は、少なくとも2の繰返し単位、好ましくは少なくとも3の繰返し単位、より特に少なくとも10の繰返し単位を含む化合物を意味する。用語「半結晶性ポリマー」は、骨格中に結晶化可能な部分、結晶化可能なペンダント状鎖、又は結晶化可能なブロック及び非晶質部分を骨格中に含み、一次の可逆的相変化温度、特に融解(固体−液体転移)を有するポリマーを意味することが意図される。結晶化可能な部分がポリマー骨格の結晶化可能なブロックの形態であるとき、ポリマーの非晶質部分は、非晶質ブロックの形態をとる;この場合、半結晶性ポリマーは、ブロックコポリマー、例えばジブロック、トリブロック又はマルチブロックタイプであり、少なくとも1の結晶化可能なブロック及び少なくとも1の非晶質ブロックを含む。用語「ブロック」は、少なくとも5の繰り返し単位を意味することが一般的に意図される。結晶化可能な配列は、従って、非晶質のブロックとは異なる化学的性質である。
【0128】
半結晶性ポリマーの融点は、30℃以上(特に30℃〜80℃の範囲)、好ましくは30℃〜60℃の範囲の融点を有する。この融点は、1次の状態変化温度である。
【0129】
この融点は、任意の公知の方法で、特に示差走査熱量計(DSCI)を使用して測定され得る。
【0130】
有利には、本発明がそれに応用するところの半結晶性ポリマーは、1000以上の数平均分子量を有する。有利に、本発明の組成物の半結晶性ポリマーは、2000から800000、好ましくは3000から500000、さらに好ましくは4000から150000で、特に100000未満、さらに好ましくは4000から99000の範囲の数平均分子量Mnを有する。好ましくは、それらは、5600を超え、例えば5700から99000の範囲の数平均分子量を有する。本発明の目的のため、表現「結晶性の鎖またはブロック」は、それが仮に単独で存在したとすると、その系が融点の上であるか下であるかに応じて非晶質状態から結晶状態へと可逆的に変化するであろうところの鎖またはブロックを意味することが意図される。本発明の目的のため、鎖は、ポリマー骨格に対してペンダント状であるかあるいはそれに沿う1群の原子である。ブロックは骨格に属する1群の原子であり、この1群はポリマーの繰り返し単位の1つを構成する。有利には、「結晶性ペンダント鎖」は、少なくとも6個の炭素原子を含む鎖であり得る。
【0131】
半結晶性ポリマーは、少なくとも1の結晶性ブロック及び少なくとも1の非晶質のブロックを含むブロックコポリマー、繰り返し単位あたり少なくとも1個の結晶性側鎖を有するホモポリマー及びコポリマー、ならびにこれらの混合物から選択され得る。
【0132】
そのようなポリマーは例えば欧州特許出願公開第1396259号に記載されている。
【0133】
本発明に従う組成物において使用され得る構造化半結晶性ポリマーの特定の例として、パンフレット“Intelimer(商標)ポリマー”、Landec IP22(Rev.4−97)に記載されているLandec社製の製品Intelimer(商標)が挙げられ得る。これらのポリマーは、環境温度(25℃)において固体である。それらは、結晶化可能な側鎖を有し、上の式Xを有する。
【0134】
親油性ゲル化剤
本発明に従う組成物中で使用され得るゲル化剤は、有機又は鉱物質、ポリマー状又は分子状の親油性ゲル化剤であってもよい。
【0135】
鉱物親油性ゲル化剤として、所望により変性された粘土、例えばC10〜C22の脂肪酸アンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えばBentone 38V(商標)の商品名でElementis社より販売されている製品が挙げられ得る。
【0136】
所望により疎水性表面処理に付されたフュームドシリカであって、1μm未満の粒子サイズのものも挙げられる。具体的には、シリカ表面に存在するシラノール基の数を減じる化学反応により、シリカの表面を化学的に変性することが可能である。シラノール基を疎水性基に置換することが特に可能である:そうすると疎水性シリカが得られる。疎水性基は:
トリメチルシロキシ基、該基はヘキサメチルジシラザンの存在下においてフュームドシリカを処理することにより得られる。このように処理されたシリカはCTFA(第6版、1995年)によると「シリル化シリカ」(silica silylate)として知られる。それらは例えばDegussa社により「アエロジルR812(商標)」の製品番号で、及びCabot社により「CAB−O−Sil TS−530(商標)」の製品番号で販売されている;
ジメチルシリルオキシル又はポリジメチルシロキサン基、それは特にポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下でフュームドシリカを処理することにより得られる。このように処理されたシリカはCTFA(第6版、1995年)によると「ジメチルシリル化シリカ」と呼ばれる。それらは例えば「アエロジルR972(商標)」及び「アエロジルR974(商標)」の名でDegussa社により、及び「CAB−O−Sil TS−610(商標)」及び「CAB−O−Sil TS−720(商標)」の表示の下でCabot社により販売されている、
であり得る。
【0137】
疎水性フュームドシリカは好ましくはナノメートル〜ミクロメートル、例えば5〜200nmの範囲の粒子サイズを有する。
【0138】
ポリマー状、有機親油性ゲル化剤は、例えば3次元構造の、部分的又は全体的に架橋されたエラストマー状オルガノポリシロキサン、例えば「KSG6(商標)」、「KSG16(商標)」、及び、「KSG18(商標)」の名称で信越化学工業社より販売されているもの、「Trefil E−505C(商標)」及び「Trefil E−506C(商標)」の各名称でダウコーニング社より販売されているもの、「Gransil SR−CYC(商標)」、「SR DMF10(商標)」、「SR−DC556(商標)」、「SR 5CYCgel(商標)」、「SR DMF 10 gel(商標)」、及び「SR DC 556 gel(商標)」の各名称でGrant Industries社より販売されているもの、及びGeneral Electric社製の「SF 1204(商標)」及び「JK 113(商標)」;エチルセルロース、例えば「Ethocel(商標)」の名称でDow Chemical社により販売されているもの;(α)少なくとも32の炭素原子を含む二カルボン酸から選択された少なくとも1の酸、例えばダイマー酸、及び(β)アルキレンジアミン、特にエチレンジアミンの縮合から得られるポリアミドタイプの重縮合体、該縮合体においてポリアミドポリマーは、12〜30の直鎖でありかつ飽和の炭素原子を含む、少なくとも1のモノアルコール又は1のモノアミンでエステル化又はアミド化された少なくとも1の末端カルボキシル基を含む、特にエチレンジアミン/ステアリルジリノレートコポリマー、例えばArizona Chemical社によりUniclear 100 VG(商標)の名前で販売されている製品;1糖類当たり1〜6、特に2〜4のヒドロキシル基を含み、飽和又は不飽和のアルキル鎖で置換されたガラクトマンナン、例えばC〜C、及び特にC〜Cのアルキル鎖でアルキル化されたグアーガム、及びそれらの混合物である。ポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエンタイプの「ジブロック」、「トリブロック」、又は「放射状」タイプのブロックコポリマー、例えばBASF社によりLuvitol HSB(商標)の名前で販売されている製品、又はポリスチレン/コポリ(エチレン‐プロピレン)タイプ、例えばShell Chemical Co社によりKraton(商標)の名前で販売されている製品、又はポリスチレン/コポリ(エチレン−ブチレン)タイプ、イソドデカン中のトリブロック及び放射状(星型)コポリマーの混合物、例えばPenreco社によりVersagel(商標)の名前で販売されている製品、例えばイソドデカン中のブチレン/エチレン/スチレントリブロックコポリマー及びエチレン/プロピレン/スチレン星型コポリマーの混合物(Versagel M 5960)。
【0139】
本発明に従う組成物において使用することができる親油性ゲル化剤の中で、デキストリン及び脂肪酸のエステル、例えばパルミチン酸デキストリン、特に「Rheopearl TL(商標)」又は「Rheopearl KL(商標)」の名称でチバフラワー社から販売されているものも挙げられる。
【0140】
フィルム形成性ポリマー
本発明の組成物は、特定の実施態様に従うと、少なくとも1のフィルム形成性ポリマーをもまた含みうる。
【0141】
フィルム形成性ポリマーは、本発明に従う組成物中に組成物の合計重量に対して0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜40重量%、よりよく1〜30重量%の範囲の固形分含有量で存在し得る。
【0142】
本発明において、用語「フィルム形成性ポリマー」とは自分自身で又はフィルム形成助剤の存在下、巨視的に連続しており、ケラチン繊維に接着するフィルム、好ましくは粘着性のあるフィルム、よりよくは、その粘着性及び機械的性質が、該フィルムが抗接着性表面、例えばテフロン(登録商標)又はシリコーンの表面に注ぐことにより製造されたとき単離されることができ、単独で扱われることが可能であるようなものであるフィルムを形成することのできるポリマーを意味することが意図される。
【0143】
本発明の組成物中で使用され得るフィルム形成性ポリマーの中で、合成ポリマー、ラジカルタイプ、又は重縮合体タイプ、天然起源のポリマー、及びそれらのブレンドが挙げられ得る。
【0144】
これらのフィルム形成性ポリマーは、好ましくは、上で定義されたポリ電解質とは異なる。
【0145】
脂溶性ポリマー
本発明に従う組成物の実施の変形に従うと、フィルム形成性ポリマーは、オイル又は有機溶媒、例えば上で記載されたものを含む液状脂肪相に溶解されたポリマーであってもよい(該フィルム形成性ポリマーは、従って脂溶性ポリマーと呼ばれる)。本発明の目的のために、用語「液状脂肪相」は、環境温度(25℃)及び大気圧(760mmHg、即ち10 Pa)において液状であり、環境温度において液状である1以上の脂肪物質、例えば一般的に互いに相溶性であるところの上で記載された複数のオイルからなる脂肪相を意味することが意図される。
【0146】
好ましくは、液状脂肪相は、場合によって非揮発性オイルとの混合物として揮発性オイルを含み、該オイルは、上で述べられたオイルから選択されることが可能である。
【0147】
脂溶性ポリマーの例として、ビニルエステル(ビニル基はエステル基の酸素原子に直接結合されており、ビニルエステルは直鎖又は分岐状、飽和の炭化水素をベースとする1〜19の炭素原子を含む基を有し、エステルのカルボニルに結合されている)及び少なくとも1の他のモノマーとのコポリマーが挙げられ得、該他のモノマーは、ビニルエステル(既に存在するビニルエステルとは異なるもの)、αオレフィン(8〜28の炭素原子を有するもの)、アルキルビニルエーテル(該エーテル中においてアルキル基は2〜18の炭素原子を含む)、又はアリル又はメタリルエステル(直鎖又は分岐状、飽和の炭化水素をベースとする1〜19の炭素原子を含みエステル基のカルボニルに結合された基)であってもよい。
【0148】
これらのコポリマーは、ビニルタイプ、又はアリルタイプ、又は、メタリルタイプのいずれかであり得る架橋剤、例えばテトラアリロキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート、及びジビニルオクタデカンジオエートで架橋されていてもよい。
【0149】
これらのコポリマーの例として、ビニルアセテート/アリルステアレート、ビニルアセテート/ビニルラウレート、ビニルアセテート/ビニルステアレート、ビニルアセテート/オクタデセン、ビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/アリルラウレート、ビニルプロピオネート/ビニルラウレート、ビニルステアレート/オクタデセン−1、ビニルアセテート/ドデセン−1、ビニルステアレート/エチルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/セチルビニルエーテル、ビニルステアレート/アリルアセテート、ビニル2,2−ジメチルオクタノエート/ビニルラウレート、アリル2,2−ジメチルペンタノエート/ビニルラウレート、ビニルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、アリルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルジメチルプロピオネート/ビニルラウレート、0.2%のテトラアリオキシエタンで架橋されたビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/アリルステアレート、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/オクタデセン−1、及び0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたアリルプロピオネート/アリルステアレートが挙げられ得る。
【0150】
脂溶性フィルム形成性ポリマーとして、脂溶性コポリマー、特に9〜22の炭素原子を有するビニルエステル又はアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート、ここでアルキル基は10〜20の炭素原子を有する、の共重合化から得られるものもまた挙げられ得る。
【0151】
そのような脂溶性コポリマーは、ポリ(ビニルステアレート)、ジビニルベンゼンで架橋されたポリ(ビニルステアレート)、ジアリルエーテル又はジアリルフタレートのコポリマー、ポリ(ステアリル(メタ)アクリレート)、ポリ(ビニルラウレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)のコポリマーから選択され得、これらのポリ(メタ)アクリレートはテトラエチレングリコール又はエチレングリコールジメタクリレートで架橋されることが可能である。
【0152】
上で定義された脂溶性コポリマーは公知であり、特にフランス国特許出願公開第2232303号に記載されている;該コポリマーは、2000〜500 000、好ましくは4000〜200000の範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0153】
本発明において使用されることができる脂溶性フィルム形成性ポリマーとして、ポリアルキレン、特にC〜C20アルケンのコポリマー、例えばポリブテン、C〜Cの飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状のアルキル基を有するアルキルセルロース、例えばエチルセルロース及びプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、及び特にビニルピロリドン及びC〜C40、よりよくはC〜C20アルケンのコポリマーが挙げられ得る。本発明において使用され得るVPコポリマーの例として、VP/ビニルアセテート、VP/エチルメタクリレート、ブチルポリビニルピロリドン(PVP)、VP/エチルメタクリレート/メタクリル酸、VP/エイコサン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、及びVP/アクリル酸/ラウリルメタクリレートのコポリマーが挙げられ得る。
【0154】
一般的にシリコーンオイルに可溶であるか、又は膨潤されることができ、架橋されたポリオルガノシロキサンポリマーであるところのシリコーン樹脂もまた挙げられ得る。シリコーン樹脂の命名法は、「MDTQ」として公知であり、樹脂は樹脂が含むところの種々のシロキサンモノマーユニットの関数として表現され、個々の文字「MDTQ」はユニットのタイプの特徴を表す。
【0155】
市販入手可能なポリメチルシルセスキオサン樹脂の例として、
Wacker社によりResin MKの製品番号で販売されているもの、例えばBelsil PMS MK;
信越社によりKR−220Lの製品番号で販売されているもの
が挙げられ得る。
シロキシシリケート樹脂として、トリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂、例えばGeneral Electric社によりSR1000の製品番号で販売されているもの、Wacker社によりTMS803の製品番号で販売されているものが挙げられ得る。信越社により“KF−7312J”の製品番号で販売されているところの、溶媒、例えばシクロメチコン中で販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂、又はDow Corning社製の“DC 749”又は“DC 593”もまた挙げられ得る。
【0156】
ポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンをベースとするポリアミド、例えば米国特許出願公開第5 874 069号、米国特許出願公開第5 919 441号、米国特許出願公開第6051 216号及び米国特許出願公開第5 981 680号に記載されたものもまた使用されることができる。
【0157】
これらのシリコーンポリマーは、以下の2個のファミリー:
1) 水素結合を形成できる少なくとも2個の基を含み、これらの2個の基は、ポリマーの鎖の中に配置されているポリオルガノシロキサ、及び/又は
2) 水素結合を形成できる少なくとも2個の基を含み、これらの2個の基はグラフト又は分岐枝に配置されているポリオルガノシロキサン、
に属し得る。
【0158】
本発明の実施態様に従うと、フィルム形成性ポリマーは好ましくは、少なくとも1の第一ブロック及び異なるガラス転移点(Tg)を有する第二ブロックを含むフィルム形成性直鎖ブロックエチレン性ポリマーであり、該第一及び第二ブロックは第一ブロックを構成する少なくとも1のモノマー及び第二ブロックを構成する少なくとも1のモノマーを含む中間ブロックにより結合されている。
【0159】
有利に、ブロックポリマーの第一及び第二ブロックは互いに非相溶性である。
【0160】
そのようなポリマーは、例えば欧州特許出願公開第1411069又は国際特許出願国際公開第 04/028488号に記載されている。
【0161】
水溶性ポリマー
本発明に従う組成物の実施態様の別の変形に従うと、フィルム形成性ポリマーは水溶性ポリマーであり得、組成物の水性相に存在し得る:ポリマーは従って組成物の水性相に溶解されている。水溶性フィルム形成性ポリマーの例として、以下のものが挙げられ得る:
たんぱく質、例えば植物起源のたんぱく質、例えば小麦タンパク又は大豆タンパク;動物起源のたんぱく質、例えばケラチン、例えばケラチン加水分解物、及びスルホンケラチン;
セルロースポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース又はエチルヒドロキシエチルセルロース;
アクリルポリマー又はコポリマー、例えばポリアクリレート又はポリメタクリレート;
ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルマレイン酸無水物のコポリマー、ビニルアセテート及びクロトン酸のコポリマー、ビニルピロリドン及びビニルアセテートのコポリマー;ビニルピロリドン及びカプロラクタムのコポリマー;ポリビニルアルコール;
天然起源の、場合により変性されたポリマー、例えば:
アラビアガム、グアーガム、キサンタン誘導体、カラヤガム;
アルギネート及びカラギーナン;
グリコサミノグリカン、及びヒアルロン酸、及びその誘導体;
セラック樹脂、サンダラックガム、ダマール樹脂、エレミガム、及びコーパル樹脂;
デオキシリボ核酸;
ムコ多糖類例えば硫酸コンドロイチン、
及びそれらの混合物。
【0162】
天然起源のポリマー
場合により変性されていてもよい天然起源のポリマーは、セラック樹脂、サンダラックガム、ダマール樹脂、エレミガム、コーパル樹脂及びセルロースポリマー、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0163】
分散された形態のポリマー
フィルム形成性ポリマーは、水性相又は非水性溶媒相中に分散された粒子の形態で組成物中に存在してもよく、一般的にラテックス、又は擬似ラテックスとして公知である。これらの分散物を製造する技術は当業者に周知である。
【0164】
a)水性分散物
フィルム形成性ポリマーの水性分散物として、Avecia−Neoresin社によりNeocryl XK−90(商標)、Neocryl A−1070(商標)、Neocryl A−1090(商標)、Neocryl BT−62(商標)、Neocryl A−1079(商標)及びNeocryl A−523(商標)の名前で、Dow Chemical社によりDow Latex 432(商標)の名前で、Daito Kasey Kogyo社によりDaitosol 5000 AD(商標)又はDaitosol 5000 SJ(商標)名前で販売されているアクリル分散物;Interpolymer社製のSyntran 5760(商標)、Rohm and Haas社製Allianz Opt(商標)、あるいはAvecia−Neoresins社によりNeorez R−981(商標)及びNeorez R−974(商標)の名前で販売されているポリウレタンの水性分散物、Goodrich社製のAvalure UR−405(商標)、Avalure UR−410(商標)、Avalure UR−425(商標)、Avalure UR−450(商標)、Sancure 875(商標)、Sancure 861(商標)、Sancure 878(商標)及びSancure 2060(商標)、Bayer社製のImpranil 85(商標)、Hydromer社製のAquamere H−1511(商標);Eastman Chemical Products社により商標Eastman AQ(商標)の名前で販売されるスルホポリエステル、ビニル分散物、例えばMexomere PAM(商標)、ポリビニルアセテートの水性分散物、例えばNisshin Chemical社製の“Vinybran(商標)”又はUnion Carbide社により販売されている製品、ビニルピロリドンの水性分散物、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド及びラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロリドターポリマー例えば、ISP製のStyleze W、ポリウレタン/ポリアクリル酸ハイブリッドポリマーの水性分散物、例えばAir Products社により“Hybridur(商標)”の製品番号で販売されているもの、又はNational Starch社製の“Duromer(商標)”、コア/シェルタイプの分散物:例えばAtofina社によりKynar(コア:フッ素化−シェル:アクリル)の製品番号で販売されているもの、又は米国特許第5188 899号に記載されているもの(コア;シリカーシェル:シリコーン)、及びそれらの混合物が使用され得る。
【0165】
b)非水性分散物
液状脂肪相中のグラフト化されたエチレン性、好ましくはアクリル、ポリマーの粒子もまた挙げられ得、該エチレン性ポリマーは、特に国際特許出願国際公開第04/055081号に記載されているように、粒子の表面になんらの追加の安定化剤の存在なしに有利に分散されている。
【0166】
本発明に従う組成物は、フィルム形成性ポリマーによるフィルムの形成を促進する可塑剤を含んでいてもよい。そのような可塑剤は、所望される機能を発揮できるように、当業者に公知であるすべての化合物から選択され得る。
【0167】
この点に関して、イソドデカン中のアクリル分散物、例えばChimex社製のMexomere PAP(商標)が挙げられ得る。
【0168】
染料
本発明に従う組成物は少なくとも1の染料、例えば粉体染料、脂溶性染料、及び水溶性染料をもまた含み得る。
【0169】
粉体染料は、顔料及び真珠層剤から選択され得る。
【0170】
顔料は、白又は着色された鉱物又は有機の、被覆された又は被覆されていないものであることができる。鉱物性顔料の中では、場合により表面処理されていてもよい二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、また酸化鉄若しくは酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、及びクロム水和物、第二鉄青が挙げられる。有機顔料の中では、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、コチニールカーミンまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウムに基づくラック染料が挙げられ得る。
【0171】
真珠層剤は、白色真珠層顔料、例えばオキシ塩化チタン又はビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠層顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特に第二鉄青又は酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、上述の有機顔料で被覆されたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠層顔料から選ばれてよい。
【0172】
脂溶性染料は、例えばスーダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β−カロテン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロ11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエロー、及びアナトーである。
【0173】
これらの染料は、組成物の合計重量に対して 0.01〜30重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0174】
フィラー
本発明に従う組成物は、少なくとも1のフィラーをもまた含み得る。
【0175】
これらのフィラーは、当業者に周知であり、化粧料組成物において一般的に使用されるものから選択され得る。フィラーは鉱物質又は有機物であってもよく、ラメラ又は球形であってもよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、例えばAtochem社によりOrgasol(商標)の名前で販売されているNylon(商標)、ポリ−β−アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマーの粉末、例えばTeflon(商標)、ラウロイルリジン、澱粉、窒化ホウ素、膨張されたポリマー状中空微小球、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリル、例えばNobel Industrie社により名前Expancel(商標)で販売されている製品のもの、アクリル粉末、例えばDow Corning社によりPolytrap(商標)の名前で販売されているもの、ポリ(メチルメタクリレート)粒子及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば東芝製Tospearls(商標))、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び重炭酸マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、中空シリカ微小球(Maprecos製のシリカビーズ(商標))、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル、8〜22、特に12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、又はミリスチン酸マグネシウム、及び塩化ビニリデン/アクリロニトリル/メチルメタクリレートコポリマー又はアクリロニトリルホモポリマーコポリマーの膨張されていない微小球、例えばAkzo Nobel社によりExpancel(商標)820DU及びExpancel(商標)007WUの製品番号でそれぞれ販売されているものが挙げられ得る。
【0176】
フィラーは、該組成物の合計重量に対して0.1〜25重量%、特に1〜20重量%の範囲の含有量において存在し得る。
【0177】
ファイバー
本発明に従う組成物は、組成物がマスカラであるとき、特に長くする効果の改善を可能にするファイバーをもまた含み得る。
【0178】
用語「ファイバー」は、長さL及び直径Dの物体であって、LがDよりずっと大きい物体を意味し、Dはファイバーの断面が内接されるところの円の直径である。特にL/D比(即ち形状係数)が3.5〜2500、特に5〜500、より特に5〜150の範囲で選択される。
【0179】
本発明の組成物で使用されることができるファイバーは、合成若しくは天然、鉱物起源若しくは有機起源であってもよい。それらは短くても又は長くてもよく、個別であっても、組織化、例えば編みこまれていてもよく、かつ中空又は中実であってもよい。ファイバーはいずれの形状をも有し得、意図される特定の用途に依存して、特に円形又は多角形(四角、六角、又は八角)の断面を有し得る。特にその末端は怪我を避けるために先端が丸くても、及び/又は磨かれていてもよい。
【0180】
特に、ファイバーは1μm〜10mm、特に0.1mm〜5mm、より特に0.3mm〜3.5mmの範囲の長さを有する。その断面は、2nm〜500μm、特に100nm〜100 μm、より特に1μm〜50μmの範囲の直径の円の中に入り得る。ファイバーの重さ即ちヤーン数は、しばしばデニール又はデシテックスで与えられ、9kmのヤーン当たりのグラムで表された重量を表す。本発明に従うファイバーは、特に0.15〜30デニール、特に0.18〜18デニールの範囲から選択されたヤーン数を有する。
【0181】
本発明の組成物において使用されることができるファイバーは、堅いファイバー又は堅くないファイバーから選択され得、そして合成又は天然、鉱物起源、又は有機起源であってもよい。
【0182】
さらに、ファイバーは、表面が処理されていてもいなくてもよく、被覆されていても、いなくてもよく、着色されていても、又は着色されていなくてもよい。
【0183】
本発明に従う組成物において使用されることができるファイバーとして、堅くないファイバー、例えばポリアミド(Nylon(登録商標))ファイバー又は堅いファイバー、例えばポリイミドアミドファイバー、例えばRhodia社によりKermel(登録商標)及びKermel Tech(登録商標)の名前で販売されているもの、又はDupont de Nemours社によりKevlar(商標)の名前で販売されているポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(又はアラミド)ファイバーが挙げられ得る。
【0184】
該ファイバーは、組成物の全重量に対して、0.01から10重量%、好ましくは0.1から5重量%、より好適には0.3から3重量%の範囲の含量で、本発明に係る組成物中に存在して良い。
【0185】
化粧的に活性な剤
本発明に従う化粧料組成物は、化粧料において慣用的に使用されるすべての成分をさらに含み得る。これらの成分は特に、ポリマー、特に固定化ポリマー;毛髪コンディショニング剤;不透明化剤、香料;増粘剤;ゲル化剤;毛髪染料;シリコーン樹脂;シリコーンガム;保存剤;抗酸化剤;化粧活性剤;サンスクリーン;pH安定化剤;ビタミン;モイスチャライザー;殺菌剤;脱臭剤;セルフタンニング化合物、及びそれらの混合物から選択され得る。これらの種々の成分の量は、関連する分野で慣用的使用されているものであり、例えば組成物の合計重量に対し、0.01%〜20%である。
【0186】
配合
本発明に従う組成物は、液状、ペースト状、固体、ムース、又はスプレーの形態であってもよい。無水の組成物であってもよい。
【0187】
本発明に従う組成物は、ヒトの皮膚、口唇及び/又はケラチン繊維をメイクアップするために使用され得る。即ち該組成物は、体又は顔のメイクアップ組成物、例えばファンデーション、口紅、口唇ケア製品、爪のニス、ネイルケア製品、マスカラ又はアイライナー、毛髪ケア組成物、例えば毛髪染色組成物;アンチサン組成物;毛髪を染色すること、脱色すること、毛髪にパーマをかけること、又は縮毛をのばすことの前又は後に、又はパーマ又は縮毛をのばす操作の2つのステップの間に施与されるべき洗い流す組成物;ヘアスタイルを保持するための毛髪用組成物、例えばスタイリングラッカー、ゲル、ムース、又はスプレーとして特定の用途を見出す。
【0188】
本発明の好ましい側面に従うと、該組成物は口紅の形態、又は顔色調整製品、特にファンデーションタイプ、又はマスカラの形態である。
【0189】
方法
すべての場合、本発明に従う組成物は、当業者に公知の方法に従って製造され得る。
【0190】
ケラチン繊維をメイクアップすることを意図された組成物の場合、本発明に従う組成物を製造する方法は、所望されるマスカラのタイプに依存する。それは、特に使用されるワックスの性質にもまた依存する。
【0191】
本発明の課題は、ケラチン繊維をメイクアップするための及び/又は非治療的なケアの方法でもあり、該方法において、上で定義された洗い流さない組成物が該ケラチン繊維、特に睫に施与される。
【0192】
本発明の組成物は特に、ブラシ又は櫛を使用して睫に施与される。
【0193】
本発明の組成物を使用してメイクアップを濃くする効果は、該組成物を施与するための道具を最も詳細に選択することによりさらに強化され得る。
【0194】
本件の場合、睫をメイクアップする場合、フランス国特許出願公開第2 701 198号、フランス国特許出願公開第2 605 505号、欧州特許出願公開第792603号及び欧州特許出願公開第 663 161号に記載されたようなメイクアップブラシで該組成物を施与することが特に有利である。
【0195】
本発明に従う組成物は、該組成物を含む少なくとも1のコンパートメントの境界を画する容器であって、閉じる部材により閉じられている容器に入れられていてもよい。
【0196】
容器は好ましくは、特に、撚られたワイヤーにより保持された歯の配列を含むブラシの形態におけるアプリケーターと結合されている。そのような撚られたブラシは、特に米国特許第4887 622号に記載されている。特に成形により得られた複数のアプリケーション部材を含む櫛の形であってもよい。そのような櫛は、例えばフランス国特許出願公開第2796 529号に記載されている。アプリケーターは、例えばフランス国特許出願公開第2 761 959号に記載されたように容器にしっかり結合されていてもよい。有利には、アプリケーターは、それ自身が閉じる部材にしっかりと結合されているシャフトにしっかりと結合されている。
【0197】
閉じる部材は、容器にねじ込むことにより結合されていてもよい。あるいは、閉じる部材と容器との間の結合は、ねじ込むこと以外、特にバイオネット機構、クリック締め(click-fastening)、又はしっかりと締めること(tightening)により行われる。用語「クリック締め」は、特に閉じる部材の一部の弾性的変形による材料のリム又はビーズの通過、続いて、リム又はビーズが通過された後、該部分の弾性的に歪を受けていない位置へ戻ることを含む任意の系を意味することが意図される。
【0198】
容器は少なくとも部分的に熱可塑性物質からできていてもよい。熱可塑性物質の例として、ポリプロピレン又はポリエチレンが挙げられ得る。
【0199】
あるいは、容器は非熱可塑性物質、特にガラス又は金属(又は合金)でできている。
【0200】
容器は、好ましくは容器の開き口の部分に配置されたドレーナーを備えられている。そのようなドレーナーは、アプリケーター、場合により、それにアプリケーターがしっかりと結合されている可能正のあるところのシャフトを拭うことを可能にする。そのようなドレーナーは、例えばフランス国特許出願公開第2792618号に記載されている。
【0201】
上述の特許又は特許出願の内容は、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0202】
以下の実施例は、本発明の非制限的な例示により示される。他に明記されない限り、量はグラムで与えられる。
【実施例】
【0203】
以下の試験が耐水性を評価するために使用された。
【0204】
I−耐水性及び浸漬によるメイクアップ除去の評価試験
【0205】
試料及びメイクアップの施与
つけ睫の試料が、真っ直ぐな黒色のコーカサス人の毛髪で、房の長さ19mmで作られた。該房は、30mm×30mmの板の間にマウントされた。
【0206】
該毛髪は、マスカラブラシを用いて、2分の休憩により分離された10回の塗りを3回実行することにより試験組成物でメイクアップされた。
【0207】
組成物は環境温度(25℃)において1時間乾燥するままに放置された。
【0208】
試験の説明
試料は、4分間水に浸漬された。フィルムの分解の外観(膨張、不規則性、はがれ、等)が目視により観察され、この現象の開始に対応する時刻がメモされた。
【0209】
時刻tは、試料上の マスカラのフィルムが視覚的に変化し始める開始時間に対応する。
【0210】
II−乾燥したコットンウール上のメイクアップ除去の評価のための試験
上述された試験Iに使用された試料は、次に10秒間コットンウールの中に挟まれ、該コットンウールは次に該標本からメイクアップを除去するために引っ張られた。次に、コットンウール及び睫の上のマスカラの量を評価することにより、メイクアップ除去の効率が記録された。
【0211】
実施例1:ワックスをベースとするマスカラ
組成物A

【0212】
組成物Aおよび少なくとも1のポリ電解質、及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含む組成物は、これらの成分を下の表1に与えられた割合で混合することにより製造される。
【0213】
耐水性及び/又はメイクアップ除去挙動の結果が下の表Iに与えられる。
【0214】


(1)Simulgel 600(商標)は以下を含む:
4%のアクリルアミド/アクリルアミド−2−メチルプロパン硫酸ナトリウムコポリマー、
0.7%のポリソルベート80、
2.1%のイソヘキサデカン、
2.95%の水、
0.25%のソルビタンオレエート。
【0215】
実施例2:
2.1カルナウバワックスのマイクロ分散物
以下の粗製を有するカルナウバワックスのマイクロ分散物が製造された:

【0216】
ワックス及び界面活性剤は中位の攪拌で混合物を均一にしながら90℃に加熱された。次に、90℃に加熱された水が、攪拌を続けながら、取り込まれた。混合物は環境温度に冷却され、エタノールが添加されて、約170nmの平均粒子直径を有するワックスのマイクロ分散物を得た。
【0217】
2.2ワックスをベースとするマスカラ

【0218】
この配合は、良好な耐水性を示し、水性相を有するメイクアップ除去剤、例えば製品番号Effacilsで販売されている製品で容易に除去される。
【0219】
実施例3:25℃において6以上のHLBを有するノニオン性界面活性剤の存在の影響
組成物

【0220】
耐水性及びメイクアップ除去を評価する試験の結果

【0221】
トライアル11及び13、並びにトライアル12及び14の比較は、Tween 80 V(商標)の存在がメイクアップ除去を非常に明らかに改善することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質をメイクアップするための化粧料組成物であって、オイル状の連続相を有し、少なくとも1のポリ電解質、25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤、及び少なくとも1の染料を含む化粧料組成物において、ポリ電解質が分岐状である及び/又は架橋されていること、及び水及び/又は場合により存在していてもよい水溶性溶媒の含有量が、組成物の合計重量に対して50重量%未満であることを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
ケラチン繊維をメイクアップするための及び/又は非治療的ケアのための洗い流さない化粧料組成物であって、オイル状の連続相を有し、少なくとも1のポリ電解質及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含む化粧料組成物において、ポリ電解質が分岐状及び/又は架橋されていること、及び水及び/又は水溶性溶媒の含有量が場合により組成物の合計重量に対して50重量%未満であることを特徴とする化粧料組成物。
【請求項3】
ケラチン繊維をメイクアップするための及び/又は非治療的ケアのための洗い流さない化粧料組成物であって、オイル状の連続相を有し、少なくとも1のポリ電解質及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含む化粧料組成物において、ポリ電解質がアクリルアミド/2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸コポリマー、粉末状の架橋されたスターチグリコレート、ポリアクリレート、澱粉に基づくグラフト化されたコポリマー、イオン化可能な多糖類誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アルキルアクリレートコポリマー、AMPS(水性アンモニアで部分的に中和され、高度に架橋化されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、(架橋された又は架橋されていない)ポリオキシエチレン化されたAMPS/アルキルメタクリレートコポリマー、及びこれらの混合物から選択されること、及び好ましくはアクリルアミド/2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸コポリマー、ポリアクリレート、及びそれらコポリマーから選択されることを特徴とする化粧料組成物。
【請求項4】
ポリ電解質が、アクリルアミド/2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸コポリマー、ポリアクリレート、及びそれらのコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
ポリ電解質が、組成物の合計重量に対して、0.05重量%以上の含有量で存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
ポリ電解質が好ましくは、組成物の合計重量に対して、0.05〜15重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、混合されたイオン性およびノニオン性の界面活性剤、又はこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
界面活性剤が、組成物の合計重量に対して、0.1〜30重量%の範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤が、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたグリセロールエーテル、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪族アルコールエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、グリセロールエーテルのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪酸エステル、ソルビトールエーテルのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪酸エステル、ジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールベンゾエート、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのコポリマー、シリコーン界面活性剤、アミノ酸誘導体、C16〜C30脂肪酸塩、ポリオキシエチレン化された脂肪酸塩、リン酸エステル及びその塩、スルホスクシネート、アルキルエーテルサルフェート、イセチオネート、アシルグルタメート、アルキルイミダゾリジニウム及びアンモニウム塩、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
組成物の合計重量に対して40重量%以下の含有量で、水及び/又は水溶性溶媒を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
少なくとも1の揮発性オイルを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
組成物の合計重量に対して、20〜80重量%の範囲の量の揮発性オイルを含むことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
揮発性オイルが炭化水素をベースとするオイル、シリコーンオイル、又はフルオロオイル、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
ワックス及び半結晶性ポリマーから選択されることができる構造化剤をもまた含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
フィルム形成性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
染料をもまた含むことを特徴とする、請求項2〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
フィラー及び/又はファイバーをもまた含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1及び4〜17のいずれか1項に記載の組成物をケラチン物質に施与する少なくとも1のステップを含むことを特徴とする、ケラチン物質をメイクアップする化粧方法。
【請求項19】
ケラチン繊維をメイクアップするための及び/又は非治療的ケアのための化粧方法であって、請求項2〜17のいずれか1項に記載の洗い流さない組成物をケラチン繊維に施与する少なくとも1のステップを含むことを特徴とする化粧方法。
【請求項20】
請求項18又は19のいずれか1項に記載の方法に従って得られることのできるメイクアップを含む、メイクアップされた補助物。
【請求項21】
オイル状の連続相を有し、良好な耐水性を示し、容易に除去される、ケラチン物質をメイクアップするための化粧料組成物を製造する方法であって、少なくとも1のポリ電解質及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤の組み合わせの使用を含む方法。
【請求項22】
オイル状の連続相を有し、良好な耐水性を示し、容易に除去される、ケラチン繊維をメイクアップするための及び/又は非治療的なケアのための洗い流さない化粧料組成物を製造する方法であって、少なくとも1のポリ電解質及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤の組み合わせの使用を含む方法。

【公開番号】特開2006−176506(P2006−176506A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−356333(P2005−356333)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】