説明

容積均等化をともなう液圧式制御・調整システム

可動ピストン・シリンダ(3)により、ピストン側の圧力調整室(4)とピストン軸側の圧力調整室(5)に分けられる少なくとも1つの液圧シリンダ(1)と、作動液体を2つの液圧回路(39、40b)に同時に供給するハイドロポンプ・ユニット(2)から成る、作業用機械内の液圧消費側用の液圧式制御・調整システム。ハイドロポンプ・ユニット(2)の第1の接続側への第1の接続部(10)は、ピストン側の調整圧力室(4)にリンクされており、また、第1の回路(10)とともに液圧閉回路(39)を形成するハイドロポンプ・ユニット(2)の第2の接続側の第2の接続部(12)は、液圧シリンダ(1)のピストンロッド側の圧力調整室(5)に接続されている。ハイドロポンプ・ユニット(2)の第1の接続側は、ピストン側の圧力調整室(4)とピストン軸側の圧力調整室(5)との間の作動液体の量の差に対応する量の作動液体を持つピストン側の調整圧力室(4)に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、移動機械において、液圧式消費側用の液圧式制御・調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
定置機械や移動機械(例えば、ホイールローダ、発削機、フォークリフト又は液圧式リフト台)の液圧式駆動装置では、いくつかの液圧シリンダから成る差動シリンダが、一般に、調整要素として使用されている。液圧式駆動装置により駆動される定置機械又は移動機械の運動学的な移動位置と移動方向は、液圧シリンダ内での調整ピストンの移動位置と移動方向によって決定される。液圧シリンダ内での調整ピストンの移動位置と移動方向の調整は、荷重のサイズと荷重の方向に関して、発生する可能性のあるあらゆる荷重モーメントを考慮に入れて、構成されなければならない。
【0003】
特許文献1には、移動機械内のリフト機構を調整する液圧式制御装置が例示されている。それぞれの液圧シリンダ内での調整ピストンの移動位置と移動方向は、液圧シリンダの2つの調整圧力室内の作動液体の量を調整することで、制御される。液圧開回路では、定吐出量液圧ポンプ、あるいは、その吐出量に関して調整できるものが、この液圧回路に用いられている。液圧ポンプにより、液圧シリンダの2つの調整圧力室に吐き出される作動液体の量は、制御弁を介して設定される。この圧力を、液圧ポンプから液圧シリンダの2つの調整圧力室に至る液圧管路中の超過圧力に対して保護するために、一般に、液圧ポンプと制御弁との間に、圧力制御弁が設けられている。
【0004】
液圧シリンダの調整圧力室が、ピストンロッドに基づいて様々な容積を持つので、液圧ポンプの吐出流量を調整することで、液圧シリンダの2つの調整圧力室への作動液体の量を簡単に調整することは、閉回路においては不可能である。それゆえ、特許文献1の配置構成では、この閉回路ではなくて、開回路を設け、そこでは、液圧ポンプの2つの接続部と、液圧シリンダの2つの調整圧力室との間で、吐出しなければならない作動液体の量の差を、液圧タンクを介して、均等化している。作動液体の量の設定に用いられる、液圧ポンプと液圧シリンダとの間の制御弁の付加的な中間切換えだけが、作動液体の量の調整として利用できる。
【0005】
付加的な制御弁を、特許文献1の配置構成の開回路に使用して、液圧シリンダの調整圧力室へ流入する作動液体の量を調整するには、追加費用が必要である。このことに加えて、これらの制御弁の配置構成は、液圧ポンプの吐出流量の調整と比較して、液圧システムが非線形であるという事実のために、開回路中の作動液体の量の最適化調整に関して、かなり問題となり、それゆえ、設計にとっても、かなり面倒になる。
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0564939号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、本発明の目的は、この機械の液圧シリンダの2つの調整圧力室へ流入する作動液体の量の調整を、より面倒でないものとして形成し、また、設計の面でも、パラメータ表現の面でも、さらに簡単にすることができ、こうして、そのような調整に、より有利な調整特性を持たせるやり方で、請求項1の前提項による特徴を持つ液圧式制御・調整システムをさらに展開することである。
【0008】
本発明の目的は、請求項1の包括的な特徴とともに、これらの特徴づける設計構造を持つ液圧式制御・調整システムによって達成される。
【0009】
ある機械用の液圧駆動装置の液圧調整を、液圧ポンプの吐出流量の調整に変える作業は、制御弁を持つ開回路ではなくて、閉回路を採り入れることで、本発明による液圧式制御・調整システムにおいて行われる。液圧シリンダの2つの調整圧力室間の作動液体の量の差は、液圧閉回路中に吐出することができず、追加の液圧開回路により、本発明に従って供給される。この液圧開回路は、液圧シリンダの2つの調整圧力室間の作動液体の量の差に比例して、液圧閉回路の比例調整の一部として調整できる。このようにして、追加の制御弁を使用することなく、液圧開回路の液圧調整よりも面倒でないやり方で実行される液圧調整を実現できる。液圧ポンプ・ユニットを用いて、液圧開回路と液圧閉回路の2つの吐出流量調整システムを比例調整する作業は、構造的にも、制御技術の点からも、制御弁を用いる液圧開回路の液圧調整よりもずっと簡単に行うことができる。
【0010】
本発明の有利な形態は、従属クレームに引用されている。
【0011】
本発明による液圧式制御・調整システムの第1の実施形態では、液圧ポンプ・ユニットは、2つの液圧ポンプを用いて実現される。これら2つの液圧ポンプは、例えば、共通の軸を介して機械的に結合され、またそれぞれの場合に、液圧閉回路及び液圧開回路中に、この流量の作動液体を吐出する。液圧シリンダの2つの調整圧力室間の作動液体の量の差に対応する流量の作動液体を、液圧シリンダのピストン側の調整圧力室に供給し、また、この調整圧力室から、その対応する流量の作動液体を除去する作業は、このような目的で、液圧開回路の一部として液圧タンクに接続されている第2の液圧ポンプにより行われる。
【0012】
本発明による液圧式制御・調整システムの第2の実施形態では、液圧ポンプ・ユニットは、液圧閉回路と液圧開回路を、ただ1つの液圧ポンプに組み入れている分流(流量分割、current-divider)型アキシャル・ピストン・ポンプを用いて実現される。
【0013】
本発明による液圧式制御・調整システムのあらゆる実施形態は、液圧ポンプ・ユニットと液圧シリンダとの間に設けられた2つの作動管路間に圧力制御弁と戻り弁を備えて、この圧力を超過圧力から保護し、また、これら2つの作動管路中の量が低下すると、この量を均等化する。
【0014】
液圧シリンダ内での調整ピストンの停止位置がかなり長く続く場合には、上記2つの作動管路間の圧力制御弁と戻り弁の作動時に、液圧能力の低下がかなり長く続くことを避けるために、好ましくは、これら2つの作動管路間に、高圧制御式の圧力遮断弁が設けられる。この高圧制御式の圧力遮断弁は、調整ピストンが液圧シリンダ内の停止位置にある場合に作動して、この調整装置に対して制御圧力を下げ、従って、液圧ポンプ・ユニットが、その吐出流量において、ゼロに向けて制御されるようにし、また、その超過圧力が放圧されるようにしている。
【0015】
好ましくは、フィルタと冷却器を、液圧開回路中に設けて、作動液体を清浄にし、且つ冷却することがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態を図面に示して、以下でさらに詳しく説明する。
【0017】
図1には、液圧シリンダ1と液圧ポンプ・ユニット2から成る、ある機械内の液圧消費側用の本発明による液圧式制御・調整システムの回路図が示されている。移動可能に液圧シリンダ1内に収容されているものは、調整ピストン3であり、これは、液圧シリンダ1を、ピストン側の調整圧力室4とピストンロッド側の調整圧力室5に分ける。液圧ポンプ・ユニット2の第1の接続面(connecting face)6は、第1の作動管路7を経て、液圧シリンダ1のピストン側の調整圧力室4に接続されている。液圧ポンプ・ユニット2は、第1の液圧ポンプ7’と第2の液圧ポンプ8からなっており、これらの液圧ポンプは、軸9を介して機械的に互いに結合されている。
【0018】
液圧ポンプ・ユニット2の第1の接続面は、第1の液圧ポンプ7’の第1の接続部10と、第2の液圧ポンプ8の第3の接続部11から構成されている。第1の液圧ポンプ7’の第2の接続部12は、第2の作動管路13を介して、液圧シリンダ1のピストンロッド側の調整圧力室5に接続されている。第2の液圧ポンプ8の第4の接続部14は、液圧管路15を介して、第1の液圧タンク16に接続されている。第1の液圧ポンプ7’は、ポンプ調整装置17を介して、作動液体の流量に関して調整できる。第2の液圧ポンプ8も同様に、ポンプ調整装置18を介して、作動液体の流量に関して調整できる。2つのポンプ調整装置(17と18)は、機械式、液圧式、空気式又は電気式に付加的に動かすことができる。
【0019】
第1の作動管路7中に超過圧力がある場合には、その入力部32が第1の作動管路7に接続されている第1の圧力制御弁19が開く。第1の圧力制御弁19の第1の制御接続部20には、液圧接続管路21を介して、第1の作動管路7中の圧力が加えられる。第1の作動管路7中の許容最高圧力を設定することができる調整ばね23の押圧力は、第1の制御接続部20に関して、第1の圧力制御弁19の作用点22に加えられる。第1の圧力制御弁19の出力部33の圧力は、液圧接続管路31を介して第1の圧力制御弁19の出力部33に接続されている制御接続部30’にて、調整ばね23の押圧力と同一の効果的な方向に作用する。第1の作動管路7中に超過圧力がある場合に第1の圧力制御弁19を開く動作は、第1の圧力制御弁19の入力部32と出力部33との間の圧力の低下が、調整ばね23上に設定された最大押圧力よりも大きければ、行われる。第1の圧力制御弁19を開くと、第1の圧力制御弁19と第2の作動管路13との間で切り換えられる第1の戻り弁24を介して、第1の作動管路7中の超過圧力が第2の作動管路13中へ開放される。
【0020】
同様に、第2の作動管路13中に超過圧力がある場合には、入力部34が第2の作動管路13に接続されていて、且つ、第1の戻り弁24と並列して切り換えられる第2の圧力制御弁25が開く。第2の作動管路13中の圧力は、液圧接続管路27を介して、第2の圧力制御弁25の第1の制御接続部26に加えられる。第2の作動管路13中の許容最高圧力を設定することができる調整ばね29の押圧力は、第2の圧力制御弁25の作用点28に加えられる。第2の圧力制御弁25の出力部37の圧力は、液圧接続管路36を介して第2の圧力制御弁25の出力部37に接続されている制御接続部35にて、調整ばね29の押圧力と同一の効果的な方向に作用する。第2の作動管路13中に超過圧力がある場合に第2の圧力制御弁25を開く動作は、第2の圧力制御弁25の入力部34と出力部37との間の圧力の低下が、調整ばね29上に設定された最大押圧力よりも大きければ、行われる。第2の圧力制御弁25と第1の作動管路7との間で、且つ、第1の圧力制御弁19と並列して切り換えられる第2の戻り弁30を介して、第2の圧力制御弁25を開くと、第2の作動管路13中の超過圧力が第1の作動管路7中へ解放される。
【0021】
第1の液圧ポンプ7’は、液圧シリンダ1、及び第1の液圧管路7と第2の液圧管路13ともに、液圧閉回路39を構成している。第2の液圧ポンプ8は、液圧タンク16、タンク管路15、第1の作動管路7から成る開回路40Aを介して、液圧シリンダ1のピストン側の調整圧力室4に作動液体を供給する。
【0022】
液圧シリンダ1内の調整ピストン3は、液圧式駆動装置により駆動される機械の運動学的な所望の移動位置と移動方向により、動かされて、位置づけられる。液圧シリンダ1内で調整ピストン3を動かして、位置づけるためには、適切な量の作動液体を、吐出流量の調整によって、液圧ポンプ・ユニット2から液圧シリンダ1中に吐出する。液圧ポンプ・ユニット2の第1の液圧ポンプ7’は、第1の液圧ポンプ7’の吐出流量を調整するために、この比例調整の経路ごとに異なる容積変化に基づいて、液圧シリンダ1内の調整ピストン3の所定の移動及び位置づけに必要な量の作動液体を液圧シリンダ1に供給し、この吐出流量を調整することで、第2の液圧ポンプ8は、液圧シリンダ1のピストン側の調整圧力室4と、ピストンロッド側の調整圧力室5との間の作動液体の量の差に対応する流量の作動液体を、液圧タンク16を介して、液圧シリンダ1のピストン側の調整圧力室4に供給し、また、その対応する流量の作動液体を、この調整圧力室から除去する。このような場合、第2の液圧ポンプ8が、液圧シリンダ1内での調整ピストン3の所期の移動及び位置づけの間、第1の液圧ポンプ7’の作動液体の量に加えて、液圧シリンダ1内での調整ピストン3の所期の移動及び位置づけに必要となる量の作動液体と、ピストン側の調整圧力室4とピストンロッド側の調整圧力室5との間の作動液体の量の差とを確保するようなやり方で、第1の液圧ポンプ7’と第2の液圧ポンプ8との間の比例調整を形成する。
【0023】
図2には、ある機械内の液圧消費側用の本発明による液圧式制御・調整システムの第2の実施形態が示されている。図2に示される本発明による液圧式制御・調整システムの第2の実施形態では、また、以下のすべての実施形態では、図1に示される配置構成に対して同一の特徴要素には、同一参照記号が用いられている。
【0024】
図2に示される第2の実施形態では、液圧開回路40B中の第1の実施形態のタンク管路15の中ほどで切り換えられるものは、非可逆性補助ポンプ41である。非可逆性補助ポンプ41は、タンク管路15を、液圧ポンプ・ユニット2の第4の接続部14と非可逆性補助ポンプ41の高圧側の接続部42との間の液圧管路15Aと、非可逆性補助ポンプ41の低圧側の接続部43と液圧タンク16との間の液圧管路15Bとに分ける。非可逆性補助ポンプ41は、共通の軸9を介して、液圧ポンプ・ユニット2の第1の液圧ポンプ7’と第2の液圧ポンプ8に機械的に連結されている。
【0025】
液圧管路15Aは、第3の圧力制御弁45の入力部44に導かれている。第3の圧力制御弁45の出力部46は、液圧タンク16に接続されている。第3の圧力制御弁45の制御入力部48は、液圧接続管路49を介して、液圧管路15Aに接続されている。第3の圧力制御弁45のうち、制御入力部48と反対側にある第2の作用点50には、液圧管路15A中の最高圧力を設定することができる調整ばね51の押圧力が加えられる。
【0026】
液圧管路15A中の圧力が、調整ばね51により設定できる最高圧力を超えて上昇する場合には、第3の圧力制御弁45が開き、従って、第3の圧力制御弁45は、液圧管路15A中の圧力を、この設定できる最高圧力に制限する。これにより、第2の液圧ポンプ8の入力部の作動液体の圧力が、最高圧力に制限されることが保証される。ある量の作動液体が、第2の液圧ポンプ8を介して、液圧シリンダ1のピストン側の調整圧力室4から除去される場合には、液圧管路15A中の圧力が上昇する。液圧シリンダ1のピストン側の調整圧力室4から作動液体を除去するために、液圧管路15A中の圧力が、許容最高圧力を超えるまで、ますます上昇して、第3の圧力制御弁45が開き、それにより、液圧シリンダ1のピストン側の調整圧力室4から除去された作動液体を、液圧タンク16の中へ運び去ることができる。
【0027】
図3には、ある機械内の液圧消費側用の本発明による液圧式制御・調整システムの第3の実施形態が示されている。
【0028】
図3に示される第3の実施形態の液圧ポンプ・ユニット2は、2つの液圧回路、すなわち、第1の接続部10及び第2の接続部12を介する液圧閉回路39と、第3の接続部11及び第4の接続部14を介する液圧開回路40Bに作動液体を供給する二連液圧ポンプ52によって実現される。二連液圧ポンプ52は、好ましくは、共通のポンプ調整装置53を介して調整される分流型アキシャル・ピストン・ポンプ79である。
【0029】
ポンプ調整装置53の第1の調整圧力室54Aと第2の調整圧力室54B用の調整圧力は、吐出流量を制限するために液圧スロットル64Aと液圧スロットル64Bが挿入できる液圧管路55Aと液圧管路55Bを介して伝えられて、4/3ポート方向制御弁として構成された調整弁56において設定される。調整弁56の制御力は、第1の制御入力部57Aでは、調整ばね58Aと電気的に作動できる電磁石59Aとにより発生し、また、第2の制御入力部57Bでは、調整ばね58Bと電気的に作動できる電磁石59Bとにより発生する。調整弁56の入力部60Aは、吐出流量を制限するために液圧スロットル62が挿入される液圧接続管路61を介して、補助ポンプ41の送油接続部42に接続されている。調整弁56の出力部60Bは、液圧タンク16に接続されている。第1の制御入力部57Aと第2の制御入力部57Bの2つの電磁石59A及び59Bの電気的な作動に応じて、第1の調整圧力室54Aを調整圧力に連絡し、また、第2の調整圧力室54Bを液圧タンク16に接続するか、あるいは、その逆を行う。調整弁56の第3の中立位置では、第1の調整圧力室54Aと第2の調整圧力室54Bとの間の圧力を均等化する。
【0030】
第1の圧力制御弁19又は第2の圧力制御弁25を介して、超過圧力を放圧した結果として、液圧シリンダ1内での調整ピストン3の停止位置にて、本発明による液圧式制御・調整システムの液圧能力低下が、不必要に長い時間の間、続くことを避けるために、好ましくは、第1の作動管路7と第2の作動管路13との間に、圧力遮断弁65が設けられる。この圧力遮断弁65は、第1の作動管路7と第2の作動管路13との間で切り換えられる圧力シャトル弁66を含む。液圧シリンダ1内での調整ピストン3の停止位置のために、第1の作動管路7又は第2の作動管路13に超過圧力がある場合には、この超過圧力は、圧力シャトル弁66の出力部67に導かれる。圧力シャトル弁66の出力部67は、第4の圧力制御弁69の制御入力部68に接続されている。第1の作動管路7又は第2の作動管路13に超過圧力があるために、第4の圧力制御弁69の制御入力部68の圧力が、調整ばね71を用いて第4の圧力制御弁69の作用点70に設定できる最高圧力よりも高い場合には、第4の圧力制御弁69が開く。
【0031】
このようにして、調整弁56の入力部60Aは、第4の圧力制御弁69の入力部に導かれている液圧接続管路72を介して、第4の圧力制御弁69の出力部に近い液圧タンク16に接続されている。こうして、調整弁56の入力部60Aでのポンプ調整装置53用の調整圧力が減らされて、ポンプ調整装置53の調整ピストン74が、中立位置の方向に移される。その結果、二連液圧ポンプ52は、その吐出流量に関して調整し直されて、第1の作動管路7又は第2の作動管路13中の超過圧力が放圧される。第1の作動管路7又は第2の作動管路13中で、ある一定の圧力に達すると、圧力シャトル弁66が再び閉じ、従って、ポンプ調整装置53用の調整圧力を減らす処理が終了する。
【0032】
次に、本発明による液圧式制御・調整システムの第3の実施形態では、作動液体は、補助ポンプ41から、第1の圧力制御弁19と第2の圧力制御弁25との間、すなわち、第1の戻り弁24と第2の戻り弁30との間にある液圧接続管路38、及び送油管路75を介して、送られる。
【0033】
図4には、ある機械内の液圧消費側用の本発明による液圧式制御・調整システムの第4の実施形態が示されている。第4の実施形態は、第1の液圧ポンプ7’又は第2の液圧ポンプ8が、液圧閉回路39と液圧開回路40Bに別々に作動液体を供給する第2の実施形態に基づいているが、これと対照的に、液圧管路15B中には、液圧システム全体のために作動液体を清浄するフィルタ76を備えている。さらに、第3の圧力制御弁45と液圧タンク16との間の中ほどで切り換えられるものは、冷却器77である。冷却器77は、全液圧システム中の作動液体の冷却調整に配慮している。
【0034】
図5には、本発明による液圧式制御・調整システムの第5の実施形態が示されている。第5の実施形態は、共通の二連液圧ポンプ52が、液圧閉回路39と液圧開回路40Bに共通に作動液体を供給する第3の実施形態に基づいている。第5の実施形態では、第4の実施形態から類推して、フィルタ76は、液圧管路15B中で切り換えられ、また、冷却器77は、第3の圧力制御弁45と液圧タンク16との間で切り換えられる。
【0035】
図6には、本発明による液圧式制御・調整システムの第6の実施形態が示されている。第6の実施形態は、図4に示される第4の実施形態にほぼ対応している。しかしながら、第6の実施形態の補助ポンプ41は、調整可能なものとして実行される。これは、補助ポンプ41の吐出量を、それが、接続部14にて、液圧ポンプ8で求められる吐出量に正確に一致するように、合わせることができるという利点がある。それゆえ、求められない吐出量の供給は必要でない。特に、液圧ポンプ8がタンク16に作動液体を送り戻す場合には、補助ポンプ41の吐出量をゼロに戻すことができる。図6に示されるように、補助ポンプ41がさらに、可逆性液圧ポンプとして構成される場合には、補助ポンプ41は、タンク16に作動液体を送り出すことを、正に積極的にサポートできる。なぜなら、この場合、補助ポンプ41が、接続部42にて、作動液体を取り出して、接続部43を介して、タンク16に吐出するからである。
【0036】
図7には、本発明の第7の実施形態の例が示されている。この実施形態は、図5に示される実施形態にほぼ対応する。ただし、ここでもまた、補助ポンプ41が、その吐出量に関して調整できるが、好ましくは、正に可逆性のポンプであるという違いがある。このことから得られる利点は、図6を用いて上に説明された利点に合致する。
【0037】
本発明は、図示された実施形態には限定されない。特に、あらゆる実施形態のあらゆる特徴は、互いに有利に組み合わせることができる。例えば、停止位置遮断用の圧力遮断弁65も、図1、図2、図4に示される実施形態と同じやり方で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による液圧式制御・調整システムの第1の実施形態の回路図を示す。
【図2】本発明による液圧式制御・調整システムの第2の実施形態の回路図を示す。
【図3】本発明による液圧式制御・調整システムの第3の実施形態の回路図を示す。
【図4】本発明による液圧式制御・調整システムの第4の実施形態の回路図を示す。
【図5】本発明による液圧式制御・調整システムの第5の実施形態の回路図を示す。
【図6】本発明による液圧式制御・調整システムの第6の実施形態の回路図を示す。
【図7】本発明による液圧式制御・調整システムの第7の実施形態の回路図を示す。
【符号の説明】
【0039】
1 液圧シリンダ
2 液圧ポンプ・ユニット
3 調整ピストン
4 ピストン側の調整圧力室
5 ピストンロッド側の調整圧力室
6 第1の接続面
7 第1の作動管路
7’ 第1の液圧ポンプ
8 第2の液圧ポンプ
10 第1の接続部
11 第3の接続部
12 第2の接続部
13 第2の作動管路
14 第4の接続部
15、15A、15B 液圧管路
16 液圧タンク
19 第1の圧力制御弁
24 第1の戻り弁
25 第2の圧力制御弁
30 第2の戻り弁
38 液圧接続管路
39 液圧閉回路
40A、40B 液圧開回路
41 補助ポンプ
42 高圧側の接続部
43 低圧側の接続部
45 圧力制御弁
52 二連液圧ポンプ
53 ポンプ調整装置
65 高圧制御式圧力遮断弁
76 フィルタ
77 冷却器
78 第2の接続面
79 分流型アキシャル・ピストン・ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部でシリンダ・ピストン(3)を移動させることができ、且つ、ピストン側の調整圧力室(4)とピストンロッド側の調整圧力室(5)に分けられる少なくとも1つの液圧シリンダ(1)と、第1の接続面(6)上で第1の接続部(10)が前記ピストン側の調整圧力室(4)に接続されている液圧ポンプ・ユニット(2)とを有する液圧式制御・調整システムであって、
前記第1の接続部(10)とともに液圧閉回路(39)を形成する第2の接続部(12)が、前記液圧ポンプ・ユニットの第2の接続面(78)上で、前記液圧シリンダ(1)の前記ピストンロッド側の調整圧力室(5)に接続されていることと、
前記液圧ポンプ・ユニット(2)の前記第1の接続面(6)が、前記液圧シリンダ(1)の前記ピストン側の調整圧力室(4)に接続されて、前記ピストン側の調整圧力室(4)と、前記ピストンロッド側の調整圧力室(5)との間の作動液体の量の差に対応する量の作動液体を前記ピストン側の調整圧力室(4)に供給し、また、前記対応する量の作動液体を前記調整圧力室(4)から除去することを特徴とする液圧式制御・調整システム。
【請求項2】
前記液圧ポンプ・ユニット(2)の前記第1の接続面(6)が、前記ピストン側の調整圧力室(4)と、前記ピストンロッド側の調整圧力室(5)との間の作動液体の量の差に対応する量の作動液体を前記ピストン側の調整圧力室(4)に供給し、また、前記対応する量の作動液体を前記調整圧力室(4)から除去する第3の接続部(11)を有することを特徴とする請求項1に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項3】
前記第3の接続部(11)とともに液圧開回路(40A、40B)を形成する第4の接続部(14)が、前記液圧ポンプ・ユニット(2)の第2の接続面(78)上で、液圧管路(15)を介して液圧タンク(16)に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項4】
前記液圧ポンプ・ユニット(2)が、前記液圧閉回路(39)に作動液体を供給する第1の液圧ポンプ(7’)と、前記第1の液圧ポンプ(7’)に接続されて、前記液圧開回路(40A、40B)に作動液体を供給する第2の液圧ポンプ(8)からなることを特徴とする請求項3に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項5】
前記第2の液圧ポンプ(8)の作動液体の量が、前記第1の液圧ポンプ(7’)の作動液体の量に対する、前記ピストン側の調整圧力室(4)と前記ピストンロッド側の調整圧力室(5)との間の作動液体の量の差の比率で調整されることを特徴とする請求項4に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項6】
前記液圧ポンプ・ユニット(2)の前記第4の接続部(14)が、液圧管路(15A)を介して、補助ポンプ(41)の高圧側接続部(42)に接続されており、また、前記補助ポンプ(41)が前記液圧ポンプ・ユニット(2)に結合され、且つ、前記補助ポンプ(41)の低圧側接続部(43)が、液圧管路(15B)を介して前記液圧タンク(16)に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項7】
前記液圧ポンプ・ユニット(2)が、前記液圧閉回路(39)に作動液体を供給する第1の接続部(10)及び第2の接続部(12)と、前記液圧開回路(40A、40B)に作動液体を供給する第3の接続部(11)及び第4の接続部(14)を有する二連液圧ポンプ(52)から成ることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項8】
前記二連液圧ポンプ(52)が、分流型アキシャル・ピストン・ポンプ(79)であることを特徴とする請求項7に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項9】
前記二連液圧ポンプ(52)での作動液体送り圧力が、第4の接続部(14)と液圧タンク(16)との間で切り換えられる圧力制御弁(45)を介して、最高作動液圧力に制限されることを特徴とする請求項7に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項10】
前記液圧ポンプ・ユニット(2)を前記ピストン側の調整圧力室(4)に接続する第1の作動管路(7)に超過圧力があるか、あるいは、前記液圧ポンプ・ユニット(2)を前記ピストンロッド側の調整圧力室(5)に接続する第2の作動管路(13)に超過圧力がある場合には、それぞれの場合に、第1の圧力制御弁(19)又は第2の圧力制御弁(25)と、液圧接続管路(38)を介して前記第1の圧力制御弁(19)又は前記第2の圧力制御弁(25)に直列に切り換えられ、且つ、前記第1の作動管路(7)と前記第2の作動管路(13)との間で逆方向に切り換えられる第1の戻り弁(24)又は第2の戻り弁(30)とが開くことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項11】
前記第1の作動管路(7)に圧力の低下がある場合には、前記第2の戻り弁(30)が送り管路(75)に向けて開き、また、前記第2の作動管路(13)に圧力の低下がある場合には、前記第1の戻り弁(24)が前記送り管路(75)に向けて開くことを特徴とする請求項10に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項12】
前記液圧シリンダ(1)内に前記シリンダ・ピストン(3)の停止位置がある場合には、前記第1の作動管路(7)と前記第2の作動管路(13)との間で切り換えられる高圧制御式の圧力遮断弁(65)が作動して、ポンプ調整装置(53)に対して制御圧力を下げ、それにより、前記液圧ポンプ・ユニット(2)で吐き出される作動液体の量が、ゼロの方向に減らされることを特徴とする請求項10又は11に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項13】
前記フィルタ(76)が、前記補助ポンプ(41)の前記低圧側接続部(43)と前記液圧タンク(16)との間の中ほどで切り換えられることを特徴とする請求項6に記載の液圧式制御・調整システム。
【請求項14】
冷却器(77)が、前記液圧ポンプ・ユニット(2)の前記第4の接続部(14)と前記液圧タンク(16)との間の中ほどで切り換えられることを特徴とする請求項3に記載の液圧式制御・調整システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−506048(P2007−506048A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526589(P2006−526589)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010412
【国際公開番号】WO2005/028879
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(500055278)ブルーニンガウス ハイドロマティック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク (14)
【氏名又は名称原語表記】BRUENINGHAUS HYDROMATIK GMBH
【Fターム(参考)】