説明

容量結合式センサ装置

【課題】 高さ方向のレベルを連続的に検知可能であり、オフセット及び外乱の電気的影響を押さえることができる容量結合式センサ装置を提供する。
【解決手段】 円柱状の絶縁性の支持部材に配設された一対の送信電極5及び受信電極7と、これら送信電極5及び受信電極7の周端部を囲む接地されたシールド電極9とを有し、このシールド電極9とこれら送信電極5及び受信電極シールド電極9との間隙、及びこれら電極の表面は、密着した絶縁体で覆われ、電極間及び外部と電気的に絶縁されており、送信電極5に接続された高周波発信装置11から高周波電圧を印加し、容量結合した負荷の交流電流を受信電極7に接続されたダイオード15、17で倍電圧に整流し、抵抗器19とコンデンサ21の平滑回路で直流に変換し出力端子23から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量結合式センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容量結合式センサは、測定対象に対向して一対の電極を設け、電極間の容量結合により測定対象の静電容量を測定するものであり、湿度計や液面計などに利用されている。
【0003】
この種の容量結合式センサ装置として以下の提案がある。
国際公開第98/30922号公報に示す例では、板状ガラス窓の検知面と反対側の下面上に三つの平板上電極が配設された板状ガラス窓と、上面に接地シールド電極が形成された板状ガラス窓と、これら板状ガラス窓のそれぞれ、下面上の三つの平板上電極と、上面の接地シールド電極とを対向させ、二つの板状ガラス窓を分離してプラスチック板を挟んだサンドイッチ構造を有する差動式フロントガラス容量結合湿度センサが開示されており、三つの電極の各対となる電極間に接地シールド電極を設けることにより、三つの電極のうち中央の電極に対して電気的なガードリングを形成し、湿度零の基準点を示すオフセットを減少させている(特許文献1、14ページ、6行〜16行、FIG.3A、FIG.3B)。
【0004】
また特許第3432817号公報に示す例では、一平面上に平板上の、送信電極と、受信電極と、これらの電極間に接地シールド電極を配設したものを全体的に合成樹脂等の絶縁性の部材からなる保持体内に埋設し、検出面側の送信電極、受信電極及び接地シールド電極に対し他面側にノイズ防止用電極を埋設し、このノイズ防止用電極と接地シールド電極とを電気的に接続した構造の容量結合式センサ装置のセンサ部が開示されている(特許文献2、[0051]、[0052]、図14、図15及び図16を参照)。
【0005】
さらに特開平11−311562号公報に示す例では、管状構造体の表面に、複数の電極対を低水位側から高水位側に向かう基準線に沿って所定間隔で配置されており、各電極対についての静電容量を電気的に測定することにより、どの位置までが液体に満たされているかを認識でき、観測点の配置間隔の精度で水位測定を行うことができる水位センサが開示されている(特許文献3、要約書[解決手段]第4行から末行、[請求項1]及び図4)。
【0006】
【特許文献1】国際公開第98/30922号公報
【特許文献2】特許第3432817号公報
【特許文献3】特開平11−311562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記国際公開第98/30922号公報及び特許3432817号公報に示す例では、電極間に接地シールド電極を配設し、さらに、これらの電極をガードするシールド電極を設けて、このシールド電極と接地シールド電極とを電気的に接続することにより、オフセットを減少させ、容量結合する電極を電気的にガードしているが、いずれの電極も平板上であるため、隣接端及び電極面間のオフセットやノイズの原因となる接合容量を押さえるのに一定の限界があり、改善の余地がある。
【0008】
また上記特開平11−311562号公報に示す例では、電極対のある位置で水位が測定できるが、連続的に水位を測定するためには改善の余地がある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高さ方向のレベルを連続的に検知可能であり、オフセット及び外乱の電気的影響を押さえることができる容量結合式センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の容量結合センサ装置のうち請求項1記載の発明は、絶縁性の棒状支持部材の側面に配設された対をなす送信電極及び受信電極と、これらの電極の周端部と間隙を設けて棒状支持部材に配設された接地シールド電極と、これら受信電極、送信電極及び接地シールド電極の外周面を保護かつ絶縁する絶縁体と、送信電極に接続された高周波発信装置と、受信電極に接続された検波装置とを備え、送信電極及び受信電極と対面する負荷の静電容量を検知する構成を有している。
【0011】
さらに請求項2記載の発明は、上記構成に加え、棒状支持部材が中空棒状支持部材であって、絶縁体を介して送信電極、受信電極及び接地シールド電極をシールドして配設された接地可能な外周シールドを有する構成とした。
また請求項3記載の発明は、送信電極及び受信電極の一対を、複数個有していることを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、接地シールド電極が外周シールドと接続されていることを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、外周シールドがメッシュ状の導電体であることを特徴とする構成とした。
【0012】
請求項6記載の発明は、送信電極、受信電極及び接地シールド電極が中空棒状支持部材の側面の片側側面に配設されている構成を有している。
請求項7記載の発明は、外周シールドの底部を流体が出入り可能かつ電気的に閉じた構造にしたことを特徴とするものである。
請求項8記載の発明は、外周シールドの底部をメッシュ状のシールド円盤で電気的に閉じた構造にしたことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、検波装置がシールド電極及び受信電極のいずれかに設けられていることを特徴とするものである。
請求項10記載の発明は、物質の有無を検知するために使用するものである。
請求項11記載の発明は、物質の量を検知してレベルを検知するのに使用するものである。
請求項12記載の発明は、電気的にシールドされた容器内で使用することを特徴とするものである。
請求項13記載の発明は、電気的にシールドされていない容器内で使用することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の容量結合式センサ装置では、高さ方向に容量結合する対をなす電極が湾曲した構造であって、電極の周端部が接地シールド電極によりシールドされていることにより、オフセット及び外乱の影響が押さえられ、高さ方向の容量変化を極めて正確に検知することができるという効果を有する。
また外周シールドが設けられた容量結合センサ装置では、この外周シールドにより対地接合容量をなくすことができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1から図16に基づき、実質的に同一又は対応する部材には同一符号を用いて本発明による容量結合式センサ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明に係る実施形態1は、後述する外周シールドの無いタイプの容量結合式センサ装置である。
この容量結合式センサ装置は、被検出対象が容量結合させるものであれば種類を問わず検知可能である。例えば貯水タンクの水などの液体、ガソリンなどの燃料、薬液、天然ガスなどの気体、小麦粉などの粉体、粒状物、霧を含む大気などの混合物、湿度の高い大気等の容量検知に適用可能である。ここでは水などの液体を例にとって実施形態1を説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態1の概略外観図である。
図1を参照して、実施形態1に係る容量結合センサ装置10は、棒状の装置であり、容量結合センサ8を絶縁体11で覆ったものでシース型センサ装置である。
ここでは棒状として円柱状のものを例にとって説明する。
なお、図1において、2は出力端子線を、4はアース線を、6は入力端子線を示し、図1に示すような構造をシース型容量結合式センサ装置と呼ぶ。
【0017】
図2は、図1のA−A線断面図である。
図3は、実施形態1の電極構造を示す概略外観図である。
図2及び図3を参照して、実施形態1に係る容量結合式センサ装置10は、円柱状の絶縁性の支持部材3と、この支持部材3の側面に配設された一対の送信電極5及び受信電極7と、これら送信電極5及び受信電極7の周端部を囲む接地されたシールド電極9とを有し、このシールド電極9とこれら送信電極5及び受信電極シールド電極9との間隙、及びこれら電極の表面は、密着した絶縁体11で覆われ、電極間及び外部と電気的に絶縁されている。
なお、密着した絶縁体11で覆うとき、送信電極5と受信電極7との間隙に空気が封入されたままであってもよい。
【0018】
図3に示す例では、送信電極5の端部と受信電極7の端部とが対向する間隙だけでなく、円周方向のその他の端部に対してもシールド電極9が配設されているが、送信電極5の端部と受信電極7の端部とが対向する間隙だけにシールド電極9を設けるようにしてもよい。
このシールド電極9は送信電極5と受信電極7との端部間の接合容量をなくすためのものであり、このシールド電極9によりオフセット電流がなくなる。
また図3に示す例では、一対の送信電極5と受信電極7とを設けているが、対をなす送信電極及び受信電極を複数個設けるようにしてもよい。
【0019】
絶縁性の支持部材3及び絶縁体11は誘電率の小さいもので、送信電極5及び受信電極7と電気的に絶縁可能な材料であればよく、プラスチックやゴム、水密加工した木材などでもよい。
電極は導電性材料であればよく、例えば、薄い金属板、金属箔、導電性塗料、蒸着された金属膜などでもよい。
【0020】
ところで、送信電極5と受信電極7とが、例えば水を介して容量結合する場合、水の静電容量Cxと、送信電極5と絶縁体11との静電容量C1及び受信電極7と絶縁体11との静電容量C2とが直列に接続された構成となるため、Cxに比べ、C1及びC2が大きい方が望ましい。
したがって、C1及びC2を大きくするため、絶縁体11を薄くして容量結合を大きくするのがよい。
【0021】
また、支持部材3を介した送信電極5と受信電極7との間の静電容量C3は、被検出体の水の静電容量と並列に接続される構成となるため、Cxに比べ無視できるほどC3が小さい方が望ましい。
したがって、支持部材3はできるだけ誘電率の小さい材料であるのが望ましい。
また支持部材3は短い方がC3が小さくなるが、用途に応じ適宜に所定長さで設計することになる。
【0022】
さらに、送信電極5とシールド電極9との間の静電容量C4及び受信電極7とシールド電極9との間の静電容量C5が生じ得るが、高周波電圧を有効に被検出体に印加し、有効な出力電圧を得るためには、リーク電流を小さくし、容量結合をできるだけ小さくするのが望ましい。
【0023】
したがって、C4及びC5を小さくするため、送信電極5とシールド電極9との距離及び受信電極7とシールド電極9との距離を広くとるか、送信電極5と受信電極7との位置関係は同じでも、送信電極5と受信電極7との間のシールド電極9自体を細くして、実質的に距離を広くとるようにするのが望ましい。
【0024】
図4は実施形態1の電極構造の概略側面図であり、容量結合式センサ装置の回路例を合わせて示した図である。
図4を参照して、実施形態1に係る容量結合式センサ装置10は、送信電極5に接続された高周波発信装置11と、受信電極7に接続された検波装置13とを備え、シールド電極9はアースされている。
【0025】
検波装置13は、受信電極7とアース間に接続された第1のダイオード15と、受信電極7に接続された第2のダイオード17とアース間に接続にされた並列の抵抗器19及びコンデンサ21とを備え、出力端子23から計測された信号が出力されるようになっている。
【0026】
第1のダイオード15及び第2のダイオード17によって、受信電極7から出力される高周波電圧が倍電圧整流され、抵抗器19及びコンデンサ21による平滑作用によって直流電圧に変換される。
【0027】
このような検波装置13では、ダイオード17を除いた各電気要素の一方の端子がアースに接続されているため、これらの電気要素をシールド電極9及び受信電極7にまとめて半田などで接続してマウントすることができ、検波装置13自体のシールドがなくても容量検出感度は良好になる。
なお、ここでのシールドとは、計測する信号がノイズなど他からの影響を受けないようにするためのものである。
したがって、実施形態1では、シールド電極9及び受信電極7を電気要素の基板代わりに使用でき、検波装置13の信号線のシールドを不要にできる。
【0028】
次に実施形態1の作用について説明する。
図1及び図4を参照して、例えば貯水タンクに実施形態1に係るシース型容量結合センサ装置10を深さ方向に設置し、高周波発信装置11から、例えば2MHzの高周波電圧を印可する。この高周波電圧により貯水タンクの水を静電容量負荷として送信電極5と受信電極7とが容量結合し、交流電流が流れる。この交流電流を検波装置13により直流電圧として出力する。
【0029】
貯水タンクの水の量、即ち液面の高さによりシース型容量結合センサ装置10が検出する水の静電容量が異なるため、静電容量の変化を液面の高さに対応した直流電圧値として検出することになる。
【0030】
このとき送信電極5と受信電極7とがシールド電極9によりシールドされてオフセット電流がないため、被検出対象の正確な静電容量変化を検出することができる。
さらに送信電極5、受信電極7及びシールド電極9が円柱の側面に湾曲を持って配設され、各電極の端部を対向させて配設させているため、平面上に配設した従来の平板上の電極構成に比べ、絶縁体11を介した各電極間の接合容量を小さくすることができる。
したがって、本実施形態1に係るシース型容量結合センサ装置10では、水などの液面の高さを正確に検出することができる。
【0031】
なお、シース型容量結合センサ装置10を液面計などのレベルゲージとして使用する場合は、対地接合容量の影響を避けるために、電気的にシールドされているタンクで使用するか、鉄板製のタンクで使用するのが効果的である。
【0032】
次に実施形態2について説明する。
実施形態2も実施形態1と同様に、中空棒状として中空円柱状のもので水などの液体を例にとって説明する。
図5は実施形態2に係る容量結合センサ装置の概略外観図である。
図5を参照して、実施形態2に係る容量結合センサ装置30は、中空円柱状の支持部材31の側面に容量結合センサ38を配設して絶縁体で覆ったもので、中空部42に水などの被検出対象物が満たされるようになっている。
なお、図5において、32は出力端子線を、34はアース線を、36は入力端子線を示し、図5に示すような構造を円筒型容量結合センサ装置と呼ぶ。
【0033】
図6は、図5のB−B線断面図である。
図7は、図5に示す容量結合センサ装置電極構造の上部透視図である。
図8は、実施形態2の電極構造を示す概略外観一部断面図である。
【0034】
図6及び図8を参照して、実施形態2に係る容量結合センサ装置30は、中空円柱状の絶縁性支持部材31と、この支持部材31の側面に配設された一対の送信電極33及び受信電極35と、これら送信電極33及び受信電極35の周端部を囲んで接地されたシールド電極37と、このシールド電極37と送信電極33及び受信電極35との間隙、及びこれらの電極の表面に密着して覆う円筒状の絶縁体39と、この円筒状の絶縁体39に密着して覆って配設され、かつ、シールド電極37に電気的に接続された外周シールド41と、この外周シールド41を密着して覆う絶縁体43とを備えている。
【0035】
なお、図6中、42は中空部を示し、図7中の44は開口部を示す。この開口部44は実施形態2に係る容量結合センサ装置の底部、すなわち、円筒状の支持部材31の下端の開口部と同一形状である。
【0036】
図8に示す例では、送信電極33の端部と受信電極35の端部とが対向する間隙だけでなく、円周方向のその他の端部に対してもシールド電極37が配設されているが、送信電極33の端部と受信電極37の端部とが対向する間隙だけにシールド電極37を設けるようにしてもよい。
【0037】
このシールド電極37の作用効果は実施形態1と同様である。
また、外周シールド41はシールド電極37と接続されているが、接続しないで、外周シールド41を別途アース線に接続するようにしてもよい。
この外周シールド41は、円筒型容量結合センサ装置30の外部との接合容量、例えば、対地接合容量を排除するのに効果的である。
【0038】
さらに、図8に示す例では、一対の送信電極33及び受信電極35を設けているが、複数対設けてもよい。
支持部材31、送信電極33、受信電極35、シールド電極37及び外周シールド41の材質は、実施形態1と同様である。
なお、外周シールド41はメッシュ状でもよい。
【0039】
図9は実施形態2の変形例の電極構造を示す図である。
図9に示すように、変形例の電極構造40は、送信電極43、受信電極45及びシールド電極47が実施形態2の電極構造を概略、縦方向に半分に割ったタイプのもので、送信電極43と受信電極45の対向していない送信電極端部52,受信電極端部54の周りにも間隙をあけてシールド電極が設けられている。
このタイプの作用効果は実施形態2と同様である(作用効果は後述する)。
【0040】
ところで、送信電極33と受信電極35とが円筒内の、例えば水を介して容量結合する場合、円筒状の支持部材の静電容量C0が水の静電容量Cxと直列に接続された構成となるため、Cxに比べCoが大きい方が望ましい。
したがって、Coを大きくするため、支持部材31を薄くして容量結合を大きくするのがよい。
【0041】
次に実施形態2の作用を説明する。
なお、実施形態2の変形例も合わせて説明する。
図10は実施形態2に係る円筒型容量結合センサ装置の機能ブロック図である。
図10における発振部51は、実施形態1の高周波発信装置11に対応し、検波部53及び平滑部55は実施形態1の検波装置13に対応し、その作用も外周シールド41を除いて基本的に同様である。
【0042】
図5を参照して、先ず、例えば貯水タンクに実施形態2に係る円筒型容量結合センサ装置30を深さ方向に設置すると、水が円筒状の支持部材31の中空部42に満ちる。
次に、図10を参照して、円筒型容量結合センサ装置30の発振部51から、例えば2MHzの高周波電圧を印可する。この高周波電圧により貯水タンクの水を静電容量負荷として送信電極33(送信電極43)と受信電極35(受信電極45)とが容量結合し、交流電流が流れる。この交流電流を検波部53で検出し、平滑部55で整流して直流電圧として出力する。
【0043】
貯水タンクの水の量、即ち液面の高さにより円筒型容量結合センサ装置30が検出する水の静電容量が異なるため、静電容量の変化を液面の高さに対応した直流電圧値として検出することになる。
【0044】
このとき、図8及び図9を参照して、送信電極33(送信電極43)と受信電極35(受信電極45)とがシールド電極37(シールド電極47)によりシールドされているのでオフセット電流がない。
さらに送信電極33(送信電極43)、受信電極35(受信電極45)及びシールド電極37(シールド電極47)が円筒の側面に湾曲を持って配設され、各電極の端部を対向させて配設されているため、平面上に配設した従来の平板上の電極構成に比べて、絶縁体39を介した各電極間の接合容量が小さくなる。
また外周シールド41が設けられているため、円筒型容量結合センサ装置30の外部との接合容量、例えば、対地接合容量が排除される。
【0045】
したがって、円筒型容量結合センサ装置30では、被検出対象(例えば、水)の正確な静電容量変化を検出することができる。
このため、本実施形態2に係る円筒型容量結合センサ装置30では、水などの液面の高さを正確に検出することができるようになる。
【0046】
なお、実施形態2に係る円筒型容量結合センサ装置30を液面計などのレベルゲージとして使用する場合は、外周シールド41が設けられているので、実施形態1のように例えば鉄板製のタンクでなくてもよく、種々の材質のタンクで使用できる。
【0047】
次に実施形態3について説明する。
実施形態3は、図8で示した実施形態2のシールド電極37と、外周シールド41の下端部における電極構造と、シールド電極37と外周シールド41との接続構造が異なり、その他の構成は同様である。
したがって、実施形態2の図6に示した断面図は実施形態3と同一である。
【0048】
図11は実施形態3に係る電極構造の概略一部断面図である。
図6及び図11を参照して、実施形態3に係る電極構造50は、送信電極53と受信電極55とが円筒状支持部材31の側面にて対向する送信電極端部52と受信電極端部54と、送信電極53の送信電極上端部61と受信電極55の受信電極上端部63とに、間隙を有してシールド電極57が設けられている。
【0049】
円筒状の外周シールド56の底部はメッシュ状のシールド円盤59で電気的に閉じられており、このシールド円盤59は送信電極端部52と受信電極端部54とをシールドする外周シールドの脚部65と電気的に接続されている。
このシールド円盤59が送信電極53の送信電極下端部67と、受信電極55の受信電極下端部69と間隙を有してシールドするシールド電極の一部を担うようになっている。
【0050】
図11中、二点鎖線で示したリング71は、図6及び図7で示す円筒状支持部材31が当接する箇所を示している。
図6で示したように支持部材31の中空部42に水などの被検出対象物が満たされるため、円筒状支持部材の下端の開口部に相当する箇所だけをメッシュ状の円盤で形成されているのが望ましく、その他の箇所はドーナツ型の円盤状であってもよい。
【0051】
次に実施形態3の作用について説明する。
実施形態3の作用は実施形態2の作用と基本的に同様であるが、円筒型容量結合センサ装置の底部が外周シールド56によってシールドされていることにより、一部作用が異なる。
図5及び図11を参照して、先ず、例えば貯水タンクに実施形態3に係る円筒型容量結合センサ装置30を深さ方向に設置すると、水が外周シールド56のメッシュ状のシールド円盤59のところから浸入し、支持部材31の中空部42に満ちる。
【0052】
この満ちた水の静電容量の検出と、静電容量の変化を液面の高さに対応させた直流電圧値として検出することは、実施形態2と同様である。
実施形態3では、送信電極53と受信電極55とがシールド電極57及び外周シールドのシールド円盤59とによりシールドされているのでオフセット電流がない。
【0053】
さらに送信電極53、受信電極55及びシールド電極57が中空円柱の側面に湾曲を持って配設され、各電極の端部を対向させて配設しているため、平面上に配設した従来の平板上の電極構成に比べて、絶縁体39を介した各電極間の接合容量が小さくなる。
また外周シールド56が円筒型容量結合センサ装置の底部をも覆うように設けられているため、対地接合容量が確実に遮断される。
【0054】
したがって、実施形態3に係る円筒型容量結合センサ装置30では、被検出対象(水)の正確な静電容量変化を検出することができる。
このため、本実施形態3に係る円筒型容量結合センサ装置30では、水などの液面の高さを正確に検出することができるようになる。
【0055】
なお、実施形態3に係る電極構造を持つ円筒型容量結合センサ装置30を液面計などのレベルゲージとして使用する場合は、実施形態3の外周シールド56が液体につかる領域の全てにわたって配設されているので、どのような材質のタンクであっても対地接合容量を確実に遮断し、正確な容量を検出することができ、液面などのレベルを連続的に検出することができるようになる。
【0056】
次に実施形態3の変形例を説明する。
この変形例は実施形態3の外周シールドのメッシュ状のシールド円盤を変形したものである。
図12は実施形態3の電極構造の変形例を示す一部部分断面切欠図である。
図13は図12のC−C線断面図である。
【0057】
図12及び図13を参照して、この変形例の外周シールド60は、円筒型容量結合センサ装置30の底部を流出入口75を有する導電性の円板73でシールドしたもので、この円板の流出口に電気的な密閉構造とするための遮蔽部77が設けられている。
流出入口75は図5で示す支持部材31の下端開口部に対応して設けられている。
このような構成の外周シールド60では、水などの被検出対象物の出入りを可能にし、かつ、電気的にシールドを可能にする。
したがって、この変形例では対地接合容量を確実に遮断することができる。
【0058】
以上に述べた各実施の形態は、本発明の技術的思想に基づいて種々に変形が可能であり、以下に述べるような使用が可能である。
実施形態1及び実施形態2に係る容量結合センサ装置は、物質の有無を検出するのに使用できる。この物質は実施形態1のところで説明したように、容量性のものであれば種類を問わない。
さらに実施形態1及び実施形態2に係る容量結合センサ装置は、物質の量を検出するための容量検出用として使用可能である。
【0059】
物質の量は、実施形態1及び実施形態2で説明したように、例えば液体などでは液面の高さとして検出でき、レベルセンサ装置として使用可能である。
図14は、本発明に係る容量結合センサ装置を液面計に使用した例を示す外観概略図である。
容量結合センサ装置80は、水やガソリンなどの液体81が貯蔵されているタンクなどの容器83に設置されて使用される。
図に示した容量結合センサ装置80は円柱状であるが、棒状であればよく、またタンクなどの容器の形状に合わせて適宜曲がった部分があってもよい。
【0060】
図14の容器83は概略であるので上部が開口されて図示されているが、例えば自動車のガソリンタンクなどであり、容量結合センサ装置80は適宜の位置に固定して設置され、出力端子線85、アース線87及び入力端子線89は適宜、容器83の外部と接続されている。
【0061】
実施形態1に係るシース型容量結合センサ装置を使用する場合は、容器83は電気的にシールド可能な材質である方が望ましい。
実施形態2に係る円筒型容量結合センサ装置を使用する場合は、容器83は電気的にシールドされていなくてもよく、例えばプラスチック製などの容器でも使用可能である。
このような構成では、容器83内部の液体が減少すると、それに対応して静電容量が減少するので、検出した出力電圧を液体の高さに対応した信号とすることができる。
したがって、本発明に係る容量結合センサ装置は、レベルセンサとして使用可能である。
【0062】
以上説明した実施形態の電極構造では、円柱状のものを例にしたが、これに限らず、例えば三角柱、四角柱などの多角柱でもよく、角柱の場合、特に正多角柱である方が望ましい。
図15は電極構造が三角柱状のもの、図16は四角柱状のものを示す。
また、送信電極及び受信電極は同一形状が望ましい。
さらに電極構造は、棒状の支持部材の形態に応じて適宜の態様をとりうるが、例えば容器の形態に合わせて適宜曲がった部分を設けた場合には、このような形態に応じて適宜、送信電極及び受信電極を形成する。
なお、図15及び図16中、91及び101は送信電極を示し、93及び103は受信電極を示し、95及び105はシールド電極を示す。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明に係る容量結合センサ装置は、物質の有無及び物質の量を検出する容量結合センサ及びそれを利用した装置として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る実施形態1の概略外観図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】実施形態1の電極構造を示す概略外観図である。
【図4】実施形態1の電極構造の概略側面図であり、容量結合式センサ装置の回路例を合わせて示した図である。
【図5】実施形態2に係る容量結合センサ装置を設置の概略外観図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】図5に示す容量結合センサ装置電極構造の上部透視図である。
【図8】実施形態2の電極構造を示す概略外観一部断面図である。
【図9】実施形態2の変形例の電極構造を示す図である。
【図10】実施形態2に係る円筒型容量結合センサ装置の機能ブロック図である。
【図11】実施形態3に係る電極構造の概略一部断面図である。
【図12】実施形態3の電極構造の変形例を示す部分断面切欠図である。
【図13】図12のC−C線断面図である。
【図14】本発明に係る容量結合センサ装置を液面計に使用した例を示す外観概略図である。
【図15】電極構造が三角柱状のものを示す図である。
【図16】電極構造が四角柱状のものを示す図である。
【符号の説明】
【0065】
2、32、85 出力端子線
3 支持部材
4、34、87アース線
5、33、43、53 送信電極
6、36、89 入力端子線
7、35、45、55 受信電極
8、38 容量結合センサ
9、37、47、57 シールド電極
10、30、80 容量結合センサ装置
11、39 絶縁体
13 検波装置
15 第1のダイオード
17 第2のダイオード
19 抵抗器
21 コンデンサ
23 出力端子
31 支持部材
40、50 電極構造
41、56、60 外周シールド
42 中空部
44 開口部
51 発振部
52 送信電極端部
53 検波部
54 受信電極端部
55 平滑部
59 シールド円盤
61 送信電極上端部
63 受信電極上端部
65 脚部
67 送信電極下端部
69 受信電極下端部
73 円板
75 流出入口
77 遮蔽板
81 容器
83 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の棒状支持部材の側面に配設された対をなす送信電極及び受信電極と、これらの電極の周端部と間隙を設けて上記棒状支持部材に配設された接地シールド電極と、これら受信電極、送信電極及び接地シールド電極の外周面を保護かつ絶縁する絶縁体と、上記送信電極に接続された高周波発信装置と、上記受信電極に接続された検波装置とを備え、
上記送信電極及び受信電極と対面する負荷の静電容量を検知する容量結合センサ装置。
【請求項2】
前記棒状支持部材が中空棒状支持部材であって、前記絶縁体を介して前記送信電極、受信電極及び接地シールド電極をシールドして配設された接地可能な外周シールドを有していることを特徴とする、請求項1記載の容量結合センサ装置。
【請求項3】
前記送信電極及び受信電極の一対を、複数個有していることを特徴とする請求項1記載の容量結合センサ装置。
【請求項4】
前記接地シールド電極が前記外周シールドと接続されていることを特徴とする、請求項2記載の容量結合センサ装置。
【請求項5】
前記外周シールドがメッシュ状の導電体であることを特徴とする請求項2記載の容量結合センサ装置。
【請求項6】
前記送信電極、受信電極及び接地シールド電極が前記中空棒状支持部材の側面の片側側面に配設されていることを特徴とする請求項2記載の容量結合センサ装置。
【請求項7】
前記外周シールドの底部を流体が出入り可能かつ電気的に閉じた構造にしたことを特徴とする請求項2記載の容量結合センサ装置。
【請求項8】
前記外周シールドの底部をメッシュ状のシールド円盤で電気的に閉じた構造にしたことを特徴とする請求項2記載の容量結合センサ装置。
【請求項9】
前記検波装置が前記シールド電極及び受信電極のいずれかに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容量結合センサ装置。
【請求項10】
物質の有無を検知するために使用する請求項1又は2に記載の容量結合センサ装置。
【請求項11】
物質の量を検知してレベルを検知するのに使用する請求項1又は2に記載の容量結合センサ装置。
【請求項12】
電気的にシールドされた容器内で使用する請求項1記載の容量結合センサ装置。
【請求項13】
電気的にシールドされていない容器内で使用する請求項2記載の容量結合センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−220542(P2006−220542A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34307(P2005−34307)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【特許番号】特許第3691839号(P3691839)
【特許公報発行日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(393029011)株式会社アルボ (2)
【出願人】(393029000)
【Fターム(参考)】