密封容器およびその製造、充填方法
【課題】好適な水薬瓶アッセンブリを提供する。
【解決手段】薬用の水薬瓶アセンブリは、保存用水薬瓶(310)と、ストッパ部材(330)と、固定リング(350,370)とを含む。保存用水薬瓶は本体部分(312)を有する。本体部分(312)は、所定の薬剤を含む内部チャンバ(318)と、これを通って薬剤が内部チャンバ内に注入され、またこれから引き出される頸部分とを規定する。ストッパ部材(330)は、水薬瓶の口部に挿入され、第1の密封を行う。固定リング(350,370)は、水薬瓶の口と係合し、ストッパ部材(330)を水薬瓶口部内に維持して、第2の密封をすることに適合するように構成されている。
【解決手段】薬用の水薬瓶アセンブリは、保存用水薬瓶(310)と、ストッパ部材(330)と、固定リング(350,370)とを含む。保存用水薬瓶は本体部分(312)を有する。本体部分(312)は、所定の薬剤を含む内部チャンバ(318)と、これを通って薬剤が内部チャンバ内に注入され、またこれから引き出される頸部分とを規定する。ストッパ部材(330)は、水薬瓶の口部に挿入され、第1の密封を行う。固定リング(350,370)は、水薬瓶の口と係合し、ストッパ部材(330)を水薬瓶口部内に維持して、第2の密封をすることに適合するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国特許出願第10/393,966号(2003年3月21日出願、「Medicament Vial Having A Heat−Sealable Cap,And Apparatus and Method For Filling The Vial」)に関連する。この米国特許出願は、同様のタイトルが付けられた米国特許出願第09/781,846号(2001年2月12日出願、現在は米国特許第6,604,561号(2003年8月12日発効))の分割出願である。この特許は、同様のタイトルが付けられた米国仮出願第60/182,139号(2000年2月11日出願)の利益を主張しており、更にこの明細書は、米国仮出願第60/408,068号(2002年9月3日出願、「Sealed Containers And Methods Of Making And Filling Same」)の優先権を主張している。これらの各々を、本明細書の一部として言及して明示的に含める。
【0002】
本発明は、密封された容器に関し、特に薬剤用水薬ビン等といった、独特の糸巻きまたは「中空こま」状の形状構造を有する容器に関する。さらに、容器を密閉(hermetically)シールし、レーザ、ガンマ、電子ビーム、X線、その他のイオン化放射等の放射を用いて殺菌でき、容器に密封させた場合に針によって充填でき、針充填後に、針充填穴にレーザ放射を投射する等によって熱によって再密封できる封鎖機構を有する容器に関する。
【背景技術】
【0003】
ワクチン等の薬剤は、使用前に水薬瓶に保存しておく場合が多い。水薬瓶は通常、円筒または球状の形状であって、これらに接続する頸部を有する本体部分を備える。頸部は、水薬瓶本体に規定された内部チャンバに薬剤を供給するための口部を規定する。通常、水薬瓶を薬剤で満たした後に、事前に殺菌された蓋または封鎖機構を装着して、薬剤を水薬瓶内に密封する。
【0004】
水薬瓶の蓋は通常、ストッパと、固定リングとを有する2片の組合せからなる。ストッパを水薬瓶の口部に挿入する。ストッパは、その周囲をシールするように構成されている。固定リングを水薬瓶の頸部に係合させ、ストッパが水薬瓶の口部内に保持されるように少なくとも部分的にストッパの上に重ねる。ストッパは、加硫処理されたゴムまたは類似の弾性体で作られる。これは、水薬瓶に入れる薬剤を汚染したりこれに影響したりしない物質である。これまで、多種類の薬剤を入れる水薬瓶の蓋を作る物質としては、加硫処理されたゴムが安全かつ効果的であるとされてきた。しかし、加硫処理されたゴムは不可融性なので、そのような蓋に針穴があけられた場合に熱によって再密封することができない。
【0005】
通常、固定リングは、ストッパの一部を針に対して露出することで針によってアクセスできるようにして、それによって薬剤を抜き取ることができるように構成されている。従来、固定リングは水薬瓶とネジ切り係合するか、金属かしめ(crimping)技術によってこれに固定される。ヘルスケア等の適用では、かしめられた金属固定リングが好まれる場合が多い。かしめられたリングを用いた機構によれば、水薬瓶を充填または殺菌処理した後にこれが開いたり、損傷されたりすることを確実に防止できるからだ。
【0006】
図1を参照する。薬剤用水薬瓶の従来技術の蓋を総括的に参照番号10で示す。蓋10は、加硫処理されたゴムストッパ12を含む。これを、円筒状の水薬瓶本体14の開放端または口部内に滑動して挿入する。水薬瓶本体14はガラスまたは同様の物質から作られ、薬剤を受容するチャンバ16を規定する。ストッパ12および水薬瓶14の周りにはアルミ製のロックリング18が設けられ、これは定位置においてかしめらせて、蓋10を水薬瓶本体14に固定、接続、密封する。ロックリング18は中央開口部を有し、これはストッパ12へのアクセスを制限する。
【0007】
このような従来技術の水薬瓶に無菌流体または、薬剤等のその他の物質を充填するためには、通常、水薬瓶の構成物を組み立てる前に殺菌する必要がある。これは、構成物をオートクレーブしたり、ガンマ放射に露出したりする等によって行う。その後、殺菌した構成物を充填し、無菌充填装置の無菌アイソレータの中で組み立てなければならない。殺菌された構成物を多数の密封袋やその他の無菌エンクロージャに入れて無菌充填装置まで運ぶ場合もあるし、殺菌設備を無菌充填装置の入口に設ける場合もある。この種類の充填装置では、あらゆる構成物を無菌状態でアイソレータに運び、水薬瓶の保存チャンバに流体その他の物質を充填し、殺菌したストッパを水薬瓶に取り付け、充填用開口部に栓をし、流体その他の物質を水薬瓶内に密閉シールし、かしめリングを水薬瓶に取り付け、これにストッパを固定する。
【0008】
このような従来技術の水薬瓶や、このような水薬瓶を充填する処理および設備に関連した欠点の1つは、充填処理に時間がかかる上に、処理や設備が高価なことである。更に、充填処理や設備が比較的複雑なので、所望とは異なって水薬瓶の充填が不完全になる可能性がある。例えば、通常は、少なくとも構成物と同じ数だけ不具合の元がある。多くの場合、無菌状態に保たねばならない充填装置の無菌領域内に置かれた水薬瓶その他の容器を組み立てる組立装置は複雑であって、この種類の機械類は、望ましくない粒子を発生する大きな発生源になる可能性がある。更に、このようなアイソレータは、バリアエンクロージャの中の空気を無菌に保つことが必要である。閉バリアシステムでは、運搬流体が必然なので、薄層流(laminar flow)または実質的な薄層流を作りだすことはできない。アイソレータの動作が止まった場合、媒体の充填テストを行う必要があるかもしれないが、これは、幾日もとはいわないまでも数日は続く可能性があるので、この装置を使用する、製薬品およびその他の製品の製造者にとっては、製造出力が繰り返し中断されたり、著しく削減される可能性がある。このような製造問題に対処するために政府はますます複雑な(sophisticated)規定を課すので、既に高価であるアイソレータや同様の充填装置のコストは更に押し上げられる。一方、例えば保存薬を含む注射可能物質やワクチンに対する政府の価格統制は、そのような主な財政投資を妨げている。したがって、このような殺菌充填装置において増大する投資レベルを賄える会社は少なく、注射可能物質やワクチンの市場における競争が更に減少することが懸念される。
【0009】
これらおよびその他の懸念を解決するために本発明者は、水薬瓶を製造、充填するために、まずストッパを水薬瓶に取り付けて組み立てたストッパと水薬瓶を放射等によって殺菌し、その後、針や同様の注入部材をストッパに挿入し、針を通して薬剤を殺菌済み水薬瓶内に導入することによって、組み立てた水薬瓶を充填することが望ましいとした。しかし、この方法が直面する問題の1つは、針や同様の注入部材をストッパに挿入して引き抜いた場合にストッパに小さな穴が残ることである。ストッパの物質は弾性体なので穴の直径を小さくする。そのため、穴は通常、薬剤の洩れを防止する程には十分に小さいが、空気やその他の気体がこの穴を通って水薬瓶に入ることを防止する程には小さくない。したがって、このような穴があると、薬剤が汚染されたり損なわれたりする可能性がある。
【0010】
製薬分野の実務として、空気その他の潜在的汚染物質に曝された場合に薬剤が腐敗することを防止するために、ワクチン等の薬剤に保存薬を添加していた。しかし、ある保存薬が患者に対して望ましくない影響を与えることが分かったので、ワクチンを含む多くの薬剤は保存薬を含まないようになった。このように保存薬を含まない薬剤、特に保存薬を含まないワクチンは、上述のようにストッパに針穴があいた水薬瓶に保存した場合に、汚染、損傷され易い。
【0011】
また、上述のように、運搬、保存、組立て中にストッパや水薬瓶を無菌状態に保つことは困難である。したがって、水薬瓶に薬剤を充填する前に水薬瓶とストッパとを組み立て、その後、これらを一式として殺菌できる水薬瓶およびストッパが必要である。かしめられた金属リングを用いれば、水薬瓶の損傷を防止する確実な仕組みを実現できる。しかし、金属リングを用いても、ガンマ殺菌技術または類似の処理を用いて水薬瓶アセンブリを一式として簡単に殺菌することはできない。金属リングのためにガンマ殺菌処理が複雑になる。物質の濃度(density)のために、影部(即ち、ガンマ放射が物質を通過することが妨げられる領域)ができてしまう。すると、内部の保存用空洞が完全に殺菌されたという確信が薄らいでしまう。また、組み立て中の金属リングの取り扱いによっては、水薬瓶の組み立てや充填処理のために設定された清潔な環境を汚染する可能性がある粒子を生じる可能性がある。
【0012】
更に、従来の薬用ビンの形状は、安全面および/または取り扱い面からみても不都合があり得る。例えば、ヘルスケア作業者が水薬瓶から薬剤を引き抜く際に、彼/彼女の指は、円筒状または球状の水薬瓶本体を把持しなければならない。従来の水薬瓶では、水薬瓶本体の外径が蓋または封鎖装置の外径より大きいので、もし針が、例えば指の、蓋に対する相対位置関係のために蓋から滑って外れてしまった場合、針が滑る経路に位置するヘルスケア作業者の指に針が刺さってしまうかもしれない等、多様な安全面での懸念がある。更に、このような従来の水薬瓶の重心は比較的高い位置にあるので、取り扱い中にチップし易い。また、このような水薬瓶が規定する形状および/または構造は、針充填および/または、そのような針充填およびレーザまたはその他の熱再密封装置の自動取り扱いに、常に非常に適しているというわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来技術の上記の1個以上の欠点および不都合を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの態様は、薬剤等の物質を保存する水薬瓶アセンブリに関する。このアセンブリは、開口部と、開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバとを規定する本体部分を備える。本体部分は、ベースと、中央部分と、中央部分の、ベースに対する反対側において、ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する。ベースおよび上方部分の各々は、中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する。本発明の、現在のところ好適である実施形態では、ベース、中央部分、および上方部分の各々は断面において略円形であり、ベースおよび上方部分の各々の最大直径が中央部分の最大直径より大きいことにより、略中空こままたは糸巻きの形状を規定する。水薬瓶アセンブリは、少なくとも部分的にストッパの上に延びて、ストッパが気づかれずに除去されてしまうことを防止する、本体部分に固定されたプラスチック製のいたずら防止部分を備えることが好適である。
【0015】
本発明の一つの実施形態では、ストッパは、実質的に不可融性である部分の上に重なる熱再密封可能部分を含む。本発明の別の実施形態では、ストッパは、これを貫通する針穴を形成するために針が貫通可能である針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであり、所定の波長およびパワーのレーザ放射をこれに投射することによって針穴を密閉シールするために熱再密封可能である。ストッパは、(i)その軸方向において所定の壁厚と、(ii)所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度と、(iii)所定の波長およびパワーのレーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に針貫通領域を燃焼する(burn)ことなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールするようにさせる所定の色および不透明度とを規定する熱可塑性本体部分を備える。
【0016】
本発明の別の態様は、以下のステップを備える方法に関する。つまり、(i)開口部と、開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、中央部分の、ベースに対する反対側においてベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、ベースおよび上方部分の各々は中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、これに適用された熱エネルギーに応じて可融性である熱再密封可能ストッパと、を含む水薬瓶を提供し、(ii)水薬瓶に物質を充填する前に、ストッパおよび水薬瓶を組み立てて、ストッパと水薬瓶との間に実質的な気密シールを形成し、(iii)組み合わせた空のストッパおよび水薬瓶を殺菌し、(iv)水薬瓶の中央部分と係合する装着面と、装着面の一方の側に位置する上面と、装着面の別の側に位置する下面とを含む水薬瓶支持体によって水薬瓶を支持し、(v)所定の物質の源と流体連通する針によってストッパを貫通し、(vi)針を通して所定の物質を水薬瓶の内部に導入し、(vii)針をストッパから引き抜き、(viii)ストッパの貫通領域に十分な熱エネルギーを適用して貫通領域を融解し、貫通領域と水薬瓶の内部との間に実質的な気密シールを形成するステップである。
【0017】
本発明の好適な実施形態の1つの利点は、水薬瓶が中空こままたは糸巻きのような形状を規定し、それによって、使用中に偶発的に針が刺さることを防止し易くしている、あるいは充填処理およびその他の処理の最中の水薬瓶の取り扱いを容易にしていることである。本発明のある好適な実施形態の別の利点は、ストッパおよび水薬瓶を、充填処理の前に、人間の介入なく組み合せることで、充填処理の前に殺菌されてその状態に維持されているかもしれない空の水薬瓶を密閉シールすることである。本発明のある好適な実施形態の別の利点は、プラスチックまたは同様のいたずら防止部分を設けることで、水薬瓶にガンマ、電子ビーム、またはその他の放射を適用する等によって、この空の水薬瓶を殺菌できるようにすることである。
【0018】
本発明および/または、その開示された実施形態の他の利点は、現在のところ好適である実施形態の詳細な説明および添付の図面を参照すれば、より容易に明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】薬剤用の水薬瓶の従来技術の蓋の断面図である。
【図2】本発明を実施する水薬瓶アセンブリに使用される再密封可能ストッパの断面図である。
【図3】図2の再密封可能ストッパの断面図であって、水薬瓶に薬剤を導入するためにストッパに挿入された注射針または注射器と、薬剤の充填処理中に排気するためにストッパに挿入された排出針または注射器と共に示す断面図である。
【図4】再密封可能ストッパおよび水薬瓶の別の実施形態の断面図である。
【図5】再密封可能蓋を水薬瓶に固定する、図4のかしめ可能なロック部材の断面図である。
【図6】水薬瓶の中に密封される所定の薬剤と化学反応を起こさない、加硫処理されたゴム等の物質でできた、図4の再密封可能ストッパのベース部分の断面図である。
【図7】充填針または同様の装置をこれに挿入および除去した後にストッパを再密封するために適用する熱エネルギーに応じて可融性である、図4のストッパの再密封可能部分の断面図である。
【図8】針または同様の装置が挿入される貫通可能部分を示す、図7の再密封可能部分の拡大した部分断面図である。
【図9A】充填針または同様の装置を挿入する前に直接熱灼することによって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する例示的な装置および方法を示す、一連の概略断面である。
【図9B】充填針または同様の装置を挿入する前に直接熱灼することによって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する例示的な装置および方法を示す、一連の概略断面である。
【図9C】充填針または同様の装置を挿入する前に直接熱灼することによって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する例示的な装置および方法を示す、一連の概略断面である。
【図10】充填針または同様の装置を挿入する前にレーザ熱灼によって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する装置の概略部分断面である。
【図11】本発明の水薬瓶アセンブリに所定の薬剤またはこれに含める他の物質を針充填するための装置の概略部分断面図である。
【図12A】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図12B】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図12C】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図12D】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図13A】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後にレーザ密封することによって、密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図13B】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後にレーザ密封することによって、密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図13C】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後にレーザ密封することによって、密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図14A】本発明を実施する水薬瓶の側面図である。
【図14B】ストッパと、熱再密封可能部分と、オーバーモールドされた固定またはロックリングとを含む3片の封鎖アセンブリの一部を水薬瓶の口部に挿入した状態を示す、図14Aの線14B−14Bに沿った水薬瓶の断面図である。
【図14C】比較的大きなベース部分を有するオーバモールドされた水薬瓶の、図14Bの線14C−14Cに沿った断面図である。
【図15】オーバーモールドされた固定リングが、ストッパの外周と水薬瓶本体との間に規定された環状凹部に形成されている状態を示す、本発明を実施する封鎖または蓋を含む別の水薬瓶の断面図である。
【図16A】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための例示的なオーバモールド処理の一連の典型的な図である。
【図16B】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための例示的なオーバモールド処理の一連の典型的な図である。
【図17A】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための代替的はオーバモールド処理の一連の断面図であって、水薬瓶の水薬瓶封鎖部分およびベース部分は射出成形によって形成された断面図である。
【図17B】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための代替的はオーバモールド処理の一連の断面図であって、水薬瓶の水薬瓶封鎖部分およびベース部分は射出成形によって形成された断面図である。
【図17C】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための代替的はオーバモールド処理の一連の断面図であって、水薬瓶の水薬瓶封鎖部分およびベース部分は射出成形によって形成された断面図である。
【図18】ベースおよびロックリングが薬瓶本体にスナップ嵌合し、いたずら防止カバーがロックリングにスナップ嵌合する状態を示す、本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図19】ストッパおよび固定リングが一連の成形処理によって形成された、本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図20】図19の水薬瓶のストッパの断面図である。
【図21】図19の水薬瓶のストッパおよび固定リングの断面図である。
【図22A】いたずら防止カバーを除去した、図18の水薬瓶の斜視図である。
【図22B】いたずら防止カバーをこれに固定した、図18の水薬瓶の斜視図である。
【図22C】再密封可能ストッパを露出し、これに注射器の針を貫通させ、水薬瓶に含まれた薬剤やその他の物質を注射器に抜き取るためにめくり上げた状態のいたずら防止カバーの脆弱部分を示す、図18の水薬瓶の斜視図である。
【図23】ロックリング、カバー、ベースを超音波溶接によって一緒に接続した、本発明を実施する別の水薬瓶の側面図である。
【図24】図23の水薬瓶の断面図である。
【図25】図23の水薬瓶の部分分解斜視図である。
【図26】いたずら防止カバーを除去した、図23の水薬瓶アセンブリの斜視図である。
【図27】図23の水薬瓶の分解斜視図である。
【図28】図23の水薬瓶の部分切り取り斜視図である。
【図29】本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図30】図29の水薬瓶の斜視分解図である。
【図31】図30の水薬瓶の部分切り取り斜視図である。
【図32】水薬瓶に薬剤またはこれに含める他の物質を針充填するための無菌充填装置の針充填モジュールに使用される針多岐管の部分分解斜視図である。
【図33】針と整列して針充填を行う準備ができた状態の星形車輪および関連するガイドを含む運搬システム内に装着された複数の水薬瓶を有し、無菌充填装置の無菌封鎖装置内で「アップ」水薬瓶の再密封可能ストッパを貫通して水薬瓶の内部にこれに含める薬剤または他の物質を充填する針を有し、「ダウン」位置に置かれた針多岐管を示す図である。
【図34】図33の針多岐管および運搬システムの前面斜視図である。
【図35】「ダウン」または充填位置に置かれた針を示す、図33の針多岐管および運搬システムの斜視図である。
【図36】充填された水薬瓶の針穴をレーザ再密封するレーザ充填装置の無菌エンクロージャの中で、図32〜図35の針多岐管の下流に装着されたレーザ密封および赤外線検出多岐管の斜視図である。
【図37】針多岐管と、レーザ光学アセンブリと、センサとを含み、その中の水薬瓶を針充填してレーザ再密封するモジュールを示す、明瞭化のために一部を除去した部分展開端面図である。
【図38】駆動板にクランプされた針多岐管を示す、明瞭化のために一部を除去した図37のモジュールの端面図である。
【図39A】モジュール内に水薬瓶が収容されておらず、「アップ」位置にある針を示す、明瞭化のために一部を除去した、図37のモジュールの端面図である。
【図39B】モジュール内に水薬瓶が収容され、針を貫通して充填する準備ができた状態を示す、図39Aのモジュールの端面図ある。
【図39C】再密封可能ストッパに貫通してそれを通して薬剤またはその他の物質を注入して水薬瓶を充填できるようにする針を有する、「ダウン」位置にある針多岐管を示す、図39Aのモジュールの端面図である。
【図40A】例示的なレーザ光学アセンブリおよびセンサを示す、部品を除去して明瞭化したモジュールの端面図である。
【図40B】再密封可能ストッパを貫通して個々の水薬瓶の内部チャンバに薬剤またはその他の物質を充填する針を示す、図40Aのモジュールの端面図である。
【図40C】再密封可能ストッパから除去した針と、針の貫通点に移動したレーザビームと、ストッパの再密封部分の温度を検出して密封の完全性を確実にするIRセンサとを示す、図40Aのモジュールの端面図である。
【図41】幾つかの部品を除去して明瞭化した、モジュールの針多岐管の部分分解図である。
【図42】モジュール内に装着されて、モジュールチャンバ内に配置された水薬瓶および針の選択された面を殺菌する電子ビームユニットを示す、針多岐管および他の部品を除いて簡単にした、モジュールの斜視図である。
【図43】モジュールを通して水薬瓶を駆動する、ネジ型のコンベアに隣接して設けられたモジュールの上平面概略図である。
【図44】閉ループコンベアに装着されたモジュールと、空の水薬瓶を閉ループコンベアに運搬する供給コンベアと、充填されて再密封された水薬瓶を受け止める排出コンベアの上平面概略図である。
【図45】充填針をストッパの貫通可能領域の縁部分に水薬瓶の軸に対して鋭角に貫通させてもよく、その脆弱部分を除去した際にストッパがいたずら防止カバーの下に隠れてもよい、本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図46】いたずら防止カバーを除去した、図45の水薬瓶の上方斜視図である。
【図47】脆弱部分を除去する際にいたずら防止カバーの下にレーザ再密封部分が視覚的に隠されるように示した、いたずら防止カバーが固定された、図45の水薬瓶の別の断面図である。
【図48】図45の水薬瓶の上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この出願が関連する技術分野の当業者がこれを作成し、使用する方法を、より容易に理解するように、図面を参照する。
【0021】
添付の図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。図面および以下の詳細な開示は、開示された主題の一例として提供するものであって、この範囲を制限する意図はない。
【0022】
図2を参照する。本発明の水薬瓶に使用される、熱によって再密封できる(熱再密封可能)蓋またはストッパを総括的に参照番号110で示す。蓋110は、加硫処理されたゴムまたは当業者にはよく知られている同様の物質でできた弾性体のベース112を含む。ここで、同様の物質とは、水薬瓶に含めるワクチン等の薬剤やその他の物質に接触するか、これに露出されるように設けられる端部蓋やその一部の製造に使用することを容認できる物質である。ベース112は下部周囲壁115を規定する。下部周囲壁115は水薬瓶114の開放端内に滑動して挿入される形状および寸法を有する。水薬瓶114は、多数の異なる種類のガラスまたはプラスチック、または薬剤やその他の物質を保存する水薬瓶等といった、水薬瓶の製造に関連して使用することが現在または今後知られることになる任意のその他の物質から作ってもよい。水薬瓶114はそれ自身に、薬剤を入れるチャンバ116を規定する。以下で更に説明するように、水薬瓶は「中空こま」または「糸巻き」状の形状を規定して、例えば水薬瓶の殺菌、充填、および/またはその他の処理、および水薬瓶の使用における水薬瓶の取り扱いを容易にすることが好適である。蓋110のベース112は更に、上部周囲壁117も規定する。これも、水薬瓶114の開放端内に滑動して挿入される形状および寸法を有する。ベース112は、周囲壁117の上方端から外向きに張り出した周縁密封フランジ118も規定する。一方、水薬瓶114は、それ自身の開放端に周縁フランジ120を規定する。図2および図3に示すように、ベース112の周縁フランジ118は水薬瓶114の周縁フランジ120と密封するように係合して、蓋と水薬瓶との間の接続面を密封する。ベース112は更に、上部周囲壁117の内側に形成された上方凹部122と、周囲壁の上方端から内側に張り出す環状リム124とを規定する。
【0023】
再密封可能部分126をベース112の上方凹部122内に挿入、固定して蓋110を組み立てる。再密封可能部分126は、上方周縁フランジ128と、環状凹部または凹部130と、環状凹部130の、フランジに対して反対側に位置して凹部から外向きに張り出したベース132とを規定する。図2および図3から分かるように、再密封可能部分126の環状凹部130およびベース132は、ベース112の上方凹部122および環状リム124の内面に沿うような(または、その鏡画像を規定する)寸法および形状を有する。したがって、環状リム124を環状凹部130内に嵌合し、それによって再密封可能部分をベース内に固定するように、再密封可能部分126を上方凹部122内に押し込むか、スナップするか、その他の方法で収容する。
【0024】
再密封可能部分126は、弾性体の重合体物質から作られることが好適である。例えば、KRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)の登録商標で販売される第1の重合体物質と、ENGAGE(商標)またはEXACT(商標)の商標でDow Chemical Co.によって販売されるポリエチレン等の低密度ポリエチレンの形状である第2の物質との混合物等である。第1および第2の物質を、重量にして約50:50〜約90:10(即ち、第1の物質:第2の物質)の範囲内で混合する実施形態もある。1実施形態では、第1および第2の物質の混合は、重量にして約50:50である。好適な混合を用いる場合の、第1の物質だけを用いる場合に勝る利点は、水または蒸気バリア特性の改善、したがって製品の貯蔵寿命の改善、熱密封可能性の改善、摩擦係数の減少、成形可能性または成形流量(mold flow rates)の改善、ヒステリシス損失の減少である。当業者によって認識されるように、これらの数や物質は一例に過ぎず、所望通りまたは必要であれば、変更してもよい。
【0025】
再密封可能部分126の重要な特徴は、針、注射器、または同様の注入部材を再密封可能部材を通して挿入した後に気密シール(gas-tight seal)を形成するために再密封可能なことである。以下で更に説明するように、針によって穴があけられた領域を加熱することで、再密封可能部分を密封できることが好適である。上述の混合重合体の利点の1つは、KRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)自身と比較して、薬剤が重合体に吸収され得る程度を最小限にすることが既知であることである。
【0026】
上方周縁フランジ136および下方周縁フランジ138を規定するアルミニウムのロックまたはかしめリング134を、端部蓋110および水薬瓶114の上に装着してもよい。ロックリングの上方および下方フランジ136、138をかしめるか、あるいは蓋および水薬瓶の隣接面に向けて押しつけて、蓋の密封フランジを水薬瓶に向けて押しつけ、それによって蓋と水薬瓶との間に流体も気体も通らない密封状態を維持する。あるいは、ロックリングをプラスチック物質等の非金属物質で作ってもよい。これを、周縁フランジ120の下側にスナップ嵌合するか、あるいは、次に説明するように水薬瓶本体のフランジに固定してもよい。
【0027】
図3は、熱再密封可能蓋110を、薬剤を水薬瓶のチャンバ116に供給するために再密封可能部分126および弾性のベース112に挿入させた皮下注射または他の種類の針140と共に示す。薬剤を水薬瓶に供給する際に水薬瓶114から気体を排出できるようにするために、排出針142も同様に、再密封可能部分126および弾性のベース112を通して挿入してもよい。あるいは、針140の外面に軸方向に細長い1本以上の溝を規定することで、水薬瓶内の気体がこれを通って排出されるようにして、排出針142の必要性を無くしてもよい。または、針を「二重」または「多重」内腔針として、そのうちの1本の内腔によって、水薬瓶に溜める薬剤または他の物質を供給し、別の内腔が、薬剤や他の物質によって置換(displaced)された気体を水薬瓶から排出できるようにしてもよい。薬剤やその他の物質を水薬瓶に供給する装置および方法は、米国特許第5,641,004号(Daniel Py,1997年6月24日発効)に記載された形状でもよいし、より好適には、米国仮出願第60/484,204号(2003年6月30日出願、「Medicament Vial Having A Heat−Sealable Cap, And Apparatus And Method For Filling The Vial」)に記載された形状でもよい。これらの各々を言及して本開示の一部として明示的に含める。
【0028】
使用の際には、再密封可能部分126をベース112に嵌合して組み合わせた端部蓋110を水薬瓶114の開放端内に滑動して挿入する。次に、ロックリング134を定位置でかしめて蓋110を水薬瓶にロックし、蓋と水薬瓶との間の接続面において気密シールを維持する。次に、組み合わせた蓋110および水薬瓶114を殺菌することが好適である。この殺菌は、レーザ、ベータ、ガンマ、または電子ビーム放射等の放射にアセンブリを、当業者にはよく知られた方法で露出する等によって行う。次に、薬剤投与針140を再密封可能部分126および弾性のベース112に通して挿入する。この挿入は、薬剤をチャンバに供給するために、針の自由端が水薬瓶のチャンバ116内に挿入されるまで行う。液体の薬剤を水薬瓶のチャンバ内に供給する際に密封された水薬瓶から気体を排出するために、排出針142も同様に、再密封可能部分126および弾性のベース112に通して挿入する。薬剤を水薬瓶のチャンバ内に供給した後に針140、142を蓋110から抜き出し、針140、142によって穴があけられた再密封可能部分126の部分に、以下で更に説明するように、熱またはその他のエネルギー源を適用することで穴空き領域を密封し、薬剤を水薬瓶内に密閉シール(hermetically seal)する。
【0029】
図示した水薬瓶アセンブリの1つの利点は、薬剤を水薬瓶内部に供給した後にストッパを再密封することで、この水薬瓶を、保存薬を含まないワクチン等といった保存薬を含まない薬剤と共に使用することに特に適するようにすることである。つまり、図示した水薬瓶アセンブリの更なる利点は、薬剤が保存薬を含む必要がないためにこのような保存薬の上述の欠点や不都合を回避できることである。
【0030】
図示した水薬瓶アセンブリの別の利点は、水薬瓶の、再密封されたチャンバ内の薬剤が、水薬瓶を保存、運搬する環境において不純物その他の要因によって汚染されたり影響されたりしないことである。
【0031】
図4から図8は、本発明の水薬瓶に使用される別の再密封可能ストッパまたは蓋を総括的に参照番号210で示す。再密封可能ストッパ210は上述の蓋110と本質的に同じなので、数字「1」のかわりに数字「2」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。図4および図6に最もよく示されるように、蓋のベース212は、その上部周囲壁217の内側に環状溝230を規定する。図4および図7に最もよく示されるように、再密封可能部分226は、そのベース232の周囲面上に、環状に盛り上がった部分または隆起部224を規定する。これは、ベース212の、対応する環状溝230内に摩擦的に挿入され、それによって再密封可能部分をベースに固定する寸法を有する。図6に示すように、ベース212は更に、その下部周囲壁215の外側に複数の盛り上がった環状部分または隆起部244を規定する。これらは互いに軸方向に間隔をあけて配設され、水薬瓶214の内壁と摩擦的に係合することで蓋を水薬瓶内に固定し、蓋と水薬瓶との間の密閉シールを維持し易くする。図7および図8に最もよく示されるように、再密封可能部分226は、その上面に環状の隆起した部分または隆起部246を規定する。これは、以下で更に説明するように、充填針または同様の道具を受け止める円形の表面部分248を規定する。図5に示すように、ロックまたはかしめリング234は、その上側に中央開口部250を規定する。この開口部250には密封可能部分226の環状の隆り上がった部分246が挿入される。
【0032】
任意の薬剤またはその他の流体を水薬瓶に導入する前に、上述および図4に示すように、再密封可能蓋210と水薬瓶214とを組み合わせ、ロックリング234をかしめるか定位置で固定することが好適である。1個以上の空の蓋/水薬瓶アセンブリをエンクロージャに入れ(enclosed)、殺菌し、本発明者が所有する米国特許第5,186,772号(「Method Of Transferring Articles,Transfer Pocket And Enclosure」)および/または米国特許出願第10/241,249号(「Transfer Port And Method For Transferring Sterile Items」2002年9月10日出願)の教示にしたがって運搬してもよい。これらの各々を言及し、本開示の一部として明示的に含める。空の蓋/水薬瓶アセンブリを、所望であれば殺菌インジケータを備える閉じた内袋または「ポケット」に入れてもよい。次に、内部ポケットを運搬ポケットに入れてもよい。運搬ポケットは、その周囲面に環状溝を規定する密封フレームを含む。運搬ポケットをフレーム面の上に伸ばし、運搬ポケットの上に重ねられて周囲溝の中に嵌合された弾性バンドによって閉じられる。運搬ポケットも同様に殺菌インジケータを含んでもよい。組み合わせた運搬ポケットおよび内部ポケットを「外」ポケットの中に密封し、組み合わせたポケットを殺菌する。この殺菌は、ガンマ放射に露出する等によって行い、これによって、ポケットと、ポケット内の空の蓋/水薬瓶アセンブリとを殺菌する。次に、運搬ポケットを用いて、殺菌したアセンブリを、汚染することなく、保存および/または充填システムに運ぶ。上記の特許および特許出願で更に開示されるように、充填システムを無菌エンクロージャに入れ、空の水薬瓶をこのエンクロージャに入れる。これは、外ポケットを除去、廃棄し、運搬ポケットの密封フレームをエンクロージャの窓または運搬ポートに接続することによって行う。上記の特許および特許出願に更に開示されるように、密封フレームの上に粘着物を付けて、運搬ポケットを充填システムエンクロージャの運搬ポートに固定することが好適である。水薬瓶アセンブリを充填システムのエンクロージャの中で放す(release)前に、殺菌インジケータをチェックして、水薬瓶アセンブリの無菌状態が、保存および運搬を通して維持されていることを確認してもよい。上記の特許および特許出願に更に開示されるように、フレームの上に重ねられた運搬ポケットの部分を切り取り、同時に整えられた(trimmed)面に沿って殺菌してその上の微生物や細菌を破壊し、内部ポケットを運搬ポートを通してエンクロージャの中に内に収容できるようにする。
【0033】
一旦、エンクロージャに入れたら、内部ポケットを開け、空の水薬瓶アセンブリを取り出し、無菌エンクロージャ内に置かれた充填装置に装着する。一旦、充填装置に装着したら、空の水薬瓶アセンブリの各々の再密封可能部分を再び殺菌して、充填処理中に汚染物が水薬瓶にはいらないことを、より確実にしてもよい。ストッパの再密封可能部分をこの時点で殺菌してもよい。これは、直熱灼法、レーザ熱灼法、またはこれら以外の電子ビーム放射等の放射によって行う。
【0034】
図9A〜図9Cに示すように、再密封可能ストッパまたは蓋に熱を適用することによってこれらを熱灼する装置を総括的に参照番号252で示す。装置252は、水薬瓶支持体256の上に装着されたハウジング254を備える。水薬瓶支持体256は1個の水薬瓶を保持することに適合してもよいが、複数の水薬瓶を保持することに適合することが好適である。複数の水薬瓶を保持することに適合する実施形態は、水薬瓶を収容する溝258と、水薬瓶のフランジ220をその上に支持するために溝の上方縁部に形成された1組の対向する肩部260とを有する。所望であれば、振動駆動装置(図示せず)を支持体256に駆動的に接続して支持体を振動させ、水薬瓶を溝を通して所定速度で移動させてもよい。あるいは、水薬瓶支持体256を、無菌の充填装置を通して水薬瓶を移動させるコンベアに装着してもよいし、水薬瓶支持体256がこの形状をとってもよい。しかし、この明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、現在または今後知られるようになる多数の異なる駆動システムのうちの任意のシステムを同様に用いて、水薬瓶を充填装置を通し移動させてもよい。
【0035】
ハウジング254は周囲シール面262を規定する。これは、ハウジング254の自由端に形成されて、ロック部材234の各々の上方フランジ面236とシールするように係合する。図9Bに最もよく示されるように、周囲シール面は開口部250の周囲を取り囲む。開口部250はロック部材を貫通するように形成されて、これから、ストッパの再密封可能部分226の貫通可能領域248が露出される。周囲シール面262によって、ハウジングとストッパとの間を実施的に流体が洩れないようにシールすることが好適である。ハウジングの中央支持体266の自由端から加熱面264が外に突出し、これが再密封可能部分の貫通可能面248に接触して、この表面を熱灼する。加熱面264の周りには環状導管268が延びて真空源270と流体連通し、空気を、図面の矢印で示すように、導管を通して熱灼面248から離れるように吸い上げる。ハウジング254を駆動源272に駆動的に接続してハウジングを移動させる。つまり図面の矢印で示すように、加熱面264を露出された貫通可能面部分248に接触させたり離したりして、当該面を熱灼する。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、駆動源272は、本明細書に記載されるような駆動源の機能を行うことが現在または今後知られることになる含気性ドライバ、またはソレノイド起動またはその他の種類の電気ドライバといった多様な異なる種類の駆動源でもよい。同様に、加熱面264は多数の異なる形状および構造を有してもよく、現在または今後知られることになる多数の異なる方法によって加熱してもよい。例えば熱抵抗ヒータ(または「電気コード」)によって加熱する等である。しかし、加熱面264は、蓋の貫通可能面領域248が有する所望の形状や輪郭に対応する表面形状や輪郭を規定することが好適である。
【0036】
装置252の使用の際には、概ね図9Aに示すように、各水薬瓶を最初に熱灼ステーションに送る。この時、再密封可能部分226の貫通可能面領域248を加熱面264に整列させるように配置する。次に、駆動源272を起動してハウジング254を下向きに駆動する。この駆動は、周囲シール面262が各自のロック部材234の上方フランジ面236とシールするように係合し、同時に加熱面264が再密封可能部分226の露出された貫通可能面部分248に係合するまで行う。加熱面264を所定温度に維持し、露出された表面部分を熱灼するために十分である所定の時間、露出された表面部分248に接触させた状態に保つ。図7および図8に示すような再密封可能部分226の構造の1つの利点は、熱灼処理によって環状隆起部246を加熱面の輪郭に合った輪郭に変形することにより、作業者(または、光学またはその他の自動検知システム)が、充填処理前に、各蓋が適切に熱灼されたかを視覚的に確認できるようにすることである。図9Cに示すように、露出面を熱灼した後、駆動源272を起動してハウジング254を上向きに駆動し、蓋との係合を解いて、別の水薬瓶をハウジングの下に移動する。この処理を全ての所望の水薬瓶が熱灼されるまで繰り返す。以下で更に説明するように、図9A〜図9Cの熱灼ステーションを出た後に水薬瓶を充填ステーションに移動させて、殺菌した水薬瓶を速やかに充填することが好適である。熱灼および充填ステーションを無菌エンクロージャの中に装着し、例えば上述の特許や特許出願で説明するように薄層の気体をエンクロージャに通すように流して無菌状態を維持し易くすることが好適である。
【0037】
図9A〜図9Cに示す実施形態では、加熱面の温度は約250℃〜300℃の範囲内であり、周期時間(即ち、加熱面を再密封可能部分の露出面248に接触させておく時間)は約1.0〜3.0秒の範囲内である。本発明者は、これらの温度や周期時間によれば生物負荷(bio-burden)テストにおいて少なくとも約6の対数減少を実現でき、これによって表面を効果的に殺菌できることを検証した。
【0038】
図10において、再密封可能蓋を熱灼する代替的な装置を総括的に参照番号274で示す。装置274は、図9A〜図9Cの装置252とは次の点で異なる。つまり、再密封可能部分の充填領域を殺菌するために必要な熱エネルギーをレーザによって供給する点である(本明細書では「レーザ熱灼法」と称する)。レーザ熱灼装置274は、レーザその他の適切な放射源276を備える。これは水薬瓶/蓋アセンブリの上に装着された走査鏡278と光学的に結合する。図10には図示しないが、水薬瓶を図9A〜図9Cに示す支持体と同じ種類の支持体内に配置し、以下で更に説明するように、各水薬瓶に薬剤を充填する前に再密封可能蓋を連続的に迅速に熱灼できることが好適である。
【0039】
一つの実施形態では、レーザ276は商用的に入手可能なCO2またはYAGレーザである。CO2レーザは約10.6μmの波長で動作する。この波長では、レーザエネルギーの吸収は、一部には当該部材の導電性によって決定される。つまり、再密封可能部分226の、エラストマ物質等の絶縁物質が入射エネルギーの大部分を吸収し、熱エネルギーに変換して受容面248を熱灼する。YAGレーザは約1.06μmの波長で動作する。この周波数において、吸収は、一部には格子原子によって決定される。したがって、イオン化がほとんど無いクリアまたは透明な重合体はレーザビームを透過するであろうから、YAGレーザを用いる場合に(以下で説明するように、その他のレーザ源と同様)そのレーザエネルギーの吸収を高めるには、再密封可能部分のエラストマ物質に着色料を添加することが望ましい。YAGレーザを用いれば、再密封可能部分の貫通可能領域の表面層およびその上の細菌、バクテリア、またはその他の汚染物質がプラズマに変形されて、変化面を迅速かつ徹底的に殺菌する。必要であればUV濾過被膜を無菌の充填エンクロージャの表面に適用して、作業者が不必要なUVを被爆しないようにしてもよい。
【0040】
本発明者は、約15〜30Wの範囲のビームエネルギーであればエラストマ再密封可能部分の表面248を十分に効果的に熱灼することを立証した。更に、生物負荷テストによれば、約20Wまたはそれより大きいレーザエネルギーであれば約6.0の対数減少を実現できることを立証した。これらのエネルギーにおいて、装置は約0.5秒の周期時間内で表面248を効果的に殺菌するかもしれない。したがって、レーザ熱灼装置および方法の大きな利点は、他の多様な直熱法よりも非常に短い周期時間を含むかもしれないことである。レーザ熱灼法の更に別の利点は、非接触方法および装置の両方を含むので、コンタクトヘッドや同様の加熱面の清掃を心配する必要がないことである。
【0041】
図11を参照する。各水薬瓶の再密封可能部分226を直熱またはレーザ熱灼した後に水薬瓶を(振動装置等によって)支持体256内で充填ステーション280に移動する。充填ステーション280は針または同様の注入部材282を含む。これらは、図11の矢印で示すように、支持体256の上に往復運動するように(reciprocally)装着され、各水薬瓶アセンブリの再密封可能部分226の貫通可能領域248と、これを貫く軸方向に整列する。駆動源284を針282に駆動的に接続して針282を往復運動するように駆動し、各蓋またはストッパ210と係合させたり離したりする。薬剤またはその他の調合物リザーバ286が針282と流体連通し、所定の薬剤やその他の調合物を針を通して水薬瓶内に導入する。図示した実施形態では、針282はそれ自身に複数の流体導管を規定する。これは、図11の矢印で示すように、所定の薬剤やその他の調合物を水薬瓶の中に注入する第1の流体導管288や、真空源292と流体連通して空洞に薬剤やその他の調合物を充填する前および/または最中に空気やその他の気体を水薬瓶の内部の空洞216から抜き出す第2の流体導管290を含む。図示した実施形態では、針282は「二重腔」針であって、所定の薬剤その他の調合物を水薬瓶内に注入する中央流体導管288と、置換された空気その他の気体を水薬瓶の内部空洞から排出する外側環状流体導管290とを規定する。あるいは、針の外壁に形成されて針と再密封可能ストッパの貫通部分との間の流体通路となる軸方向に細長い1本以上の溝によって二重内腔針の外側の流体導管290を規定してもよい。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本発明の水薬瓶アセンブリに針充填するために使用する針は、本明細書に記載の針の機能を行うことが現在または今後知られることになる多数の異なる形状および/または構造を有してもよい。
【0042】
図12A〜図12Dに示すように、水薬瓶に薬剤その他の調合物を充填して針282を蓋またはストッパ210から引き抜いた後には、蓋の貫通領域には引き抜いた針の通路に沿って針穴294が規定される(図12B)。針を抜き取ると、ストッパの加硫処理されたゴムベース212は十分な弾性を有するので、貫通領域においてそれ自身で閉じ、それによって水薬瓶を密封状態に維持する。しかし、上述のように蒸気、気体、および/または液体は、時間の経過と共に加硫処理されたゴムベースの針穴を通過できるかもしれないので、一般的に図12Cに示すように、各水薬瓶/蓋アセンブリを密封ステーションに通して、針を抜いた後に素早く蓋の再密封可能部分226を加熱して密封する。一般的に図12Cに示すように、加熱部材または面264を、充填ステーション内に収容された水薬瓶/蓋アセンブリの貫通可能領域248の上に、往復運動をするように、またその軸方向に整列するように、装着してもよい。駆動源272を加熱部材264に駆動的に接続して加熱部材を往復運動するように駆動して、各蓋の再密封可能部分と係合させたり離したりする。一般的に図12Cに示すように、加熱部材264を十分な温度に保ち、再密封可能部分226の貫通領域と係合した状態に維持してエラストマ物質を融解し、針穴294を密閉シールする。この結果、一般的に図12Dに示すように、針穴を再密封可能部分の外側領域から排除し、それによって蓋と水薬瓶との間の密閉シールを維持する。
【0043】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、図12A〜図12Dの駆動源および加熱部材/面は上述のような多数の異なる駆動源および加熱部材でもよい。しかし、一般的に図12C示すように、加熱部材264は、充填前に蓋の貫通可能領域を熱灼するために上述の加熱部材/面より狭い幅を規定してもよい。更に、密封するための加熱部材264の温度は、貫通された領域を迅速に溶解して密封するために、上述の加熱部材の温度より高くてもよい。再密封可能ストッパの1つの利点は、ベースによって、加熱された領域を水薬瓶中の薬剤から熱的に絶縁することにより、水薬瓶内の薬剤を熱灼および加熱密封処理中に適切な温度範囲に維持し、それによって薬剤が熱によって損傷されないようにすることである。
【0044】
あるいは、図13A〜図13Cに示すように、レーザ源276および走査鏡278を用いて再密封可能部分の貫通領域294/248を熱密封してもよい。したがって、上述と同じ種類のレーザ源276および走査鏡278を熱密封ステーションにおいて使用してこの機能を実行してもよいし、あるいは異なる種類のレーザシステムを用いてもよい。一つの実施形態では、約50WのCO2レーザを用いて再密封可能ストッパにおける直径約0.254cm(0.10インチ)の領域を密封する。
【0045】
本発明の、現時点で好適である実施形態では、密封可能な蓋またはストッパの各々が熱可塑性体によって形成される。この物質は、針が貫通可能で貫通針穴が形成される針貫通領域を規定する。また、再密封可能な蓋またはストッパの各々は所定の波長およびパワーのレーザ放射が投射されることで熱再密封可能なので、針穴が密閉シールされる。以下で更に説明するように、蓋またはストッパの各々は熱可塑性の本体または本体部分を有する。この本体または本体部分は、(i)その軸方向における所定の壁厚と、(ii)所定波長のレーザ放射を実質的に吸収し、その放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度と、(iii)所定の波長およびパワーのレーザ放射に対して、所定の時間、ストッパの針貫通領域および/またはカバー部分を実質的に燃焼することなく(即ち、物質の分子構成や化学特性に不可逆的な変化を生じることなく)、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールするようにさせる所定の色および不透明度と、を規定する。幾つかの実施形態では、この所定の時間は約2秒であり、約1.5秒またはそれ未満であることが好適である。これらの実施形態の幾つかでは、レーザ放射の所定の波長は約980nmであり、各レーザの所定のパワーは約30ワット未満であることが好適であり、約10ワットまたはこれ未満、つまり約8〜約10ワットの範囲内であることが好適である。また、これらの実施形態の幾つかでは、部材の所定の色はグレーであり、所定の不透明度は、ストッパ部材に対して重量にして約0.3%〜約0.6%の範囲内の量で添加されたダークグレイの着色料によって規定される。
【0046】
上述の熱可塑性体に加えて、熱可塑性体は、KRATONまたはDYNAFLEXの商標で販売されるDYNAFLEX G2706−10000−00等の物質といったスチレンブロック共重合体であることが好適な第1の物質と、ENGAGEまたはEXACTの商標で販売されているEXACT8203等の物質といったオレフィンであることが好適な第2の物質との混合物でもよい。本発明のある実施形態では、第1および第2の物質は、重量にして約50:50〜好適には約90:10の範囲、最も好適には重量にして約90:5(即ち、第1の物質:第2の物質)の範囲内で混合される。好適な混合物を用いる場合の、第1の物質だけを用いる場合に勝る利点は水または蒸気バリア特性の改善であり、したがって製品の貯蔵寿命の改善、熱密封可能性の改善、摩擦係数の減少、成形可能性または成形流量の改善、ヒステリシス損失の減少である。
【0047】
あるいは、再密封可能ストッパの熱可塑性体は、GLS Corporation of McHenry(イリノイ州)によってLC254−071の名称で販売されるスチレンブロック共重合体の形状でもよい。この種類のスチレンブロック共重合体の合成物は、ほぼ以下の物理特性を示す。つまり、(i)ショアA硬度:約28〜29、(ii)比重:約0.89g/cm3、(iii)色:近似のグレーからダークグレー、(iv)300%変形率、流れ方向:約181〜211psi(125〜146N/cm2)、(v)破断時の引張強度、流れ方向:約429〜498psi(296〜343N/cm2)、(vi)破断時の伸び率、流れ方向:約675%〜708%;および(vii)せん断強度、流れ方向:約78〜81lbf/in(135〜140N/cm)である。一つの実施形態では、熱可塑性体の所定の色および不透明度は、約3%の色濃縮物(即ち、天然樹脂またはTPEに対する濃縮物は約33:1の比率)で提供されるグレー着色料によって規定される。色濃縮物は約88.83%キャリアまたはベース樹脂を含み、残りは顔料である。一つの実施形態では、顔料はグレーカーボンブラックである。したがって顔料は、得られた熱可塑性体の重量にして約0.34%である。
【0048】
更に、所望であれば、当業者によく知られた種類の潤滑剤を上記のスチレンブロック共重合体合の合成物等といった熱可塑性の合成物に加えて、熱可塑性部分の針貫通領域に針またはその他の充填部材を貫通させる際に粒子が生じることを防止または軽減してもよい。一つの実施形態では、潤滑剤は、針またはその他の充填部材を貫通させる場合に粒子が生じることを防止または実質的に防止するために十分な量をスチレンブロック共重合体またはその他の熱可塑性体の合成物に添加した鉱油である。別の実施形態では、潤滑剤はシリコーンであり、Dow Coming Corporationによって「360 Medical Fluid,350 CST」の名称で販売される液体シリコーン等であって、針またはその他の充填部材を貫通させた場合に粒子が生じることを防止または実質的に防止するために十分な量を、スチレンブロック共重合体またはその他の熱可塑性の合成物に付加する。
【0049】
本発明の水薬瓶の各々は、水薬瓶を作ることが現在または今後知られることになる多数の異なる物質のある物質から作られてもよい。例えば、本発明のある実施形態では、水薬瓶はガラス製である。このような一つの例では、水薬瓶本体はガラス製であるが横方向に延びるベースはプラスチック製であって、粘着物、スナップ嵌合、オーバモールディング、またはその他の既知の接続機構によってガラス水薬瓶本体のベースに固定される。また、同様にロックリングもプラスチック製であって、粘着物、スナップ嵌合、オーバモールディング、またはその他の既知の接続機構によって水薬瓶本体の開放端に固定される。本発明の、現時点で好適である別の実施形態では、水薬瓶本体は熱可塑性体で作られる。例えば、TOPASの商標でTicona Corp.of Summit(ニュージャージー州)によって販売される熱可塑性体等である。本発明の実施形態の中には、TOPAS(商標)物質は以下の製品コード5013、5513、6013、6015、8007の何れかで販売されており、環式オレフィン共重合体および/または環式ポリオレフィンである実施形態もある。
【0050】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本発明のストッパおよび水薬瓶またはその他の容器を作るために用いられる重合体合成物の具体的な調合物を所望通りに変更して、収着(吸収および吸着の両方)および水蒸気透過(「MVT」)を含む所望の物理特性を実現することができる。例えば、水薬瓶および/またはストッパの壁厚を厚くするか調整して、MVTバリアを改善または調整することができる。あるいは、またはこのような処置と関連して、熱可塑性合成物を形成する構成要素の混合を所望通りに変更して、水薬瓶に溜める特定の製品との所望の収着レベルを満たすか、および/または所望のMVT特性を達成してもよい。更に、可融性および不可融性物質の多層を用いる、本発明の再密封可能ストッパのこれらの実施形態では、異なる物質の相対的な厚さを調整してストッパのMVT特性を調整することができる。更に、以下で更に説明するように、水薬瓶を使用する直前に除去して再密封可能ストッパを露出することができる脆弱部分を含んでもよい。いたずら防止カバーまたはその他のカバーによってストッパの針貫通可能面と周囲の大気との間を密閉または気密シールすることで、水薬瓶に含まれる薬剤またはその他の物質に対するMVTバリアを更に改良できる。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、上記の数字および物質は一例に過ぎず、特定のシステムにおいて所望または必要な通りに変更してもよい。
【0051】
図14A〜図14Cを参照する。本開示の創意に富む面にしたがって構成され、組み立てられた薬剤用水薬瓶の更なる実施形態を総括的に参照番号300で示す。水薬瓶アセンブリ300は、他の要素の他に、保存水薬瓶310と、ストッパ部材330と、固定リング350と、熱再密封可能ディスク370とを有する。
【0052】
保存用水薬瓶310は、本体312と、ベース314と、頸部316とを有する。本体312は、所定の薬剤やその他の物質等を保存することに適合する内部チャンバ318を規定する。ここに示すように、本体312は実質的に円筒状である。しかし、当業者は、本体312が球状や、薬剤その他の物質の保存に適する内部チャンバを規定する任意の形状でもよいことが容易に分かるだろう。頸部316は本体312の上部と関連し、水薬瓶口部320を規定する。現時点において好適である実施形態では、内部チャンバ318に対する薬剤流の出入りは、(両方向とも)針を通って行われる。
【0053】
ストッパ部材330を口部320に挿入する。ストッパ部材330は外周面332を有する。外周面332は、口部320に挿入されて保存水薬瓶310の頸部316と係合することに適合するように構成されている。ストッパ部材330は、保存水薬瓶310の内部チャンバ318に所定の薬剤を溜めるための第1の主要シールとなる。ストッパ部材330は加硫処理されたゴムでもよい。しかし、この明細書が関連する技術分野の当業者は、その他の適切な物質をストッパ部材330に用いてもよいことが分かるだろう。
【0054】
熱再密封可能部分370を保存水薬瓶310の口部320に挿入し、ストッパ部材330の上に完全に重ねることが好適である。再密封可能ストッパの他の実施形態に関して上述したように、熱再密封可能部分370は弾性体の重合体物質で作られることが好適である。この重合体物質は、Shell Oil Co.によってKRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)の登録商標で販売される第1の重合体物質と、Dow Chemical Co.によってENGAGE(商標)またはEXACT(商標)の商標で販売されるポリエチレン等の低濃度ポリエチレンの形状である第2の物質との混合物等である。一つの実施形態では、第1および第2の物質を、重量にして約50:50〜約90:10の範囲内で混合する(即ち、第1の物質:第2の物質)。別の実施形態では、第1および第2の物質の混合は、重量にして約50:50である。好適な混合を用いる場合の、第1の物質だけを用いる場合に勝る利点は水または蒸気バリア特性の改善、したがって製品の貯蔵寿命の改善、熱密封可能性の改善、摩擦係数の減少、成形可能性または成形流量の改善、ヒステリシス損失の減少である。当業者によって認識されるように、これらの数や物質は一例に過ぎず、特定のシステムにおいて所望または必要な通りに変更してもよい。
【0055】
熱再密封可能部分370の重要な特徴は、針、注射器、または同様の注入部材をこれに挿入した後に再密封して気密シールできることである。再密封可能部分は、針によって穴があけられた領域を上述の方法で加熱することによって密封できることが好適である。上述の混合重合体の利点の1つは、KRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)自身と比較した場合、薬剤が重合体に吸収され得る程度を最小限にすることである。
【0056】
引き続き図14A〜図14Cを参照する。固定リング350を水薬瓶300の頸部316に係合させた状態を示す。固定リング350は、熱再密封可能部分370およびストッパ部材330を水薬瓶口部320内に維持して第2の密封を行うことに適合するように構成される。固定リング350は、熱可塑性体および弾性体の少なくとも1つから作られることが好適である。固定リングは、熱再密封可能部分370に使用する物質に類似する弾性体重合体物質や低密度ポリエチレンで作ることができる。固定リング350は、保存水薬瓶310/ストッパ部材330のアセンブリを成形装置に収容し、保存水薬瓶310およびストッパ部材330のすぐ上で固定リング物質を成形することによって形成することが好適である(「オーバモールディング」と称する)。
【0057】
上述のように、蓋や水薬瓶を運搬、保存、組立て処理中に無菌に保つことは難しい。固定リング350に非金属物質を用いれば、水薬瓶や蓋を組み立てた後に、例えばガンマ殺菌技術やその他の放射または殺菌処理を用いて、これらを一式として殺菌し、その後に、水薬瓶アセンブリに薬剤を充填することができる。ねじ切りされたプラスチック蓋とは異なり、オーバモールドされた固定リングは水薬瓶の損傷を確実に防止する機構を提供し、ストッパが取り除かれることを防止する。
【0058】
図14Bに示すように、固定リング350は下方フランジ352と上方フランジ354とを分離するウェブ356を有する略C形状の断面を規定する。固定リング350は下方フランジ352が保存水薬瓶310の肩部322と係合するように形成される。更に、上方フランジ354を部分的にストッパ部材330および熱再密封可能部分370の上に重ね、それによってこれらの要素を水薬瓶本体310の口部320内に固定する。
【0059】
オーバモールディング処理中に、所望であれば、固定リング370を形成するために用いる物質を鋳型に流しこむことができる。この時の温度は、水薬瓶の頸部316および/または熱再密封可能ディスク370またはストッパ部材330の接続領域において部分的に溶解するために十分な温度である。この結果、物質を冷却すると、固定リング370が水薬瓶の頸部316および/または熱再密封可能部分370またはストッパ部材330と効果的に融着する。物質が溶解すれば、固定リング350の密封および維持機能が更に向上する。説明したように、1個以上の要素が部分的に溶解することは、比較的大きな直径の口部を有する水薬瓶において利点である。針をストッパに挿入すると、ストッパを内部チャンバに向けて押し気味になるためだ。必要であれば、固定リングをストッパまたは熱再密封可能部分に融着させることで、ストッパの崩壊を防ぎ易くしてもよい。物質の溶解は、超音波溶接、熱エネルギーの適用、または使用する熱可塑性体、弾性体、またはその他の物質を接合する任意のその他の既知技術を用いて実現できることに注意する。
【0060】
代替的な実施形態では、現在のところ、熱再密封可能ディスクを除去し、固定リングをストッパ部材の上に完全に重ねるように形成できることも考えられる。この実施形態では、固定リングを、ディスク370について上述した物資、あるいは上述したその他の物質と同じまたは類似した熱再密封可能物質によって形成できるかもしれない。使用の際に、ストッパ部材や固定リングに針や同様の充填部材を貫通させて薬剤を水薬瓶の内部チャンバに導入するだろう。充填針を引き抜いた後に、固定リングに熱エネルギーを適用して、充填針によってでき穴を密閉シールする。
【0061】
引き続き図14A〜図14Cを参照する。水薬瓶アセンブリ300は更にピールバックカバー380を有する。カバー380は、充填および再密封処理をした後に密封リング350に粘着されていたずら防止シールとなる。これは、充填および水薬瓶保存の後に薬剤が抜き取られたり、水薬瓶がいじられたりしたかを示す。更に、必要または所望であれば、ピールバックカバーは、水薬瓶の内部との湿気および/または蒸気の出入りに対する更なるバリアにもなり得る。
【0062】
図14Aに示すように、水薬瓶310は糸巻きまたは中空こまの形状を規定する。より具体的には、上方部分または固定リング350が横方向に伸びる第1の寸法または直径「D1」を規定し、水薬瓶本体312が横方向に伸びる第2の寸法または直径「D2」を規定し、ベース314が横方向に伸びる第3の寸法または直径「D3」を規定する。図から分かるように、D1およびD3は両方共D2より大きいので、中空こままたは糸巻き状の形を規定する。上述のように、この形状は、ユーザが水薬瓶本体の短い方の(reduced)直径D2を、例えば一方の手の人差し指と親指で握れるようにすることで、使用中の取扱いを容易にする。上方部分の比較的大きな直径D1およびベースの比較的大きな直径D3によって、ユーザが水薬瓶を軸方向の動きに対して容易に固定できるようにする。更に、上方部分の比較的大きな直径D1によって、針が滑ったりストッパを捕らえ損なったりした場合にユーザの指を保護することで、針が刺さることを防止し易くなる。また、以下で更に説明するように、中空こままたは糸巻きのような形状であるために水薬瓶に対して他の従来技術の水薬瓶よりも低い重心を規定させる。したがって、例えば自動化された充填装置における取り扱い中に水薬瓶がチップすることを有効に防止する。また、以下で更に説明するように、中空こままたは糸巻きのような形状は、水薬瓶の自動殺菌、針充填、および/または熱再密封の処理中に、水薬瓶の固定およびその他の取り扱いを容易にする。
【0063】
図15を参照する。本開示の典型的な実施形態にしたがって構成された別の水薬瓶アセンブリを総括的に参照番号400で示す。水薬瓶アセンブリ400は、様々な部材の他に、保存水薬瓶410と、ストッパ部材430と、固定リング450とを有する。保存用水薬瓶410は、ベース414と頸部416とを相互に接続する円筒状の本体412を有する。本体412は、所定の薬剤を保存する内部チャンバ418を規定する外壁411と、水薬瓶アセンブリ400の中心軸413とを有する。
【0064】
ベース314と本体312とが一式として形成される水薬瓶300とは異なり、保存水薬瓶410のベース414と本体412とは独立して形成される。ベース414は、保存水薬瓶410の軸方向に延びるフランジ424に係合することに適合するように構成された内面422を有する。ベース414は、プレス嵌合関係、粘着、超音波溶接、またはその他の結合技術によって本体412に係合できる。その幅のために、上述の水薬瓶300のベースと同様、ベース414は水平面上に置いた場合に水薬瓶アセンブリ400の垂直方向の安定性を増す。
【0065】
引き続き図15を参照する。ここで示す実施形態において、ストッパ部材430は外周432に規定された環状溝434を有する。ストッパ部材430を保存水薬瓶410の口部420に挿入した場合、ストッパ部材430と保存水薬瓶410の頸部416との間に環状凹部が形成される。固定リング450をこの凹部に、以下で説明する方法で挿入することが好適である。
【0066】
図16A〜図16Bを参照する。固定リング450を形成する典型的な処理を示す。図16Aに示すように、水薬瓶本体412を初めに下方鋳型アセンブリ460によって規定される空洞の中に置く。製造し易くするために、ベース414と水薬瓶本体412のフランジ424とはまだ係合させていない。鋳型アセンブリ460は、底部462と、第1および第2の側壁464、466とを有する。
【0067】
次に、ストッパ部材430を水薬瓶本体412の口部に挿入する。図15について上述したように、ストッパ部材430はその外周432に規定された環状溝434を有する。ストッパ部材430を水薬瓶本体412の口部に挿入した場合、ストッパ部材430と保存水薬瓶410の頸部416との間に環状凹部が形成される。あるいは、微粒子による汚染の可能性を軽減するために、水薬瓶本体412およびストッパ部材430を清潔な部屋の環境においてサイドバイサイド鋳型で形成できる。ストッパ部材430を水薬瓶本体412の口部に挿入した後に清潔な部屋の環境から運び出して鋳型アセンブリ460に運ぶことで、内部チャンバ418内に微粒子が堆積することを防止する。
【0068】
次に、図16Bに示すように、上方鋳型要素468を下方鋳型アセンブリ460の上に置く。次に、流体化した熱可塑性体および弾性体の少なくとも1つを環状凹部に注入する(流れ矢印で示す)ことによって固定リング450を形成する。成形処理中、水薬瓶本体を(例えば、ガラスに対して)プラスチック物質で作った場合、固定リング450を作るために用いる物質の温度は、接触によって、頸部416の隣接物質を部分的に溶解することが十分にできる温度である。したがって、冷却すると、固定リング450は、ストッパ部材430を水薬瓶の口部に維持するように、頸部416に部分的に融着する。融解は、超音波溶接、熱エネルギーの適用、または熱可塑性体、弾性体、または使用したその他の物質を結合させる任意の他の公知技術を用いて実現できることに注意する。
【0069】
図16Aおよび図16Bに詳細に示す方法にしたがって製造された水薬瓶の封鎖機構(closure)は、流体化されたENGAGE(商標)ポリオレフィンを、ストッパと水薬瓶の頸部との間に規定された環状凹部に、約390°Fを越える温度で注入することによって形成される密封リングを含む。ストッパは、ENGAGE(商標)およびDYNAFLEX(商標)を上述の方法で混合した物を含む熱可塑性体で作られる。流体化されたENGAGE(商標)の温度は、水薬瓶頸部と同様に熱可塑性ストッパも局部的に溶解させるために十分な温度である。物質を冷却することで、水薬瓶本体の底にドリルあけされたかその他の方法で形成された開口部を通って内部チャンバに空気が供給されてもよい。出願人は、内部チャンバは、ストッパおよび固定リングによって形成された封鎖機構を水薬瓶の口部内から除去しないまま、約80psiを越える力で加圧してもよいことを検証した。
【0070】
図17A〜図17Cを参照する。本開示にしたがって水薬瓶アセンブリを作るための典型的な処理を図示する。水薬瓶アセンブリ500は、保存水薬瓶510と、オーバモールドされたストッパ530と、オーバモールドされたベース580とを有する。保存用水薬瓶510は上述の保存水薬瓶310および410と構造的に類似しているが、保存水薬瓶510は開放上端および開放底端の両方を有する点が異なる。
【0071】
上述の水薬瓶310のように、また図15に示すように、水薬瓶410は、上方部分417の比較的大きな直径D1と、ベース415の比較的大きな直径D3と、上方部分とベースとの間で軸方向に延びる本体412の比較的短い直径D2と、によって形成される中空こままたは糸巻きのような形状を規定する。
【0072】
図17Aに示すように、初めに保存水薬瓶510を、鋳型アセンブリ560によって部分的に規定される空洞の中に置く。鋳型アセンブリ560は、底部562と、第1および第2の側壁564、566と、上方部分568とを有する。鋳型アセンブリ560の底部562は、ここから保存水薬瓶510の中へ突起する円筒状の鋳型挿入部570を有する。鋳型挿入部570の上面572は、オーバモールドされたストッパ530の下面を規定することに適合するように構成されている。次に、流体化された形状の熱可塑性および弾性体の少なくとも1つを成形要素によって規定された空洞に注入することによって、オーバーモールドされたストッパ530を形成する。
【0073】
ストッパ530の形成後、オーバーモールドされたストッパ530を有する水薬瓶本体510を鋳型から取り出す。図17Bに示すように、ベース部材514を、上述の任意の方法によって、保存水薬瓶510の底に係合する。最後に、組み立てた水薬瓶を第2の鋳型アセンブリ(図示せず)の中に置き、オーバーモールドされたベース580を、上述したオーバーモールド処理と類似の方法で形成する。
【0074】
図18を参照する。本開示の典型的な実施形態にしたがって構成された別の水薬瓶アセンブリを総括的に参照番号600で示す。上述の実施形態と同様、水薬瓶アセンブリ600は保存水薬瓶610と、ストッパ部材630とを有する。保存用水薬瓶610は、円筒状の本体612と、スナップオンベース614と、頸部616とを有する。本体612は所定の薬剤を保存する内部チャンバ618と、水薬瓶アセンブリ600の中心軸とを規定する。
【0075】
上述のように、ストッパ部材630は、保存水薬瓶610の頸部616と係合することに適合するように構成された外周面632を含む。ストッパ部材630の周囲面632によって、所定の薬剤を水薬瓶本体の内部チャンバに溜めるための第1の主要な密封を行う。図から分かるように、水薬瓶の頸部616は先細の環状隆起部617を規定する。これは、上に重ねられるストッパ部材の中に入り込むように軸方向に突起し、これによってストッパと水薬瓶との間の密閉シールを行う。上述の実施形態と対比して、水薬瓶アセンブリ600は更に、ロックまたは固定リングまたはロックリング650と、スナップオフされるいたずら防止カバー640とを有する。ロックリング650は外周縁フランジ652を有する。外周縁フランジ652は、その内面に肩部654を規定する。肩部654は、頸部616の下面620と相互にロックするように係合することに適合するように構成されている。ロックリング650は、プラスチック等の比較的可撓性を有する非金属物質から作られる。
【0076】
組立て処理中、ロックリング650をストッパ部材630の上に置く。ロックリング650を軸方向に下向きに押してストッパ部材630を水薬瓶の口部内に押し込んで維持する。ロックリングのフランジ652の可撓性および構造のために、フランジは、頚部616の外周面622の外側に半径方向に曲がることができる。一旦、肩部654が軸方向に下向きに進んで下面620を越えると、フランジ652は元に戻るように曲がり、肩部654および下面620がスナップ嵌合で相互にロックするように係合する。典型的な実施形態では、ロックリング650が保存水薬瓶610の頸部616と係合した後には、フランジ652の外面に環状の凹部が刻まれるか、形成される。図から分かるように、フランジ652を壊さずにロックリング650を頸部616から取り外すことはできない。この特徴は、ストッパを外したり、ストッパを貫通することなく水薬瓶の中身がいたずらされることを防止するように機能する。
【0077】
ロックリング650は中央開口部を規定する。ストッパ部材630は、針または同様の装置によってこの開口部を通ってアクセスされることができる。いたずら防止カバー640はロックリング650の中央開口部の上に重ねられてロックリング650と係合することで、露出されたストッパ部材を保護するように構成されている。本明細書で示す実施形態では、カバー640は、ロックリング650について上述したプレス嵌合に類似したプレス嵌合によってロックリング650と係合する。カバー640は外周縁フランジ642を含む。これは、その内径上に肩部655を規定する。この肩部655は、ロックリング650に関連する周縁凹部656と相互にロックして係合することに適合する。いたずら防止カバー640は更に、その下側に先細の環状隆起部657を規定する。これが押されて隣接するストッパ部材と係合すると、それによってカバー640とストッパ630との間を密閉シールする。いたずら防止カバー640は、カバーを壊さずに水薬瓶から取り外すことができないので、更なるいたずら防止特徴を提供できることが好適である。あるいは、このいたずら防止特徴を超音波溶接、粘着物、またはその他の任意の接続技術を用いて防止カバー640をロックリング650に係合させるように作ることで、一旦カバー640を外したらロックリング650に再係合できないようにすることができる。
【0078】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、水薬瓶はガラス、プラスチック、またはガラスとプラスチックの組合せによって作られてもよい。例えば、水薬瓶本体をガラスで作ってもよい一方で、ベース614をプラスチックで作ってもよいし、ロックリング650およびいたずら防止リングをプラスチックで作ってもよい。プラスチックベースおよびロックリングは、本明細書で説明する多数の異なる任意の方法によってガラスの水薬瓶本体に接着されてもよい。この方法は、プラスチック構成物をガラス構成物にオーバモールドする、プラスチック構成物とガラス構成物との間で機械的なスナップ嵌合またはその他の相互ロック係合を行う、またはプラスチック構成物をガラス構成物に粘着接合する等を含む。更に、本発明の本実施形態では、ストッパは加硫処理されたゴムまたはその他の不可融性のベース部分と、熱可融性のベース部分の上に上述の方法によって設けられた熱可塑性またはその他の熱可融性部分とを有してもよい。本発明のこの種類の実施形態の一つの利点は、水薬瓶に含まれる薬剤またはその他の物質を、ガラスおよび加硫処理されたゴム面のみに露出または接触させた状態で保存することである。したがって、この種類の実施形態は、以前は加硫処理されたゴムまたは同様のストッパを有するガラス水薬瓶に保存されていた薬剤またはその他の物質と共に使用することが容易になるかもしれない。
【0079】
図22A、図22B、および図22Cでは、カバー640を更に詳細に図示する。カバー640は、半径方向に間隔をあけて設けられた複数の脆弱な接続部662によってカバーの残り部分に接続された脆弱部分660を含む。図から分かるように、針または同様の装置によって再密封可能ストッパ630にアクセスするためには、脆弱な接続部662を壊すために十分な力で脆弱部分660をストッパから剥ぎ取って(flip away)脆弱部分660をこれから取り外せるようにしなければならない。図から分かるように、カバー640は周囲リム664を規定してもよい。周囲リム664は、これを押して脆弱部分660を壊し取るために、例えばユーザの親指とはめ合うことが可能である。一旦、脆弱な接続部662を壊すと脆弱部分660は再接続できないので、いたずら防止特徴を提供することになる。更に、ロックリング650の中央開口部の隙間にあるストッパ部材の上に重ねられたカバーに設けられた環状の隆起部657や関連部分によって、ストッパおよび水薬瓶内部を周囲の空気から更に遮断し、周囲の気体、蒸気、またはその他の所望でない物質がストッパまたは水薬瓶内に収められた物質に曝されることを更に防止する。例えば、カバー640を設けることで、ストッパアセンブリによって提供される蒸気(またはMVT)バリアを著しく改善し、これによって水薬瓶内に収められた物質の実効貯蔵寿命を長くする。
【0080】
水薬瓶アセンブリ300,400,500と同様、水薬瓶アセンブリ600に関連する利点の1つは、糸巻きの形状または中空こまの形状に構成されていることである。上述のように、水薬瓶アセンブリの上方および下方部分は中央水薬瓶本体の半径方向に外側に向かって配設された外周面を有する。この結果、ヘルスケア作業者によって薬剤を抜き出す場合に水薬瓶本体の凹部分を把持する指は保護され、ストッパから滑って外れた針によって刺されにくくなる。
【0081】
水薬瓶アセンブリを中空こまの形状に構成することによって、殺菌および充填処理中の水薬瓶の取り扱いと同様、充填された水薬瓶の安定性も改善される。中央水薬瓶本体の半径方向外側に配設された外周面を有するベースを備える水薬瓶は、水薬瓶本体から半径方向に突起していないベースを備える同じ高さの、吹き込み形成された従来の水薬瓶より低い重心を有する。上方および下方部分が水薬瓶本体の外径を越えて突起することによっても、水薬瓶本体またはアセンブリの取り扱いを改善する。これは、取扱い処理中に水薬瓶をガイドし、自動化された取扱い設備(例えば、拾って置くロボット)を使い易くするために使用することができる上部および下部肩部を提供することによって実現される。
【0082】
本明細書に説明する水薬瓶アセンブリの更なる利点は、いたずら防止カバーを、下に設けられたロック部材および/または再密封可能ストッパに対して密閉シールし、それによってストッパをロック部材およびカバーの内部および大気から遮断してもよいことである。本発明の好適な実施形態の一つの態様によれば、上に設けられるロック部材およびカバーを、再密封可能なストッパ自身の物質と比べて相対的に硬い物質および/または湿気および蒸気の移動に対して相対的に高い抵抗を有する物質によって作ることができる。これは、例えば保存、移動、および/または製品の貯蔵寿命中に水薬瓶その他の容器に収められた薬剤その他の物質がロック部材およびカバーを通って損失したり、湿気や蒸気が水薬瓶その他の容器の中に侵入することを防止し易くするためである。
【0083】
図19〜図21を参照する。本開示の発明的な態様にしたがって構成された別の水薬瓶アセンブリ700を示す。水薬瓶アセンブリ700は、他の特徴の他に、封鎖(closure)アセンブリ735と、水薬瓶本体710とを有する。図18の封鎖アセンブリと同様、封鎖アセンブリ735は、ストッパ部材730と、ロックまたは固定リングまたは蓋750と、いたずら防止カバー740とを含む3片のアセンブリである。
【0084】
図18の封鎖アセンブリとは異なり、封鎖アセンブリ735は部分的に、一連の成形処理によって形成される。より具体的には、ストッパ730(図20)およびロックリング750が2ステップの成形処理によって一式として形成される。初めに任意の既知の成形処理によってストッパ730を製造する。図20に示すように、ストッパ730の外縁部732は環状凹部736を含む。次にストッパ730を鋳型アセンブリ内に置き、これを用いてロックリング750の内面752の少なくとも一部を規定する。熱可塑性体または弾性体を鋳型に注入してロックリング750を形成する。ロックリング750はストッパ730の環状凹部736に嵌合する環状突起部754を有する。次に、図19に示すように、一体化したストッパ/ロックリングを水薬瓶本体710の開放端と係合させて内部空洞718を密封する。
【0085】
ロックリング750の外周には、これに沿って環状溝756が形成される。図19に示すように、いたずら防止カバー740はそれ自身から延びる外周縁フランジ744を含む。フランジ744はロックリング750の溝756に滑動可能に係合して、カバー740をロックリング750に固定する。いたずら防止カバー740を押してロックリング750と係合させるとストッパ730の環状リブ738がカバーの底によって圧縮され、これによって第2の密閉シールが形成される。したがって、いたずら防止カバー740はストッパの外面と周囲の大気との間で密閉または気密シールを形成し、これによって水薬瓶の内部と周囲の大気との間に更なるMVTバリアを提供する。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、いたずら防止カバー740および/またはロックリング750、またはストッパの露出された面の上に設けられてこれらを密封するカバーおよび/またはロックリングの少なくとも一部の物質および厚さを、ストッパを通る方向における水薬瓶の内部と外部との間のMVTバリアを制御するために選択してもよい。
【0086】
ロックリング750の外周縁に沿って形成された環状溝756も、偶発的に針が刺さる可能性を軽減するように機能する。内部チャンバ718から薬剤を除去するためにストッパ730にアクセスしようとしてロックリング750からカバー740を外して溝756を露出させる。薬剤を抜き取るために使用する針が偶然にもストッパ730から滑って外れてしまった場合でも針は環状溝756に滑り込み易く、軌道をそのまま下向きに移動してヘルスケア作業者の手に刺さることが少ない。
【0087】
引き続き図19および図20を参照する。ストッパ730の底に空洞734が規定されていることでも、カバー740によって環状リブ738に力がかかった場合にストッパ730の上方部分が曲がることができる。この結果、ストッパ部材の下方部分には半径方向の外向きに力が加わり、ストッパ730の外縁部732と水薬瓶本体710との間に形成される周囲密封を改善する。更に、環状リブ738に力が加わった結果、ストッパ730の上方部分は半径方向に圧迫され、いたずら防止カバー740とストッパの露出された面との間に密閉または気密シールが形成される。これによってストッパを周囲の大気から更に遮断し、所望であれば水薬瓶内部と周囲の大気との間のMVTバリアを更に改良する。
【0088】
図23〜図28において、本発明を実施する別の水薬瓶を総括的に参照番号800で示す。水薬瓶800は図14〜図23を参照して上述した水薬瓶と多くの点で類似するので、数字「8」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。上述の水薬瓶と比較した場合の水薬瓶800の主要な差異は、ロックリング850を超音波溶接等によって水薬瓶本体の頸部816に溶接していることである。更にフリップトップまたはいたずら防止カバー840を超音波溶接等によってロックリング850にタック溶接する。図24および図28に示すように、ストッパ830は環状フランジ832を規定し、水薬瓶本体の頸部816はストッパフランジ832の一方の側に入り込むように突起する先細の環状隆起部817を規定し、ロックリング850はストッパフランジ832の別の側に入り込むように突起する別の環状隆起部819を規定する。したがって、環状隆起部817、819は連続した環状の密封面を規定する。この面は、ストッパと水薬瓶本体との間で容易に気密または密閉シールを行うようにする。更に、図24に示すように、周囲面832はバルブ本体部分810の内部と嵌合する干渉部を形成してストッパと水薬瓶本体との間で更なる気密または密閉シールを形成する。頸部816はその軸方向の面において先細の環状隆起部821を規定する。これは、ロックリング850の下側に規定された対応する環状凹部823内に挿入される。環状隆起部821は環状凹部823内でロックリング850に、例えば超音波溶接によって溶着され、それによってロックリングを水薬瓶本体に固定する。更に、環状溶接はロックリングと水薬瓶本体との間で密閉または気密シールを規定して、水薬瓶の内部と周囲の大気との間を更に気密または密閉シールすることが好適である。ロックリング850は更に、その遠方端において半径方向に延びる複数の分離した隆起部866を規定する。これらはロックリング840の下側の内部に形成された対応する凹部868に挿入される。隆起部866は、例えば超音波溶接によって凹部868内でカバー840に溶着され、これによってカバー840とロックリング850との間に複数の脆弱な接続部を規定する。あるいは、図27に示すように、隆起部866’をカバーのフランジ842のベースに形成してもよく、ロックリングの環状凹部870内に形成された対応する凹部868’内に溶着してもよい。図24、図27、および図28に示すように、水薬瓶本体のベースは先細の環状隆起部815を規定する。これはベース814に形成された対応する環状凹部に挿入されて、ベースを、例えば超音波溶接によって本体部分に固定する。
【0089】
水薬瓶810を充填するために、ストッパ830、ロックリング850、およびベース814を超音波溶接等によって空の水薬瓶本体に組み付ける。次に、空の水薬瓶にガンマまたは他の種類の放射を適用する等によってこれを殺菌する。次に、殺菌した空の水薬瓶に針充填し、上述のようなレーザ再密封等によって熱で再密封する。次に、いたずら防止カバー840を充填された水薬瓶に取り付ける。これは、上述のような超音波溶接によってカバーをロックリング850に固定することによって行う。図24に一般的に示すように、ストッパ830の外面はいたずら防止カバーの内面と嵌合する干渉部を形成し、カバーとストッパとの間において更に気密または密閉シールを形成して、水薬瓶の内部と周囲の大気との間においてカバーによってMVTバリアを形成してもよい。所望であれば、ロックリングの角錐台(frust-conical)部分870といたずら防止カバー840の下側との間に周縁シールを形成してもよい。これは、ストッパと周囲の大気との間で密閉または気密シールを形成して所望のMVTバリアを形成するために、例えば超音波溶接によって866,868において環状シールを形成することによって行う。水薬瓶を使用するためにいたずら防止カバー840を除去する。これは、例えば親指でカバーの周囲縁843を把持し、カバーをロックリングから離れるように上向きまたは実質的に軸方向に押して脆弱な接続部866,868または866’,868’を壊し、カバーまたはその脆弱部分をロックリングから離して下にあるストッパを露出することによって行う。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、いたずら防止カバーおよび/またはその脆弱部分は、本明細書で説明するようないたずら防止カバーの機能を行うことが現在または今後知られることになる任意の多数の異なる形状および/または形態でもよい。
【0090】
図29〜図31において、本発明を実施する別の水薬瓶を総括的に参照番号900で示す。水薬瓶900は、図14〜図28を参照して説明した水薬瓶と多くの点で類似するので、数字「9」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。上述の水薬瓶と比べて水薬瓶900の主要な差異は、ロックリング950を水薬瓶本体910にスナップ嵌合すること、およびロックリング950が水薬瓶の頸部916を規定することである。図から分かるように、ロックリング950が頸部916を形成する周縁フランジを規定し、更にその内側縁部に環状凹部968を規定する。この凹部968にはいたずら防止カバー940に形成された環状隆起部966が挿入される。図から分かるように、凹部968に続く環状フランジ916の内側縁部は面取りされた面(chamfered surface)を規定し、カバーの環状隆起部966の先端縁部も面取りされて、隆起部が凹部内にスナップ嵌合されるか、その他の方法で挿入されて固定されるようにして、カバーがこれから外れないようにしている。同様に、ロックリング950はその内径に環状隆起部921を規定する。この隆起部921は、水薬瓶本体の外側に形成された対応する環状凹部923にスナップ嵌合されるか他の方法で固定されて、カバーを水薬瓶本体に固定する。この実施形態では、水薬瓶本体のベース914を水薬瓶本体の残り部分と一体形成して部品の数を減らしている。しかし、所望であればベース914を別の部品として形成して、水薬瓶本体にスナップ嵌合するか、他の方法で接続することができる。
【0091】
図31に一般的に示すように、いたずら防止カバー940は中央に位置する脆弱部分960と、ストッパ930の露出された面と係合してこれとの間で密閉または気密シールを形成する、内部に向かって延びる環状隆起部963と、その外側端において環状隆起部963と連続するように形成されてこれとの間で気密または密閉シールを形成することが好適である角錐台部分965とを有する。図30および図31に示すように、複数の脆弱な接続部962は互いに角度を有するよう間隔間をあけて配設され、脆弱部分960と実質的にドーム型のカバー本体941との間に延び、この脆弱部分の除去と下にあるストッパ930へのアクセスとを可能にしている。図31の矢印で示すように、カバーの脆弱部分960を、例えばユーザの指で下向きに押して下にあるストッパ部材を僅かに押して脆弱な接続部962を壊す。脆弱部分960は一旦、除去されたら再接続できないので、いたずら防止の機能を提供する。つまり、いたずら防止カバー940の脆弱部分960は、除去される前には、その環状隆起部963およびロックリング950の角錐台部分965と共にストッパと周囲の大気との間に実質的な気密または密閉シールを形成し、それによってストッパを貫く方向において水薬瓶の内部と周囲の大気との間でMVTバリアを提供している。所望であれば、または所望のMVTバリアを更に得るために必要であれば、角錐台部分965および周縁フランジ916が、図29の破線で示すように連続した(即ち、開口部がない)固体バリアを形成して、周囲の大気からストッパを完全に遮断してもよい。
【0092】
図32〜図36を参照する。本発明の複数の中空こま状の水薬瓶610を無菌充填装置内に装着した状態を示す。この充填装置は水薬瓶を針充填し、これをレーザ再密封する。これは、同時係属の米国仮出願第60/484,204号(2004年6月30日出願)に開示された通りである。この出願を引用して本開示に含める。図から分かるように、水薬瓶610の各々は針充填およびレーザ再密封処理中には、いたずら防止カバー640(図18)を備えていないが、針充填およびレーザ再密封を行った後にいたずら防止カバーを水薬瓶に固定する。水薬瓶610を無菌充填装置内に装着した状態を示すが、本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本明細書で説明した、または本発明の特徴を実施する任意の他の水薬瓶を、図示する無菌充填装置によって同様に充填、密封してもよい。無菌充填装置は、無菌エンクロージャ(図示せず)と、エンクロージャに入れられて運ばれている水薬瓶の上に空気または他の気体の実質的な薄層流を送る薄層流の源(図示せず)とを含む。また、図33〜図36に示すように、図示した実施形態の無菌充填装置は複数の星形車輪1010と、星形車輪1010の各々に隣接して間隔をあけて設けられ、それらの間で水薬瓶610を支持する関連するガイド1012とを備える運搬システムも備える。
【0093】
図33〜図36に示すように、星形車輪1010の各々は、その周囲面に沿って複数の凹部1014を有する。これらは水薬瓶610の中間部分が挿入されることに適合する。1個以上の星形車輪はのこぎり歯状の周囲を有し、これによって水薬瓶が、例えば回転可能な供給(infeed)溝から星形車輪に供給される際に互いにジャム(jam)する可能性を軽減してもよい。このような実施形態では、星形車輪の周囲は複数の歯を規定する。ここで各々の歯は先細の端部を有し、各連続した2つの歯が水薬瓶を収容することに適合する凹部の各々を形成する。この実施形態では、歯および/または凹部は、先端部(point)のほぼ上流にあってこれと隣接する歯の部分が、各自の水薬瓶が挿入されるシートを規定するような形状および/または寸法を有する。また、この実施形態では、シートが、容器を押しつける面を規定する。もちろん他の設計を用いてもよい。所望であれば、1個以上の星形車輪の凹部1014に真空ポート(図示せず)を設けてもよい。この真空ポートを真空源(図示せず)に選択的に接続すれば、それによって星形車輪が水薬瓶を適切に担持したり放したりできる。
【0094】
図32〜図35に最もよく示されるように、針充填多岐管1016を無菌充填装置の針充填ステーションにある星形車輪1010の周囲に沿って第1の位置に配置する。針充填多岐管1016は複数の針を有する。例えば4本の針1018,1020,1022,1024である。これらの針を使って、薬剤またはその他の物質を密封された水薬瓶に供給する。針多岐管1016を駆動して、各針が再密封可能ストッパと係合したり、これから放れたりするように移動できるようにしてストッパに刺し、水薬瓶にその中に溜めるべき薬剤や他の物質を充填し、水薬瓶に充填した後に針を抜き取る。多数の針を設ければ、多数の水薬瓶を同時に充填できる。針の各々は各自の可撓性チューブ1026,1028,1030,1032と連通する。これらのチューブは各自の針1018,1020,1022,1024を複数のポンプ(図示せず)の1つを通して各自の薬剤またはその他の物質の源(図示せず)に接続する。薬剤源は、充填装置の内部または外部に配置してもよい。
【0095】
図33〜図35に示すように、針充填多岐管1016は一対の駆動シャフト1034の上に装着される。これらのシャフト1034は、適切は駆動源(図示せず)に駆動的に接続される。この駆動源は、針多岐管、したがって多岐管に装着された針のバンク(bank)を、図33に一般的に矢印「a」で示す通りに、針充填ステーションに装着された水薬瓶の再密封可能ストッパと係合させたり放したりするように駆動する。図示しないが、ベローズによって各シャフトのベースを取り囲んでシャフトの可動部分を密封してもよい。図32に最も良く示されるように、針多岐管1016は更にベース1036と、互いに間隔を空けて設けられてその間に薄層流開口部1040を規定する複数の針マウント1038と、ファスナ1044(図33)によってベース1036に固定されて針を多岐管に固定するクランプ1042とを有する。図32に示すように、各針は装着フランジ1046を有する。これは、各自の針マウント1038に形成された開口部内に滑動可能に挿入され、クランプ1042をベース1036に固定した際に定位置に固定される。ベース1036の前面から外に向かって整列ピン1048が突起し、クランプ1042に形成された対応する開口部に挿入されて、クランプおよび針を多岐管において確実に適切に整列させる。図35に示すように、装着板1050は駆動シャフト1034,1034の端部に固定され、これと共に移動できる。整列ピン(図示せず)が針多岐管1016のベース1036と駆動板1050との間に延びて、針多岐管、したがって針を、駆動板上で確実に適切に整列させる。一対の蝶ネジ1052を多岐管のベース1036の対向する端部を通してネジ切り挿入して多岐管を取り外し可能に駆動板1050に固定する。
【0096】
図36に示すように、レーザ密封および赤外(IR)検知多岐管1054を針充填多岐管1016の下流において星形車輪1010の周囲に沿って第2の位置に配置する。一般的に図36に示すように、レーザ密封および赤外(IR)検知多岐管1054は、複数のレーザ光学アセンブリ(例えば、4つのレーザ光学アセンブリ1056,1058,1060,1062)を複数のIRセンサ(例えば、4つのIRセンサ1064,1066,1068,1070)と共に保持する。レーザ光学アセンブリは、レーザビームを送出して針充填後に水薬瓶上の再密封可能ストッパを再密封することに適合する。複数のレーザ光学アセンブリの各々を星形車輪1010の周囲の近くの各自の位置に装着して各自のレーザビームを各自の再密封可能ストッパに供給し、再密封可能ストッパの針穴を熱によって再密封する。レーザ光学アセンブリ1056,1058,1060,1062の各々は各自の光ファイバケーブルに接続される。このケーブルは各自の光学アセンブリを各自のレーザ源(図示せず)に接続する。多数の光ファイバアセンブリを設ければ、多数の水薬瓶を同時に再密封できる。この実施形態では、複数のIRセンサアセンブリ1064〜1070の各々が星形車輪1010の周囲の近くの各自の位置に装着される。レーザ源(図示せず)をエンクロージャの外側に装着することで、エンクロージャを開けたり、および/または無菌エンクロージャを汚染する危険を冒すことなく、レーザ源を修理および/または交換できるようにすることが好適である。IRセンサ1064〜1070はレーザ再密封中に実現される再密封可能ストッパの針貫通領域の温度を検出するので、これを用いて、ストッパが再密封を行うために十分であるほどに再加熱されたかを検出できる。IRセンサ1064〜1070の各々を各自のIRセンサモジュール(図示せず)に接続する。多数のIRセンサを設ければ、無菌の充填装置に対して、再密封中に多数の水薬瓶の温度を同時に検出させることができる。
【0097】
上述のように、各レーザ源は約980nmで所定の波長のレーザ放射を送出する。各レーザの所定パワーは約30ワット未満が好適であり、約10ワットまたはそれ未満、すなわち約8〜約10ワットの範囲内が好適である。図示した実施形態では、各レーザ源は約15ワットで出力する半導体ダイオードレーザであり、光ファイバケーブルを通して、充填ユニット内部の水薬瓶上に装着された各自のコリメートレンズに光ファイバで結合される。レーザおよびIRセンサ多岐管1054は色つきエンクロージャ1072を有する。これはレーザを4面で取り囲み、レーザビームによって生成される潜在的に有害な放射をフィルタアウトする複数の色つきガラスまたは半透明または透明のプラスチックパネルを含む。コンデンサセンサ(図示せず)を針充填多岐管1016の下流において星形車輪1010の周囲に沿って設け、各水薬瓶に、そこに溜めるべき薬剤またはその他の物質が供給されたかを検出し、もし欠陥があればを拒否するようにしてもよい。
【0098】
無菌充填装置の動作において、星形車輪1010が水薬瓶610をガイド1012に沿って、図示する方法で運ぶ。星形車輪1012は4つの場所を移動し(indexed)、次に一時停止して少しの間休止する。休止中、針多岐管1016を下向きに駆動して、4本の針1018〜1024を、針多岐管の下の4つの水薬瓶の再密封可能ストッパに挿入するように駆動する。その後、薬剤またはその他の物質をポンプによって針を通して水薬瓶の内部チャンバに供給し、その後、多岐管を駆動して4本の針1018〜1024を4つのストッパから引き抜く。1実施形態では、最初は針を比較的遅い速度で引き抜くことで水薬瓶が「下から上まで」充填できるようにし、次に水薬瓶が充填されたら、針を比較的早い速度で引き抜くことで針を素早く取り除き、全体の周期時間を軽減する。図33〜図35に示すように、水薬瓶が中空こままたは糸巻きの形状を有することで、水薬瓶を星形車輪またはその他の運搬システムによって運搬し易くする。更に、中空こまの形状は水薬瓶を支持し、充填処理中に針を挿入したり引き抜いたりする際に水薬瓶が軸方向に動くことを防止する。各水薬瓶の中間部分を星形車輪またはその他の運搬機構の凹部内に固定する。各水薬瓶の比較的大きな直径の上方部分によって、針を水薬瓶の再密封可能ストッパに挿入する際に水薬瓶が下方向に動くことを防止する。これは、星形車輪および/またはガイドの上面と係合することによって行う。また、水薬瓶の比較的大きな直径のベース部分によって、針を再密封可能ストッパから抜き取る際に水薬瓶が軸方向に上方向に動くことを防止する。これも、星形車輪および/またはガイドの下側を係合することによって行う。
【0099】
休止中、4つのレーザ光学アセンブリ1056〜1062が、レーザおよびIR多岐管の下の4つの水薬瓶に装着された再密封可能ストッパにレーザエネルギーを送ってストッパを再密封する。再密封可能ストッパがレーザエネルギーによって加熱されると4つのIRセンサ1064〜1070は各ストッパの温度を検出し、各ストッパが再密封を行うために十分な程に加熱されたかを検出できる。休止後、この処理を繰り返す。つまり、星形車輪は別の4つの位置を移動し、次に再び休止して4つの水薬瓶を充填し、更に4つの水薬瓶を再密封する。
【0100】
再密封後、水薬瓶を別の星形車輪(図示せず)に運ぶ。この車輪はその凹部に真空ポートを有し、運搬されている水薬瓶を保持する。充填、再密封が成功裏に行われた水薬瓶については、星形車はその水薬瓶を放電ガイドに運ぶ。この時、関連する真空ポートへの真空を選択的に除去して水薬瓶を放電ガイドに運ぶ。放電ガイドは水薬瓶を充填、密封に成功した容器の貯蔵場所(図示せず)に運ぶ。充電、密封が成功しなかった水薬瓶については、星形車輪はその水薬瓶を別の星形車輪に運ぶ。この時、関連する真空ポートへの真空を選択的に除去して別の星形車輪上の各自の真空ポートに真空を適用し、それによって水薬瓶を別の星形車輪に運び、他の任意の欠陥水薬瓶と共に廃棄する。
【0101】
図37〜図48において、水薬瓶を針充填およびレーザ再密封するためのモジュールを総括的に参照番号2000で示す。針充填およびレーザ再密封モジュール2000は、上述の針多岐管およびレーザおよびIRセンサ多岐管と多くの点で類似するので、数字「1」の代わりに数字「2」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。上述の多岐管と比較してモジュール2000の主要な差異の1つは、モジュール2000が、同じモジュールにおいて針充填とレーザ再密封の両方を行うことができることである。更に、所望であれば、以下で更に説明するように、モジュール2000に電子ビームまたはその他の適切な放射または殺菌源を備えて、水薬瓶や充填針の殺菌を更に確実に行えるようにすることができる。
【0102】
モジュール2000を多数の異なる種類の無菌エンクロージャの任意の容器内に装着してもよいし、多数の異なる種類の運搬システムと共に用いてモジュールを介して水薬瓶を運搬するようにしてもよい。所望であれば、無菌エンクロージャが、上記の同時係属の特許出願に開示された薄層流の源を含んでもよい。モジュールを介した運搬システムは実質的に直線的であって、ガイド2010を含む。ガイド2010は、これに沿って延びる軸方向に長細い開口部2014を規定する。図39および図40に示すように、軸方向に延びる開口部2014の寸法は、その中に中空こま形状の水薬瓶の中間部分が滑動して挿入されてガイド2010の、対向する上方面において各水薬瓶の比較的大きな直径の上方部分を支持し、また所望であれば、ガイドの、対向する下方の面に当接するように各水薬瓶の比較的大きな直径ベース部分を支持する寸法である。図43に示す本発明の1実施形態では、運搬システムは、水薬瓶610が収容される凹部を形成する螺旋溝2017を規定するリードネジ2015を含むネジ型駆動装置を備える。モータ2019がリードネジの一端と駆動的に接続されて、矢印「b」で示すように回転可能にネジを駆動して水薬瓶610を多岐管2000を通して軸方向に駆動する。モータ2019は制御ユニット(図示せず)と電気的に接続して、ネジの開始、停止、および速度を精密に制御し、これを針多岐管およびレーザ源の起動と調和させる。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、運搬システムは多岐管を介して水薬瓶を駆動する任意の多数の異なる構成を有しても良い。これは、この機能を実行することが現在または今後知られることになる他の種類のコンベアを含む。
【0103】
針充填多岐管2016を一対の駆動シャフト2034に装着する。このシャフト2034は共通の駆動シャフト2035(図42)を通して適切な駆動源(図示せず)に駆動的に接続され、針多岐管、つまり多岐管に装着された針2018(1本だけを図示する)のバンクを、多岐管のガイド2010内に収容された水薬瓶の再密封可能ストッパと係合させたり、これから放したりするように駆動する。図示しないが、ベローズによって各シャフトのベースを囲い、シャフトの可動部分を密封してもよい。針多岐管2016は、ベース2036と、互いに間隔を空けた複数の針マウント2038と、ファスナ(図示せず)によってベース2036に固定されて針を多岐管に固定するクランプ2042とを有する。所望であれば、薄層流の開口部を針マウント2038間に設けて、無菌空気またはその他の気体の流体がこの間を通って針の側面(sides)の上を通過できるようにしてもよい。各針は装着フランジ2046を含む。これは各自の針マウント2038に形成された開口部の中に滑動して収容され、クランプ2042をベース2036に固定した際に定位置に固定される。多数の針を設ければ、多数の水薬瓶を同時に充填できる。針の各々は各自の可撓性チューブ2026と流体連通する。このチューブは、各自の針2018を各自の薬剤または他の物質の源(図示せず)に、複数のポンプ(図示せず)のうちの各自の1つのポンプを通して接続する。薬剤源を充填装置の内側または外側に配置してもよい。
【0104】
一般的に図41に示すように、整列ピン2039をクランプ2042に設け、ベース2036に形成された対応するピン穴2041に挿入して確実にクランプと針を多岐管上に適切に整列させてもよい。装着板2050は駆動シャフト2034,2034の一端に固定され、これと共に移動できる。駆動板2050は装着面2053を規定する。この面2053は多岐管のベース2036内に形成された対応する装着溝2055に挿入され、多岐管を駆動板上に装着して整列させる。整列ピン(図示せず)を針岐管2016のベース2036と駆動板2050との間に延びるよう設けて、針多岐管、したがって針を確実に駆動板上で適切に整列させてもよい。ロッククランプ2052が駆動板2050に軸支装着され、図37に示す、多岐管を駆動板から着脱するための開位置と、図38に示す、多岐管を駆動板に固定する閉位置との間で移動できる。あるいは、図40A〜図40Cに示すように、クランプの代わりにファスナ2052’を用いて多岐管を駆動板に固定してもよい。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、現在または今後知られることになる多数の異なるクランプまたはファスナ機構の任意のものを同様に用いて多岐管を駆動板に固定してもよい。
【0105】
モジュール2000は更に、レーザ密封および赤外線(IR)検知多岐管2054を含む。これは針多岐管2036に隣接して半径方向に間隔をあけて設けられ、針充填およびストッパから針を引き抜いた直後に穴があいたストッパをレーザ密封する。一般的に図42に示すように、レーザ密封および赤外線(IR)検知多岐管2054は複数のレーザ光学アセンブリ(例えば、5個のレーザ光学アセンブリ2056,2058,2060,2062,2063)を複数のIRセンサ(例えば、5個のIRセンサ2064,2066,2068,2070,2071)と共に保持する。簡単にするために図42には4つのレーザ光学アセンブリおよび関連するIRセンサのみを示すが、図43には5個のレーザ光学アセンブリおよび関連するIRセンサを示す。レーザ光学アセンブリは、レーザビームを放射して針充填後に水薬瓶上の再密封可能ストッパを再密閉することに適合する。複数のレーザ光学アセンブリの各々はガイド2010に隣接するそれぞれの位置に装着され、各自の水薬瓶610の再密封可能ストッパに対してそれぞれのレーザビームを放出して再密封可能ストッパの針穴を熱密封する。更に、各レーザ光学アセンブリを針多岐管2016に装着されたそれぞれの針2018と整列させ、再密封可能ストッパの、それぞれの針によって穴があけられた場所を密封する。レーザ光学アセンブリ2056〜2063の各々は各自の光ファイバケーブに接続される。このケーブルは各自の光学アセンブリを各自のレーザ源(図示せず)に接続する。図から分かるように、多数の光ファイバアセンブリを設ければ、多数の水薬瓶を同時に再密封できる。この実施形態では、複数のIRセンサアセンブリ2064〜2071の各々を針多岐管2016上の各自のレーザ光学アセンブリおよび針2018に隣接させて整列するように装着する。レーザ源(図示せず)を、中にモジュール2000が装着された針充填装置の無菌エンクロージャの外側に装着して、エンクロージャを開く必要、および/または無菌のエンクロージャを汚染する危険を冒すことなく、レーザ源を修理および/または交換できるようにすることが好適である。IRセンサ2064〜2071はレーザによって再密封処理中に実現される再密封可能ストッパの針貫通領域の温度を検出するので、これらのセンサ2064〜2071を用いて、ストッパが再密封を行うために十分な程に再加熱されたかを検出できる。IRセンサ2064〜2071の各々を各自のIRセンサモジュール(図示せず)に接続する。多数のIRセンサを用いれば、無菌の充填装置に対して、例えば再密封されている間に多数の水薬瓶の温度を同時に検出させることができる。
【0106】
上述のように、各レーザ源は約980nmで所定の波長のレーザ放射を送出する。各レーザの所定パワーは約30ワット未満が好適であり、約10ワットまたはこれ未満、すなわち約8〜約10ワットの範囲内が好適である。また、図示した実施形態では、各レーザ源は約15ワットで出力する半導体ダイオードレーザであり、光ファイバケーブルを通して各自のレーザ光学アセンブリのコリメートレンズに光ファイバで結合される。所望であれば、モジュール2000を色つきエンクロージャ(図示せず)で取り囲むか、部分的に取り囲むことができる。これは、レーザ光学アセンブリを4面において取り囲んで、レーザビームによって生成される潜在的に有害な放射をフィルタアウトする複数の色つきガラスまたは半透明または透明のプラスチックパネルを含む。更に、コンデンサセンサ(図示せず)をモジュール2000の下流に設けて、各水薬瓶にこれに溜めるべき薬剤またはその他の物質が供給されたかを検出し、欠陥がある場合にはその水薬瓶を拒否してもよい。
【0107】
モジュール2000の動作において、駆動モータ2019を矢印「b」の方向に回転可能に駆動してリードネジ2015を回転し、水薬瓶610をガイド2012に沿って、例えば図43に示す方法で運搬する。図43に示す例示的なモジュールでは、モジュールは5本の針と、5個のレーザ光学アセンブリと5個のIRセンサとを含むので、5個の水薬瓶の針充填およびレーザ再密封を一度にできる。したがってリードネジ2015は5つの場所に移動し(indexed)、次に一時停止して少しの間休止する。本明細書の教示に基づいて関連の当業者によって認識されるように、モジュール2000は、所望の数の針、レーザ光学アセンブリ、および/またはセンサを含んでもよい。更に、所望であれば、レーザおよびセンサを針多岐管の下流にあるモジュール内に装着して異なる水薬瓶を同時に充填および密封することで、モジュールの全体の処理量を増加できるようにしてもよい。休止中、針多岐管2016を下向きに駆動して針多岐管の下にある水薬瓶に装着された再密封可能ストッパを通して針2018を駆動する。その後、薬剤またはその他の物質をポンプ(図示せず)によって針を通して水薬瓶の内部チャンバに送る。次に、多岐管を駆動して針2018をストッパから引き抜く。1実施形態では、最初は針を比較的遅い速度で引き抜いて水薬瓶が「下から上まで」充填できるようにし、次に、水薬瓶が充填されたら針を比較的早い速度で引き抜いて針を素早く取り除いて全体の周期時間を減らす。図から分かるように、水薬瓶が中空こままたは糸巻きのような形状をしているので、運搬システムによって水薬瓶を運搬し易くする。更に、中空こまの形状によって水薬瓶を支持して、充填処理中に針を挿入したり引き抜いたりする際に水薬瓶が軸方向に動くことを防止する。各水薬瓶の中間部分をガイド2010の開口部2014内に固定する。各水薬瓶の比較的大きな直径である上方部分によって、針を水薬瓶の再密封可能ストッパに挿入する際に水薬瓶が下方向に動くことを防止する。これは、ガイドの上面を係合することによって行う。また、水薬瓶の比較的大きな直径であるベース部分によって、針を再密封可能ストッパから抜き取る際に水薬瓶が軸方向に上にむかって動くことを防止する。これも、ガイドの下側を係合することによって行う。
【0108】
休止中および針を再密封可能ストッパから抜き取った後に、レーザ光学アセンブリ2056〜2063がレーザエネルギーを水薬瓶に装着された再密封可能ストッパに送ってストッパを再密封する。再密封可能ストッパがレーザエネルギーによって加熱されると、IRセンサ2064〜2071が各ストッパの温度を検出して、各ストッパが再密封を行うために十分に加熱されたかを検出できる。休止後、この処理を繰り返す。つまり、リードネジは別の5つの位置に移動し、次に再び休止して5つの水薬瓶を充填して再密封できる。
【0109】
図44に示すように、モジュール2000を無菌エンクロージャ内に装着してもよい。この時、運搬システムは、無端コンベア2076と、無端コンベア2076に装着されて水薬瓶610をモジュール2000を介して運搬するキャリア2078とを含む。供給(infeed)コンベア2080が密封された空の水薬瓶を無端コンベア2076のキャリア2078に供給する。すると、無端コンベア2076がモジュール2000を介して、上記と同様または類似する方法で水薬瓶を供給する。モジュール2000において水薬瓶を充填、再密封した後、これらを排出コンベア2082の上に置く。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、コンベア2076,2080,2082および/またはその構成物は、これらのコンベアまたはコンベア構成物の1個以上の機能を行うことが現在または今後知られることになる任意の多数の異なるコンベアまたはコンベア構成物の形状をとってもよい。
【0110】
図42に示すように、モジュール2002は、針多岐管2016の、レーザ光学アセンブリに対して反対側に配置された軸方向に長細いポート2084と、そこに電子ビームユニット2086を装着するセンサとを有する。電子ビームユニット2086は電子ビームをモジュールの軸方向に細長いチャンバ2088内に送ってチャンバ内の水薬瓶および針の表面を殺菌する。電子ビームアセンブリは、電子ビーム源と、電子ビームを含むためのチャンバと、水薬瓶を電子ビームチャンバを通して運搬するコンベアとを含み、同時係属の米国特許出願第10/600,525号(2003年6月19日出願「STERILE FILLING MACHINE HAVING NEEDLE FILLING STATION WITHIN E−BEAM CHAMBER」)および米国仮出願第60/390,212号(「STERILE FILLING MACHINE HAVING NEEDLE FILLING STATION WITHIN E−BEAM CHAMBER」2002年6月19日)に開示されたものと同じまたは類似するものでもよい。これらの各々を引用して本開示の一部として含める。これらの同時係属の特許出願に説明されるように、電子ビームユニットは、本明細書で説明された電子ビームユニットの機能を実行することが現在または今後知られることになる任意の多数の異なる種類の電子ビームユニットまたは源でもよい。
【0111】
電子ビーム放射はイオン化エネルギーの形状であって、これは通常、その低浸透性および高線量率によって特徴づけられる。電子は、露出された生成物に接触することによって多様な化学および分子結合を変化させる。これは微生物の再生細胞を含む。したがって、電子ビーム放射は、水薬瓶や薬剤またはその他の無菌物質のための容器を殺菌することに特に適する。電子ビーム源が電子ビームを生成する。この電子ビームは、電気を加速および変換することで生成された、凝縮されて高度に充電された電子ストリームによって形成される。各自の針によって貫通させるために、電子ビームを水薬瓶の各々の貫通可能面に向けて集中させることが好適である。例えば1実施形態では、充填針を挿入する前に電子ビームを再密封可能ストッパの上面に向けて集中させてストッパの貫通可能面を殺菌する。更に必要であれば、コンベアの、互いに反対側に反射面を装着して電子ビームおよび/または反射および分散された電子を水薬瓶の側に反射して水薬瓶のこれらの面の殺菌を容易に行ってもよい。あるいは、またはこのような反射面との組合せにおいて、1個より多い電子ビーム源を用いてもよい。この時、各電子ビーム源を水薬瓶やその他の容器の各自の面または面部分に向けて集中させて問題の各表面領域を確実に殺菌する。実施形態の中には、電子ビームの流動、走査幅、位置、エネルギー、運搬システムの速度、および/または任意の反射面の配向および位置を水薬瓶の再密封可能ストッパの上面、即ち水薬瓶を充填するために各自の充填針が貫通する貫通可能領域を規定するストッパの面における生物負荷テストにおいて、少なくとも約3対数減少、好適には約6ログ減少を実現するように選択するものもある。更に、更に対策を加えて用心する場合、水薬瓶の側面、つまり充填処理中に針による穴があけられない水薬瓶の面においても少なくとも約3対数減少が実現できるように、1個以上の上記の変数を選択することが好適である。更に、電子ビームを再密封可能ストッパに挿入する前の針、または少なくともストッパに接触する針の部分に向けることによって、針および水薬瓶を確実に殺菌してもよい。これらの無菌性の特定なレベルは例示的なものに過ぎないが、無菌性のレベルは、所望なように、または例えば米国FDAまたは適用できる欧州標準(適用できる無菌性保証水準(「SAL」)等)の下において特定の製品を認可するために必要なように、設定してもよい。
【0112】
図45〜図48において、本発明を実施する別の水薬瓶を総括的に参照番号2200で示す。水薬瓶2200は、図29〜図31を参照して上述した水薬瓶900と多くの点で類似するので、数字「9」の代わりに「22」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。図45を参照する。上述の水薬瓶900と比較した場合の水薬瓶2200の主要な差異は、充填針2018が再密封可能ストッパ2230をストッパの貫通可能領域2231の周縁部分において水薬瓶の軸に対して鋭角「D」で貫くことができるように、ロックリング2250の角錐台または最も内側の縁部2265が比較的内側に向かって間隔を空けて設けられていることである。このような構造の1つの利点は、図47に示すように、レーザ(または熱)によって再密封されたストッパの貫通部分がストッパ領域2231の縁部または周縁部に位置することになるので、いたずら防止カバーの脆弱部分2260を除去した際に、この部分2231がいたずら防止カバー2240の内側縁部2233の下に隠れることである。これを、以下で更に説明する。
【0113】
図から分かるように、ロックリング2250は頸部2216を形成する周縁フランジを規定し、更に、その内側縁部にいたずら防止カバー2250に形成された環状隆起部2266が挿入される環状凹部2268を規定する。凹部2268に続く環状フランジ2216の内縁部は面取りされた面を規定してもよく、カバーの環状隆起部2266の先頭端も面取りされて、隆起部を凹部内にスナップするか、これに挿入、固定されて、カバーがこれから外れることを防止するようにしてもよい。同様に、ロックリング2250はその内径に環状隆起部2221を規定する。これは、水薬瓶本体2210の外側に形成された対応する環状凹部2223にスナップ嵌合するかこれに収容、固定されてロックリング2250を水薬瓶本体に固定する。この実施形態では、水薬瓶本体2210のベース2214を水薬瓶本体の残り分部分と一体形成して部品の数を減らしている。しかし、所望であれば、ベース2214を別の部品として形成して、水薬瓶本体にスナップ嵌合するか他の方法で接続してもよい。
【0114】
図47および図48に示すように、いたずら防止カバー2240は中央に位置する脆弱部分2260と、内側に延びる環状隆起部2263とを規定する。この隆起部2263はストッパ2230の露出面に係合し、所望であればその間で密閉または気密シールを形成する。図47および図48に示すように、複数の脆弱な接続部2262が互いに角度を有するように間隔をあけて配置され、脆弱部分2260と実質的にドーム型のカバー本体部分2241との間に延びる。これによって、脆弱部分を除去して、下にあるストッパ2230にアクセスできるようにする。カバーの脆弱部分2260を、例えばユーザの指で下向きに押し、下にあるストッパ部材を僅かに押し込んで脆弱な接続部2262を破く。脆弱部分2260は一旦壊されると再接続できないので、これによっていたずら防止特徴を提供する。いたずら防止カバー2240は更に第2の隆起部2235を含む。これは第1の隆起部2263に隣接して下向きに延びており、露出されたストッパと係合してこれらの間で密閉または気密シールを形成する。所望であれば第1および第2の環状隆起部2263、2235を互いに連続して形成し、これらの間で気密または密閉シールを形成して、ストッパを通る方向における水薬瓶のMVTバリアを増加してもよい。
【0115】
図45に示すように、水薬瓶2200を、例えば上述のような針充填およびレーザ再密封モジュール内で充填してもよい。しかし、水薬瓶2200によって実現できる1つの差異は、針2018を再密封可能ストッパ2230の貫通可能領域2231に、ロックリング2250の内縁部2265に隣接する貫通可能領域の端部分または外周部分において水薬瓶の軸に対して鋭角「D」で挿入することである。図29に関連して上述したロックリング950との比較によって分かるが、ロックリング2250の内縁部2265は、半径方向外向きに間隔をあけて設けられ、ストッパの貫通可能領域2231の端部分を露出して、針2018がこの部分を鋭角「D」で貫通できるようにしている。針2018がストッパ2230を鋭角Dで貫通することの1つの利点は、図45において矢印「E」で示す通り、針によって注入された流体が水薬瓶本体2210の側壁に実質的に鋭角で向かうことで水薬瓶の中に向かう薄層流または実質的な薄層の流体を形成し易くすることである。この種類の流体によれば、水薬瓶を流体で充填する際の泡やこれに類する渦効果を防止し易くして、水薬瓶をより早く、および/またはより望ましい方法で充填する。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、鋭角「D」は、針を針多岐管の上で水薬瓶の軸に対して鋭角に配向するか、充填ステーションにおいて水薬瓶の軸を針の軸に対して鋭角に配向するか、その両方の組合せによって形成してもよい。図示した実施形態では、角度「D」は約30〜約45の範囲である。しかし、これらの角度は例示に過ぎず、所望の流れおよび/または充填特徴を得るため、または特定の適用の要求を満たすために望ましいように変更してもよい。
【0116】
本発明の本実施形態の別の利点は、水薬瓶の使用中にストッパの貫通/再密封部分をエンドユーザから視覚的に隠してもよいことである。一般的に図47に示すように、針穴、つまりストッパの再密封部分2231はいたずら防止カバー2240の内縁部2233の下に隠される。したがって、いたずら防止カバー2240の脆弱部分2260を除去して注射器によって水薬瓶の中身にアクセスする場合、その下に設けられたストッパ2230の、視覚的に露出された部分に再密封部分2231が含まれないので、再密封部分が視覚的に露出される場合に比べて、見た目にも望ましく気持ちがよいと考えられる。
【0117】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本明細書に開示された創意に富む面から逸脱することなく、本出願の上述および他の実施形態に対して多数の変化や変更を行うことができる。例えば、再密封可能部分を挿入モールディング等によってベースと一体的に成形してもよいし、再密封可能部分をベースに融接または溶接してもよいし、再密封可能部分をベースに順番に形成してもよい。あるいは、再密封可能ストッパを1つの物質だけから形成してもよい。つまり、不可融性ベースまたは他の不可融性層を有する再密封可能部分を多数の層で形成してもよい。この時、これらの層の幾つかまたは全てを熱的に再密封できる。したがって、再密封可能ストッパを、本明細書で説明する再密封可能部分またはストッパの機能を実行することが現在または今後知られることになる任意の多数の異なる物質で形成してもよい。多数の異なる熱可塑性のおよび/または弾性体等である。更に、水薬瓶を、薬用ビン等の水薬瓶を作ることが現在または今後知られるようになる多数の異なる物質で作ってもよい。これは、多数の異なる種類のガラスまたはプラスチック、またはガラスとプラスチックの組合せを含む。例えば、水薬瓶本体はガラスで形成し、ベース、ロックリング、および/またはいたずら防止カバーはプラスチックで形成して、現在または今後知られることになる多数の異なる結合機構によって本体部分または相互に結合することができる。これは、オーバーモールディング、機械的スナップ嵌合、またはその他の相互ロック係合、ガラスをプラスチックに粘着結合する、プラスチックにプラスチックを超音波またはその他の方法で溶接する等を含む。更に、水薬瓶を充填するために使用する針は、英国特許出願第GB0308705.2号(2003年4月28日出願「Novel Device」)に開示された任意の針の形状でもよく、水薬瓶の封鎖(closure)は、英国特許出願第GB0304268.6号(2003年2月26日出願「Novel Device」に開示された封鎖の形状の任意の形状でもよい。コンベアシステムおよび/またはその構成物は、英国特許出願第GB0221510.1号(2002年9月17日出願「Novel Device」)に示された任意の形状でもよく、針充填および/または処理ステーションは、英国特許出願第GB0221511.9号(2002年9月17日出願「Novel Device」)に示された任意の形状でもよい。これらの各々に言及してその全体を本開示の一部として明示的に含める。したがって、この好適な実施形態の詳細な説明は例示目的であって、制限する意図はない。
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国特許出願第10/393,966号(2003年3月21日出願、「Medicament Vial Having A Heat−Sealable Cap,And Apparatus and Method For Filling The Vial」)に関連する。この米国特許出願は、同様のタイトルが付けられた米国特許出願第09/781,846号(2001年2月12日出願、現在は米国特許第6,604,561号(2003年8月12日発効))の分割出願である。この特許は、同様のタイトルが付けられた米国仮出願第60/182,139号(2000年2月11日出願)の利益を主張しており、更にこの明細書は、米国仮出願第60/408,068号(2002年9月3日出願、「Sealed Containers And Methods Of Making And Filling Same」)の優先権を主張している。これらの各々を、本明細書の一部として言及して明示的に含める。
【0002】
本発明は、密封された容器に関し、特に薬剤用水薬ビン等といった、独特の糸巻きまたは「中空こま」状の形状構造を有する容器に関する。さらに、容器を密閉(hermetically)シールし、レーザ、ガンマ、電子ビーム、X線、その他のイオン化放射等の放射を用いて殺菌でき、容器に密封させた場合に針によって充填でき、針充填後に、針充填穴にレーザ放射を投射する等によって熱によって再密封できる封鎖機構を有する容器に関する。
【背景技術】
【0003】
ワクチン等の薬剤は、使用前に水薬瓶に保存しておく場合が多い。水薬瓶は通常、円筒または球状の形状であって、これらに接続する頸部を有する本体部分を備える。頸部は、水薬瓶本体に規定された内部チャンバに薬剤を供給するための口部を規定する。通常、水薬瓶を薬剤で満たした後に、事前に殺菌された蓋または封鎖機構を装着して、薬剤を水薬瓶内に密封する。
【0004】
水薬瓶の蓋は通常、ストッパと、固定リングとを有する2片の組合せからなる。ストッパを水薬瓶の口部に挿入する。ストッパは、その周囲をシールするように構成されている。固定リングを水薬瓶の頸部に係合させ、ストッパが水薬瓶の口部内に保持されるように少なくとも部分的にストッパの上に重ねる。ストッパは、加硫処理されたゴムまたは類似の弾性体で作られる。これは、水薬瓶に入れる薬剤を汚染したりこれに影響したりしない物質である。これまで、多種類の薬剤を入れる水薬瓶の蓋を作る物質としては、加硫処理されたゴムが安全かつ効果的であるとされてきた。しかし、加硫処理されたゴムは不可融性なので、そのような蓋に針穴があけられた場合に熱によって再密封することができない。
【0005】
通常、固定リングは、ストッパの一部を針に対して露出することで針によってアクセスできるようにして、それによって薬剤を抜き取ることができるように構成されている。従来、固定リングは水薬瓶とネジ切り係合するか、金属かしめ(crimping)技術によってこれに固定される。ヘルスケア等の適用では、かしめられた金属固定リングが好まれる場合が多い。かしめられたリングを用いた機構によれば、水薬瓶を充填または殺菌処理した後にこれが開いたり、損傷されたりすることを確実に防止できるからだ。
【0006】
図1を参照する。薬剤用水薬瓶の従来技術の蓋を総括的に参照番号10で示す。蓋10は、加硫処理されたゴムストッパ12を含む。これを、円筒状の水薬瓶本体14の開放端または口部内に滑動して挿入する。水薬瓶本体14はガラスまたは同様の物質から作られ、薬剤を受容するチャンバ16を規定する。ストッパ12および水薬瓶14の周りにはアルミ製のロックリング18が設けられ、これは定位置においてかしめらせて、蓋10を水薬瓶本体14に固定、接続、密封する。ロックリング18は中央開口部を有し、これはストッパ12へのアクセスを制限する。
【0007】
このような従来技術の水薬瓶に無菌流体または、薬剤等のその他の物質を充填するためには、通常、水薬瓶の構成物を組み立てる前に殺菌する必要がある。これは、構成物をオートクレーブしたり、ガンマ放射に露出したりする等によって行う。その後、殺菌した構成物を充填し、無菌充填装置の無菌アイソレータの中で組み立てなければならない。殺菌された構成物を多数の密封袋やその他の無菌エンクロージャに入れて無菌充填装置まで運ぶ場合もあるし、殺菌設備を無菌充填装置の入口に設ける場合もある。この種類の充填装置では、あらゆる構成物を無菌状態でアイソレータに運び、水薬瓶の保存チャンバに流体その他の物質を充填し、殺菌したストッパを水薬瓶に取り付け、充填用開口部に栓をし、流体その他の物質を水薬瓶内に密閉シールし、かしめリングを水薬瓶に取り付け、これにストッパを固定する。
【0008】
このような従来技術の水薬瓶や、このような水薬瓶を充填する処理および設備に関連した欠点の1つは、充填処理に時間がかかる上に、処理や設備が高価なことである。更に、充填処理や設備が比較的複雑なので、所望とは異なって水薬瓶の充填が不完全になる可能性がある。例えば、通常は、少なくとも構成物と同じ数だけ不具合の元がある。多くの場合、無菌状態に保たねばならない充填装置の無菌領域内に置かれた水薬瓶その他の容器を組み立てる組立装置は複雑であって、この種類の機械類は、望ましくない粒子を発生する大きな発生源になる可能性がある。更に、このようなアイソレータは、バリアエンクロージャの中の空気を無菌に保つことが必要である。閉バリアシステムでは、運搬流体が必然なので、薄層流(laminar flow)または実質的な薄層流を作りだすことはできない。アイソレータの動作が止まった場合、媒体の充填テストを行う必要があるかもしれないが、これは、幾日もとはいわないまでも数日は続く可能性があるので、この装置を使用する、製薬品およびその他の製品の製造者にとっては、製造出力が繰り返し中断されたり、著しく削減される可能性がある。このような製造問題に対処するために政府はますます複雑な(sophisticated)規定を課すので、既に高価であるアイソレータや同様の充填装置のコストは更に押し上げられる。一方、例えば保存薬を含む注射可能物質やワクチンに対する政府の価格統制は、そのような主な財政投資を妨げている。したがって、このような殺菌充填装置において増大する投資レベルを賄える会社は少なく、注射可能物質やワクチンの市場における競争が更に減少することが懸念される。
【0009】
これらおよびその他の懸念を解決するために本発明者は、水薬瓶を製造、充填するために、まずストッパを水薬瓶に取り付けて組み立てたストッパと水薬瓶を放射等によって殺菌し、その後、針や同様の注入部材をストッパに挿入し、針を通して薬剤を殺菌済み水薬瓶内に導入することによって、組み立てた水薬瓶を充填することが望ましいとした。しかし、この方法が直面する問題の1つは、針や同様の注入部材をストッパに挿入して引き抜いた場合にストッパに小さな穴が残ることである。ストッパの物質は弾性体なので穴の直径を小さくする。そのため、穴は通常、薬剤の洩れを防止する程には十分に小さいが、空気やその他の気体がこの穴を通って水薬瓶に入ることを防止する程には小さくない。したがって、このような穴があると、薬剤が汚染されたり損なわれたりする可能性がある。
【0010】
製薬分野の実務として、空気その他の潜在的汚染物質に曝された場合に薬剤が腐敗することを防止するために、ワクチン等の薬剤に保存薬を添加していた。しかし、ある保存薬が患者に対して望ましくない影響を与えることが分かったので、ワクチンを含む多くの薬剤は保存薬を含まないようになった。このように保存薬を含まない薬剤、特に保存薬を含まないワクチンは、上述のようにストッパに針穴があいた水薬瓶に保存した場合に、汚染、損傷され易い。
【0011】
また、上述のように、運搬、保存、組立て中にストッパや水薬瓶を無菌状態に保つことは困難である。したがって、水薬瓶に薬剤を充填する前に水薬瓶とストッパとを組み立て、その後、これらを一式として殺菌できる水薬瓶およびストッパが必要である。かしめられた金属リングを用いれば、水薬瓶の損傷を防止する確実な仕組みを実現できる。しかし、金属リングを用いても、ガンマ殺菌技術または類似の処理を用いて水薬瓶アセンブリを一式として簡単に殺菌することはできない。金属リングのためにガンマ殺菌処理が複雑になる。物質の濃度(density)のために、影部(即ち、ガンマ放射が物質を通過することが妨げられる領域)ができてしまう。すると、内部の保存用空洞が完全に殺菌されたという確信が薄らいでしまう。また、組み立て中の金属リングの取り扱いによっては、水薬瓶の組み立てや充填処理のために設定された清潔な環境を汚染する可能性がある粒子を生じる可能性がある。
【0012】
更に、従来の薬用ビンの形状は、安全面および/または取り扱い面からみても不都合があり得る。例えば、ヘルスケア作業者が水薬瓶から薬剤を引き抜く際に、彼/彼女の指は、円筒状または球状の水薬瓶本体を把持しなければならない。従来の水薬瓶では、水薬瓶本体の外径が蓋または封鎖装置の外径より大きいので、もし針が、例えば指の、蓋に対する相対位置関係のために蓋から滑って外れてしまった場合、針が滑る経路に位置するヘルスケア作業者の指に針が刺さってしまうかもしれない等、多様な安全面での懸念がある。更に、このような従来の水薬瓶の重心は比較的高い位置にあるので、取り扱い中にチップし易い。また、このような水薬瓶が規定する形状および/または構造は、針充填および/または、そのような針充填およびレーザまたはその他の熱再密封装置の自動取り扱いに、常に非常に適しているというわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来技術の上記の1個以上の欠点および不都合を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの態様は、薬剤等の物質を保存する水薬瓶アセンブリに関する。このアセンブリは、開口部と、開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバとを規定する本体部分を備える。本体部分は、ベースと、中央部分と、中央部分の、ベースに対する反対側において、ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する。ベースおよび上方部分の各々は、中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する。本発明の、現在のところ好適である実施形態では、ベース、中央部分、および上方部分の各々は断面において略円形であり、ベースおよび上方部分の各々の最大直径が中央部分の最大直径より大きいことにより、略中空こままたは糸巻きの形状を規定する。水薬瓶アセンブリは、少なくとも部分的にストッパの上に延びて、ストッパが気づかれずに除去されてしまうことを防止する、本体部分に固定されたプラスチック製のいたずら防止部分を備えることが好適である。
【0015】
本発明の一つの実施形態では、ストッパは、実質的に不可融性である部分の上に重なる熱再密封可能部分を含む。本発明の別の実施形態では、ストッパは、これを貫通する針穴を形成するために針が貫通可能である針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであり、所定の波長およびパワーのレーザ放射をこれに投射することによって針穴を密閉シールするために熱再密封可能である。ストッパは、(i)その軸方向において所定の壁厚と、(ii)所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度と、(iii)所定の波長およびパワーのレーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に針貫通領域を燃焼する(burn)ことなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールするようにさせる所定の色および不透明度とを規定する熱可塑性本体部分を備える。
【0016】
本発明の別の態様は、以下のステップを備える方法に関する。つまり、(i)開口部と、開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、中央部分の、ベースに対する反対側においてベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、ベースおよび上方部分の各々は中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、これに適用された熱エネルギーに応じて可融性である熱再密封可能ストッパと、を含む水薬瓶を提供し、(ii)水薬瓶に物質を充填する前に、ストッパおよび水薬瓶を組み立てて、ストッパと水薬瓶との間に実質的な気密シールを形成し、(iii)組み合わせた空のストッパおよび水薬瓶を殺菌し、(iv)水薬瓶の中央部分と係合する装着面と、装着面の一方の側に位置する上面と、装着面の別の側に位置する下面とを含む水薬瓶支持体によって水薬瓶を支持し、(v)所定の物質の源と流体連通する針によってストッパを貫通し、(vi)針を通して所定の物質を水薬瓶の内部に導入し、(vii)針をストッパから引き抜き、(viii)ストッパの貫通領域に十分な熱エネルギーを適用して貫通領域を融解し、貫通領域と水薬瓶の内部との間に実質的な気密シールを形成するステップである。
【0017】
本発明の好適な実施形態の1つの利点は、水薬瓶が中空こままたは糸巻きのような形状を規定し、それによって、使用中に偶発的に針が刺さることを防止し易くしている、あるいは充填処理およびその他の処理の最中の水薬瓶の取り扱いを容易にしていることである。本発明のある好適な実施形態の別の利点は、ストッパおよび水薬瓶を、充填処理の前に、人間の介入なく組み合せることで、充填処理の前に殺菌されてその状態に維持されているかもしれない空の水薬瓶を密閉シールすることである。本発明のある好適な実施形態の別の利点は、プラスチックまたは同様のいたずら防止部分を設けることで、水薬瓶にガンマ、電子ビーム、またはその他の放射を適用する等によって、この空の水薬瓶を殺菌できるようにすることである。
【0018】
本発明および/または、その開示された実施形態の他の利点は、現在のところ好適である実施形態の詳細な説明および添付の図面を参照すれば、より容易に明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】薬剤用の水薬瓶の従来技術の蓋の断面図である。
【図2】本発明を実施する水薬瓶アセンブリに使用される再密封可能ストッパの断面図である。
【図3】図2の再密封可能ストッパの断面図であって、水薬瓶に薬剤を導入するためにストッパに挿入された注射針または注射器と、薬剤の充填処理中に排気するためにストッパに挿入された排出針または注射器と共に示す断面図である。
【図4】再密封可能ストッパおよび水薬瓶の別の実施形態の断面図である。
【図5】再密封可能蓋を水薬瓶に固定する、図4のかしめ可能なロック部材の断面図である。
【図6】水薬瓶の中に密封される所定の薬剤と化学反応を起こさない、加硫処理されたゴム等の物質でできた、図4の再密封可能ストッパのベース部分の断面図である。
【図7】充填針または同様の装置をこれに挿入および除去した後にストッパを再密封するために適用する熱エネルギーに応じて可融性である、図4のストッパの再密封可能部分の断面図である。
【図8】針または同様の装置が挿入される貫通可能部分を示す、図7の再密封可能部分の拡大した部分断面図である。
【図9A】充填針または同様の装置を挿入する前に直接熱灼することによって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する例示的な装置および方法を示す、一連の概略断面である。
【図9B】充填針または同様の装置を挿入する前に直接熱灼することによって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する例示的な装置および方法を示す、一連の概略断面である。
【図9C】充填針または同様の装置を挿入する前に直接熱灼することによって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する例示的な装置および方法を示す、一連の概略断面である。
【図10】充填針または同様の装置を挿入する前にレーザ熱灼によって、本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパを殺菌する装置の概略部分断面である。
【図11】本発明の水薬瓶アセンブリに所定の薬剤またはこれに含める他の物質を針充填するための装置の概略部分断面図である。
【図12A】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図12B】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図12C】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図12D】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後に直接熱密封することによって密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図13A】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後にレーザ密封することによって、密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図13B】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後にレーザ密封することによって、密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図13C】本発明の水薬瓶の再密封可能ストッパの貫通領域を、これから充填針を引き抜いた後にレーザ密封することによって、密封シールする装置および方法を示す一連の概略断面である。
【図14A】本発明を実施する水薬瓶の側面図である。
【図14B】ストッパと、熱再密封可能部分と、オーバーモールドされた固定またはロックリングとを含む3片の封鎖アセンブリの一部を水薬瓶の口部に挿入した状態を示す、図14Aの線14B−14Bに沿った水薬瓶の断面図である。
【図14C】比較的大きなベース部分を有するオーバモールドされた水薬瓶の、図14Bの線14C−14Cに沿った断面図である。
【図15】オーバーモールドされた固定リングが、ストッパの外周と水薬瓶本体との間に規定された環状凹部に形成されている状態を示す、本発明を実施する封鎖または蓋を含む別の水薬瓶の断面図である。
【図16A】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための例示的なオーバモールド処理の一連の典型的な図である。
【図16B】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための例示的なオーバモールド処理の一連の典型的な図である。
【図17A】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための代替的はオーバモールド処理の一連の断面図であって、水薬瓶の水薬瓶封鎖部分およびベース部分は射出成形によって形成された断面図である。
【図17B】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための代替的はオーバモールド処理の一連の断面図であって、水薬瓶の水薬瓶封鎖部分およびベース部分は射出成形によって形成された断面図である。
【図17C】本発明を実施するオーバーモールドされた水薬瓶を作るための代替的はオーバモールド処理の一連の断面図であって、水薬瓶の水薬瓶封鎖部分およびベース部分は射出成形によって形成された断面図である。
【図18】ベースおよびロックリングが薬瓶本体にスナップ嵌合し、いたずら防止カバーがロックリングにスナップ嵌合する状態を示す、本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図19】ストッパおよび固定リングが一連の成形処理によって形成された、本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図20】図19の水薬瓶のストッパの断面図である。
【図21】図19の水薬瓶のストッパおよび固定リングの断面図である。
【図22A】いたずら防止カバーを除去した、図18の水薬瓶の斜視図である。
【図22B】いたずら防止カバーをこれに固定した、図18の水薬瓶の斜視図である。
【図22C】再密封可能ストッパを露出し、これに注射器の針を貫通させ、水薬瓶に含まれた薬剤やその他の物質を注射器に抜き取るためにめくり上げた状態のいたずら防止カバーの脆弱部分を示す、図18の水薬瓶の斜視図である。
【図23】ロックリング、カバー、ベースを超音波溶接によって一緒に接続した、本発明を実施する別の水薬瓶の側面図である。
【図24】図23の水薬瓶の断面図である。
【図25】図23の水薬瓶の部分分解斜視図である。
【図26】いたずら防止カバーを除去した、図23の水薬瓶アセンブリの斜視図である。
【図27】図23の水薬瓶の分解斜視図である。
【図28】図23の水薬瓶の部分切り取り斜視図である。
【図29】本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図30】図29の水薬瓶の斜視分解図である。
【図31】図30の水薬瓶の部分切り取り斜視図である。
【図32】水薬瓶に薬剤またはこれに含める他の物質を針充填するための無菌充填装置の針充填モジュールに使用される針多岐管の部分分解斜視図である。
【図33】針と整列して針充填を行う準備ができた状態の星形車輪および関連するガイドを含む運搬システム内に装着された複数の水薬瓶を有し、無菌充填装置の無菌封鎖装置内で「アップ」水薬瓶の再密封可能ストッパを貫通して水薬瓶の内部にこれに含める薬剤または他の物質を充填する針を有し、「ダウン」位置に置かれた針多岐管を示す図である。
【図34】図33の針多岐管および運搬システムの前面斜視図である。
【図35】「ダウン」または充填位置に置かれた針を示す、図33の針多岐管および運搬システムの斜視図である。
【図36】充填された水薬瓶の針穴をレーザ再密封するレーザ充填装置の無菌エンクロージャの中で、図32〜図35の針多岐管の下流に装着されたレーザ密封および赤外線検出多岐管の斜視図である。
【図37】針多岐管と、レーザ光学アセンブリと、センサとを含み、その中の水薬瓶を針充填してレーザ再密封するモジュールを示す、明瞭化のために一部を除去した部分展開端面図である。
【図38】駆動板にクランプされた針多岐管を示す、明瞭化のために一部を除去した図37のモジュールの端面図である。
【図39A】モジュール内に水薬瓶が収容されておらず、「アップ」位置にある針を示す、明瞭化のために一部を除去した、図37のモジュールの端面図である。
【図39B】モジュール内に水薬瓶が収容され、針を貫通して充填する準備ができた状態を示す、図39Aのモジュールの端面図ある。
【図39C】再密封可能ストッパに貫通してそれを通して薬剤またはその他の物質を注入して水薬瓶を充填できるようにする針を有する、「ダウン」位置にある針多岐管を示す、図39Aのモジュールの端面図である。
【図40A】例示的なレーザ光学アセンブリおよびセンサを示す、部品を除去して明瞭化したモジュールの端面図である。
【図40B】再密封可能ストッパを貫通して個々の水薬瓶の内部チャンバに薬剤またはその他の物質を充填する針を示す、図40Aのモジュールの端面図である。
【図40C】再密封可能ストッパから除去した針と、針の貫通点に移動したレーザビームと、ストッパの再密封部分の温度を検出して密封の完全性を確実にするIRセンサとを示す、図40Aのモジュールの端面図である。
【図41】幾つかの部品を除去して明瞭化した、モジュールの針多岐管の部分分解図である。
【図42】モジュール内に装着されて、モジュールチャンバ内に配置された水薬瓶および針の選択された面を殺菌する電子ビームユニットを示す、針多岐管および他の部品を除いて簡単にした、モジュールの斜視図である。
【図43】モジュールを通して水薬瓶を駆動する、ネジ型のコンベアに隣接して設けられたモジュールの上平面概略図である。
【図44】閉ループコンベアに装着されたモジュールと、空の水薬瓶を閉ループコンベアに運搬する供給コンベアと、充填されて再密封された水薬瓶を受け止める排出コンベアの上平面概略図である。
【図45】充填針をストッパの貫通可能領域の縁部分に水薬瓶の軸に対して鋭角に貫通させてもよく、その脆弱部分を除去した際にストッパがいたずら防止カバーの下に隠れてもよい、本発明を実施する別の水薬瓶の断面図である。
【図46】いたずら防止カバーを除去した、図45の水薬瓶の上方斜視図である。
【図47】脆弱部分を除去する際にいたずら防止カバーの下にレーザ再密封部分が視覚的に隠されるように示した、いたずら防止カバーが固定された、図45の水薬瓶の別の断面図である。
【図48】図45の水薬瓶の上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この出願が関連する技術分野の当業者がこれを作成し、使用する方法を、より容易に理解するように、図面を参照する。
【0021】
添付の図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。図面および以下の詳細な開示は、開示された主題の一例として提供するものであって、この範囲を制限する意図はない。
【0022】
図2を参照する。本発明の水薬瓶に使用される、熱によって再密封できる(熱再密封可能)蓋またはストッパを総括的に参照番号110で示す。蓋110は、加硫処理されたゴムまたは当業者にはよく知られている同様の物質でできた弾性体のベース112を含む。ここで、同様の物質とは、水薬瓶に含めるワクチン等の薬剤やその他の物質に接触するか、これに露出されるように設けられる端部蓋やその一部の製造に使用することを容認できる物質である。ベース112は下部周囲壁115を規定する。下部周囲壁115は水薬瓶114の開放端内に滑動して挿入される形状および寸法を有する。水薬瓶114は、多数の異なる種類のガラスまたはプラスチック、または薬剤やその他の物質を保存する水薬瓶等といった、水薬瓶の製造に関連して使用することが現在または今後知られることになる任意のその他の物質から作ってもよい。水薬瓶114はそれ自身に、薬剤を入れるチャンバ116を規定する。以下で更に説明するように、水薬瓶は「中空こま」または「糸巻き」状の形状を規定して、例えば水薬瓶の殺菌、充填、および/またはその他の処理、および水薬瓶の使用における水薬瓶の取り扱いを容易にすることが好適である。蓋110のベース112は更に、上部周囲壁117も規定する。これも、水薬瓶114の開放端内に滑動して挿入される形状および寸法を有する。ベース112は、周囲壁117の上方端から外向きに張り出した周縁密封フランジ118も規定する。一方、水薬瓶114は、それ自身の開放端に周縁フランジ120を規定する。図2および図3に示すように、ベース112の周縁フランジ118は水薬瓶114の周縁フランジ120と密封するように係合して、蓋と水薬瓶との間の接続面を密封する。ベース112は更に、上部周囲壁117の内側に形成された上方凹部122と、周囲壁の上方端から内側に張り出す環状リム124とを規定する。
【0023】
再密封可能部分126をベース112の上方凹部122内に挿入、固定して蓋110を組み立てる。再密封可能部分126は、上方周縁フランジ128と、環状凹部または凹部130と、環状凹部130の、フランジに対して反対側に位置して凹部から外向きに張り出したベース132とを規定する。図2および図3から分かるように、再密封可能部分126の環状凹部130およびベース132は、ベース112の上方凹部122および環状リム124の内面に沿うような(または、その鏡画像を規定する)寸法および形状を有する。したがって、環状リム124を環状凹部130内に嵌合し、それによって再密封可能部分をベース内に固定するように、再密封可能部分126を上方凹部122内に押し込むか、スナップするか、その他の方法で収容する。
【0024】
再密封可能部分126は、弾性体の重合体物質から作られることが好適である。例えば、KRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)の登録商標で販売される第1の重合体物質と、ENGAGE(商標)またはEXACT(商標)の商標でDow Chemical Co.によって販売されるポリエチレン等の低密度ポリエチレンの形状である第2の物質との混合物等である。第1および第2の物質を、重量にして約50:50〜約90:10(即ち、第1の物質:第2の物質)の範囲内で混合する実施形態もある。1実施形態では、第1および第2の物質の混合は、重量にして約50:50である。好適な混合を用いる場合の、第1の物質だけを用いる場合に勝る利点は、水または蒸気バリア特性の改善、したがって製品の貯蔵寿命の改善、熱密封可能性の改善、摩擦係数の減少、成形可能性または成形流量(mold flow rates)の改善、ヒステリシス損失の減少である。当業者によって認識されるように、これらの数や物質は一例に過ぎず、所望通りまたは必要であれば、変更してもよい。
【0025】
再密封可能部分126の重要な特徴は、針、注射器、または同様の注入部材を再密封可能部材を通して挿入した後に気密シール(gas-tight seal)を形成するために再密封可能なことである。以下で更に説明するように、針によって穴があけられた領域を加熱することで、再密封可能部分を密封できることが好適である。上述の混合重合体の利点の1つは、KRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)自身と比較して、薬剤が重合体に吸収され得る程度を最小限にすることが既知であることである。
【0026】
上方周縁フランジ136および下方周縁フランジ138を規定するアルミニウムのロックまたはかしめリング134を、端部蓋110および水薬瓶114の上に装着してもよい。ロックリングの上方および下方フランジ136、138をかしめるか、あるいは蓋および水薬瓶の隣接面に向けて押しつけて、蓋の密封フランジを水薬瓶に向けて押しつけ、それによって蓋と水薬瓶との間に流体も気体も通らない密封状態を維持する。あるいは、ロックリングをプラスチック物質等の非金属物質で作ってもよい。これを、周縁フランジ120の下側にスナップ嵌合するか、あるいは、次に説明するように水薬瓶本体のフランジに固定してもよい。
【0027】
図3は、熱再密封可能蓋110を、薬剤を水薬瓶のチャンバ116に供給するために再密封可能部分126および弾性のベース112に挿入させた皮下注射または他の種類の針140と共に示す。薬剤を水薬瓶に供給する際に水薬瓶114から気体を排出できるようにするために、排出針142も同様に、再密封可能部分126および弾性のベース112を通して挿入してもよい。あるいは、針140の外面に軸方向に細長い1本以上の溝を規定することで、水薬瓶内の気体がこれを通って排出されるようにして、排出針142の必要性を無くしてもよい。または、針を「二重」または「多重」内腔針として、そのうちの1本の内腔によって、水薬瓶に溜める薬剤または他の物質を供給し、別の内腔が、薬剤や他の物質によって置換(displaced)された気体を水薬瓶から排出できるようにしてもよい。薬剤やその他の物質を水薬瓶に供給する装置および方法は、米国特許第5,641,004号(Daniel Py,1997年6月24日発効)に記載された形状でもよいし、より好適には、米国仮出願第60/484,204号(2003年6月30日出願、「Medicament Vial Having A Heat−Sealable Cap, And Apparatus And Method For Filling The Vial」)に記載された形状でもよい。これらの各々を言及して本開示の一部として明示的に含める。
【0028】
使用の際には、再密封可能部分126をベース112に嵌合して組み合わせた端部蓋110を水薬瓶114の開放端内に滑動して挿入する。次に、ロックリング134を定位置でかしめて蓋110を水薬瓶にロックし、蓋と水薬瓶との間の接続面において気密シールを維持する。次に、組み合わせた蓋110および水薬瓶114を殺菌することが好適である。この殺菌は、レーザ、ベータ、ガンマ、または電子ビーム放射等の放射にアセンブリを、当業者にはよく知られた方法で露出する等によって行う。次に、薬剤投与針140を再密封可能部分126および弾性のベース112に通して挿入する。この挿入は、薬剤をチャンバに供給するために、針の自由端が水薬瓶のチャンバ116内に挿入されるまで行う。液体の薬剤を水薬瓶のチャンバ内に供給する際に密封された水薬瓶から気体を排出するために、排出針142も同様に、再密封可能部分126および弾性のベース112に通して挿入する。薬剤を水薬瓶のチャンバ内に供給した後に針140、142を蓋110から抜き出し、針140、142によって穴があけられた再密封可能部分126の部分に、以下で更に説明するように、熱またはその他のエネルギー源を適用することで穴空き領域を密封し、薬剤を水薬瓶内に密閉シール(hermetically seal)する。
【0029】
図示した水薬瓶アセンブリの1つの利点は、薬剤を水薬瓶内部に供給した後にストッパを再密封することで、この水薬瓶を、保存薬を含まないワクチン等といった保存薬を含まない薬剤と共に使用することに特に適するようにすることである。つまり、図示した水薬瓶アセンブリの更なる利点は、薬剤が保存薬を含む必要がないためにこのような保存薬の上述の欠点や不都合を回避できることである。
【0030】
図示した水薬瓶アセンブリの別の利点は、水薬瓶の、再密封されたチャンバ内の薬剤が、水薬瓶を保存、運搬する環境において不純物その他の要因によって汚染されたり影響されたりしないことである。
【0031】
図4から図8は、本発明の水薬瓶に使用される別の再密封可能ストッパまたは蓋を総括的に参照番号210で示す。再密封可能ストッパ210は上述の蓋110と本質的に同じなので、数字「1」のかわりに数字「2」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。図4および図6に最もよく示されるように、蓋のベース212は、その上部周囲壁217の内側に環状溝230を規定する。図4および図7に最もよく示されるように、再密封可能部分226は、そのベース232の周囲面上に、環状に盛り上がった部分または隆起部224を規定する。これは、ベース212の、対応する環状溝230内に摩擦的に挿入され、それによって再密封可能部分をベースに固定する寸法を有する。図6に示すように、ベース212は更に、その下部周囲壁215の外側に複数の盛り上がった環状部分または隆起部244を規定する。これらは互いに軸方向に間隔をあけて配設され、水薬瓶214の内壁と摩擦的に係合することで蓋を水薬瓶内に固定し、蓋と水薬瓶との間の密閉シールを維持し易くする。図7および図8に最もよく示されるように、再密封可能部分226は、その上面に環状の隆起した部分または隆起部246を規定する。これは、以下で更に説明するように、充填針または同様の道具を受け止める円形の表面部分248を規定する。図5に示すように、ロックまたはかしめリング234は、その上側に中央開口部250を規定する。この開口部250には密封可能部分226の環状の隆り上がった部分246が挿入される。
【0032】
任意の薬剤またはその他の流体を水薬瓶に導入する前に、上述および図4に示すように、再密封可能蓋210と水薬瓶214とを組み合わせ、ロックリング234をかしめるか定位置で固定することが好適である。1個以上の空の蓋/水薬瓶アセンブリをエンクロージャに入れ(enclosed)、殺菌し、本発明者が所有する米国特許第5,186,772号(「Method Of Transferring Articles,Transfer Pocket And Enclosure」)および/または米国特許出願第10/241,249号(「Transfer Port And Method For Transferring Sterile Items」2002年9月10日出願)の教示にしたがって運搬してもよい。これらの各々を言及し、本開示の一部として明示的に含める。空の蓋/水薬瓶アセンブリを、所望であれば殺菌インジケータを備える閉じた内袋または「ポケット」に入れてもよい。次に、内部ポケットを運搬ポケットに入れてもよい。運搬ポケットは、その周囲面に環状溝を規定する密封フレームを含む。運搬ポケットをフレーム面の上に伸ばし、運搬ポケットの上に重ねられて周囲溝の中に嵌合された弾性バンドによって閉じられる。運搬ポケットも同様に殺菌インジケータを含んでもよい。組み合わせた運搬ポケットおよび内部ポケットを「外」ポケットの中に密封し、組み合わせたポケットを殺菌する。この殺菌は、ガンマ放射に露出する等によって行い、これによって、ポケットと、ポケット内の空の蓋/水薬瓶アセンブリとを殺菌する。次に、運搬ポケットを用いて、殺菌したアセンブリを、汚染することなく、保存および/または充填システムに運ぶ。上記の特許および特許出願で更に開示されるように、充填システムを無菌エンクロージャに入れ、空の水薬瓶をこのエンクロージャに入れる。これは、外ポケットを除去、廃棄し、運搬ポケットの密封フレームをエンクロージャの窓または運搬ポートに接続することによって行う。上記の特許および特許出願に更に開示されるように、密封フレームの上に粘着物を付けて、運搬ポケットを充填システムエンクロージャの運搬ポートに固定することが好適である。水薬瓶アセンブリを充填システムのエンクロージャの中で放す(release)前に、殺菌インジケータをチェックして、水薬瓶アセンブリの無菌状態が、保存および運搬を通して維持されていることを確認してもよい。上記の特許および特許出願に更に開示されるように、フレームの上に重ねられた運搬ポケットの部分を切り取り、同時に整えられた(trimmed)面に沿って殺菌してその上の微生物や細菌を破壊し、内部ポケットを運搬ポートを通してエンクロージャの中に内に収容できるようにする。
【0033】
一旦、エンクロージャに入れたら、内部ポケットを開け、空の水薬瓶アセンブリを取り出し、無菌エンクロージャ内に置かれた充填装置に装着する。一旦、充填装置に装着したら、空の水薬瓶アセンブリの各々の再密封可能部分を再び殺菌して、充填処理中に汚染物が水薬瓶にはいらないことを、より確実にしてもよい。ストッパの再密封可能部分をこの時点で殺菌してもよい。これは、直熱灼法、レーザ熱灼法、またはこれら以外の電子ビーム放射等の放射によって行う。
【0034】
図9A〜図9Cに示すように、再密封可能ストッパまたは蓋に熱を適用することによってこれらを熱灼する装置を総括的に参照番号252で示す。装置252は、水薬瓶支持体256の上に装着されたハウジング254を備える。水薬瓶支持体256は1個の水薬瓶を保持することに適合してもよいが、複数の水薬瓶を保持することに適合することが好適である。複数の水薬瓶を保持することに適合する実施形態は、水薬瓶を収容する溝258と、水薬瓶のフランジ220をその上に支持するために溝の上方縁部に形成された1組の対向する肩部260とを有する。所望であれば、振動駆動装置(図示せず)を支持体256に駆動的に接続して支持体を振動させ、水薬瓶を溝を通して所定速度で移動させてもよい。あるいは、水薬瓶支持体256を、無菌の充填装置を通して水薬瓶を移動させるコンベアに装着してもよいし、水薬瓶支持体256がこの形状をとってもよい。しかし、この明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、現在または今後知られるようになる多数の異なる駆動システムのうちの任意のシステムを同様に用いて、水薬瓶を充填装置を通し移動させてもよい。
【0035】
ハウジング254は周囲シール面262を規定する。これは、ハウジング254の自由端に形成されて、ロック部材234の各々の上方フランジ面236とシールするように係合する。図9Bに最もよく示されるように、周囲シール面は開口部250の周囲を取り囲む。開口部250はロック部材を貫通するように形成されて、これから、ストッパの再密封可能部分226の貫通可能領域248が露出される。周囲シール面262によって、ハウジングとストッパとの間を実施的に流体が洩れないようにシールすることが好適である。ハウジングの中央支持体266の自由端から加熱面264が外に突出し、これが再密封可能部分の貫通可能面248に接触して、この表面を熱灼する。加熱面264の周りには環状導管268が延びて真空源270と流体連通し、空気を、図面の矢印で示すように、導管を通して熱灼面248から離れるように吸い上げる。ハウジング254を駆動源272に駆動的に接続してハウジングを移動させる。つまり図面の矢印で示すように、加熱面264を露出された貫通可能面部分248に接触させたり離したりして、当該面を熱灼する。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、駆動源272は、本明細書に記載されるような駆動源の機能を行うことが現在または今後知られることになる含気性ドライバ、またはソレノイド起動またはその他の種類の電気ドライバといった多様な異なる種類の駆動源でもよい。同様に、加熱面264は多数の異なる形状および構造を有してもよく、現在または今後知られることになる多数の異なる方法によって加熱してもよい。例えば熱抵抗ヒータ(または「電気コード」)によって加熱する等である。しかし、加熱面264は、蓋の貫通可能面領域248が有する所望の形状や輪郭に対応する表面形状や輪郭を規定することが好適である。
【0036】
装置252の使用の際には、概ね図9Aに示すように、各水薬瓶を最初に熱灼ステーションに送る。この時、再密封可能部分226の貫通可能面領域248を加熱面264に整列させるように配置する。次に、駆動源272を起動してハウジング254を下向きに駆動する。この駆動は、周囲シール面262が各自のロック部材234の上方フランジ面236とシールするように係合し、同時に加熱面264が再密封可能部分226の露出された貫通可能面部分248に係合するまで行う。加熱面264を所定温度に維持し、露出された表面部分を熱灼するために十分である所定の時間、露出された表面部分248に接触させた状態に保つ。図7および図8に示すような再密封可能部分226の構造の1つの利点は、熱灼処理によって環状隆起部246を加熱面の輪郭に合った輪郭に変形することにより、作業者(または、光学またはその他の自動検知システム)が、充填処理前に、各蓋が適切に熱灼されたかを視覚的に確認できるようにすることである。図9Cに示すように、露出面を熱灼した後、駆動源272を起動してハウジング254を上向きに駆動し、蓋との係合を解いて、別の水薬瓶をハウジングの下に移動する。この処理を全ての所望の水薬瓶が熱灼されるまで繰り返す。以下で更に説明するように、図9A〜図9Cの熱灼ステーションを出た後に水薬瓶を充填ステーションに移動させて、殺菌した水薬瓶を速やかに充填することが好適である。熱灼および充填ステーションを無菌エンクロージャの中に装着し、例えば上述の特許や特許出願で説明するように薄層の気体をエンクロージャに通すように流して無菌状態を維持し易くすることが好適である。
【0037】
図9A〜図9Cに示す実施形態では、加熱面の温度は約250℃〜300℃の範囲内であり、周期時間(即ち、加熱面を再密封可能部分の露出面248に接触させておく時間)は約1.0〜3.0秒の範囲内である。本発明者は、これらの温度や周期時間によれば生物負荷(bio-burden)テストにおいて少なくとも約6の対数減少を実現でき、これによって表面を効果的に殺菌できることを検証した。
【0038】
図10において、再密封可能蓋を熱灼する代替的な装置を総括的に参照番号274で示す。装置274は、図9A〜図9Cの装置252とは次の点で異なる。つまり、再密封可能部分の充填領域を殺菌するために必要な熱エネルギーをレーザによって供給する点である(本明細書では「レーザ熱灼法」と称する)。レーザ熱灼装置274は、レーザその他の適切な放射源276を備える。これは水薬瓶/蓋アセンブリの上に装着された走査鏡278と光学的に結合する。図10には図示しないが、水薬瓶を図9A〜図9Cに示す支持体と同じ種類の支持体内に配置し、以下で更に説明するように、各水薬瓶に薬剤を充填する前に再密封可能蓋を連続的に迅速に熱灼できることが好適である。
【0039】
一つの実施形態では、レーザ276は商用的に入手可能なCO2またはYAGレーザである。CO2レーザは約10.6μmの波長で動作する。この波長では、レーザエネルギーの吸収は、一部には当該部材の導電性によって決定される。つまり、再密封可能部分226の、エラストマ物質等の絶縁物質が入射エネルギーの大部分を吸収し、熱エネルギーに変換して受容面248を熱灼する。YAGレーザは約1.06μmの波長で動作する。この周波数において、吸収は、一部には格子原子によって決定される。したがって、イオン化がほとんど無いクリアまたは透明な重合体はレーザビームを透過するであろうから、YAGレーザを用いる場合に(以下で説明するように、その他のレーザ源と同様)そのレーザエネルギーの吸収を高めるには、再密封可能部分のエラストマ物質に着色料を添加することが望ましい。YAGレーザを用いれば、再密封可能部分の貫通可能領域の表面層およびその上の細菌、バクテリア、またはその他の汚染物質がプラズマに変形されて、変化面を迅速かつ徹底的に殺菌する。必要であればUV濾過被膜を無菌の充填エンクロージャの表面に適用して、作業者が不必要なUVを被爆しないようにしてもよい。
【0040】
本発明者は、約15〜30Wの範囲のビームエネルギーであればエラストマ再密封可能部分の表面248を十分に効果的に熱灼することを立証した。更に、生物負荷テストによれば、約20Wまたはそれより大きいレーザエネルギーであれば約6.0の対数減少を実現できることを立証した。これらのエネルギーにおいて、装置は約0.5秒の周期時間内で表面248を効果的に殺菌するかもしれない。したがって、レーザ熱灼装置および方法の大きな利点は、他の多様な直熱法よりも非常に短い周期時間を含むかもしれないことである。レーザ熱灼法の更に別の利点は、非接触方法および装置の両方を含むので、コンタクトヘッドや同様の加熱面の清掃を心配する必要がないことである。
【0041】
図11を参照する。各水薬瓶の再密封可能部分226を直熱またはレーザ熱灼した後に水薬瓶を(振動装置等によって)支持体256内で充填ステーション280に移動する。充填ステーション280は針または同様の注入部材282を含む。これらは、図11の矢印で示すように、支持体256の上に往復運動するように(reciprocally)装着され、各水薬瓶アセンブリの再密封可能部分226の貫通可能領域248と、これを貫く軸方向に整列する。駆動源284を針282に駆動的に接続して針282を往復運動するように駆動し、各蓋またはストッパ210と係合させたり離したりする。薬剤またはその他の調合物リザーバ286が針282と流体連通し、所定の薬剤やその他の調合物を針を通して水薬瓶内に導入する。図示した実施形態では、針282はそれ自身に複数の流体導管を規定する。これは、図11の矢印で示すように、所定の薬剤やその他の調合物を水薬瓶の中に注入する第1の流体導管288や、真空源292と流体連通して空洞に薬剤やその他の調合物を充填する前および/または最中に空気やその他の気体を水薬瓶の内部の空洞216から抜き出す第2の流体導管290を含む。図示した実施形態では、針282は「二重腔」針であって、所定の薬剤その他の調合物を水薬瓶内に注入する中央流体導管288と、置換された空気その他の気体を水薬瓶の内部空洞から排出する外側環状流体導管290とを規定する。あるいは、針の外壁に形成されて針と再密封可能ストッパの貫通部分との間の流体通路となる軸方向に細長い1本以上の溝によって二重内腔針の外側の流体導管290を規定してもよい。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本発明の水薬瓶アセンブリに針充填するために使用する針は、本明細書に記載の針の機能を行うことが現在または今後知られることになる多数の異なる形状および/または構造を有してもよい。
【0042】
図12A〜図12Dに示すように、水薬瓶に薬剤その他の調合物を充填して針282を蓋またはストッパ210から引き抜いた後には、蓋の貫通領域には引き抜いた針の通路に沿って針穴294が規定される(図12B)。針を抜き取ると、ストッパの加硫処理されたゴムベース212は十分な弾性を有するので、貫通領域においてそれ自身で閉じ、それによって水薬瓶を密封状態に維持する。しかし、上述のように蒸気、気体、および/または液体は、時間の経過と共に加硫処理されたゴムベースの針穴を通過できるかもしれないので、一般的に図12Cに示すように、各水薬瓶/蓋アセンブリを密封ステーションに通して、針を抜いた後に素早く蓋の再密封可能部分226を加熱して密封する。一般的に図12Cに示すように、加熱部材または面264を、充填ステーション内に収容された水薬瓶/蓋アセンブリの貫通可能領域248の上に、往復運動をするように、またその軸方向に整列するように、装着してもよい。駆動源272を加熱部材264に駆動的に接続して加熱部材を往復運動するように駆動して、各蓋の再密封可能部分と係合させたり離したりする。一般的に図12Cに示すように、加熱部材264を十分な温度に保ち、再密封可能部分226の貫通領域と係合した状態に維持してエラストマ物質を融解し、針穴294を密閉シールする。この結果、一般的に図12Dに示すように、針穴を再密封可能部分の外側領域から排除し、それによって蓋と水薬瓶との間の密閉シールを維持する。
【0043】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、図12A〜図12Dの駆動源および加熱部材/面は上述のような多数の異なる駆動源および加熱部材でもよい。しかし、一般的に図12C示すように、加熱部材264は、充填前に蓋の貫通可能領域を熱灼するために上述の加熱部材/面より狭い幅を規定してもよい。更に、密封するための加熱部材264の温度は、貫通された領域を迅速に溶解して密封するために、上述の加熱部材の温度より高くてもよい。再密封可能ストッパの1つの利点は、ベースによって、加熱された領域を水薬瓶中の薬剤から熱的に絶縁することにより、水薬瓶内の薬剤を熱灼および加熱密封処理中に適切な温度範囲に維持し、それによって薬剤が熱によって損傷されないようにすることである。
【0044】
あるいは、図13A〜図13Cに示すように、レーザ源276および走査鏡278を用いて再密封可能部分の貫通領域294/248を熱密封してもよい。したがって、上述と同じ種類のレーザ源276および走査鏡278を熱密封ステーションにおいて使用してこの機能を実行してもよいし、あるいは異なる種類のレーザシステムを用いてもよい。一つの実施形態では、約50WのCO2レーザを用いて再密封可能ストッパにおける直径約0.254cm(0.10インチ)の領域を密封する。
【0045】
本発明の、現時点で好適である実施形態では、密封可能な蓋またはストッパの各々が熱可塑性体によって形成される。この物質は、針が貫通可能で貫通針穴が形成される針貫通領域を規定する。また、再密封可能な蓋またはストッパの各々は所定の波長およびパワーのレーザ放射が投射されることで熱再密封可能なので、針穴が密閉シールされる。以下で更に説明するように、蓋またはストッパの各々は熱可塑性の本体または本体部分を有する。この本体または本体部分は、(i)その軸方向における所定の壁厚と、(ii)所定波長のレーザ放射を実質的に吸収し、その放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度と、(iii)所定の波長およびパワーのレーザ放射に対して、所定の時間、ストッパの針貫通領域および/またはカバー部分を実質的に燃焼することなく(即ち、物質の分子構成や化学特性に不可逆的な変化を生じることなく)、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールするようにさせる所定の色および不透明度と、を規定する。幾つかの実施形態では、この所定の時間は約2秒であり、約1.5秒またはそれ未満であることが好適である。これらの実施形態の幾つかでは、レーザ放射の所定の波長は約980nmであり、各レーザの所定のパワーは約30ワット未満であることが好適であり、約10ワットまたはこれ未満、つまり約8〜約10ワットの範囲内であることが好適である。また、これらの実施形態の幾つかでは、部材の所定の色はグレーであり、所定の不透明度は、ストッパ部材に対して重量にして約0.3%〜約0.6%の範囲内の量で添加されたダークグレイの着色料によって規定される。
【0046】
上述の熱可塑性体に加えて、熱可塑性体は、KRATONまたはDYNAFLEXの商標で販売されるDYNAFLEX G2706−10000−00等の物質といったスチレンブロック共重合体であることが好適な第1の物質と、ENGAGEまたはEXACTの商標で販売されているEXACT8203等の物質といったオレフィンであることが好適な第2の物質との混合物でもよい。本発明のある実施形態では、第1および第2の物質は、重量にして約50:50〜好適には約90:10の範囲、最も好適には重量にして約90:5(即ち、第1の物質:第2の物質)の範囲内で混合される。好適な混合物を用いる場合の、第1の物質だけを用いる場合に勝る利点は水または蒸気バリア特性の改善であり、したがって製品の貯蔵寿命の改善、熱密封可能性の改善、摩擦係数の減少、成形可能性または成形流量の改善、ヒステリシス損失の減少である。
【0047】
あるいは、再密封可能ストッパの熱可塑性体は、GLS Corporation of McHenry(イリノイ州)によってLC254−071の名称で販売されるスチレンブロック共重合体の形状でもよい。この種類のスチレンブロック共重合体の合成物は、ほぼ以下の物理特性を示す。つまり、(i)ショアA硬度:約28〜29、(ii)比重:約0.89g/cm3、(iii)色:近似のグレーからダークグレー、(iv)300%変形率、流れ方向:約181〜211psi(125〜146N/cm2)、(v)破断時の引張強度、流れ方向:約429〜498psi(296〜343N/cm2)、(vi)破断時の伸び率、流れ方向:約675%〜708%;および(vii)せん断強度、流れ方向:約78〜81lbf/in(135〜140N/cm)である。一つの実施形態では、熱可塑性体の所定の色および不透明度は、約3%の色濃縮物(即ち、天然樹脂またはTPEに対する濃縮物は約33:1の比率)で提供されるグレー着色料によって規定される。色濃縮物は約88.83%キャリアまたはベース樹脂を含み、残りは顔料である。一つの実施形態では、顔料はグレーカーボンブラックである。したがって顔料は、得られた熱可塑性体の重量にして約0.34%である。
【0048】
更に、所望であれば、当業者によく知られた種類の潤滑剤を上記のスチレンブロック共重合体合の合成物等といった熱可塑性の合成物に加えて、熱可塑性部分の針貫通領域に針またはその他の充填部材を貫通させる際に粒子が生じることを防止または軽減してもよい。一つの実施形態では、潤滑剤は、針またはその他の充填部材を貫通させる場合に粒子が生じることを防止または実質的に防止するために十分な量をスチレンブロック共重合体またはその他の熱可塑性体の合成物に添加した鉱油である。別の実施形態では、潤滑剤はシリコーンであり、Dow Coming Corporationによって「360 Medical Fluid,350 CST」の名称で販売される液体シリコーン等であって、針またはその他の充填部材を貫通させた場合に粒子が生じることを防止または実質的に防止するために十分な量を、スチレンブロック共重合体またはその他の熱可塑性の合成物に付加する。
【0049】
本発明の水薬瓶の各々は、水薬瓶を作ることが現在または今後知られることになる多数の異なる物質のある物質から作られてもよい。例えば、本発明のある実施形態では、水薬瓶はガラス製である。このような一つの例では、水薬瓶本体はガラス製であるが横方向に延びるベースはプラスチック製であって、粘着物、スナップ嵌合、オーバモールディング、またはその他の既知の接続機構によってガラス水薬瓶本体のベースに固定される。また、同様にロックリングもプラスチック製であって、粘着物、スナップ嵌合、オーバモールディング、またはその他の既知の接続機構によって水薬瓶本体の開放端に固定される。本発明の、現時点で好適である別の実施形態では、水薬瓶本体は熱可塑性体で作られる。例えば、TOPASの商標でTicona Corp.of Summit(ニュージャージー州)によって販売される熱可塑性体等である。本発明の実施形態の中には、TOPAS(商標)物質は以下の製品コード5013、5513、6013、6015、8007の何れかで販売されており、環式オレフィン共重合体および/または環式ポリオレフィンである実施形態もある。
【0050】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本発明のストッパおよび水薬瓶またはその他の容器を作るために用いられる重合体合成物の具体的な調合物を所望通りに変更して、収着(吸収および吸着の両方)および水蒸気透過(「MVT」)を含む所望の物理特性を実現することができる。例えば、水薬瓶および/またはストッパの壁厚を厚くするか調整して、MVTバリアを改善または調整することができる。あるいは、またはこのような処置と関連して、熱可塑性合成物を形成する構成要素の混合を所望通りに変更して、水薬瓶に溜める特定の製品との所望の収着レベルを満たすか、および/または所望のMVT特性を達成してもよい。更に、可融性および不可融性物質の多層を用いる、本発明の再密封可能ストッパのこれらの実施形態では、異なる物質の相対的な厚さを調整してストッパのMVT特性を調整することができる。更に、以下で更に説明するように、水薬瓶を使用する直前に除去して再密封可能ストッパを露出することができる脆弱部分を含んでもよい。いたずら防止カバーまたはその他のカバーによってストッパの針貫通可能面と周囲の大気との間を密閉または気密シールすることで、水薬瓶に含まれる薬剤またはその他の物質に対するMVTバリアを更に改良できる。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、上記の数字および物質は一例に過ぎず、特定のシステムにおいて所望または必要な通りに変更してもよい。
【0051】
図14A〜図14Cを参照する。本開示の創意に富む面にしたがって構成され、組み立てられた薬剤用水薬瓶の更なる実施形態を総括的に参照番号300で示す。水薬瓶アセンブリ300は、他の要素の他に、保存水薬瓶310と、ストッパ部材330と、固定リング350と、熱再密封可能ディスク370とを有する。
【0052】
保存用水薬瓶310は、本体312と、ベース314と、頸部316とを有する。本体312は、所定の薬剤やその他の物質等を保存することに適合する内部チャンバ318を規定する。ここに示すように、本体312は実質的に円筒状である。しかし、当業者は、本体312が球状や、薬剤その他の物質の保存に適する内部チャンバを規定する任意の形状でもよいことが容易に分かるだろう。頸部316は本体312の上部と関連し、水薬瓶口部320を規定する。現時点において好適である実施形態では、内部チャンバ318に対する薬剤流の出入りは、(両方向とも)針を通って行われる。
【0053】
ストッパ部材330を口部320に挿入する。ストッパ部材330は外周面332を有する。外周面332は、口部320に挿入されて保存水薬瓶310の頸部316と係合することに適合するように構成されている。ストッパ部材330は、保存水薬瓶310の内部チャンバ318に所定の薬剤を溜めるための第1の主要シールとなる。ストッパ部材330は加硫処理されたゴムでもよい。しかし、この明細書が関連する技術分野の当業者は、その他の適切な物質をストッパ部材330に用いてもよいことが分かるだろう。
【0054】
熱再密封可能部分370を保存水薬瓶310の口部320に挿入し、ストッパ部材330の上に完全に重ねることが好適である。再密封可能ストッパの他の実施形態に関して上述したように、熱再密封可能部分370は弾性体の重合体物質で作られることが好適である。この重合体物質は、Shell Oil Co.によってKRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)の登録商標で販売される第1の重合体物質と、Dow Chemical Co.によってENGAGE(商標)またはEXACT(商標)の商標で販売されるポリエチレン等の低濃度ポリエチレンの形状である第2の物質との混合物等である。一つの実施形態では、第1および第2の物質を、重量にして約50:50〜約90:10の範囲内で混合する(即ち、第1の物質:第2の物質)。別の実施形態では、第1および第2の物質の混合は、重量にして約50:50である。好適な混合を用いる場合の、第1の物質だけを用いる場合に勝る利点は水または蒸気バリア特性の改善、したがって製品の貯蔵寿命の改善、熱密封可能性の改善、摩擦係数の減少、成形可能性または成形流量の改善、ヒステリシス損失の減少である。当業者によって認識されるように、これらの数や物質は一例に過ぎず、特定のシステムにおいて所望または必要な通りに変更してもよい。
【0055】
熱再密封可能部分370の重要な特徴は、針、注射器、または同様の注入部材をこれに挿入した後に再密封して気密シールできることである。再密封可能部分は、針によって穴があけられた領域を上述の方法で加熱することによって密封できることが好適である。上述の混合重合体の利点の1つは、KRATON(登録商標)またはDYNAFLEX(登録商標)自身と比較した場合、薬剤が重合体に吸収され得る程度を最小限にすることである。
【0056】
引き続き図14A〜図14Cを参照する。固定リング350を水薬瓶300の頸部316に係合させた状態を示す。固定リング350は、熱再密封可能部分370およびストッパ部材330を水薬瓶口部320内に維持して第2の密封を行うことに適合するように構成される。固定リング350は、熱可塑性体および弾性体の少なくとも1つから作られることが好適である。固定リングは、熱再密封可能部分370に使用する物質に類似する弾性体重合体物質や低密度ポリエチレンで作ることができる。固定リング350は、保存水薬瓶310/ストッパ部材330のアセンブリを成形装置に収容し、保存水薬瓶310およびストッパ部材330のすぐ上で固定リング物質を成形することによって形成することが好適である(「オーバモールディング」と称する)。
【0057】
上述のように、蓋や水薬瓶を運搬、保存、組立て処理中に無菌に保つことは難しい。固定リング350に非金属物質を用いれば、水薬瓶や蓋を組み立てた後に、例えばガンマ殺菌技術やその他の放射または殺菌処理を用いて、これらを一式として殺菌し、その後に、水薬瓶アセンブリに薬剤を充填することができる。ねじ切りされたプラスチック蓋とは異なり、オーバモールドされた固定リングは水薬瓶の損傷を確実に防止する機構を提供し、ストッパが取り除かれることを防止する。
【0058】
図14Bに示すように、固定リング350は下方フランジ352と上方フランジ354とを分離するウェブ356を有する略C形状の断面を規定する。固定リング350は下方フランジ352が保存水薬瓶310の肩部322と係合するように形成される。更に、上方フランジ354を部分的にストッパ部材330および熱再密封可能部分370の上に重ね、それによってこれらの要素を水薬瓶本体310の口部320内に固定する。
【0059】
オーバモールディング処理中に、所望であれば、固定リング370を形成するために用いる物質を鋳型に流しこむことができる。この時の温度は、水薬瓶の頸部316および/または熱再密封可能ディスク370またはストッパ部材330の接続領域において部分的に溶解するために十分な温度である。この結果、物質を冷却すると、固定リング370が水薬瓶の頸部316および/または熱再密封可能部分370またはストッパ部材330と効果的に融着する。物質が溶解すれば、固定リング350の密封および維持機能が更に向上する。説明したように、1個以上の要素が部分的に溶解することは、比較的大きな直径の口部を有する水薬瓶において利点である。針をストッパに挿入すると、ストッパを内部チャンバに向けて押し気味になるためだ。必要であれば、固定リングをストッパまたは熱再密封可能部分に融着させることで、ストッパの崩壊を防ぎ易くしてもよい。物質の溶解は、超音波溶接、熱エネルギーの適用、または使用する熱可塑性体、弾性体、またはその他の物質を接合する任意のその他の既知技術を用いて実現できることに注意する。
【0060】
代替的な実施形態では、現在のところ、熱再密封可能ディスクを除去し、固定リングをストッパ部材の上に完全に重ねるように形成できることも考えられる。この実施形態では、固定リングを、ディスク370について上述した物資、あるいは上述したその他の物質と同じまたは類似した熱再密封可能物質によって形成できるかもしれない。使用の際に、ストッパ部材や固定リングに針や同様の充填部材を貫通させて薬剤を水薬瓶の内部チャンバに導入するだろう。充填針を引き抜いた後に、固定リングに熱エネルギーを適用して、充填針によってでき穴を密閉シールする。
【0061】
引き続き図14A〜図14Cを参照する。水薬瓶アセンブリ300は更にピールバックカバー380を有する。カバー380は、充填および再密封処理をした後に密封リング350に粘着されていたずら防止シールとなる。これは、充填および水薬瓶保存の後に薬剤が抜き取られたり、水薬瓶がいじられたりしたかを示す。更に、必要または所望であれば、ピールバックカバーは、水薬瓶の内部との湿気および/または蒸気の出入りに対する更なるバリアにもなり得る。
【0062】
図14Aに示すように、水薬瓶310は糸巻きまたは中空こまの形状を規定する。より具体的には、上方部分または固定リング350が横方向に伸びる第1の寸法または直径「D1」を規定し、水薬瓶本体312が横方向に伸びる第2の寸法または直径「D2」を規定し、ベース314が横方向に伸びる第3の寸法または直径「D3」を規定する。図から分かるように、D1およびD3は両方共D2より大きいので、中空こままたは糸巻き状の形を規定する。上述のように、この形状は、ユーザが水薬瓶本体の短い方の(reduced)直径D2を、例えば一方の手の人差し指と親指で握れるようにすることで、使用中の取扱いを容易にする。上方部分の比較的大きな直径D1およびベースの比較的大きな直径D3によって、ユーザが水薬瓶を軸方向の動きに対して容易に固定できるようにする。更に、上方部分の比較的大きな直径D1によって、針が滑ったりストッパを捕らえ損なったりした場合にユーザの指を保護することで、針が刺さることを防止し易くなる。また、以下で更に説明するように、中空こままたは糸巻きのような形状であるために水薬瓶に対して他の従来技術の水薬瓶よりも低い重心を規定させる。したがって、例えば自動化された充填装置における取り扱い中に水薬瓶がチップすることを有効に防止する。また、以下で更に説明するように、中空こままたは糸巻きのような形状は、水薬瓶の自動殺菌、針充填、および/または熱再密封の処理中に、水薬瓶の固定およびその他の取り扱いを容易にする。
【0063】
図15を参照する。本開示の典型的な実施形態にしたがって構成された別の水薬瓶アセンブリを総括的に参照番号400で示す。水薬瓶アセンブリ400は、様々な部材の他に、保存水薬瓶410と、ストッパ部材430と、固定リング450とを有する。保存用水薬瓶410は、ベース414と頸部416とを相互に接続する円筒状の本体412を有する。本体412は、所定の薬剤を保存する内部チャンバ418を規定する外壁411と、水薬瓶アセンブリ400の中心軸413とを有する。
【0064】
ベース314と本体312とが一式として形成される水薬瓶300とは異なり、保存水薬瓶410のベース414と本体412とは独立して形成される。ベース414は、保存水薬瓶410の軸方向に延びるフランジ424に係合することに適合するように構成された内面422を有する。ベース414は、プレス嵌合関係、粘着、超音波溶接、またはその他の結合技術によって本体412に係合できる。その幅のために、上述の水薬瓶300のベースと同様、ベース414は水平面上に置いた場合に水薬瓶アセンブリ400の垂直方向の安定性を増す。
【0065】
引き続き図15を参照する。ここで示す実施形態において、ストッパ部材430は外周432に規定された環状溝434を有する。ストッパ部材430を保存水薬瓶410の口部420に挿入した場合、ストッパ部材430と保存水薬瓶410の頸部416との間に環状凹部が形成される。固定リング450をこの凹部に、以下で説明する方法で挿入することが好適である。
【0066】
図16A〜図16Bを参照する。固定リング450を形成する典型的な処理を示す。図16Aに示すように、水薬瓶本体412を初めに下方鋳型アセンブリ460によって規定される空洞の中に置く。製造し易くするために、ベース414と水薬瓶本体412のフランジ424とはまだ係合させていない。鋳型アセンブリ460は、底部462と、第1および第2の側壁464、466とを有する。
【0067】
次に、ストッパ部材430を水薬瓶本体412の口部に挿入する。図15について上述したように、ストッパ部材430はその外周432に規定された環状溝434を有する。ストッパ部材430を水薬瓶本体412の口部に挿入した場合、ストッパ部材430と保存水薬瓶410の頸部416との間に環状凹部が形成される。あるいは、微粒子による汚染の可能性を軽減するために、水薬瓶本体412およびストッパ部材430を清潔な部屋の環境においてサイドバイサイド鋳型で形成できる。ストッパ部材430を水薬瓶本体412の口部に挿入した後に清潔な部屋の環境から運び出して鋳型アセンブリ460に運ぶことで、内部チャンバ418内に微粒子が堆積することを防止する。
【0068】
次に、図16Bに示すように、上方鋳型要素468を下方鋳型アセンブリ460の上に置く。次に、流体化した熱可塑性体および弾性体の少なくとも1つを環状凹部に注入する(流れ矢印で示す)ことによって固定リング450を形成する。成形処理中、水薬瓶本体を(例えば、ガラスに対して)プラスチック物質で作った場合、固定リング450を作るために用いる物質の温度は、接触によって、頸部416の隣接物質を部分的に溶解することが十分にできる温度である。したがって、冷却すると、固定リング450は、ストッパ部材430を水薬瓶の口部に維持するように、頸部416に部分的に融着する。融解は、超音波溶接、熱エネルギーの適用、または熱可塑性体、弾性体、または使用したその他の物質を結合させる任意の他の公知技術を用いて実現できることに注意する。
【0069】
図16Aおよび図16Bに詳細に示す方法にしたがって製造された水薬瓶の封鎖機構(closure)は、流体化されたENGAGE(商標)ポリオレフィンを、ストッパと水薬瓶の頸部との間に規定された環状凹部に、約390°Fを越える温度で注入することによって形成される密封リングを含む。ストッパは、ENGAGE(商標)およびDYNAFLEX(商標)を上述の方法で混合した物を含む熱可塑性体で作られる。流体化されたENGAGE(商標)の温度は、水薬瓶頸部と同様に熱可塑性ストッパも局部的に溶解させるために十分な温度である。物質を冷却することで、水薬瓶本体の底にドリルあけされたかその他の方法で形成された開口部を通って内部チャンバに空気が供給されてもよい。出願人は、内部チャンバは、ストッパおよび固定リングによって形成された封鎖機構を水薬瓶の口部内から除去しないまま、約80psiを越える力で加圧してもよいことを検証した。
【0070】
図17A〜図17Cを参照する。本開示にしたがって水薬瓶アセンブリを作るための典型的な処理を図示する。水薬瓶アセンブリ500は、保存水薬瓶510と、オーバモールドされたストッパ530と、オーバモールドされたベース580とを有する。保存用水薬瓶510は上述の保存水薬瓶310および410と構造的に類似しているが、保存水薬瓶510は開放上端および開放底端の両方を有する点が異なる。
【0071】
上述の水薬瓶310のように、また図15に示すように、水薬瓶410は、上方部分417の比較的大きな直径D1と、ベース415の比較的大きな直径D3と、上方部分とベースとの間で軸方向に延びる本体412の比較的短い直径D2と、によって形成される中空こままたは糸巻きのような形状を規定する。
【0072】
図17Aに示すように、初めに保存水薬瓶510を、鋳型アセンブリ560によって部分的に規定される空洞の中に置く。鋳型アセンブリ560は、底部562と、第1および第2の側壁564、566と、上方部分568とを有する。鋳型アセンブリ560の底部562は、ここから保存水薬瓶510の中へ突起する円筒状の鋳型挿入部570を有する。鋳型挿入部570の上面572は、オーバモールドされたストッパ530の下面を規定することに適合するように構成されている。次に、流体化された形状の熱可塑性および弾性体の少なくとも1つを成形要素によって規定された空洞に注入することによって、オーバーモールドされたストッパ530を形成する。
【0073】
ストッパ530の形成後、オーバーモールドされたストッパ530を有する水薬瓶本体510を鋳型から取り出す。図17Bに示すように、ベース部材514を、上述の任意の方法によって、保存水薬瓶510の底に係合する。最後に、組み立てた水薬瓶を第2の鋳型アセンブリ(図示せず)の中に置き、オーバーモールドされたベース580を、上述したオーバーモールド処理と類似の方法で形成する。
【0074】
図18を参照する。本開示の典型的な実施形態にしたがって構成された別の水薬瓶アセンブリを総括的に参照番号600で示す。上述の実施形態と同様、水薬瓶アセンブリ600は保存水薬瓶610と、ストッパ部材630とを有する。保存用水薬瓶610は、円筒状の本体612と、スナップオンベース614と、頸部616とを有する。本体612は所定の薬剤を保存する内部チャンバ618と、水薬瓶アセンブリ600の中心軸とを規定する。
【0075】
上述のように、ストッパ部材630は、保存水薬瓶610の頸部616と係合することに適合するように構成された外周面632を含む。ストッパ部材630の周囲面632によって、所定の薬剤を水薬瓶本体の内部チャンバに溜めるための第1の主要な密封を行う。図から分かるように、水薬瓶の頸部616は先細の環状隆起部617を規定する。これは、上に重ねられるストッパ部材の中に入り込むように軸方向に突起し、これによってストッパと水薬瓶との間の密閉シールを行う。上述の実施形態と対比して、水薬瓶アセンブリ600は更に、ロックまたは固定リングまたはロックリング650と、スナップオフされるいたずら防止カバー640とを有する。ロックリング650は外周縁フランジ652を有する。外周縁フランジ652は、その内面に肩部654を規定する。肩部654は、頸部616の下面620と相互にロックするように係合することに適合するように構成されている。ロックリング650は、プラスチック等の比較的可撓性を有する非金属物質から作られる。
【0076】
組立て処理中、ロックリング650をストッパ部材630の上に置く。ロックリング650を軸方向に下向きに押してストッパ部材630を水薬瓶の口部内に押し込んで維持する。ロックリングのフランジ652の可撓性および構造のために、フランジは、頚部616の外周面622の外側に半径方向に曲がることができる。一旦、肩部654が軸方向に下向きに進んで下面620を越えると、フランジ652は元に戻るように曲がり、肩部654および下面620がスナップ嵌合で相互にロックするように係合する。典型的な実施形態では、ロックリング650が保存水薬瓶610の頸部616と係合した後には、フランジ652の外面に環状の凹部が刻まれるか、形成される。図から分かるように、フランジ652を壊さずにロックリング650を頸部616から取り外すことはできない。この特徴は、ストッパを外したり、ストッパを貫通することなく水薬瓶の中身がいたずらされることを防止するように機能する。
【0077】
ロックリング650は中央開口部を規定する。ストッパ部材630は、針または同様の装置によってこの開口部を通ってアクセスされることができる。いたずら防止カバー640はロックリング650の中央開口部の上に重ねられてロックリング650と係合することで、露出されたストッパ部材を保護するように構成されている。本明細書で示す実施形態では、カバー640は、ロックリング650について上述したプレス嵌合に類似したプレス嵌合によってロックリング650と係合する。カバー640は外周縁フランジ642を含む。これは、その内径上に肩部655を規定する。この肩部655は、ロックリング650に関連する周縁凹部656と相互にロックして係合することに適合する。いたずら防止カバー640は更に、その下側に先細の環状隆起部657を規定する。これが押されて隣接するストッパ部材と係合すると、それによってカバー640とストッパ630との間を密閉シールする。いたずら防止カバー640は、カバーを壊さずに水薬瓶から取り外すことができないので、更なるいたずら防止特徴を提供できることが好適である。あるいは、このいたずら防止特徴を超音波溶接、粘着物、またはその他の任意の接続技術を用いて防止カバー640をロックリング650に係合させるように作ることで、一旦カバー640を外したらロックリング650に再係合できないようにすることができる。
【0078】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、水薬瓶はガラス、プラスチック、またはガラスとプラスチックの組合せによって作られてもよい。例えば、水薬瓶本体をガラスで作ってもよい一方で、ベース614をプラスチックで作ってもよいし、ロックリング650およびいたずら防止リングをプラスチックで作ってもよい。プラスチックベースおよびロックリングは、本明細書で説明する多数の異なる任意の方法によってガラスの水薬瓶本体に接着されてもよい。この方法は、プラスチック構成物をガラス構成物にオーバモールドする、プラスチック構成物とガラス構成物との間で機械的なスナップ嵌合またはその他の相互ロック係合を行う、またはプラスチック構成物をガラス構成物に粘着接合する等を含む。更に、本発明の本実施形態では、ストッパは加硫処理されたゴムまたはその他の不可融性のベース部分と、熱可融性のベース部分の上に上述の方法によって設けられた熱可塑性またはその他の熱可融性部分とを有してもよい。本発明のこの種類の実施形態の一つの利点は、水薬瓶に含まれる薬剤またはその他の物質を、ガラスおよび加硫処理されたゴム面のみに露出または接触させた状態で保存することである。したがって、この種類の実施形態は、以前は加硫処理されたゴムまたは同様のストッパを有するガラス水薬瓶に保存されていた薬剤またはその他の物質と共に使用することが容易になるかもしれない。
【0079】
図22A、図22B、および図22Cでは、カバー640を更に詳細に図示する。カバー640は、半径方向に間隔をあけて設けられた複数の脆弱な接続部662によってカバーの残り部分に接続された脆弱部分660を含む。図から分かるように、針または同様の装置によって再密封可能ストッパ630にアクセスするためには、脆弱な接続部662を壊すために十分な力で脆弱部分660をストッパから剥ぎ取って(flip away)脆弱部分660をこれから取り外せるようにしなければならない。図から分かるように、カバー640は周囲リム664を規定してもよい。周囲リム664は、これを押して脆弱部分660を壊し取るために、例えばユーザの親指とはめ合うことが可能である。一旦、脆弱な接続部662を壊すと脆弱部分660は再接続できないので、いたずら防止特徴を提供することになる。更に、ロックリング650の中央開口部の隙間にあるストッパ部材の上に重ねられたカバーに設けられた環状の隆起部657や関連部分によって、ストッパおよび水薬瓶内部を周囲の空気から更に遮断し、周囲の気体、蒸気、またはその他の所望でない物質がストッパまたは水薬瓶内に収められた物質に曝されることを更に防止する。例えば、カバー640を設けることで、ストッパアセンブリによって提供される蒸気(またはMVT)バリアを著しく改善し、これによって水薬瓶内に収められた物質の実効貯蔵寿命を長くする。
【0080】
水薬瓶アセンブリ300,400,500と同様、水薬瓶アセンブリ600に関連する利点の1つは、糸巻きの形状または中空こまの形状に構成されていることである。上述のように、水薬瓶アセンブリの上方および下方部分は中央水薬瓶本体の半径方向に外側に向かって配設された外周面を有する。この結果、ヘルスケア作業者によって薬剤を抜き出す場合に水薬瓶本体の凹部分を把持する指は保護され、ストッパから滑って外れた針によって刺されにくくなる。
【0081】
水薬瓶アセンブリを中空こまの形状に構成することによって、殺菌および充填処理中の水薬瓶の取り扱いと同様、充填された水薬瓶の安定性も改善される。中央水薬瓶本体の半径方向外側に配設された外周面を有するベースを備える水薬瓶は、水薬瓶本体から半径方向に突起していないベースを備える同じ高さの、吹き込み形成された従来の水薬瓶より低い重心を有する。上方および下方部分が水薬瓶本体の外径を越えて突起することによっても、水薬瓶本体またはアセンブリの取り扱いを改善する。これは、取扱い処理中に水薬瓶をガイドし、自動化された取扱い設備(例えば、拾って置くロボット)を使い易くするために使用することができる上部および下部肩部を提供することによって実現される。
【0082】
本明細書に説明する水薬瓶アセンブリの更なる利点は、いたずら防止カバーを、下に設けられたロック部材および/または再密封可能ストッパに対して密閉シールし、それによってストッパをロック部材およびカバーの内部および大気から遮断してもよいことである。本発明の好適な実施形態の一つの態様によれば、上に設けられるロック部材およびカバーを、再密封可能なストッパ自身の物質と比べて相対的に硬い物質および/または湿気および蒸気の移動に対して相対的に高い抵抗を有する物質によって作ることができる。これは、例えば保存、移動、および/または製品の貯蔵寿命中に水薬瓶その他の容器に収められた薬剤その他の物質がロック部材およびカバーを通って損失したり、湿気や蒸気が水薬瓶その他の容器の中に侵入することを防止し易くするためである。
【0083】
図19〜図21を参照する。本開示の発明的な態様にしたがって構成された別の水薬瓶アセンブリ700を示す。水薬瓶アセンブリ700は、他の特徴の他に、封鎖(closure)アセンブリ735と、水薬瓶本体710とを有する。図18の封鎖アセンブリと同様、封鎖アセンブリ735は、ストッパ部材730と、ロックまたは固定リングまたは蓋750と、いたずら防止カバー740とを含む3片のアセンブリである。
【0084】
図18の封鎖アセンブリとは異なり、封鎖アセンブリ735は部分的に、一連の成形処理によって形成される。より具体的には、ストッパ730(図20)およびロックリング750が2ステップの成形処理によって一式として形成される。初めに任意の既知の成形処理によってストッパ730を製造する。図20に示すように、ストッパ730の外縁部732は環状凹部736を含む。次にストッパ730を鋳型アセンブリ内に置き、これを用いてロックリング750の内面752の少なくとも一部を規定する。熱可塑性体または弾性体を鋳型に注入してロックリング750を形成する。ロックリング750はストッパ730の環状凹部736に嵌合する環状突起部754を有する。次に、図19に示すように、一体化したストッパ/ロックリングを水薬瓶本体710の開放端と係合させて内部空洞718を密封する。
【0085】
ロックリング750の外周には、これに沿って環状溝756が形成される。図19に示すように、いたずら防止カバー740はそれ自身から延びる外周縁フランジ744を含む。フランジ744はロックリング750の溝756に滑動可能に係合して、カバー740をロックリング750に固定する。いたずら防止カバー740を押してロックリング750と係合させるとストッパ730の環状リブ738がカバーの底によって圧縮され、これによって第2の密閉シールが形成される。したがって、いたずら防止カバー740はストッパの外面と周囲の大気との間で密閉または気密シールを形成し、これによって水薬瓶の内部と周囲の大気との間に更なるMVTバリアを提供する。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、いたずら防止カバー740および/またはロックリング750、またはストッパの露出された面の上に設けられてこれらを密封するカバーおよび/またはロックリングの少なくとも一部の物質および厚さを、ストッパを通る方向における水薬瓶の内部と外部との間のMVTバリアを制御するために選択してもよい。
【0086】
ロックリング750の外周縁に沿って形成された環状溝756も、偶発的に針が刺さる可能性を軽減するように機能する。内部チャンバ718から薬剤を除去するためにストッパ730にアクセスしようとしてロックリング750からカバー740を外して溝756を露出させる。薬剤を抜き取るために使用する針が偶然にもストッパ730から滑って外れてしまった場合でも針は環状溝756に滑り込み易く、軌道をそのまま下向きに移動してヘルスケア作業者の手に刺さることが少ない。
【0087】
引き続き図19および図20を参照する。ストッパ730の底に空洞734が規定されていることでも、カバー740によって環状リブ738に力がかかった場合にストッパ730の上方部分が曲がることができる。この結果、ストッパ部材の下方部分には半径方向の外向きに力が加わり、ストッパ730の外縁部732と水薬瓶本体710との間に形成される周囲密封を改善する。更に、環状リブ738に力が加わった結果、ストッパ730の上方部分は半径方向に圧迫され、いたずら防止カバー740とストッパの露出された面との間に密閉または気密シールが形成される。これによってストッパを周囲の大気から更に遮断し、所望であれば水薬瓶内部と周囲の大気との間のMVTバリアを更に改良する。
【0088】
図23〜図28において、本発明を実施する別の水薬瓶を総括的に参照番号800で示す。水薬瓶800は図14〜図23を参照して上述した水薬瓶と多くの点で類似するので、数字「8」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。上述の水薬瓶と比較した場合の水薬瓶800の主要な差異は、ロックリング850を超音波溶接等によって水薬瓶本体の頸部816に溶接していることである。更にフリップトップまたはいたずら防止カバー840を超音波溶接等によってロックリング850にタック溶接する。図24および図28に示すように、ストッパ830は環状フランジ832を規定し、水薬瓶本体の頸部816はストッパフランジ832の一方の側に入り込むように突起する先細の環状隆起部817を規定し、ロックリング850はストッパフランジ832の別の側に入り込むように突起する別の環状隆起部819を規定する。したがって、環状隆起部817、819は連続した環状の密封面を規定する。この面は、ストッパと水薬瓶本体との間で容易に気密または密閉シールを行うようにする。更に、図24に示すように、周囲面832はバルブ本体部分810の内部と嵌合する干渉部を形成してストッパと水薬瓶本体との間で更なる気密または密閉シールを形成する。頸部816はその軸方向の面において先細の環状隆起部821を規定する。これは、ロックリング850の下側に規定された対応する環状凹部823内に挿入される。環状隆起部821は環状凹部823内でロックリング850に、例えば超音波溶接によって溶着され、それによってロックリングを水薬瓶本体に固定する。更に、環状溶接はロックリングと水薬瓶本体との間で密閉または気密シールを規定して、水薬瓶の内部と周囲の大気との間を更に気密または密閉シールすることが好適である。ロックリング850は更に、その遠方端において半径方向に延びる複数の分離した隆起部866を規定する。これらはロックリング840の下側の内部に形成された対応する凹部868に挿入される。隆起部866は、例えば超音波溶接によって凹部868内でカバー840に溶着され、これによってカバー840とロックリング850との間に複数の脆弱な接続部を規定する。あるいは、図27に示すように、隆起部866’をカバーのフランジ842のベースに形成してもよく、ロックリングの環状凹部870内に形成された対応する凹部868’内に溶着してもよい。図24、図27、および図28に示すように、水薬瓶本体のベースは先細の環状隆起部815を規定する。これはベース814に形成された対応する環状凹部に挿入されて、ベースを、例えば超音波溶接によって本体部分に固定する。
【0089】
水薬瓶810を充填するために、ストッパ830、ロックリング850、およびベース814を超音波溶接等によって空の水薬瓶本体に組み付ける。次に、空の水薬瓶にガンマまたは他の種類の放射を適用する等によってこれを殺菌する。次に、殺菌した空の水薬瓶に針充填し、上述のようなレーザ再密封等によって熱で再密封する。次に、いたずら防止カバー840を充填された水薬瓶に取り付ける。これは、上述のような超音波溶接によってカバーをロックリング850に固定することによって行う。図24に一般的に示すように、ストッパ830の外面はいたずら防止カバーの内面と嵌合する干渉部を形成し、カバーとストッパとの間において更に気密または密閉シールを形成して、水薬瓶の内部と周囲の大気との間においてカバーによってMVTバリアを形成してもよい。所望であれば、ロックリングの角錐台(frust-conical)部分870といたずら防止カバー840の下側との間に周縁シールを形成してもよい。これは、ストッパと周囲の大気との間で密閉または気密シールを形成して所望のMVTバリアを形成するために、例えば超音波溶接によって866,868において環状シールを形成することによって行う。水薬瓶を使用するためにいたずら防止カバー840を除去する。これは、例えば親指でカバーの周囲縁843を把持し、カバーをロックリングから離れるように上向きまたは実質的に軸方向に押して脆弱な接続部866,868または866’,868’を壊し、カバーまたはその脆弱部分をロックリングから離して下にあるストッパを露出することによって行う。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、いたずら防止カバーおよび/またはその脆弱部分は、本明細書で説明するようないたずら防止カバーの機能を行うことが現在または今後知られることになる任意の多数の異なる形状および/または形態でもよい。
【0090】
図29〜図31において、本発明を実施する別の水薬瓶を総括的に参照番号900で示す。水薬瓶900は、図14〜図28を参照して説明した水薬瓶と多くの点で類似するので、数字「9」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。上述の水薬瓶と比べて水薬瓶900の主要な差異は、ロックリング950を水薬瓶本体910にスナップ嵌合すること、およびロックリング950が水薬瓶の頸部916を規定することである。図から分かるように、ロックリング950が頸部916を形成する周縁フランジを規定し、更にその内側縁部に環状凹部968を規定する。この凹部968にはいたずら防止カバー940に形成された環状隆起部966が挿入される。図から分かるように、凹部968に続く環状フランジ916の内側縁部は面取りされた面(chamfered surface)を規定し、カバーの環状隆起部966の先端縁部も面取りされて、隆起部が凹部内にスナップ嵌合されるか、その他の方法で挿入されて固定されるようにして、カバーがこれから外れないようにしている。同様に、ロックリング950はその内径に環状隆起部921を規定する。この隆起部921は、水薬瓶本体の外側に形成された対応する環状凹部923にスナップ嵌合されるか他の方法で固定されて、カバーを水薬瓶本体に固定する。この実施形態では、水薬瓶本体のベース914を水薬瓶本体の残り部分と一体形成して部品の数を減らしている。しかし、所望であればベース914を別の部品として形成して、水薬瓶本体にスナップ嵌合するか、他の方法で接続することができる。
【0091】
図31に一般的に示すように、いたずら防止カバー940は中央に位置する脆弱部分960と、ストッパ930の露出された面と係合してこれとの間で密閉または気密シールを形成する、内部に向かって延びる環状隆起部963と、その外側端において環状隆起部963と連続するように形成されてこれとの間で気密または密閉シールを形成することが好適である角錐台部分965とを有する。図30および図31に示すように、複数の脆弱な接続部962は互いに角度を有するよう間隔間をあけて配設され、脆弱部分960と実質的にドーム型のカバー本体941との間に延び、この脆弱部分の除去と下にあるストッパ930へのアクセスとを可能にしている。図31の矢印で示すように、カバーの脆弱部分960を、例えばユーザの指で下向きに押して下にあるストッパ部材を僅かに押して脆弱な接続部962を壊す。脆弱部分960は一旦、除去されたら再接続できないので、いたずら防止の機能を提供する。つまり、いたずら防止カバー940の脆弱部分960は、除去される前には、その環状隆起部963およびロックリング950の角錐台部分965と共にストッパと周囲の大気との間に実質的な気密または密閉シールを形成し、それによってストッパを貫く方向において水薬瓶の内部と周囲の大気との間でMVTバリアを提供している。所望であれば、または所望のMVTバリアを更に得るために必要であれば、角錐台部分965および周縁フランジ916が、図29の破線で示すように連続した(即ち、開口部がない)固体バリアを形成して、周囲の大気からストッパを完全に遮断してもよい。
【0092】
図32〜図36を参照する。本発明の複数の中空こま状の水薬瓶610を無菌充填装置内に装着した状態を示す。この充填装置は水薬瓶を針充填し、これをレーザ再密封する。これは、同時係属の米国仮出願第60/484,204号(2004年6月30日出願)に開示された通りである。この出願を引用して本開示に含める。図から分かるように、水薬瓶610の各々は針充填およびレーザ再密封処理中には、いたずら防止カバー640(図18)を備えていないが、針充填およびレーザ再密封を行った後にいたずら防止カバーを水薬瓶に固定する。水薬瓶610を無菌充填装置内に装着した状態を示すが、本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本明細書で説明した、または本発明の特徴を実施する任意の他の水薬瓶を、図示する無菌充填装置によって同様に充填、密封してもよい。無菌充填装置は、無菌エンクロージャ(図示せず)と、エンクロージャに入れられて運ばれている水薬瓶の上に空気または他の気体の実質的な薄層流を送る薄層流の源(図示せず)とを含む。また、図33〜図36に示すように、図示した実施形態の無菌充填装置は複数の星形車輪1010と、星形車輪1010の各々に隣接して間隔をあけて設けられ、それらの間で水薬瓶610を支持する関連するガイド1012とを備える運搬システムも備える。
【0093】
図33〜図36に示すように、星形車輪1010の各々は、その周囲面に沿って複数の凹部1014を有する。これらは水薬瓶610の中間部分が挿入されることに適合する。1個以上の星形車輪はのこぎり歯状の周囲を有し、これによって水薬瓶が、例えば回転可能な供給(infeed)溝から星形車輪に供給される際に互いにジャム(jam)する可能性を軽減してもよい。このような実施形態では、星形車輪の周囲は複数の歯を規定する。ここで各々の歯は先細の端部を有し、各連続した2つの歯が水薬瓶を収容することに適合する凹部の各々を形成する。この実施形態では、歯および/または凹部は、先端部(point)のほぼ上流にあってこれと隣接する歯の部分が、各自の水薬瓶が挿入されるシートを規定するような形状および/または寸法を有する。また、この実施形態では、シートが、容器を押しつける面を規定する。もちろん他の設計を用いてもよい。所望であれば、1個以上の星形車輪の凹部1014に真空ポート(図示せず)を設けてもよい。この真空ポートを真空源(図示せず)に選択的に接続すれば、それによって星形車輪が水薬瓶を適切に担持したり放したりできる。
【0094】
図32〜図35に最もよく示されるように、針充填多岐管1016を無菌充填装置の針充填ステーションにある星形車輪1010の周囲に沿って第1の位置に配置する。針充填多岐管1016は複数の針を有する。例えば4本の針1018,1020,1022,1024である。これらの針を使って、薬剤またはその他の物質を密封された水薬瓶に供給する。針多岐管1016を駆動して、各針が再密封可能ストッパと係合したり、これから放れたりするように移動できるようにしてストッパに刺し、水薬瓶にその中に溜めるべき薬剤や他の物質を充填し、水薬瓶に充填した後に針を抜き取る。多数の針を設ければ、多数の水薬瓶を同時に充填できる。針の各々は各自の可撓性チューブ1026,1028,1030,1032と連通する。これらのチューブは各自の針1018,1020,1022,1024を複数のポンプ(図示せず)の1つを通して各自の薬剤またはその他の物質の源(図示せず)に接続する。薬剤源は、充填装置の内部または外部に配置してもよい。
【0095】
図33〜図35に示すように、針充填多岐管1016は一対の駆動シャフト1034の上に装着される。これらのシャフト1034は、適切は駆動源(図示せず)に駆動的に接続される。この駆動源は、針多岐管、したがって多岐管に装着された針のバンク(bank)を、図33に一般的に矢印「a」で示す通りに、針充填ステーションに装着された水薬瓶の再密封可能ストッパと係合させたり放したりするように駆動する。図示しないが、ベローズによって各シャフトのベースを取り囲んでシャフトの可動部分を密封してもよい。図32に最も良く示されるように、針多岐管1016は更にベース1036と、互いに間隔を空けて設けられてその間に薄層流開口部1040を規定する複数の針マウント1038と、ファスナ1044(図33)によってベース1036に固定されて針を多岐管に固定するクランプ1042とを有する。図32に示すように、各針は装着フランジ1046を有する。これは、各自の針マウント1038に形成された開口部内に滑動可能に挿入され、クランプ1042をベース1036に固定した際に定位置に固定される。ベース1036の前面から外に向かって整列ピン1048が突起し、クランプ1042に形成された対応する開口部に挿入されて、クランプおよび針を多岐管において確実に適切に整列させる。図35に示すように、装着板1050は駆動シャフト1034,1034の端部に固定され、これと共に移動できる。整列ピン(図示せず)が針多岐管1016のベース1036と駆動板1050との間に延びて、針多岐管、したがって針を、駆動板上で確実に適切に整列させる。一対の蝶ネジ1052を多岐管のベース1036の対向する端部を通してネジ切り挿入して多岐管を取り外し可能に駆動板1050に固定する。
【0096】
図36に示すように、レーザ密封および赤外(IR)検知多岐管1054を針充填多岐管1016の下流において星形車輪1010の周囲に沿って第2の位置に配置する。一般的に図36に示すように、レーザ密封および赤外(IR)検知多岐管1054は、複数のレーザ光学アセンブリ(例えば、4つのレーザ光学アセンブリ1056,1058,1060,1062)を複数のIRセンサ(例えば、4つのIRセンサ1064,1066,1068,1070)と共に保持する。レーザ光学アセンブリは、レーザビームを送出して針充填後に水薬瓶上の再密封可能ストッパを再密封することに適合する。複数のレーザ光学アセンブリの各々を星形車輪1010の周囲の近くの各自の位置に装着して各自のレーザビームを各自の再密封可能ストッパに供給し、再密封可能ストッパの針穴を熱によって再密封する。レーザ光学アセンブリ1056,1058,1060,1062の各々は各自の光ファイバケーブルに接続される。このケーブルは各自の光学アセンブリを各自のレーザ源(図示せず)に接続する。多数の光ファイバアセンブリを設ければ、多数の水薬瓶を同時に再密封できる。この実施形態では、複数のIRセンサアセンブリ1064〜1070の各々が星形車輪1010の周囲の近くの各自の位置に装着される。レーザ源(図示せず)をエンクロージャの外側に装着することで、エンクロージャを開けたり、および/または無菌エンクロージャを汚染する危険を冒すことなく、レーザ源を修理および/または交換できるようにすることが好適である。IRセンサ1064〜1070はレーザ再密封中に実現される再密封可能ストッパの針貫通領域の温度を検出するので、これを用いて、ストッパが再密封を行うために十分であるほどに再加熱されたかを検出できる。IRセンサ1064〜1070の各々を各自のIRセンサモジュール(図示せず)に接続する。多数のIRセンサを設ければ、無菌の充填装置に対して、再密封中に多数の水薬瓶の温度を同時に検出させることができる。
【0097】
上述のように、各レーザ源は約980nmで所定の波長のレーザ放射を送出する。各レーザの所定パワーは約30ワット未満が好適であり、約10ワットまたはそれ未満、すなわち約8〜約10ワットの範囲内が好適である。図示した実施形態では、各レーザ源は約15ワットで出力する半導体ダイオードレーザであり、光ファイバケーブルを通して、充填ユニット内部の水薬瓶上に装着された各自のコリメートレンズに光ファイバで結合される。レーザおよびIRセンサ多岐管1054は色つきエンクロージャ1072を有する。これはレーザを4面で取り囲み、レーザビームによって生成される潜在的に有害な放射をフィルタアウトする複数の色つきガラスまたは半透明または透明のプラスチックパネルを含む。コンデンサセンサ(図示せず)を針充填多岐管1016の下流において星形車輪1010の周囲に沿って設け、各水薬瓶に、そこに溜めるべき薬剤またはその他の物質が供給されたかを検出し、もし欠陥があればを拒否するようにしてもよい。
【0098】
無菌充填装置の動作において、星形車輪1010が水薬瓶610をガイド1012に沿って、図示する方法で運ぶ。星形車輪1012は4つの場所を移動し(indexed)、次に一時停止して少しの間休止する。休止中、針多岐管1016を下向きに駆動して、4本の針1018〜1024を、針多岐管の下の4つの水薬瓶の再密封可能ストッパに挿入するように駆動する。その後、薬剤またはその他の物質をポンプによって針を通して水薬瓶の内部チャンバに供給し、その後、多岐管を駆動して4本の針1018〜1024を4つのストッパから引き抜く。1実施形態では、最初は針を比較的遅い速度で引き抜くことで水薬瓶が「下から上まで」充填できるようにし、次に水薬瓶が充填されたら、針を比較的早い速度で引き抜くことで針を素早く取り除き、全体の周期時間を軽減する。図33〜図35に示すように、水薬瓶が中空こままたは糸巻きの形状を有することで、水薬瓶を星形車輪またはその他の運搬システムによって運搬し易くする。更に、中空こまの形状は水薬瓶を支持し、充填処理中に針を挿入したり引き抜いたりする際に水薬瓶が軸方向に動くことを防止する。各水薬瓶の中間部分を星形車輪またはその他の運搬機構の凹部内に固定する。各水薬瓶の比較的大きな直径の上方部分によって、針を水薬瓶の再密封可能ストッパに挿入する際に水薬瓶が下方向に動くことを防止する。これは、星形車輪および/またはガイドの上面と係合することによって行う。また、水薬瓶の比較的大きな直径のベース部分によって、針を再密封可能ストッパから抜き取る際に水薬瓶が軸方向に上方向に動くことを防止する。これも、星形車輪および/またはガイドの下側を係合することによって行う。
【0099】
休止中、4つのレーザ光学アセンブリ1056〜1062が、レーザおよびIR多岐管の下の4つの水薬瓶に装着された再密封可能ストッパにレーザエネルギーを送ってストッパを再密封する。再密封可能ストッパがレーザエネルギーによって加熱されると4つのIRセンサ1064〜1070は各ストッパの温度を検出し、各ストッパが再密封を行うために十分な程に加熱されたかを検出できる。休止後、この処理を繰り返す。つまり、星形車輪は別の4つの位置を移動し、次に再び休止して4つの水薬瓶を充填し、更に4つの水薬瓶を再密封する。
【0100】
再密封後、水薬瓶を別の星形車輪(図示せず)に運ぶ。この車輪はその凹部に真空ポートを有し、運搬されている水薬瓶を保持する。充填、再密封が成功裏に行われた水薬瓶については、星形車はその水薬瓶を放電ガイドに運ぶ。この時、関連する真空ポートへの真空を選択的に除去して水薬瓶を放電ガイドに運ぶ。放電ガイドは水薬瓶を充填、密封に成功した容器の貯蔵場所(図示せず)に運ぶ。充電、密封が成功しなかった水薬瓶については、星形車輪はその水薬瓶を別の星形車輪に運ぶ。この時、関連する真空ポートへの真空を選択的に除去して別の星形車輪上の各自の真空ポートに真空を適用し、それによって水薬瓶を別の星形車輪に運び、他の任意の欠陥水薬瓶と共に廃棄する。
【0101】
図37〜図48において、水薬瓶を針充填およびレーザ再密封するためのモジュールを総括的に参照番号2000で示す。針充填およびレーザ再密封モジュール2000は、上述の針多岐管およびレーザおよびIRセンサ多岐管と多くの点で類似するので、数字「1」の代わりに数字「2」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。上述の多岐管と比較してモジュール2000の主要な差異の1つは、モジュール2000が、同じモジュールにおいて針充填とレーザ再密封の両方を行うことができることである。更に、所望であれば、以下で更に説明するように、モジュール2000に電子ビームまたはその他の適切な放射または殺菌源を備えて、水薬瓶や充填針の殺菌を更に確実に行えるようにすることができる。
【0102】
モジュール2000を多数の異なる種類の無菌エンクロージャの任意の容器内に装着してもよいし、多数の異なる種類の運搬システムと共に用いてモジュールを介して水薬瓶を運搬するようにしてもよい。所望であれば、無菌エンクロージャが、上記の同時係属の特許出願に開示された薄層流の源を含んでもよい。モジュールを介した運搬システムは実質的に直線的であって、ガイド2010を含む。ガイド2010は、これに沿って延びる軸方向に長細い開口部2014を規定する。図39および図40に示すように、軸方向に延びる開口部2014の寸法は、その中に中空こま形状の水薬瓶の中間部分が滑動して挿入されてガイド2010の、対向する上方面において各水薬瓶の比較的大きな直径の上方部分を支持し、また所望であれば、ガイドの、対向する下方の面に当接するように各水薬瓶の比較的大きな直径ベース部分を支持する寸法である。図43に示す本発明の1実施形態では、運搬システムは、水薬瓶610が収容される凹部を形成する螺旋溝2017を規定するリードネジ2015を含むネジ型駆動装置を備える。モータ2019がリードネジの一端と駆動的に接続されて、矢印「b」で示すように回転可能にネジを駆動して水薬瓶610を多岐管2000を通して軸方向に駆動する。モータ2019は制御ユニット(図示せず)と電気的に接続して、ネジの開始、停止、および速度を精密に制御し、これを針多岐管およびレーザ源の起動と調和させる。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、運搬システムは多岐管を介して水薬瓶を駆動する任意の多数の異なる構成を有しても良い。これは、この機能を実行することが現在または今後知られることになる他の種類のコンベアを含む。
【0103】
針充填多岐管2016を一対の駆動シャフト2034に装着する。このシャフト2034は共通の駆動シャフト2035(図42)を通して適切な駆動源(図示せず)に駆動的に接続され、針多岐管、つまり多岐管に装着された針2018(1本だけを図示する)のバンクを、多岐管のガイド2010内に収容された水薬瓶の再密封可能ストッパと係合させたり、これから放したりするように駆動する。図示しないが、ベローズによって各シャフトのベースを囲い、シャフトの可動部分を密封してもよい。針多岐管2016は、ベース2036と、互いに間隔を空けた複数の針マウント2038と、ファスナ(図示せず)によってベース2036に固定されて針を多岐管に固定するクランプ2042とを有する。所望であれば、薄層流の開口部を針マウント2038間に設けて、無菌空気またはその他の気体の流体がこの間を通って針の側面(sides)の上を通過できるようにしてもよい。各針は装着フランジ2046を含む。これは各自の針マウント2038に形成された開口部の中に滑動して収容され、クランプ2042をベース2036に固定した際に定位置に固定される。多数の針を設ければ、多数の水薬瓶を同時に充填できる。針の各々は各自の可撓性チューブ2026と流体連通する。このチューブは、各自の針2018を各自の薬剤または他の物質の源(図示せず)に、複数のポンプ(図示せず)のうちの各自の1つのポンプを通して接続する。薬剤源を充填装置の内側または外側に配置してもよい。
【0104】
一般的に図41に示すように、整列ピン2039をクランプ2042に設け、ベース2036に形成された対応するピン穴2041に挿入して確実にクランプと針を多岐管上に適切に整列させてもよい。装着板2050は駆動シャフト2034,2034の一端に固定され、これと共に移動できる。駆動板2050は装着面2053を規定する。この面2053は多岐管のベース2036内に形成された対応する装着溝2055に挿入され、多岐管を駆動板上に装着して整列させる。整列ピン(図示せず)を針岐管2016のベース2036と駆動板2050との間に延びるよう設けて、針多岐管、したがって針を確実に駆動板上で適切に整列させてもよい。ロッククランプ2052が駆動板2050に軸支装着され、図37に示す、多岐管を駆動板から着脱するための開位置と、図38に示す、多岐管を駆動板に固定する閉位置との間で移動できる。あるいは、図40A〜図40Cに示すように、クランプの代わりにファスナ2052’を用いて多岐管を駆動板に固定してもよい。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、現在または今後知られることになる多数の異なるクランプまたはファスナ機構の任意のものを同様に用いて多岐管を駆動板に固定してもよい。
【0105】
モジュール2000は更に、レーザ密封および赤外線(IR)検知多岐管2054を含む。これは針多岐管2036に隣接して半径方向に間隔をあけて設けられ、針充填およびストッパから針を引き抜いた直後に穴があいたストッパをレーザ密封する。一般的に図42に示すように、レーザ密封および赤外線(IR)検知多岐管2054は複数のレーザ光学アセンブリ(例えば、5個のレーザ光学アセンブリ2056,2058,2060,2062,2063)を複数のIRセンサ(例えば、5個のIRセンサ2064,2066,2068,2070,2071)と共に保持する。簡単にするために図42には4つのレーザ光学アセンブリおよび関連するIRセンサのみを示すが、図43には5個のレーザ光学アセンブリおよび関連するIRセンサを示す。レーザ光学アセンブリは、レーザビームを放射して針充填後に水薬瓶上の再密封可能ストッパを再密閉することに適合する。複数のレーザ光学アセンブリの各々はガイド2010に隣接するそれぞれの位置に装着され、各自の水薬瓶610の再密封可能ストッパに対してそれぞれのレーザビームを放出して再密封可能ストッパの針穴を熱密封する。更に、各レーザ光学アセンブリを針多岐管2016に装着されたそれぞれの針2018と整列させ、再密封可能ストッパの、それぞれの針によって穴があけられた場所を密封する。レーザ光学アセンブリ2056〜2063の各々は各自の光ファイバケーブに接続される。このケーブルは各自の光学アセンブリを各自のレーザ源(図示せず)に接続する。図から分かるように、多数の光ファイバアセンブリを設ければ、多数の水薬瓶を同時に再密封できる。この実施形態では、複数のIRセンサアセンブリ2064〜2071の各々を針多岐管2016上の各自のレーザ光学アセンブリおよび針2018に隣接させて整列するように装着する。レーザ源(図示せず)を、中にモジュール2000が装着された針充填装置の無菌エンクロージャの外側に装着して、エンクロージャを開く必要、および/または無菌のエンクロージャを汚染する危険を冒すことなく、レーザ源を修理および/または交換できるようにすることが好適である。IRセンサ2064〜2071はレーザによって再密封処理中に実現される再密封可能ストッパの針貫通領域の温度を検出するので、これらのセンサ2064〜2071を用いて、ストッパが再密封を行うために十分な程に再加熱されたかを検出できる。IRセンサ2064〜2071の各々を各自のIRセンサモジュール(図示せず)に接続する。多数のIRセンサを用いれば、無菌の充填装置に対して、例えば再密封されている間に多数の水薬瓶の温度を同時に検出させることができる。
【0106】
上述のように、各レーザ源は約980nmで所定の波長のレーザ放射を送出する。各レーザの所定パワーは約30ワット未満が好適であり、約10ワットまたはこれ未満、すなわち約8〜約10ワットの範囲内が好適である。また、図示した実施形態では、各レーザ源は約15ワットで出力する半導体ダイオードレーザであり、光ファイバケーブルを通して各自のレーザ光学アセンブリのコリメートレンズに光ファイバで結合される。所望であれば、モジュール2000を色つきエンクロージャ(図示せず)で取り囲むか、部分的に取り囲むことができる。これは、レーザ光学アセンブリを4面において取り囲んで、レーザビームによって生成される潜在的に有害な放射をフィルタアウトする複数の色つきガラスまたは半透明または透明のプラスチックパネルを含む。更に、コンデンサセンサ(図示せず)をモジュール2000の下流に設けて、各水薬瓶にこれに溜めるべき薬剤またはその他の物質が供給されたかを検出し、欠陥がある場合にはその水薬瓶を拒否してもよい。
【0107】
モジュール2000の動作において、駆動モータ2019を矢印「b」の方向に回転可能に駆動してリードネジ2015を回転し、水薬瓶610をガイド2012に沿って、例えば図43に示す方法で運搬する。図43に示す例示的なモジュールでは、モジュールは5本の針と、5個のレーザ光学アセンブリと5個のIRセンサとを含むので、5個の水薬瓶の針充填およびレーザ再密封を一度にできる。したがってリードネジ2015は5つの場所に移動し(indexed)、次に一時停止して少しの間休止する。本明細書の教示に基づいて関連の当業者によって認識されるように、モジュール2000は、所望の数の針、レーザ光学アセンブリ、および/またはセンサを含んでもよい。更に、所望であれば、レーザおよびセンサを針多岐管の下流にあるモジュール内に装着して異なる水薬瓶を同時に充填および密封することで、モジュールの全体の処理量を増加できるようにしてもよい。休止中、針多岐管2016を下向きに駆動して針多岐管の下にある水薬瓶に装着された再密封可能ストッパを通して針2018を駆動する。その後、薬剤またはその他の物質をポンプ(図示せず)によって針を通して水薬瓶の内部チャンバに送る。次に、多岐管を駆動して針2018をストッパから引き抜く。1実施形態では、最初は針を比較的遅い速度で引き抜いて水薬瓶が「下から上まで」充填できるようにし、次に、水薬瓶が充填されたら針を比較的早い速度で引き抜いて針を素早く取り除いて全体の周期時間を減らす。図から分かるように、水薬瓶が中空こままたは糸巻きのような形状をしているので、運搬システムによって水薬瓶を運搬し易くする。更に、中空こまの形状によって水薬瓶を支持して、充填処理中に針を挿入したり引き抜いたりする際に水薬瓶が軸方向に動くことを防止する。各水薬瓶の中間部分をガイド2010の開口部2014内に固定する。各水薬瓶の比較的大きな直径である上方部分によって、針を水薬瓶の再密封可能ストッパに挿入する際に水薬瓶が下方向に動くことを防止する。これは、ガイドの上面を係合することによって行う。また、水薬瓶の比較的大きな直径であるベース部分によって、針を再密封可能ストッパから抜き取る際に水薬瓶が軸方向に上にむかって動くことを防止する。これも、ガイドの下側を係合することによって行う。
【0108】
休止中および針を再密封可能ストッパから抜き取った後に、レーザ光学アセンブリ2056〜2063がレーザエネルギーを水薬瓶に装着された再密封可能ストッパに送ってストッパを再密封する。再密封可能ストッパがレーザエネルギーによって加熱されると、IRセンサ2064〜2071が各ストッパの温度を検出して、各ストッパが再密封を行うために十分に加熱されたかを検出できる。休止後、この処理を繰り返す。つまり、リードネジは別の5つの位置に移動し、次に再び休止して5つの水薬瓶を充填して再密封できる。
【0109】
図44に示すように、モジュール2000を無菌エンクロージャ内に装着してもよい。この時、運搬システムは、無端コンベア2076と、無端コンベア2076に装着されて水薬瓶610をモジュール2000を介して運搬するキャリア2078とを含む。供給(infeed)コンベア2080が密封された空の水薬瓶を無端コンベア2076のキャリア2078に供給する。すると、無端コンベア2076がモジュール2000を介して、上記と同様または類似する方法で水薬瓶を供給する。モジュール2000において水薬瓶を充填、再密封した後、これらを排出コンベア2082の上に置く。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、コンベア2076,2080,2082および/またはその構成物は、これらのコンベアまたはコンベア構成物の1個以上の機能を行うことが現在または今後知られることになる任意の多数の異なるコンベアまたはコンベア構成物の形状をとってもよい。
【0110】
図42に示すように、モジュール2002は、針多岐管2016の、レーザ光学アセンブリに対して反対側に配置された軸方向に長細いポート2084と、そこに電子ビームユニット2086を装着するセンサとを有する。電子ビームユニット2086は電子ビームをモジュールの軸方向に細長いチャンバ2088内に送ってチャンバ内の水薬瓶および針の表面を殺菌する。電子ビームアセンブリは、電子ビーム源と、電子ビームを含むためのチャンバと、水薬瓶を電子ビームチャンバを通して運搬するコンベアとを含み、同時係属の米国特許出願第10/600,525号(2003年6月19日出願「STERILE FILLING MACHINE HAVING NEEDLE FILLING STATION WITHIN E−BEAM CHAMBER」)および米国仮出願第60/390,212号(「STERILE FILLING MACHINE HAVING NEEDLE FILLING STATION WITHIN E−BEAM CHAMBER」2002年6月19日)に開示されたものと同じまたは類似するものでもよい。これらの各々を引用して本開示の一部として含める。これらの同時係属の特許出願に説明されるように、電子ビームユニットは、本明細書で説明された電子ビームユニットの機能を実行することが現在または今後知られることになる任意の多数の異なる種類の電子ビームユニットまたは源でもよい。
【0111】
電子ビーム放射はイオン化エネルギーの形状であって、これは通常、その低浸透性および高線量率によって特徴づけられる。電子は、露出された生成物に接触することによって多様な化学および分子結合を変化させる。これは微生物の再生細胞を含む。したがって、電子ビーム放射は、水薬瓶や薬剤またはその他の無菌物質のための容器を殺菌することに特に適する。電子ビーム源が電子ビームを生成する。この電子ビームは、電気を加速および変換することで生成された、凝縮されて高度に充電された電子ストリームによって形成される。各自の針によって貫通させるために、電子ビームを水薬瓶の各々の貫通可能面に向けて集中させることが好適である。例えば1実施形態では、充填針を挿入する前に電子ビームを再密封可能ストッパの上面に向けて集中させてストッパの貫通可能面を殺菌する。更に必要であれば、コンベアの、互いに反対側に反射面を装着して電子ビームおよび/または反射および分散された電子を水薬瓶の側に反射して水薬瓶のこれらの面の殺菌を容易に行ってもよい。あるいは、またはこのような反射面との組合せにおいて、1個より多い電子ビーム源を用いてもよい。この時、各電子ビーム源を水薬瓶やその他の容器の各自の面または面部分に向けて集中させて問題の各表面領域を確実に殺菌する。実施形態の中には、電子ビームの流動、走査幅、位置、エネルギー、運搬システムの速度、および/または任意の反射面の配向および位置を水薬瓶の再密封可能ストッパの上面、即ち水薬瓶を充填するために各自の充填針が貫通する貫通可能領域を規定するストッパの面における生物負荷テストにおいて、少なくとも約3対数減少、好適には約6ログ減少を実現するように選択するものもある。更に、更に対策を加えて用心する場合、水薬瓶の側面、つまり充填処理中に針による穴があけられない水薬瓶の面においても少なくとも約3対数減少が実現できるように、1個以上の上記の変数を選択することが好適である。更に、電子ビームを再密封可能ストッパに挿入する前の針、または少なくともストッパに接触する針の部分に向けることによって、針および水薬瓶を確実に殺菌してもよい。これらの無菌性の特定なレベルは例示的なものに過ぎないが、無菌性のレベルは、所望なように、または例えば米国FDAまたは適用できる欧州標準(適用できる無菌性保証水準(「SAL」)等)の下において特定の製品を認可するために必要なように、設定してもよい。
【0112】
図45〜図48において、本発明を実施する別の水薬瓶を総括的に参照番号2200で示す。水薬瓶2200は、図29〜図31を参照して上述した水薬瓶900と多くの点で類似するので、数字「9」の代わりに「22」によって先行される同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。図45を参照する。上述の水薬瓶900と比較した場合の水薬瓶2200の主要な差異は、充填針2018が再密封可能ストッパ2230をストッパの貫通可能領域2231の周縁部分において水薬瓶の軸に対して鋭角「D」で貫くことができるように、ロックリング2250の角錐台または最も内側の縁部2265が比較的内側に向かって間隔を空けて設けられていることである。このような構造の1つの利点は、図47に示すように、レーザ(または熱)によって再密封されたストッパの貫通部分がストッパ領域2231の縁部または周縁部に位置することになるので、いたずら防止カバーの脆弱部分2260を除去した際に、この部分2231がいたずら防止カバー2240の内側縁部2233の下に隠れることである。これを、以下で更に説明する。
【0113】
図から分かるように、ロックリング2250は頸部2216を形成する周縁フランジを規定し、更に、その内側縁部にいたずら防止カバー2250に形成された環状隆起部2266が挿入される環状凹部2268を規定する。凹部2268に続く環状フランジ2216の内縁部は面取りされた面を規定してもよく、カバーの環状隆起部2266の先頭端も面取りされて、隆起部を凹部内にスナップするか、これに挿入、固定されて、カバーがこれから外れることを防止するようにしてもよい。同様に、ロックリング2250はその内径に環状隆起部2221を規定する。これは、水薬瓶本体2210の外側に形成された対応する環状凹部2223にスナップ嵌合するかこれに収容、固定されてロックリング2250を水薬瓶本体に固定する。この実施形態では、水薬瓶本体2210のベース2214を水薬瓶本体の残り分部分と一体形成して部品の数を減らしている。しかし、所望であれば、ベース2214を別の部品として形成して、水薬瓶本体にスナップ嵌合するか他の方法で接続してもよい。
【0114】
図47および図48に示すように、いたずら防止カバー2240は中央に位置する脆弱部分2260と、内側に延びる環状隆起部2263とを規定する。この隆起部2263はストッパ2230の露出面に係合し、所望であればその間で密閉または気密シールを形成する。図47および図48に示すように、複数の脆弱な接続部2262が互いに角度を有するように間隔をあけて配置され、脆弱部分2260と実質的にドーム型のカバー本体部分2241との間に延びる。これによって、脆弱部分を除去して、下にあるストッパ2230にアクセスできるようにする。カバーの脆弱部分2260を、例えばユーザの指で下向きに押し、下にあるストッパ部材を僅かに押し込んで脆弱な接続部2262を破く。脆弱部分2260は一旦壊されると再接続できないので、これによっていたずら防止特徴を提供する。いたずら防止カバー2240は更に第2の隆起部2235を含む。これは第1の隆起部2263に隣接して下向きに延びており、露出されたストッパと係合してこれらの間で密閉または気密シールを形成する。所望であれば第1および第2の環状隆起部2263、2235を互いに連続して形成し、これらの間で気密または密閉シールを形成して、ストッパを通る方向における水薬瓶のMVTバリアを増加してもよい。
【0115】
図45に示すように、水薬瓶2200を、例えば上述のような針充填およびレーザ再密封モジュール内で充填してもよい。しかし、水薬瓶2200によって実現できる1つの差異は、針2018を再密封可能ストッパ2230の貫通可能領域2231に、ロックリング2250の内縁部2265に隣接する貫通可能領域の端部分または外周部分において水薬瓶の軸に対して鋭角「D」で挿入することである。図29に関連して上述したロックリング950との比較によって分かるが、ロックリング2250の内縁部2265は、半径方向外向きに間隔をあけて設けられ、ストッパの貫通可能領域2231の端部分を露出して、針2018がこの部分を鋭角「D」で貫通できるようにしている。針2018がストッパ2230を鋭角Dで貫通することの1つの利点は、図45において矢印「E」で示す通り、針によって注入された流体が水薬瓶本体2210の側壁に実質的に鋭角で向かうことで水薬瓶の中に向かう薄層流または実質的な薄層の流体を形成し易くすることである。この種類の流体によれば、水薬瓶を流体で充填する際の泡やこれに類する渦効果を防止し易くして、水薬瓶をより早く、および/またはより望ましい方法で充填する。本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、鋭角「D」は、針を針多岐管の上で水薬瓶の軸に対して鋭角に配向するか、充填ステーションにおいて水薬瓶の軸を針の軸に対して鋭角に配向するか、その両方の組合せによって形成してもよい。図示した実施形態では、角度「D」は約30〜約45の範囲である。しかし、これらの角度は例示に過ぎず、所望の流れおよび/または充填特徴を得るため、または特定の適用の要求を満たすために望ましいように変更してもよい。
【0116】
本発明の本実施形態の別の利点は、水薬瓶の使用中にストッパの貫通/再密封部分をエンドユーザから視覚的に隠してもよいことである。一般的に図47に示すように、針穴、つまりストッパの再密封部分2231はいたずら防止カバー2240の内縁部2233の下に隠される。したがって、いたずら防止カバー2240の脆弱部分2260を除去して注射器によって水薬瓶の中身にアクセスする場合、その下に設けられたストッパ2230の、視覚的に露出された部分に再密封部分2231が含まれないので、再密封部分が視覚的に露出される場合に比べて、見た目にも望ましく気持ちがよいと考えられる。
【0117】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識されるように、本明細書に開示された創意に富む面から逸脱することなく、本出願の上述および他の実施形態に対して多数の変化や変更を行うことができる。例えば、再密封可能部分を挿入モールディング等によってベースと一体的に成形してもよいし、再密封可能部分をベースに融接または溶接してもよいし、再密封可能部分をベースに順番に形成してもよい。あるいは、再密封可能ストッパを1つの物質だけから形成してもよい。つまり、不可融性ベースまたは他の不可融性層を有する再密封可能部分を多数の層で形成してもよい。この時、これらの層の幾つかまたは全てを熱的に再密封できる。したがって、再密封可能ストッパを、本明細書で説明する再密封可能部分またはストッパの機能を実行することが現在または今後知られることになる任意の多数の異なる物質で形成してもよい。多数の異なる熱可塑性のおよび/または弾性体等である。更に、水薬瓶を、薬用ビン等の水薬瓶を作ることが現在または今後知られるようになる多数の異なる物質で作ってもよい。これは、多数の異なる種類のガラスまたはプラスチック、またはガラスとプラスチックの組合せを含む。例えば、水薬瓶本体はガラスで形成し、ベース、ロックリング、および/またはいたずら防止カバーはプラスチックで形成して、現在または今後知られることになる多数の異なる結合機構によって本体部分または相互に結合することができる。これは、オーバーモールディング、機械的スナップ嵌合、またはその他の相互ロック係合、ガラスをプラスチックに粘着結合する、プラスチックにプラスチックを超音波またはその他の方法で溶接する等を含む。更に、水薬瓶を充填するために使用する針は、英国特許出願第GB0308705.2号(2003年4月28日出願「Novel Device」)に開示された任意の針の形状でもよく、水薬瓶の封鎖(closure)は、英国特許出願第GB0304268.6号(2003年2月26日出願「Novel Device」に開示された封鎖の形状の任意の形状でもよい。コンベアシステムおよび/またはその構成物は、英国特許出願第GB0221510.1号(2002年9月17日出願「Novel Device」)に示された任意の形状でもよく、針充填および/または処理ステーションは、英国特許出願第GB0221511.9号(2002年9月17日出願「Novel Device」)に示された任意の形状でもよい。これらの各々に言及してその全体を本開示の一部として明示的に含める。したがって、この好適な実施形態の詳細な説明は例示目的であって、制限する意図はない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を保存する水薬瓶アセンブリであって、
開口部と、前記開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、前記中央部分の、前記ベースに対する反対側において前記ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、前記ベースおよび前記上方部分の各々は、前記中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、
前記開口部に挿入され、前記物質を前記チャンバに導入すること、および前記物質を前記チャンバから抜き出すことの少なくとも一方を行うために針または同様の部材によって貫通可能なストッパと、
を備える水薬瓶アセンブリ。
【請求項2】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分の各々は断面において略円形であり、
前記ベースおよび前記上方部分の各々の最大直径は、前記中央部分の最大直径より大きい、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項3】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分は、実質的に糸巻き形状である、請求項2に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項4】
前記本体部分に固定されて、少なくとも部分的に前記ストッパの上に延びて、前記ストッパが気づかれずに除去されてしまうことを防止する実質的に環状のいたずら防止部分を更に備える、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項5】
前記いたずら防止部分は、熱によって前記本体部分に溶着される、請求項4に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項6】
前記いたずら防止部分は、前記ストッパおよび前記本体部分にオーバーモールドされた、請求項5に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項7】
前記いたずら防止部分は、前記ストッパと一体に形成され、
前記一体形成されたストッパおよび前記いたずら防止部分は、前記本体部分にオーバモールドされる、請求項5に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項8】
前記いたずら防止部分は、前記いたずら防止部分と前記本体部分および前記ストッパのうち少なくとも1つとの間に密閉シールを形成する熱溶解された領域を規定する、請求項4に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項9】
前記水薬瓶本体に固定されて、前記ストッパの上に完全に重ねられたいたずら防止部分を更に備え、
前記ストッパおよびいたずら防止部分は、物質を前記水薬瓶の内部チャンバ内に導入するために針によって貫通可能であり、
前記いたずら防止部分は、熱エネルギーを加えることで可融性となり、針を抜き取る際に当該針によって前記いたずら防止部分にできた任意の穴を密閉シールする、
請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項10】
前記ストッパは、前記ストッパと前記本体部分との間に環状の凹部が形成されるように、その外周縁に規定された環状溝を有し、
前記いたずら防止部分は、少なくとも部分的に前記環状凹部の中に形成される、請求項4に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項11】
前記ストッパは、実質的に不可融性である部分の上に重ねられた熱再密封可能部分を含む、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項12】
前記ストッパは、これを貫通する針穴を形成するために針が貫通可能である針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであり、所定の波長およびパワーのレーザ放射をこれに投射することによって当該針穴を密閉シールするために熱再密封可能であり、
前記ストッパは、
(i)その軸方向において所定の壁厚と、
(ii)所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、当該放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度と、
(iii)所定の波長およびパワーの前記レーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に前記針貫通領域を燃焼する(burn)ことなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールするようにさせる所定の色および不透明度と、
を規定する熱可塑性本体部分を備える、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項13】
前記ストッパの針貫通領域は、本質的に、スチレンブロック共重合体およびオレフィンからなる熱可塑性体によって形成される、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項14】
オレフィンに対するスチレンブロック共重合体の比率は、重量にして約50:50〜約90:5の範囲内である、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項15】
前記所定の波長は約980nmである、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項16】
前記所定のパワーは約30ワット未満である、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項17】
前記所定のパワーは約10ワットまたはそれ未満である、請求項16に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項18】
前記所定の色はグレーである、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項19】
前記所定の時間は約1.5秒未満である、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項20】
前記所定の波長は約980nmであり、前記所定のパワーは約8〜10ワットの範囲内であり、前記所定の色はグレーであり、前記所定の不透明度は、重量にして約0.3%〜約0.6%の範囲内のダークグレイ着色料添加物によって規定される、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項21】
前記水薬瓶の中央部分と係合可能な水薬瓶装着面と、前記装着面の一方の側に位置する上面と、前記装着面の別の側に位置する下面と、を含む水薬瓶支持体との組合せにおいて、
前記水薬瓶の上方部分は、前記水薬瓶支持体の上面と係合可能であって、前記水薬瓶がこれに対して軸方向に移動することを実質的に防止し、
前記水薬瓶のベースは前記水薬瓶支持体の下面と係合可能であって、前記水薬瓶がこれに対して軸方向に移動することを実質的に防止する、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項22】
相互に間隔をあけて設けられ前記水薬瓶支持体に対して移動可能である複数の針を含み、モジュール内の支持体に装着された複数の水薬瓶を貫通し、前記水薬瓶を前記針を通して充填し、前記針を前記充填された水薬瓶から引き抜くための針多岐管を更に備える、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記モジュールは、複数のレーザ光学アセンブリを更に備え、
前記レーザ光学アセンブリの各々は各自の針に隣接して装着され、レーザ放射源と接続可能であり、実質的に各自の針のストッパ上の貫通スポットの上に焦点合わせしてレーザ放射をこれに投射し、これを再密封する、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記モジュールは、複数の光学センサを更に備え、
各センサは各自のレーザ光学装置に隣接して装着され、実質的に各自のレーザ光学装置アセンブリのストッパのレーザ再密封領域の上に焦点合わせして、その温度を示す信号を生成する、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
電子ビームポートと、
前記ストッパを貫通する針の少なくとも一部、および前記針によって貫通される前記ストッパの少なくとも表面が挿入されるチャンバと、
前記電子ビームポートに結合された電子ビームユニットと、
を更に備え、
前記電子ビームユニットは、電子ビームを前記チャンバ、および前記チャンバに収容された前記針および前記ストッパの表面に送ってこれを殺菌する、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記ストッパを貫通し、前記水薬瓶アセンブリの前記チャンバを針を通して充填し、前記水薬瓶アセンブリから前記針を引き抜く前記水薬瓶アセンブリに対して移動可能な少なくとも1つの充填針との組合せにおいて、
前記針および前記水薬瓶の軸の少なくとも1つを他方に対して鋭角に配向する、
請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項27】
前記本体部分に固定され、少なくとも部分的に前記ストッパの上に延びて前記ストッパが気づかれずに除去されてしまうことを防止し、前記ストッパの中央部分を露出してこれに針を貫通させて前記本体部分のチャンバから物質を除去する、実質的に環状のいたずら防止部分と、
前記ストッパの露出された中央部分の上に重ねられた着脱可能部分と、前記着脱可能部分に対して横方向に外向きに間隔をあけて設けられた着脱不能部分とを含み、前記環状部分の上に重ねられたいたずら防止カバーと、
を更に備え、
前記着脱可能部分は、前記ストッパの一部を露出させ、これに針を貫通させ、これを通して前記本体部分の前記チャンバから物質を除去するために、前記いたずら防止カバーから着脱可能であり、
前記ストッパは、前記ストッパの露出可能な部分に対して外向きに横方向に間隔をあけて設けられ、ユーザから実質的に視覚的に隠すために前記いたずら防止カバーの着脱不能部分の下に設けられた、熱によって再密封される部分を規定する、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項28】
物質を保存する水薬瓶アセンブリであって、
開口部と、前記開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、前記中央部分の、前記ベースに対する反対側において前記ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、前記ベースおよび前記上方部分の各々は前記中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、
前記開口部に挿入されて前記開口部を密封し、前記物質を前記チャンバに導入すること、および前記物質を前記チャンバから抜き出すことの少なくとも一方を行うために針によって貫通可能な第1の手段と、
を備える水薬瓶アセンブリ。
【請求項29】
前記第1の手段に固定され、前記本体部分と前記第1の手段との間に延びて、前記第1の手段が気づかれずに除去されてしまうことを防止する第2の手段を更に備える、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項30】
前記第1の手段はストッパによって規定される、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項31】
前記ストッパは熱再密封可能である、請求項30に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項32】
前記第2の手段は、前記本体部分およびストッパの少なくとも1つに熱によって融着された、請求項29に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項33】
前記第2の手段は、いたずら防止リングである、請求項29に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項34】
前記第2の手段は、前記第1の手段および前記水薬瓶本体の少なくとも一方にオーバーモールドされた、請求項32に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項35】
前記第2の手段は前記第1の手段と一体的に形成され、
前記一体的に形成された第1および第2の手段は、前記本体部分にオーバモールドされる、請求項32に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項36】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分の各々は、断面において略円形であり、
前記ベースおよび前記上方部分の各々の最大直径は、前記中央部分の最大直径より大きい、請求項28記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項37】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分は、略中空こま形状を規定する、請求項36に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項38】
前記第1の手段は、これを貫通する針穴を形成するために針が貫通可能である針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであり、所定の波長およびパワーのレーザ放射をこれに投射することによって当該針穴を密閉シールするために熱再密封可能であり、
前記ストッパは、
(i)その軸方向において所定の壁厚を規定する熱可塑性の本体部分と、
(ii)所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、当該放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する第3の手段と、
(iii)所定の波長およびパワーの前記レーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に前記針貫通領域を燃焼する(burn)ことなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールさせるようにする第4の手段と、
を備える、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項39】
前記第3の手段は、前記所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、当該放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度によって規定される、請求項38に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項40】
前記第4の手段は、所定の波長およびパワーの前記レーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に前記針貫通領域を燃焼することなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールさせるようにする所定の色および不透明度によって規定される、請求項38に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項41】
前記第1の手段は、実質的に不可融性である部分の上に重ねられた熱再密封可能部分を含むストッパによって規定される、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項42】
開口部と、前記開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、前記中央部分の、前記ベースに対する反対側において前記ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、前記ベースおよび前記上方部分の各々は前記中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、これに適用された熱エネルギーに応じて可融性である熱再密封可能ストッパと、を含む水薬瓶を提供し
前記水薬瓶に物質を充填する前に、前記ストッパおよび前記水薬瓶を組み立てて、前記ストッパと前記水薬瓶との間に実質的な気密シールを形成し、
前記組み合わせた空のストッパおよび水薬瓶を殺菌し、
前記水薬瓶の中央部分と係合する装着面と、前記装着面の一方の側に位置する上面と、前記装着面の別の側に位置する下面と、を含む水薬瓶支持体によって前記水薬瓶を支持し、
所定の物質の源と流体連通する針によって前記ストッパを貫通し、
前記針を通して前記所定の物質を前記水薬瓶の内部に導入し、
前記針を前記ストッパから引き抜き、
前記ストッパの貫通領域に十分な熱エネルギーを適用して前記貫通領域を融解し、前記貫通領域と前記水薬瓶の内部との間に実質的に気密シールを形成する、
ステップを備える、方法。
【請求項43】
前記水薬瓶支持体の上面および前記水薬瓶の上方部分の少なくとも一方を他方と係合させることによって、前記水薬瓶を針貫通する際に前記水薬瓶が軸方向に移動することを実質的に防止するステップを更に備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記空の水薬瓶およびストッパアセンブリを殺菌するステップは、ガンマ放射、電子ビーム放射、またはレーザ放射をこれに投射することの少なくとも1つを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ストッパを前記水薬瓶に組み付けるステップは、前記いたずら防止部分を前記ストッパと前記水薬瓶との間で溶解することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記ストッパを前記水薬瓶に組み付けるステップは、前記いたずら防止部分を前記ストッパおよび水薬瓶にオーバモールドすることを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記いたずら防止部分を前記ストッパと一体的に形成し、前記一体形成されたストッパおよびいたずら防止部分を前記水薬瓶にオーバーモールドするステップを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ストッパおよび水薬瓶をロボット組み立てし、
いたずら防止部分を前記ストッパと前記水薬瓶との間でオーバモールドするステップを更に備える、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記水薬瓶と前記ストッパとの組み付けは、前記水薬瓶/ストッパのアセンブリをオーバモールディング装置に取り付ける前に行う、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記水薬瓶および前記ストッパはオーバモールド装置において組み付け、
前記いたずら防止部分をオーバーモールドするステップを、前記水薬瓶/ストッパのアセンブリを更に移動することなく実行できるようにする、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記水薬瓶の軸および前記針の軸の少なくとも1つを他方に対して鋭角に配向して、前記水薬瓶の軸に対して鋭角に配向された、ストッパを通る針貫通軸を規定するステップを更に備える、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記物質を、前記針を通して前記鋭角で前記本体部分の側壁に沿って導入することで、前記物質の実質的な薄層の流れを前記水薬瓶に導入することを容易にするステップを更に有する、請求項42に記載の方法。
【請求項1】
物質を保存する水薬瓶アセンブリであって、
開口部と、前記開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、前記中央部分の、前記ベースに対する反対側において前記ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、前記ベースおよび前記上方部分の各々は、前記中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、
前記開口部に挿入され、前記物質を前記チャンバに導入すること、および前記物質を前記チャンバから抜き出すことの少なくとも一方を行うために針または同様の部材によって貫通可能なストッパと、
を備える水薬瓶アセンブリ。
【請求項2】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分の各々は断面において略円形であり、
前記ベースおよび前記上方部分の各々の最大直径は、前記中央部分の最大直径より大きい、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項3】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分は、実質的に糸巻き形状である、請求項2に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項4】
前記本体部分に固定されて、少なくとも部分的に前記ストッパの上に延びて、前記ストッパが気づかれずに除去されてしまうことを防止する実質的に環状のいたずら防止部分を更に備える、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項5】
前記いたずら防止部分は、熱によって前記本体部分に溶着される、請求項4に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項6】
前記いたずら防止部分は、前記ストッパおよび前記本体部分にオーバーモールドされた、請求項5に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項7】
前記いたずら防止部分は、前記ストッパと一体に形成され、
前記一体形成されたストッパおよび前記いたずら防止部分は、前記本体部分にオーバモールドされる、請求項5に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項8】
前記いたずら防止部分は、前記いたずら防止部分と前記本体部分および前記ストッパのうち少なくとも1つとの間に密閉シールを形成する熱溶解された領域を規定する、請求項4に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項9】
前記水薬瓶本体に固定されて、前記ストッパの上に完全に重ねられたいたずら防止部分を更に備え、
前記ストッパおよびいたずら防止部分は、物質を前記水薬瓶の内部チャンバ内に導入するために針によって貫通可能であり、
前記いたずら防止部分は、熱エネルギーを加えることで可融性となり、針を抜き取る際に当該針によって前記いたずら防止部分にできた任意の穴を密閉シールする、
請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項10】
前記ストッパは、前記ストッパと前記本体部分との間に環状の凹部が形成されるように、その外周縁に規定された環状溝を有し、
前記いたずら防止部分は、少なくとも部分的に前記環状凹部の中に形成される、請求項4に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項11】
前記ストッパは、実質的に不可融性である部分の上に重ねられた熱再密封可能部分を含む、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項12】
前記ストッパは、これを貫通する針穴を形成するために針が貫通可能である針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであり、所定の波長およびパワーのレーザ放射をこれに投射することによって当該針穴を密閉シールするために熱再密封可能であり、
前記ストッパは、
(i)その軸方向において所定の壁厚と、
(ii)所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、当該放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度と、
(iii)所定の波長およびパワーの前記レーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に前記針貫通領域を燃焼する(burn)ことなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールするようにさせる所定の色および不透明度と、
を規定する熱可塑性本体部分を備える、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項13】
前記ストッパの針貫通領域は、本質的に、スチレンブロック共重合体およびオレフィンからなる熱可塑性体によって形成される、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項14】
オレフィンに対するスチレンブロック共重合体の比率は、重量にして約50:50〜約90:5の範囲内である、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項15】
前記所定の波長は約980nmである、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項16】
前記所定のパワーは約30ワット未満である、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項17】
前記所定のパワーは約10ワットまたはそれ未満である、請求項16に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項18】
前記所定の色はグレーである、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項19】
前記所定の時間は約1.5秒未満である、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項20】
前記所定の波長は約980nmであり、前記所定のパワーは約8〜10ワットの範囲内であり、前記所定の色はグレーであり、前記所定の不透明度は、重量にして約0.3%〜約0.6%の範囲内のダークグレイ着色料添加物によって規定される、請求項12に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項21】
前記水薬瓶の中央部分と係合可能な水薬瓶装着面と、前記装着面の一方の側に位置する上面と、前記装着面の別の側に位置する下面と、を含む水薬瓶支持体との組合せにおいて、
前記水薬瓶の上方部分は、前記水薬瓶支持体の上面と係合可能であって、前記水薬瓶がこれに対して軸方向に移動することを実質的に防止し、
前記水薬瓶のベースは前記水薬瓶支持体の下面と係合可能であって、前記水薬瓶がこれに対して軸方向に移動することを実質的に防止する、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項22】
相互に間隔をあけて設けられ前記水薬瓶支持体に対して移動可能である複数の針を含み、モジュール内の支持体に装着された複数の水薬瓶を貫通し、前記水薬瓶を前記針を通して充填し、前記針を前記充填された水薬瓶から引き抜くための針多岐管を更に備える、請求項21に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記モジュールは、複数のレーザ光学アセンブリを更に備え、
前記レーザ光学アセンブリの各々は各自の針に隣接して装着され、レーザ放射源と接続可能であり、実質的に各自の針のストッパ上の貫通スポットの上に焦点合わせしてレーザ放射をこれに投射し、これを再密封する、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記モジュールは、複数の光学センサを更に備え、
各センサは各自のレーザ光学装置に隣接して装着され、実質的に各自のレーザ光学装置アセンブリのストッパのレーザ再密封領域の上に焦点合わせして、その温度を示す信号を生成する、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
電子ビームポートと、
前記ストッパを貫通する針の少なくとも一部、および前記針によって貫通される前記ストッパの少なくとも表面が挿入されるチャンバと、
前記電子ビームポートに結合された電子ビームユニットと、
を更に備え、
前記電子ビームユニットは、電子ビームを前記チャンバ、および前記チャンバに収容された前記針および前記ストッパの表面に送ってこれを殺菌する、請求項23に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記ストッパを貫通し、前記水薬瓶アセンブリの前記チャンバを針を通して充填し、前記水薬瓶アセンブリから前記針を引き抜く前記水薬瓶アセンブリに対して移動可能な少なくとも1つの充填針との組合せにおいて、
前記針および前記水薬瓶の軸の少なくとも1つを他方に対して鋭角に配向する、
請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項27】
前記本体部分に固定され、少なくとも部分的に前記ストッパの上に延びて前記ストッパが気づかれずに除去されてしまうことを防止し、前記ストッパの中央部分を露出してこれに針を貫通させて前記本体部分のチャンバから物質を除去する、実質的に環状のいたずら防止部分と、
前記ストッパの露出された中央部分の上に重ねられた着脱可能部分と、前記着脱可能部分に対して横方向に外向きに間隔をあけて設けられた着脱不能部分とを含み、前記環状部分の上に重ねられたいたずら防止カバーと、
を更に備え、
前記着脱可能部分は、前記ストッパの一部を露出させ、これに針を貫通させ、これを通して前記本体部分の前記チャンバから物質を除去するために、前記いたずら防止カバーから着脱可能であり、
前記ストッパは、前記ストッパの露出可能な部分に対して外向きに横方向に間隔をあけて設けられ、ユーザから実質的に視覚的に隠すために前記いたずら防止カバーの着脱不能部分の下に設けられた、熱によって再密封される部分を規定する、請求項1に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項28】
物質を保存する水薬瓶アセンブリであって、
開口部と、前記開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、前記中央部分の、前記ベースに対する反対側において前記ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、前記ベースおよび前記上方部分の各々は前記中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、
前記開口部に挿入されて前記開口部を密封し、前記物質を前記チャンバに導入すること、および前記物質を前記チャンバから抜き出すことの少なくとも一方を行うために針によって貫通可能な第1の手段と、
を備える水薬瓶アセンブリ。
【請求項29】
前記第1の手段に固定され、前記本体部分と前記第1の手段との間に延びて、前記第1の手段が気づかれずに除去されてしまうことを防止する第2の手段を更に備える、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項30】
前記第1の手段はストッパによって規定される、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項31】
前記ストッパは熱再密封可能である、請求項30に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項32】
前記第2の手段は、前記本体部分およびストッパの少なくとも1つに熱によって融着された、請求項29に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項33】
前記第2の手段は、いたずら防止リングである、請求項29に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項34】
前記第2の手段は、前記第1の手段および前記水薬瓶本体の少なくとも一方にオーバーモールドされた、請求項32に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項35】
前記第2の手段は前記第1の手段と一体的に形成され、
前記一体的に形成された第1および第2の手段は、前記本体部分にオーバモールドされる、請求項32に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項36】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分の各々は、断面において略円形であり、
前記ベースおよび前記上方部分の各々の最大直径は、前記中央部分の最大直径より大きい、請求項28記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項37】
前記ベース、前記中央部分、および前記上方部分は、略中空こま形状を規定する、請求項36に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項38】
前記第1の手段は、これを貫通する針穴を形成するために針が貫通可能である針貫通領域を規定する熱可塑性ストッパであり、所定の波長およびパワーのレーザ放射をこれに投射することによって当該針穴を密閉シールするために熱再密封可能であり、
前記ストッパは、
(i)その軸方向において所定の壁厚を規定する熱可塑性の本体部分と、
(ii)所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、当該放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する第3の手段と、
(iii)所定の波長およびパワーの前記レーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に前記針貫通領域を燃焼する(burn)ことなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールさせるようにする第4の手段と、
を備える、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項39】
前記第3の手段は、前記所定の波長におけるレーザ放射を実質的に吸収し、当該放射がその所定の壁厚を通過することを実質的に防止する所定の色および不透明度によって規定される、請求項38に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項40】
前記第4の手段は、所定の波長およびパワーの前記レーザ放射に対して、約2秒より少ない所定の時間、実質的に前記針貫通領域を燃焼することなく、その針貫通領域に形成された針穴を密閉シールさせるようにする所定の色および不透明度によって規定される、請求項38に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項41】
前記第1の手段は、実質的に不可融性である部分の上に重ねられた熱再密封可能部分を含むストッパによって規定される、請求項28に記載の水薬瓶アセンブリ。
【請求項42】
開口部と、前記開口部と流体連通してそれ自身の中に所定の物質を収容するチャンバと、ベースと、中央部分と、前記中央部分の、前記ベースに対する反対側において前記ベースから軸方向に間隔をあけて設けられた上方部分とを規定する本体部分であって、前記ベースおよび前記上方部分の各々は前記中央部分の横方向に伸びる最大寸法より大きな横方向に伸びる寸法を規定する本体部分と、これに適用された熱エネルギーに応じて可融性である熱再密封可能ストッパと、を含む水薬瓶を提供し
前記水薬瓶に物質を充填する前に、前記ストッパおよび前記水薬瓶を組み立てて、前記ストッパと前記水薬瓶との間に実質的な気密シールを形成し、
前記組み合わせた空のストッパおよび水薬瓶を殺菌し、
前記水薬瓶の中央部分と係合する装着面と、前記装着面の一方の側に位置する上面と、前記装着面の別の側に位置する下面と、を含む水薬瓶支持体によって前記水薬瓶を支持し、
所定の物質の源と流体連通する針によって前記ストッパを貫通し、
前記針を通して前記所定の物質を前記水薬瓶の内部に導入し、
前記針を前記ストッパから引き抜き、
前記ストッパの貫通領域に十分な熱エネルギーを適用して前記貫通領域を融解し、前記貫通領域と前記水薬瓶の内部との間に実質的に気密シールを形成する、
ステップを備える、方法。
【請求項43】
前記水薬瓶支持体の上面および前記水薬瓶の上方部分の少なくとも一方を他方と係合させることによって、前記水薬瓶を針貫通する際に前記水薬瓶が軸方向に移動することを実質的に防止するステップを更に備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記空の水薬瓶およびストッパアセンブリを殺菌するステップは、ガンマ放射、電子ビーム放射、またはレーザ放射をこれに投射することの少なくとも1つを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ストッパを前記水薬瓶に組み付けるステップは、前記いたずら防止部分を前記ストッパと前記水薬瓶との間で溶解することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記ストッパを前記水薬瓶に組み付けるステップは、前記いたずら防止部分を前記ストッパおよび水薬瓶にオーバモールドすることを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記いたずら防止部分を前記ストッパと一体的に形成し、前記一体形成されたストッパおよびいたずら防止部分を前記水薬瓶にオーバーモールドするステップを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ストッパおよび水薬瓶をロボット組み立てし、
いたずら防止部分を前記ストッパと前記水薬瓶との間でオーバモールドするステップを更に備える、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記水薬瓶と前記ストッパとの組み付けは、前記水薬瓶/ストッパのアセンブリをオーバモールディング装置に取り付ける前に行う、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記水薬瓶および前記ストッパはオーバモールド装置において組み付け、
前記いたずら防止部分をオーバーモールドするステップを、前記水薬瓶/ストッパのアセンブリを更に移動することなく実行できるようにする、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記水薬瓶の軸および前記針の軸の少なくとも1つを他方に対して鋭角に配向して、前記水薬瓶の軸に対して鋭角に配向された、ストッパを通る針貫通軸を規定するステップを更に備える、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記物質を、前記針を通して前記鋭角で前記本体部分の側壁に沿って導入することで、前記物質の実質的な薄層の流れを前記水薬瓶に導入することを容易にするステップを更に有する、請求項42に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図40C】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図40C】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【公開番号】特開2010−5461(P2010−5461A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237555(P2009−237555)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【分割の表示】特願2009−211828(P2009−211828)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(503129855)メディカル・インスティル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【分割の表示】特願2009−211828(P2009−211828)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(503129855)メディカル・インスティル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】
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