説明

密封容器から液体を吸引するための装置

穿孔可能なストッパを有する容器、例えば、試験管から液体を吸引するための装置は、共通のリニアアクチュエータまたは駆動部材を共有する一対のステッパモータを含む。一方のモータは、リニア駆動部材(好ましくは、リードスクリュー)を軸に沿って、特定の位置に進めるように動作し、この位置で、リジッドに接続された管検出器/ストリッパ部材を、管上のストッパのトップと係合させる役割を果たす。その後、第二のモータは、同じ駆動部材の表面に沿って移動し、吸引プローブを、係合するストッパを介して、管の内部の液体吸引位置に進めるように動作する。好ましくは、スライド可能なようにフレーム上に装着されたリニアガイドレールが、吸引プローブの移動とリニア駆動部材の移動との双方をガイドする役割を果たす。このフレームは、液体吸引装置をサポートする。コンポーネントが共有される結果、装置は、非常に正確で、非常に信頼性が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、処理用容器から生物学的標本のような液体を吸引するための装置の改善に関する。本発明は、特に、分析のために、密封された試験管などから、血液サンプルを抽出するための自動血液学器具において、特に有用である。
【背景技術】
【0002】
(従来技術)
生物学的な液体における試験を行うにあたって、密封容器、例えば、試験管などから液体標本を抽出するために、一般的に、自動器具が使用される。このような器具は、典型的に、可動なように装着されたサンプル吸引プローブを含み、このプローブは、静止している標本容器の頂部にあるゴムストッパを穿孔して、その容器内の液体にアクセスして、吸引するのに適合される。これらの器具は、プローブがプローブ先端を液体に晒す方向に移動する前に、所望の標本吸引位置で、標本容器の存在を感知するためのメカニズムを含むことが多く、プローブが容器から引き抜かれる際に、プローブとストッパとの間の摩擦力によって、ストッパ(および密封されている容器)がプローブの移動に追従するのを防止するために、ほとんどの器具は、吸引プローブからゴムストッパを取り除くためのデバイスを含む。
【0003】
上述のタイプの自動器具は、Elyらに付与された米国特許(特許文献1)に、開示されている。開示された装置は、液体吸引プローブを垂直な軸に沿って移動させ、対象の液体を含むストッパ付きの試験管の中へと移動させ、その中から移動させるのに適合される。吸引プローブは、試験管の上で、リジッドな水平に伸びるアームによって、垂直な向きにサポートされる。このアームは、フレームの一部を形成する。このようなアームは、リードスクリューによって、上がり下がりし、モータによって、インクリメンタルに回転する。リードスクリューが、第一の方向に回転すると、プローブサポートアームは、吸引プローブの先端が、ゴムストッパを穿孔する位置に下がる。このゴムストッパは、管内の吸引されるべき液体を密封する。リードスクリューが、同じ方向にさらに回転すると、管内の液面下の吸引位置の中へとプローブ先端を位置づけるように機能する。液体吸引に続いて、ステッパモータは、リードスクリューを逆方向に回転させて動作し、これによって、プローブ先端が管のトップをクリアする位置に、プローブサポートアームを上げる。管からプローブを引き抜く間に、ゴムストッパを吸引プローブから取り除くために、プローブの上向きへの移動中に、下向きの力が、ストッパに付与される。このような力は、水平に(すなわち、プローブサポートの第一のアームと平行に)延びる比較的大きな第二のアームによって提供され、第一のアームから、第一のアームのボトムと試験管のトップとの中間の位置の中へと、下向きに掛かる。第二のアームのボトム表面は、「足」をサポートする。この足は、第一のアームの下向きへの移動の間に、吸引プローブの垂直な移動をガイドすることと、下にある試験管を検出して、ゴムストッパの中心が、プローブ先端の経路と整列するように、位置づけることとの双方の機能を果たす。
【0004】
吸引プローブの先端は、容器内の液体を密封するゴムストッパを穿孔するために使用される上述のタイプの液体吸引器具において、プローブの外部表面とゴムストッパとの間の摩擦は、容易に10〜12ポンドを超え得る。上述のタイプの器具において、ストリッピング力を管ストッパに付与するために使用される重み付きプレートを下向き移動をガイドする際に、働いている追加の摩擦力があり得ることを考慮すると、このようなプレートの要求する重量は、ストリッパメカニズムが信頼性よく動作することを確保するために、18〜20ポンドにもなり得る。したがって、このアプローチは、器具にかなりの重量を追加するという観点からだけでも、不利であることが、理解される。
【0005】
McCandlessに付与された米国特許(特許文献2)には、密封容器内の液体にアクセスするための別の自動装置が開示されている。この装置は、上述のストリッピング問題に対処し、幾つかの異なる解決策を提供する。第一に、容器上のゴムシールと貫通吸引プローブとの間の摩擦力を減らすために、独立したキャップ穿孔部材が、提供される。この穿孔部材は、吸引プローブが、ストッパを通って、管に入る前に、穿孔部材が、容器(試験管)のキャップ(ストッパ)内のスリットをカットする。当然、スリットは、両者の間の摩擦力を減らすことによって、スリットは、ストッパを通るプローブの移動を容易にする。さらに、キャップ穿孔部材が、キャップを通ってスライスする前に、キャップ穿孔部材を潤滑にするための手段が提供され、ストッパ上の潤滑剤の残渣が、吸引に続いて、吸引プローブから分離するのに要求されるストリッピング力をさらに減らす。最後に、吸引中にストッパの上を押す「足」は、液体吸引およびプローブ取り外しの手順の間に動作する電磁ラッチによって、機械的に定位置にロックされる。したがって、上記の文献によって、教示されるように、重量を加える足の使用は、これらの比較的極端な特徴の組み合わせによって、未然に防げる。McCandlessらの吸引装置は、確かに、ストリッピング機能を容易にするが、それは、比較的複雑なメカニズムを代償にする。さらに、この装置は、キャップ穿孔が実施され、吸引プローブを容器の軸と整列させた後に、液体吸引装置全体を再度位置づけることを要求する点と、この装置は、2つの可動シャフトの間、すなわち、吸引プローブとキャップ穿孔部材との間で、実質的に完全に平行に整列させることをさらに要求する点とで、この装置は、問題があるものと、みなされ得る。2つのシャフトの間の整列のずれによって生じる任意の結合摩擦は、この装置の動作異常発生の原因となり得るので、後者は、特に問題である。
【特許文献1】米国特許第5,517,867号明細書
【特許文献2】米国特許第5,935,523号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の概要)
以上の議論の観点から、本発明の目的は、試験管などのような密封容器から液体を吸引するための改善装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上に議論された従来の器具と比べ、本発明の液体吸引装置は、構造において、実質的に、よりシンプルであるという観点から、改善される。すなわち、本装置は、より少ないコンポーネントを要求し、液体容器の位置を固定させるために、比較的重い重量を要求せず、比較的軽量であるが、それでも、吸引プローブは、吸引されるべき液体へのアクセスを得るために穿孔されたストッパから取り除かれる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態に従うと、密封管に含まれる特定の体積の液体を吸引する装置であって、該密封管は、該管の一つの端部に装着された穿孔可能なストッパを備え、該装置は、以下のエレメント:(a)サポートフレーム、(b)該フレームによってサポートされた第一の駆動モータであって、該第一の駆動モータは、該第一のモータに第一の電流が印加されたことに応答して、管上の該穿孔可能なストッパに向かって、あるいは該ストッパから遠ざかって、所定の経路に沿って、リニア駆動部材、好ましくは、リードスクリューまたはリニアラックを選択的に、増分的に進めるように適合され、このような経路は、該管の中央の長手方向の軸に実質的に平行である、第一の駆動モータと、(c)該リニア駆動部材の一つの端部に装着された管検出器/ストリッパ部材であって、該リニア駆動部材が、該穿孔可能なストッパに向かって、該所定の経路に沿って進められるときに、そのような管検出器/ストリッパ部材は、該穿孔可能なストッパのトップに係合するように適合されており、これによって、該管検出器/ストリッパ部材は、該穿孔可能なストッパと接触すると、管が液体を自身から吸引させる位置にあることを検出する、管検出器/ストリッパ部材と、(d)該リニア駆動部材によってサポートされた第二の駆動モータであって、該第二の駆動モータは、該第二の駆動モータに第二の電流が印加されたことに応答して、該穿孔可能なストッパに向かって、あるいは該ストッパから遠ざかって、該リニア駆動部材の軸に沿って、選択的に、増分的に移動するように適合されている、第二の駆動モータと、(e)該第二の駆動モータと、リジッドに接続された吸引プローブであって、そのような吸引プローブは、該管の中央の長手方向の軸と整列されており、該プローブは、該第二の駆動モータが、該リニア駆動部材の軸に沿って、該穿孔可能なストッパに向かって移動するときに、該穿孔可能なストッパを穿孔し、それによって、該管の内部に入るように適合された鋭い遠位端を有している、吸引プローブとの組み合わせを備える。液体吸引後に、吸引プローブをストッパから取り除くために、保持電流が、第一の駆動モータに印加され、これによって、管内部から吸引プローブを取り出す間、管検出器/ストリッパ部材が、下にある管ストッパの上部上で、保持力を行使する位置に、リニア駆動部材を保つ。好ましくは、リニアガイドレールが、リニア駆動部材を、その所定の経路に沿ってガイドするために提供され、そのようなリニアガイドレールは、フレームによって、スライド可能なようにサポートされ、第二の駆動モータにリジッドに接続される。これによって、リニア駆動部材が、第一の駆動モータによって、その所定の経路に沿って駆動されると、リニアガイドレールは、リニア駆動部材とともに移動する。また、管検出器/ストリッパ部材は、プローブ洗浄チャンバを規定する筐体を備え、そのチャンバ内で、各液体吸引後に、プローブ先端が洗浄され得ることが、好ましい。
【0009】
本発明によって、従来の液体吸引器具における独立した機能をしばしば果たすコンポーネントは、種々のサブシステムによって、共有され、これによって、コンポーネントの数とコストを削減する。例えば、リニア駆動部材(最も好ましくは、リードスクリュー)は、第一の駆動モータによって作動され、管検出器/ストリッパ部材を管ストッパと接触するように位置づける。この同じ駆動部材は、密封管から液体を吸引する位置に、吸引プローブの先端を位置づけるために、またその管からプローブを引き抜くために、第二の駆動モータが、密封管に向かって、および密封間から遠ざかって、選択的に、インクリメンタルに進み得るメカニズムとしても、さらに機能する。同様に、リニア駆動部材をその所定の(好ましくは、垂直の)経路に沿ってガイドして、下にある管ストッパを検出して、位置づけるための機能を果たすリニアレールは、また、管ストッパの中心との係合に向けて、吸引プローブをガイドする機能も果たす。
【0010】
本発明およびその利点は、添付図面を参照しながら、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から、より良好に理解される。添付図面において、同様の記号は、同様のパーツを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここで、図面を参照すると、図1〜図4は、複数の密封容器Cのそれぞれに含まれる液体を選択的に吸引するための好ましい装置10を示す。複数の密封容器Cは、ラックRによって、真っ直ぐ上向きにサポートされる。図示されるように、各容器は、穿孔可能なストッパSを有する従来の試験管などの形状であり得る。このストッパSは、適切なゴム製または合成ゴム製で、試験管の通常開いている端を密封する機能を果たす。図示されるように、管は、かなりサイズが異なり得るが、管サポー通路は、管のそれぞれの長手軸を、等距離で共通の垂直平面に配列するように動作する。以下の記載から、本発明の液体吸引装置は、ラックが収納し得る様々な管サイズの任意のものから液体を吸引可能であることが、理解される。さらに、液体吸引装置の使用の間に、管ラックは、静止したまま留まり、その一方で、液体吸引装置は、液体を各管から抽出するために、一度に一回各管に対して移動することも理解される。装置10を使用する前に、液体分析機器システム(図示せず)と連携するラック搬送システムが、個々の管のラックを搬送し、液体吸引のために、X/Y平面内の同じ位置に、容器の各ラックを正確に位置付ける役割を果たす。(図1に示されるX/Y/Z座標系を参照のこと)したがって、本発明の液体吸引装置は、液体吸引プローブPがX/Z面内で移動するためのサポートのみを必要とする。このX/Z平面は、容器ラックの中央垂直平面である。
【0012】
装置10は、サポートフレーム12を含み、サポートフレーム12は、一対の間隔を空けた平行なエンドブラケット14および15を備え、エンドブラケット14および15は、一対の間隔を空けて平行なロッド16および17で相互接続されている。好ましくは、ロッドのそれぞれは、円形の断面を有し、各ロッドが一緒になって、固定サポートを提供し、この固定サポートの上に、吸引プローブおよび(以下に記載される)そのサポートアセンブリ20が、図1の矢印Aによって示されるように、X軸に沿って、水平にスライドし得る。このような移動によって、吸引プローブが、管のそれぞれに含まれる液体に、順次アクセスするために、吸引プローブが、各管の中央の長手方向の軸A’と垂直に整列するように導かれることが可能になる。プローブサポートアセンブリ20は、(図8に最適に示される)トラック22上のX軸に沿った移動のために、装着され、トラック22は、一対のスリーブベアリング23および24を介して、円筒ロッド16および17上にスライド可能なように装着される。一対のスリーブベアリング23および24は、通路筐体によって支持される。X軸に沿った通路の位置は、エンドブラケット15上に装着された駆動モータM1によって制御される。好ましくは、モータM1は、従来のステッパモータを備え、このステッパモータは、エンドレス駆動ベルト26を、一対の間隔を空けたプーリー28(1つのみが図示されている)の周りを進む。この一対のプーリー28は、エンドブラケット14および15によって、回転するようにサポートされている。駆動ベルトは、X軸に平行に伸び、トラック22は、クランプ29によって、ベルトの1つのリーチ(reach)に、リジッドに接続される。したがって、ベルトが、そのサポートプーリーの周りを、いずれかの方向に進む際、トラック22は、それに従い、X軸に沿って、側面から側面へと、横方向に移動する。
【0013】
プローブサポートアセンブリ20は、吸引プローブPを、その下にある管ストッパSの上面に向かって、およびその上面から遠ざかって、Z軸(垂直方向)に選択的に進めるように動作する。図2および図3に最適に示されるように、アセンブリ20は、(i)一対の駆動モータM2およびM3、(ii)垂直に向いたリニア駆動部材30であって、好ましくは、(図示されるような)精密リードスクリューまたはリニアラックの形状を採用するリニア駆動部材30、(iii)スライド可能なように装着され、垂直に向いたガイドレール32、および(iv)管検出器/ストリッパアセンブリ34を備える。図8に最適に示されるように、リードスクリュー30およびガイドレール32は、ブラケット40によって、および筐体42によって、それらのそれぞれの端部で、互いにリジッドに接続される。筐体42は、管検出器/ストリッパアセンブリ34を備える。したがって、リードスクリューは、自由に回転しないことが、理解される。
【0014】
駆動モータM2およびM3のそれぞれは、好ましくは、従来のステッパモータを備え、このステッパモータは、適切にプログラミングされたマイクロプロセッサからの制御信号を受信する。このマイクロプロセッサは、吸引装置の動作を指示する。本明細書で「ストリッパモータ」と称される駆動モータM2は、トラック22の筐体の一体化部分であり、したがって、ストリッパモータは、レール16および17に沿った移動、すなわちX軸に沿った移動のために、フレーム12上に、スライド可能なようにサポートされる。図2に最適に示されるように、モータM2の重量は、主として、レール17によってサポートされる。駆動部材30が、従来のリードスクリューを備えるとき、モータM2は、回転可能なように装着されたナットを含む。このナットは、内側にスレッドを有し、リードスクリューの螺旋状に巻かれたスレッドに、駆動しながら係合する。電流を与えることに応答して、モータM2は、そのようなナットを増分的に回転させて動作し、これによって、モータ筐体に対して、リードスクリューをZ軸に沿った軸方向に進める。
【0015】
上述のように、リードスクリューの下端30Bは、管検出器/ストリッパアセンブリ34に取り付けられる。したがって、リードスクリューは、(図1および図2に示される)その「ホーム」位置から、(図3および図4に示される)下に伸びる位置に、軸に沿って下向きに移動すると、アセンブリ34は、そのアセンブリが下にあるストッパ付き管から間隔を空けている位置から、その逆カップ形状の管位置づけ部材36が管ストッパSの上面を押しながら接触する場所にある位置に、移動する。リードスクリューの垂直な移動は、上述のリニアガイドレール32によってガイドされる。このガイドレール32は、通路38内を正確に垂直移動するために、スライド可能なように装着される。この通路38は、トラック22によって支持される(図8参照)。ガイドレール32は、通路38内に、スライド可能なように装着される。レール38に接続された(図9に最適に示される)U字形のチャネル部材39は、センサフラグとして機能する。このフラグは、トラック22によって支持されるセンサ70と相互作用し、ガイドレール32の移動上限および移動下限を感知する。リードスクリューおよびガイドレールは、そのそれぞれの端で、相互接続されているので、ストリッパモータM2に電力を与えると、その結果、(図9に示される)リードスクリュー/ガイドレールアセンブリ全体が、通路38によってガイドされるので、正確にZ軸に沿って、垂直に移動する。
【0016】
駆動モータM2は、リードスクリュー30を図1に示されるホーム位置から下向きに駆動するように動作するので、管検出器/ストリッパアセンブリ34の管位置づけ器36は、最終的に、下にある液体容器C上のストッパに接触し、そのストッパの上を下に押す。管ラックRは、複数の管区画を備え、各区画は、一対の相対するバネ止め部材を含むこと、また、このバネ部材は、区画内の管の両側に作用し、管の軸を各区画の中央軸と、公称軸とに整列させることが、理解される。バネ定数にわずかな差や、製造公差などがあるために、各管の実際の軸は、公称軸から、わずかにオフセットされ得る。部材36は、凹面形状であるために、その部材が下向きに移動する際、下にある管ストッパの垂直位置をわずかに調整するように動作する。このような調整によって、ストッパの中心は、吸引プローブと整列するように導かれる。この吸引プローブは、部材36の中心に形成される開口部を通過する。管位置決め部材36が、管ストッパと係合した後、ストリッパモータM2の引き続く動作によって、部材36と、その一体化部分である(図6に示される)ストリッパ部材筐体75とは、そのサポート筐体42の中で、これも図6に示されるように、上向きに(例えば、数ミリメートル)、内部圧縮バネ44の回復力に対抗して、スライドされる。部材36が、上向きに移動すると、このような部材にリジッドに接続され、強磁性体材料からなるフラグ46は、筐体42の上に装着された磁気センサ51の対向する磁極ピース48と50との間を動く。こうして、モータM2に印加された駆動電流を停止するための制御信号を開始する。しかしながら、保持電流は、モータM2に印加され続け、リードスクリューの垂直な位置を維持し、後に続く吸引およびストッパストリッピングのステップの間を通して、管ストッパ上に圧力を維持する。
【0017】
制御信号が、上述の磁気センサ51によって生成された後、それによって、管が液体吸引のための定位置にあることを示し、作動電流が、本明細書で「穴あけプローブモータ」と称されるモータM3に印加される。上述のように、穴あけプローブモータM3は、ストリッパモータM2のモータと、実質的に同一であり得る。しかしながら、好ましくは、モータM3は、プローブ先端の垂直な位置を正確に制御するために、エンコーダをさらに含む。図3に最適に示されるように、穴あけプローブモータM3は、自身を通過するリードスクリュー30によって、全体的にサポートされる。しかしながら、モータM3は、スライダ部材58を介して、リニアガイドレール32に、機械的に接続される。スライダ部材58は、ガイドレールに沿ったスライド移動のために、装着される。したがって、作動電流がモータM3に印加されるのに応答して、モータM3は、リードスクリュー30の軸に沿った軸方向で、作動電流の極性によって決定される方向に移動する。モータM3が、リードスクリューに沿って、リニアガイドレール32によって決定される垂直な経路に沿って、下向きに移動すると、吸引プローブは、図3に示されるその「ホーム」位置から、図4に示されるその液体吸引に、下向きに移動する。この液体吸引で、吸引プローブの先端が、管ストッパを穿孔し、吸引されるべき液体Lの中に浸る。これらの図面に最適に示されるように、吸引プローブの上端を係合して、サポートするプローブホルダ52は、スライダ部材58上に、リジッドに装着される。したがって、スライダ部材が、モータM3に付与された力の下で、レール32に沿って垂直に移動すると、プローブは、それに従って移動する。
【0018】
図4に最適に示されるように、プローブのホーム位置は、第二の磁気センサ60によって検出される。第二の磁気センサ60は、間隔を空けた一対の異なる極性の磁極ピース61および62を備える。これらのピースは、ガイドレール32から延びるフランジ上に装着される。プローブホルダ52によって支持される強磁性体材料のフラグ64は、プローブが、そのホーム位置にあるとき、これらの磁極ピースの間に磁束の検出可能な変化を生成する。穴あけプローブモータM3のホーム位置は、トラック22(図8参照)上に装着された第三の磁気センサ70によって検出される。センサ70は、モータM3の筐体によって支持されたフラグ(図示せず)を検出する。明らかに、適切な光電子センサが、磁気センサ51、60、および70のいずれか、あるいは全部に対して、置換され得る。理解されるように、プローブによって吸引される液体が、測定ステーションまたは処理ステーションに移送されるのに必要な配管類は、明確さのために、描かれていない。プローブの遠位端は、プローブ洗浄ステーション内に、初期にシールドされる。プローブ洗浄ステーションは、以下に説明されるように、好ましくは、アセンブリ34の一部である。
【0019】
吸引プローブが、管ストッパを貫通し、関連する管から液体を吸引した後、穴あけプローブモータM3は、逆方向に動作されることにより、機械的にリンクするプローブを上げて、そのホーム位置にプローブを戻す。この間、そして液体吸引プロセスの間、ストリッパモータに印加された保持電流は、管位置づけ部材36と管ストッパとの間で、バネでバイアスされた係合を維持する。この係合は、プローブが引き抜かれる際のプローブの移動に、摩擦力によって、管ストッパが、追随することを防止する。そして、実際に、この係合は、ストッパをプローブから取り除く。
【0020】
図5、図6、図7A、および図7Bをここで参照すると、管検出器/ストリッパアセンブリ34が、上述の逆カップ形状の管位置づけ部材検出器36を備えるものとして、示される。管位置づけ部材検出器36は、ストリッパ部材筐体75の一体化部分であり、筐体75は、ストリッパアセンブリ筐体42内に、スライド可能なように装着される。カップ形状部材36は、部材36が管ストッパ上に降りると、プローブ軸上に正確に管をセンタリングするように設計され、このようにすることで、液体吸引用の管の存在を検出する。ストリッパ部材筐体は、中央チャネル76を有し、このチャネル76は、プローブが液体を吸引するために使用されていないとき、通常、プローブ先端を含むプローブの遠位部分を囲む。筐体75はまた、一体型凹面円形トレイ78をその頂部に備え、トレイ78は、吸引後のプローブ表面に染み付き得る吸引された液体の滴または膜(film)を収集する機能を果たす。トレイ78は、中央開口部79を有し、開口部79を介して、プローブは、チャネル76に入る。上述の圧縮バネ44は、筐体75の中央幹(stem)部分80を取り囲み、筐体75上の肩部75と筐体42の内壁42Aとの間でサポートされる。好ましくは、ストリッパ筐体は、さらに、プローブ洗浄ステーションを規定する。このプローブ洗浄ステーションは、入力ポート82と廃棄ポート84とを備え、入力ポート82を介して、洗浄液が外部の加圧ソースからプローブチャネル76に導入され得、廃棄ポート84を介して、洗浄プロセスの間に、洗浄液が収集される。
【0021】
本発明は、好ましい実施形態を参照して記載されてきたが、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることは、理解される。例えば、記載された装置は、開放容器または開放管から液体にアクセスするためにも使用され得る。このような場合、プローブがストッパ付き容器を取り除かさせる「ストリッピング」動作は、必要ではない。しかしながら、アセンブリ34の管検出器およびセンタリング機能は、依然として、提供される。なぜなら、カップ形状の部材は、その下向き移動の間に、管の開放端に係合するからである。このような変更は、添付の請求項の範囲内に収まることを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の装置の好ましい実施形態の斜視図であり、異なる動作位置におけるその様々なコンポーネントを示す。
【図2】図2は、本発明の装置の好ましい実施形態の斜視図であり、異なる動作位置におけるその様々なコンポーネントを示す。
【図3】図3は、本発明の装置の好ましい実施形態の斜視図であり、異なる動作位置におけるその様々なコンポーネントを示す。
【図4】図4は、本発明の装置の好ましい実施形態の斜視図であり、異なる動作位置におけるその様々なコンポーネントを示す。
【図5】図5は、図1〜図4に示される装置の管検出器/ストリッピング部材の拡大斜視図である。
【図6】図6は、プローブ洗浄コンポーネントの構造的な詳細を明確にする断面とともに、図5の装置の斜視図である。
【図7】図7Aおよび図7Bは、図5および図6の装置で使用されるタイプの好ましい管検出器/ストリッピング部材の斜視図である。
【図8】図8は、図1の装置のX通路アセンブリの斜視図である。
【図9】図9は、図1の装置のリードスクリュー/レールアセンブリの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封管に含まれる特定の体積の液体を吸引する装置であって、該密封管は、自身の一つの端部に装着された穿孔可能なストッパを有し、該装置は、
(a)フレームと、
(b)該フレームによってサポートされた第一の駆動モータであって、該第一の駆動モータは、該第一のモータに第一の電流が印加されたことに応答して、該管上の該穿孔可能なストッパに向かって、あるいは該ストッパから遠ざかって、所定の経路に沿った相対する方向のいずれかに、リニア駆動部材を増分的に進めるように適合され、該経路は、該管の中央の長手方向の軸に実質的に平行である、第一の駆動モータと、
(c)該リニア駆動部材の一つの端部に装着された管検出器/ストリッパ部材であって、該リニア駆動部材が、該穿孔可能なストッパに向かって、該所定の経路に沿って進められるときに、該管検出器/ストリッパ部材は、該穿孔可能なストッパの上部に係合するように適合されており、これによって、該管検出器/ストリッパ部材は、該穿孔可能なストッパと接触するときに、管が液体を自身から吸引させる位置にあることを検出する、管検出器/ストリッパ部材と、
(d)該リニア駆動部材によってサポートされた第二の駆動モータであって、該第二の駆動モータは、該第二の駆動モータに第二の電流が印加されたことに応答して、該穿孔可能なストッパに向かって、あるいは該ストッパから遠ざかって、該リニア駆動部材の軸に沿った相対する方向のいずれかに、増分的に進むように適合されている、第二の駆動モータと、
(e)該第二の駆動モータとリジッドに接続された吸引プローブであって、該吸引プローブは、該管検出器/ストリッパ部材が、穿孔可能なストッパと接触しているときに、該管の中央の長手方向の軸と整列させられており、該プローブは、該第二の駆動モータが、該リニア駆動部材の軸に沿って、該穿孔可能なストッパに向かって移動するときに、
該穿孔可能なストッパを穿孔し、それによって、該管の内部に入るように適合された鋭い先端を有している、吸引プローブと
を備える、装置。
【請求項2】
前記リニア駆動部材は、スレッド付き外部表面を有するリードスクリューを備え、前記第一の駆動モータおよび前記第二の駆動モータのそれぞれは、電気モータを備え、該電気モータは、該スレッド付き外側表面に、駆動的に係合することにより、該駆動モータと該リードスクリューとの間での相対的な動きを生成するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第二の駆動モータが、前記リニア駆動部材に沿って進められるときに、前記吸引プローブを前記管の中央の長手方向の軸に沿って、ガイドするために、リニアガイドレールが、備えられており、該リニアガイドレールは、前記フレームによって、スライド可能なようにサポートされ、前記第二駆動モータとリジッドに接続されており、これによって、該リニア駆動部材が、前記第一の駆動モータによって、前記所定の経路に沿って進められるときに、該リニアガイドレールは、該リニア駆動部材と実質的に平行な方向に移動する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記リニア駆動部材は、ギア歯のリニアラックを備え、前記第一の駆動モータおよび前記第二の駆動モータは、回転可能なように装着されたピニオンを有する電気モータを備え、該ピニオンは、該ラックに係合している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記管検出器/ストリッパ部材は、逆カップ形状の部材を備え、該逆カップ形状の部材によって、前記管は、前記吸引プローブの前記軸に沿って、中心が揃えられ得る、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記管検出器/ストリッパ部材は、プローブ洗浄チャンバを規定する筺体を備え、該チャンバ内で、前記プローブ先端は、各液体吸引後に洗浄され得る、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
密封管に含まれる特定の体積の液体を吸引する装置であって、該密封管は、自身の一つの端部に装着された穿孔可能なストッパを有し、該装置は、
(a)フレームと、
(b)該フレームによってサポートされた第一の駆動モータであって、該第一の駆動モータは、該第一のモータに第一の電流が印加されたことに応答して、該管上の該穿孔可能なストッパに全体的に向かって、あるいは該ストッパから全体的に遠ざかって、所定の経路に沿って、リニアリードスクリューを選択的に、増分的に進めるように適合されており、該所定の経路は、該管の中央の長手方向の軸に実質的に平行である、第一の駆動モータと、
(c)該フレーム上に、スライド可能なように装着され、該リニアリードスクリューに、動作可能なように結合されているリニアガイドレールであって、該リニアガイドレールは、該リニアリードスクリューの移動を該所定の経路に沿ってガイドし、該所定の経路に平行な経路に沿って移動させる、リニアガイドレールと、
(d)該リニアガイドレールに該リードスクリューを接続する筺体上に装着された管検出器/ストリッパ部材であって、該リニア駆動部材が、穿孔可能なストッパに向かって、該所定の経路に沿って進められるときに、該管検出器/ストリッパ部材は、管の一つの端部に装着された該穿孔可能なストッパの上部に係合するように適合され、これによって、該管検出器/ストリッパ部材は、管が、液体を自身から吸引させる位置にあることを検出する、管検出器/ストリッパ部材と、
(e)該リニアリードスクリューによってサポートされた第二の駆動モータであって、該第二の駆動モータは、該第二の駆動モータに第二の電流が印加されたことに応答して、該穿孔可能なストッパに向かって、あるいは該ストッパから遠ざかって、該リニアリードスクリューの表面に沿った相対する方向のいずれかに、選択的に、増分的に進むように適合されている、第二の駆動モータと、
(f)該第二の駆動モータとリジッドに接続された吸引プローブであって、該管検出器/ストリッパ部材が、穿孔可能なストッパと接触しているときに、該吸引プローブは、該管の該中央の長手方向の軸と整列させられており、該吸引プローブは、該第二の駆動モータが、該リニアリードスクリューの表面に沿って、該穿孔可能なストッパに向かって移動するときに、該穿孔可能なストッパを穿孔し、それによって、該管の内部の液体吸引位置に移動するように適合された、吸引プローブと
を備える、装置。
【請求項8】
前記吸引プローブが、前記液体吸引位置から、前記密封管の外側の位置に引き抜かれる間、該プローブのそのような引き抜き移動の最中に、保持電流を前記第一の駆動モータに印加することによって、前記管検出器/ストリッパ部材は、前記穿孔可能なストッパと係合された状態で、維持されており、これによって、該吸引プローブは、前記密封容器を実質的に移動させることなく、該穿孔可能なストッパから、取り除かれる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記管検出器/ストリッパ部材は、プローブ洗浄チャンバを規定する筺体を備え、該チャンバ内で、前記プローブは、各液体吸引後に、洗浄され得る、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
開放管に含まれる特定の体積の液体を吸引する装置であって、該装置は、
(a)フレームと、
(b)該フレームによってサポートされた第一の駆動モータであって、該第一の駆動モータは、該第一の駆動モータに第一の電流が印加されたことに応答して、該管に全体的に向かって、あるいは該管から全体的に遠ざかって、所定の経路に沿って、リニアリードスクリューを選択的に、増分的に進めるように、適合され、該所定の経路は、該管の中央の長手方向の軸に実質的に平行である、第一の駆動モータと、
(c)該フレーム上に、スライド可能なように装着され、該リニアリードスクリューに、動作可能なように結合されているリニアガイドレールであって、該リニアガイドレールは、該リニアリードスクリューの移動を該所定の経路に沿ってガイドし、該所定の経路に平行な経路に沿って移動させる、リニアガイドレールと、
(d)該リニアガイドレールに該リードスクリューを接続する筺体上に装着された管検出器部材であって、該リニア駆動部材が、管に向かって、該所定の経路に沿って進められるときに、該管検出器部材は、該管の上部に係合するように適合され、これによって、該管検出器部材は、管が、液体を自身から吸引させる位置にあることを検出する、管検出器部材と、
(e)該リニアリードスクリューによってサポートされた第二の駆動モータであって、該第二の駆動モータに第二の電流が印加されたことに応答して、該管に向かって、あるいは該管から遠ざかって、該リニアリードスクリューの表面に沿った相対する方向のいずれかに、選択的に、増分的に進むように適合されている、第二の駆動モータと、
(f)該第二の駆動モータとリジッドに接続された吸引プローブであって、該管検出器部材が、管と接触しているときに、該吸引プローブは、該管の該中央の長手方向の軸と整列させられており、該吸引プローブは、該第二の駆動モータが、該リニアリードスクリューの表面に沿って、該管に向かって移動するときに、該開放管の中に移動し、それによって、該管の内部の液体吸引位置に移動するように適合されている、吸引プローブと
を備える、装置。
【請求項11】
前記吸引プローブが、前記液体吸引位置から、前記開放管の外側の位置に引き抜かれる間、該プローブのそのような引き抜き移動の最中に、保持電流を前記第一の駆動モータに印加することによって、前記管検出器部材が、前記開放管と係合された状態で、維持される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記管検出器部材は、逆カップ形状の部材を備え、該逆カップ形状の部材によって、前記開放管は、前記吸引プローブの前記軸に沿って、中心に揃えられ得る、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記管検出器部材は、プローブ洗浄チャンバを規定する筺体を備え、該チャンバ内で、前記プローブは、各液体吸引後に、洗浄され得る、請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−537775(P2008−537775A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503025(P2008−503025)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/009106
【国際公開番号】WO2006/101833
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507316789)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】