説明

密封袋の製造装置

【課題】スープ等の流動体の密封袋に同じ機械で二通りの瓶口部を形成することができるようにする。
【解決手段】フィルム状包材9の重畳体9bを長さ方向に送りながら、縦ヒートシール部10,11で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段25と、先行横ヒートシール部26を設けて有底袋部を形成し、この有底袋部内に充填された流動体を分断するように後続横ヒートシール部を設けて密封袋7を形成する横ヒートシール手段と、有底袋部内に流動体を充填する充填手段28とを備える。横ヒートシール手段は、外周に着脱自在に固定されたヒートシールバー27aで重畳体を挟む少なくとも一対のローラ27を有し、各ヒートシールバーの二辺には、互いに異なる形状の瓶口部を形成する瓶口シール部1a,3aがヒートシールバーのシール面上で約180度位相がずれて設けられ、一方の瓶口シール部は重畳体に接触可能で、他方の瓶口シール部は接触不能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動体をヒートシール部で密封包装してなる瓶口部を有した密封袋の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スープ、ソースのような流動体の袋詰め包装は次のようにして行われている。
【0003】
まず、フィルム状包材が長さ方向に送られつつ同方向に平行な線上で折り返され、同方向に伸びる縦ヒートシール部がヒートシール車により形成されることにより、筒状の重畳体とされる。重畳体の進行方向には重畳体を挟む一対又は複数対のヒートシールローラが配置され、このヒートシールローラの回転により先行横ヒートシール部が設けられ、これにより重畳体に有底袋部が形成される。また、ヒートシールローラの上方では流動体の充填ノズルが重畳体内にその合わせ目から入り込み、この充填ノズルが流動体を有底袋部内に一定流量で常時吐出する。
【0004】
重畳体の進行に同期してヒートシールローラが回転すると、重畳体の上流側が後続横ヒートシール部の形成によって閉じられ、定量の流動体が封入された密封袋が形成される。以後、上記と同様な操作が繰り返され、流動体の入った密封袋が重畳体に一定ピッチで形成される。密封袋はその後、横ヒートシール部上で切断され重畳体から分離される(例えば、特許文献1,2,3,4参照。)。
【0005】
また、密封袋には、その袋壁を引き裂くことにより中味の流動体を注ぎ出しやすくすることができる瓶口部が形成される場合がある。瓶口部を密封袋に形成する場合は、上記ヒートシールローラに固定されるヒートシールバーに、この瓶口部を形成するための瓶口シール部が設けられる(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−185715号公報
【特許文献2】特開2001−114220号公報
【特許文献3】特開2003−170916号公報
【特許文献4】実用新案登録第3125431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
密封袋に形成するべき瓶口部の形状には様々なものがあり、これに応じてヒートシールバーも各種瓶口部の形状ごとに用意される。密封袋製造装置で密封袋を製造するに際しては、密封袋に形成するべき瓶口部の形状等に応じてヒートシールバーをヒートシールローラに付け替えなければならない。
【0008】
ところが、瓶口シール部を有するヒートシールバーは比較的高価であり、これを瓶口部の形状ごとに用意するのはコストアップを招くという問題がある。密封袋の生産性を高めるため、ヒートシールバーは一本のヒートシールローラに対して複数本取り付けられるのが一般的である。このため、瓶口シール部を有するヒートシールバーの用意するべき本数は増大し、更なるコストアップを招くことになる。
【0009】
また、ヒートシールバーの本数が増大すると、それらを保管するための大きなスペースも必要とするという問題がある。
【0010】
従って、本発明はこのような問題点を解消することができる密封袋の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0012】
すなわち、請求項1に係る発明は、フィルム状包材(9)の重畳体(9b)を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部(10,11)で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段(25)と、この重畳体(9b)に先行横ヒートシール部(26)を設けて有底袋部(9c)を形成し、この有底袋部(9c)内に充填された流動体(A)を分断するように後続横ヒートシール部(26)を設けて密封袋(7,2,4,5)を形成する横ヒートシール手段と、上記有底袋部(9c)内に流動体(A)を充填する充填手段(28)とを包含してなる密封袋の製造装置において、上記横ヒートシール手段は、外周に着脱自在に固定されたヒートシールバー(27a)で上記重畳体(9b)を挟む少なくとも一対のローラ(27)を有し、上記各ヒートシールバー(27a)の二辺には、密封袋(7,2,4,5)に互いに異なる形状の瓶口部(1,3)を形成する瓶口シール部(1a,3a)がヒートシールバー(27a)のシール面上で約180度位相がずれるように設けられ、上記各ヒートシールバー(27a)が180度回されて上記ローラ(27)に固定されると、一方の瓶口シール部(1a又は3a)が上記重畳体(9b)に接触可能となり、他方の瓶口シール部(3a又は1a)が上記重畳体(9b)に接触不能となるようにしたことを特徴とする密封袋の製造装置である。
【0013】
また、請求項2に記載されるように、請求項1に記載の密封袋の製造装置において、ヒートシールバー(27a)の二辺にそれぞれ形成される瓶口シール部(1a,3a)が、互いに重畳体(9b)の幅分よりも大きく引き離されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、フィルム状包材(9)の重畳体(9b)を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部(10,11)で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段(25)と、この重畳体(9b)に先行横ヒートシール部(26)を設けて有底袋部(9c)を形成し、この有底袋部(9c)内に充填された流動体(A)を分断するように後続横ヒートシール部(26)を設けて密封袋(7,2,4,5)を形成する横ヒートシール手段と、上記有底袋部(9c)内に流動体(A)を充填する充填手段(28)とを包含してなる密封袋の製造装置において、上記横ヒートシール手段は、外周に着脱自在に固定されたヒートシールバー(27a)で上記重畳体(9b)を挟む少なくとも一対のローラ(27)を有し、上記各ヒートシールバー(27a)の二辺には、密封袋(7,2,4,5)に互いに異なる形状の瓶口部(1,3)を形成する瓶口シール部(1a,3a)がヒートシールバー(27a)のシール面上で約180度位相がずれるように設けられ、上記各ヒートシールバー(27a)が180度回されて上記ローラ(27)に固定されると、一方の瓶口シール部(1a又は3a)が上記重畳体(9b)に接触可能となり、他方の瓶口シール部(3a又は1a)が上記重畳体(9b)に接触不能となるようにしたものであり、一本のヒートシールバー(27a)が二種類の瓶口シール部(1a,3a)を担持し、各ヒートシールバー(27a)をヒートシール面に平行に約180度回して瓶口シール部(1a,3a)のローラ(27)上での位置を変更することにより、所望の瓶口シール部(1a又は3a)により瓶口部(1又は3)を形成することができる。したがって、それだけ用意するべきヒートシールバーの本数が低減し、ヒートシールバーの保管スペースも低減可能になる。また、使用頻度の高い瓶口シール部を一つのヒートシールバーに形成しておくことにより、瓶口シール部の変更につきヒートシールバーの向きを変えることで対処することができ、従って速やかに密封袋の製造に着手することができ、密封袋の製造効率の向上に資することができる。
【0015】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の密封袋の製造装置において、ヒートシールバー(27a)の二辺にそれぞれ形成される瓶口シール部(1a,3a)が、互いに重畳体(9b)の幅分よりも大きく引き離されているものとすると、ヒートシールバー(27a)をその長さ方向にずらせることにより、所望の瓶口シール部(1a又は3a)を重畳体(9b)に対峙させ、不要な瓶口シール部(3a又は1a)を重畳体(9b)から外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
最初に、この密封袋の製造装置により製造される密封袋について図1(A)(B)(C)に基づき説明する。
【0018】
この密封袋7は、一辺に折り返し部が生じるようにフィルム状包材9(図2参照)を二つ折りすることにより形成される。フィルム状包材9が二つ折りで扁平に折り畳まれ、この折り畳まれた重畳体9bの開放縁を含む全周縁が縦横のヒートシール部10,11,12,13で閉じられることにより密封袋7とされる。密封袋7内には重畳体9bの一辺の開放縁が開放された状態にあるときに、そこから内容物であるスープ等の流動体Aが充填される。その後この開放縁がヒートシールされることにより密封袋7が完成する。
【0019】
また、この密封袋7の一辺のヒートシール部12には、瓶口部1が形成される。瓶口部1はヒートシール部12に形成される瓶口状の非ヒートシール部である。図1(A)中、一点鎖線で示す破断線aに沿って袋壁が引き裂かれることにより、中味の流動体Aを注出しやすくするための瓶口が密封袋7の角部に形成される。
【0020】
この密封袋の製造装置によれば、図5に示すような密封袋2を製造することもできる。この密封袋2では、瓶口部3が上記密封袋7のものと相違し円弧状に形成されている。この場合も図5(A)中、一点鎖線で示す破断線aに沿って袋壁が引き裂かれることにより、中味の流動体Aを注出しやすくするための瓶口が密封袋2の角部に形成される。
【0021】
なお、フィルム状包材9としては過酸化水素等の殺菌剤により殺菌されたものを用いることができる。このような殺菌されたフィルム状包材9を使用することにより、密封袋7の内部の無菌性を簡易に維持することができる。また、フィルム状包材9としては一枚物を折り返すのではなく、当初から分離した二条のものを重ね合わせるようにしてもよい。
【0022】
次に、上記密封袋を製造する装置について説明する。
【0023】
図2に示すように、密封袋製造装置は、フィルム状包材の殺菌部14と、製袋部15とを具備する。
【0024】
殺菌部14では、フィルム状包材9の巻取りロール9aから繰り出されるフィルム状包材9の走行路に沿って、その上流側から下流側へと、ヒータ17、殺菌剤吐出ノズル18、ミスト排気ダクト19、温風ノズル20、冷風ノズル21等が順に配置される。この実施の形態では、フィルム状包材9は下から上へと垂直に走行するようになっており、そのためヒータ17から冷風ノズル21に至る部分も垂直方向に配列される。巻取りロール9aとヒータ17との間には、フィルム状包材9の通過する開口を有した隔壁16が必要に応じて設けられる。また、ミスト排気ダクト19と温風ノズル20との間にも、フィルム状包材9の通過する開口を有した隔壁22が設けられる。各隔壁16,22の開口は図示しないシャッターによりそれぞれ開閉可能である。
【0025】
巻取りロール9aから繰り出されたフィルム状包材9は、各種ローラ23を経てヒータ17に至り予備加熱される。予備加熱の熱により後の殺菌剤によるフィルム状包材9の殺菌効果が高められる。予備加熱されたフィルム状包材9は、殺菌剤吐出ノズル18から殺菌剤としての過酸化水素水のミストを吹き付けられる。このミストは、過酸化水素の水溶液を噴霧し、沸点以上に加熱して気化させ、微細な粒子に凝縮させることにより生成される。殺菌剤は過酸化水素に限らず、殺菌作用を有する各種の薬液が使用可能である。ミストが吹き掛けられることにより、フィルム状包材9の表面が殺菌される。ミストの余剰分は、ミスト排気ダクト19から回収される。殺菌されたフィルム状包材9は、隔壁22を通過して温風ノズル20から温風を吹き付けられ、その熱により表面に付着した殺菌剤が気化され除去される。殺菌剤を除去されたフィルム状包材9は冷風ノズル21から冷風を吹き付けられ、これにより殺菌剤の除去が促進される。
【0026】
殺菌部14で殺菌されたフィルム状包材9は、各種ローラ24を経て次の製袋部15へと送られ、流動体Aの包装に供される。
【0027】
なお、フィルム状包材9の殺菌処理が不要である場合は、殺菌部14を省略し、巻取りロール9aから製袋部15へとフィルム状包材9を直に送ることも可能である。
【0028】
図3及び図4に示すように、製袋部15は、上記殺菌部14から送られて来るフィルム状包材9を長さ方向に送りながら同方向に平行な中心線上で折り返して重畳体9bとする折り返し機構と、この重畳体9bを同方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部10,11で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段としてのヒートシール車25と、この筒状になった重畳体9bに先行横ヒートシール部26を設けて有底袋部9cを形成し、この有底袋部9c内の流動体Aを分断するように後続横ヒートシール部26を設けて密封袋7を形成する横ヒートシール手段としてのヒートシールローラ27と、有底袋部9c内に流動体Aを充填する充填手段としての充填ノズル28とを含んでいる。
【0029】
製袋部15では、フィルム状包材9が上から下へと垂直に送られるようになっており、このフィルム状包材9の走行路に沿って上流側から下流側へと、折り返し機構、ヒートシール車25、充填ノズル28、ヒートシールローラ27等が順に配置される。
【0030】
折り返し機構は、殺菌部14から来るフィルム状包材9の走行方向を下方に変更するガイドローラ29と、ガイドローラ29を経て来るフィルム状包材9の中心線上に折り目を付けながら折り返すガイド棒30とを具備する。
【0031】
ヒートシール車25は二対用意され、重畳体9bの両側縁を表裏から挟むように対向配置される。各ヒートシール車25には、図示しない電気ヒータが組み込まれ、重畳体9bに接する箇所が加熱されるようになっている。
【0032】
ヒートシールローラ27は一対用意され、重畳体9bを表裏から挟むように対向配置される。この一対のヒートシールローラ27はそれぞれ回転軸27bに固定され、上記ヒートシール車25よりも下流側において重畳体9bを表裏から挟みつつ回転する。
【0033】
各ヒートシールローラ27の表面には、横ヒートシール部26を重畳体9bの長さ方向に繰り返し形成するべく、ヒートシールバー27aが回転軸27bと平行に固定される。ヒートシールバー27aは密封袋7の長さに応じて各ヒートシールローラ27の表面に回転軸27bと平行に一本又は複数本固定される。各ヒートシールローラ27には、図示しない電気ヒータが組み込まれ、各ヒートシールバー27aが加熱されるようになっている。また、ヒートシールバー27aは各ヒートシールローラ27の表面に固定ネジ等により着脱可能に固定され、密封袋7の幅等に応じて各種用意された長さの異なるものと適宜交換可能である。
【0034】
ヒートシールローラ27が駆動され、図4中矢印方向に回転することにより、重畳体9bには横ヒートシール部26が一密封袋7分のピッチごとに繰り返し形成される。ヒートシールローラ27は横ヒートシール部26を形成するときにだけ重畳体9bの走行速度と同期して回転し、重畳体9bを横切るように横ヒートシール部26を形成する。
【0035】
図3及び図7に示すように、上記ヒートシールローラ27に取り付けられる各ヒートシールバー27aの二辺には、密封袋7に互いに異なる形状の瓶口部1,3を形成する瓶口シール部1a,3aがヒートシールバー27aのシール面上で約180度位相がずれるように設けられる。一方の瓶口シール部1aは図1(A)に示した密封袋7の瓶口部1に対応し、他方の瓶口シール部3aは図5に示した密封袋2の瓶口部3に対応する。瓶口シール部1a,3aは、各瓶口部1,3に合致する部分が各ヒートシールバー27aから切除されることにより形成される。
【0036】
また、ヒートシールバー27aの二辺にそれぞれ形成される瓶口シール部1a,3aは、互いに重畳体9bの幅分よりも大きく引き離されている。これにより、図3に示すように、ヒートシールバー27aをその長さ方向にずらせることによって、所望の瓶口シール部1aを重畳体9bに対峙させ、不要な瓶口シール部3aを重畳体9bから外すことができる。
【0037】
この各ヒートシールバー27aがヒートシールバー27aのシール面に平行に180度回されて各ヒートシールローラ27に固定されると、図3に示すように、一方の瓶口シール部1aが重畳体9bに接触可能となり、他方の瓶口シール部3aが重畳体9bに接触不能となる。これにより、密封袋7には図1(A)に示すような瓶口部1が形成される。
【0038】
また、各ヒートシールバー27aがヒートシールバー27aのシール面に平行に更に180度回されるか、逆向きに180度回されたうえで、各ヒートシールローラ27に固定されると、図6に示すように、他方の瓶口シール部3aが重畳体9bに接触可能となり、一方の瓶口シール部1aが重畳体9bに接触不能となる。これにより、密封袋2に図5に示すような瓶口部3が形成される。
【0039】
なお、上記二種類の瓶口部1,3以外の形状で瓶口部を形成する場合は、上記二種類の瓶口部と異なる二種類の瓶口部を形成するための二種類の瓶口シール部が形成されたヒートシールバーを用意し、このヒートシールバーを前回の密封袋7,2の製造に使用したヒートシールバー27aと付け替えるものとする。
【0040】
図3、図4及び図6に示すように、充填ノズル28は、ヒートシールローラ27の上流側において形成される重畳体9bの有底袋部9cの底に向かって配置される。流動体Aを流す導管28aがヒートシール車25の上流側から重畳体9b内へと重畳体9bの合わせ目から入り込み、左右のヒートシール車25,25間を通ってヒートシールローラ27,27間へと伸び、その先端に充填ノズル28が設けられる。ヒートシールローラ27による先行横ヒートシール部26の形成によって生じる有底袋部9c内に向かって、充填ノズル28から流動体Aが一定流量で常時吐出される。この流動体Aの吐出量は、重畳体9bの走行速度に応じてポンプ(図示せず)の回転数が加減されることにより調整可能である。
【0041】
なお、ヒートシールローラ27の下流側に更に他の一対のヒートシールローラを設け、このヒートシールローラにより横ヒートシール部26を重複してヒートシールしてもよい。ただし、このヒートシールは瓶口部1,3をシールしないように行う必要がある。
【0042】
図2乃至図4に示すように、ヒートシールローラ27よりも下流側には、密封袋7の切り離し手段であるロータリカッター35が設置される。
【0043】
ロータリカッター35は回転刃35aとこの回転刃35aに対向する固定刃35bとを有する。回転刃35aは固定刃35bとの間で重畳体9bを挟み込む剪断作用により、重畳体9bから密封袋7を横ヒートシール部26の上で切り離すようになっている。ロータリカッター35の回転刃35aは重畳体9bから密封袋7を横ヒートシール部26の上で切り離す時点でのみ回転する。
【0044】
もちろん、回転刃35aは重畳体9bの走行と同期的に連続回転させて重畳体9bから密封袋7を横ヒートシール部26の上で切り離すようにしてもよい。また、このロータリカッター35に代えて例えばギロチン式の切断機を設けることも可能である。この切断機は重畳体9bが密封袋7のピッチごとに間欠送りされる場合に適する。
【0045】
図2に示すように、ロータリカッター35よりも下流側は隔壁37で閉じられ、この隔壁37には密封袋7の通り道に対応する開口と、この開口を開閉する図示しないシャッターとが設けられる。
【0046】
また、図2に示すように、フィルム状包材9が殺菌部14の隔壁22の位置から製袋部15のロータリカッター35に至り密封袋7とされるまでの経路、すなわち図2中砂目部分は、無菌室38で囲まれている。無菌室38内は、無菌エアが常時吹き込まれることにより陽圧に維持され、外部からの菌類の侵入が阻まれる。
【0047】
次に、上記密封袋製造装置を使用した密封袋の製造工程について説明する。
【0048】
(1)流動体Aの包装開始に先立ち、図2に示す無菌室38内の滅菌処理が行われる。この滅菌処理時には、各隔壁22,37の開口がシャッターにより閉じられ無菌室38内が密閉され、例えば過酸化水素のミストが無菌室38内に導入される。
【0049】
滅菌処理後、無菌室38内は無菌エアが常時供給されることにより陽圧に保持され、滅菌状態が維持される。また、シャッターが開かれ、そこから無菌エアが無菌室38外に吹き出る。
【0050】
殺菌部14から製袋部15へと伸びる図示しない無端ベルト或いは人手により、フィルム状包材9が巻取りロール9aから繰り出され、その先端が殺菌部14を通って製袋部15へと送られる。これにより、フィルム状包材9のセッティングが完了する。
【0051】
(2)流動体Aの包装が開始されると、巻取りロール9aから繰り出されるフィルム状包材9は各種ローラ23を経て隔壁16の開口を通過し、ヒータ17により予備加熱され、殺菌剤吐出ノズル18から例えば過酸化水素のミストを吹き掛けられる。殺菌剤吐出ノズル18から吐出される過酸化水素のミストの余剰分はミスト排気ダクト19により吸引除去される。過酸化水素のミストにより殺菌されたフィルム状包材9は、次の隔壁22の開口を通って無菌室38内に入り、温風ノズル20及び冷風ノズル21から温風と冷風を順次吹き付けられ過酸化水素を除去される。この乾燥処理されたフィルム状包材9は各種ローラ24を経て製袋部15に導入される。以後、フィルム状包材9は密封袋7とされるまで無菌の雰囲気下において加工される。
【0052】
(3)図3及び図4に示すように、製袋部15内では、フィルム状包材9は長さ方向に送られながらガイド棒30により同方向に平行な線上で折り返され二つ折りの重畳体9bとされる。
【0053】
(4)二つ折りされたフィルム状包材9の重畳体9bは、その片側の折り返し部と反対側の開放部とをそれぞれ縦ヒートシール部10,11によりシールされ、扁平な筒状の重畳体9bとされる。
【0054】
この二本の縦ヒートシール部10,11は、重畳体9bの両側縁が表裏からヒートシール車25に挟まれることにより形成される。ヒートシール車25は図4中矢印方向に連続回転し、重畳体9bはヒートシール車25,25間を連続走行することにより両側に連続的に縦ヒートシール部10,11が形成される。もちろん、ヒートシール車25に代えて板状のヒートシール盤を用いることも可能である。その場合は、縦ヒートシール部10,11を間欠的に形成するので、重畳体9bもヒートシール盤間を間欠走行することになる。
【0055】
(5)両側が縦ヒートシール部10,11で閉じられた重畳体9bは、その長さ方向に交差する方向に伸びる横ヒートシール部26により下流側で閉じられる。横ヒートシール部26は図1(A)に示す上下の横ヒートシール部12,13が重畳体9bの長さ方向に連なった形状及び大きさに形成される。
【0056】
この横ヒートシール部26は、重畳体9bが表裏から一対のヒートシールローラ27,27に挟まれることにより形成される。一対のヒートシールローラ27,27はそれぞれ回転軸27bに固定され、上記ヒートシール車25よりも下流側において重畳体9bを表裏から挟むように対向配置される。
【0057】
ヒートシールローラ27が駆動され図4中矢印方向に回転することにより、重畳体9bには横ヒートシール部26が形成される。
【0058】
ヒートシールローラ27,27は連続回転し、重畳体9bはヒートシールローラ27,27間を連続走行することにより一個の密封袋7における縦方向の長さごとに横ヒートシール部26で閉じられる。
【0059】
各ヒートシールローラ27には、二種類の瓶口シール部1a,3aがシール面上で約180度位相がずれるように設けられたヒートシールバー27aが取り付けられ、一方の瓶口シール部1aが重畳体9bに接触可能となり、他方の瓶口シール部3aが重畳体9bに接触不能となるように固定されていることから、図1(A)に示すような瓶口部1が横ヒートシール部26に形成される。
【0060】
(6)筒状になった重畳体9bに先行横ヒートシール部26が設けられることにより形成される有底袋部9c内に、充填ノズル28から流動体Aが常時一定流量で連続的に流入する。流動体Aの流量は例えば重畳体9bの走行速度に応じて加減される。
【0061】
(7)ヒートシール車25及びヒートシールローラ27の回転により、密封袋7が重畳体9bに連続的に形成される。図3及び図4に示すように、重畳体9bがロータリカッター35に到達すると、密封袋7が重畳体9bから横ヒートシール部26上でロータリカッター35により切り離され、完成品とされる。この密封袋7の重畳体9bからの切り離しは、上記製袋工程と切り離した他の場所で行うことも可能である。
【0062】
(8)図1(A)に示す密封袋の製造から図5に示す密封袋2の製造に切り替える場合は、各ヒートシールバー27aがヒートシールローラ27から外されたうえで、ヒートシール面に平行に180度回され、図6に示すように、他方の瓶口シール部3aが重畳体9bに接触可能となり、一方の瓶口シール部1aが重畳体9bに接触不能となるように、再びヒートシールローラ27に固定される。
【0063】
その後、上記(1)〜(7)と同様な工程によって、図5に示す密封袋2が製造される。
【0064】
なお、上記(4)において、二つ折りされたフィルム状包材9の重畳体9bにおける片側の折り返し部のヒートシールを省略することにより、図8(A)に示すような三方シール密封袋4又は同図(B)に示すような三方シール密封袋5を製造することができる。
【0065】
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(A)は本発明に係る密封袋製造装置により作ることが出来る密封袋の斜視図、(B)は図(A)中、B−B線矢視断面図、(C)は図(A)中、C−C線矢視断面図である。
【図2】本発明に係る密封袋製造装置の概略立面図である。
【図3】図2中、殺菌部を省略して示す密封袋製造装置の正面図である。
【図4】図3に示した密封袋製造装置の左側面図である。
【図5】本発明に係る密封袋製造装置により作ることが出来る密封袋の斜視図である。
【図6】図5に示す密封袋を製造する密封袋製造装置の正面図である。
【図7】ヒートシールバーの一例の斜視図である。
【図8】(A)(B)は本発明に係る密封袋製造装置により作ることが出来る夫々異なる態様の三方シール密封袋の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
A…流動体
1,3…瓶口部
1a,3a…瓶口シール部
2,4,5,7…密封袋
9…フィルム状包材
9b…重畳体
9c…有底袋部
10,11…縦ヒートシール部
25…ヒートシール車
26…横ヒートシール部
27…ヒートシールローラ
27a…ヒートシールバー
28…充填ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状包材の重畳体を長さ方向に送りながら、同方向に伸びる縦ヒートシール部で閉じて筒状にする縦ヒートシール手段と、この重畳体に先行横ヒートシール部を設けて有底袋部を形成し、この有底袋部内に充填された流動体を分断するように後続横ヒートシール部を設けて密封袋を形成する横ヒートシール手段と、上記有底袋部内に流動体を充填する充填手段とを包含してなる密封袋の製造装置において、上記横ヒートシール手段は、外周に着脱自在に固定されたヒートシールバーで上記重畳体を挟む少なくとも一対のローラを有し、上記各ヒートシールバーの二辺には、密封袋に互いに異なる形状の瓶口部を形成する瓶口シール部がヒートシールバーのシール面上で約180度位相がずれるように設けられ、上記各ヒートシールバーが180度回されて上記ローラに固定されると、一方の瓶口シール部が上記重畳体に接触可能となり、他方の瓶口シール部が上記重畳体に接触不能となるようにしたことを特徴とする密封袋の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の密封袋の製造装置において、ヒートシールバーの二辺にそれぞれ形成される瓶口シール部が、互いに重畳体の幅分よりも大きく引き離されていることを特徴とする密封袋の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−73525(P2009−73525A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244241(P2007−244241)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】