説明

密着型画像読取センサ及び密着型画像読取装置

【課題】画質の劣化を抑制して画像を読み取ること。
【解決手段】密着型の画像読取センサ10に、二次元配列された複数の受光素子16を有する受光層15と、受光層15における受光素子16での受光側の面に配設され、且つ、光を透過する保護シート層25と、光を発光すると共に、拡散光と比較して保護シート層25の厚さ方向の光の成分を増加させて、発光した光を受光層15における受光素子16間から保護シート層25の方向に光を照射する面光源20と、を備える。これにより、原稿40からの反射光によって画像を読み取る際に、面光源20からの光が、原稿40で反射する前に保護シート界面26で反射し、保護シート界面26で反射した光を受光素子16で受光することに起因して、原稿40の画像の読み取り時にノイズ成分が増加することを抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密着型画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、検出した光を電気信号に変換する受光素子を備え、画像を読み取る原稿で反射した光を、この受光素子で検出して電気信号に変換することにより、原稿の画像を電気的に処理している。画像読取装置は、このように受光素子で検出した光に基づいて原稿の画像を読み取るが、従来の画像読取装置の中には、受光素子で受光した光による信号を補正し、原稿を読み取る際における精度を高めているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された画像読取装置では、イメージセンサ素子に接したファイバーアレイプレートの端部に、白黒のレベル補正用の白黒基準板を設け、イメージセンサ素子で受光した光による信号を、白黒基準板を用いて補正している。また、特許文献2に記載された画像読取装置では、原稿と押圧する圧板に標準板を設け、CCDで受光した光による信号を、標準板で反射する反射光に基づいて補正している。また、特許文献3に記載された画像読取装置では、原稿押さえ部材の2次元読取センサに向う側に白基準板を設け、白基準板を2次元読取センサで読み取ることにより、シェーディング用の補正データを取得している。特許文献1〜3に記載された画像読取装置では、これらの補正や作用により、原稿で反射した光を、イメージセンサ素子等の受光素子で受光することにより原稿の画像を読み取る際における、経時変化等に起因する読み取り精度の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−94722号公報
【特許文献2】特開2007−43468号公報
【特許文献3】特開2009−296092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置は、このように受光素子で検出した光に基づいて原稿の画像を読み取るが、近年の画像読取装置の中には、装置の小型化を図るため構成を簡略化し、原稿の画像を読み取る際には、画像の読み取り部分である密着型画像読取センサに原稿を密着させて読み取る密着型画像読取装置がある。このように、密着型画像読取センサに原稿を密着させる場合、原稿で反射させる光を原稿に対して外部から照射するのは困難なため、密着型画像読取センサにおける原稿を密着させる側の反対側に光源を設け、この光源から照射した光を、密着型画像読取センサを透過させて原稿に到達させ、原稿で反射させる。
【0006】
詳しくは、密着型画像読取センサは、複数の受光素子が設けられることにより、原稿で反射した光を受光して原稿の画像を読み取るが、このように複数設けられる受光素子は、所定の間隔を開けて配設されている。このため、密着型画像読取センサにおける原稿を密着させる側の反対側に配設される光源から照射した光、即ち、密着型画像読取センサの背面に配設される光源から照射した光は、受光素子間を通って原稿の方向に向かい、原稿で反射して密着型画像読取センサの方向に向う。密着型画像読取センサは、この光を受光素子で受光することにより、原稿の画像を読み取る。
【0007】
また、このような密着型画像読取装置では、原稿を直接密着型画像読取センサに接触させるため、密着型画像読取センサが有する受光素子が汚れたり、受光素子に傷が付いたりすることを抑制するために、密着型画像読取センサにおける原稿を密着させる側の面に保護シートを配設する場合が多くなっている。この保護シートは、透明な樹脂やガラス等の部材により形成されており、密着型画像読取センサにおける受光素子同士の間から原稿の方向に向う光を透過させたり、原稿で反射して密着型画像読取センサの方向に向う光を透過させたりすることができる。
【0008】
しかし、光源から原稿に対して照射する光には、通常、様々な成分が含まれており、この光は拡散光になっている。このため、光源で照射され、受光素子間を通って保護シートに入り込む場合も拡散光となって入り込むが、光源からの光が保護シートの形成方向に対して斜めに入り込んだ場合、この光の一部は、保護シートの内面で反射する場合がある。つまり、保護シートと、保護シートの周囲の空気とは屈折率が異なっているため、保護シートと空気との界面に対して、保護シートの内部を進む光の進行方向が傾斜している場合には、この光は界面で反射する場合がある。保護シートの内部を通る光が、このように保護シートと空気との界面で反射した場合、この光は、原稿で反射する前に、界面で反射した時点で受光素子の方向に向う。
【0009】
このため、受光素子は、原稿で反射した光のみでなく、保護シートと空気との界面で反射した光も受光し、界面で反射した光は、原稿で反射した光を受光することにより原稿の画像を読み取る場合におけるノイズ成分として現れる。従って、密着型画像読取センサの背面に配設される光源から照射した光によって原稿の画像を読み取る場合、保護シートと空気との界面で反射した光によってノイズが増加することにより、読み取った画像の画質が劣化する場合があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることのできる密着型画像読取センサ及び密着型画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る密着型画像読取センサは、二次元配列された複数の受光素子を有する受光層と、前記受光層における前記受光素子での受光側の面に配設され、且つ、光を透過する保護シート層と、光を発光する光源を有していると共に、拡散光と比較して前記保護シート層の厚さ方向の光の成分を増加させて、前記光源で発光した光を前記受光層における前記受光素子間から前記保護シート層の方向に光を照射する照光部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明では、原稿からの反射光によって画像を読み取る際に原稿に照射する光を、拡散光と比較して保護シート層の厚さ方向の光の成分を増加させて、受光層における受光素子間から保護シート層の方向に照光部によって照射するため、ノイズ成分を低下させて読み取ることができる。つまり、原稿の画像の読み取り時に保護シート層を介して原稿の方向に向う光は、保護シート層における、この光が保護シート層内から出射する面に対してほぼ直交する向きで照射される。このため、保護シート層内を原稿の方向に進む光が、保護シート層から出射する場合には、この面の内側部分、即ち、保護シート層と空気との界面であまり反射せずに、保護シート層から出射する。このように、保護シート層から出射した光は、原稿で反射し、反射光となって、この光が向ってきた方向に反射し、保護シート層を透過して受光層に向う。これにより、受光層の受光素子で原稿からの反射光を受光し、原稿の画像を読み取る。
【0013】
また、原稿の画像の読み取り時に照光部から原稿の方向に照射する光は、保護シート層の厚さ方向の光の成分を増加させているため、この光は、保護シート層と空気との界面で反射し難くなっている。このため、この光が、原稿で反射する前に、保護シート層と空気との界面で反射し、界面で反射した光を受光素子で受光することに起因して、原稿の画像の読み取り時にノイズ成分が増加することを抑制することができる。従って、画像の読み取り時にノイズ成分が増加することに起因して画像の画質が劣化することを抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0014】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記照光部は、前記保護シート層の内部を通る光が、前記保護シート層の厚さ方向の成分が増加するように光を照射することが好ましい。
【0015】
この発明では、保護シート層の内部を通る光が、保護シート層の厚さ方向の成分が増加するように照光部によって光を照射するので、保護シート層を透過する光が、保護シート層内から原稿が位置している側に出射する際に、保護シート層と空気との界面で反射することを、より確実に抑制することができる。これにより、保護シート層と空気との界面で反射した光を受光素子で受光することに起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0016】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記光源は、略平行光のみを発光することが好ましい。
【0017】
この発明では、照光部の光源は、略平行光のみを発光するので、原稿の画像を読み取る際に、光を拡散させないで保護シート層を透過させることができる。このため、保護シート層と空気との界面に到達する光は、ほぼ全ての光が界面に対して同じ角度で到達し、ほぼ全ての光が、界面に対して直交する向きで到達する。これにより、保護シート層を透過する光が界面で反射することを、より確実に抑制することができ、画像の読み取り時におけるノイズ成分の増加を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0018】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記光源は、面状に配置された指向性の高いLED光源が用いられることが好ましい。
【0019】
この発明では、照光部の光源として、このように指向性の高いLED光源を用いるので、原稿の画像の読み取り時に原稿の方向に照射する光を、拡散させない状態で照射することができる。これにより、保護シート層と空気との界面に到達するほぼ全ての光を、界面に対して同じ角度で到達させることができ、ほぼ全ての光を、界面に対して直交する向きで到達させることができる。従って、保護シート層を透過する光が界面で反射することを、より確実に抑制することができ、画像の読み取り時におけるノイズ成分の増加を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0020】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記光源は、面発光型のレーザーアレイが用いられることが好ましい。
【0021】
この発明では、照光部の光源として、面発光型のレーザーアレイを用いるので、拡散光と比較して保護シート層の厚さ方向の光の成分を増加させて、保護シート層の方向に光を照射する照光部を設ける際に、容易に設けることができる。これにより、照光部からの光が原稿で反射する前に、保護シート層と空気との界面で反射することを、容易に抑制することができ、この界面での光の反射に起因して、原稿の画像の読み取り時に画質が劣化することを、容易に抑制することができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0022】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記照光部は、前記光源で発光した光を略平行光にする平行光生成部を有しており、前記光源で発光して前記平行光生成部で略平行光にした光を前記保護シート層の方向に照射することが好ましい。
【0023】
この発明では、光源で発光した光を略平行光にする平行光生成部を照光部に設けているため、より確実に、原稿の画像の読み取りに用いる光を、拡散光と比較して保護シート層の厚さ方向の光の成分を増加させて、保護シート層の方向に光を照射することができる。また、このような光を照射する照光部を設ける際に、平行光生成部を用いることにより、容易に設けることができる。従って、照光部からの光が、保護シート層と空気との界面で反射することに起因して、原稿の画像の読み取り時に画質が劣化することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0024】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記平行光生成部は、プリズムシートが用いられることが好ましい。
【0025】
この発明では、平行光生成部としてプリズムシートを用いているので、光源で発光した光を保護シート層の方向に照射する場合に、プリズムシートによって、より確実に、且つ、容易に略平行光にして照射することができる。これにより、照光部からの光が、保護シート層と空気との界面で反射することに起因して、原稿の画像の読み取り時に画質が劣化することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0026】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記平行光生成部は、コリメートレンズが用いられることが好ましい。
【0027】
この発明では、平行光生成部としてコリメートレンズを用いているので、光源で発光した光を保護シート層の方向に照射する場合に、より確実に、且つ、容易に略平行光にして照射することができる。これにより、保護シート層内を透過する光が、保護シート層と空気との界面で反射することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0028】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記平行光生成部は、スリット板が用いられることが好ましい。
【0029】
この発明では、平行光生成部としてスリット板を用いているので、光源で発光した光を保護シート層の方向に照射する場合に、より確実に、且つ、容易に略平行光にして照射することができる。これにより、保護シート層内を透過する光が、保護シート層と空気との界面で反射することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0030】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記照光部は偏光フィルタを有していると共に、前記光源で発光した光を前記偏光フィルタを用いてp波のみの成分にして前記保護シート層の方向に照射することが好ましい。
【0031】
この発明では、光源で発光した光を、偏光フィルタを用いてp波のみの成分にして保護シート層の方向に照射するので、保護シート層内を透過する光が、保護シート層と空気との界面で反射することを、より確実に抑制することができる。つまり、屈折率が異なる物体同士の界面を光が透過する場合、この界面での光の反射率は、光の波の振幅方向が界面に対して平行な方向の波であるp波と、光の波の振幅方向が界面に対して垂直な方向の波であるs波と、によって異なり、p波よりもs波の方が、光が界面に同じ角度で到達した際の反射率が大きくなっている。
【0032】
このため、照光部に偏光フィルタを設け、光源で発光した光を偏光フィルタで偏光させてp波の成分のみを保護シート層の方向に照射することにより、保護シート層内を透過する光が保護シート層と空気との界面に到達した際に、界面で反射し難くすることができる。従って、照光部で保護シート層の方向に照射した光が、保護シート層と空気との界面で反射した光を受光素子で受光することに起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0033】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記保護シート層は、光学部材で透過率が高くなっていることが好ましい。
【0034】
この発明では、保護シート層を、透過率が高い光学部材によって設けるので、照光部から保護シート層に光が照射された場合に、この光が保護シート層内で拡散することを抑制することができる。これにより、照光部から照射された光が、原稿に到達する前に保護シート層内で拡散し、この拡散した光が、受光層の方向に向かって受光層の受光素子で受光することに起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを抑制することができる。従って、保護シート層と空気との界面での反射に起因して受光素子が不必要な光を受光することを抑制するのみでなく、保護シート層内で光が拡散することによって受光素子が不必要な光を受光することも抑制することができ、より確実に、ノイズ成分が増加することを抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0035】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記保護シート層は、厚さが薄い光学部材により形成されていることが好ましい。
【0036】
この発明では、保護シート層を、厚さが薄い光学部材によって設けるので、照光部から保護シート層に光が照射された場合における保護シート層内での拡散光を低減することができる。つまり、保護シート層を光が透過する場合、この光は保護シート層内で拡散する場合があるが、保護シート層の厚さを薄くすることにより、保護シート層内を通る光の距離を短くすることができる。これにより、保護シート層内で光が拡散する機会を低減させることができ、保護シート層内での拡散光を低減することができる。従って、保護シート層内での拡散光を受光層の受光素子が受光することにより、受光素子が不必要な光を受光することを抑制することができるので、より確実に、ノイズ成分が増加することを抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0037】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記保護シート層は、絶縁部材により形成されていることが好ましい。
【0038】
この発明では、保護シート層を、絶縁部材により形成するので、受光素子を電気的に保護することができる。例えば、密着型画像読取センサに接触する原稿が帯電している場合でも、保護シート層を絶縁部材によって形成することにより、原稿と受光素子との間で静電気が発生することを抑制でき、受光素子を電気的に保護することができる。従って、原稿の画像を読み取る部分である受光素子を保護シート層によって保護する際に、埃から保護したり傷が発生することから保護したりするのみでなく、電気的にも保護し、受光素子に不必要な電気が流れることによる受光素子の破損を抑制することができる。この結果、より安定して画像を読み取ることができる。
【0039】
また、上記密着型画像読取センサにおいて、前記保護シート層は、屈折率が空気の屈折率とガラスの屈折率との間の部材により形成されていることが好ましい。
【0040】
この発明では、保護シート層を、屈折率が空気の屈折率とガラスの屈折率との間の屈折率になる部材により形成するので、保護シート層を透過する光が、保護シート層と空気との界面で反射することを、より確実に抑制することができる。つまり、受光素子を有する受光層は、ガラスに受光素子を配設することによって形成される場合が多くなっており、また、密着型画像読取センサで画像を読み取る原稿は、保護シート層における受光層の反対側に配置する。また、原稿の画像を読み取る際に、照光部から保護シート層の方向に照射する光は、受光素子間から保護シート層の方向に照射するため、受光層のガラスを透過して保護シート層に向う。さらに、この光が原稿に到達する場合には、保護シート層と空気との界面を透過し、空気中で原稿に到達する。従って、照光部の光源で発光した光は、受光層のガラスを通り、保護シート層を通った後、空気中に出射する。
【0041】
このため、保護シート層を、空気の屈折率とガラスの屈折率との間の屈折率になる部材により形成することにより、照光部の光源で発光した光に、保護シート層の厚さ方向に対して角度を有する方向の成分が含まれている場合でも、この光は、ガラスから保護シート層に入射する際に屈折率の差によって屈折する。即ち、この光は、ガラスから保護シート層に入射する際に屈折率の差によって進行方向が変化し、保護シート層の厚さ方向に対する角度が小さくなる。従って、照光部の光源で発光した光に、保護シート層の厚さ方向に対して角度を有する方向の成分が含まれている場合でも、屈折率の差によって、保護シート層内ではこの角度が小さくなるため、この光は、保護シート層と空気との界面で反射し難くなる。これにより、保護シート層と空気との界面での反射に起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0042】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る密着型画像読取装置は、上記の密着型画像読取センサと、前記密着型画像読取センサで読み取った原稿の画像のシェーディング補正を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0043】
この発明では、上記の密着型画像読取センサで読み取った原稿の画像のシェーディング補正を行う制御部を有しているため、原稿の画像の読み取り時におけるノイズを低減させることができ、さらに、シェーディング補正を適切に行うことができる。つまり、照光部から保護シート層の方向に光を照射した場合に、この光が保護シート層と空気との界面で反射し、さらに反射光が受光素子の到達することに起因してノイズが発生する場合、シェーディング補正時の黒側の補正データとして、照光部の光源の消灯時のデータを用いることができない。この場合、黒側の補正データを得る際に用いる黒基準のシートを用意する必要があるが、このようなシートでデータを得る場合、シートにゴミ等が付着すると、その状態が黒側の補正データになるので、シェーディング補正後の画像が乱れてしまう場合がある。
【0044】
これに対し、密着型画像読取センサの照光部から保護シート層の方向に光を照射した場合に、この光が保護シート層と空気との界面で反射することを抑制した場合には、画像読み取り時のノイズの発生を抑制することができるので、照光部を消した状態を、黒側の補正データとすることができる。このため、シェーディング補正を行う場合に、照光部の光源の消灯時のデータを用いることができるため、黒側の補正データを適切に得ることができ、シェーディング補正後の画像の画質を確保することができる。これらの結果、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0045】
また、上記密着型画像読取装置において、さらに、前記シェーディング補正を行う際の基準データを保存する記憶部を有していることが好ましい。
【0046】
この発明では、シェーディング補正時の基準データを保存する記憶部を有しているので、シェーディング補正を行う際に、密着型画像読取センサで撮影した画像データを、この基準データと比較し、シェーディング補正に用いる補正データを容易に生成することができる。従って、より容易にシェーディング補正を行うことができ、より確実に、シェーディング補正後の画像の画質を確保することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0047】
また、上記密着型画像読取装置において、前記基準データのうち、前記密着型画像読取センサで読み取った画像の黒側の基準となる黒基準データは、前記密着型画像読取センサでの読み取り範囲に対してラインデータとなっていることが好ましい。
【0048】
この発明では、シェーディング補正時の黒基準データは、密着型画像読取センサでの読み取り範囲に対してラインデータとなっているので、黒基準データのデータ量を小さくすることができる。これにより、基準データを保存する記憶部の容量を小さくすることができ、また、データ量が小さいため、シェーディング補正時に扱うデータ量を少なくすることができ、シェーディング補正を、より容易に行うことができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0049】
また、上記密着型画像読取装置において、前記基準データのうち、前記密着型画像読取センサで読み取った画像の黒側の基準となる黒基準データは、前記密着型画像読取センサでの読み取り範囲で共通の1データとなっていることが好ましい。
【0050】
この発明では、シェーディング補正時の黒基準データは、密着型画像読取センサでの読み取り範囲で共通の1データとなっているので、黒基準データのデータ量を、より小さくすることができる。これにより、処理するデータ量が少なくなるので、シェーディング補正を、より容易に行うことができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明に係る密着型画像読取センサ及び密着型画像読取装置は、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、実施形態に係る密着型画像読取装置の外観を示す図であり、蓋部を閉じた状態を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す密着型画像読取装置の蓋部を開いた状態を示す図である。
【図3】図3は、図2に示す画像読取センサの構成を示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示す密着型画像読取装置の構成の概略を示す図である。
【図5】図5は、原稿の画像を読み取る場合における説明図である。
【図6】図6は、原稿の画像を読み取る場合における図1のA−A断面図である。
【図7】図7は、原稿の画像の読み取り時に面光源で発光する光の説明図である。
【図8】図8は、光が保護シート層を透過する場合における説明図である。
【図9】図9は、保護シート層の屈折率が1.4の場合における光の入射角と反射率との関係を示す説明図である。
【図10】図10は、保護シート層の屈折率が1.7の場合における光の入射角と反射率との関係を示す説明図である。
【図11】図11は、光がガラス基板と保護シート層を透過する場合における説明図である。
【図12】図12は、保護シート層の屈折率が1.4の場合における光の角度の変化を示す説明図である。
【図13】図13は、保護シート層の屈折率が1.7の場合における光の角度の変化を示す説明図である。
【図14】図14は、保護シート界面で反射した光の受光素子での受光のし易さを示す説明図である。
【図15】図15は、図14に示す保護シート層への光の入射角に対する受光素子に照射される光の線数を示す説明図である。
【図16】図16は、実施形態に係る密着型画像読取装置の変形例を示す説明図である。
【図17】図17は、実施形態に係る密着型画像読取装置の変形例を示す説明図である。
【図18】図18は、実施形態に係る密着型画像読取装置の変形例を示す概略図である。
【図19】図19は、図18に示す密着型画像読取装置の蓋部を開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明に係る密着型画像読取センサ及び密着型画像読取装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0054】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る密着型画像読取装置の外観を示す図であり、蓋部を閉じた状態を示す図である。図2は、図1に示す密着型画像読取装置の蓋部を開いた状態を示す図である。同図に示す密着型画像読取装置1は、共に薄型の略直方体、或いは略板状に形成された蓋部5と本体部6とを有しており、蓋部5と本体部6とは、双方の一辺がヒンジ8によって接続されている。これにより、蓋部5と本体部6とは、相対的に開閉可能に設けられている。また、このうち本体部6には、蓋部5を閉じた際における蓋部5側の面に、原稿を密着させた状態で画像を読み取る密着型画像読取センサである画像読取センサ10が設けられている。
【0055】
また、蓋部5や本体部6には、機械式センサや磁気センサ、または光センサ等により、双方の開閉の検出が可能な開閉検出機構(図示省略)が設けられている。さらに、蓋部5または本体部6には、原稿40の画像を読み取る際に読み取りの開始の指示を行う、スタートボタン等の読取開始指示手段(図示省略)が設けられている。
【0056】
図3は、図2に示す画像読取センサの構成を示す断面図である。本体部6に設けられる画像読取センサ10は、面発光をする光源である面光源20と、この面光源20上に設けられると共に、画像の読み取り時に原稿で反射した光を受光する受光層15と、受光層15上に、光を透過する透明な部材によって設けられる保護シート層25とが、積層されて設けられている。このように積層される画像読取センサ10は、保護シート層25が、蓋部5を閉じた際における蓋部5側に位置して蓋部5に対向し、面光源20は、本体部6の内部側に位置する向きで設けられている。
【0057】
また、この画像読取センサ10が有する受光層15は、面光源20上に設けられる透明なガラス基板17と、ガラス基板17上に所定の間隔で二次元配列状に複数が配設される受光素子16とを有している。また、受光素子16は、ガラス基板17における、面光源20が位置する側の反対側の面、即ち、ガラス基板17における、保護シート層25が位置する側の面に配設されている。画像読取センサ10は、このように受光素子16が二次元配列状に複数配設される、二次元密着型の画像読取センサ10である二次元密着型センサとして設けられている。
【0058】
また、面光源20は、面発光型の半導体レーザーアレイが用いられている。この面発光型の半導体レーザーアレイからなる面光源20は、発光時における光の成分が平行成分のみになっており、発光時に略平行光のみを面発光する光源として設けられている。この面光源20は、発光時には、拡散光と比較して保護シート層25の受光層15の厚さ方向の光の成分を増加させることにより、平行光を、当該面光源20の発光面に直交する方向に発光し、即ち、積層される保護シート層25や受光層15の厚さ方向に、平行光を発光する。
【0059】
また、面光源20は、ガラス基板17における受光素子16が位置する側の反対側に設けられているが、この面光源20は、発光時に面発光をするため、発光時における平行光をガラス基板17における面光源20側の面全体に対して光を照射することが可能になっている。また、ガラス基板17は、主にガラス材料からなる透明な部材により設けられている。これらのため、面光源20の発光時には、面光源20からの光はガラス基板17を透過し、複数の受光素子16同士の間から、ガラス基板17において面光源20が位置する側の反対側の方向に照射される。
【0060】
つまり、透明に設けられるガラス基板17上における複数の受光素子16は、隣り合う受光素子16同士が離間して配設されており、隣り合う受光素子16同士の間の部分は、開口部18となっている。このように受光素子16と受光素子16との間の部分になっており、光を遮蔽するものが位置していないため、面光源20の発光時には、この光は、開口部18を通って、ガラス基板17における面光源20が位置する側の反対側の方向に出射可能になっている。即ち、面光源20の発光時における面光源20からの光は、開口部18を通って受光層15における保護シート層25が位置する側から出射し、保護シート層25の方向に照射される。このように、面光源20は、当該面光源20で発光した光を受光層15の開口部18から保護シート層25の方向に光を照射する照光部として設けられている。
【0061】
面光源20の発光時における面光源20からの光は、このように開口部18から保護シート層25の方向に照射されるが、ガラス基板17上に配設される受光素子16同士は、それぞれ離間して配設されるため、開口部18は、各受光素子16の周囲に位置した状態になっている。このため、開口部18から保護シート層25の方向に照射される光は、各受光素子16の周囲から保護シート層25の方向に照射される。
【0062】
このように設けられる画像読取センサ10は、受光層15に設けられる受光素子16で、原稿で反射した光を受光することにより、原稿の画像を読み取ることができるように設けられているため、画像読取センサ10で原稿の画像を読み取る場合は、画像読取センサ10において受光素子16が設けられている側の面で読み取る。即ち、受光素子16は、受光層15における保護シート層25が配設される側に配設されているため、原稿で反射した光を、保護シート層25を介して受光素子16で受光することにより原稿の画像を読み取る。このため、保護シート層25は、光を透過し易くなっているのが好ましく、例えば、光学部材で透過率が高くなっていたり、厚さが薄い光学部材により形成されていたりするのが好ましい。具体的には、一般的なディスプレイ保護用のシートは、透過率が90%以上、厚みが0.5mm以下である場合が多いが、保護シート層25は、それ以上に光を透過し易くなっているのが好ましい。即ち、保護シート層25は、透過率が90%以上であったり、厚さが0.5mm以下であったりする光学部材により形成されているのが望ましい。さらに、このように光が透過するように設けられている保護シート層25は、屈折率が、空気の屈折率と、受光層15を形成するガラスの屈折率との間の部材により形成されているのが好ましい。
【0063】
また、保護シート層25は、受光層15を保護するために設けられている。このため、保護シート層25は、受光層15を埃等から保護するのみでなく、受光素子16を電気的に保護するため、絶縁部材により形成されている。
【0064】
画像読取センサ10は、このように原稿で反射した光を受光素子16で受光することにより原稿の画像を読み取るが、原稿の画像の読み取り時に原稿を照射する照射光を発光する面光源20は、原稿の画像を読み取る側の面の反対側、即ち、画像読取センサ10の背面側に配設されている。
【0065】
図4は、図1に示す密着型画像読取装置の構成の概略を示す図である。これらのように設けられる密着型画像読取装置1は、密着型画像読取装置1の各部の制御を行う制御部である主制御基板30によって制御可能になっている。例えば、画像読取センサ10は、この主制御基板30に接続されており、画像読取センサ10は主制御基板30によって制御可能になっている。この主制御基板30には、処理部31、記憶部37及び入出力部38が設けられており、このうち処理部31には、各種の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)32が設けられている。
【0066】
また、処理部31は、画像読取センサ10による画像の読み取りの制御を行う画像読取部制御部33と、画像読取センサ10で読み取った画像を取り込む読取画像取込部34と、読取画像取込部34で取り込んだ画像の補正を行う画像補正部35と、面光源20の発光の制御を行う光源制御部36と、を有している。
【0067】
この実施形態に係る密着型画像読取装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。図5は、原稿の画像を読み取る場合における説明図である。図6は、原稿の画像を読み取る場合における図1のA−A断面図である。この密着型画像読取装置1は、通常の使用時には、画像読取センサ10側を上方に向ける向きで本体部6を下側に位置させ、画像読取センサ10に対して相対的に開閉可能な蓋部5を、本体部6に対する蓋として使用する。このように設けられる密着型画像読取装置1で、原稿40の画像を読み取る場合について説明すると、まず蓋部5を開いた状態で、本体部6に設けられる画像読取センサ10の上に原稿40を置き、この状態でヒンジ8を回動中心として蓋部5を閉じる。これにより、原稿40は蓋部5と本体部6とで挟み込まれ、原稿40は画像読取センサ10に接触した状態になる。
【0068】
また、原稿40が蓋部5と本体部6とで挟み込まれた状態では、原稿40は画像読取センサ10側の反対側の面が蓋部5に接触した状態になり、原稿40は、蓋部5と画像読取センサ10との双方に接触した状態になる。この状態で蓋部5を閉じる方向の力を大きくすると、原稿40と蓋部5、及び原稿40と画像読取センサ10との間の押圧力が共に大きくなる。このため、蓋部5は、閉じる方向の力を大きくすることにより原稿40を画像読取センサ10に対して押圧可能な押圧部材として設けられている。
【0069】
このように、原稿40を蓋部5と本体部6との間に位置させた状態で蓋部5を閉じ、原稿40と画像読取センサ10との間の押圧力を大きくした場合には、原稿40は画像読取センサ10に対して密着する。原稿40画像を読み取る場合は、このように原稿40を画像読取センサ10に密着させた状態で読み取り、詳しくは、画像読取センサ10の保護シート層25に原稿40を密着させた状態で読み取る。
【0070】
図7は、原稿の画像の読み取り時に面光源で発光する光の説明図である。原稿40の画像は、このように原稿40を画像読取センサ10に密接させた状態で画像読取センサ10によって読み取るが、次に、画像読取センサ10による画像の読取動作について説明する。原稿40の画像を読み取る場合は、原稿40を画像読取センサ10の受光層15における保護シート層25側に配置した状態で、画像読取センサ10の面光源20を発光させる。面光源20は、略平行光のみを面発光する光源として設けられており、発光時に、受光層15が有するガラス基板17における面光源20側の面全体に対して平行光を照射することが可能になっている。このため、画像の読み取り時には、面光源20を発光させることにより、面光源20によって受光層15を照射する。
【0071】
面光源20によって受光層15を照射した場合、面光源20からの光は受光層15が有するガラス基板17における面光源20側から入り込み、受光素子16が配設されている側に向ってガラス基板17を透過する。つまり、面光源20は、発光時には、積層される保護シート層25や受光層15の厚さ方向に平行光を発光するため、面光源20からの光が受光層15のガラス基板17に入り込んだ場合、この光は、受光層15の厚さ方向にガラス基板17内を進み、保護シート層25が配設されている側に向ってガラス基板17を透過する。
【0072】
このように、ガラス基板17の面光源20側から保護シート層25側に向う光のうち、受光素子16が位置している部分に到達した光は、受光素子16によって遮られる。このため、この光はガラス基板17からは出射しない。これに対し、ガラス基板17の面光源20側から保護シート層25側に向う光のうち、受光素子16が配設されていない部分である開口部18に到達した光は、開口部18から保護シート層25の方向に出射する。このように、保護シート層25の方向に出射した光は、透明な部材によって形成される保護シート層25内に入り込む。
【0073】
受光層15の開口部18から出射した光は、受光層15に積層されている保護シート層25内にこのように入り込むが、受光層15からの光が保護シート層25に入り込む場合も、保護シート層25の厚さ方向の平行光が入り込む。つまり、この光を照射する面光源20は、保護シート層25の内部を通る光が、保護シート層25の厚さ方向の成分が増加するように照射する。保護シート層25の厚さ方向の成分が増加した状態で受光層15から保護シート層25に入り込む光は、保護シート層25の厚さ方向に進む平行光となっているため、この光は、保護シート層25における受光層15が位置する面側から、反対側の面側、即ち、画像を読み取る原稿40が密着している面側に向う。
【0074】
この方向に保護シート層25内を進む光が、原稿40が密着している側の面に到達した場合、この光は、原稿40に密着している面から出射して、この面に密着している原稿40に到達する。つまり、保護シート層25内を進む光は、保護シート層25の厚さ方向に進む平行光となっているため、この光は、保護シート層25の内部側から、原稿40に密着している面を見た場合における保護シート層25と空気との界面である保護シート界面26に対して、ほぼ直交する方向に進む状態になっている。従って、この光は、保護シート界面26ではあまり反射せずに保護シート界面26を透過して、保護シート層25に密着している原稿40に到達する。原稿40に到達した光は、原稿40で反射をするが、その際に、原稿40の表面の色など表面の状態に応じた反射光となって反射をする。
【0075】
また、この光は、保護シート層25の厚さ方向に進む光となっているため、原稿40に対しては、保護シート界面26に到達する場合と同様に、原稿40における保護シート層25に密着している面に対して直交する向きで原稿40に到達する。このため、原稿40で反射する光は、概ね、この光が向ってきた方向に反射する。つまり、原稿40で反射した反射光は、保護シート層25の方向に反射し、保護シート層25内に入り込んで保護シート層25を透過し、受光層15の方向に向かう。受光層15に向かった反射光は、受光層15における受光素子16が位置している側の面から受光層15に到達する。これにより、受光素子16は、原稿40で反射した反射光を受光する。
【0076】
原稿40で反射した反射光は、原稿40の表面の状態に応じた反射光になっており、受光素子16は、受光した光に応じて電気信号を発生可能に設けられている。このため、原稿40で反射した反射光を受光した受光素子16は、受光した反射光が反射をした原稿40の表面の状態に応じた電気信号を発生する。このように受光素子16で発生した電気信号は、主制御基板30に伝達され、主制御基板30が有する読取画像取込部34で、この電気信号を取得することにより、原稿40における画像読取センサ10が面している側の原稿40の画像情報を取得する。これにより、原稿40の画像を読み取る。
【0077】
原稿40の画像の読み取り時には、これらのように保護シート層25の厚さ方向の光の成分を増加させることにより、保護シート層25を透過する光が保護シート界面26で反射することを抑制することができ、保護シート界面26での反射光を受光素子16で受光することを抑制できるが、保護シート界面26での反射率は、光の入射角や保護シート層25の屈折率によって変化する。このため、原稿40の画像の読み取り時における画質の劣化を抑制することを目的として、保護シート界面26での反射率を低下させる場合には、保護シート層25に入射する光の入射角が所定の範囲内になるようにして光を照射するのが好ましい。
【0078】
次に、このような光の入射角や保護シート層25の屈折率と、保護シート界面26での光の反射率との関係について、シミュレーションを実施した際の結果に基づいて説明する。図8は、光が保護シート層を透過する場合における説明図である。保護シート界面26のような、屈折率が異なる部材同士の界面を光が透過する場合、界面での反射率は、光の入射角によって変化するが、入射角が大きくなるに従って図8に示すように、反射率は大きくなる。また、実施形態に係る密着型画像読取装置1が有する保護シート層25では、保護シート層25の屈折率が1.4の場合において入射角が45°以上の場合は、スネルの法則より保護シート界面26で全反射をする。なお、ここでいう入射角は、面光源20側から保護シート層25に進入する方向、即ち、保護シート層25の厚さ方向を0°とし、保護シート層25の厚さ方向から傾斜するに従って、入射角が大きくなっている。
【0079】
また、この反射率は、一般的に、光の波の振幅方向が界面に対して平行な方向の波であるp波よりも、光の波の振幅方向が界面に対して垂直な方向の波であるs波の方が、光が界面に同じ角度で到達した際の反射率が大きくなっている。
【0080】
図9は、保護シート層の屈折率が1.4の場合における光の入射角と反射率との関係を示す説明図である。例えば、保護シート層25を透過した光が出射する空気層の屈折率を1.0と仮定した場合において、保護シート層25の屈折率が1.4の場合に、面光源20側から保護シート層25に入射する光の入射角に対する保護シート界面26での反射率をフレネルの式より算出すると、図9に示すように変化する。つまり、p波の反射率であるp波反射率Refpは、入射角が40°を超えた付近から急激に大きくなり、s波の反射率であるs波反射率Refsは、入射角が10°を超えたあたりから徐々に大きくなる。
【0081】
このように、反射率は、p波とs波とで異なっているため、部材の反射率としてはp波の反射率とs波の反射率との平均値が用いられ、屈折率が1.4の保護シート層25の場合は、図9に示す反射率平均値RefAになり、入射角が20°を越えたあたりから反射率が徐々に大きくなる。
【0082】
図10は、保護シート層の屈折率が1.7の場合における光の入射角と反射率との関係を示す説明図である。また、この反射率は、光を透過する部材の屈折率によっても変化し、屈折率が大きくなるに従って、反射率も大きくなる傾向にある。例えば、保護シート層25の屈折率が1.7の場合に、保護シート層25に入射する光の入射角に対する保護シート界面26での反射率は、図10に示すように、p波反射率Refpは、入射角が30°を超えた付近から急激に大きくなり、s波反射率Refsは、入射角が5°付近から徐々に大きくなる。また、屈折率が1.7の保護シート層25における反射率平均値RefAは、図10に示すように、入射角が15°を越えたあたりから反射率が徐々に大きくなる。
【0083】
保護シート層25に光が入射した場合における保護シート界面26での光の反射率は、これらのように、入射角が大きくなるに従って大きくなり、また、保護シート層25の屈折率が大きくなることによっても大きくなる。
【0084】
また、面光源20から保護シート層25に向かう光は、受光層15のガラス基板17を透過した後、保護シート層25を透過するが、ガラス基板17と、ガラス基板17の周囲の空気層との間や、ガラス基板17と保護シート層25との間では、屈折率が異なっている。このため、面光源20から保護シート層25に向かう光が、これらの間を透過する場合には、屈折率の差に応じて光は屈折する。次に、この光の屈折について説明する。図11は、光がガラス基板と保護シート層を透過する場合における説明図である。面光源20から保護シート層25に向かう光は、図11に示すように、空気層からガラス基板17に入射する際や、ガラス基板17から保護シート層25に入射する際、及び保護シート層25から空気層に出射する際に、この光は屈折する。つまり、ガラス基板17や保護シート層25を透過する光は、それぞれを透過する際における光の角度が、屈折率の差に応じて変化する。
【0085】
図12は、保護シート層の屈折率が1.4の場合における光の角度の変化を示す説明図である。例えば、ガラス基板17の屈折率が1.5で、保護シート層25の屈折率が1.4の場合のシミュレーション結果について説明すると、この場合はガラス基板17の屈折率よりも保護シート層25での屈折率の方が小さくなっている。屈折率が異なる部材同士の界面を光が透過する場合、屈折率が大きい部材から屈折率が小さい部材に光が入射する場合は、この光は界面に直交する方向に対する角度が大きくなる。即ち、入射角が大きくなる。反対に、屈折率が小さい部材から屈折率が大きい部材に光が入射する場合は、この光は界面に直交する方向に対する角度が小さくなり、入射角が小さくなる。
【0086】
このため、ガラス基板17の屈折率が1.5、保護シート層25の屈折率が1.4の場合に、面光源20から保護シート層25の方向の光を照射する場合には、面光源20側の空気層からガラス基板17に入射する光は、ガラス基板17への入射時に入射角が小さくなる。また、この光がガラス基板17から保護シート層25に入射する光は、保護シート層25への入射時に入射角が大きくなる。
【0087】
このため、この場合における光の角度は、図12に示すように、ガラス基板17を透過する光の角度であるガラス基板光角度Optgは、面光源20からの光の角度である光源の入射角に対して小さくなる。さらに、保護シート層25を透過する光の角度である保護シート光角度Optpは、ガラス基板光角度Optgに対して大きくなる。
【0088】
ガラス基板17の屈折率が1.5で、保護シート層25の屈折率が1.4の場合には、保護シート光角度Optpはこのような変化をするが、保護シート層25の屈折率が1.4の場合における反射率平均値RefAは、入射角が20°を越えたあたりから増加することを考慮すると、保護シート層25の屈折率が1.4の場合の光源からの入射角は28°以下とすることが望ましい。
【0089】
図13は、保護シート層の屈折率が1.7の場合における光の角度の変化を示す説明図である。次に、ガラス基板17の屈折率が1.5で、保護シート層25の屈折率が1.7の場合のシミュレーション結果について説明すると、この場合はガラス基板17の屈折率よりも保護シート層25での屈折率の方が大きくなっている。このため、この条件の場合に、ガラス基板17から保護シート層25に入射する光は、保護シート層25への入射時に入射角が小さくなる方向に変化する。従って、この場合における保護シート光角度Optpは、図13に示すように、ガラス基板光角度Optgに対して小さくなる。
【0090】
ガラス基板17の屈折率が1.5で、保護シート層25の屈折率が1.7の場合には、保護シート光角度Optpはこのような変化をするが、保護シート層25の屈折率が1.7の場合における反射率平均値RefAは、入射角が15°を越えたあたりから増加することを考慮すると、保護シート層25の屈折率が1.7の場合の光源からの入射角は25°以下とすることが望ましい。
【0091】
保護シート界面26での反射率は、これらのように、光の入射角や、ガラス基板17、保護シート層25の屈折率によって変化するが、保護シート界面26で反射した光の、受光素子16での受光のし易さは、入射角や屈折率のみでなく、相対的な位置関係によっても変化する。図14は、保護シート界面で反射した光の受光素子での受光のし易さを示す説明図である。図15は、図14に示す保護シート層への光の入射角に対する受光素子に照射される光の線数を示す説明図である。この相対的な位置関係による受光素子16での受光のし易さを検証するために、保護シート層25の屈折率が1.4で、保護シート層25の厚さが70μm、受光素子16のピッチが169μm、受光層15の開口率が50%の場合のシミュレーションを行い、この結果に基づいて説明すると、保護シート界面26での光の反射率は、入射角が大きくなるに従って大きくなる。このため、保護シート界面26で反射した光が受光素子16に照射される際における光の線数である受光線数Rcvrは、保護シート層25への入射角が所定の範囲内の場合は、入射角が大きくなるに従って線数が増加する。
【0092】
ここで、受光層15における保護シート層25側の面には、受光素子16のみでなく、開口部18も位置している。また、保護シート層25に入射した光が保護シート界面26で反射する場合は、反射角は、保護シート界面26への入射角とほぼ同じ角度で反射をする。このため、入射角が大きくなった場合には、保護シート界面26での反射角も大きくなるが、この反射角が所定の角度よりも大きくなると、保護シート界面26で反射した光は、受光素子16を超えて、受光素子16に隣接する開口部18に向う。
【0093】
詳しく説明すると、保護シート層25に入射する光は、受光層15の開口部18から保護シート層25に入射し、この光が入射した開口部18に対向する位置付近の保護シート界面26に到達する。保護シート界面26に到達した光は、保護シート界面26に到達した際の角度に応じて、保護シート界面26を透過する光と保護シート界面26で反射する光とに分かれる。このように分かれた光のうち、保護シート界面26で反射した光は、受光層15における保護シート界面26に対向している部分に向う。
【0094】
受光層15における保護シート界面26に対向している部分には、受光素子16と開口部18とが位置しているため、保護シート界面26で反射した光は、このいずれかに到達し、照射されるが、入射角が0°に近い場合には、この反射光は、受光層15から保護シート層25にこの光が入射した際における開口部18に大部分が戻る。
【0095】
このように受光層15に向かう反射光は、保護シート層25への入射角が大きくなるに従って、保護シート層25への入射位置からずれる。このため、保護シート界面26での反射光は、入射角が大きくなるに従って、開口部18に隣接している受光素子16に向う量が増加する。従って、受光線数Rcvrは、入射角が0°から所定の範囲までは、入射角が大きくなるに従って増加する。
【0096】
また、受光層15に向かう反射光は、このように保護シート層25への入射角が大きくなるに従って、保護シート層25への入射位置からずれるため、入射角が所定の大きさを超えると、受光層15への到達位置は、この光が保護シート層25に入射した際における開口部18に隣接している受光素子16を越え、他の開口部18に向う。このため、入射角が所定の大きさを越えた場合、受光線数Rcvrは、入射角が大きくなるに従って減少する。
【0097】
具体的には、各部が上記の条件の場合には、図15に示すように、保護シート層25への入射角が0°から約30°までの範囲では入射角が大きくなるに従って受光線数Rcvrが増加する。また、保護シート層25への入射角が約30°以上の範囲では、入射角が大きくなる従って受光線数Rcvrは減少する。
【0098】
また、受光線数Rcvrは、入射角が45°以上の場合でも、入射角に応じて変化するが、保護シート層25は、入射角が45°以上の場合には保護シート界面26で全反射をする。このため、入射角が45°以上の光は原稿40の画像を読み取る光としては機能をしない。
【0099】
原稿40の画像の読み取り時に、保護シート界面26での反射光を受光素子16で受光することを抑制するためには、保護シート界面26での反射を抑制することが効果的である。このため、原稿40の画像の読み取り時には、保護シート界面26での反射率が低い状態を維持するのが好ましいが、反射率は、光が保護シート界面26を透過する際における保護シート界面26に対する角度によって変化する。
【0100】
保護シート界面26での反射率を抑制するためには、反射率が増加する光の角度を導出し、保護シート界面26に対する光の角度がこの範囲内になるように光を照射するのが好ましい。ここで、このように反射率が増加する光の角度は、フレネルの式より求めることが可能になっている。フレネルの式を用いて反射率を算出すると、p波とs波との反射率の総和は、ある角度まではほぼ一定になり、それ以上の場合は反射率が大きくなるので、反射率の総和が0.1%増加する角度を、反射率が増加する光の角度として定義する。
【0101】
また、面光源20からの光が保護シート界面26に到達する際における光の角度は、保護シート層25の屈折率によっても異なる。このため、反射率が増加する光の角度を定める際には、保護シート層25の屈折率も含めて定めるのが適切であるが、保護シート層25として使用される部材の屈折率は、1.3〜1.7程度になっている。従って、保護シート層25として使用される部材を考慮し、屈折率が1.2〜1.8の範囲で、屈折率が0.1変化するごとに反射率が増加する光の角度を定めると、表1のように定めることができる。
【0102】
【表1】

【0103】
面光源20から照射した光が、受光層15のガラス基板17を透過して保護シート層25に入射する際における入射角は、保護シート層25の屈折率ごとに、表1中の反射率が増加する光の角度以下であることが望ましい。これにより、保護シート層25を透過する光は保護シート界面26で反射し難くなるので、保護シート界面26で反射した光を受光素子16で受光し難くすることができる。
【0104】
また、本実施形態に係る密着型画像読取装置1は、このように読み取った原稿40の画像に対して、シェーディング補正を行う。即ち、主制御基板30は、画像読取センサ10で読み取った原稿40の画像のシェーディング補正を行う制御部としても設けられており、読取画像取込部34で取り込んだ原稿40の画像情報を、主制御基板30が有する画像補正部35によってシェーディング補正する。つまり、予め主制御基板30が有する記憶部37に記憶されている、シェーディング補正時の基準データに基づいて、読取画像取込部34で取り込んだ原稿40の画像情報を補正し、輝度ムラに対して、画像が一様な明るさになるように補正する。
【0105】
このシェーディング補正時の基準データとしては、画像の白側の基準となるデータである白基準データと、画像の黒側の基準となるデータである黒基準データとが記憶部37に記憶されている。なお、この白基準データと黒基準データとのうち、黒基準データは、画像読取センサ10での読み取り範囲に対してラインデータとなっており、黒基準データはラインデータとして記憶部37に記憶されている。シェーディング補正を行う場合は、画像読取センサ10の背面側に面光源20を備える本実施形態に係る密着型画像読取装置1では、白側と黒側との双方の補正データを生成してシェーディング補正を行う。
【0106】
このうち、白側の補正データは、白色の基準となるシートである基準シートを撮影した場合における画像データと、記憶部37に記憶されている白基準データとを比較し、双方の差を白側の補正データとして記憶部37に記憶する。また、黒側の補正データは、面光源20を消灯した状態で撮影した場合における画像データと、記憶部37に記憶されている黒基準データとを比較し、双方の差を黒側の補正データとして記憶部37に記憶する。シェーディング補正は、読取画像取込部34で取り込んだ原稿40の画像情報を、記憶部37に記憶されている白側の補正データと黒側の補正データとを用いて画像補正部35によって補正をする。これにより、読取画像取込部34で取り込んだ原稿40の画像情報の輝度ムラを抑え、画像全体の明るさを一様な明るさに補正する。
【0107】
以上の画像読取センサ10は、原稿40からの反射光によって画像を読み取る際に原稿40に照射する光を、拡散光と比較して保護シート層25の厚さ方向の光の成分を増加させて、受光層15の開口部18から保護シート層25の方向に面光源20によって照射するため、ノイズ成分を低下させて読み取ることができる。つまり、原稿40の画像の読み取り時には、原稿40で反射させて受光素子16で受光する光を、面光源20から原稿40の方向に照射するが、この光は、面発光型のレーザーアレイである面光源20で発光した光であるため、保護シート層25の厚さ方向の光の成分が増加している。このため、この光は、保護シート界面26に対してほぼ直交する向きで進むため、面光源20から保護シート層25を透過して原稿40の方向に向う際に、保護シート界面26で反射し難くなっている。これにより、この光が、原稿40で反射する前に保護シート界面26で反射し、保護シート界面26で反射した光を受光素子16で受光することに起因して、原稿40の画像の読み取り時にノイズ成分が増加することを抑制することができる。従って、画像の読み取り時にノイズ成分が増加することに起因して画像の画質が劣化することを抑制することができる。この結果、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0108】
また、保護シート層25の内部を通る光が、保護シート層25の厚さ方向の成分が増加するように面光源20によって光を照射するので、保護シート層25を透過する光が、保護シート層25内から原稿40が位置している側に出射する際に、保護シート界面26で反射することを、より確実に抑制することができる。これにより、保護シート界面26で反射した光を受光素子16で受光することに起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0109】
また、面光源20は、略平行光のみを発光するので、原稿40の画像を読み取る際に、光を拡散させないで保護シート層25を透過させることができる。このため、面光源20から保護シート界面26に到達する光は、ほぼ全ての光が保護シート界面26に対して同じ角度で到達し、ほぼ全ての光が、保護シート界面26に対して直交する向きで到達する。これにより、保護シート層25を透過する光が保護シート界面26で反射することを、より確実に抑制することができ、画像の読み取り時におけるノイズ成分の増加を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0110】
また、照光部の光源として、面発光型のレーザーアレイを面光源20として用いているので、拡散光と比較して保護シート層25の厚さ方向の光の成分を増加させて、保護シート層25の方向に光を照射する照光部を設ける際に、容易に設けることができる。これにより、面光源20からの光が原稿40で反射する前に、保護シート界面26で反射することを、容易に抑制することができ、保護シート界面26での光の反射に起因して、原稿40の画像の読み取り時に画質が劣化することを、容易に抑制することができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0111】
また、保護シート層25を、絶縁部材により形成しているので、受光素子16を電気的に保護することができる。例えば、画像読取センサ10に接触する原稿40が帯電している場合でも、保護シート層25を絶縁部材によって形成することにより、原稿40と受光素子16との間で静電気が発生することを抑制でき、受光素子16を電気的に保護することができる。従って、原稿40の画像を読み取る部分である受光素子16を保護シート層25によって保護する際に、埃から保護したり傷が発生することから保護したりするのみでなく、電気的にも保護し、受光素子16に不必要な電気が流れることによる受光素子16の破損を抑制することができる。この結果、より安定して画像を読み取ることができる。
【0112】
また、保護シート層25を、屈折率が空気の屈折率とガラスの屈折率との間の屈折率になる部材により形成しているので、保護シート層25を透過する光が、保護シート界面26で反射することを、より確実に抑制することができる。つまり、受光素子16を有する受光層15は、ガラスに受光素子16を配設することによって形成されており、また、画像読取センサ10で画像を読み取る原稿40は、保護シート層25における受光層15の反対側に配置する。また、原稿40の画像を読み取る際に、面光源20から保護シート層25の方向に照射する光は、受光層15の開口部18から保護シート層25の方向に照射するため、受光層15のガラスを透過して保護シート層25に向う。さらに、この光が原稿40に到達する場合には、保護シート界面26を透過し、空気中で原稿40に到達する。従って、面光源20で発光した光は、受光層15のガラスを通り、保護シート層25を通った後、空気中に出射する。
【0113】
このため、保護シート層25を、空気の屈折率とガラスの屈折率との間の屈折率になる部材によって形成することにより、面光源20で発光した光に、保護シート層25の厚さ方向に対して角度を有する方向の成分が含まれている場合でも、この光は、ガラスから保護シート層25に入射する際に屈折率の差によって屈折する。即ち、この光は、ガラスから保護シート層25に入射する際に屈折率の差によって進行方向が変化し、保護シート層25の厚さ方向に対する角度が小さくなる。従って、面光源20で発光した光に、保護シート層25の厚さ方向に対して角度を有する方向の成分が含まれている場合でも、屈折率の差によって、保護シート層25内ではこの角度が小さくなるため、この光は、保護シート界面26で反射し難くなる。これにより、保護シート界面26での反射に起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0114】
また、このように、保護シート層25を、屈折率が空気の屈折率とガラスの屈折率との間の屈折率になる部材により形成することにより、面光源20で発光した光が受光層15に入射する際における入射角を緩和することができる。これにより、より容易に、保護シート界面26での反射を抑制することができ、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを、より容易に抑制することができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0115】
また、保護シート層25を、透過率が90%以上であるなど透過率が高い光学部材によって設けた場合には、面光源20から保護シート層25に光が照射された場合に、この光が保護シート層25内で拡散することを抑制することができる。これにより、面光源20から照射された光が、原稿40に到達する前に保護シート層25内で拡散し、この拡散した光が、受光層15の方向に向かって受光層15の受光素子16で受光することに起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを抑制することができる。従って、保護シート界面26での反射に起因して受光素子16が不必要な光を受光することを抑制するのみでなく、保護シート層25内で光が拡散することによって受光素子16が不必要な光を受光することも抑制することができ、より確実に、ノイズ成分が増加することを抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0116】
また、保護シート層25を、厚さが0.5mm以下であるなど厚さが薄い光学部材によって設けた場合には、面光源20から保護シート層25に光が照射された場合における保護シート層25内での拡散光を低減することができる。つまり、保護シート層25を光が透過する場合、この光は保護シート層25内で拡散する場合があるが、保護シート層25の厚さを薄くすることにより、保護シート層25内を通る光の距離を短くすることができる。これにより、保護シート層25内で光が拡散する機会を低減させることができ、保護シート層25内での拡散光を低減することができる。従って、保護シート層25内での拡散光を受光層15の受光素子16が受光することにより、受光素子16が不必要な光を受光することを抑制することができるので、より確実に、ノイズ成分が増加することを抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0117】
また、保護シート層25を、このように厚さが薄い光学部材によって設けた場合には、画像読取センサ10の厚さを薄くすることができ、画像読取センサ10の小型化を図ることができる。この結果、画像読取センサ10や密着型画像読取装置1の小型化を図ることができる。
【0118】
また、実施形態に係る密着型画像読取装置1は、画像読取センサ10で読み取った原稿40の画像のシェーディング補正を行う主制御基板30を有しているため、原稿40の画像の読み取り時におけるノイズを低減させることができ、さらに、シェーディング補正を適切に行うことができる。つまり、面光源20から保護シート層25の方向に光を照射した場合に、この光が保護シート界面26で反射し、さらに反射光が受光素子16に到達することに起因してノイズが発生する場合、シェーディング補正時の黒側の補正データとして、面光源20の消灯時のデータを用いることができない。この場合、黒側の補正データを得る際に用いる黒基準のシートを用意する必要があるが、このようなシートでデータを得る場合、シートにゴミ等が付着すると、その状態が黒側の補正データになるので、シェーディング補正後の画像が乱れてしまう場合がある。
【0119】
これに対し、画像読取センサ10の面光源20から保護シート層25の方向に光を照射した場合に、この光が保護シート界面26で反射することを抑制した場合には、画像読み取り時のノイズの発生を抑制することができるので、面光源20を消した状態を、黒側の補正データとすることができる。このため、シェーディング補正を行う場合に、面光源20の消灯時のデータを補正データとして用いることができるため、黒側の補正データを適切に得ることができ、シェーディング補正後の画像の画質を確保することができる。これらの結果、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0120】
また、面光源20で発光した光が保護シート界面26で反射することを抑制し、保護シート界面26での反射光を受光素子16で受光することを抑制することにより、シェーディング補正時に用いる黒基準のシートを用意する必要がなくなる。この結果、密着型画像読取装置1の小型化を図ったり、製造コストの低減を図ったりすることができる。
【0121】
また、黒基準のシートを用いて黒側の補正データを生成する場合には、保護シート界面26での反射光を加味する必要があるため、画像読取センサ10での画像の読み取り範囲全体のデータが必要になるが、面光源20の消灯時のデータを黒側の補正データとして用いた場合には、データサイズを小さくすることができる。これにより、シェーディング補正時のCPU32の負荷の低減を図ることができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0122】
また、シェーディング補正時の基準データを保存する記憶部37を有しているので、シェーディング補正を行う際に、画像読取センサ10で撮影した画像データを、この基準データと比較し、シェーディング補正に用いる補正データを容易に生成することができる。従って、より容易にシェーディング補正を行うことができ、より確実に、シェーディング補正後の画像の画質を確保することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0123】
また、シェーディング補正時の黒基準データは、画像読取センサ10での読み取り範囲に対してラインデータとなっているので、黒基準データのデータ量を小さくすることができる。これにより、基準データを保存する記憶部37の容量を小さくすることができ、また、データ量が小さいため、シェーディング補正時に扱うデータ量を少なくすることができ、シェーディング補正を、より容易に行うことができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0124】
なお、上述した実施形態に係る密着型画像読取装置1では、原稿40の画像の読み取り時に保護シート層25の方向に光を照射する光源として、レーザーアレイからなる面光源20を用いているが、光源は、面光源20以外のものを用いてもよい。光源として、例えば複数が面状に配置された指向性の高いLED(Light Emitting Diode)光源を用いてもよい。照光部の光源として、このように指向性の高いLED光源を用いることにより、原稿40の画像の読み取り時に原稿40の方向に照射する光を、拡散させない状態で照射することができる。これにより、保護シート界面26に到達するほぼ全ての光を、保護シート界面26に対して同じ角度で到達させることができ、ほぼ全ての光を、保護シート界面26に対して直交する向きで到達させることができる。従って、保護シート層25を透過する光が保護シート界面26で反射することを、より確実に抑制することができ、画像の読み取り時におけるノイズ成分の増加を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0125】
図16は、実施形態に係る密着型画像読取装置の変形例を示す説明図である。また、照光部は、光源として保護シート層25の厚さ方向に光を照射する光源以外のものを使用し、この光源から照射された光を平行光にして保護シート層25の方向に照射する構成にしてもよい。例えば、図16に示すように、光源として、発光部であるLED53と、このLED53で発した光を受光層15のガラス基板17全体に導く導光板51及び反射板52と、を備えるバックライト50を用いてもよい。
【0126】
また、この場合、受光層15とバックライト50との間には、バックライト50で発光した光を略平行光にする平行光生成部としてコリメートレンズ55が配設されている。これにより、原稿40の画像を読み取る際には、バックライト50で発光してコリメートレンズ55で略平行光にした光を、保護シート層25の方向に照射する。つまり、LED53で発光し、導光板51や反射板52でガラス基板17全体に導かれた光は、拡散成分を含んで保護シート層25の方向に照射される。バックライト50と受光層15との間に位置するコリメートレンズ55は、この拡散成分を含んで照射されるバックライト50からの光を、略平行光にし、保護シート層25の厚さ方向の光の成分を増加させて、保護シート層25の方向に照射する。
【0127】
これにより、コリメートレンズ55で略平行光となってガラス基板17に入射した光は、略平行光の状態で受光層15のガラス基板17から保護シート層25に入射し、保護シート層25の厚さ方向に保護シート層25を透過する。このため、保護シート層25に入射した光の大部分は、保護シート界面26で反射せずに保護シート界面26を透過し、原稿40で反射して反射光を受光層15の受光素子16で受光することにより、画像を読み取る。
【0128】
これらのように照光部を、光源であるバックライト50と、バックライト50で発光した光を略平行光にするコリメートレンズ55とを用いて構成することにより、より確実に、原稿40の画像の読み取りに用いる光を、拡散光と比較して保護シート層25の厚さ方向の光の成分を増加させて、保護シート層25の方向に光を照射することができる。また、このような光を照射する照光部を設ける際に、コリメートレンズ55を用いることにより、容易に設けることができる。従って、照光部であるバックライト50やコリメートレンズ55からの光が、保護シート界面26で反射することに起因して、原稿40の画像の読み取り時に画質が劣化することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0129】
また、平行光生成部としてコリメートレンズ55を用いることにより、バックライト50で発光した光を保護シート層25の方向に照射する場合に、より確実に、且つ、容易に略平行光にして照射することができる。これにより、保護シート層25内を透過する光が、保護シート界面26で反射することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0130】
なお、バックライト50で発光した光を略平行光にする平行光生成部は、コリメートレンズ55以外の光学部材を用いてもよい。例えば、平行光生成部としてプリズムシート(図示省略)を用いてもよい。平行光生成部としてプリズムシートを用いることにより、バックライト50で発光した光を保護シート層25の方向に照射する場合に、プリズムシートによって、より確実に、且つ、容易に略平行光にして照射することができる。これにより、照光部からの光が、保護シート界面26で反射することに起因して、原稿40の画像の読み取り時に画質が劣化することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0131】
また、これらのように、コリメートレンズ55やプリズムシートを用いることにより、平行光を生成する照光部の小型化や薄型化、軽量化を図ることができる。この結果、画像読取センサ10や密着型画像読取装置1の小型化や軽量化を図ることができる。
【0132】
図17は、実施形態に係る密着型画像読取装置の変形例を示す説明図である。また、平行光生成部は、コリメートレンズ55やプリズムシート等の光学部材以外のものを用いてもよい。例えば、図17に示すように、平行光生成部は、スリット板60が用いられていてもよい。詳しくは、スリット板60は、上述したコリメートレンズ55等と同様に受光層15とバックライト50との間に、保護シート層25の厚さ方向のスリットが複数形成された形状で設けられている。
【0133】
これにより、バックライト50で発光し、拡散成分を含んで受光層15の方向に向う光は、スリット板60のスリットを通過することができる成分のみが、スリット板60を通過し、それ以外の方向の成分は、スリット板60によって遮蔽される。つまり、バックライト50で発光した光は、スリット板60によって、保護シート層25の厚さ方向の略平行光のみの光となって受光層15のガラス基板17に入射し、保護シート層25に入射する。これにより、保護シート層25への入射光は、保護シート層25の厚さ方向に近い角度になり、入射角が0°に近くなるため、保護シート界面26で反射し難くなる。
【0134】
このように、平行光生成部としてスリット板60を用いることにより、バックライト50で発光した光を保護シート層25の方向に照射する場合に、より確実に、且つ、容易に略平行光にして照射することができる。これにより、保護シート層25内を透過する光が、保護シート界面26で反射することを、より確実に、且つ、容易に抑制することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0135】
また、照光部は、偏光フィルタ(図示省略)を設けてもよい。この場合、偏光フィルタは、上述したコリメートレンズ55等と同様に、バックライト50と受光層15との間に配設する。また、この偏光フィルタは、バックライト50で発光した光を、p波のみの成分にして保護シート層25の方向に照射することのできる偏光フィルタを用いる。照光部を、このように偏光フィルタとバックライト50とを用いて構成し、バックライト50で発光した光を、偏光フィルタを用いてp波のみの成分にして保護シート層25の方向に照射することにより、保護シート層25内を透過する光が、保護シート界面26で反射することを、より確実に抑制することができる。
【0136】
つまり、屈折率が異なる物体同士の界面を光が透過する場合、この界面での光の反射率は、光の波の振幅方向が界面に対して平行な方向の波であるp波と、光の波の振幅方向が界面に対して垂直な方向の波であるs波と、によって異なり、p波よりもs波の方が、光が界面に同じ角度で到達した際の反射率が大きくなっている(図9、図10参照)。このため、バックライト50と受光層15との間に偏光フィルタを配設し、バックライト50で発光した光を偏光フィルタで偏光させてp波の成分のみを保護シート層25の方向に照射することにより、保護シート層25内を透過する光が保護シート界面26に到達した際に、保護シート界面26で反射し難くすることができる。従って、保護シート層25の方向に照射した光が、保護シート界面26で反射した光を受光素子16で受光することに起因して、画像の読み取り時におけるノイズ成分が増加することを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0137】
また、実施形態に係る密着型画像読取装置1では、シェーディング補正に用いる黒基準データは、画像読取センサ10での読み取り範囲に対してラインデータとなっているが、黒基準データは、画像読取センサ10での読み取り範囲で共通の1データとなっていてもよい。シェーディング補正時の黒基準データを、画像読取センサ10での読み取り範囲で共通の1データとすることにより、黒基準データのデータ量を、より小さくすることができる。つまり、面光源20からの光が保護シート界面26で反射することを抑制し、各受光素子16での感度ムラを抑制することにより、全画素共通で同じ黒基準データを用いてシェーディング補正を行うことができる。これにより、シェーディング補正時に処理するデータ量が少なくなるので、シェーディング補正を、より容易に行うことができる。この結果、より容易に、画質の劣化を抑制して画像を読み取ることができる。
【0138】
また、実施形態に係る密着型画像読取装置1では、画像読取センサ10は、1つが本体部6に設けられているのみであるが、画像読取センサ10は複数設けられていてもよい。図18は、実施形態に係る密着型画像読取装置の変形例を示す概略図である。図19は、図18に示す密着型画像読取装置の蓋部を開いた状態を示す図である。例えば、画像読取センサ10は、本体部6に設けるのみでなく、図19に示すように、押圧部材である蓋部5に、原稿40の画像を読み取ることができる第2画像読取センサ72を設けてもよい。即ち、この場合、本体部6には、実施形態に係る密着型画像読取装置1と同様に、画像読取センサ10として第1画像読取センサ71を設け、蓋部5には、蓋部5を閉じた際における本体部6側の面に第2画像読取センサ72を設ける。これらの第1画像読取センサ71と第2画像読取センサ72とは、蓋部5と本体部6とを閉じた際に、重なり合う位置に配設されている。
【0139】
このように設けられる密着型画像読取装置1で原稿40の画像を読み取る場合には、原稿40を第1画像読取センサ71上に載置した状態で蓋部5を閉じることにより、原稿40を蓋部5と本体部6とで挟み込む。これにより、原稿40は、第1画像読取センサ71と第2画像読取センサ72とで挟み込まれた状態になり、即ち、原稿40の両面に第1画像読取センサ71と第2画像読取センサ72とが位置する状態になる。これにより、原稿40の画像の読み取り時は、原稿40の両面の画像を第1画像読取センサ71と第2画像読取センサ72とで読み取る。従って、原稿40の両面の画像を読み取る際に、第1画像読取センサ71と第2画像読取センサ72とで同時に読み取ることができるので、両面の読み取りを行う際に、容易に、且つ、短時間で読み取ることができる。
【0140】
また、このように原稿40を挟み込む密着型画像読取装置1には、画像読取センサ10で読み取る画像を表示する部分を設けてもよい。例えば、図18に示すように、蓋部5における本体部6に対向する側の反対側の面に、画像読取センサ10で読み取る画像を表示する画像表示部75を設けてもよい。これにより、画像読取センサ10で原稿40の画像を読み取って記憶部37に記憶する際に、所望の読み取り状態になってから記憶することができる。これにより、より確実に、所望の画像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のように、本発明に係る密着型画像読取センサ及び密着型画像読取装置は、画像を読み取る密着型画像読取センサに原稿を密着させて読み取る画像読取装置に有用であり、特に、密着型画像読取センサにおける原稿を読み取る面の反対側から、原稿の画像の読み取りに使用する光を照射する密着型画像読取装置に適している。
【符号の説明】
【0142】
1 密着型画像読取装置
5 蓋部
6 本体部
10 画像読取センサ
15 受光層
16 受光素子
17 ガラス基板
18 開口部
20 面光源
25 保護シート層
26 保護シート界面
30 主制御基板
31 処理部
32 CPU
40 原稿
50 バックライト
51 導光板
52 反射板
53 LED
55 コリメートレンズ
60 スリット板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元配列された複数の受光素子を有する受光層と、
前記受光層における前記受光素子での受光側の面に配設され、且つ、光を透過する保護シート層と、
光を発光する光源を有していると共に、拡散光と比較して前記保護シート層の厚さ方向の光の成分を増加させて、前記光源で発光した光を前記受光層における前記受光素子間から前記保護シート層の方向に光を照射する照光部と、
を備えることを特徴とする密着型画像読取センサ。
【請求項2】
前記照光部は、前記保護シート層の内部を通る光が、前記保護シート層の厚さ方向の成分が増加するように光を照射することを特徴とする請求項1に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項3】
前記光源は、略平行光のみを発光することを特徴とする請求項1また2に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項4】
前記光源は、面状に配置された指向性の高いLED光源が用いられることを特徴とする請求項3に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項5】
前記光源は、面発光型のレーザーアレイが用いられることを特徴とする請求項3に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項6】
前記照光部は、前記光源で発光した光を略平行光にする平行光生成部を有しており、前記光源で発光して前記平行光生成部で略平行光にした光を前記保護シート層の方向に照射することを特徴とする請求項1または2に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項7】
前記平行光生成部は、プリズムシートが用いられることを特徴とする請求項6に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項8】
前記平行光生成部は、コリメートレンズが用いられることを特徴とする請求項6に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項9】
前記平行光生成部は、スリット板が用いられることを特徴とする請求項6に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項10】
前記照光部は偏光フィルタを有していると共に、前記光源で発光した光を前記偏光フィルタを用いてp波のみの成分にして前記保護シート層の方向に照射することを特徴とする請求項1または2に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項11】
前記保護シート層は、光学部材で透過率が高くなっていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項12】
前記保護シート層は、厚さが薄い光学部材により形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項13】
前記保護シート層は、絶縁部材により形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項14】
前記保護シート層は、屈折率が空気の屈折率とガラスの屈折率との間の部材により形成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の密着型画像読取センサ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の密着型画像読取センサと、
前記密着型画像読取センサで読み取った原稿の画像のシェーディング補正を行う制御部と、
を備えることを特徴とする密着型画像読取装置。
【請求項16】
さらに、前記シェーディング補正を行う際の基準データを保存する記憶部を有していることを特徴とする請求項15に記載の密着型画像読取装置。
【請求項17】
前記基準データのうち、前記密着型画像読取センサで読み取った画像の黒側の基準となる黒基準データは、前記密着型画像読取センサでの読み取り範囲に対してラインデータとなっていることを特徴とする請求項16に記載の密着型画像読取装置。
【請求項18】
前記基準データのうち、前記密着型画像読取センサで読み取った画像の黒側の基準となる黒基準データは、前記密着型画像読取センサでの読み取り範囲で共通の1データとなっていることを特徴とする請求項16に記載の密着型画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−250315(P2011−250315A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123447(P2010−123447)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】