説明

密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置及びその回収方法

【課題】密閉加圧型混練機において、多量の粉末配合剤が粉塵として廃棄されるのを抑制し、それを簡易な手段で捕捉して混練槽内に戻すことにより、作業環境を改善すると同時に、有価回収率を著しく高めて、配合品質を設計品質に近づける手段を提供する。
【解決手段】混練槽2内において、混練材料を粉末配合剤Pと共に混練ローター9の回転により混練する密閉加圧型混練機に、噴出する粉末配合剤を回収する回収装置20を付設する。この回収装置は、混練槽の加圧蓋昇降路3の周囲を囲む囲壁4の側面に、通気シュート22を介して筒状の拡縮自在なエアーバッグ21を連結し、該エアーバッグの上部に、外部に通断可能な分岐ダクト35を連結し、エアーバッグの内部に、混練槽側から流入する気体に同伴される粉末配合剤を濾過捕捉する濾筒25を懸架配設して、該濾筒が捕捉した粉末配合剤を上記エアーバッグに蓄圧した与圧気流により混練槽に還流可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム・プラスチック・セラミックス等の高粘度混練材料をバッチ式で混練する密閉加圧型混練機において噴出する粉末配合剤を回収する回収装置及び該装置による粉末配合剤の回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
混練槽内に一対の混練ローターを軸架して、混練材料を加圧しながら該一対の混練ローターの回転により混練するようにした密閉型の混練機は、特に例を挙げるまでもなく、従来より広く知られている。そして、既知のバッチ式のゴム・プラスチック・セラミックス等の高粘度混練材料の混練機には、開放型のものと密閉加圧型のものとがあり、密閉加圧型の混練機においては、粉末配合剤を混練槽に一括投入する際に、混練槽に流入する粉末配合剤の体積に対応する気体が該粉末配合剤を同伴して噴出し、また、加圧蓋を降下させるときには加圧蓋昇降路内の気体が圧縮されて昇圧し、該加圧蓋の降下に伴って混練槽内から該加圧蓋の上側へ置換される体積の粉末配合剤を同伴した含塵気体が、加圧蓋と昇降路内壁四周の狭隘な隙間から機体外へ噴出するため、外部に粉塵飛散をさせないように大容量の吸引能力を備えた吸引フードを設け、集塵吸引しなければならない、という問題がある。
【0003】
これに対し、特許文献1に開示されている混練機(ミキサー)では、混練槽(ミキサー室16)の上側方にシュート34を介して膨縮自在な圧力調整用エアーバッグ28を連設した内圧上昇防止装置10を備え、混練槽内の圧力が上昇したときには該槽内の気体を上記エアーバッグ内に流入させ、混練槽の内圧が低下したときにエアーバッグ内の気体を混練槽内に還流させるように構成している。この内圧上昇防止装置10は、加圧蓋が混練材料を混練槽に押し込む際に、加圧蓋の降下距離相当容積の気体を加圧して、混練槽内を昇圧させるのを抑制し、混練槽に投入された粉末配合剤を、混練機の軸封構造や、混練材料の投入或いは排出部のドアのシール部から漏出させる原因となっているところの昇圧を防止するために有効なものであるが、前述した密閉加圧型混練機において混練槽内に投入した粉末配合剤が該混練槽の該開口部の周囲等から外部に噴出して周囲環境を悪化させるのを抑止する機能をも備えるものである。
【0004】
これを具体的に説明すると、上記特許文献1に開示された混練機においては、混練槽への加圧蓋の降下動作に伴って該混練槽内で昇圧される気体は、混練槽の開口部における加圧蓋の周囲の隙間から、粉末配合剤を同伴した粉塵流となって加圧蓋の上方へ噴き上がることになるが、該混練機はエアーバッグ28を備えた内圧上昇防止装置10を装備しているので、上記粉末配合剤を含む混相気体が該エアーバッグに滞留蓄圧され、それが加圧蓋の上昇動作による混練槽内の瞬間的圧力降下によって混練槽内に還流され、それにより、粉塵流となって加圧蓋の上方へ噴き上がった粉末配合剤は混練進行中の混練物に取り込まれて回収される。
【0005】
そのため、内圧上昇防止装置を装備しない混練機に比べて、混練機周辺の粉塵拡散による汚染が減少し、従来からカーボンブラックや白色充填剤等の粉末配合剤の噴出で非常に悪くなっていた作業環境の改善にすぐれた効果を発揮すると同時に、噴出した粉末配合剤を回収して混練材料に戻すことにより配合品質を改善することができるものであるが、粉末配合剤の有価回収率は50%程度に留まり、その効果は次のような理由で必ずしも満足できるものではない。
【0006】
即ち、上記特許文献1における内圧上昇防止装置10では、上記エアーバッグ本体30として、少なくともラムシリンダー24の上下運動により動かされる空気量分の容量が必要であるが、その容量では、混練槽への予定投入量よりも多い原料の投入や、混練槽内の気体の昇温等によって、エアーバッグ本体30に流入する気体がエアーバッグの容量を超える可能性があり、そのため、エアーバッグ本体30に破壊回避のための安全流路を構成する分岐ダクト50を連結し、該エアーバッグ本体に流入する気体がその容量を超える場合には、該気体の一部を該分岐ダクト50を通して外部の集塵機に排出できるようにしている。
【0007】
一方、内圧上昇防止装置10のかかる構成では、上記シュート34を介して混練槽に連結したエアーバッグ28が、大量の気体を流入させる容量を必要とすることから比較的大径となり、そのため、シュート34を通してエアーバッグ28に流入した気体は急速に流速が低下し、粉末配合剤の混相気流中における大粒径の粉末は早期に沈降して堆積し、中粒径の粉末は混合気相としてエアーバッグ28内に浮遊滞留するが、微細粉末は上記分岐ダクト50を通して外部の集塵機に吸引されるので、粉末配合剤の回収量が制約されるものと考えられ、つまり、加圧蓋の急降下時や、大量の粉末配合剤が混練槽に投入された際に混練槽から一気に押し出される置換気体が、高濃度の粉末配合剤を同伴して分岐ダクト50から集塵機に吸引されることになる。
【0008】
従って、上記エアーバッグ28を備えていても、分岐ダクト50を通して集塵機に排出される気体が粉塵としての多くの粉末配合剤を含み、該分岐ダクトからの排気中の粉塵は分離回収することができないため、作業環境の改善効果は期待できるにしても、エアーバッグ28内に噴出する多くの粉末配合剤を高効率で回収して混練材料に戻すことができず、混練槽から噴出する粉末配合剤のほぼ半分に近い量が粉塵として廃棄処理されることもあり、有価回収率を高めて配合品質を設計品質に近づけるために、更なる有価回収率の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−185948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の技術的課題は、上記内圧上昇防止装置を構成するエアーバッグを備えた特許文献1に係る密閉加圧型混練機(ミキサー)において、粉末配合剤回収の性能をより向上させ、更に具体的には、上記エアーバッグに流入する気体が該エアーバッグの容量を超えることがあっても、該エアーバッグに連結した分岐ダクトを通して該気体の一部を外部に排出させるに際し、粉塵としての多量の粉末配合剤を含ませることなく、それを簡易な手段で捕捉して混練槽内に戻すことにより、低コストで配合品質を設計品質に近づけ、結果的に、有価回収率を著しく高めることができるようにすると同時に、混練機周辺への粉塵飛散による汚染を著しく抑制できるようにした粉末配合剤回収手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置は、加圧機構で開閉自在の加圧蓋によって上方の加圧蓋昇降路を閉鎖可能にした混練槽に、該混練槽内において回転する一対の混練ローターを備え、該混練槽に投入した混練材料を粉末配合剤と共に上記加圧蓋で加圧しながら、上記混練ローターの回転によりそれらを混練するようにした密閉加圧型混練機に付設され、上記混練槽から噴出する上記粉末配合剤を回収するための粉末配合剤回収装置であって、上記加圧蓋により開閉される混練槽の加圧蓋昇降路の周囲を囲む囲壁の一側面に、通気シュートを介して、筒状をなす拡縮自在なエアーバッグを連結し、該エアーバッグの上端は、上記筒状に保形して封止したうえで、該エアーバッグの拡縮に応じて昇降可能に吊下し、該エアーバッグの上部には過大な与圧を避ける安全流路としての外部に通断可能な分岐ダクトを連結し、上記エアーバッグの内側に、該エアーバッグに混練槽側から流入する気体に同伴されている粉末配合剤を濾過捕捉する濾筒を懸架配設し、該濾筒に捕捉した粉末配合剤を上記エアーバッグに蓄圧した与圧気体により混練槽に還流可能にしたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置の好ましい実施形態においては、上記混練槽の加圧蓋昇降路の囲壁の側面に、該混練槽に混練材料を投入する開閉自在の投入扉と、投入用のバルブを有する粉体シュートを介して上記粉末配合剤を投入する配合剤ホッパーとを設け、混練槽に上記エアーバッグを連結する上記通気シュート及び上記分岐ダクトに、それぞれ開閉ダンパを設けて、それらの開閉ダンパを手動または制御装置による自動で開閉可能に構成される。
【0013】
また、本発明の粉末配合剤回収装置の好ましい実施形態において、上記エアーバッグの内部に懸架配設する濾筒は、円筒状の濾布素材の上部を襞折りで絞ることにより該上部を細径として封止し、該濾筒はその円筒状をなす下端が上記エアーバッグの下端と共に前記通気シュートの上端拡径部に連結される。更に具体的には、該濾筒は、上記円筒状の濾布素材の上部を襞折りで絞ることにより生じるところの襞谷の内底面に接する包絡面が円錐形を呈するものとし、上記エアーバッグが内部の与圧で筒状に保たれるときに、該バッグの内面とは全周面において間隙が保持される錐状の形態を有するものとして構成される。
【0014】
更に、本発明の粉末配合剤回収装置の他の好ましい実施形態においては、濾筒に捕捉した粉末配合剤を上記エアーバッグ内の与圧気体により払い落として混練槽に還流させるのを助勢する粉末配合剤の払い落とし機構として、上記エアーバッグ内で濾筒の外側領域に払い落とし用気体を吹き込むノズルを配設すると共に、該ノズルを、その通気量を制御する通気制御弁を介して気体供給源に接続したものとして構成される。
【0015】
また、上記課題を解決するための本発明に係る密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収方法は、混練槽に投入した混練材料を、配合剤ホッパーから粉体シュートを介して投入した粉末配合剤と共に、該混練槽内において加圧蓋で加圧しながら、回転する一対の混練ローターにより混練する密閉加圧型混練機において、上記混練槽から噴出する粉末配合剤を回収する方法であって、粉末配合剤を回収するための粉末配合剤回収装置は、上記混練槽の加圧蓋昇降路に連通する通気シュートを介して拡縮自在なエアーバッグを連結すると共に、該エアーバッグに、外部に通断可能な分岐ダクトを連結し、上記通気シュート及び分岐ダクトにそれぞれ開閉ダンパを備えたものとし、上記混練槽における混練材料と粉末配合剤との混練に際しては、上記分岐ダクトの開閉ダンパを開くと共に、通気シュートの開閉ダンパを閉じた状態で、上記粉体シュートに設けた投入用バルブを開くと同時に、通気シュートに設けた開閉ダンパを開いて、混練槽の混練材料上に粉末配合剤を投入し、その際に混練槽側からエアーバッグ側に噴流する気体に同伴される粉末配合剤をエアーバッグの内部に設けた濾筒で濾過捕捉しながら、該気体によりエアーバッグ内の与圧を行い、次いで、混練材料と粉末配合剤を混練するための加圧蓋の降下に伴って混練槽から噴出する気体及びそれに同伴される粉末配合剤を上記エアーバッグ内に流入させて、該気体によりエアーバッグ内を与圧すると共に、該気体に同伴された粉末配合剤を上記濾筒に捕捉させて、上記混練ローターによる混練操作を行い、該混練操作の終了に際し、加圧蓋を上昇させる瞬間に負圧になる混練槽内に、与圧状態で充填されていたエアーバッグ内の気体を流入させ、該気流により前記濾筒において分離捕捉されていた粉末配合剤を混練槽内に払い落とし、その後、上記加圧蓋を降下させて混練槽に戻された粉末配合剤を混練する仕上げ混練の操作を行い、一連の混練操作を終了することを特徴とするものである。
【0016】
上記粉末配合剤回収方法の好ましい実施形態においては、上記エアーバッグの内部に懸架配設する濾筒として前述した構成の濾筒を用い、該濾筒を、上記エアーバッグが内部の与圧で筒状に保たれるときに、該バッグの内面とは全周面において間隙が保持される錐状の形態を有するものとして構成される。
また、上記粉末配合剤回収方法の他の好ましい実施形態においては、混練操作後の加圧蓋の上昇に伴う混練槽内の降圧により、エアーバッグ内に与圧状態で充填されていた気体が混練槽内に流入する際に、上記濾筒に捕捉していた粉末配合剤を払い落とす付加的な払い落とし機構を動作させて、上記濾筒の粉末配合剤を払い落とすように構成される。
【0017】
上述した密閉型混練機においては、特許文献1に開示された密閉型混練機の内圧上昇防止装置と近似した構成の粉末配合剤回収装置を装備するが、上記粉末配合剤回収方法を実施するに当たっては、特許文献1にも説明されているように、既知の混練機における開閉式材料投入扉の周縁等に設けられている圧力逃がし間隙を、密閉状態に封止可能にすることになる。
そのように構成することで、上記混練機内から気体が流出できる通気路は、通気シュートを経てエアーバッグに至る流路のみになり、その流路に設けたエアーバッグが加圧蓋の昇降や材料投入時の混練機内における気圧や気流の変化を吸収して、混練機内の気圧上昇を防止すると共に、混練機の機体の各部からの粉塵飛散を抑止することができる。
【0018】
また、本発明では、エアーバッグの内側に濾筒を組み込んだ二重構造で拡縮可能な外囲いを構成する集塵機を装備したことになり、そのため、従来の混練機のように、材料投入扉開放時の発塵を吸引するための大型の集塵フードを該扉上に設けて集塵のための吸引をしたりする必要がなく、混練機内からの粉末配合剤の拡散を全てエアーバッグ内の濾筒において捕捉することにより、材料回収率を著しく向上することができる。しかも、上記粉末配合剤回収装置は、空間に吊り下げられる構造で、電気エネルギーを使わないエアーバッグ、その中に配設した濾筒、及び該濾筒に捕捉した粉末配合剤の払い落とし機構等からなる通気逆洗方式の柔軟で変形拡縮自在な外囲いによりコンパクトに形成され、従来の混練機周りに設置する集塵設備に比して、能力的に非常に優れながら極端に簡素化かつ経済性の高い装置として構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上に詳述した本発明の密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置及びその回収方法によれば、内圧上昇防止装置を構成するエアーバッグを備えた既知の密閉加圧型混練機において、粉末配合剤回収の性能をより向上させ、更に具体的には、上記エアーバッグに流入する気体が該エアーバッグの容量を超えることがあっても、該エアーバッグに連結した分岐ダクトを通して該気体の一部を外部に排出させるに際し、混練槽から噴出する気体に高濃度に同搬される粉末配合剤を外部に流出させることなくエアーバッグ内の濾筒で濾過捕捉し、しかも、混練槽にそれを戻すときには、柔軟性のある外囲いを形成するエアーバッグの収縮や粉末配合剤の付加的な払い落とし機構による簡易な手段で濾筒から払い落とすことにより、低コストで配合品質を設計品質に近づけ、結果的に有価回収率を著しく高めることができると同時に、混練機周辺への粉塵飛散による汚染を著しく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る粉末配合剤回収装置を備えた密閉加圧型混練機の実施例を示す正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】上記粉末配合剤回収装置の要部の構成を示す縦断面である。
【図4】(A)は、図3のa−a位置における断面図、(B)は同b−b位置における断面図である。
【図5】上記混練機における混練開始前の状態を示す模式的説明図である。
【図6】上記混練機に粉末配合剤の投入を完了した状態を示す模式的説明図である。
【図7】図6の状態から加圧蓋を降下させた状態を示す模式的説明図である。
【図8】図7の状態から加圧蓋を上昇させた状態を示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図4は、本発明に係る粉末配合剤回収装置20を備えた密閉加圧型混練機1の実施の一例を示し、図5〜図8は上記粉末配合剤回収装置20の動作状態を模式的に示すものである。
ゴム、プラスチック、セラミックス等の高粘度混練材料をバッチ式で混練する図示の密閉加圧型混練機1は、流体圧シリンダからなる加圧機構7で開閉自在とした加圧蓋6によって上方の加圧蓋昇降路3を閉鎖可能にした混練槽2を備え、該混練槽2内において、隣接配置されて回転する2本の混練ローター9によって上記混練材料の混練を行うもので、上記加圧蓋6により開閉される混練槽2の加圧蓋昇降路3の囲壁4の正面に、上記高粘度混練材料を混練槽2に投入するための開閉自在の投入扉11を設けると共に、上記混練槽2の加圧蓋昇降路3の囲壁4の側面に、粉体シュート14を介して混練槽2に混練用粉末配合剤Pを供給するための配合剤ホッパー13を設けている。
【0022】
また、上記混練槽2には、前記特許文献1に記載のものと同様に、該混練槽2の加圧蓋昇降路3の囲壁4の他の側面に、上記粉末配合剤回収装置20の主要部を構成する筒状のエアーバッグ21を、通気シュート22を介して連結している。この粉末配合剤回収装置20は、特許文献1に係る内圧上昇防止装置の構成を一部改変すると共に、その構成に加えて、以下に詳細に説明するように、それよりも作業環境を著しく改善すると同時に、混練槽2から噴出した粉末配合剤を高能率的に回収して混練材料に戻し、製品の配合品質を改善する点で有効性を有すると共に、混練機の外に設置する集塵機へ吸引してダストとして回収する廃棄物の大幅低減に寄与する機能を備えたものである。
【0023】
上記エアーバッグ21は、変形自在な柔軟性とある程度の弾性を有する通気性のない素材により形成されたもので、混練槽2内の圧力が上昇し、該混練槽2から粉末配合剤Pを同伴して噴出する気体を上記エアーバッグ21内に流入させたときにはその蓄圧に耐え、一方、混練槽2の内圧が低下したときには、エアーバッグ21内との圧力差で混練槽2内に還流する気流を発生させ、該気流によりエアーバッグ21内の後述する濾筒25の内面に付着している粉末配合剤を払い落として混練槽2内へ回収するように構成したものであり、これにより回収された粉末配合剤が混練中のコンパウンドに取り込まれ、配合剤として練り込まれることになる。
【0024】
上記エアーバッグ21の構成を更に具体的に説明すると、該エアーバッグ21は、図3及び図4に詳細に示しているように、円筒状をなすバッグ本体21aの上端の開放縁を硬質の円形天板21bの周囲上面に気密に固定し、それにより、該バッグ本体21aの上端を筒状に保形して封止すると共に、該バッグ本体21aの下端を上記通気シュート22の上端に連接した漏斗状の拡径部23の上端開口筒部23aに連結し、その際、上記バッグ本体21aの下端は、該バッグ本体21aの内部に配設する濾筒25の下端に縫着した筒状をなす補強部片26と共に、上記通気シュート22の漏斗状の拡径部23における上端開口筒部23aに外嵌させ、それらをバンド27で緊締することにより連結している。そして、上記エアーバッグ21と濾筒25とは、それらの間に隙間を設けた二重構造をなすものとして構成される。
【0025】
上記エアーバッグの内部に懸架配設する上記濾筒25は、基本的には上部を絞って下部を開放した略円錐形でも差し支えないが、限定的な容積のエアーバッグ21の内部に懸架する該濾筒25の面積を最大にするため、望ましくは、図4の(A)に示すように、円筒状をなす濾布素材の上縁に四つ折り以上(図は六折り)の襞折り部25aを形成して、該襞折り部25aを気密に縫着すると共に濾布素材の上端部を細径に絞って封止し、中間部は図4の(B)に示すような凹凸形状に近い形(必ずしもこの形状とは限らない。)をなすようにし、下部は円筒状のままとして、上部中心を吊り下げたときに、基本的には上部が細径の略円錐状をなすが全体としては異形錐状をなすように形成される。この場合、図4の(B)に示すように、上記濾筒25の円筒状の濾布素材の上部を襞折りで絞ることにより生じるところの襞谷の内底面に接する包絡面Eはほぼ円錐形を呈することになる。
【0026】
そして、上記エアーバッグ21の円形天板21bの内面中央に設けた吊り環28に濾筒25の上端のフック25bを係止させることにより吊下し、上記バッグ本体21aが内部の与圧で筒状に保たれるときには、該濾筒25はエアーバッグ21の内面との間に全周かつ全長にわたって間隙が維持される概略的に錐状をなすものとして構成され、該間隙は濾筒25の内面に付着した粉末配合剤を払い落とせるに足りる気体が収容される容積空間をもつように形成される。また、該濾筒25は、エアーバッグ21の内面との間に全周面において上記間隙を維持しつつ、該濾筒25の濾過面積がエアーバッグ21内において可及的に大きくなるように形成される。濾筒25の上記構成は、格段に粉末配合剤の回収率を向上させるのに有効なものである。
【0027】
上記濾筒25の円筒状をなす下端部は、上記通気シュート22における漏斗状の拡径部23の上端開口筒部23aに固定するが、その際、濾筒25の下端に筒状をなす補強部片26を縫着し、該補強部片26と共にエアーバッグ21の下端を上記通気シュートにおける拡径部23の上端開口筒部23aに外嵌させて、それらをバンド27で緊締し、濾筒25自体の下端は上記拡径部23の開口筒部23a内に垂下させておくのが、粉末配合剤の漏出を抑制するのに有効である。
【0028】
従って、混練槽2側から上記通気シュート22を通して粉末配合剤を含む気体がエアーバッグ21内に流入したときには、濾筒25の内面の全面において該粉末配合剤が効率的に濾過分離されて濾筒25内面に捕捉される。この場合に、図4を参照して先に説明した濾過面積が大きい濾筒25は、払い落としの与圧通気の濾過速度を低下せしめることによって、粉末配合剤の捕捉率を向上させる点でも有利なものである。
また、混練槽2の内圧が低下したときには、エアーバッグ21内の気体を混練槽2内に還流させるに際し、濾筒25の全面において分離捕捉されていた粉末配合剤が逆流気体で混練槽2内に一気に払い落とされる。そのため、上記エアーバッグ21における素材の柔軟性とその内容積は、後述するように加圧蓋6を上昇させて混練槽2の内圧を低下させるときに、濾筒25に捕捉されている粉末配合剤を払い落とすに必要な風圧と風速を発生できるように形成することも考慮するべきである。
【0029】
上記粉末配合剤回収装置20においては、上記エアーバッグ21の内側に濾筒25を二重構造として組み込んで懸架配設し、加圧蓋6の上昇に伴う混練槽2内の降圧により、該濾筒25に捕捉した粉末配合剤Pを上記エアーバッグ21に蓄圧した与圧気体で混練槽2に還流可能にしているが、該エアーバッグ21内の与圧のみでは濾筒25の内面に濾過付着している粉末配合剤Pを払い落とすのが困難で、粉末配合剤Pを混練槽2内に還流させるのに、上記与圧による気体量と圧力が不十分な場合もあり、そのために、上記エアーバッグ21に、上記濾筒25に捕捉していた粉末配合剤Pを払い落とす付加的な払い落とし機構を備え、該エアーバッグ21内の気体量と圧力が不足する場合等に、それを動作させて上記濾筒25の粉末配合剤Pを混練槽2側に払い落とすように構成している。
【0030】
上記粉末配合剤Pを払い落とす付加的な払い落とし機構としては、図1及び図3に例示するように、エアーバッグ21の頂部を保持する天板21bに、上記エアーバッグ21内で濾筒25の外側領域に払い落とし用気体を吹き込む単一または複数のノズル36を配設し、その通気量を制御する通気制御弁37を介して気体供給源38に接続して、混練槽2内の圧力よりも高い圧力と必要最小限の通気量で圧縮空気等を強制通気することにより、上記濾筒25上の粉末配合剤Pを混練槽2側に払い落とすような構成が適し、これにより比較的少量の通気で払い落とし機能を増強することができる。
上記付加的な払い落とし機構は、粘着性の強い粉末配合剤や、混練が進行して昇温する混練物から発生する揮発成分が原因で濾筒25の内面へ付着し、それが比較的剥離し難い状態になる配合剤などを払い落とす場合にも、それらの剥離作用を補助するものとして適用することができる。
【0031】
上記エアーバッグ21は、基本的には円筒状をなすものではあるが、図5〜図8に示すような膨縮に応じて長手方向に伸縮するものであるため、該エアーバッグ21の円形天板21bの上面中央に設けたフック29を介してワイヤー30で吊下し、該ワイヤー30の他端を、エアーバッグ21の上部に位置する複数の滑車31に巻き掛けたうえで先端にバランス用重錐32を吊下することにより、天井等に昇降可能に吊下し、常に膨縮はしてもその円筒形状を保持させるようにしている。なお、上記エアーバッグ21の内圧上昇による膨張は、必要に応じて、エアーバッグ21の周囲に配置してその拡径を検出する過圧膨張検出器46、あるいは、該エアーバッグ21内の圧力センサ等により検知することができ、それを、後述する制御装置を介して開閉ダンパ51,53等の開閉動作制御に用いることもできる。
【0032】
また、上記エアーバッグ21の上部には、集塵装置40を介して外部に通じる可撓の分岐ダクト35を連結している。この分岐ダクト35は、上記バッグ本体21aの破壊回避のための安全流路を形成するもので、混練槽2側から該バッグ本体21aに流入する気体が該バッグ本体21aの膨大化可能な範囲の容量を超えるような場合を上記過圧膨張検出器46等で検出し、該気体の一部を該分岐ダクト35を通して外部の集塵装置40に排出できるようにするものである。
上記集塵装置40としては、他の目的等で使用しているものを流用し、その吸引ダクト41に上記分岐ダクト35を連結することができる。更に、上記エアーバッグ21内には濾筒25を設け、該濾筒25を越えて該エアーバッグ21内に粉末配合剤が流入しないようにしているが、該集塵装置40は投入扉11を開きゴムやゴム薬品類を投入する際に、投入口の上部に大型フードが必要なほど混練機内から粉塵が飛散するので、この粉塵を通気シュートを経て集塵し、その飛散を抑制するのに有効に機能するものでもある。
なお、図中、60は作業台を示している。
【0033】
上記密閉加圧型混練機1及び粉末配合剤回収装置20は、図示しない制御装置等により自動または半自動で駆動制御するものであり、その制御の対象となるバルブやダンパ等を各部に備えているが、ここでは、図5〜図8を参照して、それらの構成を含む動作等を、上記粉末配合剤回収装置20による粉末配合剤の回収の方法と共に説明する。
なお、上記密閉加圧型混練機1及び粉末配合剤回収装置20は、上記制御装置等により自動または半自動で駆動制御することもできるが、その自動または半自動の駆動制御を行うことなく、手動その他の任意手段でも駆動制御できるのは勿論である。
【0034】
先ず、図5は上記密閉加圧型混練機1における混練開始前の準備状態を示している。この状態では、粉末配合剤Pを供給する配合剤ホッパー13の粉体シュート14に設けた投入用のバルブ50は閉じられ、該配合剤ホッパー13には予め計量された所要量の粉末配合剤Pが投入されている。この投入用のバルブ50は、必要な開閉時期に制御装置からの信号で自動的に開閉されるものである。
【0035】
また、エアーバッグ21の上部に連結して、集塵装置40の吸引ダクト41に接続されている分岐ダクト35には、制御装置からの信号で開閉する開閉ダンパ51を設けると共に、該分岐ダクト35に集塵装置40への吸引風量を設定する調節ダンパ52を設け、更に、エアーバッグ21と混練槽2の昇降路3との間の通気シュート22にも、制御装置からの信号で開閉制御される開閉ダンパ53を設けているが、これらの開閉機構は上記図5の混練開始前の状態においては全て開かれている。
【0036】
この状態では、開閉ダンパ51が開いてエアーバッグ21内が分岐ダクト35を通して集塵装置40の吸引ダクト41に接続され、上記通気シュート22が連通している混練槽2には他に外部に開いている部分がないので、該エアーバッグ21は、吸引ダクト41による吸引でその内部が排気されて萎んだ状態にあり、該エアーバッグ21内の濾筒25はエアーバッグ21により押し潰された状態にあるとしても、混練槽2側からの気体が流入すれば本来の形態に復帰するものである。
【0037】
上記図5の状態で制御装置から混練を開始するための開始信号が出力されると、該信号に基づいて、或いは手動で、混練材料を混練槽2に投入するための投入扉11(図2)が開かれ、ゴム、プラスチック、セラミックス等の高粘度の混練材料が混練槽2に投入される。
該混練材料の投入後に、一対の混練ローター9を回転させると共に投入扉11が閉じられると、加圧機構7により加圧蓋6を降下させて混練槽2の加圧蓋昇降路3が閉じられ、上記混練ローター9の回転で混練材料塊が砕かれて混練される。これが第1ステップの混練である。この第1ステップの段階では、混練槽2に粉末配合剤Pが投入されていないので、分岐ダクト35の開閉ダンパ51は開、通気シュート22の開閉ダンパ53は閉であり、エアーバッグ21は萎んだ状態にある(図示省略)。
【0038】
上記第1ステップの混練を設定した時間だけ行い、その時間の経過後には、上記加圧蓋6を上昇させると共に、投入扉11と分岐ダクト35に設けた開閉ダンパ51を閉じた状態で、配合剤ホッパー13の粉体シュート14における投入用のバルブ50と通気シュート22の開閉ダンパ53を自動で同時に開き、その配合剤ホッパー13内に待機させていた粉末配合剤Pを、粉体シュート14を通して流下させ、加圧蓋6が上限で停止中に混練槽2の加圧蓋昇降路3の周囲を囲む囲壁4内に投入し、その投入後には上記バルブ50を閉鎖する。該粉末配合剤Pの投入に伴い、それと体積等量の気体が通気シュート22を通してエアーバッグ21側に流入するが、該気体はその流れにより飛散する多量の粉末配合剤Pを含み、それが該気体と共にエアーバッグ21に収容されて、該気体によりエアーバッグ21内が与圧される。勿論、エアーバッグ21に流入した粉末配合剤Pは濾筒25において濾過捕捉される。図6はこの状態を示している。
【0039】
次に、図7に示すように加圧機構7で加圧蓋6を降下させ、第2ステップの混練を開始する。この第2ステップの混練は、混練槽2に投入されている高粘度の混練材料と上記配合剤ホッパー13から投入された粉末配合剤Pの混練を行うものである。
この第2ステップの混練に際しては、加圧蓋6の降下により混練槽2の加圧蓋昇降路3を閉鎖するが、その加圧蓋6の降下に伴って、混練槽2の加圧蓋昇降路3の囲壁4内における加圧蓋6の降下距離分の気体が圧縮されて、加圧蓋6と加圧蓋昇降路3の囲壁4との間の空隙を経て加圧蓋6の上方へ噴出し、それに同伴される粉末配合剤Pと共に混練槽2から上記エアーバッグ21内に流入し、該気体によりエアーバッグ21内が更に与圧されると共に、該気体に同伴された粉末配合剤Pが濾筒25によって分離捕捉される。
【0040】
上記粉末配合剤Pを含む気体が流入するエアーバッグ21は、その内部に上部が細径をなす錐状の濾筒25を配設し、該濾筒25の筒状をなす下端をエアーバッグ21の下端と共に前記通気シュート22に連結して、該濾筒25が筒状をなすエアーバッグ21の内面と全周面において間隙を有する状態に保持しているので、上記粉末配合剤Pを含む気体がエアーバッグ21に流入する際には、上記濾筒25を通過するときに該濾筒25の全面においてその粉末配合剤が濾過分離され、効率的に濾筒25内に捕捉される。なお、この粉末配合剤を濾筒25に捕捉させる間にも上記混練ローター9による混練操作を進行させることができる。
【0041】
エアーバッグ21への上記気体等の流入の後に、エアーバッグ21と混練槽2との間の通気シュート22に設けた開閉ダンパ53は閉じられる。この時点では、集塵装置40の吸引ダクト41に接続している分岐ダクト35の開閉ダンパ51も閉じられているので、エアーバッグ21は、上記流入した粉末配合剤Pを含む気体により膨出与圧状態に保持される。
これらの操作段階で、上記エアーバッグ21内の与圧が何らかの理由で異常に増大した場合には、それを過圧膨張検出器46等で検出して、或いは作業者の判断により、分岐ダクト35の開閉ダンパ51を開き、必要に応じて調節ダンパ52で風量調節し、該分岐ダクト35を通してエアーバッグ21を集塵装置40の吸引ダクト41に連通させ、その内圧を低下させる。この場合にも、粉末配合剤は濾筒25に捕捉されているので、集塵装置40に排出されることはない。
【0042】
図7の状態で混練槽2における上記第2ステップの混練操作が終わると、第3ステップの仕上げ混練操作のために加圧蓋6を上昇させる。この混練操作の終了に際しては、予め設定したタイミングで、この加圧蓋6の上昇信号と同時に、エアーバッグ21と混練槽2との間の通気シュート22に設けた開閉ダンパ53を開く信号が出力され、それにより混練槽2内は瞬時に負圧になる。なお、分岐ダクト35の開閉ダンパ51が開かれている場合でも、前記制御装置により加圧蓋6の上昇開始と同調して該開閉ダンパ51は閉じられる。これにより、図8に示すように、エアーバッグ21内に与圧状態で充填されていた気体が混練槽2内の圧力とエアーバッグ21内の圧力の差によって混練槽2内へ流入し、前記濾筒25の全面において分離捕捉されていた粉末配合剤Pは混練槽2内に一気に払い落とされ、それに伴ってエアーバッグ21は萎んだ状態になる。
その後、分岐ダクト35の開閉ダンパ51を開き、加圧蓋6を静かに混練槽2の加圧蓋昇降路3を閉じる位置まで降下させ、第3ステップの仕上げ混練の操作を行って、一連の混練操作を終了する。これにより、図5の状態に戻ることになる。
【0043】
上記濾筒25の全面において捕捉されていた粉末配合剤Pを混練槽2内に払い落とす段階においても、前述したように、該濾筒25が筒状をなすエアーバッグ21の内面と全周面において間隙を有する状態に保持しているので、蓄圧気体の逆洗流で濾筒25に捕捉されている粉末配合剤Pを極めて効率的に一気に混練槽2側に戻すことができる。濾筒内面から脱落し難い粉末配合剤などについては、その都度、通気制御弁37の操作でエアーバッグ21内における濾筒25の外側領域にノズル36から払い落とし用気体を吹き込み、あるいは、予め、該ノズル36から払い落とし用の空気を供給できるように通気制御弁37の制御を行えばよい。
【0044】
このようにして、各バッチ毎に粉末配合剤Pを払い落として、混練中の同一バッチに練り込むことができるので、従来の方法に比して大いに資源回収に資することができ、特に適切な濾筒の選択により、混相気流から99%以上の高効率で粉末配合剤Pを濾過分離できることを確認している。
【0045】
なお、上記一連の混練操作に続けて次のバッチの混連操作を行う場合には、この第3のステップの段階で、粉末配合剤Pを供給する配合剤ホッパー13の粉体シュート14に設けた投入用のバルブ50が閉じられ、該ホッパー13に次段バッチの混練操作のために計量された所要量の粉末配合剤Pが投入される。更に、エアーバッグ21と混練槽2との間の通気シュート22に設けた開閉ダンパ53を閉じ、集塵装置40の吸引ダクト41に接続している分岐ダクト35の開閉ダンパ51を開いて、次のバッチの混練開始を待つことになる。
【0046】
上述した粉末配合剤回収装置20による粉末配合剤の回収方法によれば、多量の粉末配合剤が粉塵として廃棄されることなく、それを簡易な手段で捕捉して混練槽内に戻すことにより、低コストで、作業環境を著しく改善すると同時に、有価回収率を著しく高めて、配合品質を設計品質に近づけることができる。本発明の粉末配合剤回収装置を装備した密閉型混練機においては、従来混練機1台当たりの必要装備とする集塵機能力を2〜3分の1と大きく低減でき、消費電力の大幅節減を実現することができる。
【0047】
上述したステップ1〜ステップ3の混練操作は、上記密閉型混練機における代表的な混練操作の一例であり、本発明に基づく高粘度混練材料の混練は、特許請求の範囲に記載の精神を逸脱しない範囲内において設計変更できることは勿論である。即ち、必ずしも上記ステップ1〜ステップ3を経て混練が終了するものではなく、例えば、混練物の配合処方によっては、その配合処方に適した混練法を採用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 密閉加圧型混練機
2 混練槽
3 加圧蓋昇降路
4 囲壁
6 加圧蓋
7 加圧機構
9 混練ローター
11 投入扉
13 配合剤ホッパー
14 粉体シュート
20 粉末配合剤回収装置
21 エアーバッグ
21b 天板
22 通気シュート
25 濾筒
35 分岐ダクト
50 投入用バルブ
51,53 開閉ダンパ
52 調節ダンパ
P 粉末配合剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧機構で開閉自在の加圧蓋によって上方の加圧蓋昇降路を閉鎖可能にした混練槽に、該混練槽内において回転する一対の混練ローターを備え、該混練槽に投入した混練材料を粉末配合剤と共に上記加圧蓋で加圧しながら、上記混練ローターの回転によりそれらを混練するようにした密閉加圧型混練機に付設され、上記混練槽から噴出する上記粉末配合剤を回収するための粉末配合剤回収装置であって、
上記加圧蓋により開閉される混練槽の加圧蓋昇降路の周囲を囲む囲壁の一側面に、通気シュートを介して、筒状をなす拡縮自在なエアーバッグを連結し、該エアーバッグの上端は、上記筒状に保形して封止したうえで、該エアーバッグの拡縮に応じて昇降可能に吊下し、
該エアーバッグの上部には過大な与圧を避ける安全流路としての外部に通断可能な分岐ダクトを連結し、
上記エアーバッグの内側に、該エアーバッグに混練槽側から流入する気体に同伴されている粉末配合剤を濾過捕捉する濾筒を懸架配設し、該濾筒に捕捉した粉末配合剤を上記エアーバッグに蓄圧した与圧気体により混練槽に還流可能にした、
ことを特徴とする密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置。
【請求項2】
上記混練槽の加圧蓋昇降路の囲壁の側面に、該混練槽に混練材料を投入する開閉自在の投入扉と、投入用のバルブを有する粉体シュートを介して上記粉末配合剤を投入する配合剤ホッパーとを設け、
混練槽に上記エアーバッグを連結する上記通気シュート及び上記分岐ダクトに、それぞれ開閉ダンパを設けて、それらの開閉ダンパを手動または制御装置による自動で開閉可能にしている、
ことを特徴とする請求項1に記載の密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置。
【請求項3】
上記エアーバッグの内部に懸架配設する濾筒は、円筒状の濾布素材の上部を襞折りで絞ることにより該上部を細径として封止し、
該濾筒はその円筒状をなす下端が上記エアーバッグの下端と共に前記通気シュートの上端拡径部に連結されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置。
【請求項4】
上記濾筒の円筒状の濾布素材の上部を襞折りで絞ることにより生じるところの襞谷の内底面に接する包絡面が円錐形を呈するものとし、
該濾筒は、上記エアーバッグが内部の与圧で筒状に保たれるときに、該バッグの内面とは全周面において間隙が保持される錐状の形態を有するものとしている、
ことを特徴とする請求項4に記載の密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置。
【請求項5】
濾筒に捕捉した粉末配合剤を上記エアーバッグ内の与圧気体により払い落として混練槽に還流させるのを助勢する粉末配合剤の払い落とし機構として、上記エアーバッグ内で濾筒の外側領域に払い落とし用気体を吹き込むノズルを配設すると共に、該ノズルを、その通気量を制御する通気制御弁を介して気体供給源に接続した、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収装置。
【請求項6】
混練槽に投入した混練材料を、配合剤ホッパーから粉体シュートを介して投入した粉末配合剤と共に、該混練槽内において加圧蓋で加圧しながら、回転する一対の混練ローターにより混練する密閉加圧型混練機において、上記混練槽から噴出する粉末配合剤を回収する方法であって、
粉末配合剤を回収するための粉末配合剤回収装置は、上記混練槽の加圧蓋昇降路に連通する通気シュートを介して拡縮自在なエアーバッグを連結すると共に、該エアーバッグに、外部に通断可能な分岐ダクトを連結し、上記通気シュート及び分岐ダクトにそれぞれ開閉ダンパを備えたものとし、
上記混練槽における混練材料と粉末配合剤との混練に際しては、上記分岐ダクトの開閉ダンパを開くと共に、通気シュートの開閉ダンパを閉じた状態で、上記粉体シュートに設けた投入用バルブを開くと同時に、通気シュートに設けた開閉ダンパを開いて、混練槽の混練材料上に粉末配合剤を投入し、その際に混練槽側からエアーバッグ側に噴流する気体に同伴される粉末配合剤をエアーバッグの内部に設けた濾筒で濾過捕捉しながら、該気体によりエアーバッグ内の与圧を行い、
次いで、混練材料と粉末配合剤を混練するための加圧蓋の降下に伴って混練槽から噴出する気体及びそれに同伴される粉末配合剤を上記エアーバッグ内に流入させて、該気体によりエアーバッグ内を与圧すると共に、該気体に同伴された粉末配合剤を上記濾筒に捕捉させて、上記混練ローターによる混練操作を行い、
該混練操作の終了に際し、加圧蓋を上昇させる瞬間に負圧になる混練槽内に、与圧状態で充填されていたエアーバッグ内の気体を流入させ、該気流により前記濾筒において分離捕捉されていた粉末配合剤を混練槽内に払い落とし、
その後、上記加圧蓋を降下させて混練槽に戻された粉末配合剤を混練する仕上げ混練の操作を行い、一連の混練操作を終了する、
ことを特徴とする密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収方法。
【請求項7】
上記エアーバッグの内部に懸架配設する濾筒として、円筒状の濾布素材の上部を絞ることにより該上部を細径として封止し、該濾筒の円筒状をなす下端が上記エアーバッグの下端と共に前記通気シュートの上端に連結され、
該濾筒は、上記エアーバッグが内部の与圧で筒状に保たれるときに、該バッグの内面とは全周面において間隙が保持される錐状の形態を有するものとしている、
ことを特徴とする請求項6に記載の密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収方法。
【請求項8】
混練操作後の加圧蓋の上昇に伴う混練槽内の降圧により、エアーバッグ内に与圧状態で充填されていた気体が混練槽内に流入する際に、上記濾筒に捕捉していた粉末配合剤を払い落とす付加的な払い落とし機構を動作させて、上記濾筒の粉末配合剤を払い落とす、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の密閉加圧型混練機の粉末配合剤回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107025(P2013−107025A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251863(P2011−251863)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(390040039)鈴鹿エンヂニヤリング株式会社 (6)
【Fターム(参考)】