説明

寸法計測方法及びその装置

【課題】
寸法計測法方及びその装置において、パターンの走査型電子顕微鏡画像から得られる画像プロファイルを用いて,パターンの断面形状上の所望の位置におけるパターン寸法を計測できるようにする。
【解決手段】
走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の二次電子画像を用いて試料上に形成されたパターンの寸法を計測する方法において、走査型電子顕微鏡を用いて試料の二次電子画像を取得し、この取得した二次電子画像の中で寸法を計測するパターンの画像プロファイルを二次電子画像を用いて作成し、予め記憶しておいた断面の形状と寸法とが既知で形状が異なる複数のパターンのそれぞれの二次電子画像から得られた複数のパターンのそれぞれに対応する複数のモデルプロファイルの中から作成した画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを検索し、この検索して得たモデルプロファイルの情報を用いてパターンの寸法を求めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板上に形成された微小パターンの寸法計測を行うための電子顕微鏡に係り,特にパターンの断面における寸法計測位置と関連付けられた計測データを算出する機能を備えた走査電子顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ製造工程において、ウエハ上に多層に形成される薄膜パターンはその微細化が急速に進んでおり,それらのパターンが設計どおりに形成されているか否かを監視するプロセスモニタリングの重要性はますます増加している。半導体パターンの微細化のロードマップを示すITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)の2002年版によれば,半導体ウエハ上で最も微細なパターンが形成されるトランジスタゲート部の配線幅は,2007年頃には25nm程度かそれより下回ると予想されており,このような微細パターンを正確に測定することが,今後半導体製造現場では必要となる。
【0003】
数十ナノメートルオーダの微細パターンの幅を測定する寸法計測ツールとしては,それらのパターンを10万から20万倍の拡大倍率で撮像可能なパターン幅測定用の走査型電子顕微鏡(測長SEM(Scanning Electron Microscope)またはCD(Critical dimension)SEM)が従来から用いられている。このような走査型電子顕微鏡を用いた測長処理の一例が特許文献1に記載されている。本開示例においては,測定対象パターンを撮像した画像内の局所領域から,パターンの信号波形をパターンの長手方向に加算平均した画像プロファイルを作成し,このプロファイルにおいて検出した左右の寸法計測点間の距離としてパターン寸法を算出している。
【0004】
一方、この他に,予め電子線シミュレーションにより作成しておいた各種断面形状での画像プロファイルのライブラリと,寸法計測対象パターンの画像プロファイルを照合することにより,パターンの寸法を計測する手法が下記の非特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−316115号公報
【非特許文献1】A Simulation Study of Repeatability and Bias in the CD-SEM, J.S.Villarrubia et.al,Metrology,Inspection, and Process Control for Microlithography XVII,pp.138
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,ますます微細化が進むと考えられる半導体パターンの計測では,パターンの断面形状における寸法計測位置が,今後重要になると考えられる。例えば,トランジスタゲート配線の線幅測定においては,ゲート配線パターンの裾部の寸法がトランジスタの性能に大きな影響を及ぼすため,製造現場ではその裾部の線幅を正確に管理する必要がある。このように,今後は,パターンの断面形状における測長位置と対応のとれた測長値を用いて製造管理を行う必要がある。
【0007】
ところが,従来技術による寸法計測手法では,寸法計測対象パターンを撮像した画像から画像プロファイルを作成し,このプロファイルにおいて検出した左右の寸法計測点間の距離としてパターン寸法を算出している。このように画像プロファイルからパターンエッジを検出する方法としては,画像プロファイルの高さ位置を指定する方法や,画像プロファイルが特定の傾きを持つ点を指定する方法などがあるが,これらはいずれも取得した画像プロファイルの情報のみから,その寸法計測位置を決定しているため,画像プロファイルから検出した寸法計測位置と,パターンの断面形状における寸法計測位置には明確な相関がない。
【0008】
パターンの断面形状における寸法計測位置が明確な計測を行う手段としては,現在のところ,半導体ウエハを切断し,その断面を走査型電子顕微鏡等により観察する方法や,AFM(原子間力顕微鏡)により観察する方法が行われているが,これらはコストおよび時間がかかるという欠点を抱えている。
【0009】
また,非特許文献1に開示されるような,予め電子線シミュレーションにより作成しておいた各種断面形状での画像プロファイルのライブラリと,寸法計測対象パターンの画像プロファイルを照合することにより,パターンの寸法を計測する手法においても,現在のところ,パターンの断面形状に対応した寸法値を求めることは実現されていない。また,非特許文献1に開示された手法において測長を行う際には,様々な寸法および形状のモデルを大量に準備することが前提となっており,モデルが少ない場合に,高精度に寸法計測が行うことができないという課題がある。
【0010】
本発明の目的は、上記した課題を解決して、パターンの走査型電子顕微鏡画像から得られる画像プロファイルを用いて,パターンの断面形状上の所望の位置におけるパターン寸法を計測することが可能となり,その結果,例えばトランジスタ性能に影響を及ぼす,配線裾部の寸法を管理できる寸法計測法方及びその装置を提供することに有る。
【0011】
また,本発明の目的は、寸法計測対象パターンの画像プロファイルに,予め装置が記憶したモデルを当てはめて寸法計測を行う際に,より少ないモデルで,正確な寸法計測を行うことができるようにして,予め用意するモデルを少なくすることを可能とする寸法計測法方及びその装置を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では、走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の二次電子画像を用いて試料上に形成されたパターンの寸法を計測する方法において、走査型電子顕微鏡を用いて試料を撮像して試料の二次電子画像を取得し、この取得した二次電子画像の中で寸法を計測するパターンの画像プロファイルを二次電子画像を用いて作成し、予め記憶しておいた断面の形状と寸法とが既知で形状が異なる複数のパターンのそれぞれの二次電子画像から得られた複数のパターンのそれぞれに対応する複数のモデルプロファイルの中から作成した画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを検索し、この検索して得たモデルプロファイルの情報を用いてパターンの寸法を求めるようにした。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明では、走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の二次電子電子画像を用いて試料上に形成されたパターンの寸法を計測する方法において、走査型電子顕微鏡を用いて試料を撮像して得た試料の二次電子画像から寸法を計測するパターンの画像プロファイルを作成し、断面の寸法が既知のパターンの断面の二次電子画像から得られたモデルプロファイルを形状の異なる複数のパターンについて求めて記憶したデータベースの中から画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを求め、この求めたモデルプロファイルに対応する断面の寸法が既知のパターンの断面プロファイル上で寸法を計測する箇所を指定し、断面プロファイル上で指定された寸法を計測する箇所に対応するモデルプロファイル上の箇所からパターンの所望の箇所の寸法を求め、この求めた所望の箇所の寸法を求めたモデルプロファイルと画像プロファイル及びパターンの二次電子画像とを同一の画面上に表示するようにした。
【0014】
更に、上記目的を達成するために、本発明では、走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の二次電子画像を用いて試料上に形成されたパターンの寸法を計測する装置を、試料に収束させた電子ビームを照射して走査して試料の二次電子画像を取得する走査型電子顕微鏡手段と、走査型電子顕微鏡手段で取得した二次電子画像の中で寸法を計測するパターンの画像プロファイルを二次電子画像を用いて作成する画像プロファイル作成手段と、断面の形状と寸法とが既知で形状が異なる複数のパターンのそれぞれの断面プロファイルと複数のパターンのそれぞれの二次電子画像から得られた複数のモデルプロファイルを記憶しておく記憶手段と、この記憶手段に記憶した複数のモデルプロファイルの中から画像プロファイル作成手段で作成した画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを検索するモデルプロファイル検索手段と、このモデルプロファイル検索手段で検索して得たモデルプロファイルを用いてパターンの寸法を求める寸法算出手段とを備えて構成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明による走査型電子顕微鏡によれば,パターンの走査型電子顕微鏡画像から得られる画像プロファイルを用いて,パターンの断面形状上の所望の位置におけるパターン寸法を計測することが可能となり,その結果,例えばトランジスタ性能に影響を及ぼす,配線裾部の寸法を管理することができるようになる。
【0016】
また,寸法計測対象パターンの画像プロファイルに,予め装置が記憶したモデルを当てはめて寸法計測を行うさいに,より少ないモデルで,正確な寸法計測を行うことができるようになるため,予め用意するモデルを少なくすることが可能となる。なお,このように寸法計測対象パターンの画像プロファイルにモデルをあてはめて寸法計測を行うことで,低S/N画像に対しても比較的正確な寸法計測を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明は,微小パターンを走査型電子顕微鏡により撮像して得られた画像から,パターンの寸法を計測することを目的とする。
【0019】
図1に本発明にかかる走査電子顕微鏡装置の構成を示す。本装置は大別して電子線画像を取得するための電子光学系0100と,それらの画像を処理することで対象パターンの計測を行う情報処理系0120の2つの部位からなる。電子光学系0100の主な構成は,試料0102を搭載するステージ0101,電子ビーム0108を放出する電子源0103,電子ビーム0108を偏向する偏向レンズ0104,画像を合焦点位置で撮像するために制御される対物レンズ0105,試料から発生した2次電子を電気信号に変換する機能を持つ2次電子検出器0106, 検出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換機0107,上記の各部を制御バス0109を介して制御するための制御部0111である。一方,画像データから撮像パターンの計測を行う情報処理系0120の主な構成要素は,画像処理などを行う処理部0113,画像データや,その他の処理で用いられる各種のデータを記憶する記憶部0112,ユーザが撮像条件や画像処理のパラメータを入力したり得られた結果を出力する機能を持つ入出力部0114,本発明における寸法計測処理で参照されるデータベース0115であり,これらの各部位はデータバス0110を通じて互いにデータが送受信されるようになっている。また,本図における制御部0111は電子光学系0100の制御を行うのみならず,情報処理系0120で撮像画像からパターンの寸法計測を行う際の制御も行うものとする。
【0020】
本発明にかかる走査型電子顕微鏡においては,取得した寸法計測対象パターンの走査型電子顕微鏡画像から画像プロファイル(走査型電子顕微鏡画像から抽出した,電子信号強度のプロファイル)を作成し,予め装置が保持しているデータベース上の画像プロファイルを該寸法計測対象パターンの画像プロファイルにあてはめることでパターン測定を行う。この際,用いられる上記データベース上の画像プロファイルは,予めパターンの断面形状と対応づけられているため,断面形状における寸法計測位置に対応した測長値を出力することができる。
【0021】
以下,先ず上記データベース0115の作成シーケンスおよび作成されるデータについて図4を用いて説明し,その後そのデータベース0115を用いた測定シーケンスについて図2を用いて説明する。
【0022】
図4は,データベース0115の作成シーケンスを示す図である。この処理の目的は,1個以上の異なる断面形状のパターンに対し,それぞれ,次に示す処理によりその断面形状に対応する画像プロファイル(以後これをモデルプロファイルと呼ぶ)とそのモデルプロファイルに対応する断面モデルを作成し,これをデータベース0115に格納することにある。なお,以下の説明では,一方向に伸びる配線をモデルパターンとして,モデルプロファイルおよび該モデルプロファイルに対応する断面モデルの作成手順を説明する。
【0023】
まず,次に説明する処理により,モデルパターン部の画像をその視野に含んだ走査型電子顕微鏡画像を取得する。まず,ステージ0101上にモデルパターンを含んだ試料0102をセットする(ステップ0401)。次に,制御部0111から指示を出し,電子線照射によりモデルパターンの画像を取得できる位置に,ステージ0101を移動させる(ステップ0402)。次に,電子銃0103から電子線0108を放出し,一次電子線偏向器0104により電子線0108を偏向させることで,ステージ0101上の試料0102上に電子線を走査させる(ステップ0403)。このとき,合焦点位置で画像を撮像するために対物レンズを制御する。
【0024】
次に,電子線走査により試料0102から放出される2次電子信号を2次電子検出器0106で取得する(ステップ0404)。また,その際,対物レンズ0105の設定値(実際に画像撮像を行った際の対物レンズ制御値)を制御部0111から読み取り,記憶部0112にて画像の撮像倍率を記憶する。この値を記憶する理由は,対物レンズの設定により取得画像の倍率が微妙に変化するため,この微妙な倍率変動値を,後の寸法算出処理に反映させることが,正しい寸法値を計算する上で必須だからである。
【0025】
次に,取得した2次電子信号をA/D変換機0107によりA/D変換し,ノイズ処理などの前処理を行った後に2次元デジタル画像の形で,記憶部0112に記憶する。(ステップ0405)。ここで,以降の説明では,図5(a)に示すように、寸法を計測する幅方向をX方向,これに垂直な方向をY方向とする。ここまでの処理により,図5(a)に示すようなモデルパターン部の画像を含んだ走査型電子顕微鏡画像0501を取得した。
【0026】
次に,以下に説明する処理により,取得した画像0501からモデルパターン部分を抽出し,画像プロファイルを作成する。まず,走査型電子顕微鏡画像0501から,モデルパターン部の画像プロファイル作成に必要な画像範囲0502(図5(a)参照)を選択する(ステップ0406)。必要な画像範囲とは,X方向には少なくともモデルパターン部が全て含まれる範囲であり,Y方向には走査型電子顕微鏡画像特有のノイズを低減させるために,各X座標の画素値をY方向に平均化する処理に必要な画素数の範囲であり,例えば,本実施例のような走査型電子顕微鏡画像上において一方向に伸びる配線幅を測長する場合には,Y方向に200画素分の画像範囲を選択するとする。このとき,画素値の平均化に用いる画素数が多ければ走査型電子顕微鏡画像特有のノイズ成分を低減することができる。なお,Y方向の選択範囲は,モデルパターンの形状により,適宜変更することができる。次に,選択した画像範囲0502において, 各X座標の画素値(信号強度値)をY方向に平均化する処理を施し,図5(b)に示すようなX方向の画像プロファイル0503を作成する(ステップ0407)。ここまでの処理により,モデルパターン部の画像プロファイル0503を作成した。
【0027】
次に,モデルパターンの断面形状を,図5(c)に示すように断面プロファイル0504として取得する(ステップ0408)。ここで断面プロファイル0504とは,寸法を計測する幅方向の座標をXD座標系,XD座標系に垂直な断面プロファイルの高さ方向の座標をZD座標系としたときに,各XD値において,断面がZD値の高さを持つことが表現されたデータである。本断面プロファイルを取得する手段としては,AFM(原子間力顕微鏡)によりモデルパターンを計測する方法や,モデルパターンの断面を他の顕微鏡などで観察し計測する方法などがある。他に,電子線を傾斜させて撮像した複数の走査型電子顕微鏡画像(チルト像)から,これらの視差を利用して断面再構成をした結果を,断面プロファイルとしてもよい。
【0028】
次に,画像プロファイル0503のX座標と,断面プロファイル0504のXD座標の位置と寸法を合わせ込む(ステップ0409)。具体的な合わせ込み方法例を次に示す。まず画像プロファイル0503および断面プロファイル0504の,各X方向およびXD方向の寸法が同じになるように,断面プロファイル0504を伸縮させる。次に,画像プロファイル0503と断面プロファイル0504のそれぞれの中央位置0509が一致するように重ね合わせる。ここで画像プロファイル0503の中央位置は,断面の左右の傾斜部において得られる2つの信号ピークの中央位置として算出可能である。これは,一方向に伸びる配線の場合,走査型電子顕微鏡により得られたプロファイルが大きな2つの凸形状を有するという性質を利用したものである。
【0029】
最後に,重ね合わせた断面プロファイル0504のXD座標値を画像プロファイル0503のX座標値に置き換えて図5(d)のような合わせ込み断面プロファイル0510を作成することで,同じX座標値に対応する画像プロファイル値(強度値)(図5(b))および断面プロファイル値(断面高さ値)(図5(c))を表現することができる。このように,画像プロファイル0503と断面プロファイル0504の位置と寸法を合わせこむことで,断面プロファイル0510の最も傾斜が大きい位置に対応する画像プロファイル値を取得することが可能であるし,また,断面プロファイル最大高さと最小高さとの比で表された位置の画像プロファイル値を,画像プロファイル最大高さと最小高さとの比の値として表すことも可能となる。これにより,断面プロファイル0510の任意の点に対し,対応する画像プロファイル0503の点を関連付けることができる。
【0030】
ところで,本実施例のように,一方向に伸びる配線の場合,先に述べたとおり,走査型電子顕微鏡により得られた画像プロファイル0503は,通常の場合,図5(b)に示すように大きな2つの凸形状を有し,各凸部は断面の左右傾斜部に対応する。そこで,この2つの凸形状の左側を画像プロファイルの左特徴部0505,右側を画像プロファイルの右特徴部0506として抽出し,それぞれをモデルプロファイル0505,0506とする(ステップ0410)。ここで,本発明においては,画像プロファイル0503をそのまま,モデルプロファイルとするのではなく,左右のプロファイルを別々にモデルプロファイル0505及び0506とする。これは,寸法計測対象パターンの画像プロファイルに対し,左右のモデルプロファイル0505及び0506をそれぞれX方向にシフトさせ,最もプロファイルが一致する座標において,測長画像プロファイルに当てはめることで,より少ないモデルで,より正確な寸法計測を行うためである。
【0031】
最後に,各モデルプロファイル0505及び0506について,それに対応する断面プロファイル部を選択し,そのモデルプロファイルに関連付けられた断面モデル0507とする(ステップ0411)。
【0032】
以上により,測長画像0601とモデルプロファイル0602および該プロファイルに関連付けられた断面モデル0603を一個以上作成し,データベース0115に格納する(図6)。
【0033】
次に,図2を用いて本発明にかかるパターン寸法の計測シーケンスを説明する。本シーケンスは,走査型電子顕微鏡により取得した画像上にある,一方向に伸びる配線パターンの配線幅寸法を計測することを目的とするものであり,予め装置が保持している,モデルプロファイルおよび該プロファイルに関連付けられた断面モデルを用いることを特徴とする。
まず,図4を用いて説明したステップ0401〜0405までと同様に、図2に示すステップ0201〜0205において,寸法計測対象パターン部の画像をその視野に含んだ走査型電子顕微鏡画像0501を取得する。
【0034】
次に,以下に説明する処理により,図3(a)に示すような取得した画像0301から寸法計測対象パターン部分を抽出し,画像プロファイルを作成する。まず,走査型電子顕微鏡画像0301から,寸法計測対象パターン部の画像プロファイル作成に必要な画像範囲0302を選択する(ステップ0206)。必要な画像範囲とは,X方向には少なくとも寸法計測対象パターン部が全て含まれる範囲であり,Y方向には走査型電子顕微鏡画像特有のノイズを低減させるために,各X座標の画素値をY方向に平均化する処理に必要な画素数の範囲であり,例えば,本実施例のような走査型電子顕微鏡画像上において一方向に伸びる配線幅を測長する場合には,Y方向に200画素分の画像範囲を選択するとする。このとき,画素値の平均化に用いる画素数が多ければSEM画像特有のノイズ成分を低減することができる。なお,Y方向の選択範囲は,寸法計測対象パターンの形状により,適宜変更することができる。
【0035】
次に,選択した画像範囲0302において, 各X座標の画素値(信号強度値)をY方向に平均化する処理を施し,X方向の画像プロファイル0303を作成する(ステップ0207)。ここまでの処理により,寸法計測対象パターン部の画像プロファイル0303を作成した。
【0036】
次に,以下に説明するフィッティングの手法を用いた処理により,作成した寸法計測対象パターンの画像プロファイル0303に,最も一致するモデルプロファイルを検索し,該画像プロファイル0303にあてはめる。本実施例のように,寸法計測対象パターンが一方向に伸びる配線の場合,画像プロファイルは0303のように,左右に大きな2つの凸形状を有する。これらを,左特徴部,右特徴部とする。まず,画像プロファイルの左特徴部,右特徴部に,それぞれ最も一致するモデルプロファイルを,図4を用いて説明したフローに従って作成された図6に示すようなデータベース0115から検索し,それぞれ,図3(c)に示すような左マッチングプロファイル0304,右マッチングプロファイル0305とする。(ステップ0208)。各特徴部とモデルプロファイルの一致度を調べるときに,各特徴部に対し,モデルプロファイルをX座標方向にシフトさせて,シフト量と一致度の関係を調査し,最も一致するシフト量での一致度を,該モデルプロファイルの一致度とし,この時のシフト量を記憶する。
【0037】
このようにして得られたデータベース上のモデルプロファイルの一致度を比較し,最も一致するモデルプロファイルをマッチングプロファイルとし,マッチングプロファイルが最も画像プロファイルに一致したシフト量を,最適シフト量として記憶する。ここでこの一致度の計算法としては,例えば,2つのプロファイルの2乗誤差(2つのプロファイルのZ値(図3(c)のZ軸方向の値)の差の2乗値をそのプロファイル全体にわたって加算したもの)を用いることができ,この場合一致度が高いとはその2乗誤差が小さいことを意味する。次に,左右マッチングプロファイル0304,0305を,各シフト量に従い,画像プロファイル0303に当てはめる(ステップ0209)。ここまでの処理により,作成した画像プロファイルに,最も一致するモデルプロファイルを検索し,画像プロファイル0303にあてはめることができる。
【0038】
次に,以下に説明する処理により,寸法計測位置を指定する。正確に配線幅を測るためには,マッチングプロファイルに対応するパターン断面における寸法計測位置を指定し,これをマッチングプロファイルの寸法計測位置に置き換え,計測を行う必要がある。そこで,図3(c)に示す左マッチングプロファイル0304に対応する図3(b)に示すような断面モデル0306をデータベース0115より検索し,断面モデル0306上での寸法計測位置0307を指定する(ステップ0210)。次に,指定された断面モデル上の寸法計測位置0307と対応したマッチングプロファイル上の寸法計測位置0308を選択し,選択された寸法計測点の画像プロファイル上でのX座標0309を記憶する(ステップ0211)。右マッチングプロファイルについても,ステップ0210から0211の処理を実行する。
【0039】
本実施例のように,2つ以上の断面モデルから寸法計測位置を指定する場合,指定する高さは,1つであっても,断面モデル毎に違っても構わない。また,指定する高さは,絶対値で指定しても,高さの比で指定しても,角度条件などで位置を指定しても構わない。また,ステップ0211においては,断面モデル上の寸法計測位置をマッチングプロファイル上の寸法計測位置に置き換える処理以外にも,例えば,断面モデルで指定された寸法計測位置の,その断面モデルに対応づけられているモデルプロファイルでの最大幅と最小幅に対する割合値を計算し,その割合値となる対象の画像プロファイル上の輝度値を持つ位置を寸法計測位置として選択することも可能である。
【0040】
試料0102上の本来同一形状となるように形成されたパターンの寸法を順次計測する場合には、最初に断面モデル0306上で指定した測長位置0301を記憶しておき、ステップ0210でこの記憶した情報を用いて順次断面モデル0306上の寸法計測位置0307を指定するようにしても良い。
【0041】
こうして得られた,左マッチングプロファイルの寸法計測点0309と右マッチングプロファイルの寸法計測点0310の幅0311を調べ,画素座標を記憶部0112に記憶したSEM画像撮像倍率等の撮像条件から,寸法に換算することで,配線幅寸法値が算出できる(ステップ0212)。
【0042】
以上により,モデルプロファイルおよび該プロファイルに関連付けられた断面モデルを格納したデータベース0115を用いた,配線幅寸法の計測が可能となる。
これまでの説明により,本発明による一連の処理の流れを示したが,各処理において他にもいくつかの代替案が考えられる。
【0043】
たとえば,図2に示した測定シーケンスのステップ0203において,ステージ0101上の試料0102上に電子線0108を走査するとき,電子線の照射角およびステージ0101が傾いていてもよい。例えば,ステージもしくは入射ビーム角度を5度に傾け撮像すれば,パターンを5度斜め上方から観察することとほぼ等価な像が得られ,その結果,対象パターンの壁部や断面裾部の観察が,ステージもしくは電子ビームを傾けない場合に比べ容易になるという利点がある。本発明においてこのようにステージもしくは電子線を傾けた場合には,図4のステップ0403において,同じ条件で電子線を走査させ作成したモデルを用いる必要がある。
【0044】
また,図2のステップ0204において,取得する2次電子信号は,反射電子を検出して得た信号でもよい。この場合,これにより取得した画像により寸法計測を行う場合には,図4のステップ0404において,反射電子信号を取得して作成した,モデルを用いればよい。
【0045】
また,図2のステップ0206,および図4のステップ0406において,ひとつの走査型電子顕微鏡画像から選択する寸法計測パターン部を2個以上とすることも可能である。このように,取得した画像上に寸法計測パターンが複数ある場合には,ステップ0207からステップ0212,およびステップ0407からステップ0411の手順を,各モデルパターンに対し実施すればよい。
【0046】
また,図4のシーケンスを実行し,作成された複数のモデルプロファイル(例:0506)の高さは,正規化された値であってもよい。その場合,0208において画像プロファイル0303に最も一致するモデルプロファイルを検索する際に,モデルプロファイルを高さ方向に伸縮させ,最も一致する高さでの一致度を,該モデルプロファイルの一致度とし,0209においてマッチングプロファイルを画像プロファイル0303に当てはめる際に,該モデルプロファイルの最も一致する高さに伸縮したモデルを用いればよい。
【0047】
また,上記の説明では,図4のステップ0401から0407の処理において,モデルパターンの走査型電子顕微鏡画像より得られた画像プロファイルからモデルプロファイルを作成し,AFM等により計測されたモデルパターンの断面プロファイルから断面モデルを作成しているが,この処理内容の代わりに,電子線シミュレーションを用いて,画像プロファイルおよび断面モデルを作成してもよい。その場合,まず,断面モデルを作成し,該断面モデルに電子線を照射するシミュレーションを行うことで該断面モデルに対する画像プロファイルを得ることができる。
【0048】
また,図2のステップ0208において,画像プロファイル0303に最も一致するモデルプロファイルの一致度が,予め指定した値よりも低い値となった場合,画像プロファイルに対し適当なモデルプロファイルが存在しないことをユーザーに知らせることが可能である。この時,装置内にAFMを搭載した走査型電子顕微鏡(図省略)ならば,寸法計測対象パターンのAFM測定を行うことで,断面形状を取得し,該画像プロファイル0303と組み合わせて,新たなモデルとしてデータベース0115に格納することも可能である。
【0049】
また,図2のステップ0210において,図3(b)に示した断面モデル0306上で計測位置を指定する際,予め図4のシーケンスにおいて,断面モデル0507(図5(e)参照)の特徴的な部位に名前0508をつけて保存し,この名前0508を指定することで,断面モデル上の特徴点を計測位置として指定してもよい。例えば,配線裾部など,ユーザーが通常寸法計測を行いたいと考える部位を断面モデル0507上で指定し,“裾部”など,ユーザーの解釈が容易な文字列を名前として付加しておき,寸法計測位置を指定する際に,“裾部”の名前を指定することで,各寸法計測対象パターンについて配線裾部の寸法を計測することができる。
【0050】
また,図2のステップ0210において、図3(b)に示した断面モデル0306上の寸法計測位置を指定せずに,図3(c)に示した画像プロファイル0303にあてはめたマッチングプロファイル0304,0305上の寸法計測位置を指定して,0212により寸法計測を行ってもよい。マッチングプロファイル上で計測位置を指定する方法は,任意の点を指定する以外に,プロファイル上の高さを絶対値で指定しても,高さの比で指定しても,角度などで指定しても構わない。
【0051】
次に,図9に本発明にかかる走査型電子顕微鏡における寸法計測結果の出力画面の例を示す。本画面では,寸法計測パターンの撮像画像とそこから得られた寸法値,またその寸法値を算出するために用いられたモデルプロファイルの情報などを同一画面に表示することで,測定結果をユーザーに提示する機能を有する。 走査型電子顕微鏡画像0902は,寸法計測対象パターンの画像であり,この画像から抽出した画像プロファイル0903が,画像0902に重ねて表示してある。また,マッチングプロファイル0904は,画像プロファイル0903に対して,マッチングより選択されたモデルプロファイルであり,これも同一画面上に重ねて表示されている。
【0052】
このように,取得画像から抽出したプロファイルとそれに対してマッチングにより検索されたプロファイルとを重ねて表示することにより,視覚的に該マッチングプロファイルの寸法計測対象パターンの画像プロファイルに対する一致度を確認することができる。また,この際,一致度(マッチング率)0905を同時に表示してもよい。さらに,図9は,該マッチングプロファイル上の計測点0906,該マッチングプロファイルに対応した断面モデル0907,および該断面モデル上の計測点0908をも同時に表示された例を示しており,このようにこれらの情報を同一画面に出力することで,寸法計測位置を視覚的に得ることが可能となる。
【0053】
また,本図では,ユーザーが測定したい断面形状での位置を,例えば“ボトム部”などのような名称で指定した場合に,計測したパターンの寸法値0901と併記して,その名前0508を表示した例を示しており,このような表示を行うことで,ユーザーは容易に寸法測定結果を確認することができる。
【実施例2】
【0054】
本実施例2では,先に説明した図4に示すデータベース0115の作成手順を容易化する発明について説明する。ここではデータベース格納に使用するモデルプロファイルおよび断面モデルを,形状が段階的に変化するような,例えば,露光量とフォーカスをウエハ上の位置により段階的に変化させて作成したFEM(Focus Expose Matrix)ウエハ上のパターンを用いて作成し,これらを用いて,寸法計測を行う。このように,段階的に形状が変化することが予めわかっているモデルプロファイルおよび断面モデルを用いると,寸法計測対象パターンの画像プロファイルに一致するモデルプロファイルをひとつ決定しパターン寸法を求めるのではなく,比較的よく一致する形状の似た1つ以上のモデルプロファイルおよび断面モデルを選択し,これらのデータを用いて,補間処理により被測定パターンの寸法を求めることが可能となる。これにより,予めデータベースに格納するモデルプロファイルおよび断面モデルの数を少なくしても,高精度な寸法計測ができるようになるため,モデル作成のためのコストおよび時間を削減することが可能となる。
【0055】
図7に,本発明に係る,パターン寸法の計測シーケンスを示す。なお,この計測シーケンスでは,寸法計測パターンの操作型電子顕微鏡画像の取得及びその画像からの画像プロファイル取得(ステップ0700)を行ったのち,その画像プロファイルを用いて計測を行うが,このステップ0700は,図2のステップ0201から0207の処理と同じであるため,図7では細部を省略してある。
【0056】
まず,寸法計測位置を指定する(ステップ0701)。本実施例においては,パターン断面高さの50%位置を指定することとする。その他の指定手段として,高さの絶対値で指定,高さの比で指定,角度条件などによる位置指定など,断面モデル上の任意の点を指定する以外の手段が可能である。次に,寸法計測対象パターンの画像プロファイル0303と図8(b)に示すような本処理に用いる各モデルプロファイル0801の一致度0803,および,指定された寸法計測位置の画像プロファイル0303でのX座標0802を記憶していく(ステップ0702)。
【0057】
このようにして得られた,一致度と寸法計測位置のX座標の関係0804から,関数近似0805などにより推定される,より高い一致度0806とそのX座標0807を求め,寸法計測位置を補間する(ステップ0703)。例えば,一致度と測長位置のX座標の関係を表した,図8の0804のように,得られた一致度が右に凸形状に変化する場合には,その頂点における一致度は,各モデルプロファイルが記憶している一致度よりも高いことが考えられ,この凸形状を放物線などの凸関数で近似し,その頂点およびそのときのX座標を求めることで,寸法計測を行うことが可能となる。
【0058】
最後に,ステップ0703により得られた,寸法計測位置の幅を計測し,画素座標を走査型電子顕微鏡画像の撮像条件から寸法換算することで,パターン寸法値を得る(ステップ0704)。
【0059】
実施例1および実施例2において,寸法計測対象パターンが一方向に伸びる配線パターンである場合について,寸法計測のための処理内容を説明したが,寸法計測対象パターンの形状はこれに限らない。他に,他形状の配線パターンであっても,円形もしくは楕円形のホールパターンなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】CDSEMの装置構成を示した図である。
【図2】本発明に係る,パターン寸法計測シーケンスである。
【図3】本発明に係る,パターン寸法計測シーケンスで取得および作成する画像を説明した図である。
【図4】本発明に係るパターン寸法計測に用いる,モデルプロファイルおよび断面モデルを作成するシーケンスである。
【図5】モデルプロファイルおよび断面モデルを作成するシーケンスで,取得および作成する画像を説明した図である。
【図6】モデルプロファイルおよび断面モデルを記憶する,データベースを説明した図である。
【図7】本発明に係る,データベースで記憶するモデル数が少ない場合に対応した,パターン寸法計測シーケンスである。
【図8】データベースで記憶するモデル数が少ない場合に対応したパターン寸法計測シーケンスで,使用する画像,および寸法計測位置補正法を説明した図である。
【図9】本発明に係る,パターン寸法計測結果の出力画面を説明した図である。
【符号の説明】
【0061】
0101・・・ステージ,0102・・・試料,0103・・・電子銃,0104・・・一次電子偏向器,0105・・・対物レンズ,0106・・・2次電子検出器,0107・・・A/D変換機,0108・・・電子線,0109・・・制御バス,0110・・・データバス,0111・・・制御部,0112・・・記憶部,0113・・・処理部,0114・・・入出力部,0115・・・データベース,0301・・・寸法計測パターン画像,0501・・・モデルパターン画像,0801・・・寸法計測位置決定に用いるモデル群,0804・・・モデルの一致度と測長位置の関係図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の二次電子画像を用いて前記試料上に形成されたパターンの寸法を計測する方法であって、
走査型電子顕微鏡を用いて試料を撮像して該試料の二次電子画像を取得し、
該取得した二次電子画像の中で寸法を計測するパターンの画像プロファイルを前記二次電子画像を用いて作成し、
予め記憶しておいた断面の形状と寸法とが既知で形状が異なる複数のパターンのそれぞれの二次電子画像から得られた前記複数のパターンのそれぞれに対応する複数のモデルプロファイルの中から前記作成した画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを検索し、
該検索して得たモデルプロファイルの情報を用いて前記パターンの寸法を求めることを特徴とする寸法計測方法。
【請求項2】
該求めたパターンの寸法を、該パターンの二次電子画像と前記画像プロファイル及び前記モデルプロファイルを画面上に表示することを特徴とする請求項1記載の寸法計測方法。
【請求項3】
前記パターンの寸法を、前記検索して得たモデルプロファイルに対応する断面の形状と寸法とが既知のパターンの断面プロファイル上で指定して該指定した箇所に対応する前記モデルプロファイルから求めることを特徴とする請求項1記載の寸法計測方法。
【請求項4】
走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の二次電子電子画像を用いて前記試料上に形成されたパターンの寸法を計測する方法であって、
走査型電子顕微鏡を用いて試料を撮像して得た該試料の二次電子画像から寸法を計測するパターンの画像プロファイルを作成し、
断面の寸法が既知のパターンの該断面の二次電子画像から得られたモデルプロファイルを形状の異なる複数のパターンについて求めて記憶したデータベースの中から前記画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを求め、
該求めたモデルプロファイルに対応する前記断面の寸法が既知のパターンの断面プロファイル上で寸法を計測する箇所を指定し、
該断面プロファイル上で指定された寸法を計測する箇所に対応する前記モデルプロファイル上の箇所から前記パターンの所望の箇所の寸法を求め、
該求めた所望の箇所の寸法を前記求めたモデルプロファイルと前記画像プロファイル及び前記パターンの二次電子画像とを同一の画面上に表示する
ことを特徴とする寸法計測方法。
【請求項5】
前記断面の寸法が既知のパターンの断面プロファイル上で寸法を計測する箇所を複数指定し、該断面プロファイル上で指定された複数の寸法を計測する箇所のそれぞれに対応する前記モデルプロファイル上の箇所から前記パターンの複数の箇所の寸法を求めることを特徴とする請求項4記載の寸法計測方法。
【請求項6】
前記データベースの中から前記画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを求めるステップにおいて、前記パターンの左右の側面のそれぞれに対してフィッティングにより最も一致するモデルプロファイルを求めることを特徴とする請求項4記載の寸法計測方法。
【請求項7】
走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の二次電子画像を用いて前記試料上に形成されたパターンの寸法を計測する装置であって、
試料に収束させた電子ビームを照射して走査して該試料の二次電子画像を取得する走査型電子顕微鏡手段と、
該走査型電子顕微鏡手段で取得した二次電子画像の中で寸法を計測するパターンの画像プロファイルを前記二次電子画像を用いて作成する画像プロファイル作成手段と、
断面の形状と寸法とが既知で形状が異なる複数のパターンのそれぞれの断面プロファイルと該複数のパターンのそれぞれの二次電子画像から得られた複数のモデルプロファイルを記憶しておく記憶手段と、
該記憶手段に記憶した複数のモデルプロファイルの中から前記画像プロファイル作成手段で作成した画像プロファイルと最も一致するモデルプロファイルを検索するモデルプロファイル検索手段と、
該モデルプロファイル検索手段で検索して得たモデルプロファイルを用いて前記パターンの寸法を求める寸法算出手段と
を備えたことを特徴とする寸法計測装置。
【請求項8】
前記寸法計測装置は更に画面を有する表示手段を備え、該表示手段の画面上に、前記走査型電子顕微鏡手段で取得したパターンの二次電子画像と、前記画像プロファイル作成手段で作成した画像プロファイルと、前記モデルプロファイル検索手段で検索して得たモデルプロファイルとを、前記寸法算出手段で算出した前記パターンの寸法と一緒に表示することを特徴とする請求項7記載の寸法計測装置。
【請求項9】
前記寸法算出手段は、前記記憶手段に記憶した前記断面の寸法が既知のパターンの断面プロファイル上で寸法を計測する箇所を指定する計測個所指定部と、該計測個所指定部において断面プロファイル上で指定された寸法を計測する箇所に対応する前記モデルプロファイル検索手段で検索した前記モデルプロファイル上の箇所を決定する計測個所決定部と、該計測個所決定部で決定した前記モデルプロファイル上の計測個所から前記パターンの寸法を求めるパターン寸法算出部とを有することを特徴とする請求項7記載の寸法計測装置。
【請求項10】
前記モデルプロファイル検索手段は、前記パターンの左右のそれぞれの側面に対してフィッティングにより最も一致するモデルプロファイルを求めることを特徴とする請求項7記載の寸法計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−93251(P2006−93251A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274337(P2004−274337)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】