説明

対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置及び光ディスク装置

【課題】対物レンズの光ディスクに対する傾き制御を行える薄型の対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置及び光ディスク装置を提供することを目的とする。
【解決手段】レンズホルダ2と、第1フォーカスコイル6aと、第2フォーカスコイル6bと、トラッキングコイル7と、第1フォーカスコイル6aに電流を流す一組の第1導電部材3dと第2フォーカスコイル6bに電流を流す一組の第2導電部材3eとトラッキングコイル7に電流を流す一組の第3導電部材3fとを備えた支持部材3と、を具備し、支持部材3は外層と内層との二層構造で形成され、一組の第1導電部材3dと一組の第2導電部材3eと一組の第3導電部材3fの任意の1本の導電部材は支持部材3の外層または内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置11とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルコンピュータ等の電子機器に好んで搭載される対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置及び光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置はCD(Compact Disc)からDVD(Digital Versatile Disc)へと進化し、さらに次世代DVDとして、BD(Blu−ray Disc)、HD DVD(High Definition DVD)が開発されている。一方、光ディスク装置は単に光ディスクに記録されていた情報を再生するだけの機能に光ディスクに情報を記録する機能も付加されて進化してきた。光ディスク装置に搭載され、光ディスクに対し情報を記録再生する光ピックアップ装置もまた、上記進化に合わせて進化してきた。
【0003】
図16はCDとDVDに対し記録再生ができる従来の光ピックアップ装置の対物レンズ駆動装置を示す図である。対物レンズ101は、レーザ光源(図示せず)から出射されたレーザ光を光ディスク(図示せず)の記録面で焦点が合うように集光させるレンズである。対物レンズ101はレンズホルダ102に固定される。レンズホルダ102はまた第1フォーカスコイル106a、第2フォーカスコイル106b、及びトラッキングコイル107を固定している。レンズホルダ102は支持部材103の一端部を固定しており、支持部材103の他端部は固定部材104に固定される。6本の支持部材103はレンズホルダ102の両端に1列に3段で配置される。レンズホルダ102の固定される最上段と最下段の支持部材103の間隙は1.32mm程度であり、中段と最上段の支持部材103の間隙、中段と最下段の支持部材103の間隙はそれぞれ0.62mm程度である。また、固定部材104はヨーク105に固定され、ヨーク105は光ピックアップ装置のキャリッジ(図示せず)に固定される。また、ヨーク105は磁石108を固定している。対物レンズ101を搭載したレンズホルダ102は支持部材103によって弾性的に支持され、光ディスクのフォーカス方向とトラッキング方向に移動することができる。
【0004】
トラッキングコイル107は互いに電気的に接続され、一組の第3導電部材103cのレンズホルダ102側の端部と接続される。また2つあるフォーカスコイル106はそれぞれ独立して第1フォーカスコイル106a及び第2フォーカスコイル106bとしてそれぞれ一組の第1導電部材103a及び一組の第2導電部材103bのレンズホルダ102側の端部と接続される。支持部材103の固定部材104側の端部はフォーカスコイル106及びトラッキングコイル107に電流を流す導電線(図示せず)と接続される。このように6本の支持部材103は第1フォーカスコイル106a、第2フォーカスコイル106bやトラッキングコイル107に電流を流す導電線の役割も果たす。そして、第1フォーカスコイル106a、第2フォーカスコイル106b、トラッキングコイル107、磁石108は磁気回路を構成する。そして第1フォーカスコイル106a、第2フォーカスコイル106b、トラッキングコイル107に電流が流れた時に電磁力で対物レンズ101を搭載したレンズホルダ102が光ディスクのフォーカス方向やトラッキング方向に移動することができるように配置されている。
【0005】
DVDの記録の場合、光ディスクの特にトラッキング方向の対物レンズ101の傾きが特性に大きな影響を与える。そのため、DVDの記録に用いる光ピックアップ装置には対物レンズ101の傾き制御を行えるようにしてある。対物レンズ101の傾き制御を行うために、第1フォーカスコイル106a、第2フォーカスコイル106bに流す電流を独立に制御して、それぞれのフォーカスコイル106が発生する電磁力を制御する。
【0006】
(特許文献1)では、さらに磁気回路を変更して対物レンズ駆動装置を薄くできるようにしている。
【特許文献1】特開2003−203373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光ディスク装置はその厚さを薄くする方向にも進化しており、それに搭載される光ピックアップ装置もまた薄型化が要求される。そのためには対物レンズ駆動装置も薄くすることが必要となる。ところが、さらに対物レンズ駆動装置を薄くしようとすると、最上段と最下段の支持部材の間隙をさらに狭める必要が出てくる。ところが、各支持部材間の間隔をさらに狭めなければいけないために、支持部材、レンズホルダ、固定部材を一体で成型しようとする場合には、各支持部材間に挿入するスペーサの厚さが確保できないという問題が発生してきた。また、支持部材をレンズホルダに設けた端子板に半田で固定しようとする場合には、端子板に半田用ランドを縦に並べて設けるために必要なスペースが確保できないという問題が発生してきた。すなわち、レンズホルダの両端に3段ずつの支持部材を厚さ方向に並べて最上段と最下段の支持部材の間隙をこれ以上狭めて配置することは困難になってきた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するもので、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御を行える薄型の対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置及び光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの他端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成したことを特徴とする対物レンズ駆動装置とした。
【0010】
また、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの両端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させ他端を反対向きの光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成したことを特徴とする対物レンズ駆動装置としても良い。
【0011】
レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、2段1列に配置されていれば、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。また、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の対物レンズ駆動装置は、レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が2段1列に配置されていれば合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の請求項1の発明は、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、レンズホルダの他端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材とトラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、一組の第1導電部材と一組の第2導電部材と一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は支持部材の外層または内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置である。
【0014】
レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が2段1列に配置されていれば合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。
【0015】
請求項2の発明は、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、レンズホルダの両端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させ他端を反対向きの光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材とトラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、一組の第1導電部材と一組の第2導電部材と一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は支持部材の外層または内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置である。
【0016】
レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が2段1列に配置されていれば合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明または請求項2の発明において、支持部材はレンズホルダの両端に2段1列に配置されている対物レンズ駆動装置である。
【0018】
レンズホルダの両端に配置され外層と内層との二重構造で形成されている支持部材が2段1列に配置されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1の発明または請求項2の発明において、外層と内層との間には絶縁部材が配置されている対物レンズ駆動装置である。
【0020】
外層と内層との絶縁が保たれるので、信頼性を高めることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、内層と絶縁部材とで被覆導線を構成した対物レンズ駆動装置である。
【0022】
支持部材は外層に被覆導線を挿入することで製造できるので、製造が容易である。
【0023】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、内層が第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイルまたはトラッキングコイルの少なくとも1つを形成した対物レンズ駆動装置である。
【0024】
第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイルまたはトラッキングコイルを形成した被覆導線をそのまま内層として用いるため、これらのコイルと内層との接続に必要なスペースが不要になる。そのため対物レンズ駆動装置を小型にしやすい。
【0025】
請求項7の発明は、請求項4の発明において、支持部材は同軸ケーブルである対物レンズ駆動装置である。
【0026】
同軸ケーブルは安価であるので対物レンズ駆動装置を安価に製造することができる。
【0027】
請求項8の発明は、請求項1の発明または請求項2の発明において、支持部材は第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル及びトラッキングコイルのいずれにも接続しない第4導電部材を含む対物レンズ駆動装置である。
【0028】
第4導電部材を備えることで、支持部材を上下左右対称に配置することができ、バランス良くレンズホルダを弾性支持することができる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、第1導電部材を構成する外層数及び内層数と第2導電部材を構成する外層数及び内層数とは同じである対物レンズ駆動装置である。
【0030】
外層と内層の電気抵抗が異なっていても第1導電部材と第2導電部材の電気抵抗をほぼ等しくすることができるため、第1フォーカスコイルと第2フォーカスコイルに流れる駆動電流もほぼ同じにできる。そのため、第1フォーカスコイルと第2フォーカスコイルの感度がほぼ同じとなるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御を行いやすくなる。
【0031】
請求項10の発明は、請求項1の発明または請求項2の発明において、固定部材を固定する平坦部と、前記平坦部の両端から略同一の方向に伸びた腕部と、前記両腕部の間の平坦部を略直角に折り曲げた第1の立設ヨーク部と、前記両腕部を斜め方向の折り目で内側に前記第1の立設ヨーク部と同一側の略直角に折り曲げ前記両腕部の先端部を前記第1の立設ヨーク部に対向するように折り曲げた第2の立設ヨーク部と、を有するヨークを備える対物レンズ駆動装置である。
【0032】
必要とするスペースが少ないので光ピックアップ装置を小型化しやすい。
【0033】
請求項11の発明は、請求項3の発明において、支持部材がレンズホルダに2段に配置される間隙は1mm以下である対物レンズ駆動装置である。
【0034】
対物レンズ駆動装置の厚さを薄くすることができる。
【0035】
請求項12の発明は、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、レンズホルダの他端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材とトラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、一組の第1導電部材と一組の第2導電部材と一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は支持部材の外層または内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えた光ピックアップ装置である。
【0036】
レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が2段1列に配置されていれば合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。そのため、この対物レンズ駆動装置を備えた光ピックアップ装置も薄型化ができる。
【0037】
請求項13の発明は、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、レンズホルダの両端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させ他端を反対向きの光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材とトラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、一組の第1導電部材と一組の第2導電部材と一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は支持部材の外層または内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えた光ピックアップ装置である。
【0038】
レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が2段1列に配置されていれば合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。そのため、この対物レンズ駆動装置を備えた光ピックアップ装置も薄型化ができる。
【0039】
請求項14の発明は、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、レンズホルダの他端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材とトラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、一組の第1導電部材と一組の第2導電部材と一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は支持部材の外層または内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置である。
【0040】
レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が2段1列に配置されていれば合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。そのため、この対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置も薄型化ができる。
【0041】
請求項15の発明は、光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、レンズホルダの両端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させ他端を反対向きの光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材とトラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、一組の第1導電部材と一組の第2導電部材と一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は支持部材の外層または内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置である。
【0042】
レンズホルダの両端に配置される支持部材が外層と内層との二重構造で形成されているので、外層と内層とを合わせた導電部材が2段1列に配置されていれば合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイルと一組の第1導電部材、第2フォーカスコイルと一組の第2導電部材、トラッキングコイルと一組の第3導電部材がそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイル、及びトラッキングコイルに独立して電流を流すことができるため、対物レンズの光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材の間隙でも、最上段と最下段の支持部材の間隙は、支持部材を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置の薄型化ができる。そのため、この対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置も薄型化ができる。
【0043】
(実施の形態1)
本実施の形態1について図面を参照しながら説明する。図1は本実施の形態1の対物レンズ駆動装置の構成図である。本実施の形態1において対物レンズ駆動装置11は、対物レンズ1、フォーカスコイル6、トラッキングコイル7がレンズホルダ2の所定の位置に固定されている。また、磁石8を固定したヨーク5に固定部材4が固定されており、これを装置本体という。そして支持部材3の一端部がレンズホルダ2両端の端子板2dに、他端部が固定部4に固定されている。レンズホルダ2は支持部材3によって弾性支持される。支持部材3はレンズホルダ2の両端に2段で配置される。支持部材3の配置は光ディスクから近い側の段を上段、遠い側の段を下段という。
【0044】
本実施の形態1において、上段と下段の支持部材3の間隙は0.6mmとした。1mm以下であれば、従来の構成に対し、十分に対物レンズ駆動装置11の厚さを薄くできる。0.8mmであれば端子板2d上の支持部材3を固定するための半田用ランド2fのためのスペースを余裕を持って確保できる。また、0.6mmであれば、従来構成の各支持部材間の間隙とほぼ同等であり、半田用ランド2fのためのスペースをぎりぎり確保できる。そして、対物レンズ駆動装置11の厚さを極力薄くすることができ、0.6mmの場合、最上段と最下段の支持部材3の間隔はほぼ半分にすることができる。
【0045】
図2(a)は本実施の形態1のレンズホルダの構成図、図2(b)は図2(a)の左側の端子板の半田用ランドの配置と配線図、図2(c)は図2(a)の右側の端子板の半田用ランドの配置と配線図である。レンズホルダ2は対物レンズ1がその上部に固定される第1貫通孔2aを中央部に備える。また、フォーカスコイル6が固定される第2貫通孔2bを第1貫通孔2aの両側に備える。第2貫通孔2bは光ディスクの略トラッキング方向に並べられる。また、外縁部に第2貫通孔2bを挟むように切り欠き部2cを設けた。切り欠き部2cにトラッキングコイル7が固定される。さらに光ディスクの略トラッキング方向のレンズホルダ2の両端部の側面に支持部材3を保持するための端子板2dを設けた。端子板2dは接着剤でレンズホルダ2本体に取り付けられる。図2(b)、図2(c)に示すように端子板2dはプリント基板であり、半田用ランド2e、2f、2gを備える。半田用ランド2eは半田用ランド2fまたは半田用ランド2gと端子板2dの中で予め配線されて導通されている。半田用ランド2e、2f、2gの配置と配線は設計により設定される。レンズホルダ2はガラスフィラー入り液晶ポリマ等で形成される。レンズホルダ2の両端部の側面の端子板2dの半田用ランド2fには支持部材3が上段と下段の2段で配置されるため、半田用ランド2fは上下2段に配置した。
【0046】
図3は本実施の形態1の支持部材の構成図である。支持部材3は外層と内層の二層構造で形成されており、外層を外層導電部材3a、内層を内層導電部材3bで構成する。すなわち、中空で導電性の外層導電部材3aと外層導電部材3aの中空部に外層導電部材3aから絶縁されて配置される内層導電部材3bとを備え、外層導電部材3aと内層導電部材3bとの間に絶縁部材3cを配置する。本実施の形態1において支持部材3は管状の外層導電部材3aの中空部に内層導電部材3bと絶縁部材3cとを備える被覆導線が配置される構成とした。支持部材3は外層導電部材3aに被覆導線を挿入することで製造できるので、製造が容易である。外層導電部材3aの断面は略円環状、内層導電部材3bの断面は略円形となる。外層導電部材3aは端子板2dの半田用ランド2fに固定され、レンズホルダ2を弾性支持する役割の大半を担う。よって、外層導電部材3aは銅合金(例えば銅−ベリリウム合金)等の弾性のある導電材料、内層導電部材3bは銅等の導電材料、絶縁部材3cはポリウレタン等の樹脂で構成される。弾性特性や機械的強度、電気抵抗の面から外層導電部材3aの外径は0.10mmから0.15mm、内径は0.05mmから0.12mm、内層導電部材3bの直径は0.03mmから0.10mm程度の範囲で選択するのが好ましい。本実施の形態1において、外層導電部材3aの外径は0.10mm、内径は0.07mm、内層導電部材3bの直径は0.05mmとした。また、絶縁部材3cを配置することで確実に外層導電部材3aと内層導電部材3bとの絶縁をすることができ、信頼性を高めることができる。
【0047】
また、本実施の形態1において支持部材3は管状の外層導電部材3aの中空部に内層導電部材3bと絶縁部材3cとを備える被覆導線が配置される構成とした。しかし、その構成に限るものではなく、中心の1本の導線である内層導電部材3bの周囲に絶縁部材3cを配置した周囲に網状の外層導電部材3aを配置したいわゆる同軸ケーブルとしても良い。その際、半田用ランド2fに固定されるのは内層導電部材3bであり、内層導電部材3bがレンズホルダ2を弾性支持する役割の多くを担う。また、通常同軸ケーブルは管状の絶縁部材3cの中空部に外層導電部材3a、内層導電部材3b、絶縁部材3cが配置されているが、その構成でも構わない。同軸ケーブルは安価であるので対物レンズ駆動装置11を安価に製造することができる。
【0048】
図4(a)は本実施の形態1の固定部材の構成図、図4(b)はFPCを取り付けた固定部材の構成図である。固定部材4は絶縁性材料であるガラスフィラー入り液晶ポリマ等で形成される。固定部材4はFPC(フレキシブルプリント基板)9を保持する保持部4aと保持部4aに設けられた支持部材3を通す貫通孔4bと開口4cとを備える。貫通孔4b及び開口4cにはダンピングゲル10が充填される。貫通孔4bは支持部材3を1本ずつ通す大きさではなく2本通せる大きさとした。そのことにより、レンズホルダ2の構造を簡単にするとともに、レンズホルダ2を弾性支持する支持部材3の可動範囲を大きく確保することができる。
【0049】
FPC9は接着剤で固定部材4に取り付けられる。FPC9は支持部材3を通す貫通孔9bを備えた半田用ランド9aと貫通孔を備えない半田用ランド9cとを備える。固定部材4の貫通孔4bとFPC9の貫通孔9bとは連なるように合わせられる。
【0050】
図5(a)は本実施の形態1の磁石を配置したヨークの構成図、図5(b)は他の例の構成図である。ヨーク5は鉄合金等の磁性体からなる。図5(a)に示すようにヨーク5は固定部材4が固定される平坦部5aからレンズホルダ2が配置される側に向けて両端から腕部5bが略同一方向に伸びた構成になっている。ヨーク5には、同一側に折り曲げられた第1立設ヨーク部5c、第2立設ヨーク部5dが2つずつ、及び側立設部5e、5f、立設部5g、5hが設けられている。第1立設ヨーク部5cは腕部5bが伸びるすぐ内側の平坦部5aから略直角に折り曲げられている。第2立設ヨーク部5dは腕部5bが内側に向かうように折れ曲がる所を互いに対向するように略直角に折り曲げ、さらに第1立設ヨーク部5cと対向するように折り曲げて形成される。側立設部5e、5fは平坦部5aの側部を対向するように折り曲げる。立設部5gは第1立設ヨーク部5cと第2立設ヨーク部5dの間で腕部5bの内側部分を互いに対向するように折り曲げて形成される。立設部5hは平坦部5aの中央部に第1立設ヨーク部5cと同じ向きに折り曲げて形成される。なお、本実施の形態1において第1立設ヨーク部5cは2つであるが、設計により1つまたは3つ以上であっても構わない。
【0051】
また、図5(b)において、第2立設ヨーク部5dは腕部5bを斜め方向の折り目で略直角に立ち上がるように折り曲げ、さらに第1立設ヨーク部5cと対向するように先端部を折り曲げて形成される。この構造であると必要とするスペースは少なくて済む。そのため光ピックアップ装置を小型化しやすい。また、腕部5bは内側にL字状に曲がった形状とし、その曲がる箇所を直角に折り曲げる構造としても良い。折り曲げ箇所が1箇所になるという利点はあるものの、図5(a)や図5(b)の構造の方が必要とするスペースは少なくて済む。
【0052】
磁石8は永久磁石である。磁石8は第1立設ヨーク部5c、第2立設ヨーク部5dの対向する面に嫌気硬化性接着剤、紫外線硬化接着剤、熱硬化性接着剤などによって接合されている。磁石8はトラッキングコイル7とずれた位置で対向するように配置されている。
【0053】
図6(a)は本実施の形態1のフォーカスコイル、トラッキングコイルと支持部材との接続を示す固定部材と反対側から見た図、図6(b)は固定部材側から見た図である。フォーカスコイル6は銅あるいは銅合金等で構成された被覆導電線が巻かれている。フォーカスコイル6は第1フォーカスコイル6aと第2フォーカスコイル6bとで構成される。第1フォーカスコイル6a、第2フォーカスコイル6bはそれぞれレンズホルダ2の第2貫通孔2bの下面側の周囲に熱硬化性接着剤や紫外線硬化接着剤等で固定される。本実施の形態1において、第1フォーカスコイル6aから引き出されたリード線6cの両端部は同じ側の端子板2dの半田用ランド2eで半田付けをされて固定される。また第2フォーカスコイル6bから引き出されたリード線6dの両端部は同じ側の半田用ランド2eで半田付けをされて固定される。一方、トラッキングコイル7は銅あるいは銅合金等で構成された被覆導電線が巻かれている。本実施の形態1のトラッキングコイル7は4つの巻線を同一の導電線によって形成されており、1つのコイルである。トラッキングコイル7はレンズホルダ2の切り欠き部2cのそれぞれ熱硬化性接着剤や紫外線硬化接着剤等で固定される。各切り欠き部2cに配置された各トラッキングコイル7はリード線7aでつながれており、トラッキングコイル7のリード線7aの両端部はそれぞれ半田用ランド2eで半田付けをされて固定される。
【0054】
支持部材3はレンズホルダ2の両端の外層導電部材3aが端子板2dの上下2段に配置された半田用ランド2fに1本ずつ半田付けをされて固定される。すなわち支持部材3はレンズホルダ2の両端に2段1列に配置される。また、レンズホルダ2の両端の内層導電部材3bのうちの1本が端子板2dの半田用ランド2gで半田付けをされて固定される。半田用ランド2eは半田用ランド2fまたは半田用ランド2gと端子板2dの中で導通されているため、第1フォーカスコイル6a、第2フォーカスコイル6b、トラッキングコイル7は4本の支持部材3を構成する4本の外層導電部材3aまたは2本の内層導電部材3bのいずれか2本ずつの導電部材と電気的に導通される。この第1フォーカスコイル6aと接続する2本一組の導電部材を第1導電部材3d、第2フォーカスコイル6bと接続する2本一組の導電部材を第2導電部材3e、トラッキングコイル7と接続する2本一組の導電部材を第3導電部材3fという。本実施の形態1において第1導電部材3dは図6(a)における左側の2本の外層導電部材3a、第2導電部材3eは右側の2本の外層導電部材3a、第3導電部材3fは両側の下段の2本の内層導電部材3bとした。また導電部材は第1フォーカスコイル6a、第2フォーカスコイル6b及びトラッキングコイル7のいずれにも接続しない第4導電部材3gを含んでいる。本実施の形態1において第4導電部材3gは半田用ランド2gと接続されない両側の上段の2本の内層導電部材3bである。第1導電部材3d、第2導電部材3e、第3導電部材3f、第4導電部材3gと外層導電部材3a、内層導電部材3bとの組み合わせはこれに限るものではなく、設計で決めて良い。支持部材3の本数は4本であり、支持部材3を上下左右対称に配置することができ、バランス良くレンズホルダ2を弾性支持することができる。また、第4導電部材3gを含めて外層導電部材3aと内層導電部材3bを合わせた電流を流すことができる導電部材の本数は8本であり、第1フォーカスコイル6a、第2フォーカスコイル6b、トラッキングコイル7のすべてに接続するのに必要な導電部材の本数である6本を確保できている。
【0055】
なお、第4導電部材3gを廃止し、トラッキングコイル7は二組の第3導電部材3fと接続しても構わない。両端の端子板2dに半田用ランド2gを1つずつ増やし、端子板2dの中でトラッキングコイル7とつながる半田用ランド2eと接続しておく。残った内層導電部材3bをその新たに設けた半田用ランド2gで半田付けをして固定すれば良い。第3導電部材3fを二組使うことで、第3導電部材3fの電気抵抗を半分にすることができる。そのためトラッキングコイル7に駆動電流を多く流すことができ、対物レンズ駆動装置11の感度を上げることができる。本実施の形態1の場合、第1フォーカスコイル6aまたは第2フォーカスコイル6bのいずれか一方と接続する導電部材を二組とするのは、バランスが崩れるため好ましくない。しかしレンズホルダ2の両端に3本以上の支持部材3を配置する場合は、第1導電部材3d及び第2導電部材3eを二組として構わない。
【0056】
また、外層導電部材3aと内層導電部材3bの電気抵抗が異なる場合には、第1導電部材3dを構成する外層導電部材3aの本数及び内層導電部材3bの本数と第2導電部材3eを構成する外層導電部材3aの本数及び内層導電部材3bの本数とは同じであることが望ましい。外層導電部材3aと内層導電部材3bの電気抵抗が異なっていても第1導電部材3dと第2導電部材3eの電気抵抗をほぼ等しくすることができるため、第1フォーカスコイル6aと第2フォーカスコイル6bに流れる駆動電流もほぼ同じにできる。そのため、第1フォーカスコイル6aと第2フォーカスコイル6bの感度がほぼ同じとなるため、対物レンズ1の光ディスクに対する傾き制御を行いやすくなる。
【0057】
支持部材3の弾性特性は、外層導電部材3a、内層導電部材3b、絶縁部材3cの弾性特性を合成したものとなるが、直接レンズホルダ2に固定される外層導電部材3aの影響が最も大きい。
【0058】
本実施の形態1の第1フォーカスコイル6a及び第2フォーカスコイル6bは単独の巻線を用いたが、それに限るものではない。トラッキングコイル6のように1本の被覆導電線で複数の巻線を形成したコイルとしても良い。また、複数の巻線を連結したコイルとしても良い。また、トラッキングコイル7は4つの巻線で1つのコイルとしたが、それに限るものではない。別の個数のトラッキングコイルを1つとしても良い。
【0059】
また、本実施の形態1においては第1フォーカスコイル6aと第2フォーカスコイル6bとを合わせて2つのフォーカスコイル6を用いたが、本実施の形態1の支持部材3はトラッキングコイル7と合わせて4つまでのコイルを接続することができるので、3つのフォーカスコイル6を用いても良いし、2つのトラッキングコイル7を用いても良い。
【0060】
このように端子板2dの外側の面でフォーカスコイル6やトラッキングコイル7が支持部材3と接続されるようにした。そのため接続の作業をするためのスペースが確保されるため、製造が容易であるとともに製造コストを低く抑制できる。
【0061】
図7は本実施の形態1の固定部材側における支持部材と導電線の接続を示す図である。支持部材3は、固定部材4の貫通孔4b、固定部材4に固定されたFPC9の貫通孔9bを貫通し、固定部材4とは反対側のFPC9の半田用ランド9aで外層導電部材3aが半田付けされて固定される。すなわち、固定部材4は支持部材3を介してレンズホルダ2を変位可能に弾性的に片持ち支持している。端子板2dの半田用ランド2gに半田付けされた内層導電部材3bが半田用ランド9cに半田付けされて固定される。固定部材4はヨーク5に固定される。FPC9の半田付けをする面が固定部材4のレンズホルダ2と反対側に設けられているため、接続の作業をするスペースが確保されて製造が容易であるとともに製造コストを低く抑制できる。前述のように第4導電部材3gを廃止し、トラッキングコイル7を二組の第3導電部材3fと接続する際には、両側の半田用ランド9cを1つずつ増やし、FPC9の中でそれぞれの側の半田用ランド9cを導通しておく。半田用ランド9cと接続されていなかった方の内層導電部材3bを増やした方の半田用ランド9cで半田付けして固定すれば良い。
【0062】
また、固定部材4の開口4cはダンピングゲル10が充填されており、その部分で支持部材3はダンピングゲル10に覆われている。ダンピングゲル10はシリコン系樹脂やアクリル系樹脂であり、固定部材4からレンズホルダ2に伝わる振動や衝撃を和らげる。
【0063】
なお、本実施の形態1において、支持部材3をレンズホルダ2の両端に2段1列に配置したが、支持部材3を6本以上に増やす必要が生じた場合は、2段2列等2列以上の複数列に列数を増やして配置しても構わない。また、段数を増やすことは対物レンズ駆動装置11の厚さを増すことであり、好ましくない。しかし、対物レンズ駆動装置11の厚さの制約が無ければ、3段以上に段数を増やしても構わない。支持部材3を6本以上に増やす場合とは、例えば、フォーカスコイル6やトラッキングコイル7の個数を増やして、フォーカス制御やトラッキング制御の精度を向上させる場合がある。またフォーカスコイル6やトラッキングコイル7の発熱による温度上昇を抑えるために冷却装置をレンズホルダ2に搭載する場合等もある。
【0064】
次に製造方法について説明する。図8(a)は本実施の形態1の対物レンズ駆動装置の製造方法を示す図の端子板、フォーカスコイルとトラッキングコイルを取り付けたレンズホルダの完成図、図8(b)はFPCを取り付けた固定部材の完成図、図8(c)は支持部材の完成図、図8(d)は支持部材とレンズホルダと固定部材の組み立ての完成図、図8(e)は対物レンズの取り付けの完成図、図8(f)は磁石を配置したヨークの取り付けの完成図、図8(g)はダンピングゲルを注入した対物レンズ駆動装置の完成図である。
【0065】
まず図8(a)に示すように成型したレンズホルダ2に端子板2d、フォーカスコイル6及びトラッキングコイル7を固定する。固定は紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気性接着剤等を用いて行う。さらにリード線6c、6d、7aを端子板2dの半田用ランド2eに半田付けしておく。
【0066】
また図8(b)に示すように固定部材4にFPC9を固定する。その際、固定部材4の貫通孔4bとFPC9の貫通孔9bとが連なるように合わせる。固定は粘着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気性接着剤等を用いて行う。ネジなどを用いても良い。
【0067】
また図8(c)に示すように支持部材3は中空の外層導電部材3aに内層導電部材3bの周囲に絶縁部材3cを配した被覆導線を予め製造しておく。外層導電部材3aは直径の大きな管状部材を引き伸ばして製造する。板状部材を管状に丸めても構わない。
【0068】
次に図8(d)に示すように支持部材3とレンズホルダ2と固定部材4とを組み立てる。支持部材3の一端部を貫通孔4b及び貫通孔9bに通し、他端部を端子板2dの半田用ランド2fのところに配置する。外層導電部材3aと半田用ランド2f及び半田用ランド9aとを半田付けして固定する。さらに内層導電部材3bと半田用ランド2g及び半田用ランド9cとを半田付けして固定する。
【0069】
次に図8(e)に示すように対物レンズ1をレンズホルダ2の第1貫通孔2aの上部に固定する。固定は紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気性接着剤等を用いて行う。
【0070】
次に図8(f)に示すように固定部材4を予め磁石8をヨーク5の第1立設ヨーク部5c及び第2立設ヨーク部5dに固定しておいたヨーク5の平坦部5aに固定する。その際、ヨーク5の立設部5gがレンズホルダ2の第2貫通孔2bを貫くように組み合わせる。磁石8のヨーク5への固定は紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気性接着剤等を用いて行う。また、固定部材4のヨーク5への固定は紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気性接着剤等を用いて行う。いずれの固定も上記接着剤を組み合わせて使用しても良い。また、この工程において、ヨーク5に対する対物レンズ1の姿勢を適正なものに調整することが望ましい。対物レンズ駆動装置11はヨーク5で光ピックアップ装置本体に固定されるため、光ピックアップ装置本体に対し対物レンズ1の姿勢を適正にすることができるためである。
【0071】
最後に図8(g)に示すようにダンピングゲル10を固定部材4の開口4cに注入して支持部材3の周囲を覆い、紫外線を照射して硬化させて完成とする。
【0072】
ヨーク5に対する対物レンズ1の姿勢を適正なものに調整しなくても良い場合には、上記の製造方法でなくても構わない。例えば、まずレンズホルダ2に端子板2d、フォーカスコイル6及びトラッキングコイル7を固定する。さらにリード線6c、6d、7aを端子板2dの半田用ランド2eに半田付けする。また、固定部材4にFPC9を固定する。また、支持部材3を製造しておく。次に予め磁石8を固定しておいたヨーク5に固定部材4を固定する。次に支持部材3とレンズホルダ2とを取り付け、外層導電部材3aと内層導電部材3bの半田付けを行う。次に対物レンズ1をレンズホルダ2に固定する。最後にダンピングゲル10を注入、硬化して、完成とする。このような製造方法とすると、ヨーク5に固定部材4が固定された状態で支持部材3とレンズホルダ2が取り付けられるので、取り扱いが容易である。
【0073】
レンズホルダ2に搭載された対物レンズ1を光ディスクのフォーカス方向に移動させるには、第1フォーカスコイル6aまたは第2フォーカスコイル6bの少なくとも一方へ電流を流すようにする。その経路は、第1フォーカスコイル6aの場合、駆動電流がFPC9を通り、第1導電部材3dから第1フォーカスコイル6aへ流れ、さらに反対側の第1導電部材3dからFPC9に戻る経路である。第2フォーカスコイル6bの場合、駆動電流がFPC9を通り、第2導電部材3eから第2フォーカスコイル6bへ流れ、さらに反対側の第2導電部材3eからFPC9に戻る経路である。すると第1フォーカスコイル6aまたは第2フォーカスコイル6bに流れた電流に応じて磁石8の磁界との間で電磁力が発生し、対物レンズ1はフォーカス方向に移動する。第1フォーカスコイル6aに流す駆動電流と第2フォーカスコイル6bに流す駆動電流を変えるとそれぞれのコイルに発生する電磁力が異なるためにフォーカス方向に移動する量も変わり、対物レンズ1の姿勢を変えることができる。また、対物レンズ1を光ディスクのトラッキング方向に移動させるには、駆動電流がFPC9、第3導電部材3fからトラッキングコイル7に流れ、さらに反対側の第3導電部材3f、FPC9に戻るようにする。するとトラッキングコイル7に流れた電流に応じて磁石8の磁界との間で電磁力が発生し、対物レンズ1はトラッキング方向に移動する。
【0074】
以上のように構成され、作製された本実施の形態1の対物レンズ駆動装置11は、レンズホルダ2の両端に配置され外層と内層との二重構造で形成されている支持部材3が2段1列に配置されているので、外層導電部材3aと内層導電部材3bとを合わせた導電部材が合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイル6aと一組の第1導電部材3d、第2フォーカスコイル6bと一組の第2導電部材3e、トラッキングコイル7と一組の第3導電部材3fがそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル6a、第2フォーカスコイル6b、及びトラッキングコイル7に独立して電流を流すことができるため、対物レンズ1の光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材3の間隙でも、最上段と最下段の支持部材3の間隙は、支持部材3を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置11の薄型化ができる。
【0075】
(実施の形態2)
本実施の形態2について図面を参照しながら説明する。本実施の形態2は実施の形態1の対物レンズ駆動装置に対し、第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイルの構成が異なる対物レンズ駆動装置である。第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイルの構成及びそれに伴う支持部材との接続を除いては実施の形態1の対物レンズ駆動装置及びその製造方法の説明と同じなので、その説明を援用する。図9は本実施の形態2の第1フォーカスコイルと第2フォーカスコイルの巻線方向を示す図、図10(a)は本実施の形態2のフォーカスコイル、トラッキングコイルと支持部材との接続を示す固定部材と反対側から見た図、図10(b)は固定部材側から見た図である。実施の形態1と同様にフォーカスコイル12は第1フォーカスコイル12aと第2フォーカスコイル12bとからなる。
【0076】
図9において、第1フォーカスコイル12aは同じ方向に巻かれた2つの巻線を1本のリード線12cで形成したコイルである。同じ方向に巻かれた2つの巻線をリード線12cでつないでも良い。また、第2フォーカスコイル12bは互いに逆方向に巻かれた2つの巻線を1本のリード線12dで形成したコイルである。互いに逆方向に巻かれた2つの巻線をリード線12dでつないでも良い。レンズホルダ2に固定する際には一方の第2貫通孔2bには第1フォーカスコイル12aの一方の巻線と第2フォーカスコイル12bの一方の巻線を重ね、他方の第2貫通孔2bには第1フォーカスコイル12aの他方の巻線と第2フォーカスコイル12bの他方の巻線を重ねて配置する。
【0077】
図10において、支持部材3はレンズホルダ2の両端の端子板2dに2段1列で配置される。端子板2dの半田用ランド2e、2f、2gの配置と配線は図2(b)、図2(c)に示す通りである。支持部材3の外層導電部材3aは端子板2dの半田用ランド2fで半田付けされ、両端の内層導電部材3bの内の1本ずつは端子板2dの半田用ランド2gで半田付けされる。第1フォーカスコイル12aのリード線12c、第2フォーカスコイル12bのリード線12d及びトラッキングコイル7のリード線7aの端部は端子板2dに配置された半田用ランド2eで半田付けされる。また、半田用ランド2eは半田用ランド2fまたは半田用ランド2gと端子板2d内で予め接続されている。そのため第1フォーカスコイル12aの2本のリード線12c、第2フォーカスコイル12bの2本のリード線12d及びトラッキングコイル7の2本のリード線7aはそれぞれ支持部材3の外層導電部材3aまたは内層導電部材3bのいずれか2本ずつの導電部材と接続される。第1フォーカスコイル12aの2本のリード線12cと接続された導電部材を第1導電部材3dとする。第2フォーカスコイル12bのリード線12dと接続された導電部材を第2導電部材3eとする。トラッキングコイル7のリード線7aと接続された導電部材を第3導電部材3fとする。どのコイルにも接続されない導電部材を第4導電部材3gとする。本実施の形態2において第1導電部材3dは図10(a)、図10(b)における両側の上段の外層導電部材3a、第2導電部材3eは両側の下段の外層導電部材3a、第3導電部材3fは両側の下段の内層導電部材3b、第4導電部材3gは両側の上段の内層導電部材3bとした。しかし組み合わせはこれに限るものではなく、設計で決めて良い。
【0078】
第1フォーカスコイル12aには第1導電部材3dから駆動電流が流れ、第1導電部材3dに戻る。第2フォーカスコイル12bには第2導電部材3eから駆動電流が流れ、第2導電部材3eに戻る。第1フォーカスコイル12aに駆動電流を流すと、第1フォーカスコイル12aの2つの巻線には同じ方向の電磁力が発生し、レンズホルダ2の両端はレンズホルダ2の平行な姿勢を保ったまま光ディスクのフォーカス方向に移動する。すなわち第1フォーカスコイル12aに駆動電流を流すと、対物レンズ1全体を光ディスクのフォーカス方向に移動させることができる。一方、第2フォーカスコイル12bに駆動電流を流すと、巻線の方向が逆なので第2フォーカスコイル12bの2つの巻線には互いに反対方向の電磁力が発生する。そのためレンズホルダ2の一端は光ディスクのフォーカス方向に移動し、他端は反対向きのフォーカス方向に移動する。したがって、第2フォーカスコイル12bに駆動電流を流すと、対物レンズ1の光ディスクに対する傾き制御が行える。
【0079】
なお、第4導電部材3gを廃止し、第1フォーカスコイル12aを二組の第1導電部材3dと接続するか、第2フォーカスコイル12bを二組の第2導電部材3eと接続するか、トラッキングコイル7を二組の第3導電部材3fと接続するかのいずれか1つを選択しても良い。本実施の形態2の場合、第1フォーカスコイル12aは対物レンズ1全体をフォーカス方向に移動させる機能を有し、第2フォーカスコイル12bは対物レンズ1の傾き制御の機能を有するため、独立して働かせることができる。そのため第1フォーカスコイル12aは二組の第1導電部材3dと接続させることができ、第2フォーカスコイル12bは二組の第2導電部材3eと接続させることができる。二組の導電部材を使うことで、導電部材の電気抵抗を減らすことができる。二組の導電部材に接続したコイルには駆動電流を多く流すことができるので、対物レンズ駆動装置11の感度を上げることができる。またレンズホルダ2の両端にそれぞれ3本以上の支持部材3を配置する場合は、第1導電部材3d、第2導電部材3e及び第3導電部材3fを二組として構わない。
【0080】
以上のように構成され、作製された本実施の形態2の対物レンズ駆動装置11は、レンズホルダ2の両端に配置され外層と内層との二重構造で形成されている支持部材3が2段1列に配置されているので、外層導電部材3aと内層導電部材3bとを合わせた導電部材が合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイル12aと一組の第1導電部材3d、第2フォーカスコイル12bと一組の第2導電部材3e、トラッキングコイル7と一組の第3導電部材3fがそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル12a、第2フォーカスコイル12b、及びトラッキングコイル7に独立して電流を流すことができるため、対物レンズ1の光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材3の間隙でも、最上段と最下段の支持部材3の間隙は、支持部材3を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置11の薄型化ができる。
【0081】
(実施の形態3)
本実施の形態3について図面を参照しながら説明する。本実施の形態3は第1フォーカスコイル、第2フォーカスコイルまたはトラッキングコイルの少なくとも1つを形成した被覆導線をそのまま内層導電部材として用いた対物レンズ駆動装置である。内層導電部材とフォーカスコイル、トラッキングコイルとの接続、及び端子板を除いた構成は、実施の形態1または実施の形態2と同じであるのでその説明を援用する。
【0082】
図11(a)は本実施の形態3のフォーカスコイル、トラッキングコイルと支持部材との接続を示す固定部材と反対側から見た図、図11(b)は固定部材側から見た図である。実施の形態1、実施の形態2と同様にフォーカスコイル13は第1フォーカスコイル13aと第2フォーカスコイル13bとからなる。
【0083】
本実施の形態3においてトラッキングコイル14のリード線14aをそのまま内層導電部材3hとして用いた。またフォーカスコイル13の巻線は実施の形態1と同じにした。端子板2hはそれぞれ2つの半田用ランド2eと2つの半田用ランド2fを備えている。すなわち端子板2hは図2(b)、図2(c)の端子板2dの半田用ランド2gと半田用ランド2gに接続していた半田用ランド2eとを廃止したものである。一方の端子板2hの半田用ランド2eには第1フォーカスコイル13aの両端のリード線13cが半田付けされている。また、他方の端子板2hの半田用ランド2eには第2フォーカスコイル13bの両端のリード線13dが半田付けされている。また、それぞれの半田用ランド2fには支持部材3の外層導電部材3aが半田付けされている。
【0084】
実施の形態1、実施の形態2と同様に半田用ランド2eと半田用ランド2fとはそれぞれ端子板2h上で予め接続されて半田用ランド2eと半田用ランド2fとの組がそれぞれの端子板2hで2組ずつ形成されている。トラッキングコイル14を形成したリード線14aは被覆導線であり、そのまま絶縁部材3iに覆われた内層導電部材3hとして外層導電部材3aの中空部に通され、さらにFPC9の半田用ランド9cに直接半田付けされる。本実施の形態3において第1導電部材3dは図11(a)における左側の2本の外層導電部材3a、第2導電部材3eは右側の2本の外層導電部材3a、第3導電部材3fは両側の下段の2本の内層導電部材3h、第4導電部材3gは両側の上段の2本の内層導電部材3hとした。そして第3導電部材3fを構成する2本の内層導電部材3hはトラッキングコイル14を形成している。
【0085】
本実施の形態3における一方の端子板2hの半田用ランド2eと半田用ランド2fとの合計数は実施の形態1や実施の形態2における一方の端子板2dの半田用ランド2eと半田用ランド2fと半田用ランド2gの合計数より2つ少ない。すなわち、その分だけ端子板2hの大きさを端子板2dの大きさより小さくしたり、半田用ランド2eと半田用ランド2fの間隔を広げて製造を容易にしたりすることができる。
【0086】
なお、本実施の形態3においてフォーカスコイル13の巻線を実施の形態1と同じにし、トラッキングコイル14の両端を内層導電部材3hとした。しかし、それに限るものではない。第1フォーカスコイル13aの一端と第2フォーカスコイル13bの一端を内層導電部材3hとして用いても良い。また、片側2本の内層導電部材3hを用いれば、第1フォーカスコイル13a及び第2フォーカスコイル13bの両端を内層導電部材3hとすることもできる。その際、片側2本の外層導電部材3aの一方はいずれのフォーカスコイル13、トラッキングコイル14とも接続される必要はない。しかし、フォーカスコイル13、トラッキングコイル14を合計四組とし、片側2本ずつの外層導電部材3a、内層導電部材3hを全て用いても構わない。必要な半田用ランド2eは片側2つのままであるので、端子板2hの大きさを小さくしたまま、フォーカスコイル13、トラッキングコイル14を合計四組駆動することができる。
【0087】
フォーカスコイル13の巻線を実施の形態2と同じにしても同様である。この場合、第1フォーカスコイル13a、第2フォーカスコイル13b、トラッキングコイル14のうちいずれか二組までを内層導電部材3hで形成することができる。
【0088】
以上のように本実施の形態3の対物レンズ駆動装置11は、第1フォーカスコイル13a、第2フォーカスコイル13bまたはトラッキングコイル14を形成した被覆導線をそのまま内層導電部材3hとして用いるため、これらのコイルと内層導電部材3hとの接続に必要なスペースが不要になる。そのため対物レンズ駆動装置を小型にしやすい。
【0089】
(実施の形態4)
本実施の形態4について図面を参照しながら説明する。本実施の形態4は実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3で説明した対物レンズ駆動装置を用いた光ピックアップ装置である。図12は本実施の形態4の光ピックアップ装置の光学系の構成図、図13は本実施の形態4の光ピックアップ装置の上面からの構成図である。本実施の形態4の光ピックアップ装置35は、対物レンズ1を搭載した対物レンズ駆動装置11が基台34に固定される。さらに、レーザ光源21、回折素子22、ビームスプリッタ23、ミラー24、コリメートレンズ25、波長板26、角度変換プリズム27、立ち上げプリズム28、非点収差レンズ30、受光センサ31、フィルタ32、前光モニタ33が直接または取り付け部材を介して基台34に固定される。
【0090】
まず、構成について説明する。対物レンズ1及び対物レンズ駆動装置11は実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3で説明したものと同じであるので、その説明を援用する。
【0091】
レーザ光源21は複数の発光源を近接して設けた光源であるいわゆる2波長半導体レーザとした。2波長半導体レーザはDVD用に用いる波長λ1(約650nm)のレーザ光を出射する発光源とCD用に用いる波長λ2(約780nm)のレーザ光を出射する発光源を有する。両発光源間の距離は110μm程度である。2波長半導体レーザには1つの半導体基板に複数の波長の発光源を集積化したいわゆるモノリシック型2波長半導体レーザと、複数の異なる波長のレーザ素子を1つのパッケージ内に隣接して配置したいわゆるハイブリッド型2波長半導体レーザとがある。本実施の形態4では前者を用いた。また、レーザ光源21は、サブマウントを介してレーザ素子をフレームに固定したいわゆるフレームレーザを用いることが、光ピックアップ装置35を薄くするという観点から好ましい。なお、レーザ光源21から出射される波長λ1のレーザ光も波長λ2のレーザ光もP偏光となるようにしてある。
【0092】
回折素子22は、光学ガラス等の透明基板に、波長λ1のレーザ光を回折して0次光と±1次光に分離し波長λ2のレーザ光をそのまま透過する回折格子と波長λ1のレーザ光をそのまま透過し波長λ2のレーザ光を回折して0次光と±1次光に分離する回折格子とを形成した構成である。
【0093】
このような回折素子22としては透明基板の両面に凹凸のみを形成し、使用波長と屈折率と格子深さと回折効率とを吟味し、波長λ1のレーザ光のみ回折する回折格子と波長λ2のレーザ光のみ回折する回折格子とを設ければ良い。また2つの材料で回折格子を形成し、一方の材料で異常分散現象を起こして一方の波長では2つの材料の屈折率を等しくし、他方の波長では異なるようにした回折格子を組み合わせても良い。
【0094】
ビームスプリッタ23は光学ガラスや光学プラスチックで作製され、内部に傾斜面23aを有する。傾斜面23aには偏光分離膜が形成される。偏光分離膜はP偏光のレーザ光の大半を透過させて一部を反射させ、S偏光のレーザ光を全反射させる。
【0095】
ミラー24は光学系をコンパクトにするために光路を折り曲げるためのものである。ミラー24の表面には全反射膜が形成されている。
【0096】
コリメートレンズ25はレーザ光源21から出射されて発散光であるレーザ光を略平行光にするためのレンズである。コリメートレンズ25は光学ガラスまたは光学プラスチックで作製される。
【0097】
波長板26はP偏光であるレーザ光源21から出射されたレーザ光の偏光を円偏光に変換し、光ディスク29で反射された円偏光であるレーザ光をS偏光に変換する。波長板26は波長λ1のレーザ光にも波長λ2のレーザ光にも作用するよう屈折率、厚みが設定されている。
【0098】
角度変換プリズム27は、立ち上げプリズム28に入射するレーザ光の角度を最適化して立ち上げプリズム28の厚さを極力薄くするために、それまで光ディスク29の面に略平行であったレーザ光に光ディスク29に直角な方向に角度を与えるものである。
【0099】
立ち上げプリズム28は対物レンズ1の真下に配置され、光ディスク29に直角な方向にレーザ光を立ち上げるためのプリズムである。
【0100】
光ディスク29はCD用がCD、CD−ROM、CD−R/RW、DVD用がDVD−ROM、DVD±R/RW、DVD−RAMなどであり、CD用もDVD用も再生専用の媒体を除いて全て記録も再生も可能なものである。また、本実施の形態4ではCD用とDVD用としているが、その組み合わせだけでなく、いわゆるBDやHD DVD等との組み合わせでも一般性を失わない。
【0101】
非点収差レンズ30は、非点収差法によるフォーカス制御を行うために光ディスク29で反射されたレーザ光に非点収差を与えるためのレンズである。非点収差レンズ30は光学ガラスや光学プラスチックで作製される。
【0102】
受光センサ31はレーザ光源21から出射され光ディスク29で反射されたレーザ光を受けてトラッキング制御用信号、フォーカス制御用信号、RF信号等の電気信号に変換して出力する。
【0103】
フィルタ32はビームスプリッタ23で分離されて前光モニタ33に入射するレーザ光の光量を適切な値の範囲にするために用いる。ビームスプリッタ23の側面に光吸収膜を設けて、それをフィルタ32としても良い。
【0104】
前光モニタ33はレーザ光源21から出射されビームスプリッタ23で反射されて分離されたレーザ光を受けて、その光量を電気信号に変換して出力する。その電気信号はレーザ光源の21が出射するレーザ光の光量制御に用いられる。
【0105】
基台34は光ピックアップ装置35の骨格をなすもので、Zn合金、Mg合金等の合金材料あるいは硬質樹脂材料等で形成される。
【0106】
対物レンズ1を搭載した対物レンズ駆動装置11はヨーク5が基台34に接着される。レーザ光源21と、回折素子22と、ビームスプリッタ23と、非点収差レンズ30を取り付けた受光センサ31とは共通の取り付け部材に取り付けられ、その取り付け部材が基台34に取り付けられる。ミラー24、コリメートレンズ25、波長板26、角度変換プリズム27、立ち上げプリズム28は基台34に取り付けられる。また、フィルタ32、前光モニタ33も基台34に取り付けられる。
【0107】
次に光路について説明する。図12に示すようにレーザ光源21から出射された波長λ1、λ2のレーザ光は回折素子22で回折されて0次光、±1次光に分離されてビームスプリッタ23に入射する。分離されたレーザ光は受光センサ31に入射されるとトラッキング制御用の電気信号に変換される。ビームスプリッタ23の傾斜面23aの偏光分離膜で一部のレーザ光は反射されてフィルタ32を透過して前光モニタ33に入射して光量制御用の電気信号に変換される。大半の透過したレーザ光はミラー24で反射されてコリメートレンズ25に入射する。コリメートレンズ25で発散光から略平行光に変換されて波長板26に入射する。波長板26に入射したレーザ光はP偏光の直線偏光から円偏光に変換されて、角度変換プリズム27に入射して光路を若干変更されて立ち上げプリズム28に入射する。立ち上げプリズム28に入射したレーザ光は光ディスク29に略直角な方向に向きを変えられて、対物レンズ1に入射し、対物レンズ1では略平行光から集束光に変換されて、光ディスク29に入射する。光ディスク29に入射したレーザ光は光ディスク29の記録面に焦点を結ぶ。
【0108】
光ディスク29の記録面で反射されたレーザ光は対物レンズ1、立ち上げプリズム28、角度変換プリズム27、波長板26、コリメートレンズ25を通り、ミラー24で反射されてビームスプリッタ23に入射する。対物レンズ1では発散光から略平行光に変換される。波長板26で円偏光から往きの直線偏光とは垂直な直線偏光、すなわちS偏光に変換される。コリメートレンズ25では略平行光から集束光に変換される。ビームスプリッタ23に入射したレーザ光は偏光分離膜で全反射されて非点収差レンズ30に入射する。非点収差レンズ30で非点収差を与えられたレーザ光は受光センサ31に入射し、フォーカス制御用の電気信号に変換される。また、受光センサ31に入射した少なくとも一部のレーザ光の光量がRF信号用の電気信号に変換される。
【0109】
受光センサ31で生成されたフォーカス制御用信号、トラッキング制御用信号は光ディスク装置本体に送られる。そして対物レンズ駆動装置11のFPC9に駆動電流が送られ、FPC9から支持部材3を介して第1フォーカスコイル6aまたは12a、第2フォーカスコイル6bまたは12b、トラッキングコイル7に駆動電流が流れて電磁力が発生する。こうして対物レンズ1は光ディスク29に対してフォーカス方向、トラッキング方向に移動する。
【0110】
以上のように本実施の形態4の光ピックアップ装置35に搭載される対物レンズ駆動装置11はレンズホルダ2の両端に配置され外層と内層との二重構造で形成されている支持部材3が2段1列に配置されているので、外層導電部材3aと内層導電部材3bとを合わせた導電部材が合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイル6aと一組の第1導電部材3d、第2フォーカスコイル6bと一組の第2導電部材3e、トラッキングコイル7と一組の第3導電部材3fがそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル6a、第2フォーカスコイル6b、及びトラッキングコイル7に独立して電流を流すことができるため、対物レンズ1の光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材3の間隙でも、最上段と最下段の支持部材3の間隙は、支持部材3を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置11の薄型化ができる。そのため、本実施の形態4の光ピックアップ装置35は薄型で、CD、DVDのすべての記録再生に対応できる。
【0111】
(実施の形態5)
本実施の形態5について図面を参照しながら説明する。図14(a)は本実施の形態5の光ピックアップモジュールの構成の上面図、図14(b)は下面図である。図15は本実施の形態5の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態5は実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3で説明した対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置である。
【0112】
図14において、光ディスクを回転駆動する回転駆動部及び光ピックアップ装置35を回転駆動部に対して近づけたり離したりする移動部を備える光ディスク装置50の駆動機構を光ピックアップモジュール40という。ベース41は光ピックアップモジュール40の骨組みを成すもので、光ピックアップモジュール40はベース41に直接的、間接的に各構成部品が配置されて構成される。
【0113】
回転駆動部は光ディスクを載置するターンテーブル42aを有するスピンドルモータ42を備えている。スピンドルモータ42はベース41に固定される。スピンドルモータ42は光ディスクを回転させる回転駆動力を生成する。
【0114】
移動部はフィードモータ43、スクリューシャフト44、ガイドシャフト45、46を備えている。フィードモータ43はベース41に固定される。フィードモータ43は光ピックアップ装置35が光ディスクの内周と外周の間を移動するために必要な回転駆動力を生成する。フィードモータ43としてステッピングモータ、DCモータなどが使用される。スクリューシャフト44はらせん状に溝が掘られており、直接または数段のギアを介してフィードモータ43に接続される。本実施の形態5ではギアを介してフィードモータ43と接続される。ガイドシャフト45、46はそれぞれ両端で保持部材を介してベース41に固定される。ガイドシャフト45、46は光ピックアップ装置35を移動自在に支持する。光ピックアップ装置35はスクリューシャフト44の溝と噛み合うガイド歯を有するラック47を備える。ラック47がスクリューシャフト44に伝達されたフィードモータ43の回転駆動力を直線駆動力に変換するために光ピックアップ装置35は光ディスクの内周と外周の間を移動することができる。
【0115】
なお、回転駆動部は光ディスクを所定の回転数で回転させることができる構成であれば、本実施の形態5で説明した構成に限るものではない。また移動部は光ピックアップ装置35を光ディスクの内周と外周の間の所定の位置に移動させることができる構成であれば、本実施の形態5で説明した構成に限るものではない。
【0116】
光ピックアップ装置35は図13の構成にカバーを取り付けたものであり、実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3で説明した対物レンズ1を備えた対物レンズ駆動装置11を備えている。そのため光ピックアップ装置35は薄型で、CD、DVDのすべての記録再生に対応できる。光ピックアップ装置35は光ディスクに対し情報の記録または再生の少なくとも一方を行い、そのためにレーザ光を対物レンズ1から光ディスクに向けて出射する。光ピックアップ装置35の対物レンズ1から出射されるレーザ光が光ディスクに対し直角に入射するように、保持部材を構成する調整機構でガイドシャフト45、46の傾きを調整する。
【0117】
FPC48は光ピックアップ装置35と光ディスク装置50の本体とを電気的に接続する。FPC48は光ディスク装置50の本体側から光ピックアップ装置35に対し、電力を供給し、電気信号を送るための導電線であるとともに、光ピックアップ装置35から光ディスク装置50の本体側へ電気信号を送るための導電線でもある。FPC9に対してもこのFPC48を介して電流が流れる。
【0118】
カバー49は開口を有し、光ピックアップ装置35の対物レンズ1を含む対物レンズ駆動装置11の少なくとも一部及びスピンドルモータ42のターンテーブル42aを露出させる。さらに本実施の形態5の場合、フィードモータ43、ガイドシャフト46の部分も露出させて、カバー49の厚さの分だけ光ピックアップモジュール40の厚さが薄くなるようにしている。
【0119】
図15において、筐体51は上部筐体51aと下部筐体51bを組み合わせてネジなどを用いて互いに固定して構成されている。トレイ52は筐体51に出没自在に設けられている。トレイ52は光ピックアップモジュール40を下面側から配置する。トレイ52は開口を有し、対物レンズ1を含む対物レンズ駆動装置11の少なくとも一部及びスピンドルモータ42のターンテーブル42a、カバー49の少なくとも一部を露出させる。ベゼル53はトレイ52の前端面に設けられて、トレイ52が筐体51内に収納された時にトレイ52の出没口を塞ぐように構成されている。ベゼル53にはイジェクトスイッチ54が設けられ、イジェクトスイッチ54を押すことで、筐体51とトレイ52との係合が解除され、トレイ52は筐体51に対し出没が可能な状態となる。レール55はそれぞれトレイ52の両側部及び筐体51の双方に摺動自在に取り付けられる。筐体51内部やトレイ52内部には図示していない回路基板があり、信号処理系のICや電源回路などが搭載されている。外部コネクタ56はコンピュータ等の電子機器に設けられた電源/信号ラインと接続される。そして、外部コネクタ56を介して光ディスク装置50内に電力を供給したり、あるいは外部からの電気信号を光ディスク装置50内に導いたり、あるいは光ディスク装置50で生成された電気信号を電子機器などに送出する。
【0120】
以上のように本実施の形態5の光ディスク装置50に搭載される対物レンズ駆動装置11はレンズホルダ2の両端に配置され外層と内層との二重構造で形成されている支持部材3が2段1列に配置されているので、外層導電部材3aと内層導電部材3bとを合わせた導電部材が合計8本となる。そのため、第1フォーカスコイル6aと一組の第1導電部材3d、第2フォーカスコイル6bと一組の第2導電部材3e、トラッキングコイル7と一組の第3導電部材3fがそれぞれ接続できる。このように第1フォーカスコイル6a、第2フォーカスコイル6b、及びトラッキングコイル7に独立して電流を流すことができるため、対物レンズ1の光ディスクに対する傾き制御が行える。しかも、従来と同等の各支持部材3の間隙でも、最上段と最下段の支持部材3の間隙は、支持部材3を3段に配置する場合に対してほぼ半分にすることができるので、対物レンズ駆動装置11の薄型化ができる。そのため、本実施の形態5の光ディスク装置50は薄型で、CD、DVDのすべての記録再生に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上のように本発明の対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置及び光ディスク装置は対物レンズの光ディスクに対する傾き制御を行え、かつ、薄型であり、特に薄型のノートブック型パーソナルコンピュータ等の電子機器に好んで搭載される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本実施の形態1の対物レンズ駆動装置の構成図
【図2】(a)本実施の形態1のレンズホルダの構成図、(b)(a)の左側の端子板の半田用ランドの配置と配線図、(c)(a)の右側の端子板の半田用ランドの配置と配線図
【図3】本実施の形態1の支持部材の構成図
【図4】(a)本実施の形態1の固定部材の構成図、(b)FPCを取り付けた固定部材の構成図
【図5】(a)本実施の形態1の磁石を配置したヨークの構成図、(b)他の例の構成図
【図6】(a)本実施の形態1のフォーカスコイル、トラッキングコイルと支持部材との接続を示す固定部材と反対側から見た図、(b)固定部材側から見た図
【図7】本実施の形態1の固定部材側における支持部材と導電線の接続を示す図
【図8】(a)本実施の形態1の対物レンズ駆動装置の製造方法を示す図の端子板、フォーカスコイルとトラッキングコイルを取り付けたレンズホルダの完成図、(b)FPCを取り付けた固定部材の完成図、(c)支持部材の完成図、(d)支持部材とレンズホルダと固定部材の組み立ての完成図、(e)対物レンズの取り付けの完成図、(f)磁石を配置したヨークの取り付けの完成図、(g)ダンピングゲルを注入した対物レンズ駆動装置の完成図
【図9】本実施の形態2の第1フォーカスコイルと第2フォーカスコイルの巻線方向を示す図
【図10】(a)本実施の形態2のフォーカスコイル、トラッキングコイルと支持部材との接続を示す固定部材と反対側から見た図、(b)固定部材側から見た図
【図11】(a)本実施の形態3のフォーカスコイル、トラッキングコイルと支持部材との接続を示す固定部材と反対側から見た図、(b)固定部材側から見た図
【図12】本実施の形態4の光ピックアップ装置の光学系の構成図
【図13】本実施の形態4の光ピックアップ装置の上面からの構成図
【図14】(a)本実施の形態5の光ピックアップモジュールの構成の上面図、(b)下面図
【図15】本実施の形態5の光ディスク装置の構成図
【図16】CDとDVDに対し記録再生ができる従来の光ピックアップ装置の対物レンズ駆動装置を示す図
【符号の説明】
【0123】
1 対物レンズ
2 レンズホルダ
2a 第1貫通孔
2b 第2貫通孔
2c 切り欠き部
2d、2h 端子板
2e、2f、2g 半田用ランド
3 支持部材
3a 外層導電部材
3b、3h 内層導電部材
3c、3i 絶縁部材
3d 第1導電部材
3e 第2導電部材
3f 第3導電部材
3g 第4導電部材
4 固定部材
4a 保持部
4b 貫通孔
4c 開口
5 ヨーク
5a 平坦部
5b 腕部
5c 第1立設ヨーク部
5d 第2立設ヨーク部
5e、5f 側立設部
5g、5h 立設部
6 フォーカスコイル
6a 第1フォーカスコイル
6b 第2フォーカスコイル
6c、6d リード線
7 トラッキングコイル
7a リード線
8 磁石
9 FPC
9a、9c 半田用ランド
9b 貫通孔
10 ダンピングゲル
11 対物レンズ駆動装置
12、13 フォーカスコイル
12a、13a 第1フォーカスコイル
12b、13b 第2フォーカスコイル
12c、12d、13c、13d リード線
14 トラッキングコイル
14a リード線
21 レーザ光源
22 回折素子
23 ビームスプリッタ
23a 傾斜面
24 ミラー
25 コリメートレンズ
26 波長板
27 角度変換プリズム
28 立ち上げプリズム
29 光ディスク
30 非点収差レンズ
31 受光センサ
32 フィルタ
33 前光モニタ
34 基台
35 光ピックアップ装置
40 光ピックアップモジュール
41 ベース
42 スピンドルモータ
42a ターンテーブル
43 フィードモータ
44 スクリューシャフト
45、46 ガイドシャフト
47 ラック
48 FPC
49 カバー
50 光ディスク装置
51 筐体
51a 上部筐体
51b 下部筐体
52 トレイ
53 ベゼル
54 イジェクトスイッチ
55 レール
56 外部コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの他端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成したことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項2】
光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの両端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させ他端を反対向きの光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成したことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項3】
前記支持部材は前記レンズホルダの両端に2段1列に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項4】
前記外層と前記内層との間には絶縁部材が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項5】
前記内層と前記絶縁部材とで被覆導線を構成したことを特徴とする請求項4記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項6】
前記内層が前記第1フォーカスコイル、前記第2フォーカスコイルまたは前記トラッキングコイルの少なくとも1つを形成したことを特徴とする請求項5記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項7】
前記支持部材は同軸ケーブルであることを特徴とする請求項4記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項8】
前記支持部材は前記第1フォーカスコイル、前記第2フォーカスコイル及び前記トラッキングコイルのいずれにも接続しない第4導電部材を含むことを特徴とする請求項1または2記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項9】
前記第1導電部材を構成する前記外層数及び前記内層数と前記第2導電部材を構成する前記外層数及び前記内層数とは同じであることを特徴とする請求項1記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項10】
前記固定部材を固定する平坦部と、前記平坦部の両端から略同一の方向に伸びた腕部と、前記両腕部の間の平坦部を略直角に折り曲げた第1の立設ヨーク部と、前記両腕部を斜め方向の折り目で内側に前記第1の立設ヨーク部と同一側の略直角に折り曲げ前記両腕部の先端部を前記第1の立設ヨーク部に対向するように折り曲げた第2の立設ヨーク部と、を有するヨークを備えることを特徴とする請求項1または2記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項11】
前記支持部材が前記レンズホルダに2段に配置される間隙は1mm以下であることを特徴とする請求項3記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項12】
光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの他端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項13】
光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの両端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させ他端を反対向きの光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項14】
光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの他端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項15】
光ディスクにレーザ光を出射する対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダの両端を光ディスクのフォーカス方向に移動させる第1フォーカスコイルと、前記レンズホルダの一端を光ディスクのフォーカス方向に移動させ他端を反対向きの光ディスクのフォーカス方向に移動させる第2フォーカスコイルと、前記レンズホルダを光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラッキングコイルと、前記第1フォーカスコイルに電流を流す一組の第1導電部材と前記第2フォーカスコイルに電流を流す一組の第2導電部材と前記トラッキングコイルに電流を流す一組の第3導電部材とを備えた支持部材と、を具備し、前記支持部材は外層と内層との二層構造で形成され、前記一組の第1導電部材と前記一組の第2導電部材と前記一組の第3導電部材の任意の1本の導電部材は前記支持部材の前記外層または前記内層のいずれかを構成した対物レンズ駆動装置を備えたことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−213631(P2007−213631A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29391(P2006−29391)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】