説明

対象を認識して分類する方法および装置

対象を認識して分類する方法と装置であって、その場合にセンサによって電磁的放射が送信されて、対象で反射された部分放射がセンサによって受信され、受信された信号が、格納されている特徴的な値との比較によって評価されて、評価に基づいて反射する対象の分類が推定される。そのために、受信信号を評価するための評価手段が設けられており、特徴的なパターンを格納するためのメモリが設けられており、そのメモリに格納されたパターンが評価された信号と比較されて、比較に基づいて反射する対象の分類を推定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を認識して分類する方法および装置に関するものであって、その場合にセンサを用いて電磁放射線が送信されて、対象で反射された部分放射がセンサによって受信され、受信された信号が、格納されている特徴的なパターンとの比較によって評価されて、評価に基づいて反射する対象の分類が推定される。そのために、受信された信号を評価するための評価手段が設けられており、特徴的なパターンを格納するためのメモリが設けられており、それに格納されているパターンが評価された信号と比較されて、比較に基づいて反射する対象の分類を推定することができる。
【背景技術】
【0002】
DE10231558A1からは、他の対象との衝突を阻止するため、あるいは、他の対象との差し迫った衝突の結果を緩和するために車両の減速を自動的に作動させる方法と装置が知られており、その場合にレーダー信号またはリーダー信号を送信および受信する装置の信号、またはビデオ信号を受信する装置の信号を用いて車両のコース領域内の対象が検出される。認識された対象に従って、潜在危険性が定められて、潜在危険性に従って減速手段が少なくとも3つの状態で駆動され、そのうちの少なくとも1つの状態によって車両の減速手段がブレーキ準備状態にされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の核心は、格納されている特徴的なパターンとの比較によって対象の種類を推定することができ、かつ検出された対象を対象分類に対応づけることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのために、電磁的放射の送信と対象検出領域内の対象におけるこの送信放射の反射によって反射されたセンサ信号が再びセンサによって受信されて、予め定められた特徴的なパターンに関して調査される、方法と装置を提供することである。
【0005】
本発明によれば、これは、独立請求項の特徴によって解決される。好ましい展開と形態が、従属請求項から明らかにされる。
【0006】
好ましくは、受信信号の評価は、受信信号がフーリエ変換によって変換されて、特徴的な周波数パターンと比較されることにより、周波数領域において行われる。フーリエ変換またはディスクリートなフーリエ変換を用いて実施される、周波数領域における変換によって、個々の反射信号を周波数領域においてスペクトル的に分析することができ、それによって特徴的な周波数パターンとの比較が可能となる。
【0007】
さらに、自己の車両に対する対象反射の相対的位置が定められて、特徴的な空間パターンと比較されることによって、直交空間内で評価が行われると、効果的である。直交空間として、空間方向に従って評価が設けられ、その場合に好ましくは、センサ装置に関して定めることができる、座標システムとして設けられている。その場合に空間軸の方位付けは、空間軸が車両長手軸、車両垂直軸および車両横軸に対して平行に方位付けされるように、行うことができる。その場合に受信信号の空間的評価は、センサに関する反射点の間隔とアジマス角がデカルト座標に換算されて、従って反射点がセンサのデカルト座標系の直交空間内に存在するように、行われる。その場合に反射点の空間的分布によって、反射点の空間的パターンが生成されて、それが特徴的な空間的パターンと比較される。
【0008】
さらに、特徴的なパターンとの比較が、反射点の反射された出力、反射点から反射された出力のスペクトル周波数幅、反射点から反射された出力の位相、反射点の相対速度またはその組合わせを評価することによって行われると、効果的である。上述した判断基準に関して受信信号を調査することによって、反射する対象のある種の顕著な特徴を形成することができ、その場合に判断基準を用いて、かつ対象の、このいわゆる顕著な特徴を用いて格納されている特徴的な値と比較することによって、対象分類を推定することができる。
【0009】
さらに、特徴的なパターンと比較する前に、空間的に近くにある複数の反射点が1つの反射点として処理されると、効果的である。近くにある反射点の、このいわゆる併合によって、分類アルゴリズムの計算の手間を減少させることが可能である。というのは、たとえば車両の車輪ケースのような所定の対象領域または車両の大きい面積は、大体において複数の反射点を供給するが、それらの反射点は対象分類に関する説明力に関して付加的な情報を提供しないので、これら近くに位置する複数の反射点を、1つの併合された反射点の処理によって考慮すると効果的である。
【0010】
さらに、格納されている特徴的なパターンがより早期の測定サイクルの評価によって形成されると、効果的である。それによって、特徴的なパターンが駆動の間に成功裏に行われた対象分類によって常にさらに洗練されることにより、最初に格納された特徴的なパターンを更新することが可能である。
【0011】
特に、格納されている特徴的なパターンが、固定的に予め定められたパターンを有する第1のテーブルと偏差を有する第2のテーブルからなると、効果的であって、その場合に偏差は、固定的に予め定められたパターンとより早期の測定サイクルにおいて認識されたパターンとの間のパターン差である。本装置および本方法の最初の使用開始前に、固定的に予め定められたパターンを有する第1のテーブル内で固定の値が設定されて、やや異なる特徴的なパターンを有する、成功裏に行われた対象分類によって、予め定められた、工場側で調節されたパターンに対する差が形成されて、その場合にこの差は、第1の工場側で予め定められたパターンを上書きしないために、第2のテーブルに格納され、分類エラーが頻発する場合には、パターン差を有する第2のテーブルをリセットすることができるので、工場側の調節に基づいて特徴的なパターンの新たな洗練を行うことができる。この形態によって、いつでも工場側で設定された特徴的なパターンにアクセスすることが可能であって、このパターンは駆動の間にさらに洗練させることができるが、誤機能の場合にはいつでも工場側の調節に戻すことができる。
【0012】
好ましくは、認識された対象が評価によって、乗用車、トラック、二輪車、ガードレール、下水口の蓋、歩道橋、交通標識橋、飲み物容器、道路標識または、たとえば道路端縁の立木や橋脚のような、その他の対象の対象分類の1つに対応づけられる。さらに、対象を分類に分類すると効果的であって、その場合にこれらの分類の特性として、対象が通過可能である(たとえば轢くことのできる下水口の蓋、轢くことのできる飲み物容器、くぐることのできる歩道橋)ないし通過できず、轢くことができない(たとえば乗用車、トラック、二輪車、ガードレール、道路標識)ことが設けられている。
【0013】
好ましくは、本方法は、自動車の適応的な間隔および速度制御のため、および/または非常ブレーキを作動させるために使用される。適応的な間隔および速度制御において、搭載している車両は、前を走行する対象が存在しない場合には、速度一定制御の主旨で運転者によって設定された目標速度に速度制御され、前を走行する対象が認識された場合には、間隔一定制御の主旨で前を走行する、認識された対象に速度制御される。その場合に制御アルゴリズムを洗練させるために、対象が認識された場合に対象に関する情報を求めると、効果的であるので、トラックの後方を追従走行する場合には、乗用車に追従走行する場合とは異なるように反応することができ、あるいはたとえば走行路表面の下水口の蓋のように激しく反射する対象は、速度制御のために重要な対象としては考慮されない。非常ブレーキを作動させるため、あるいは非常ブレーキを作動させる準備をするために、本発明に基づく方法を適用する場合には、同様に、差し迫った衝突を推定させる危機的な状況により良く反応することができるようにするために、認識された対象の対象分類を知ることが、極めて重要である。たとえば、トラックがフルブレーキを実行した場合に、たとえば乗用車がフルブレーキをかけた場合に生じるよりも少ない絶対減速で車両減速を実施するので、トラックの後方の非常ブレーキの場合には、前を走行する乗用車または二輪車の後方における非常ブレーキの場合とは異なる回避戦略またはブレーキ戦略を使用することができる。
【0014】
さらに、評価手段が受信した信号を周波数空間および/または直交空間に変換し、かつ受信した信号のスペクトル評価および/または受信した信号の空間的評価を実施すると、効果的である。特に、直交空間においても周波数空間においても、両方の変換と評価を行うことによって、多数のパターンを発生させることが可能であって、それらのパターンを用いて格納されているパターンとの比較によってより確実な対象分類を実施することができる。
【0015】
特に重要なことは、本発明に基づく方法を、適応的な間隔ないし速度制御ないし自動車の非常ブレーキの制御装置のために設けられている、制御部の形式で実現することである。その場合に制御部上に、計算装置上、特にマイクロプロセッサまたは信号プロセッサ上で遂行可能であって、かつ本発明に基づく方法を実施するのに適した、プログラムが記憶されている。従ってこの場合においては、本発明は制御部上に格納されているプログラムによって実現されるので、プログラムを有するこの制御部は、プログラムがそれを実施するのに適している、方法と同様に、発明を表している。制御部として、特に電気的なメモリ媒体、たとえばリードオンリーメモリを使用することができる。
【0016】
本発明の他の特徴、適用可能性および利点が、図面の図に示される本発明の実施例についての以下の説明から明らかにされる。その場合に記載され、あるいは図示されたすべての特徴は、それ自体あるいは任意の組合わせにおいて、特許請求の範囲におけるその要約あるいはその帰属に関係なく、かつ実施例ないし図面におけるその表現ないし表示に関係なく、本発明の対象を形成する。
【0017】
以下、図面を用いて本発明を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1には、本発明に基づく方法の実施形態が、ブロック回路図で示されている。図には、入力回路2を有する分類装置1が示されている。
【0019】
入力回路2を用いることで、たとえば対象検出センサ3と、選択的に設けることができる駆動部4とに由来する入力信号を、分類装置1に供給することができる。
【0020】
対象検出センサ3は、車両の前に位置する周辺領域へ電磁放射線を放出し、センサ検出領域39内に対象40、41、42、43、44が存在する場合に、対象で反射された部分波を受信するセンサとして形成される。好ましくは、対象検出センサ3は、レーダーセンサまたはリーダーセンサとして形成することができ、その場合にこのセンサによって、反射する対象40、41、42、43、44の間隔、センサ中心線に関するアジマス角、および選択的に自己の車両37に関する検出された対象との相対速度を求めることができる。
【0021】
対象検出装置3の受信信号は、分類装置1の入力回路2へ供給される。分類装置1が、付加的に適応的な間隔および速度制御装置として、あるいは車両の非常ブレーキを作動させるための制御装置として形成されている場合には、操作装置4を設けて、それを用いて適応的な間隔および速度制御器を能動化させ、非能動化させ、あるいはその制御パラメータを調節することができる。
【0022】
入力回路2へ供給された入力信号は、データ交換装置5を用いて計算装置6へ送信される。その計算装置は、たとえばマイクロプロセッサとして形成することができる。計算装置6内で、対象検出センサ3の受信信号が評価されて、認識された対象が分類され、操作信号が算出される。
【0023】
分類装置1が、車両37の適応的な間隔および速度制御のために使用される場合には、対象検出センサ3の受信信号と、そこから求められる対象分類とに従って、ドライブトレインと減速装置を駆動するための操作信号が調節される。
【0024】
この操作信号は、データ交換装置5によって出力回路9へ出力され、その出力回路は、加速要求の場合には内燃機関の出力を定める操作部を駆動し、減速要求の場合には車両37の減速装置11を駆動する。
【0025】
分類装置1が、車両37の自動的な非常ブレーキを始動させ、かつ実施することができる場合には、操作信号は、データ交換装置5によって計算装置6から出力回路9を介して減速装置11へ出力されて、その減速装置は、車両の非常ブレーキを始動して実施することができる。
【0026】
加速ないし減速要求を計算するためには、計算装置6に対象の種類が分かっていると、効果的である。そのために、以下のステップに従って対象分類が実施され、その場合に計算装置6内で対象検出センサ3の受信信号が評価されて、メモリ7に格納されている特徴的なパターンと比較され、比較によって対象の種類を推定することができる。そのために、メモリ装置7が、別のデータ交換装置8によって計算装置6と接続されている。代替的に、メモリ7をデータ交換装置5を介して計算装置6に接続することもできる。
【0027】
図2には、本発明に基づく方法の実施形態が示されている。方法は、たとえば車両37の始動時に開始される、ステップS12においてスタートする。それに続くステップS13において、対象検出センサ3の受信信号が計算装置6へ読み込まれて、その計算装置において本発明に基づく方法が遂行される。次のステップS14において、たとえば時間的に変化する信号として到着する入力信号が直交空間に変換される。そのために認識された反射点の間隔とアジマス角がデカルト座標に換算され、その場合に座標系は、たとえばセンサ固定の座標系とすることができる。
【0028】
それに続くステップS15において、認識された、互いに極めて近くに位置する反射点が、個々の反射点に併合される。というのは、車両には、たとえば車輪カバーの領域に、送信されたレーダー放射を多重に反射し、あるいはマルチビームのレーダーセンサの場合には、レーダービームを別々のレーダー反射として認識されるように送り返す構造が存在するからである。反射点の併合によって、必要とされる計算出力が減少される。というのは、より少ない点を評価すれば済むからであるが、特徴的なパターンの特性はほとんど変化されない。
【0029】
続くステップS16において、反射点が所定の判断基準に関して評価される。すなわち、反射信号の帯域幅も反射の周波数に依存する振幅も定められることにより、たとえば個々の反射点の出力を定め、個々の反射点の受信信号のスペクトル周波数帯域を定めることが可能である。さらに、反射信号の位相を定め、かつ受信信号のその他の特徴的な物理的値を評価することが可能である。これら予め定められた判断基準とパターン、たとえば周波数スペクトルにわたって周波数に依存する出力を定めることにより、かつそれぞれ対象に応じて異なる反射点の空間的な分布によって、検出された対象の特徴的なパターンが生じるので、次のステップS17において格納されている特徴的なパターンとの比較が実施される。その場合に、対象反射から生成された特徴的なパターンと最も一致する、記憶されている特徴的なパターンが選択されて、選択された特徴的なパターンを用いて、対象を推定することができ、それがステップS18で実施される。ステップS17に基づく比較は、たとえば相関を用いて計算機で実施することができる。ステップS18に従って、それぞれの反射点を反射した対象の分類が確定され、対象をトラック、乗用車、二輪車、下水口の蓋、ガードレールあるいはその他の対象の分類の1つに対応づけることができる。
【0030】
次に、格納されている特徴的なパターンがアップデートされる、選択的なステップS19を設けることが可能である。すなわち、対象分類が成功して実施された場合にそれぞれの対象の認識を歩進的に改良するために、それぞれの特徴的なパターンをたとえば重みづけ係数を用いて、格納されている特徴的なパターンによって処理することができるので、特徴的な格納されているパターンを歩進的にさらに洗練させることができる。ステップS18と選択的に設けることができるステップS19の処理後に、方法は再びステップS13へ戻るので、新しい測定サイクルにおいて再び対象検出センサ3の受信信号が読み込まれて、ループが生じる。
【0031】
図3には、本発明に基づく方法の他の実施例が示されている。すなわち、この方法もステップS20において、たとえば車両が始動された場合に、開始される。次のステップS21において、ここでも対象検出センサ3の受信信号が読み込まれて、評価へ供給される。次のステップS22において、受信信号がたとえば、高速フーリエ変換として、あるいは離散フーリエ変換として形成することができる、フーリエ変換技術を用いて、周波数空間に変換される。周波数空間内で、対象検出センサ3の受信信号から特徴的な周波数推移が生じ、それがステップS23において予め定められた判断基準に関して評価される。
【0032】
ステップS23の評価の枠内で、たとえば各受信点の受信信号の出力が定められ、周波数パターンの周波数に依存するスペクトル推移、出力密度および位相が定められて、次のステップS24において、メモリ7に格納されている、格納された特徴的なパターンと比較される。比較は、たとえば相関を用いて計算機で行うことができる。対象検出センサ3の受信信号から評価された特徴的なパターンと最も一致する、格納されている特徴的な周波数パターンが、一致するとみなされて、それに続いてステップS25において、最も可能な一致により検出された対象を対象分類、トラック、乗用車、二輪車、ガードレール、下水口の蓋あるいはその他の対象の1つに対応づけることができることにより、対象分類を実施することができる。
【0033】
それに選択的なステップS26が続き、そのステップにおいて対象分類が成功して実施された場合に、たとえば検出された対象の特徴的なパターンを重み付け係数を用いてメモリ7に記憶されている、格納された特徴的なパターンによって処理することにより、格納されている特徴的なパターンを更新することができるので、格納されている特徴的なパターンを駆動の遂行中に成功して行われた対象分類により常にさらに洗練させることができる。ステップS25または選択的に設けることができるステップS26の処理後に、方法は再びステップS21へ戻るので、新しい測定サイクルにおいてまた対象認識センサ3の受信信号が読み込まれて、ループが生じる。
【0034】
図4には、本発明に基づく方法の他の実施形態が示されており、この実施形態において特徴的なパターンによる評価は、直交空間においても周波数空間においても行われる。方法は、ステップS27において、たとえば車両の始動時に能動化されることにより、開始される。続くステップS28において、ここでも対象検出センサ3の受信信号が計算装置6へ供給される。次のステップS29において、時間的に変化する信号として存在する、対象検出センサ3の入力信号が、直交空間に変換されるので、反射点の空間的位置が存在する。
【0035】
次のステップS30において、互いに近くに位置する反射点が併合されるので、たとえば車両における著しく反射する構造の結果の、互いに近くに位置する反射点、あるいは対象検出センサ3がマルチビームであることにより複数の反射点が認識されることによる、評価するための計算の手間を削減することができる。互いに近くに位置する反射点が併合される、ステップS30の出力データが、ステップS31において直交空間において特徴的な空間的パターンに関して評価され、場合によっては存在する特徴的なパターンが求められる。ステップS31に並行して、ステップS30の出力データがステップS32へ供給されて、そこで反射点データが周波数空間に変換される。周波数領域で存在する反射点データは、次のステップS33において、周波数領域における特徴的なパターンに関して調査されて、格納されている特徴的なパターンとの一致が求められる。
【0036】
次のステップS34において、ステップS31で求められた直交空間における空間的な特徴的パターンと、ステップS33で周波数空間において求められた、反射点の特徴的なパターンが、たとえばメモリ装置7に記憶されている、格納された特徴的なパターンと比較される。その場合にたとえば相関を用いて、格納されている特徴的なパターンのどれが、ステップS31ないしステップS33において求められた、直交空間ないし周波数空間における特徴的なパターンとの最大の類似を有するか、が決定される。求められた特徴的なパターンとの最大の類似を有する、格納されている特徴的なパターンの選択に基づいて、ステップS35において、格納されている特徴的なパターンを用いて該当する対象分類を推定することができることにより、対象分類が実施されるので、対象の反射点を乗用車、トラック、二輪車、ガードレール、下水口の蓋または他の対象に対応づけることができる。
【0037】
ステップS35に、選択的に設けることができるステップS36が続いており、その中で格納されている特徴的なパターンをアップデートによって更新することができる。というのは、自立した特徴的なパターンにより成功した対象分類によって、格納されている特徴的なパターンをさらに洗練させることができるので、駆動が続行されるにつれて対象分類を常にさらに洗練させることができるからである。選択的なステップS36の後に、方法は再びステップS28において、新しい測定サイクルで再び対象検出センサ3の受信信号が読み込まれることにより、続行される。
【0038】
選択的に、ステップS19、S26およびS36に基づく記憶されている特徴的なパターンのアップデートを、特徴的なパターンが唯一のテーブルに記憶されるのではなく、2つの別々のテーブルが設けられており、その場合に第1のテーブル内に固定的に予め定められた特徴的なパターンがすでに工場側で記憶されており、対象分類が成功してに行われ、その対象分類は特徴的なパターン内に予め定められた工場側の特徴的なパターンに関してわずかな差を有しており、その差が対象分類に従って第2の差テーブルに格納されることによって、形成することもできる。アップデートによって、第1のテーブル内の固定的に予め定められた特徴的なパターンは、差テーブル内ですでに成功して行われた対象分類に基づいて付加データが求められることにより、さらに繊細にされる。それによって誤分類が頻発する場合に、対象分類方法の降格を回避するために、差テーブルをたとえば自動的に消去して、工場側で設定された、予め定められた特徴的なパターンを用いてさらに処理することが可能である。
【0039】
図5には、本発明に基づく方法によって処理される、典型的な交通状況が図示されている。図には、複車線の道路38上を移動する自己の車両37が示されている。自己の車両37には、対象検出センサ3が搭載されており、それが車両の前の車両環境を検出して、検出領域39内の対象を認識する。そのために対象検出センサ3が電磁放射線を送信し、それが検出領域39内の対象において部分的に反射されて、対象検出センサ3へ送り返され、それを対象検出センサが受信して評価する。
【0040】
自己の車両37の前において、左の車線上に乗用車40が、そして右の車線上にはトラック41が走行している。さらに、走路上に下水口の蓋42が図示されており、それは金属的な表面に基づくため電磁放射線の良好なリフレクタとなる。さらに、左の走路端縁にガードレール43とその他の対象44が図示されており、この対象はこの図面において規則的に位置決めされた対象として、たとえば走路端縁の立木の形状で存在している。その場合に対象検出センサ3から送信される、特にマイクロ波放射の形式の、電磁放射線は、上述した対象によって反射され、その場合に対象検出センサ3から放出された放射線が対象において複数回反射されることが可能である。
【0041】
図5には、対象検出センサ3から放射された電磁出力が対象40、41、42、43、44で反射される点が、小さいバツ印で示されている。すなわち、たとえば乗用車40は、後方左の角部に1つの反射点を有しており、後方右の角部には2つの反射点を有し、かつ前方の右と後方の右の車輪にそれぞれ反射点を有している。隣接する車線上を走行するトラック41は、後方右の角部に1つの反射点を有し、後方左の角部には全部3つの反射点を有し、セミトレーラーの後方左の車輪に2つの反射点を有し、トレーラートラクターの後方左の車輪に同様に1つの反射点を有している。下水口の蓋42は、同様に3つの反射点を有しており、それらも小さいバツ印でマークされている。ガードレール43は、3つの反射点を有しており、それらはガードレール43の右側に沿って配置されている。この表示においてたとえば走路端縁の立木を表している、その他の対象44も、それらが検出領域39の内部にある限りにおいて、同様に部分的に反射点を有しており、その場合にこれらも同様に小さいバツ印で表現されている。
【0042】
対象検出センサ3によって受信された入力信号は、入力回路2とデータ交換装置5を介して計算装置6へ送信されて、そこでこの入力信号がセンサ固定の座標系に関して空間的な相対位置に換算されて、それによって直交空間内で評価されることができる。評価するために、選択的な第1のステップにおいて、互いに近い位置の反射点の併合が実施される。そのために図5にバツ印で示される反射点の求められた位置が、それらが互いに極めて近いか、について調査される。互いに近くに位置する反射点は、計算出力を減少させるために唯一の反射点に併合される。その後に存在する反射点を示すために、図6に同一の交通状況が示されており、しかしその場合に反射点のバツ印は記入されておらず、その代りに互いに近い位置にある反射点の併合後の反射点が再びバツ印で示されている。
【0043】
すなわち、図6において乗用車40は、図5では2つの反射点を有していた後方右の角部に、図6に示すように唯一の反射点しか有していない。というのは、図5に示される2つの反射点が唯一の反射点に併合されたからである。同様に、トラック41に関して、後方左角部の互いに近い位置にある3つの反射点が唯一の反射点に併合されており、セミトレーラーの後方左の車輪の2つの反射点が同様に唯一の反射点に併合されている。下水口の蓋42に関しては、互いに極めて近い位置にある3つの個別の反射点が、唯一の反射点に併合されており、それが図6に唯一のバツ印を用いて表示されている。
【0044】
それに対して、図5ではガードレール43の右の境界にバツ印で記入されている3つの反射点は、3つの個々の反射点としてそのまま残されている。というのは、それらの間隔が十分に大きかったので、1つの点に併合されなかったからである。同様に図5に示す反射点を有する、左の走路端縁のその他の対象44は、同様に専用の反射点として残されている。というのは、これらは空間的に離れていることにより併合できなかったからである。
【0045】
以上によって、図6に示すように、図5に示す反射点に対して、評価すべき反射点の減少が得られたので、それによって計算出力の削減が得られた。これらの反射点が、直交区間内および/または周波数空間内で評価され、その場合に周波数空間内で評価するためには、図6の反射点がたとえばフーリエ変換技術によって周波数空間に換算されなければならない。その場合に、互いに近い位置にある反射点の併合と、場合によっては必要となる周波数領域への変換が、図1の計算手段6内で実施された。
【0046】
直交領域内または周波数領域内に存在する反射点が、今度は、たとえば各反射点の反射された出力が分析されることにより、特徴的なパターンに関して評価される。たとえば、ボックス構造を有するトラック41の大きい背面は、乗用車30の後部によって、あるいは下水口の蓋42の粗い表面によって生じるよりも大きい出力を反射する。さらに、たとえばトラック41は、シャシの領域内により大きな間隙を有してるので、トラック41における複数の車輪反射の確率は、ほぼ閉成したボディ外側形状を有する乗用車40の場合よりも、高い。
【0047】
たとえば、反射点のスペクトル周波数幅を評価することによって、さらに、周波数応答特性を検出することが可能であって、それが同様に検出された対象の対象分類を推定させる。その場合に付言すると、反射点のできるだけ多くの異なる物理的特性が評価されるべきである。というのは、個々の判断基準の評価によって、反射点のある種の顕著な特徴が生じ、従って反射点を予め定められた対象分類の対象に対応づけることをできるだけ大きい確率で行うことができるからである。
【0048】
たとえば、所定の領域内で互いに離れている、同一の相対速度を有する反射点を同一の対象に対応づけることも可能であって、それによって対象の大きさも推定され、それによってたとえばトラック41を乗用車40、二輪車または下水口の蓋42から区別することができる。相対速度の評価によって、同様に、ガードレールまたは走路端縁のその他の対象を静止している対象として検出することが可能である。というのは、これらがセンサに対して、車両が移動する速度とほぼ同じ速度を有するからである。
【0049】
たとえば、相対速度、反射点から反射される出力、反射点の反射された放射線のスペクトル幅および反射点の反射される出力の位相を用いて、反射点の特徴的なパターンを求めることによって、このパターンをメモリ7に格納されている特徴的なパターンを用いて比較することが可能であって、その場合にこの比較は、たとえば相関を用いて計算機で行うことができる。対象分類の途中で、メモリ7内に特徴的な予め定められたパターンとして格納されているパターンが、反射点から求められた、最大の相関を有するパターンと最も類似していると認識される。それによって、対象種類を推定することが可能である。というのは、各対象分類について、メモリ7内に1つまたは複数の特徴的なパターンが格納されているからである。
【0050】
すなわち、図4において、乗用車40の反射点が1つの対象に属すると認識され、かつ反射点の反射された出力、そのスペクトル周波数パターンおよび受信信号の位相に基づいて、これらの反射信号を乗用車の分類の対象に対応づけることができた。対象分類によって、図7に示すように自動車の空間的広がりを推定することが可能であって、それがここでは対象40のハッチングによって表示されている。同様に、トラック41の反射点をある対象に属すると評価することができ、かつ特徴的なパターンに基づいてトラックの分類の対象として推定することができた。これらの反射点の空間的な分布に基づいて、トラック41の空間的大きさと方位を推定することができ、それが図7にハッチングで示されている。下水口の蓋の反射とその特徴的なパターンによって、下水口の蓋の分類の対象として推定することができるので、下水口の蓋42は適応的な間隔および速度制御に関して、あるいは非常ブレーキに関して重要でない対象として認識され、たとえば車両37によって危険なしに通過することができる。走路端縁に静止している対象、たとえばガードレール43は、反射点の空間的な配置、反射点のスペクトル特徴に基づいて、かつ、この対象の相対速度によってガードレールとして認識することができたので、たとえば、これを未来の走行路を蓋然化するために利用することができる。というのは、ガードレールが複車線の道路38の走路のすぐ脇にある対象として認識されたからである。
【0051】
図8には、対象反射の複数の特徴的な周波数推移の一覧が示されている。一番上には、トラックの特徴的なパターンが示されており、周波数軸fに沿ってトラックの対象反射のスペクトルが記入されている。図から、中心周波数fに対してほぼ対称に形成された包絡線45が認識される。その場合に包絡線45は、個々のスペクトル成分の比較的高い振幅を有している。というのは、トラックの後部は通常強く反射するからである。さらに、トラックの包絡線は、周波数fにわたって大きい幅を有しており、それも同様に特徴的なパターンのための重要な判断基準である。スペクトルパターンの右に、トラック反射点の位相図表が記入されており、それは横座標上に実数成分を有し、縦座標上に虚数成分を有している。説明するために位相ポインタ49が記入されており、その位相ポインタはトラックの反射のために所定の位相50を有している。
【0052】
トラックのための図表の下に、包絡線46を有する乗用車のための特徴的な図表が記入されており、その包絡線は一方で、トラックのための包絡線45よりも小さい周波数幅を有し、かつ振幅においてはトラックの包絡線45よりも小さい。乗用車の特徴的なパターンのための位相情報に関して注意すべきことは、このパターンが通常、乗用車の分類の対象についてトラックの場合よりも大きい位相を有することである。その場合に下水口の蓋のための特徴的なパターンは、包絡線47によって示され、その包絡線は極めて小さい周波数幅を有するが、振幅においては比較的高く、それによって下水口の蓋の良好な反射特性が説明される。一番下に、ガードレールの特徴的なパターンが記入されており、それは少なくとも複数の反射点を有している。すなわち、包絡線48内にカーブも示されており、そのカーブは複数のピークを有し、かつ隣りの位相図表に示すように極めて大きい位相を有している。
【0053】
設けられている対象分類の各々について、この種の特徴的な周波数パターン、この種の特徴的な位相パターンおよびその他の特徴的な値が格納されており、それと対象検出センサ3の受信信号から得られた特徴的なパターンが比較される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に基づく装置の実施形態を図式的に示すブロック回路図である。
【図2】本発明に基づく方法の第1の実施形態のフローチャートである。
【図3】本発明に基づく方法の他の実施形態のフローチャートである。
【図4】本発明に基づく方法の他の実施形態のフローチャートである。
【図5】反射された電磁放射の個々の反射点が記入されている、第1の交通状況を示している。
【図6】反射点が部分的に併合される、他の交通状況を示している。
【図7】認識された対象が分類される、他の交通状況を示している。
【図8】受信信号から生成されるパターンと比較するために用いられる、幾つかの代表的な、予め定められた、特徴的パターンの一覧を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を認識して分類する方法であって、センサ(3)を用いて電磁放射線が送信され、対象(40、41、42、43、44)で反射された一部の放射線がセンサ(3)によって受信され、受信された信号が、格納されている特徴的なパターン(45、46、47、48、49、50)と比較されることによって評価され、放射線が反射された対象(40、41、42,43、44)の分類が、評価に基づいて推定される、対象を認識して分類する方法。
【請求項2】
受信信号の評価は、受信信号がフーリエ変換を用いて変換されて(S22)、特徴的な周波数パターン(45、46、47、48、49、50)と比較される(S24)ことによって、周波数領域(S23)内で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
評価は、自己の車両(37)に対する反射対象の相対的位置が定められて、特徴的な空間的パターン(S17)と比較されることによって、直交空間(S16)内で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
特徴的なパターン(45、46、47、48、49、50)との比較が、
−反射点で反射された出力、
−反射点から反射された出力のスペクトル周波数幅、
−反射点から反射された放射線の位相、
−反射点の相対速度、あるいは
−それらの組合わせ
の評価によって行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
特徴的なパターン(45、46、47、48、49、50)と比較する前に、空間的に互いに近い反射点が単独の反射点(S15、S30)として処理されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
格納されている、特徴的なパターン(45、46、47、48、49、50)が、より早期の測定サイクルの評価によって生成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
格納されている、特徴的なパターン(45、46、47、48、49、50)が、対象をそれぞれ新たに分類(S18、S25、S35)した後に更新されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
格納されている特徴的なパターン(45、46、47、48、49、50)が、固定的に予め定められたパターンを有する第1のテーブルと、偏差を有する第2のテーブルからなり、その場合に偏差が固定的に予め定められたパターンとより早期の測定サイクル内で認識されたパターンとの間のパターン差であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
認識された対象が、評価によって分類の1つ、
−移動しながら越えることのできる対象(42)、
−移動しながら越えることのできない対象(40、41、42)
に対応づけられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
認識された対象が、評価によって対象分類の1つ、
−乗用車(40)、
−トラック(41)、
−二輪車、
−ガードレール(43)、
−下水口の蓋(42)、
−歩道橋、
−交通標識橋、
−飲み物容器、
−交通標識、または
−その他の対象(44)
に対応づけられることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
本方法が、適応的な間隔および速度制御のため、および/または非常ブレーキを作動させるために使用されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
対象を認識して分類する装置であって、その場合にセンサ(3)によって電磁放射線が送信されて、対象(40、41、42、43、44)において反射された一部の放射線がセンサ(3)によって受信される、前記装置において、
受信された信号を評価するための評価手段(6)が設けられており、
特徴的なパターン(45、46、47、48、49、50)を格納するためのメモリ(7)が設けられており、前記メモリに格納されたパターンが、評価された信号と比較されて(S17、S24、S34)、放射線が反射した対象(40、41、42、43、44)の分類が、比較に基づいて推定されることを特徴とする、対象を認識して分類する装置。
【請求項13】
評価手段(6)が、受信された信号を周波数スペクトルに変換して、受信された信号のスペクトル評価を実施することを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
評価手段(6)が、受信された信号を直交空間に変換して、受信された信号の空間的評価を実施することを特徴とする、請求項12または13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−542732(P2008−542732A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514049(P2008−514049)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061929
【国際公開番号】WO2006/128766
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(501125231)ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (329)
【Fターム(参考)】