説明

射出装置

【課題】駆動部材の駆動回転軸を射出部材を進退させる運動方向変換部材における従動回転軸の軸方向に移動可能に接続するようにして、前記運動方向変換部材が受けるスラスト荷重を計測することによって、射出部材が受けるスラスト荷重を高い精度で計測することができるようにする。
【解決手段】シリンダ部と、該シリンダ部内に進退可能に配設された射出部と、前記シリンダ部に対して固定された固定支持部と、駆動部と、該駆動部の回転運動を直線運動に変換し、前記射出部を前後進させる運動方向変換部と、前記射出部にかかる荷重によって歪む歪み部とを有し、該歪み部の歪みとともに前記駆動部が前記固定支持部に対して軸方向に変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティに充填(てん)し、該キャビティ内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。
【0003】
そのため、前記金型装置は固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を進退させ、前記固定金型に対して接離させることによって、型開閉、すなわち、型閉、型締及び型開を行うことができるようになっている。また、金型装置の型締が行われると、射出装置が前進させられ、加熱シリンダのノズルが固定プラテンに形成されたノズル通過孔(こう)を通って、固定金型の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けられ、密着させられる。続いて、溶融された樹脂が高圧で前記ノズルから射出され、スプルーブッシュ及びスプルーを通って固定金型と可動金型との合わせ面に形成されたキャビティ内に充填されるようになっている。
【0004】
そして、前記射出装置は、加熱シリンダ内に配設されたスクリュを回転及び進退させるための駆動装置を有する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図2は従来の射出装置における駆動装置の断面図である。
【0006】
図において、101は駆動装置であり、射出装置の後端に配設された水冷ジャケット102の後面に取り付けられている。なお、該水冷ジャケット102からは、後方(図における右方)にスクリュの後端軸103が突出している。そして、前記駆動装置101は、前記スクリュを回転させ、図示されない加熱シリンダ内に投入された原料樹脂を溶融させてスクリュの前方に溶融された樹脂を所定量だけ蓄える計量工程を行うための計量用モータ105、前記スクリュを前進(図における右方に移動)させ、計量工程においてスクリュの前方に蓄えられ、溶融された樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティに充填する射出工程を行うための射出用モータ106、並びに、前記計量用モータ105及び射出用モータ106を保持するフレーム104を有する。
【0007】
また、前記駆動装置101は、前端部が前記スクリュの後端軸103に回転不能、かつ、軸方向に移動不能に接続されたスプライン軸111、前端部が前記スプライン軸111の後端部に回転可能、かつ、軸方向に移動不能に接続された中空スプライン軸112、前端部が前記中空スプライン軸112の後端部に回転不能、かつ、軸方向に移動不能に接続されたボールねじナット113、及び、該ボールねじナット113に螺(ら)入されたボールねじ軸114を有する。なお、前記ボールねじナット113とボールねじ軸114とは、いわゆる、ボールねじ機構を構成し、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換手段として機能する。また、前記スプライン軸111は、スプライン結合によって前記計量用モータ105のロータシャフト105aに回転不能、かつ、軸方向に移動可能に接続されている。さらに、前記ボールねじ軸114は、ベアリングリテーナ116を介して、前記射出用モータ106のロータシャフト106aに回転不能、かつ、軸方向に移動不能に接続されている。
【0008】
そして、前記射出装置において計量工程が行われる場合、前記計量用モータ105が作動するとロータシャフト105aが回転し、該ロータシャフト105aの回転がスプライン結合によってスプライン軸111に伝達される。そのため、該スプライン軸111に接続された後端軸103が回転するので、加熱シリンダ内においてスクリュが回転し、原料樹脂が溶融させられながら前方に送られ、前記スクリュの前方に蓄えられる。なお、中空スプライン軸112がスプライン軸111に対して回転可能に接続されているので、スプライン軸111の回転が中空スプライン軸112、ボールねじナット113、ボールねじ軸114、ロータシャフト106a等に伝達されることがない。
【0009】
また、前記射出装置において射出工程が行われる場合、前記射出用モータ106が作動するとロータシャフト106aが回転し、該ロータシャフト106aの回転がボールねじ軸114に伝達される。ここで、前記中空スプライン軸112がスプライン接続によってフレーム104に対して回転不能、かつ、軸方向に移動可能となっているので、前記中空スプライン軸112に回転不能、かつ、軸方向に移動不能に接続されている前記ボールねじナット113は、フレーム104に対して回転不能、かつ、軸方向に移動可能となっている。そのため、前記ボールねじ軸114が回転すると、前記ボールねじナット113は前進させられる。なお、該ボールねじナット113が前進するか又は後退するかは、前記ボールねじ軸114の回転方向とねじの向きとによって決定される。
【0010】
ところで、計量工程においては、樹脂の前進に伴って背圧が発生し、該背圧によってスクリュを後退させる方向のスラスト荷重が発生する。そして、前記背圧は成形品の品質に影響を及ぼすので適正値となるように制御される必要があり、しかも、該適正値は樹脂の種類、成形条件等によって変化する。そのため、前記駆動装置101においては、ボールねじ軸114の後端部近傍に配設されたロードセル121によって、スクリュを後退させる背圧を示すスラスト荷重を計測し、背圧が樹脂の種類、成形条件等によってあらかじめ定められた適正値となるように、射出用モータ106を作動させ、適正な大きさの背圧となるようにスクリュを後退させるようになっている。
【0011】
なお、前記ロードセル121は、概略穴空き円盤状の形状を有し、外周部近傍がロードセル押さえ部材122によってフレーム104に取り付けられ、内周部近傍に受けるスラスト荷重を計測する。この場合、ベアリングリテーナ116のスラスト荷重を受ける第1のスラストベアリング117の後端面(図における右端面)がスペーサ123を介して前記ロードセル121の前面における内周部近傍に当接するようになっている。これにより、前記スクリュの受ける背圧を示すスラスト荷重が、スプライン軸111、中空スプライン軸112、ボールねじナット113、ボールねじ軸114、ベアリングリテーナ116、第1のスラストベアリング117及びスペーサ123を介して、前記ロードセル121の前面における内周部近傍に伝達されて計測される。
【0012】
また、前記ボールねじ軸114の後端部(図における右端部)にはエンコーダ125が接続され、前記ボールねじ軸114の回転を計測するようになっている。なお、該ボールねじ軸114の後端部には、ロックナット126によって第2のスラストベアリング124が取り付けられ、該第2のスラストベアリング124が受けるスラスト荷重は、前記ロードセル押さえ部材122の内周面によって受け止められる。
【特許文献1】特開2000−71296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記従来の射出装置においては、ボールねじ軸114がベアリングリテーナ116を介して射出用モータ106のロータシャフト106aと接続されているので、スクリュが荷重を受けると、ベアリングリテーナ116、第1のスラストベアリング117、スペーサ123及びロータシャフト106aが歪み分だけボールねじ軸114とともに反スクリュ側(図における右方側)に変位することになる。
【0014】
この変位分は前記ベアリング117、127、128の外周部がセンターケース109、リアーカバー118に対して摺動することにより許容されるが、この摺動には摺動抵抗が生じることとなる。そのため、スクリュにかかる荷重と摺動抵抗力の合計を検出することとなり、スクリュに負荷される力のみの精密な検出に問題があった。しかも、この摺動抵抗力が成形サイクル毎にばらつき、特に、低荷重下での制御となる計量工程時の制御精度に問題があった。
【0015】
本発明は、前記従来の射出装置の問題点を解決して、シリンダ部材内に進退可能に配設された射出部材を駆動するための駆動部材を、前記シリンダ部材に対して固定された固定部材に取り付け、前記駆動部材の駆動回転軸を射出部材を進退させる運動方向変換部材における従動回転軸の軸方向に移動可能に接続するようにして、前記運動方向変換部材が受けるスラスト荷重を計測することによって、前記射出部材が受けるスラスト荷重を高い精度で計測することができる射出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために、本発明の射出装置においては、シリンダ部と、該シリンダ部内に進退可能に配設された射出部と、前記シリンダ部に対して固定された固定支持部と、駆動部と、該駆動部の回転運動を直線運動に変換し、前記射出部を前後進させる運動方向変換部と、前記射出部にかかる荷重によって歪む歪み部とを有し、該歪み部の歪みとともに前記駆動部が前記固定支持部に対して軸方向に変位する。
【0017】
本発明の他の射出装置においては、さらに、前記駆動部は、該駆動部の回転運動を許容する回転許容支持部とともに前記歪み部に取り付けられている。
【0018】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記駆動部は前記固定支持部に対していんろう結合されている。
【0019】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記駆動部は前記運動方向変換部と同一直線上に配設されている。
【0020】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記駆動部は減速部を備え、前記駆動部の回転軸は前記減速部の出力軸である。
【0021】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記運動方向変換部は少なくとも一つである。
【0022】
本発明の更に他の射出装置においては、シリンダ部と、該シリンダ部内に進退可能に配設された射出部と、前記シリンダ部に対して固定された固定支持部と、該固定支持部に取り付けられ、駆動回転軸を備える駆動部と、前記駆動回転軸に接続された従動回転軸を備え、該従動回転軸の回転運動を前記射出部を進退させる直線運動に変換する運動方向変換部と、前記従動回転軸に回転可能に取り付けられた荷重伝達部と、前記固定支持部に取り付けられる固定部、前記荷重伝達部が取り付けられる受圧部、及び、前記固定部と受圧部との境界における境界部を備え、該境界部に生じる歪みを計測することによって前記運動方向変換部が受けるスラスト荷重を計測する歪み部とを有し、前記駆動回転軸と従動回転軸とは互いに軸方向に移動可能に接続されている。
【0023】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記荷重伝達部は一方向のスラスト荷重を受ける第1の軸受け及び他方向のスラスト荷重を受ける第2の軸受けを備える。
【0024】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記第1の軸受け及び第2の軸受けは内輪を備え、該内輪には前記従動回転軸が嵌入され、該従動回転軸に取り付けられた圧力付加部材によって予圧が付与される。
【0025】
本発明の更に他の射出装置においては、さらに、前記駆動部は前記運動方向変換部と同一直線上に配設されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、射出装置においては、シリンダ部材と、該シリンダ部材内に進退可能に配設された射出部材と、前記シリンダ部材に対して固定された固定部材と、該固定部材に取り付けられ、駆動回転軸を備える駆動部材と、前記駆動回転軸に接続された従動回転軸を備え、該従動回転軸の回転運動を前記射出部材を進退させる直線運動に変換する運動方向変換部材と、該運動方向変換部材が受けるスラスト荷重を計測する荷重計測部材とを有し、前記駆動回転軸と従動回転軸とは互いに軸方向に移動可能に接続されている。
【0027】
この場合、運動方向変換部材が受けるスラスト荷重を計測することによって、射出部材が受けるスラスト荷重を高い精度で計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図3は本発明の第1の実施の形態における射出装置の全体構成を示す平面図である。
【0030】
図において、10は、射出成形機に使用される射出装置であり、図示されない射出装置フレームに取り付けられている。そして、前記射出装置10の前方(図における左方)には、固定金型及び可動金型から成る金型装置を備える図示されない型締装置が配設され、前記射出装置10は、型締装置に対して前進及び後退させられるようになっている。
【0031】
また、11は、電気ヒータ、温水ジャケット等の図示されない加熱装置を備えるシリンダ部材としての加熱シリンダであり、12は該加熱シリンダ11の先端部に取り付けられた射出ノズルである。そして、前記加熱シリンダ11の後端部近傍には、加熱シリンダ11の一部を冷却するための冷却ジャケット13が取り付けられ、該冷却ジャケット13に形成された原料投入孔13aから、樹脂ペレット等の原料樹脂が前記加熱シリンダ11内に投入される。また、14は、該加熱シリンダ11内に回転可能、かつ、軸方向に移動可能に配設された射出部としてのスクリュであり、その後端部近傍が前記加熱シリンダ11の後方(図における右方)に突出している。
【0032】
そして、前記冷却ジャケット13には、加熱シリンダ固定部材としての前方フランジ部材16が、ボルト等の固定手段によって固定されている。また、前記前方フランジ部材16の後方(図における右方)には、射出用モータ固定部材としての後方フランジ部材17が配設されている。そして、前記前方フランジ部材16及び後方フランジ部材17は、前記加熱シリンダ11に対して固定された固定支持部として機能し、射出装置フレームに取り付けられている。また、前記前方フランジ部材16及び後方フランジ部材17は、前端部及び後端部がねじ止め等によって前方フランジ部材16及び後方フランジ部材17にそれぞれ固定されたガイドロッド18によって連結されている。なお、該ガイドロッド18は、単数であっても複数であってもよく、何本であってもよいが、本実施の形態においては、四本であるものとして説明する。
【0033】
さらに、前記前方フランジ部材16と後方フランジ部材17との間には、スクリュ支持部材としてのプレッシャプレート21がスクリュ14の軸方向に移動可能に、かつ、他の方向に移動不能に配設されている。ここで、前記プレッシャプレート21は、前記ガイドロッド18に沿って、前記スクリュ14とともに、前進又は後退させられる。そして、前記プレッシャプレート21には、前記スクリュ14の後端部が接続された連結軸22が回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられている。この場合、前記連結軸22は、継ぎ手部材23によって、スクリュ14の後端部に固定されている。そして、前記連結軸22は、スラストベアリング26及びスラストベアリング27を介して、プレッシャプレート21に形成された貫通孔21aを貫通するように取り付けられている。このように、前記スクリュ14と連結軸22とが、互いに回転不能に、かつ、軸方向に移動不能に接続されているので、前記スクリュ14が受けるスラスト荷重は、プレッシャプレート21に伝達される。逆に、プレッシャプレート21からスクリュ14にスラスト荷重を伝達することもできる。
【0034】
また、前記連結軸22の後端部22aはプレッシャプレート21の後方に突出し、前記後端部22aに計量用駆動力伝達回転手段としての計量用プーリ24が取り付けられている。前記射出装置10は、計量用駆動源として図示されない計量用モータを有し、該計量用モータの回転軸に取り付けられた駆動プーリと前記計量用プーリ24との回りに図示されないタイミングベルトが掛け回されている。そして、前記計量用モータが作動して駆動プーリが回転すると、その回転がタイミングベルトを介して、計量用プーリ24に伝達され、連結軸22及びスクリュ14が回転するようになっている。なお、計量用モータの回転軸の回転を正確に伝達するために、前記計量用プーリ24及び駆動プーリが歯付きプーリであり、タイミングベルトが歯付きベルトであることが望ましい。また、前記計量用プーリ24を使用することなく、ギヤから成る減速機構等の駆動力伝達手段によって、計量用モータの回転を連結軸22に伝達するようにしてもよい。なお、前記計量用モータは、プレッシャプレート21とともに前進又は後退するようになっているので、プレッシャプレート21が前進又は後退しても、前記計量用モータの回転軸の回転は、計量用プーリ24に正確に伝達される。
【0035】
そして、前記後方フランジ部材17には、駆動部であって射出用駆動源としての射出用モータ33A及び射出用モータ33Bが取り付けられている。射出用モータは、単数であっても複数であってもよく、いくつであってもよいが、ここでは、射出用モータ33A及び射出用モータ33Bで代表する。この場合、前記射出用モータ33A及び射出用モータ33Bは、プレッシャプレート21がスクリュより受けるスラスト荷重により歪む歪み部材であり、かつ、歪み部材内に埋設された歪み検出計によりスラスト荷重を計測する荷重計測部材としてのロードセル34A及びロードセル34Bを介して、後方フランジ部材17に取り付けられている。前記ロードセル34A及びロードセル34Bは、射出部にかかる荷重によって歪む歪み部として機能する。
【0036】
また、前記プレッシャプレート21の射出用モータ33A及び射出用モータ33Bに対応する位置には、ボールねじナット31A及びボールねじナット31Bがそれぞれ取り付けられている。そして、前記ボールねじナット31A及びボールねじナット31Bには、射出用モータ33A及び射出用モータ33Bによって回転させられる従動回転軸としてのボールねじ軸32A及びボールねじ軸32Bがそれぞれ螺入されている。なお、前記ボールねじナット31Aとボールねじ軸32A、及び、ボールねじナット31Bとボールねじ軸32Bは、それぞれ、いわゆる、ボールねじ機構を構成し、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換部として機能する。また、前記プレッシャプレート21においてボールねじナット31A及びボールねじナット31Bが取り付けられる位置には、ボールねじ軸32A及びボールねじ軸32Bの先端部分が通過する通過孔29A及び通過孔29Bがプレッシャプレート21を貫通するように形成されている。このように、駆動部としての射出用モータ33A及び射出用モータ33Bと、運動方向変換部としてのボールねじナット31A及びボールねじ軸32A並びにボールねじナット31B及びボールねじ軸32Bとは同一直線上に配設されている。
【0037】
ここで、前記ボールねじナット、ボールねじ軸及び通過孔は、射出用モータに対応する数に対応するものであり、単数であっても複数であってもよく、いくつであってもよいが、ここでは、ボールねじナット31A及びボールねじナット31B、ボールねじ軸32A及びボールねじ軸32B並びに通過孔29A及び通過孔29Bで代表する。これ以降、射出用モータ33A及び射出用モータ33B、ボールねじナット31A及びボールねじナット31B、ボールねじ軸32A及びボールねじ軸32B並びに通過孔29A及び通過孔29Bを統合的に説明する場合には、それぞれ、射出用モータ33、ボールねじナット31、ボールねじ軸32及び通過孔29として説明する。
【0038】
本実施の形態において、前記射出用モータ33A及び射出用モータ33Bは、ボルト等の固定手段によって後方フランジ部材17に回転不能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられ、また、前記ボールねじナット31A及びボールねじナット31Bは、ボルト等の固定手段によってプレッシャプレート21に、回転不能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられている。そして、プレッシャプレート21と後方フランジ部材17とは、互いに、前記射出用モータ33A及び射出用モータ33B並びにボールねじナット31A及びボールねじナット31Bの軸方向に移動可能に、かつ、他の方向に移動不能になっている。そのため、前記射出用モータ33A及び射出用モータ33Bを作動させてボールねじ軸32A及びボールねじ軸32Bを回転させることによって、ボールねじナット31A及びボールねじナット31Bを前進又は後退させることができ、これにより、プレッシャプレート21及びスクリュ14を前進又は後退させることができる。なお、前記射出用モータ33A及び射出用モータ33Bは、同期して作動し、ボールねじナット31A及びボールねじナット31Bを同時に同方向に同量だけ移動させるようになっている。
【0039】
次に、前記射出用モータ33の構成を詳細に説明する。
【0040】
図1は本発明の第1の実施の形態における射出装置の要部拡大図である。
【0041】
図1に示されるように、前記ボールねじ軸32は、表面に螺旋状のボールねじ溝が形成されたねじ部32a、該ねじ部32aより射出用モータ33側に形成されスラストベアリング36及びスラストベアリング37が取り付けられる軸受け部32b、並びに、該軸受け部32bより射出用モータ33側に形成され表面に軸方向に延在するスプライン溝が形成された接続部32cを有する。そして、後方フランジ部材17には、ボールねじ軸32が通過する貫通孔17aが形成され、該貫通孔17a内に前記ボールねじ軸32の後半部分に形成された軸受け部32bを回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に支持する荷重伝達部であって回転許容支持部としてのベアリングホルダ35が挿入されている。該ベアリングホルダ35は、概略円筒状の形状を有し、内部を通過する前記軸受け部32bを第1の軸受けとしてのスラストベアリング36及び第2の軸受けとしてのスラストベアリング37を介して支持する。
【0042】
この場合、前記ベアリングホルダ35の内壁には段部が形成され、該段部によってスラストベアリング36及びスラストベアリング37の外輪を保持してボールねじ軸32のスラスト荷重を受けるようになっている。また、前記ボールねじ軸32の軸受け部32bの前端には圧力付加部材としてのフランジ板状の受圧部38が取り付けられ、後端には圧力付加部材としてのロックナット39が螺合されている。そして、前記受圧部38及びロックナット39によってスラストベアリング36及びスラストベアリング37の内輪に予圧を付与した状態で保持し、ボールねじ軸32のスラスト荷重をスラストベアリング36及びスラストベアリング37に伝達するようになっている。この場合、第1の軸受けとしてのスラストベアリング36はボールねじ軸32を後退させる方向のスラスト荷重を受け、第2の軸受けとしてのスラストベアリング37はボールねじ軸32を前進させる方向のスラスト荷重を受ける。また、前記ベアリングホルダ35の外壁は、スムーズな円柱面状に形成され、貫通孔17aに対して軸方向にスムーズに移動可能となっている。
【0043】
一方、駆動部材としての射出用モータ33は、例えば、サーボモータであるが、回転角度、回転速度及び回転方向を制御可能なモータであれば、いかなる種類のモータであってもよい。そして、前記射出用モータ33は、概略円筒状の形状を備えるモータフレーム41、並びに、該モータフレーム41の前端面及び後端面にボルト等の固定手段によって固定された前部端板42及び後部端板43を有する。前記モータフレーム41の内面には、コイルから成るステータ45が取り付けられている。また、前記射出用モータ33の内部に回転可能に配設された駆動回転軸としてのモータ軸47の外周面には、ロータとしての磁石46が前記ステータ45に対向する位置に取り付けられている。そして、該ステータ45に電流を供給することによって、磁石46が取り付けられた前記モータ軸47を回転させることができる。
【0044】
ここで、該モータ軸47は、ラジアルベアリング48及びラジアルベアリング49を介して、前記前部端板42及び後部端板43に回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられている。そして、前記モータ軸47の後端部には、該モータ軸47の回転を計測するために、ロータリーエンコーダ等の回転計測器51が接続されている。また、前記モータ軸47の前端部には、内面に軸方向に延在するスプライン溝が形成された凹状の接続部47aが形成されている。そして、該接続部47a内にはボールねじ軸32の後端部に形成された接続部32cが挿入され、スプライン接続されている。これにより、ボールねじ軸32とモータ軸47とは、回転不能に、かつ、軸方向に移動可能に接続される。なお、ボールねじ軸32とモータ軸47とを回転不能に、かつ、軸方向に移動可能に接続することができるのであれば、ボールねじ軸32の接続部32cとモータ軸47の接続部47aとの接続はいかなる形態のものであってもよく、例えば、すべりキーと軸方向に延在するキー溝とによる接続であってもよい。
【0045】
そして、前記ベアリングホルダ35及び射出用モータ33は、荷重計測部材としてのロードセル34を介して、後方フランジ部材17に取り付けられている。前記ロードセル34は、概略穴空き円盤状の形状を有し、外周近傍部分である固定部34aがボルト91等の固定手段によって後方フランジ部材17の後面(図1における右側の面)に固定されている。また、前記ロードセル34の内周近傍部分である受圧部34cは、前記ベアリングホルダ35と射出用モータ33の前部端板42とによって挟まれた状態で、前記ベアリングホルダ35と前部端板42とに固定されている。この場合、前記ベアリングホルダ35、受圧部34c及び前部端板42の三つの部材は、該三つの部材を貫通するボルト92等の固定手段によって一体的に固定されることが望ましい。このことにより、射出用モータ33は、ロードセル34を介して後方フランジ部材17に対して軸方向に移動自在に取り付けられることになる。
【0046】
さらに、前部端板42の前面における内周端縁には、前方に突出し、前記ロードセル34の穴内に嵌入する概略円筒状の嵌合突起が形成されている。該嵌合突起が前記ロードセル34の穴内に嵌入することによって、前部端板42とロードセル34とは、いわゆる、いんろう結合された状態となる。そして、前記ロードセル34が後方フランジ部材17に取り付けられているので、前部端板42は後方フランジ部材17に対していんろう結合されることとなる。
【0047】
なお、前記ロードセル34における固定部34aと受圧部34cとの境界部分は、ストレインゲージ等の図示されない歪み計測手段が取り付けられる境界部34bである。該境界部34bは、比較的肉薄になっていて、ボールねじ軸32のスラスト荷重がベアリングホルダ35を介して受圧部34cに伝達されると、歪みが生じるようになっている。そして、前記境界部34bに生じた歪みを歪み計測手段によって計測することにより、前記スラスト荷重の大きさを計測することができる。
【0048】
また、ボールねじ軸32のねじ部32aに螺合されたボールねじナット31は、円筒状の本体部31a及び円盤状のフランジ部31bを有する。該フランジ部31bは、ボルト等の固定手段によって前記プレッシャプレート21に固定される。また、前記本体部31aの内壁面には、前記ねじ部32aの表面に形成されたボールねじ溝に対応する図示されない螺旋状のボールねじ溝が形成され、該ボールねじ溝と前記ねじ部32aの表面に形成されたボールねじ溝とによって形成される螺旋状のボール通路内を図示されない多数のボールが連続して通過する。なお、前記本体部31aには、前記ボール通路の一端と他端とを連結するリターンチューブ31cがクランプ部材31dによって取り付けられている。これにより、前記ボールは、前記ボール通路及びリターンチューブ31cによって構成される無限循環通路内を循環する。
【0049】
そして、前記ボールねじナット31は、プレッシャプレート21に固定されて射出用モータ33に対して回転不能となっているので、該射出用モータ33が作動して前記ボールねじ軸32が回転すると、前進又は後退させられる。なお、前記ボールねじナット31が前進するか又は後退するかは、前記ボールねじ軸32の回転方向とボールねじ溝の向きとによって決定される。
【0050】
次に、前記構成の射出装置10の動作について説明する。
【0051】
まず、該射出装置10において計量工程が行われる場合について説明する。該計量工程においては、スクリュ14を回転させ、冷却ジャケット13に形成された原料投入孔13aから加熱シリンダ11内に投入された原料樹脂を溶融させてスクリュ14の前方に溶融された樹脂を所定量だけ蓄えるようになっている。
【0052】
この場合、図示されない計量用モータが作動すると、該計量用モータの回転軸の回転が計量用プーリ24に伝達され、連結軸22が回転する。そして、該連結軸22の回転が継ぎ手部材23を介してスクリュ14に伝達され、該スクリュ14が加熱シリンダ11内において回転し、原料樹脂が溶融させられながら前方に送られ、前記スクリュ14の前方に蓄えられる。
【0053】
なお、計量工程においては、樹脂の前進に伴って背圧が発生し、該背圧によってスクリュ14を後退させる方向のスラスト荷重が発生する。すると、該スラスト荷重は、継ぎ手部材23、連結軸22及びスラストベアリング26を介して、プレッシャプレート21に伝達され、さらに、該プレッシャプレート21に取り付けられたボールねじナット31を介して、ボールねじ軸32に伝達される。そして、前記スラスト荷重は、ボールねじ軸32から受圧部38及びスラストベアリング36を介してベアリングホルダ35に伝達され、更に、ロードセル34の受圧部34cに伝達される。これにより、前記ロードセル34の歪み部34bに歪みが生じるので、該歪みを歪み計測手段によって計測して、背圧を示すスラスト荷重を計測することができる。
【0054】
前記ボールねじ軸32の接続部32cとモータ軸47の接続部47aとを、回転不能に、かつ、軸方向に移動可能に接続していれば、前記スラスト荷重は、モータ軸47に伝達されることがなく、射出用モータ33によって受けられることがない。したがって、前記ロードセル34の歪み部34bに歪みを計測することによって、射出用モータ33の影響を受けることなく、背圧を示すスラスト荷重を高い精度で計測することができる。さらに、通常のキー結合とは異なり、軸方向に移動可能に接続されているので、モータ軸47とボールねじ軸32との間で焼き付けなどの不具合を生じることがない。
【0055】
ところで、前記背圧は成形品の品質に影響を及ぼすので適正値となるように制御される必要がある。そして、該適正値は樹脂の種類、成形条件等によって変化する。そのため、前記射出装置10の制御装置は、歪み計測手段の出力信号を受信して背圧を示すスラスト荷重を計測すると、その値が樹脂の種類、成形条件等によってあらかじめ定められた適正値となるように、射出用モータ33を作動させてスクリュ14を徐々に後退させ、背圧が適正な値となるように制御する。この場合、前記射出用モータ33が作動するとモータ軸47が回転し、該モータ軸47の回転がボールねじ軸32に伝達され、該ボールねじ軸32がボールねじナット31に対して回転する。これにより、回転運動が直線運動に変換され、ボールねじナット31が後退するのでプレッシャプレート21が後退し、スクリュ14が後退させられる。
【0056】
この場合、射出用モータ33がロードセルの変位とともに動くので、前記リップルは、ロードセル34の受圧部34cに伝達されることもないので、スラスト荷重の計測に影響を及ぼすことがない。したがって、射出用モータ33を作動させているときも、射出用モータ33の影響を受けることなく、背圧を示すスラスト荷重を高い精度で計測することができる。これにより、背圧を正確に計測することができ、背圧が適正な値となるように高い精度で制御することができる。
【0057】
次に、射出装置10において射出工程が行われる場合について説明する。
【0058】
まず、計量工程が終了して所定量の溶融された樹脂がスクリュ14の前方に蓄えられ、図示されない型締装置によって金型装置の型締が行われると、射出装置10全体が前進させられ、加熱シリンダ11に取り付けられた射出ノズル12の先端が固定プラテンに形成されたノズル通過孔を通って、固定金型の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けられ、密着させられる。そして、射出用モータ33が作動するとモータ軸47が回転し、該モータ軸47の回転がボールねじ軸32に伝達され、該ボールねじ軸32がボールねじナット31に対して回転する。これにより、回転運動が直線運動に変換され、ボールねじナット31が前進するのでプレッシャプレート21が前進し、スクリュ14が前進させられる。これにより、加熱シリンダ11内でスクリュ14の前方に蓄えられ、溶融された樹脂が、高圧で前記射出ノズル12から射出され、スプルーブッシュ及びスプルーを通って固定金型と可動金型の合わせ面に形成されたキャビティ内に充填される。
【0059】
このように、本実施の形態においては、加熱シリンダ11内で前進又は後退するようにスクリュ14を駆動するための駆動部としての射出用モータ33のモータ軸47がボールねじ軸32の軸方向の移動に伴なって、ロードセル34を介して移動するので、該ボールねじ軸32の受けるスラスト荷重のほとんどがロードセル34の受圧部34cに伝達されるようになっている。そのため、前記射出用モータ33の影響を受けることなく、ボールねじ軸32の受けるスラスト荷重を計測することができ、背圧を示す前記スラスト荷重を高い精度で計測することができる。
【0060】
なお、前記射出用モータ33は、後方フランジ部材17の後面側に取り付けられ、かつ、モータ軸47がボールねじ軸32の後端部における接続部32cに軸方向に移動可能に接続されていれば、取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、交換及び保守を容易に行うことができる。また、前記ロードセル34も、後方フランジ部材17の後面側に取り付けられ、かつ、ベアリングホルダ35と射出用モータ33の前部端板42とに挟まれた状態で固定されているので、取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、交換及び保守を容易に行うことができる。
【0061】
また、前記プレッシャプレート21は、前方フランジ部材16と後方フランジ部材17との間をスクリュ14とともに前進又は後退させられるようになっているので、前記スクリュ14の前進又は後退するストロークを大きく取ることができる。また、前記プレッシャプレート21がガイドロッド18に沿ってスクリュ14とともに前進又は後退させられるので、前進又は後退する際におけるプレッシャプレート21及びスクリュ14のがたつきを小さくすることができる。
【0062】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0063】
図4は本発明の第2の実施の形態における射出装置の要部拡大図である。
【0064】
本実施の形態においては、射出用モータ33とボールねじ軸32との間に減速機53を介在させ、前記射出用モータ33のモータ軸47の回転を減速機53によって減速してボールねじ軸32に伝達するようになっている。この場合、前記減速機53は駆動部材の一部として機能する。そして、前記減速機53は減速機フレーム54を有し、該減速機フレーム54内に従動ギヤ軸55及び駆動ギヤ軸57がモータ軸47と平行して配設され、前記従動ギヤ軸55及び駆動ギヤ軸57は、それぞれ、複数のラジアルベアリングを介して、減速機フレーム54に回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられている。また、前記従動ギヤ軸55に取り付けられたより大径の従動ギヤ56と駆動ギヤ軸57に取り付けられたより小径の駆動ギヤ58とが互いに噛(か)み合って減速機構を構成する。
【0065】
この場合、駆動部材の駆動回転軸として機能する減速機53の出力軸である従動ギヤ軸55の前端部には、内面に軸方向に延在するスプライン溝が形成された凹状の接続部55aが形成されている。そして、該接続部55a内にはボールねじ軸32の後端部に形成された接続部32cが挿入され、スプライン接続されている。これにより、ボールねじ軸32と従動ギヤ軸55とは、回転不能に、かつ、軸方向に移動可能に接続される。なお、ボールねじ軸32と従動ギヤ軸55とを回転不能に、かつ、軸方向に移動可能に接続することができるのであれば、ボールねじ軸32の接続部32cと従動ギヤ軸55の接続部55aとの接続はいかなる形態のものであってもよく、例えば、キーと軸方向に延在するキー溝とによる接続であってもよい。
【0066】
そして、前記ベアリングホルダ35及び減速機53は、荷重検出手段としてのロードセル34を介して、後方フランジ部材17に取り付けられている。前記ロードセル34の内周近傍部分である受圧部34cは、前記ベアリングホルダ35と減速機フレーム54とによって挟まれた状態で、前記ベアリングホルダ35と減速機フレーム54とに固定されている。この場合、前記ベアリングホルダ35、受圧部34c及び減速機フレーム54の三つの部材は、該三つの部材を貫通するボルト等の固定手段によって一体的に固定されることが望ましい。
【0067】
さらに、前部減速機フレーム54の前面における内周端縁には、前方に突出し、前記ロードセル34の穴内に嵌入する概略円筒状の嵌合突起が形成されている。該嵌合突起が前記ロードセル34の穴内に嵌入することによって、減速機フレーム54とロードセル34とは、いわゆる、いんろう結合された状態となる。そして、前記ロードセル34が後方フランジ部材17に取り付けられているので、減速機フレーム54は後方フランジ部材17に対していんろう結合されることとなる。
【0068】
また、駆動ギヤ軸57の後端部は減速機フレーム54から後方に突出するモータ接続部57aとなっていて、カップリング61を介して、射出用モータ33のモータ軸47の前端部に接続されている。この場合、駆動ギヤ軸57とモータ軸47とは、互いに回転不能に、かつ、軸方向に移動不能に接続されている。なお、前記射出用モータ33は図示されない取り付け部材を介して、前記減速機53に取り付けられている。
【0069】
このように、本実施の形態においては、射出用モータ33のモータ軸47の回転が減速機53によって減速されてボールねじ軸32に伝達されるようになっている。そのため、射出用モータ33が小型で出力が小さなものであっても、スクリュ14を前進又は後退させることができる。
【0070】
また、加熱シリンダ11内で前進又は後退するようにスクリュ14を駆動するための駆動部を構成する減速機53の従動ギヤ軸55がボールねじ軸32に軸方向に移動可能に接続されていれば、該ボールねじ軸32の受けるスラスト荷重がロードセル34の受圧部34cにより伝達されるようになる。そのため、前記射出用モータ33及び減速機53の影響を受けることなく、ボールねじ軸32の受けるスラスト荷重を計測することができ、背圧を示す前記スラスト荷重を高い精度で計測することができる。
【0071】
さらに、前記減速機53は、後方フランジ部材17の後面側に取り付けられ、かつ、従動ギヤ軸55がボールねじ軸32の後端部における接続部32cに軸方向に移動可能に接続されているので、取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、交換及び保守を容易に行うことができる。また、前記ロードセル34も、後方フランジ部材17の後面側に取り付けられ、かつ、ベアリングホルダ35と減速機フレーム54とに挟まれた状態で固定されているので、取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、交換及び保守を容易に行うことができる。
【0072】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態における射出装置の要部拡大図である。
【図2】従来の射出装置における駆動装置の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における射出装置の全体構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における射出装置の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0074】
10 射出装置
11 加熱シリンダ
14 スクリュ
16 前方フランジ部材
17 後方フランジ部材
31、31A、31B ボールねじナット
32、32A、32B ボールねじ軸
33、33A、33B 射出用モータ
34、34A、34B ロードセル
34a 固定部
34b 歪み部
34c 受圧部
35 ベアリングホルダ
36、37 スラストベアリング
38 受圧プレート
39 ロックナット
47 モータ軸
53 減速機
55 従動ギヤ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シリンダ部と、
(b)該シリンダ部内に進退可能に配設された射出部と、
(c)前記シリンダ部に対して固定された固定支持部と、
(d)駆動部と、
(e)該駆動部の回転運動を直線運動に変換し、前記射出部を前後進させる運動方向変換部と、
(f)前記射出部にかかる荷重によって歪む歪み部とを有し、
(g)該歪み部の歪みとともに前記駆動部が前記固定支持部に対して軸方向に変位することを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記駆動部は、該駆動部の回転運動を許容する回転許容支持部とともに前記歪み部に取り付けられている請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記駆動部は前記固定支持部に対していんろう結合されている請求項1又は2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記駆動部は前記運動方向変換部と同一直線上に配設されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出装置。
【請求項5】
前記駆動部は減速部を備え、前記駆動部の回転軸は前記減速部の出力軸である請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出装置。
【請求項6】
前記運動方向変換部は少なくとも一つである請求項1〜5のいずれか1項に記載の射出装置。
【請求項7】
(a)シリンダ部と、
(b)該シリンダ部内に進退可能に配設された射出部と、
(c)前記シリンダ部に対して固定された固定支持部と、
(d)該固定支持部に取り付けられ、駆動回転軸を備える駆動部と、
(e)前記駆動回転軸に接続された従動回転軸を備え、該従動回転軸の回転運動を前記射出部を進退させる直線運動に変換する運動方向変換部と、
(f)前記従動回転軸に回転可能に取り付けられた荷重伝達部と、
(g)前記固定支持部に取り付けられる固定部、前記荷重伝達部が取り付けられる受圧部、及び、前記固定部と受圧部との境界における境界部を備え、該境界部に生じる歪みを計測することによって前記運動方向変換部が受けるスラスト荷重を計測する歪み部とを有し、
(h)前記駆動回転軸と従動回転軸とは互いに軸方向に移動可能に接続されていることを特徴とする射出装置。
【請求項8】
前記荷重伝達部は一方向のスラスト荷重を受ける第1の軸受け及び他方向のスラスト荷重を受ける第2の軸受けを備える請求項7に記載の射出装置。
【請求項9】
前記第1の軸受け及び第2の軸受けは内輪を備え、該内輪には前記従動回転軸が嵌入され、該従動回転軸に取り付けられた圧力付加部材によって予圧が付与される請求項8に記載の射出装置。
【請求項10】
前記駆動部は前記運動方向変換部と同一直線上に配設されている請求項7〜9のいずれか1項に記載の射出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−68911(P2006−68911A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251580(P2004−251580)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】