説明

導電ローラに用いる導電性異物検査方法及び導電性異物検査装置

【課題】導電ローラに存在する導電性異物を確実に検出する。
【解決手段】本発明の導電ローラの導電性異物検査方法は少なくとも次の工程を有する。導電性基部の表面の少なくとも一部に、絶縁層に覆われた絶縁領域と、絶縁層に覆われず表面が露出した導電領域とを有する当接部位が設けられた電極を用意する工程。回転する導電ローラの表面と電極の当接部位とを当接させる工程。電極に電圧を印加する工程。そして、導電ローラの表面に存在する絶縁層の厚み以上の高さの導電性異物が導電領域に接触したときに導電ローラに流れる電流、及び導電性異物が導電領域に近接した場合に生じる放電による電流を測定することによって、導電性異物の有無を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電ローラ上に存在する導電性異物を非破壊で検出する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザープリンター等の電子写真装置では、画像を形成するための各プロセスにおいて多くのローラが用いられる。具体的には、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、定着などのプロセスにおいてローラが用いられている。これらローラのうち、例えば、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラなどは、導電性や強度を有する金属性の軸体上に、導電性樹脂層が形成された導電ローラである。一般的な導電ローラは、導電性軸体と、該軸体の外周面上に設けられた少なくとも1層の導電性樹脂層とを有し、所望に応じ、その外周面上にさらに表面樹脂層が形成されている。
【0003】
導電性樹脂層の形成や表面樹脂層の形成といったローラの製造工程において、回避困難な様々な欠陥がローラ上に発生する。例えば、導電性樹脂層上に生じた傷、付着異物による微小突起のような基層欠陥、または表層の塗膜形成工程を経る際の搬送中に付着した異物や塗料中の異物に起因する塗工欠陥、搬送中の傷や打痕等の外面欠陥等が発生する。
【0004】
導電ローラの導電性樹脂層に上記のような欠陥が存在すると、画像形成の際に画像不良が生じる。特に金属粉が異物として混入すると、金属でなければ画像上問題ないサイズの凸形状であっても、金属粉による抵抗の違いから該ローラへの電流の流れ込み(リーク)が発生することにより画像不具合が生じる。そのため、画像不良を引き起こすレベルの金属粉が混入した導電ローラを不良として検出する必要がある。
【0005】
特許文献1には、電子写真感光体層に存在する低絶縁耐圧欠陥の検査を行うための検査方法が開示されている。具体的には、導電性ローラに電圧を印加して回転する電子写真感光体ドラムに圧接させ、導電性ローラと電子写真感光体ドラムとの間に流れる電流を測定することによって低絶縁耐圧欠陥を検知する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ローラ状部品の表面欠陥検査方法が開示されている。具体的には、ローラ状部品の外周全体を均一温度に加熱し、そこへ感熱シート材を一定圧力で接触させ、変色状態を観察することによってローラ状部品の外周面の凹凸欠陥を検査する方法が開示されている。
【0007】
特許文献3には、ガラスクロス製造の過程において導電性異物の付着混入の有無を検知する方法が開示されている。具体的には、2本の金属ローラの間隔を制御してその間にガラスクロスを配置し、2本の金属ローラに電圧を印加することによって、金属が付着している際に生じる金属異物を介した放電を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−325169号公報
【特許文献2】特開2001−337045号公報
【特許文献3】特開2003−090827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されている検査方法では、導電性異物が付着した導電ローラに直接感光ドラムを接触させても導電性異物の検出は不可能である。特許文献2に開示されている検査方法では、導電ローラの外周面上に存在する異物が検出されたとしも、その異物が導電性異物であるか否かを判定することは不可能である。特許文献3に開示されている検査方法は、ガラスクロスを検査対象物としており、導電ローラの外周面全体を検査することはできない。さらに、上記いずれの方法でも導電ローラの表面近傍に存在する導電性異物の検出は不可能である。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、導電ローラの表面及び表面近傍に存在する導電性異物を検出する方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の導電ローラの導電性異物検査方法は、導電性の軸体の外周に樹脂層が形成されている導電ローラにおける導電性異物の有無を検出する方法であって、少なくとも次の工程を有する。
【0012】
導電性基部の表面の少なくとも一部に、絶縁層に覆われた絶縁領域と、前記絶縁層に覆われず前記表面が露出した導電領域とを有する当接部位が設けられた電極を用意する工程。回転する導電ローラの表面と前記電極の前記当接部位とを当接させる工程。前記電極に電圧を印加する工程。そして、前記導電ローラの前記表面に存在する前記絶縁層の厚み以上の高さの導電性異物が前記導電領域に接触したときに前記導電ローラに流れる電流及び前記導電ローラ表面の導電性異物と前記導電部が近接した際に生じる近接放電による電流を測定することによって、導電性異物の有無を検出する。近接放電はパッシェンの法則に基づくもので、パッシェンの法則は微小空隙における放電開始電圧を表すものである。電子写真は、大気圧化で使用されるため空隙幅のみが関数となる。例えば、空隙幅が4.8μmより小さい場合は、放電開始電圧VPA=75x106g(空隙幅(m))が成り立つ(「電子写真」日本画像学会編)ので、印加電圧200Vの場合は、空隙幅が2.7μmでも放電開始される。従って絶縁層の厚み以下でもローラ表面に凸部があり、それが数μmレベルで導電部に近接すると放電が生じる。
【0013】
本発明の導電ローラの導電性異物検査装置は、回転する導電ローラの表面に当接させた電極に電圧を印加した際に前記導電ローラに流れる電流を測定することによって導電性異物の有無を検出する導電ローラの検査装置である。前記電極は導電性基部を有し、該導電性基部の表面のうち、少なくとも導電ローラの表面に当接される当接部位には、絶縁層に覆われた絶縁領域と、前記絶縁層に覆われず前記表面が露出した導電領域とが設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、導電ローラの表面及び表面近傍に存在する導電性異物を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す部分拡大平面図である。
【図5】薄板状の導電性基部からなる電極を用いた場合の、導電ローラと電極の当接位置関係の他例を示す模式的断面図である。
【図6】薄板状の導電性基部からなる電極を用いた場合の、導電ローラと電極の当接位置関係の他例を示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の導電ローラの導電性異物検査方法の実施形態の一例について詳細に説明する。本発明に係る検査方法が検査対象とする導電ローラには、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラなどの電子写真用ローラが含まれる。これらの電子写真用ローラは、金属製の軸体上に、導電性が付与されたジエン系ゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴムなどからなる弾性を有する樹脂層を形成することにより得られる。また、上記樹脂層の外周面上には、耐摩耗性向上、帯電特性制御、表面形状制御などのために、必要に応じて表面樹脂層が設けられていてもよい。表面樹脂層の材料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂及びポリアミド樹脂が挙げられる。
【0017】
上記樹脂層及び表面樹脂層には、導電性を得るために、有機金属塩のイオン導電性をもつ化合物を用いることができる。また、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼などの各種導電性金属または合金を用いることもできる。さらには、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫―酸化アンチモン固溶体、酸化錫―酸化インジウム固溶体などの各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被覆された絶縁性物質の微粉末を用いることもできる。
【0018】
上記表面樹脂層には、表面形状制御のために、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂の如き樹脂粒子を混合して用いてもよい。
【0019】
上記軸体の材料としては、良導電性の金属であれば特に制限は無く、形状としては円柱状又は円筒状が挙げられる。軸体の外径は、例えば、2mm以上10mm以下の範囲が挙げられる。その具体的な材質の一例としては、鉄合金、アルミニウム合金、チタン合金、銅合金及びニッケル合金、例えばステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅が挙げられる。さらに、軸体には、金属メッキ、酸化処理等の防錆処理を施してもよい。特に、加工性が良好で安価であることから、鉄合金に無電解ニッケルメッキを施した軸体が好ましい。
【0020】
次に、本発明の導電ローラ用の導電性異物検査装置に用いられる電極の好ましい材質について説明する。電極は、導電性基部とその表面に一定厚みで形成された絶縁層からなる。導電性基部の形状は、円柱状、ブロック状、板状など、導電ローラの外周面が当接できる形状であればよく、導電ローラが一定圧力で当接できる薄板状であることが好ましい。具体的には、弾性率(ヤング率)150GPa〜300GPa程度のSUS631、SUS410、SUS430、SUS304を始めとする鋼材等で、厚みは0.05mm〜1mm程度が好ましい。弾性率が150GPaよりも小さいとその硬さにより接触均一性が十分に得られないことがあり、300GPa以下だと弾性が高く軟らかすぎて接触安定性が十分に得られないことがある。
【0021】
また、電極を形成する絶縁層は、絶縁テープや絶縁樹脂からなる。絶縁テープの具体例としては、エポキシフィルム、ポリイミドフィルム(カプトンテープ)、PTFE(テフロン)フィルム、アセテート粘着テープなどが挙げられる。また、ガラスクロス粘着テープ、ノーメックス粘着テープ、ビニル粘着テープ、ポリエステル粘着テープ、ポリプロピレン粘着テープなども具体例の一つとして挙げられる。一方、絶縁樹脂としての具体例としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられ、エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0022】
次に、電極の導電性基部上に形成された絶縁層の好ましい形態について説明する。本発明の導電ローラの導電性異物検査方法においては、電極の導電性基部がローラ表面の導電性異物の有無を検査する検出部位となる。絶縁層でトナーコート層を擬似的に再現しているが、ローラ表面の導電性異物がこのトナーコート層よりも高い、つまり絶縁層よりも高い(厚い)場合、導電性基部と導電性異物が接触し、通電が生じる。また、導電ローラ表面の導電性異物と導電性基部が近接した際に生じる近接放電により通電が生じることもある。これらの通電の大きさで導電性異物が検出される。従って、電極の絶縁層は、導電性基部上に一定高さ、一定間隔で配置されている必要があり、絶縁層を導電性基部上に配置することでローラと相対する電極の導電性基部の距離(高さ)、幅(間隔)が決まる。この際、絶縁層がトナーコート層を再現しているため、絶縁層の高さが検出感度を決定する。
【0023】
図1、図2は、ブロック形状の導電性基部1からなる電極2を用いた場合の、導電ローラ3と電極2の当接位置関係の一例を示している。なお、図1は模式的断面図、図2は模式的斜視図である。
【0024】
図1、図2に示すように、ブロック形状の導電性基部1の底面に、該底面の長手方向一端から他端まで連続し、かつ、一定の高さを有する2つの絶縁層4が所定間隔で形成されている。この際、隣接する絶縁層4の間隔は0.5mm〜2mmの範囲内が好ましいが、絶縁層4の高さが30〜50μmの場合は、絶縁層4の高さの影響で該絶縁層4の際部分が死角になるので、隣接する絶縁層4の間の間隔は広め(2mm程度)が好ましい。いずれにしても、2つ以上の絶縁層4を所定間隔で形成することによって、隣接する絶縁層4の間に導電性基部1が露出する。換言すれば、導電性基部1の表面の少なくとも一部に、絶縁層4に覆われた絶縁領域と、絶縁層4に覆われず表面が露出した導電領域とを有する当接部位が設けられる。さらに、図1、図2に示す場合には、導電領域は、導電ローラ3の長手方向と平行な方向に延在する導電スリットに形態を有する。
【0025】
図3、図4は、薄板状の導電性基部10からなる電極20を用いた場合の、導電ローラ3と電極20の当接位置関係の一例を示している。なお、図3は模式的断面図、図4は電極20の部分拡大平面図である。
【0026】
図3、図4に示すように、薄板形状の導電性部10の一面に、導電性基部の一端から所定長さだけ連続し、かつ一定高さを有する複数の絶縁層40が一定間隔で形成されている。さらに、各絶縁層40は、導電ローラ3の長手方向と平行に配置されている。すなわち、導電性基部10の表面の少なくとも一部に、絶縁層40に覆われた絶縁領域と、絶縁層40に覆われずに表面が露出した導電領域とを有する当接部位が設けられる。さらに、図3、図4に示す場合には、導電領域は、導電ローラ3の長手方向と平行な方向に延在する複数の導電スリットの形態を有する。
【0027】
図5、図6は、薄板形状の導電性基部100からなる電極200を用いた場合の、導電ローラ3と電極200の当接位置関係の一例を示している。なお、図5は模式的断面図、図6は電極200の部分拡大平面図である。
【0028】
図5、図6に示すように、薄板形状の導電性基部100の一面に、該導電性基部100の一端(先端)から所定長だけ連続し、かつ、一定の高さを有する複数の絶縁層400が一定間隔で形成されている。さらに、各絶縁層400は、導電ローラ3の長手方向と垂直な方向に沿って配置されている。すなわち、導電性基部100の表面の少なくとも一部に、絶縁層400に覆われた絶縁領域と、絶縁層400に覆われず表面が露出した導電領域とを有する当接部位が設けられる。さらに、図5、図6に示す場合には、導電領域は、導電ローラ3の長手方向と垂直な方向に延在する複数の導電スリットの形態を有する。
【0029】
導電ローラ3の外周面全体を検査するためには、導電ローラ3を回転させながら該ローラ3に当接させた電極200を該ローラ3の長手方向と平行な方向に移動させる。このため、導電性基部100の他端側(後端側)を保持機構500によって保持し、該保持機構500を2軸方向に移動させることによって、電極200を導電ローラ3に当接させるとともに、該ローラ3の長手方向に移動可能としてある。具体的には、図5に示すように、保持機構500は上下に昇降可能であり、保持機構500が降下すると、絶縁層400及び導電スリットが形成されている電極200の先端部が導電ローラ3の表面に当接される。一方、保持機構500が上昇すると、電極200が導電ローラ3から離間する。上記のようにして電極200が導電ローラ3の表面に当接されると、薄板状の電極200(導電性基部100)は撓み、その弾性復元力によって該電極200の先端部が導電ローラ3の表面に当接される。換言すれば、保持機構500の降下量を制御することによって、電極200の先端部が導電ローラ3の表面に当接される圧力を制御することができる。
【0030】
本明細書においては、電極が撓んだ際における、保持機構によって保持されている電極(導電性基部)の水平部分を含む平面と、導電ローラと電極の接点との間の鉛直距離を電極の撓み量Z(mm)と定義する。すなわち、図3の場合には、電極20が撓んだ際における、保持機構50によって保持されている電極20(導電性基部10)の水平部分を含む平面と、導電ローラ3と電極20の接点との間の鉛直距離が撓み量Z(mm)である。図5の場合には、電極200が撓んだ際における、保持機構500によって保持されている電極200(導電性基部100)の水平部分を含む平面と、導電ローラ3と電極200の接点との間の鉛直距離が撓み量Z(mm)である。また、保持機構50、保持機構500の電極先端側端面から導電ローラ3の中心までの水平距離を電極接触水平距離L(mm)と定義する。さらに、図4、図6に示すように、電極20、電極200のローラ長手方向への移動距離を平行移動距離S(mm)と定義する。
【0031】
導電ローラ3の外周面全体を見逃し無く検査するために、各絶縁層400の幅及び間隔と電極200の平行移動距離S(mm)を考慮する必要がある。隣接する絶縁層400の間の間隔は前述と同様に0.5mm〜2mmの範囲内が好ましいが、絶縁層400の高さが30μm〜50μmの場合は、絶縁層400の高さの影響で該絶縁層400の際部分が死角になる。そこで、隣接する絶縁層400の間の間隔は広め(2mm程度)が好ましい。
【0032】
また、各絶縁層400の幅は0.3mm〜1mmの範囲内が好ましいが、0.3mmよりも狭いと導電ローラ3と電極200とを当接させた際に十分な絶縁層として機能せず通電してしまう虞がある。一方、1mmよりも広いと、全周検査するため必要十分な電極20の移動距離を確保できなくなる虞がある。そこで、各絶縁層400の幅は、0.5mm程度であることが好ましい。
【0033】
また、全周検査に必要な電極200の平行移動距離Sは、絶縁層400の幅、間隔及び高さによって決まる。各絶縁層400の両脇は死角となるため、絶縁層400の幅分だけ電極200を移動させたのでは検査漏れが生じる。そこで、各絶縁層400の幅方向中心を隣接する絶縁層400間の間隔の中心位置まで移動させると死角の影響を受けずに十分な検査が行える。つまり、電極200の平行移動距離Sは、絶縁層400の幅の1/2と間隔の1/2の和になる。すなわち、絶縁層400の幅が0.5mm、間隔が2mmの場合、電極200の平行移動距離S(mm)は1.25mmとなる。
【0034】
絶縁層400の高さについては、数100μ程度の導電性異物を検出する場合は、50μm〜80μm程度であるが、数10μm程度の導電性異物を検出する場合には、35μm以下にすることが好ましい。
【0035】
導電性基部1、10、100への絶縁層4、40、400の形成方法の一例について説明する。絶縁テープによって絶縁層4、40、400を形成する場合は、検出目的によって高さ及び幅を決めてテープを貼り付ける。また、絶縁樹脂によって絶縁層4、40、400を形成する場合は、絶縁樹脂をスクリーン印刷やエッチング加工によって、所望の高さ及び幅にパターンニングする。
(実施例1)
図1〜図6に示す導電ローラ3に相当する導電ローラを次のようにして製造した。まず、直径6mm、長さ264mmで、片端部を駆動軸とするための面取り加工が施された硫黄複合快削鋼からなる円柱体に、厚さ7μmの無電解ニッケルメッキを施した軸体を用意した。この軸体を内径12mmの円筒状金型内に同心となるように設置し、樹脂層を形成する材料として、液状導電性シリコーンゴム(東レダウコーニングシリコーン社製、ASKER−C硬度50度品)を金型内に注入した。その後、円筒状金型を温度130℃のオーブンに入れて20分間加熱し、室温まで冷却した後に、軸体と一体となった樹脂層を円筒状金型から脱型した。次いで、軸体と一体となった樹脂層を温度200℃のオーブンに入れて、4時間2次加硫を行い、軸体の外周に厚み3mmの樹脂層を形成した。
【0036】
上記のようにして得られた樹脂層の上に、軸体メッキ粕を金属粉と見立てて付着させた。この軸体メッキ粕には、軸体のメッキを剥がしたものを用いた。回収した金属粉をサイズ毎に分類した。具体的には、100μm、300μm、500μmに分類した。3通りのサイズの金属粉を1本の導電ローラあたり1個付着させたが、その際、導電ローラを片端部から3領域(左、中央、右)に区分し、それぞれの領域に金属粉を付着させた。よって、3領域×3サイズで合計9本の金属粉が付着した導電ローラを用意した。
【0037】
次いで、ポリウレタン樹脂(ニッポラン5230(商品名)、日本ポリウレタン工業社製)をメチルエチルケトンに溶解させた。導電剤としてカーボンブラック(MA230(商品名)、三菱化学社製)を、ポリウレタン樹脂の固形分100質量部に対して20質量部の割合で添加して、ボールミルにて5時間処理してカーボンブラックが分散された樹脂塗料を得た。
【0038】
その後、ウレタン粒子(アートパールC−800T(商品名)、根上工業社製)をポリウレタン樹脂の固形分100質量部に対して30質量部の割合で添加して十分に攪拌した後、メチルエチルケトンを加えて粘度が7mPa・sとなるように調整した。粘度は、E型粘度計(RE115L(商品名)、東機産業製)を用い、コーン角度1°34′の標準コーンロータを使用して、液温度25℃に調整し、コーンロータ回転数20rpmで測定した。得られた塗料をディッピングにより、金属粉を付着させた導電ローラの樹脂層表面に塗布し、温度80℃のオーブンで15分間乾燥させ、樹脂層の外周面上に厚さ10μmの表面樹脂層を形成して金属粉が付着した導電ローラ(電子写真用現像ローラ)を得た。
【0039】
次いで、上記のようにして得られた現像ローラを、レーザービームプリンタ(LBP5050:キヤノン製)のシアントナーカートリッジに組み込み、レーザービームプリンタ本体に装着して画出した。その際、出力画像に画像不具合である「点」が出現した回数を計測した。点が毎周出現した場合を×、1画像中に3〜4回点が出現した場合を△、1画像中に1〜2回点が出現した場合を○、1画像中に点が出現しなかった場合を◎として、測定結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1より、100μmの金属粉を付着させた現像ローラでは、印加電圧が100V、200Vのときには1画像中に一度も点が出現しないが、300Vになると1画像中に3〜4回の割合で点が出現することがわかる。また、300μmの金属粉を付着させた現像ローラでは、印加電圧が100Vのときには1画像中に一度も点が出現しないが、200Vのときには1画像中に1〜2回の割合で点が発生し、300Vのときには1画像中に3〜4回の割合で点が発生することがわかる。さらに、500μmの金属粉を付着させた現像ローラでは、印加電圧が100Vのときには1画像中に3〜4回の割合で点が発生し、200V、300Vのときには点が毎周出現することがかわる。
【0042】
ここで、通常プリントに使用する際の現像ローラへの印加電圧は200Vである。よって、測定結果によれば、500μmの金属粉を不良として扱う必要がある。また、印加電圧が300Vのときに画像評価が△になった100μmと300μmの金属粉が付着した現像ローラも印加電圧が300Vとなる場合には不良と判定することが好ましいことがわかる。
【0043】
次に、図1、図2に示す導電性基部1として、SUS製の直方体ブロック(232mm×50mm×50mm)を用意した。さらに、上記直方体ブロックの底面に、幅5mm、高さ(厚み)50μmの2本のカプトンテープ(650S #25 寺岡製作所製)を0.5mm間隔で貼り付け、図1、図2に示す電極2に相当する電極を得た。この電極では、2本のカプトンテープによって図1、図2に示す2つの絶縁層4に相当する絶縁層が形成されおり、2本のカプトンテープの間の隙間部分が上記導電スリットに相当することは自明である。
【0044】
次いで、画出し後の現像ローラ(500μmの金属粉付)を3本用意し、該ローラの長手方向と上記電極の長手方向とが互いに平行になる向きで両者を当接させた。その際、2本のカプトンテープの間の隙間領域(導電スリット)と現像ローラとが相対するように両者の位置関係を調整した。もっとも、この時点では、現像ローラの外周面はカプトンテープ(絶縁層)には接触しているが、カプトンテープの間の隙間領域(導電スリット)には非接触である。
【0045】
その後、現像ローラを回転させながら電極に電圧を印加する。このとき、現像ローラの表面にカプトンテープ(絶縁層)の高さ(厚み)以上の高さを有する導電性異物が存在すると、該異物と導電スリットとが接触し、ローラに電流が流れる。また、ローラ表面の凸部がカプトンテープの高さ以下であっても、それが数μmレベルで導電スリットに近接すると放電が生じ、ローラに電流が流れる。
そこで、現像ローラに流れる電流を測定し、15μA以上の電流値ピークが出現した場合を金属粉リーク不良として判定した。この際、印加電圧は200Vとし、測定は5回行った。測定結果を表2に示す。表2では、5回連続で不良が検出された場合を◎、不良検出回数が4回の場合を○、不良検出回数が1〜3回の場合を△、不良検出回数が0回の場合を×で示してある。現像ローラの左、中央、右の領域による検出感度の違いが見られたが、左右の領域に関してはでは5回連続で不良が検出された。
【0046】
【表2】

【0047】
(実施例2)
図3、図4に示す導電性基部10として、ヤング率197GPaのSUS304からなる第1の薄板部材(232mm×50mm×0.06mm)と第2の薄板部材(232mm×50mm×1mm)を用意した。これら第1の薄板部材及び第2の薄板部材は、請求項2の式(1)を満たす。すなわち、第1の薄板部材及び第2の薄板部材の弾性率をE(GPa)、厚みをT(mm)としたとき、10<E×T<200の関係を満たしている。
第1の薄板部材の一面に、幅5mm、高さ(厚み)50μmの3本以上のカプトンテープ(650S #25 寺岡製作所製)を0.5mm間隔で貼り付けて図3、図4に示す電極20に相当する第1の電極を得た。また、第2の薄板部材の一面に、同様のカプトンテープを同様の間隔で3本以上貼り付けて図3、図4に示す電極20に相当する第2の電極を得た。これら電極では、各カプトンテープによって図3、図4に示す複数の絶縁層40に相当する絶縁層が形成されおり、隣接するカプトンテープの間の隙間部分が上記導電スリットに相当することは自明である。
【0048】
実施例1において説明した9本の現像ローラのうち、500μmの金属粉を付着させた画出し後の現像ローラを3本用意した。次いで、それぞれの現像ローラに上記2つの電極をそれぞれ当接させた。この時点では、現像ローラの外周面はいずれかのカプトンテープ(絶縁層)には接触しているが、カプトンテープの間の隙間領域(導電スリット)には非接触である。
【0049】
その後、現像ローラを回転させながら電極に電圧を印加する。このとき、現像ローラの表面にカプトンテープ(絶縁層)の高さ(厚み)以上の高さを有する導電性異物が存在すると、実施例1で述べた理由と同様の理由により現像ローラに電流が流れる。本実施例においても、印加電圧は200Vとし、15μA以上の電流値ピークが出現した場合を金属粉リーク不良として判定した。
【0050】
本実施例では、電極の撓み量Zを1mm、現像ローラの半径R(mm)を5mmとした。また、電極接触水平距離L(mm)は20mm、40mm、60mmの3パターンとした。いずれのパターンにおいても、請求項2の式(2)を満たしている。すなわち、電極接触水平距離L(mm)は、20≦L≦60の範囲内である。
【0051】
それぞれのパターンで第1の電極又は第2の電極と現像ローラを当接させ、測定を5回行った。測定結果を表3に示す。表3では、5回連続で不良が検出された場合を◎、不良検出回数が4回の場合を○、不良検出回数が1〜3回の場合を△、不良検出回数が0回の場合を×で示してある。
【0052】
【表3】

【0053】
表3より、実施例1に比べ、現像ローラの左、中央、右の各領域間の検出感度差が改善されていることがわかる。これは、電極を薄板状にし、電極と現像ローラの当接位置を指定することで接触圧が規定されたためである。しかし、電極の長手方向における当接の均一性が低いため、接触圧が低い(電極接触水平距離Lが大きい)と、領域に関係なく検出の安定性が低下した。
(実施例3)
図5、図6に示す導電性基部100として、実施例2で用いた薄板部材(232mm×50mm×0.06mm)を用意した。用意した薄板部材の一面に、カプトンテープ(650S #25 寺岡製作所製)を所定間隔で貼り付けて図5、図6に示す電極200に相当する第3〜第5の電極を得た。ここで、第3〜第5の電極は、絶縁層の形態が次のように異なる。第3の電極では、図5、図6に示す各絶縁層400に相当する各絶縁層の幅W1(mm)が0.5mm、隣接する絶縁層間の間隔W2(mm)が1mmである。また、第4の電極では、各絶縁層の幅W1(mm)が1mm、隣接する絶縁層間の間隔W2(mm)が1mmである。また、第5の電極では、各絶縁層の幅W1(mm)が1mm、隣接する絶縁層間の間隔W2(mm)が2mmである。なお、全ての電極において、各絶縁層の厚み(mm)は0.5mmである。
【0054】
次に、実施例1において説明した9本の現像ローラのうち、500μmの金属粉を付着させた画出し後の現像ローラを3本用意した。本実施例では、電極接触水平距離Lを40mm、電極の撓み量Zを1mmに設定し、各現像ローラを60rpmで回転させながらローラに流れる電流を1秒間測定した。
【0055】
次に、回転する現像ローラに電極を当接させたまま、現像ローラの長手方向と平行に電極を移動させつつ、現像ローラに流れる電流を1秒間測定し、平行移動の前後で15μA以上の電流値ピークが出現した場合を金属粉リーク不良として判定した。この際、各電極の平行移動距離Sは、請求項3に示す式(6)を満たすようにした。すなわち、第3の電極を使用した場合の平行移動距離S(mm)は0.75mmとし、第4の電極を使用した場合の平行移動距離Sは1mmとし、第5の電極を使用した場合の平行移動距離Sは1.5mmとした。また、測定時の印加電圧は200Vとした。測定は5回行った。測定結果を表4に示す。表4では、5回連続で不良が検出された場合を◎、不良検出回数が4回の場合を○、不良検出回数が1〜3回の場合を△、不良検出回数が0回の場合を×で示してある。
【0056】
【表4】

【0057】
表4より、実施例2の場合(水平移動距離Lが40mm、撓み量Zが1mm)と比べ、ローラ全面において測定結果が安定したことがわかる。
(実施例4)
実施例3で用いたSUS304(サイズ232mm×50mm×0.06mm)とカプトンテープを使用して図5、図6に示す電極20に相当する第6〜第9の電極を形成した。
【0058】
第6の電極及び第7の電極における絶縁層の幅W1、絶縁層の間隔W2は共に1mmとし、絶縁層の高さHは、第6の電極4が15μm、第7の電極5が20μmとした。また、第8の電極及び第9の電極における絶縁層の幅W1は0.5mm、絶縁層の間隔W2は2mmとし、絶縁層の高さHは、第8の電極が30μm、第9の電極が40μmとした。これら各電極は、請求項4の式(7)を満たしている。すなわち、絶縁層の厚みHと絶縁層の間隔W2は、0.015≦H/W2≦0.02の関係を満たしている。
【0059】
本実施例では、実施例1において説明した9本の現像ローラを用意した。また、本実施例では、水平移動距離Lを40mm、電極の撓み量Zを1mmに設定し、各現像ローラを60rpmで回転させながら該ローラに流れる電流を1秒間測定した。この際、印加電圧は200Vと300Vの2通りとした。
【0060】
回転する現像ローラに電極を当接させたまま、現像ローラの長手方向と平行に電極を移動させつつ、現像ローラに流れる電流を1秒間測定し、平行移動の前後で15μA以上の電流値ピークが出現した場合を金属粉リーク不良として判定した。この際、各電極の平行移動距離Sは、上記W1、W2の値を請求項3の式(6)に当てはめて得られる値とした。測定は5回行った。測定結果を表4に示す。表4では、5回連続で不良が検出された場合を◎、不良検出回数が4回の場合を○、不良検出回数が1〜3回の場合を△、不良検出回数が0回の場合を×で示してある。
【0061】
【表5】

【0062】
絶縁層の高さHを15〜40μmにすることで、実施例3まででリーク検出が不可能であった500μmよりも小さい金属粉の検出が可能になった。また、印加電圧300Vの際には、第6〜第9の全ての電極で100μmの金属粉付着ローラの不良を検出することができた。
(実施例5)
実施例3で用いたSUS304(サイズ232mm×50mm×0.06mm)を用いて第10〜第13の電極を得た。但し、本実施例では、カプトンテープに代えてエポキシ系樹脂を用いたスクリーン印刷によって絶縁層を形成した。各電極に形成されている絶縁層のパターン(幅W1、間隔W2、高さH)は、実施例4の各電極におけるパターンと同様である。具体的には、第10の電極における絶縁層のパターンは、第6の電極における絶縁層のパターンと同様である。第11の電極における絶縁層のパターンは、第7の電極における絶縁層のパターンと同様である。第12の電極における絶縁層のパターンは、第8の電極における絶縁層のパターンと同様である。第13の電極における絶縁層のパターンは、第9の電極における絶縁層のパターンと同様である。
【0063】
本実施例においても、実施例1において説明した9本の現像ローラを用意した。また、本実施例では、水平移動距離Lを40mm、電極の撓み量Zを1mmに設定し、各現像ローラを60rpmで回転させながら該ローラに流れる電流を1秒間測定した。印加電圧は200Vと300Vの2通りとした。
【0064】
回転する現像ローラに電極を当接させたまま、現像ローラの長手方向と平行に電極を移動させつつ、現像ローラに流れる電流を1秒間測定し、平行移動の前後で15μA以上の電流値ピークが出現した場合を金属粉リーク不良として判定した。この際、各電極の平行移動距離Sは、上記W1、W2の値を請求項3の式(6)に当てはめて得られる値とした。測定を5回行ったところ、表4に示す結果と同様の結果が得られた。よって、カプトンテープを貼り付けて形成した絶縁層を有する電極でも、エポキシ樹脂をスクリーン印刷して形成した絶縁層を有する電極でも同様にリーク検出できることがわかった。
(比較例)
実施例2〜5で用いたものと同様のSUS304(サイズ232mm×50mm×0.06mm)を使用した導電性基部を有するが、絶縁層が形成されていない電極を用意した。
【0065】
用意した電極を実施例1において説明した9本の現像ローラにそれぞれ当接させ、該ローラを60rpmで回転させながら電圧200Vを印加し、電極を該ローラの長手方向と平行に移動させつつ該ローラに流れる電流を1秒間測定した。電極の平行移動距離Sは1.4mmに設定した。平行移動の前後で15μA以上の電流値ピークが出現した場合を金属粉リーク不良として判定したが、常に電流が流れる状態となり、ピークの出現から導電性異物の存在を検出することはできなかった。よって、電極と導電ローラ間に一定厚みの絶縁層を介した非接触状態が形成されていないと導電性異物の検出はできないことが確認された。
【符号の説明】
【0066】
1、10、100 導電性基部
2、20、200 電極
3 導電ローラ
4、40、400 絶縁層
50、500 保持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の軸体の外周に樹脂層が形成されている導電ローラにおける導電性異物の有無を検出する方法であって、
導電性基部の表面の少なくとも一部に、絶縁層に覆われた絶縁領域と、前記絶縁層に覆われず前記表面が露出した導電領域とを有する当接部位が設けられた電極を用意する工程と、
回転する導電ローラの表面と前記電極の前記当接部位とを当接させる工程と
前記電極に電圧を印加する工程とを有し、
前記導電ローラの前記表面に存在する前記絶縁層の厚み以上の高さの導電性異物が前記導電領域に接触したときに前記導電ローラに流れる電流、及び導電性異物が前記導電領域に近接した場合に生じる放電による電流を測定することによって、導電性異物の有無を検出することを特徴とする導電ローラの導電性異物検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の導電ローラの導電性異物検査方法であって、
電極の導電性基部の弾性率をE(GPa)、厚みをT(mm)としたとき、下記式(1)を満たし、
前記電極を保持している保持機構の端面から検査対象である導電ローラの中心までの水平距離をL(mm)、前記導電ローラの半径をR(mm)、前記導電ローラに前記電極を当接させた際の該電極の撓み量をZ(mm)としたとき、下記式(2)、(3)を満たすことを特徴とする導電ローラの導電性異物検査方法。
10<E×T<200 (1)
20≦L≦60 (2)
1<Z<R (3)
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の導電ローラの導電性異物検査方法であって、
導電性基部の一面に形成された複数の絶縁層が導電ローラの長手方向に対して垂直な方向に一定間隔で配置されており、各絶縁層の幅をW1(mm)、隣接する絶縁層の間の間隔をW2(mm)、前記導電ローラの長手方向と平行な方向における前記電極の移動距離をS(mm)としたとき、下記式(4)、(5)、(6)を満たすことを特徴とする導電ローラの導電性異物検査方法。
W1≦W2 (4)
1≦W2≦2 (5)
S=(W1+W2)/2 (6)
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電ローラの導電性異物検査方法であって、絶縁層の厚みH(mm)が下記式(7)を満たすことを特徴とする導電ローラの導電性異物検査方法。
0.015≦H/W2≦0.02 (7)
【請求項5】
回転する導電ローラの表面に当接させた電極に電圧を印加した際に生じる電流を測定することによって導電性異物の有無を検出する導電ローラ用の導電性異物検査装置であって、
前記電極は導電性基部を有し、該導電性基部の表面のうち、少なくとも前記導電ローラの表面に当接される当接部位には、絶縁層に覆われた絶縁領域と、前記絶縁層に覆われず前記表面が露出した導電領域とが設けられていることを特徴とする導電ローラ用の導電性異物検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の導電ローラ用の導電性異物検査装置であって、
電極を保持するとともに、保持している前記電極を導電ローラの表面に当接させる保持機構を有し、
前記電極の前記導電性基部の弾性率をE(GPa)、厚みをT(mm)としたとき、下記式(1)を満たし、
前記保持機構の端面から検査対象である導電ローラの中心までの水平距離をL(mm)、前記導電ローラの半径をR(mm)、前記導電ローラに前記電極を当接させた際の該電極の撓み量をZ(mm)としたとき、下記式(2)、(3)を満たすことを特徴とする導電ローラ用の導電性異物検査装置。
10<E×T<200 (1)
20≦L≦60 (2)
1<Z<R (3)
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の導電ローラ用の導電性異物検査装置であって、
電極の当接部位には、複数の絶縁層が導電ローラの長手方向に対して垂直な方向に一定間隔で配置されており、各絶縁層の幅をW1(mm)、隣接する絶縁層の間の間隔をW2(mm)、前記導電ローラの長手方向と平行な方向における前記電極の移動距離をS(mm)としたとき、下記式(4)、(5)、(6)を満たすことを特徴とする導電ローラ用の導電性異物検査装置。
W1≦W2 (4)
1≦W2≦2 (5)
S=(W1+W2)/2 (6)
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の導電ローラ用の導電性異物検査装置であって、絶縁層の厚みH(mm)が下記式(7)を満たすことを特徴とする導電ローラ用の導電性異物検査装置。
0.015≦H/W2≦0.02 (7)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−128058(P2011−128058A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287764(P2009−287764)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】