説明

導電性ゴムローラの製造方法及び電子写真装置用ローラ

【課題】転写ローラや帯電ローラ或いは現像ローラ等の電子写真装置用ローラとして有用な導電性ゴムローラを、チューブ内外径の縦横比、セル分布が均一で、硬度や抵抗のムラが無く、研削性の良い製造方法を提供する。
【解決手段】発泡体ゴム層用ゴム組成物が、主剤ゴム100質量部に対して、少なくともDBP吸油量が30ml/100g以上60ml/100g以下であるカーボンブラック10質量部以上60質量部以下を、化学発泡剤と共に含み、該ゴム組成物のチューブにマイクロ波を照射区間長2m以内で、強度0.5kW以上2.5kW以下照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写装置、プリンター、静電記録装置等の画像形成装置において、使用される導電性ローラの製造方法に関し、更には感光体等の像担持体に電子写真プロセス、静電記録プロセス等の作像手段で形成担持させたトナー像による可転写画像を紙等の記録媒体、転写材に転写させる転写装置の転写ローラ等の電子写真装置用ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンターなど、電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置)の多くに帯電ローラ、転写ローラ、現像ローラ等の導電性ローラが用いられている。
【0003】
従来、これら用途の導電性ゴムローラは種々の方法で芯材の周りに導電性の発泡或いは固体のゴム層を形成することにより製造されている。中では、柔軟性等から発泡体ゴム層としたものが多い。
【0004】
芯材の周りに発泡体ゴム層を形成する方法としても、種々の方法があるが、発泡体ゴム層用ゴム組成物を予め発泡ゴムチューブとし、これを芯材に被せることが行われている。この発泡ゴムチューブを製造するに際して、発泡体ゴム層用ゴム組成物が加硫発泡される。その加硫発泡方法として、高圧蒸気による加硫缶加硫(特許文献1)、筒型等による金型加硫(特許文献2)及びマイクロ波照射によるマイクロ波加硫(特許文献3)が知られている。
【0005】
これらの方法は、例えば、加硫缶加硫は発泡体のセルが不均一で所望のセルを表面に出すために多量の研磨を行わなくてはならず、金型加硫においては段取りに時間がかかり、かつ、金型洗浄を行う必要があるため、量を数多く作るのには不向きであった。
【0006】
また、マイクロ波加硫は段取りが良く、セルも均一となるが、ゴムが軟化した時にチューブが潰れてしまい、チューブ内外径の縦横比が不均一となってしまう。更に、このチューブの不均一に起因して周方向の硬度ムラ、抵抗ムラの原因となっていた。
【0007】
このチューブの不均一性を解消するために、短いUHF装置を複数台連結し、マイクロ波の照射出力に勾配を付ける方法が公知の技術として知られている。しかし、長大な装置となっているために、経過時間が長くなり、マイクロ波がかかり過ぎてしまい、ゴム材料のエピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等が変質し、該ゴム材料の持つ体積固有抵抗値が高くなってしまう。
【0008】
ゴム材料中にカーボンブラックを多量に入れるとマイクロ波の吸収効率や研削性や形状安定性は向上するが、該ゴム材料の持つ体積固有抵抗値が印加する電圧や加工条件などにより変動してしまい、導電性ゴムローラとして扱い難い物となってしまう。その結果、近年では使用用途が減ってきた。
【0009】
上記したように、これら方法で作成された導電性ゴムローラでは、複写機、プリンターに使用される導電性ゴムローラには不向きであったし、また、こうした抵抗値等精細な性能の要求される短径のローラへの技術展開を紹介するものは無かった。
【0010】
こうした背景から、これからの複写機、プリンターに使用されるローラでは発泡体のセルやチューブ内外径の縦横比が均一で、周方向の硬度、抵抗ムラが無く、更には段取り性や生産性の良い製造方法が求められている。
【特許文献1】特開平11−114978号公報
【特許文献2】特開2002−221859号公報
【特許文献3】特開平11−201140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、転写ローラ、帯電ローラ、現像ローラ等の電子写真装置用ローラとして有用な導電性ゴムローラを、また、チューブ内外径の縦横比、セル分布が均一で、硬度ムラ、抵抗ムラの無い、研削性の良い導電性ゴムローラの製造方法及び電子写真装置用ローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、特定のカーボンブラックを特定量用い、特定のマイクロ波加硫条件を取るならば、上記課題は達成されることを見出し、ついに本発明に至った。
【0013】
すなわち、本発明は、導電性芯材上にゴム組成物からなる発泡体ゴム層が成形されている導電性ゴムローラの製造方法において、該ゴム組成物は、主剤ゴム100質量部に対して、少なくともDBP吸油量が30ml/100g以上60ml/100g以下であるカーボンブラック10質量部以上60質量部以下を含有しており、さらに、化学発泡剤を含み、該ゴム組成物にマイクロ波照射区間長が2m以内であって、強度0.5kW以上2.5kW以下のマイクロ波を照射することにより、該発泡体ゴム層を成形することを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法である。
【0014】
また、本発明は、主剤ゴムがエピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする上記導電性ゴムローラの製造方法である。
【0015】
そして、本発明は、化学発泡剤が、p,p’‐オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びアゾジカルボンアミドから選択されることを特徴とする上記導電性ゴムローラの製造方法である。
【0016】
さらに、本発明は、上記いずれかの製造方法により製造された導電性ゴムローラであることを特徴とする電子写真装置用ローラである。
【0017】
さらに、また、本発明は、発泡体ゴム層の上に表面層が形成されていることを特徴とする上記電子写真装置用ローラである。
【0018】
そして、また、本発明は、電子写真装置用ローラが、転写ローラであることを特徴とする上記電子写真装置用ローラである。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、内外径の縦横比及びセル分布が均一である且つ、発泡ゴムチューブが製造される結果、発泡体ゴム層が周方向に硬度や抵抗のムラが無く、体積固有抵抗値が印加電圧や加工条件などによっても変動し難く、また、研削性の良い導電性ゴムローラを提供することが可能となる。
【0020】
本発明により製造された導電性ゴムローラは、電子写真装置用ローラ、特に、転写ローラとして好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、導電性芯材上にゴム組成物からなる発泡体ゴム層が成形されている導電性ゴムローラの製造方法において、該ゴム組成物は、主剤ゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g以上60ml/100g以下であるカーボンブラック10質量部以上60質量部以下を含有しており、さらに、化学発泡剤を含み、該ゴム組成物にマイクロ波照射区間長が2m以内であって、強度0.5kW以上2.5kW以下のマイクロ波を照射することにより、該発泡体ゴム層が成形されることを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法である。また、上記製造方法で製造された導電性ゴムローラである電子写真装置用ローラである。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
(電子写真装置)
図2に、本発明に係る導電性ゴムローラを電子写真装置に利用した一例の説明図を示す。
【0024】
図2に示す電子写真装置は、プロセスカートリッジを使用したレーザプリンタであり、同図はその概略構成を示している。なお、該装置には、転写ローラを有する転写装置が装着されている。
【0025】
同装置は、像担持体として、ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1を備えている。感光ドラム1は、接地された円筒アルミニウム基体の外周面に、有機光導電体(OPC)からなる感光層を設けられたものである。この感光ドラム1は、駆動手段(不図示)により、矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)、例えば50mm/secで回転駆動される。
【0026】
感光ドラム1の表面は、接触帯電部材としての帯電ローラ2によって均一に帯電される。帯電ローラ2は、感光ドラム表面に接触配置されており、感光ドラム1の矢印R1方向の回転に伴って矢印R2方向に従動回転する。帯電ローラ2には、帯電バイアス印加電源(高圧電源)により振動電圧(交流電圧VAC+直流電圧VDC)が印加されている。これにより感光ドラム1の表面は、−600V(暗部電位Vd)に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム1の表面は、レーザスキャナから出力されてミラーによって反射されたレーザ光3、すなわち、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光により走査露光を受ける。これにより、感光ドラム1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像(明電部位Vl=−150V)が形成される。
【0027】
その静電潜像は、現像装置4の現像スリーブに印加された現像バイアスによって、負に帯電されたトナーが付着され、トナー像として反転現像される。
【0028】
一方、給紙部(不図示)から給搬送された紙等の転写材7が、転写ガイドにガイドされて、感光ドラム1と転写ローラ6との間の転写部(転写ニップ部)Tに、感光ドラム1上のトナー像とタイミングを合わせるようにして供給される。転写部Tに供給された転写材7は、転写バイアス印加電源により転写ローラ6に印加された転写バイアスによって、表面に感光ドラム1上のトナー像が転写される。このとき、転写材7に転写されないで感光ドラム1表面に残ったトナー(残留トナー)は、クリーニング装置9によって除去される。
【0029】
転写部Tを通った転写材7は、感光ドラム1から分離されて定着装置10へ導入され、ここでトナー像の定着処理を受け、画像形成物(プリント)として電子写真装置本体(不図示)外部に排出される。
【0030】
なお、ここで、本発明の製造方法で製造された導電性ゴムローラは、必要により、表面層が設けられて、帯電ローラ、現像スリーブ、転写ローラ等として使用される。特に、転写ローラとして有用である。
【0031】
(導電性ゴムローラの製造)
発泡体ゴム層のゴム組成物は、主剤ゴムとして、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及びそれらの混合物から選択され、これにDBP吸油量が30ml/100g以上60ml/100g以下であるカーボンブラックが配され、さらに、化学発泡剤等が配されたものである。なお、必要により、導電材、炭酸カルシウム等の充填材、他の助剤や硫黄、有機過酸化物、トリアジン、ポリアミン等の加硫剤、チウラム系、チアゾール系、グアニジン系、スルフェンアミド系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系、又はその数種の混合物の加硫促進剤が混合されている。
【0032】
なお、DBP吸油量が30ml/100g以上60ml/100g以下であるカーボンブラックは、主剤ゴム100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下が使用される。10質量部未満では電気抵抗が大きくなる。また、60質量部超では電気抵抗が小さくなりすぎ、電流が過多となる。したがって、DBP吸油量が30ml/100g以上60ml/100g以下であるカーボンブラックの配合量は上記範囲とする。カーボンブラックのDBP吸油量が上記範囲にあるとき、導電性が所望の大きさとなるので好ましい。
【0033】
また、本発明で使用する化学発泡剤としては、発泡ゴムを製造する際に使用されるものならばいずれでも使用可能であるが、例えば、p,p’‐オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミドが好ましいものとしてあげることができる。
【0034】
本発明では、上記ゴム組成物を、押出機よりチューブ状に押し出し、マイクロ波加硫炉中で発泡加硫させる。その装置の概要を図3に示す。
【0035】
図3において、11は押出機、12はマイクロ波加硫装置(UHF)、13は熱風加硫装置(HAV)、14は引取機、15は定尺切断機である。
【0036】
上記ゴム組成物を、バンバリーミキサー、ニーダー等の密閉式混練機を用い混練し、ついで、オープンロールとリボン成形分出し機によりリボン状に成形した後、上記押出機11に投入する。該押出機11からチューブ状に押し出されたゴム組成物は、フッ素樹脂コーティングされたメッシュのベルト、又はフッ素樹脂被覆コロにてUHF12に搬送される。その後、UHF12で加硫されたゴム組成物はフッ素樹脂被覆コロでHAV13に搬送され、発泡加硫される。なお、UHF12とHAV13の間は、フッ素樹脂被覆コロで連結されている。
【0037】
なお、UHF12、HAV13及び引取機14の長さは、例えば、順に、4m、6m、1mとすることができる。また、UHF12とHAV13の間、及びHAV13と引取機14の間は、通常0.1m以上1.0m以下となるようにする。このような構成であると、UHFから引取機までの距離を13m程度ときわめて短いものすることが可能となっている。
【0038】
上記マイクロ波を用いた連続加硫による製造装置において、押出機11よりチューブ状に押出されたゴム組成物は、押し出された直後にUHF12内に搬送され、強度0.5kW以上2.5kW以下のマイクロ波が照射区間長2m以内で、マイクロ波照射時間0.6minから3.6minの範囲で照射され、加硫、発泡し、つづいて、HAV13に搬送されて、加硫が完結される。なお、HAV13中での加硫は、好ましくは、熱風中、4minから10minの間、150℃から300℃の間で行われる。
【0039】
なお、マイクロ波は強度0.5kW以上2.5kW以内の出力で稼動される。0.5kWより小さな出力では、このような短い装置構成では、加硫発泡が不十分となり、2.5kWより大きいと、ゴム組成物のチューブが過剰に加熱されすぎ、本発明のような精細な短径のゴムローラの製造のためには、制御が非常に困難となる。
【0040】
加硫、発泡が完結した発泡ゴムチューブは、引取機14より排出された直後に、定尺切断機15により所望の寸法に切断される。
【0041】
この切断された発泡ゴムチューブに、必要により、歪みを除いた後に、ホットメルト接着剤又は加硫接着剤を所望の領域に塗布したφ4mm以上10mm以下の導電性芯材を内径部に圧入し、ローラ状の成形体とする。この成形体を、研磨砥石GC80を取り付けた研磨機(不図示)にセットし、研磨条件として回転速度2000rpm、送り速度500mm/分で、例えば、外径がφ17mmになるように研磨して、導電性ゴムローラが作成される。
【0042】
このようにして製造される導電性ゴムローラは、例えば、図1の斜視図に示すようなものである。図1において、61は導電性芯材であり、その周りに発泡体ゴム層62が形成されている。なお、本発明では、さらに、この発泡体ゴム層62の表面が紫外線、電子線等のエネルギー線で処理されていても良く、また、表面に機能性の表面層が形成されていても構わない。
【0043】
このようにして製造した導電性ゴムローラは、そのままで、また、表面処理後に、電子写真装置用ローラとして使用可能である。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0045】
なお、各実施例及び比較例で使用した資材は以下の通りである。
【0046】
1)主剤ゴム
・NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム[商品名:ニポールDN401、日本ゼオン株式会社製]
・CHR:エピクロルヒドリンゴム[商品名:ハイドリンT3106、日本ゼオン株式会社製]
【0047】
2)化学発泡剤
・ADCA:アゾジカルボンアミド[商品名:ビニホールAC、永和化成工業株式会社製]
・OBSH:p,p’‐オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド[商品名:ネオセルボンN、永和化成工業株式会社製]
【0048】
3)カーボンブラック
・カーボン(DBP吸油量;30ml/100g)[商品名:旭#8、旭カーボン株式会社製]
・カーボン(DBP吸油量;40ml/100g)[商品名:旭#15、旭カーボン株式会社製]
・カーボン(DBP吸油量;60ml/100g)[商品名:旭#35、旭カーボン株式会社製]
・カーボン(DBP吸油量;80ml/100g)[商品名:旭#90、旭カーボン株式会社製]
【0049】
実施例、比較例での各種データの測定法、評価法を下記に示す。
【0050】
(チューブ内外径の縦横比測定方法)
チューブを任意の場所で切断し、その断面を投影機(商品名:ニコン プロファイルプロジェクターV−12B、ニコン株式会社製)にて、内外径各々の最大部(a)と最小部(b)を測定した。得られた測定値からその比(=a/b)を算出し、縦横比とした。なお、このときa/bがより1に近いことが好ましい。
【0051】
(硬度ムラの測定方法)
ゴム硬さ計(商品名:アスカーゴム硬度計C型、高分子計器株式会社製)を用い、荷重4.9Nで、導電性ゴムローラの任意の場所を周方向に90°毎4箇所のアスカーC硬さを測定した。これらの測定値の最大値と最小値の差を硬度ムラとした。なお、硬度ムラは0°が好ましい。
【0052】
(ローラの抵抗ムラの測定方法)
製造後N/N(23℃×55%RH)環境下に48時間置いた導電性ゴムローラの芯材に片側4.9Nの荷重が両方にかかるようにし、外径30mmのアルミニウム製のドラムに圧着し、回転させた。回転させた状態で、芯材とアルミドラムとの間に2kVの電圧を印加して、ローラの抵抗値を測定した。この時の抵抗値の最大値と最小値の比の対数を抵抗ムラとした。なお、抵抗ムラは1.2未満であることが好ましい。
【0053】
(ローラの抵抗の印加電圧依存測定方法)
上記ローラの抵抗ムラの測定と同様にして、芯材とアルミドラムとの間に0.5kV又は2.5kVの電圧を印加して、それぞれの印加電圧のときの抵抗値を測定した。この時の抵抗値の比の対数を計算した。この計算値が±0.3に入ることが好ましく、±0.3内のものを○とし、それ以外のものを×とした。
【0054】
(セル径分布の確認方法)
発泡ゴムチューブを任意の場所で切断し、その断面をビデオマイクロ(商品名:デジタルマイクロスコープVH―8000、株式会社キーエンス製)にて観察し、外径側のセル径と内径側のセル径の大きさの違いを確認した。このとき外径側のセル径と内径側のセル径に差が無いことが好ましく、差がないものを○、差があるものを×、やや差があるものを△とした。
【0055】
以下の実施例、比較例において、特に断らない限り、発泡加硫は下記のようにした。すなわち、図3に示す製造装置を用いた。なお、押出機11を除く全長は約13mであり、UHF12は4mで、HAV13は6mで、引取機14は1mとなっている。そして、各装置間は0.1mから1mの間で調整でき、定尺切断機15は引取機14に当接して設けられている。押出機11とUHF12の間は、UHF12内のフッ素樹脂で被覆されたメッシュ状ベルトが押出機11から押し出されたチューブ状ゴム組成物を受けるようにされている。また、UHF12とHAV13の間は表面がフッ素樹脂でコートされたコロが設けられており、UHF12内で加硫発泡された円筒状のゴム成形体はこのコロの上を搬送されるようになっている。ここで、UHF12はマイクロ波発信機が設置され、照射区間長約2mとされている。また、HAV13内には加熱空気が送り込まれ、200℃になるよう保たれている。
【0056】
実施例1〜5、比較例1〜5
NBR又はCHRを用い、これに表12に示すカーボンブラックを表1に示す量用い、化学発泡剤等と共に、バンバリーミキサーで混練した。その後、オープンロールとリボン成形分出し機によりリボン状に成形してゴム組成物を得、押出機11に投入し、押出機11から加硫発泡後の外径が20mm、内径5mmになるように円筒状に押し出した。次いで、マイクロ波照射量が0.3kWから3.0kWになるようにマイクロ波発信機を調整したUHF12内へ円筒状のゴム組成物成形体を搬入し、加硫発泡させた。次いで、HAV13内で加硫発泡を完結して発泡ゴムチューブとし、引取機14で引き取り、定尺切断機15により長さ230mmで切断した。
【0057】
切断された発泡ゴムチューブに、外径6mm、長さ250mmの表面に化学ニッケルメッキをした鉄製の棒にホットメルト接着剤を塗布した導電性芯材を圧入した。その後、ホットメルト接着剤が溶解する温度に置き、さらに室温まで冷却して、ローラ状成形体を得た。この成形体の発泡体ゴム層の両端を発泡体ゴム層の長さが220mmになるように突き切り、次いで表面を、研磨砥石GC80を取り付けた研磨機にて、ワークの回転速度500rpm、砥石の回転速度2000rpm及び送り速度500mm/分として、研磨して、外径17mmの導電性ゴムローラを得た。なお、発泡体ゴム層の研磨に際し、実施例1〜5では、発泡セルが均一であり、均一研削性が良好であった。
【0058】
実施例1〜5及び比較例1〜5において、製造された発泡ゴムチューブの内径、外径の縦横比、セル径分布、及び得られた導電性ゴムローラの硬度ムラ、抵抗ムラ、電圧依存性について上記により調べた。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る導電性ゴムローラの一例の斜視図である。
【図2】本発明に係る電子写真装置の一例の説明図である。
【図3】本発明に係る加硫成形装置の一例の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 感光ドラム
2 帯電装置
3 露光手段
4 現像装置
5 トナー
6 転写ローラ
7 記録媒体
8 クリーニングブレード
9 廃トナー容器
10 定着装置
11 押出機
12 マイクロ波加硫装置(UHF)
13 熱風加硫装置(HAV)
14 引取機
15 定尺切断機
61 芯材
62 発泡体ゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性芯材上にゴム組成物からなる発泡体ゴム層が成形されている導電性ゴムローラの製造方法において、
該ゴム組成物は、主剤ゴム100質量部に対して、少なくともDBP吸油量が30ml/100g以上60ml/100g以下であるカーボンブラック10質量部以上60質量部以下を含有しており、さらに、化学発泡剤を含み、
該ゴム組成物にマイクロ波照射区間長が2m以内にあって、強度0.5kW以上2.5kW以下のマイクロ波を照射することにより、該発泡体ゴム層を成形することを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項2】
主剤ゴムが、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項3】
化学発泡剤が、p,p’‐オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びアゾジカルボンアミドから選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ゴムローラの製造方法により、形成された導電性ゴムローラであることを特徴とする電子写真装置用ローラ。
【請求項5】
発泡体ゴム層の上に、さらに、表面層が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電子写真装置用ローラ。
【請求項6】
電子写真装置用ローラが、転写ローラであることを特徴とする請求項4又は5に記載の電子写真装置用ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−176030(P2008−176030A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9093(P2007−9093)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】