説明

導電性ボール捕獲装置及び導電性ボール捕獲方法並びに導電性ボール搭載方法

【課題】微小な導電性ボールであってもボール搭載操作を正確に行なうことができる導電性ボール捕獲装置及び導電性ボール捕獲方法並びに導電性ボール搭載方法を提供する。
【解決手段】導電性ボール捕獲装置10は、棒状電極11と、棒状電極11の先端部と接触する接触面12A及び導電性ボール1が捕獲される接触面12Aとは反対側の捕獲面12Bを有する誘電体層12と、接触面12A上に棒状電極11を取り囲むように配置される補助電極14とを備える。導電性ボール捕獲装置10を用いて導電性ボール1を捕獲し、基板上の所望の位置に搭載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ボール捕獲装置及び導電性ボール捕獲方法並びに導電性ボール搭載方法、特に静電気力による導電性ボール捕獲装置及び導電性ボール捕獲方法並びに導電性ボール搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップと実装基板とを電気的に接続するバンプを形成する方法として、例えば、フォトレジスト膜を利用するめっき方式、メタルマスクを利用する印刷方式、所定箇所に導電性ボールを搭載するボールバンプ方式が知られている。
【0003】
ボールバンプ方式には、例えば、導電性ボールを吸引機で吸引して所定箇所にて導電性ボールを落下させて搭載を行う方法があるが、ボールバンプ方式では導電性ボールの搭載ミス(例えば、搭載漏れ、搭載位置ずれ)が生じることがある。
【0004】
導電性ボールの搭載ミスは、ボール搭載後に、導電性ボールの搭載状況を検査することにより発見できる。ボールの搭載ミスがあった場合には、搭載ミスがあった位置に対して個別に導電性ボールを搭載する処置(以下、リペアという)が行われる。リペアには、一般に、導電性ボールを個別に搭載できる吸引管を備えた装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−294835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、吸引管を備えた装置によれば、導電性ボールの微小化に合わせた極細な吸引管の作製が難しいという問題がある。また、吸引管の先端部が欠けることで導電性ボールの吸引位置が不統一となりボール搭載操作の正確性が低下する、吸引管の孔にボールが食い込むことにより落下させたい位置(搭載させたい位置)でボールを落下できないといった問題もある。
【0007】
従って、本発明の目的は、微小な導電性ボールであってもボール搭載操作を正確に行なうことができる導電性ボール捕獲装置及び導電性ボール捕獲方法並びに導電性ボール搭載方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、電極と、前記電極の先端部と接触する接触面及び導電性ボールが捕獲される前記接触面とは反対側の捕獲面を有する誘電体層とを備えることを特徴とする導電性ボール捕獲装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記目的を達成するため、導電性ボールを正又は負に帯電させる工程と、電極に第1の電圧を印加し、前記電極の先端部と接触する接触面及び前記導電性ボールが捕獲される前記接触面とは反対側の捕獲面を有する誘電体層を帯電させることで前記捕獲面側に前記導電性ボールとは逆の電荷を帯電させて、前記導電性ボールを静電気力により前記捕獲面に捕獲する工程とを含むことを特徴とする導電性ボール捕獲方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記本発明の導電性ボール捕獲方法により捕獲した前記導電性ボールを基板上の所望の位置に搭載させる工程を含むことを特徴とする導電性ボール搭載方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、微小な導電性ボールであってもボール搭載操作を正確に行なうことができる導電性ボール捕獲装置及び導電性ボール捕獲方法並びに導電性ボール搭載方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の変形例の概略構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲方法を説明するための図である。
【図4】第1の実施の形態に係る導電性ボール搭載方法を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態に係る導電性ボール搭載方法を説明するための図である。
【図6】第2の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の概略構成を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の変形例の概略構成を示す図である。
【図8】実施例に係る導電性ボール捕獲装置の概略構成を示す図である。
【図9】導電性ボールに働く静電気力と誘電体層の厚さの相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔第1の実施の形態〕
(導電性ボール捕獲装置の構成)
図1は、第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の概略構成を示す。
導電性ボール捕獲装置10は、棒状電極11と、棒状電極11の先端部と接触する接触面12A及び導電性ボール1が捕獲される接触面12Aとは反対側の捕獲面12Bを有する誘電体層12とを備える。また、棒状電極11と誘電体層12とを互いに固定し、連結する連結部13を備えることにより、これらを固定状態で一緒に移動させることができる。棒状電極11は、他の形状であっても構わないが、本実施の形態においては、支持部を備えた電極である棒状電極を用いることが好ましい。棒状部分が円柱状の棒状電極であることが好ましい。
【0014】
棒状電極11は、その先端部が0より大の曲率(凸状の曲面)を有することが好ましく、当該先端部が半球状であることがより好ましい。半球状先端部と円柱状の棒状部分とは、双方の直径が同一であり滑らかに接続されていることが好ましい。半球状先端部の直径は、捕獲するボールの直径の1/5〜5倍であることが好ましく、ボール直径の1/2〜2倍であることがより好ましい。
【0015】
棒状電極11の材料としては、導体であればよく、例えば、銅、スチール、アルミ等を用いることができる。
【0016】
誘電体層12は、その曲率中心が接触面12A側(すなわち、棒状電極11側)である0より大の曲率を有する。誘電体層12の曲率は、棒状電極11の先端部の曲率よりも小さいことが好ましい。棒状電極11の先端部の曲率の1/5〜1/20倍以上であることが好ましく、1/10〜1/20倍であることがさらに好ましい。
【0017】
誘電体層12の材料としては、例えば、プラスチック、ガラス、セラミック、マイカ(雲母)等を用いることができる。
【0018】
誘電体層12の厚さは、例えば、0.01〜2mmであることが好ましく、0.1〜1mmであることがより好ましく、0.2〜0.5mmであることがさらに好ましい。
【0019】
導電性ボール1は、金属製ボール、例えば、半田ボール、鉄ボール、金ボール、銅ボールである。樹脂ボール、セラミックボール等に導電性皮膜を形成したものでも良い。
【0020】
本実施の形態においては、導電性ボール1の直径はあらゆるサイズのものをその用途・条件等に合わせて使用することができるが、微小な導電性ボール、特に、従来の吸引管を備えた装置では困難であった、直径10〜300μmの範囲内、より限定すれば直径30〜300μmの範囲内、さらに限定すれば直径50〜250μmの範囲内の導電性ボールを正確に搭載することができる点で本実施の形態は優れている。
【0021】
導電性ボール捕獲装置10は、導電性ボール1を帯電させる導電性ボール帯電用電極である電極板2をさらに備えていてもよい。
【0022】
電極板2の材料としては、例えば、銅、ステンレス、導電性処理樹脂を用いることができる。
【0023】
(導電性ボール捕獲装置の変形例の構成)
図2は、第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の変形例の概略構成を示す図である。
導電性ボール捕獲装置10は、接触面12A上に棒状電極11を取り囲むように配置される補助電極14をさらに備えることが好ましい。
補助電極14は、例えば、ドーナツ形状、中抜き四角形状等であり、棒状電極11の近傍において、具体的には、棒状電極11の直径の3〜50倍、より好ましくは5〜20倍、棒状電極11から離れて、棒状電極11を取り囲むように接触面12A上に配置される。
【0024】
補助電極14の材料としては、導電体であれば良く、例えば、銅、ステンレス、アルミ等を用いることができる。
【0025】
(導電性ボール捕獲方法)
図3は、第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲方法を説明するための図である。図3(a)は、導電性ボールを捕獲する前の状態を示す図であり、図3(b)は、導電性ボールを捕獲した後の状態を示す図である。
【0026】
第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲方法は、導電性ボール1を正又は負に帯電させる工程と、棒状電極11に第1の電圧Vを印加し、棒状電極11の先端部と接触する接触面12A及び導電性ボール1が捕獲される接触面12Aとは反対側の捕獲面12Bを有する誘電体層12を帯電させることで捕獲面12B側に導電性ボール1とは逆の電荷を帯電させて、導電性ボール1を静電気力により捕獲面12Bに捕獲する工程とを含む。
【0027】
図3では、図1の導電性ボール捕獲装置10を図示して説明しているが、図2の導電性ボール捕獲装置10を用いる場合には、図2に示すように、棒状電極11に第1の電圧Vを印加するとともに、棒状電極11を取り囲むように接触面12A上に配置された補助電極14に第1の電圧Vと同一方向(図2では各電極ともに正の電圧が印加される方向)の第2の電圧Vを印加する。棒状電極11に印加する第1の電圧Vは、補助電極14に印加する第2の電圧Vよりも高い。第2の電圧Vは、第1の電圧Vの0.1〜0.95倍であることが好ましく、0.3〜0.9倍であることがより好ましく、0.5〜0.8倍であることがさらに好ましい。
【0028】
導電性ボール1を正又は負に帯電させる工程は、その方法は特に限定されるものではないが、第1の電圧Vを印加する工程と同一工程であることが好ましく、棒状電極11と導電性ボール帯電用電極である電極板2との間に第1の電圧Vを印加することにより行なわれることが好ましい。例えば、電極板2に負の電圧を印加すれば、電極板2上の導電性ボール1は負の電荷を帯電する。図2の導電性ボール捕獲装置10を用いる場合には、図2に示すように、棒状電極11に第1の電圧Vを印加するとともに、補助電極14と電極板2との間に第2の電圧Vを印加することにより行なわれることが好ましい。
【0029】
次に具体的な動作例を説明する。
図3(a)に示すように、導電性ボール捕獲装置10を導電性ボール1のほぼ直上の位置まで移動させる。棒状電極11が導電性ボール1のほぼ直上の位置となるように移動させることがより好ましい。導電性ボール捕獲装置10の移動は、CPU等により制御することができる。導電性ボール捕獲装置10の誘電体層12の捕獲面12Bと導電性ボール1との間隔は、導電性ボール1の直径の1〜2倍程度であることが好ましい。
【0030】
次に、棒状電極11と電極板2との間に第1の電圧Vを印加する。第1の電圧Vは、例えば、導電性ボール1の直径が100μmの場合、+200〜+600Vとし、導電性ボール1の直径が50μmの場合、+100〜+300Vとする。図2の導電性ボール捕獲装置10を用いる場合には、第1の電圧Vを印加するとともに、補助電極14と電極板2との間に第2の電圧Vを印加する。第2の電圧Vは、例えば、導電性ボール1の直径が100μmの場合、+150〜+550Vとし、導電性ボール1の直径が50μmの場合、+90〜+280Vとする。
【0031】
これにより、図3(b)に示すように、正又は負(図では負)に帯電した導電性ボール1が正又は負(図では正)に帯電した捕獲面12Bに静電気力により捕獲される。導電性ボール1は、棒状電極11の直下の位置に捕獲される。
【0032】
捕獲後は、電圧を切っても、導電性ボール1の捕獲状態は維持される。
【0033】
(導電性ボール搭載方法)
図4及び図5は、第1の実施の形態に係る導電性ボール搭載方法を説明するための図である。
第1の実施の形態に係る導電性ボール搭載方法は、上記第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲方法により捕獲した導電性ボール1を基板3上の所望の位置に搭載させる工程を含む。所望の位置とは、例えば、導電性ボール1の搭載ミスがあった位置である。
【0034】
また、第1の実施の形態に係る導電性ボール搭載方法は、導電性ボール1を基板3上の所望の位置に搭載させる工程の後、誘電体層12を除電する工程及び/又は棒状電極11に第1の電圧Vとは逆方向の電圧を印加する工程を含むことができる。
【0035】
以下に導電性ボール搭載方法の具体的な動作例を説明する。
図4(a)は、導電性ボール1を捕獲した導電性ボール捕獲装置10を導電性ボール1を搭載したい所望の位置に移動した状態を示す図である。所望の位置への導電性ボール捕獲装置10の移動は、CPU等により制御することができる。
【0036】
図4(b)は、所望の位置に導電性ボール1を搭載させる状態を示す図である。
基板3上における導電性ボール1の搭載ミスがあった位置の直上に移動してきた導電性ボール捕獲装置10を基板3の方向へ移動させ、予めフラックスが塗布された当該位置に導電性ボール1を押し付ける。
【0037】
図4(c)は、所望の位置への導電性ボール1の搭載が完了した状態を示す図である。
導電性ボール1を押し付けてから適当な時間(例えば、数百ミリ秒)経過後、導電性ボール捕獲装置10を元の位置に戻す。これにより、導電性ボール1はフラックスの粘着力(タック力)により導電性ボール捕獲装置10から離れ、基板3上へ転載される。このとき、フラックスの粘着力(タック力)は捕獲面12Bへの付着力よりも十分に大きいので、導電性ボール1は基板3上へ転載される。
【0038】
図5は、誘電体層12を除電器により除電する工程を示す図である。
導電性ボール1を所望の位置に搭載した後、導電性ボール捕獲装置10を除電器(例えば、ACを用いたコロナ放電式)の位置まで移動させ、誘電体層12の残留電荷を消去するために、除電を行なう。或いは、導電性ボール捕獲装置10の棒状電極11に第1の電圧Vとは逆方向の電圧を印加することにより除電を行なってもよい。もちろん、これら両方の除電処理を行なっても良い。これにより、導電性ボール1が離れた導電性ボール捕獲装置10を再度、使用することができる。
【0039】
〔第2の実施の形態〕
(導電性ボール捕獲装置の構成)
図6は、第2の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の概略構成を示す図である。
図6に示した第2の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置20は、図1に示される第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置10と構成が共通しているが、平板の誘電体層22を用いている点で0より大の曲率を有する誘電体層12を用いている第1の実施の形態と相違する。誘電体層22の形状以外の材料・厚さ等は、誘電体層12と同じである。
【0040】
(導電性ボール捕獲装置の変形例の構成)
図7は、第2の実施の形態に係る導電性ボール捕獲装置の変形例の概略構成を示す図である。
図7に示した第2の実施の形態の変形例に係る導電性ボール捕獲装置20は、図2に示される第1の実施の形態の変形例に係る導電性ボール捕獲装置10と構成が共通しているが、平板の誘電体層22を用いている点で0より大の曲率を有する誘電体層12を用いている第1の実施の形態の変形例と相違する。誘電体層22の形状以外の材料・厚さ等は、誘電体層12と同じである。
【0041】
第2の実施の形態に係る導電性ボール捕獲方法や導電性ボール搭載方法は、第1の実施の形態に係る導電性ボール捕獲方法や導電性ボール搭載方法と同じであるので説明を省略する。
【0042】
〔本発明の実施の形態の効果〕
(1)微小な導電性ボールであってもボール搭載操作を正確に行なうことができる導電性ボール捕獲装置及び導電性ボール捕獲方法並びに導電性ボール搭載方法を提供できる。
(2)補助電極14を備えている各変形例によれば、補助電極14を備えていない実施の形態よりも導電性ボールに働く静電気力が増大し、導電性ボールの飛翔力が高まり、導電性ボールを誘電体層に捕獲し易い。
(3)第1の実施の形態によれば、誘電体層が0より大の曲率を有しているため、搭載ミスの位置に導電性ボールを搭載する際に、基板上の周囲の搭載済みの導電性ボールに導電性ボール捕獲装置が接触しにくいので、第2の実施の形態よりも小型化、高密度実装化した半導体装置の製造におけるリペアに適している。
【実施例】
【0043】
(導電性ボールの捕獲実験1)
図8は、実施例に係る導電性ボール捕獲装置の概略構成を示す図である。
以下の導電性ボール捕獲装置を用いて、導電性ボールの捕獲実験を行なった。
導電性ボール1として、直径d=1mmのスチールボールを用い、電極板2として、ステンレスを用いた。また、棒状電極11として、半球状(直径R=0.7mm、曲率:2.9/mm)の先端部と同直径の円柱状の棒状部分とを有する長さ5cmのステンレスからなる棒状電極を用い、誘電体層12として、厚さ0.3mmの透明樹脂板を用いた。棒状電極11と導電性ボール1との間隔Lは、1.0mmとした。それぞれを支持・固定する器具の図示は省略した。
【0044】
棒状電極11と電極板2との間で3000Vの電圧を印加したところ、導電性ボール1が飛翔し、棒状電極11の直下の位置で誘電体層12に捕獲された。
【0045】
(導電性ボールの捕獲実験2)
図9は、導電性ボールに働く静電気力と誘電体層の厚さの相関図である。
以下の導電性ボール捕獲装置を用いて、導電性ボールの捕獲実験を行なった。
導電性ボール1として、直径d=1mmのスチールボールを用い、電極板2として、ステンレスを用いた。また、棒状電極11として、半球状(直径R=0.1,0.2,0.5、1.0,2.0,5.0mm)の先端部と同直径の円柱状の棒状部分とを有する長さ5cmのステンレスからなる棒状電極を用いた。誘電体層12は使用しない場合と使用する場合の実験を行ない、使用する場合の誘電体層12として、比誘電率が2であり、厚さが0.1,0.2,0.3mmの透明樹脂板を用いた。棒状電極11と導電性ボール1との間隔Lは、1.0mmとした。棒状電極11と電極板2との間隔は0.5mmとした。
【0046】
棒状電極11と電極板2との間で3000Vの電圧を印加したときの導電性ボール1に働く静電気力F(N)を測定した。測定結果を図9に示した。
【0047】
図9から明らかなように、電極間の距離が一定の場合、誘電体層12の厚さが厚くなるほど導電性ボール1に働く静電気力F(N)が大きくなることが分かる。また、棒状電極11の先端部の棒状電極11の半球状先端部の直径Rが大きくなるほど導電性ボール1に働く静電気力F(N)が大きくなることが分かる。
なお、誘電体層12を使用した場合はいずれの場合も、導電性ボール1は棒状電極11の直下の位置で誘電体層12に捕獲されたが、誘電体層12を使用しない場合はいずれの場合も導電性ボール1は棒状電極11の先端部直下の位置では捕獲することができなかった。
【0048】
(導電性ボールの捕獲実験3)
導電性ボール1として直径d=100μmの半田ボールを用い、棒状電極11と導電性ボール1との間隔Lを0.1mmとし、上記導電性ボールの捕獲実験1と同様にして捕獲実験を行なった。棒状電極11と電極板2との間で300Vの電圧を印加したところ、導電性ボール1が飛翔し、棒状電極11の直下の位置で誘電体層12に捕獲された。
【符号の説明】
【0049】
1:導電性ボール、2:電極板、3:基板
10,20:導電性ボール捕獲装置
11:棒状電極、12,22:誘電体層、13:連結部、14:補助電極
12A,22A:接触面、12B,22B:捕獲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、前記電極の先端部と接触する接触面及び導電性ボールが捕獲される前記接触面とは反対側の捕獲面を有する誘電体層とを備えることを特徴とする導電性ボール捕獲装置。
【請求項2】
前記電極は、棒状電極であり、その前記先端部は、0より大の曲率を有することを特徴とする請求項1に記載の導電性ボール捕獲装置。
【請求項3】
前記接触面上に前記電極を取り囲むように配置される補助電極を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性ボール捕獲装置。
【請求項4】
前記誘電体層は、その曲率中心が前記接触面側(前記棒状電極側)である0より大の曲率を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電性ボール捕獲装置。
【請求項5】
前記誘電体層の曲率は、前記電極の先端部の曲率よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の導電性ボール捕獲装置。
【請求項6】
前記導電性ボールを帯電させる導電性ボール帯電用電極を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の導電性ボール捕獲装置。
【請求項7】
導電性ボールを正又は負に帯電させる工程と、
電極に第1の電圧を印加し、前記電極の先端部と接触する接触面及び前記導電性ボールが捕獲される前記接触面とは反対側の捕獲面を有する誘電体層を帯電させることで前記捕獲面側に前記導電性ボールとは逆の電荷を帯電させて、前記導電性ボールを静電気力により前記捕獲面に捕獲する工程とを含むことを特徴とする導電性ボール捕獲方法。
【請求項8】
前記電極に第1の電圧を印加するとともに、前記電極を取り囲むように前記接触面上に配置された補助電極に前記第1の電圧と同一方向の第2の電圧を印加することを特徴とする請求項7に記載の導電性ボール捕獲方法。
【請求項9】
前記電極に印加する第1の電圧は、前記補助電極に印加する第2の電圧よりも高いことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の導電性ボール捕獲方法。
【請求項10】
前記導電性ボールを正又は負に帯電させる工程は、前記第1の電圧を印加する工程と同一工程であり、前記電極と導電性ボール帯電用電極との間に前記第1の電圧を印加することにより行なわれることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の導電性ボール捕獲方法。
【請求項11】
請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の導電性ボール捕獲方法により捕獲した前記導電性ボールを基板上の所望の位置に搭載させる工程を含むことを特徴とする導電性ボール搭載方法。
【請求項12】
前記導電性ボールを基板上の所望の位置に搭載させる工程の後、前記誘電体層を除電する工程及び/又は前記電極に前記第1の電圧とは逆方向の電圧を印加する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の導電性ボール搭載方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−60067(P2012−60067A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204485(P2010−204485)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(590006343)株式会社和井田製作所 (20)
【Fターム(参考)】