説明

導電性ローラ、導電性ローラの製造方法及び画像形成装置

【課題】高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラの製造方法、高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラ、及び、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】軸体2を移送可能な移送路62が形成されたスクリュー60と、スクリュー60と同軸になるようにスクリュー60の下流に配置されたヘッド70と、ヘッド70の内部に配置されて、ヘッド70に収容された導電性組成物5が流動する押出流路72及び軸体2の案内孔82が形成されたマンドレル80とを備えた押出機50を用いて、軸体2の移送方向と同方向に導電性組成物5を軸体2の外周面に成形して硬化する導電性ローラの製造方法、ローラの周方向における電気抵抗値の最小値に対する最大値の割合が10以下である導電性ローラ、及び、この導電性ローラを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ローラ、導電性ローラの製造方法及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラ及びその製造方法、並びに、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタ、複写機、ビデオプリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等には、電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。電子写真方式を利用した画像形成装置は、軸体の外周面に形成された導電性を有する弾性層(以下、導電性弾性層と称することがある。)を備えた、例えば、クリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ及び搬送ローラ等の導電性ローラを備えている。これらの導電性ローラは、その導電性により、現像剤を担持し、又は記録体例えば記録紙等を搬送等して、高品質の画像を形成することに貢献する。
【0003】
このような導電性ローラは、一般に、軸体の外周面に導電性組成物を配置し、次いで、この導電性組成物を硬化して形成される。軸体の外周面に導電性組成物を配置する方法としては、従来、クロスヘッド押出機を用いる方法が採用されている(例えば、特許文献1、及び、特許文献2の段落番号0004〜0009参照。)。
【0004】
しかし、このようなクロスヘッド押出機によると、軸体の外周面に押出された導電性組成物に、軸線方向に延びる導電性組成物の合わせ目(ウェルドラインとも称する。)が残存することがある。そうすると、導電性組成物を硬化してなる導電性弾性層にもウェルドラインに起因する導電性組成物のむらが生じ、特に、導電性弾性層の周方向における電気抵抗値の均一性に大きく影響を与える。導電性弾性層における電気抵抗値の均一性が大きく低下すると、例えば、現像剤を所望のように担持することができず、及び/又は、記録体例えば記録紙等を所望のように搬送等することができず、その結果、高品質の画像を形成することができなくなる。
【0005】
そこで、押出機によるウェルドラインの残存を防止する技術として、例えば、「単層または多層のゴムロールもしくはゴムチューブの押出成形方法において、ゴムコンパウンドを円筒状に継ぎ合せる工程と、前記円筒状ゴムコンパウンドを、羽根の翼面がゴムコンパウンドの進行方向に対して傾斜している羽根車に通過させ、これにより生じた反力で前記羽根車を回転させることによって前記円筒状ゴムコンパウンドを攪拌する工程と、前記円筒状ゴムコンパウンドに加圧成形を施す工程とを具備することを特徴とする押出成形方法」が提案されている(特許文献2の請求項1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−329639号公報
【特許文献2】特開2003−311811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラの製造方法を提供すること、高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラを提供すること、及び、この導電性ローラを利用して高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための第1の手段として、
請求項1は、軸体を移送することのできる移送路が内部に形成されたスクリューと、軸線が前記スクリューの軸線と同軸になるように前記スクリューの下流に配置され、前記スクリューにより押出されてきた導電性組成物を収納するヘッドと、前記ヘッドの内部に配置されて、前記ヘッドに収納された前記導電性組成物が流動する押出流路を形成すると共に、前記移送路から移送されてくる前記軸体を前記ヘッド内部に案内する案内孔が内部に形成されたマンドレルとを備えた押出機を用いて、前記軸体の移送方向と同方向に、前記スクリューにより導電性組成物を前記押出流路に押出して、前記ヘッド内で前記案内孔から送り出される前記軸体の外周面に前記導電性組成物を成形し、前記軸体の外周面に成形された前記導電性組成物を硬化することを特徴とする導電性ローラの製造方法であり、
請求項2は、前記スクリューは、少なくともその先端部がパイナップル型混合部である請求項1に記載の導電性ローラの製造方法であり、
請求項3は、前記マンドレルは、その外周面がパイナップル型凹凸形状に形成されてなる請求項1又は2に記載の導電性ローラの製造方法であり、
前記課題を解決するための第2の手段として、
請求項4は、スクリューと、軸線が前記スクリューの軸線に対して垂直方向になるように前記スクリューの下流に配置され、前記スクリューにより押出されてきた導電性組成物を収納するヘッドと、前記ヘッドの内部に配置されて、前記ヘッドに収納された前記導電性組成物が流動する押出流路を形成すると共に、軸体を前記ヘッド内部に案内する案内孔が内部に形成され、かつ、パイナップル型凹凸形状が外周面に形成されたマンドレルとを備えた押出機を用いて、前記スクリューの軸線に対して垂直方向に、前記スクリューにより導電性組成物を前記押出流路に押出して、前記ヘッド内で前記案内孔から送り出される前記軸体の外周面に前記導電性組成物を成形し、前記軸体の外周面に成形された前記導電性組成物を硬化することを特徴とする導電性ローラの製造方法であり、
前記課題を解決するための第3の手段として、
請求項5は、軸体と、前記軸体の外周面に形成された導電性弾性層とを備え、周方向における電気抵抗値の最小値に対する最大値の割合が10以下である導電性ローラであり、
請求項6は、前記導電性弾性層の外周面に形成されたコート層を備えた請求項5に記載の導電性ローラであり、
前記課題を解決するための第4の手段として、
請求項7は、請求項5又は6に記載の導電性ローラを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る前記第1の手段である導電性ローラの製造方法は、軸体の移送方向と同方向に導電性組成物を押出す、所謂、ストレートヘッド型の押出機を用いて、軸体の外周面に導電性組成物を成形するから、押出される導電性組成物はウェルドライン自体が存在せず均一になり、その結果、この導電性組成物を硬化してなる導電性弾性層は均一な電気抵抗値を有する。したがって、この発明によれば、高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラの製造方法を提供することができる。
【0010】
また、この発明に係る前記第2の手段である導電性ローラの製造方法は、パイナップル型凹凸形状に形成されてなる外周面を有するマンドレルを備えた、スクリューの軸線に対して垂直方向に導電性組成物を押出す、所謂、クロスヘッド型の押出機を用いて、前記マンドレルの外周面を経由した導電性組成物を軸体の外周面に成形するから、押出される導電性組成物はウェルドラインが残存することなく均一になり、その結果、この導電性組成物を硬化してなる導電性弾性層は均一な電気抵抗値を有する。したがって、この発明によれば、高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラの製造方法を提供することができる。
【0011】
さらに、この発明に係る前記第3の手段である導電性ローラは均一な電気抵抗値を有している。したがって、この発明によれば、高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラを提供することができる。
【0012】
さらにまた、この発明に係る前記第4の手段である画像形成装置は、この発明に係る導電性ローラを備えている。したがって、この発明によれば、高品質の画像を形成することのできる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明に係る前記第1の手段である導電性ローラの製造方法に好適に使用される押出機の一実施例を、まず、図面を参照して、説明する。この押出機50は、図1に示されるように、導電性ローラ1の軸体2(図1において図示しない。)を移送することのできる移送路62が内部に形成されたスクリュー60と、軸線がスクリュー60の軸線と同軸になるようにスクリュー60の下流に配置され、スクリュー60により押出されてきた導電性組成物を収納するヘッド70と、ヘッド70の内部に配置されて、ヘッド70に収納された導電性組成物が流動する押出流路72を形成すると共に、移送路62から移送されてくる軸体2をヘッド70内部に案内する案内孔82が内部に形成されたマンドレル80とを備えてなる単軸押出機である。この押出機50は、図2に示されるように、押出機50のシリンダー52に貫通形成されたホッパー装着口53(図2において図示しない。)に、導電性組成物を収容するホッパー90が装着され、スクリュー60を回転駆動する駆動手段91が押出機50の上流側後端部に装着され、さらに、軸体2をスクリュー60の移送路62(図2において図示しない。)に搬送する複数の搬送手段92とを備えた押出成形装置を構成している。
【0014】
押出機50のシリンダー52は、図1に示されるように、スクリュー60を収容する中空円筒体に形成され、その外周面にはホッパー装着口53が貫通形成されている。このシリンダー52は、その壁面内部に加熱手段(図示しない。)及び/又は冷却手段(図示しない。)が内蔵されている。加熱手段は、ホッパー90から供給された導電性組成物を加熱し、例えば、水又は油等の熱媒体を使用する加熱器又は電熱器等が挙げられる。冷却手段としては、混合され、押出される導電性組成物を冷却し、例えば、水又は油等の熱媒体を使用する冷却器等が挙げられる。加熱手段及び冷却手段は、シリンダー52の外部に配置されてもよく、シリンダー52の外部に配置される加熱手段としては、例えば、バンドヒーター又はシーズ線アルミ鋳込みヒーター等の加熱手段が挙げられる。シリンダー52の外部に配置される冷却手段としては、例えば、ブロワー等の冷却手段が挙げられる。シリンダー52は、所定の強度を有する耐腐食性材料で形成されればよく、例えば、内面を窒化処理した窒化鋼、ステンレス鋼等の材料で形成される。
【0015】
シリンダー52の一端は後述するマンドレル80及び/又はヘッド70が装着され、他端は、図2に示されるように、駆動手段91が装着される。この駆動手段91は、少なくとも、駆動装置(図2に図示しない。)、例えば、モータ等と、この駆動装置で発生する駆動力をスクリュー60に伝達する伝達手段(図2に図示しない。)、例えば、ギア、ベルト又はこれらを有する減速機等とを備え、スクリュー60を所望の回転速度で回転させる。
【0016】
押出機50のスクリュー60は、図1及び図3に示されるように、前記シリンダー52の中空内部に回転自在に収納され、ホッパー90から供給される導電性組成物を混合しつつ、押出流路72に押出す単軸スクリューである。スクリュー60は、図1に示されるように、導電性ローラ1の軸体2を移送することのできる移送路62がその内部に形成され、少なくともその先端部が凹凸形状を有する混合部63となっていればよい。
【0017】
スクリュー60の移送路62は、図1に示されるように、スクリュー60と同軸を有して、スクリュー60の一端から他端にわたって軸線方向に貫通し、軸体2の外径と同一又はわずかに大きな径を有している。
【0018】
スクリュー60の混合部63は、その外周面が凹凸形状に形成され、例えば、図3に示されるように、所謂、マドック混合部((a)参照。)、イーガン混合部((b)参照。)、ブリスターリング混合部((c)参照。)、ピン混合部((d)参照。)、ダルメージ混合部((e)参照。)、サクソン混合部((f)参照。)、パイナップル型混合部((g)参照。)、溝穴付きスクリューねじ山混合部((h)参照。)、キャビティ移動型混合部((i)参照。)等に形成される(例えば、特許第3410561号明細書等参照。)。また、混合部63の凹凸形状として、これらの他に、例えば、フルートミキシング型混合部及びローター型混合部等が挙げられる。少なくともスクリュー60の先端部がこのような凹凸形状を有する混合部63となっていると、導電性組成物は、ホッパー90から供給された導電性組成物が混合部63でより一層均一に混合されて、ヘッド70とマンドレル80とで形成される押出流路72に押出され、高度な均一状態を維持しつつ、マンドレル80の案内孔82から送り出される軸体2の外周面に成形される。導電性組成物をさらに均一に混合することができる点で、前記混合部63はパイナップル型混合部であるのが好ましい。押出機50においては、混合部63はパイナップル型混合部とされている。
【0019】
スクリュー60は、導電性組成物の押出量、導電性組成物の粘度又は温度、消費電力、押出安定性等の特性又は性能等に基づいて、その大きさ及び物性等が適宜調整されればよい。例えば、スクリューの回転数は導電性組成物5の粘度等に応じて適宜決定される。また、例えば、後述する導電性組成物を用いる場合には、特に、スクリュー60の有効長(L/D)は10〜12程度に調整されるのが好ましく、スクリュー60の圧縮比(C/R)は2〜3程度に調整されるのが好ましい。なお、スクリュー60のスクリュー径は、図1に示されるように、シリンダー52における中空空間の内径と同一又はわずかに小さく調整されるのがよい。スクリュー60は、耐腐食性材料で形成されればよく、耐腐食性材料としては、例えば、ステンレス鋼又はクロームメッキ硬鋼等が挙げられる。
【0020】
押出機50のマンドレル80は、図1に示されるように、その軸線方向に徐々に縮径する円錐台形状をなし、スクリュー60の移送路62から移送されてくる軸体2をヘッド70の内部に案内する案内孔82が内部に形成され、かつ、その基端部にその周方向にわたって外側に突出する突出部83、すなわち、フランジが形成されている。
【0021】
案内孔82は、図1及び図4に示されるように、マンドレル80の一端から他端にわたって軸線方向に貫通し、軸体2の外径と同一又はわずかに大きな孔径を有している。マンドレル80は、案内孔82の軸線と移送路62の軸線とが同軸になるように、かつ、後述するヘッド70の内部、すなわち、ヘッド70の貫通孔内に配置されるように、シリンダー52に装着されている。
【0022】
突出部83は、マンドレル80の底面とスクリュー60の混合部63の先端とが当接するようにマンドレル80をシリンダー52の一端に装着可能にすると共に、その内部には、図示しないフィルタ、スクリーン又はブレーカープレート等が内蔵されている。このフィルタ又はスクリーンにより、スクリュー60で混合された導電性組成物内の異物又はゲル状物等を除去することができる。フィルタ又はスクリーンは、種々のメッシュを有する金網を1以上重ねてなる積層体とされる。ブレーカープレートは、導電性組成物5の押出圧力を調整する等の機能を有し、通常、直径3〜4mm程度の複数の小孔を同心円状に穿設した円板とされる。したがって、シリンダー52の中空空間と押出流路72とは突出部83に内蔵されたフィルタ、スクリーン又はブレーカープレート等を介して連通している。
【0023】
マンドレル80は、ヘッド70の内部に配置されることにより、マンドレル80の外周面とヘッド70の内周面とで、スクリュー60によってヘッド70に収納された導電性組成物が流動する押出流路72を形成する。この押出流路72は、スクリュー60で環状に押出され、環状の突出部83を介して、ヘッド70に収納された導電性組成物を、その押出された状態を維持したまま、すなわち、環状に軸体2の外周面に押出すことができる。押出機50において、マンドレル80の外周面は、図1及び図4に示されるように、平滑に調整されている。
【0024】
押出機50のヘッド70は、図1に示されるように、その軸線がスクリュー60の軸線と同軸になるように、スクリュー60の下流に配置され、マンドレル80の突出部83を介してシリンダー52に装着されている。そして、ヘッド70は、その内部に、スクリュー60により押出されてきた導電性組成物を収納する。このヘッド70は略円筒状をなし、その内部にはマンドレル80を収納すると共に、押出流路72を形成する貫通孔を有している。この貫通孔は、図1に示されるように、マンドレルを収納する部分が軸線方向に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成され、所定の位置から均一な径に調整されている。ヘッド70に収納され、押出流路72を流動してくる、換言すると、押出流路72を介して押出されてきた導電性組成物が、均一な径に調整された前記貫通孔により、マンドレル80の案内孔82から送り出される軸体2の外周面に、成形される。この貫通孔の径は、製造されるローラの導電性弾性層3の外径に応じて適宜調整される。なお、ヘッド70は、その貫通孔がスクリュー60の移送路62及びマンドレル80の案内孔82と同軸になるように、シリンダー52に装着されることはいうまでもない。
【0025】
ヘッド70及びマンドレル80は、定法により加熱又は冷却されてもよく、それらの温度は、通常、10〜30℃程度に調整される。ヘッド70及びマンドレル80は、耐腐食性材料で形成されればよく、耐腐食性材料としては、例えば、ステンレス鋼、窒化鋼又はクロームメッキ硬鋼等が挙げられる。
【0026】
押出機50に装着されるホッパー90は、導電性組成物を収容し、押出機50に所定量の導電性組成物を供給する。このホッパー90は、図1に示されるように、シリンダー52に貫通形成されたホッパー装着口53に装着され、図2に示されるように、導電性組成物を安定供給可能に徐々に縮径するテーパ部をその下部に有する円筒体に形成されている。ホッパー90としては、例えば、振動ホッパー、強制フィーダー付ホッパー、ホッパードライヤー、真空ホッパー又は窒素置換ホッパー等が挙げられる。
【0027】
図2に示される押出成形装置に備えられる搬送手段92は、スクリュー60の移送路62に複数の軸体2を連続して搬送することができればよく、例えば、軸体2の左右を挟持するローラ対を備えた一組のローラ、図2に示されるように、軸体2の上下を挟持するローラ対を備えた一組のローラ、又は、ベルトコンベア等が挙げられる。
【0028】
なお、図2に示される押出成形装置並びに図1及び図4に示される押出機50において、同軸とは、軸線方向が完全に一致する場合に加えて、軸線方向がわずかな角度を有している場合を含む。
【0029】
押出機50は、前記一実施例に限定されることはなく、導電性組成物を均一に押出すことができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、押出機50は単軸スクリュー60を備えた単軸押出機とされているが、この発明において、押出機は、二軸スクリューを備えた二軸押出機とされてもよい。
【0030】
前記スクリュー60は、その先端部が凹凸形状の混合部63、すなわち、パイナップル型混合部とされているが、この発明において、スクリューの先端部は、凹凸形状の混合部を有していなくてもよく、例えば、先端部が円筒形に形成された、所謂、フルフライト形状のスクリューであってもよい。
【0031】
また、スクリュー60は、通常、基端側(すなわち、駆動手段91が装着される側)から先端側に向かって、供給部、圧縮部及び計量部に区別されるが、この発明において、スクリューは、供給部、圧縮部及び計量部に区別されていなくてもよい。
【0032】
さらに、スクリュー60は、その先端部が凹凸形状の混合部63とされているが、この発明において、スクリューは、少なくとも先端部が凹凸形状の混合部63とされていればよく、スクリューの中間部又は全体が混合部とされていてもよい。例えば、スクリューが供給部、圧縮部及び計量部に区別されている場合には、計量部の一部又は全部が混合部63とされてもよく、また、圧縮部の一部又は全部及び計量部が混合部63とされてもよく、さらに、供給部の一部又は全部、圧縮部及び計量部が混合部63とされてもよい。
【0033】
また、シリンダー52は、その軸線方向に垂直な断面が円筒状に形成されているが、この発明においては、シリンダー52は、その軸線方向に垂直な断面が楕円形であってもよい。
【0034】
マンドレル80は、その外周面(周側面)が、図1及び図4に示されるように、凹凸が形成されていない平滑面に形成されているが、この発明においては、マンドレルの外周面は凹凸形状に形成されてもよい。マンドレルの外周面が凹凸形状に形成されると、混合部63で均一に混合された導電性組成物が押出流路72によってさらに導電性組成物の均一性が高められ、形成される導電性弾性層3の電気特性をより一層均一にすることができるという目的を達成することができる。凹凸形状としては、例えば、図3に示される混合部63の凹凸形状と同様の形状が挙げられ、その中でも、パイナップル型凹凸形状(例えば、図6参照。)であるのが好ましい。
【0035】
押出機50は、マンドレル80の突出部83に、フィルタ、スクリーン又はブレーカープレート等が内蔵されているが、この発明においては、マンドレルとは別体として、マンドレルとシリンダーとの間に、フィルタ、スクリーン又はブレーカープレート等が装着されてもよい。
【0036】
押出機50は、ベントを備えていないが、この発明においては、ベントを備えてもよく、また、押出機50は、この明細書に記載されていない公知の押出機が有する構造等を特に制限なく採用することができる。
【0037】
図2に示される押出成形装置は、前記押出機50、ホッパー90、駆動手段91及び搬送手段92を備えてなるが、この発明においては、これらに加えて、他の装置、例えば、ホッパー90に導電性組成物を供給する供給装置、ヘッド70から移送されてくる、外周面に導電性組成物が成形された軸体2を加熱器に搬送する搬送手段、導電性組成物の温度を測定する温度計及びスクリュー60の回転数を測定するスクリュー回転計等の各種計測機器、並びに、スクリューの回転速度、軸体2の移送速度、導電性組成物の押出量及び導電性組成物の温度等を制御する制御装置等を備えていてもよい。
【0038】
次に、この発明に係る前記第1の手段である導電性ローラの製造方法(以下、この発明に係る第1の製造方法と称することがある。)を、押出機50及び図2に示される押出成形装置を用いて、説明する。この発明に係る第1の製造方法は、図2に示される押出成形装置の押出機50を用いて、軸体2の移送方向と同方向に、導電性組成物5をスクリュー60によって、ヘッド70、次いで、押出流路72に押出して、マンドレル80の案内孔82から送り出される軸体2の外周面に導電性組成物を成形し、軸体2の外周面に成形された導電性組成物5を硬化する。
【0039】
この発明に係る第1の製造方法においては、押出機50を用いて、軸体2の外周面に導電性組成物を成形する。
【0040】
この成形工程を実施するには、まず、軸体2を準備する。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮若しくはこれらの合金等の金属、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の樹脂、及び前記樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック若しくは金属粉体等を配合した導電性樹脂等の材料を用いて、公知の方法により所望の形状に調製される。軸体2に導電性が要求される場合には、前記金属及び前記導電性樹脂の他に、前記樹脂等で形成した絶縁性芯体の表面に定法によりメッキを施すことにより、軸体2を形成することができる。前記材料の中でも、容易に導電性を付与することができる点で、金属であるのが好ましく、アルミニウム又はステンレス鋼であるのが特に好ましい。
【0041】
軸体2は、所望により、その外周面にプライマー層が塗布されてもよい。プライマー層を形成するプライマーは、所望により溶剤等に溶解され、定法、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って、軸体2の外周面に塗布され、硬化される。プライマーとしては、特に制限はないが、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。所望により、前記樹脂を硬化及び/又は架橋する架橋剤を用いることができ、このような架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、過酸化物、フェノール化合物、ハイドロジェンシロキサン化合物等が挙げられる。プライマー層は、例えば、0.1〜10μmの厚さに形成される。
【0042】
次いで、ホッパー90に収納された導電性組成物5がシリンダー52とスクリュー60とで形成される間隙64に供給される。次いで、駆動手段91を駆動してスクリュー60を所定の回転数で回転させると、図4に示されるように、前記間隙64に供給された導電性組成物5はスクリュー60の回転によって混合されながら下流方向(ヘッド70の方向)に押出される。スクリュー60の回転を継続すると、導電性組成物5は、下流方向にさらに押出されてスクリュー60の混合部63に達し、回転する混合部63によって均一に混合される。さらに、スクリュー60の回転を継続すると、均一に混合された導電性組成物5は、突出部83に内蔵されたフィルタ(図示しない。)等を通過して異物又はゲル状物等が除去され、一定の押出圧力でヘッド70内に、次いで、押出流路72にウェルドラインが存在しない環状に押出される。この押出流路72は、スクリュー60で環状に押出された導電性組成物5を、その押出された状態を維持したまま、すなわち、環状に流動させ、押出すことができる。
【0043】
一方、図2に示されるように、押出機50の後方から搬送手段92により、スクリュー60の移送路62に複数の軸体2を直列に配列して連続的に又は間欠的に搬送する。搬送手段92が作動し続けると、図4に示されるように、移送路62に搬送された軸体2は、移送路62内をその軸線方向における下流方向に所定の速度で移送され、次いで、マンドレル80の案内孔82内を同様に案内され、案内孔82からヘッド70の貫通孔に軸体2が送り出される。
【0044】
引き続き、押出流路72に押出される導電性組成物5の押出量と軸体2の移送速度とを調節して、スクリュー60の回転及び搬送手段92の作動を継続すると、押出流路72を経由して、ウェルドラインが存在しない環状に押出された導電性組成物5が、その状態を維持したまま、すなわち、環状に、案内孔82から送り出された軸体2を囲繞するように、所定の速度で移送される軸体2の外周面に、軸体2の軸線方向における下流側から上流側に、成形される。このようにして、図4に示されるように、軸体2の外周面にウェルドラインが存在しない導電性組成物5が成形され、軸体2の外周面に均一な硬化前弾性層4が形成される。
【0045】
このときの導電性組成物5の温度は、適宜調整することができ、例えば、10〜30℃に調整され、また、導電性組成物5の押出量及び軸体2の搬送速度は、押出流路72及びヘッド70の貫通孔に応じて、適宜調整されるが、例えば、6g/sec及び0.02m/secに調整される。
【0046】
引き続き、導電性組成物5を押出すと共に軸体2を搬送すると、硬化前弾性層4が形成された軸体2の上流側に位置する別の軸体2に硬化前弾性層4が次々と形成される。このようにして、複数の軸体2に硬化前弾性層4が形成される。
【0047】
次いで、軸体2の外周面に成形された導電性組成物5、すなわち、硬化前弾性層4を硬化する。導電性組成物5の硬化条件は、軸体2の外周面に成形された導電性組成物5の硬化に必要な熱を与え、導電性組成物5が硬化する条件であればよく、導電性組成物5の組成等に応じて適宜調整される。例えば、導電性組成物5が後述するミラブル型シリコーンゴム組成物である場合には、硬化条件は、100〜500℃、特に120〜300℃の加熱温度、及び、数秒以上1時間以下、特に10秒以上〜35分以下の加熱時間であるのが好ましい。導電性組成物5の硬化は、前記硬化条件を実現可能な加熱手段を用いて行えばよく、このような加熱手段としては、例えば、熱風を噴射する熱風加熱器、加熱オーブン等の加熱器、赤外線ヒーター、マイクロ波加熱炉及び過熱水蒸気炉等が挙げられる。
【0048】
硬化前弾性層4は、このような硬化に次いで、所望により、二次硬化されることもできる。二次硬化条件は、特に限定されないが、例えば、導電性組成物5がミラブル型シリコーンゴム組成物である場合には、100〜200℃の加熱温度、及び、1〜20時間程度の加熱時間であるのがよい。
【0049】
この発明に係る第1の製造方法においては、このようにして硬化前弾性層4を硬化した後、所望により、外径調整加工を行ってもよい。この外径調整加工は、研磨加工装置、研削加工装置及び切削加工装置等の機械加工装置又は器具等を用いて、硬化された硬化前弾性層4を所望の寸法に調整し、及び/又は、その表面状態を所望の状態等に調整する加工である。外径調整加工は、例えば、研磨加工、研削加工及び切削加工等が挙げられる。
【0050】
このようにして、硬化前弾性層4を硬化し、所望により、さらに、二次硬化し、外径調整加工を行って、導電性弾性層3が形成される。この発明に係る第1の製造方法において形成される導電性弾性層3は、少なくとも、後述する特性を有するから、均一な電気抵抗値を有し、この発明の目的を達成することができる。
【0051】
この発明に係る第1の製造方法においては、所望により、このようにして形成された導電性弾性層3の外周面に樹脂組成物を硬化して、コート層を形成することもできる。コート層は、導電性弾性層3の表面に定法に従って樹脂組成物を塗工し、加熱硬化させることにより、形成される。樹脂組成物に含まれる樹脂は、永久変形しにくい材料であるのが好ましく、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミドイミド系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。また、樹脂組成物は、通常用いられる各種添加剤、例えば、導電性付与剤、充填材等を含有してもよい。コート層は、例えば、1〜100μmの厚さに形成される。
【0052】
この発明に係る前記第2の手段である導電性ローラの製造方法に好適に使用される押出機の一実施例を、まず、図面を参照して、説明する。この押出機51は、図5に示されるように、スクリュー61と、軸線がスクリュー61の軸線に対して垂直方向になるようにスクリュー61の下流に配置され、スクリュー61により押出されてきた導電性組成物を収納するヘッド71と、ヘッド71の内部に配置されて、ヘッド71に収納された導電性組成物が流動する押出流路73を形成すると共に、導電性ローラ1の軸体2(図1において図示しない。)をヘッド71内部に案内する案内孔82が内部に形成され、かつ、パイナップル型凹凸形状が外周面84に形成されたマンドレル81とを備えてなる単軸押出機である。この押出機51は、図5に示されるように、押出機51におけるシリンダー52に貫通形成されたホッパー装着口53に、導電性組成物5を収容するホッパー90が装着され、スクリュー61を回転駆動する駆動手段91(図示しない。)が押出機51の上流側後端部に装着され、さらに、マンドレル81の上流側に配置され、マンドレル81の案内孔82に軸体2を搬送する複数の搬送手段92(図示しない。)とを備えた押出成形装置を構成している。
【0053】
押出機51のシリンダー52は、図5に示されるように、押出機50のシリンダー52と同様に構成されている。
【0054】
押出機51のスクリュー61は、図5に示されるように、導電性ローラ1の軸体2を移送することのできる移送路62がその内部に形成されていない以外は、押出機50のスクリュー60と同様に構成されている。
【0055】
押出機51のマンドレル81は、図5に示されるように、その軸線方向に徐々に縮径する円錐台形状をなし、導電性ローラ1の軸体2を軸線方向に移送可能な案内孔82が内部に形成され、パイナップル型凹凸形状に形成されてなる外周面84を有している。
【0056】
案内孔82は、図5に示されるように、マンドレル81の一端から他端にわたって軸線方向に貫通し、軸体2の外径と同一又はわずかに大きな孔径を有している。マンドレル81は、案内孔82の軸線と後述するヘッド71の軸線とが同軸で案内孔82の軸線とスクリュー61の軸線とが垂直になるように、かつ、後述するヘッド71の内部、すなわち、ヘッド71の貫通孔内に配置されるように、後述するフィルタ部材93を介して、ヘッド71と共にシリンダー52に装着されている。
【0057】
外周面84は、図5及び図6に示されるように、パイナップル型凹凸形状とされている。パイナップル型凹凸形状の具体的な構造は、図3(g)に示されるパイナップル型混合部と同様であり、その一例として、図6に示される凹凸形状が挙げられる。マンドレル81の外周面84が、パイナップル型凹凸形状に形成されていると、後述するように、押出流路73に押出された導電性組成物5にウェルドラインが発生しても、外周面84によって均一に混合される。パイナップル型凹凸形状における凸状体の形状、大きさ、高さ等は、特に限定されないが、例えば、その高さは2〜10mm程度であり、その断面積は25〜60mm程度であり、その間隔は5〜10mm程度である。凸状体の形状は、例えば、矩形、流線形等が挙げられる。この凸状体の高さは、外周面84の先端部に向かって徐々に低くなるように調整されてもよい。
【0058】
マンドレル81は、ヘッド71の内部に配置されることにより、マンドレル81の外周面84とヘッド71の貫通孔とで、スクリュー61によってヘッド71に収納された導電性組成物を均一に混合し押出す押出流路73を形成する。この押出流路73は、スクリュー61から押出された導電性組成物5が、フィルタ部材93及び案内孔74を介して二手に分かれてヘッド71に収納され、押出流路73の上部における案内孔74の略反対側で合流して環状になるように、構成されている。このとき、環状になった導電性組成物5は、案内孔74の略反対側で合わせ目(ウェルドライン)が形成されることがある。この押出流路73は、マンドレル81の外周面84に形成されたパイナップル型凹凸形状により、環状の導電性組成物5が押出流路73を下流方向に押出されるにつれて導電性組成物5が混合され、導電性組成物5が外周面84の先端部近傍まで押出されると、導電性組成物5は均一な環状になり、マンドレル81の上部で形成されたウェルドラインを消失させることができる。
【0059】
フィルタ部材93は、マンドレル81及びヘッド71をシリンダー52に装着可能にすると共に、その内部には、例えば、フィルタ、スクリーン又はブレーカープレート(図示しない。)等が内蔵されている。フィルタ、スクリーン及びブレーカープレートは、押出機50のフィルタ、スクリーン及びブレーカープレートと同様に構成されている。
【0060】
押出機51のヘッド71は、図5に示されるように、その軸線がスクリュー61の軸線に対して垂直方向になるように、スクリュー61の下流に配置され、フィルタ部材93を介してマンドレル81と共にシリンダー52に装着されている。そして、ヘッド71は、その内部に、スクリュー61により押出されてきた導電性組成物を収納する。ヘッド71は略円筒状をなし、その内部にはマンドレル81を収納する貫通孔を有している。この貫通孔は、図5に示されるように、マンドレル81を収納する部分が徐々に縮径するテーパ状に形成され、所定の位置から均一な径に調整されている。ヘッド71に収納され、押出流路73を流動してくる、換言すると、押出流路73を介して押出されてきた導電性組成物が、均一な径に調整された貫通孔により、マンドレル81の案内孔82から送り出される軸体2の外周面に、成形される。この貫通孔の径は、製造されるローラの導電性弾性層3の外径に応じて適宜調整される。また、ヘッド71は、フィルタ部材93を介してスクリュー61から押出された導電性組成物5を貫通孔の上部に案内する案内孔74が形成されている。なお、ヘッド71は、その貫通孔がマンドレル81の案内孔82と同軸になるように、シリンダー52に装着されることはいうまでもない。
【0061】
ヘッド71及びマンドレル81は、定法により加熱又は冷却されてもよく、それらの温度は、通常、10〜30℃程度に調整される。ヘッド71及びマンドレル81は、耐腐食性材料で形成されればよく、耐腐食性材料としては、例えば、ステンレス鋼、窒化鋼又はクロームメッキ硬鋼等が挙げられる。
【0062】
押出機51に装着されるホッパー90は、図5に示されるように、押出機50のホッパー90と同様に構成されている。
【0063】
図示されないが、マンドレル81の上流側には、押出機50の搬送手段92と同様に構成された搬送手段が設置され、マンドレル81の案内孔82に軸体2を所定の速度で搬送する。
【0064】
なお、図5に示される押出成形装置及び押出機51において、同軸とは、軸線方向が完全に一致する場合に加えて、軸線方向がわずかな角度を有している場合を含み、垂直とは、軸線方向が垂直に交わる場合に加えて、軸線方向が所定の角度、例えば、75〜105°程度で交わる場合を含む。
【0065】
押出機51は、前記一実施例に限定されることはなく、導電性組成物を均一に押出すことができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、押出機51は単軸スクリュー60を備えた単軸押出機とされているが、この発明において、押出機は、二軸スクリューを備えた二軸押出機とされてもよい。
【0066】
また、前記スクリュー61は、前記スクリュー60と同様に、フルフライト形状のスクリューであってもよく、また、供給部、圧縮部及び計量部に区別されていなくてもよく、さらに、スクリューの中間部又は全体が混合部とされていてもよい。
【0067】
押出機51は、ベントを備えていないが、この発明においては、ベントを備えてもよく、また、押出機51は、この明細書に記載されていない公知の押出機が有する構造等を特に制限なく採用することができる。
【0068】
図5に示される押出成形装置は、図2に示される押出成形装置と同様に、他の装置、例えば、前記供給装置、前記搬送手段、前記各種計測機器及び前記制御装置等を備えていてもよい。
【0069】
次に、この発明に係る前記第2の手段である導電性ローラの製造方法(以下、この発明に係る第2の製造方法と称することがある。)を、図5に示される押出成形装置及び押出機51を用いて、説明する。この発明に係る第2の製造方法は、図5に示される押出成形装置の押出機51を用いて、スクリュー61の軸線に対して垂直方向に、導電性組成物5をスクリュー61によって、ヘッド71、次いで、押出流路73に押出して、マンドレル81の案内孔82から送り出される軸体2の外周面に導電性組成物5を成形し、軸体2の外周面に成形された導電性組成物5を硬化する。
【0070】
この発明に係る第2の製造方法においては、この発明に係る第1の製造方法と同様に、押出機51を用いて、軸体2の外周面に導電性組成物を成形する。まず、この発明に係る第1の製造方法と同様にして、軸体2を準備する。
【0071】
次いで、この発明に係る第1の製造方法と同様にして、ホッパー90に収納された導電性組成物5がシリンダー52とスクリュー61とで形成される間隙64に供給され、スクリュー61を所定の回転数で回転させると、図5に示されるように、前記間隙64に供給された導電性組成物5はスクリュー61の回転によって混合されながら、下流方向(ヘッド71の方向)に押出され、フィルタ部材93を経由して、ヘッド71内、具体的には、案内孔74に押出される。スクリュー61の回転を継続すると、案内孔74に押出された導電性組成物5は、マンドレル81の外周面84に突き当り、二手に分かれて外周面84に沿ってマンドレル81を回り込み、押出流路73の上部における案内孔74の略反対側で合流して環状になる。このとき、環状になった導電性組成物5は、案内孔74の略反対側で合わせ目(ウェルドライン)が形成されることがある。さらに、スクリュー61の回転を継続すると、環状になった導電性組成物5は、押出流路73を下流方向に流動し、押出されると共に、マンドレル81の外周面84に形成されたパイナップル型凹凸形状により、十分に混合される。導電性組成物5が外周面84の先端部近傍まで達すると、マンドレル81の上部で形成されたウェルドラインは消失し、導電性組成物5は均一な環状になる。
【0072】
一方、図5に示されるように、マンドレル81及びヘッド71の後方から搬送手段により、スクリュー61の軸線に対して垂直方向に複数の軸体を直列に配列して連続的に又は間欠的に搬送する。搬送手段が作動し続けると、この発明に係る第1の製造方法と同様に、図5に示されるように、マンドレル81の案内孔82からヘッド71の貫通孔に軸体2が送り出される。
【0073】
引き続き、押出流路73に押出される導電性組成物5の押出量と軸体2の移送速度とを調節して、スクリュー61の回転及び搬送手段の作動を継続すると、押出流路73を経由して、ウェルドラインが消失し均一に混合された導電性組成物5が、案内孔82から送り出された軸体2を環状に囲繞するように、所定の速度で移送される軸体2の外周面に、軸体2の軸線方向における下流側から上流側に、成形される。このようにして、図5に示されるように、軸体2の外周面にウェルドラインが存在しない導電性組成物5が成形され、軸体2の外周面に均一な硬化前弾性層4が形成される。
【0074】
このときの導電性組成物5の温度は、適宜調整することができ、例えば、10〜30℃に調整され、また、導電性組成物5の押出量及び軸体2の搬送速度は、押出流路73及びヘッド71の貫通孔に応じて、適宜調整されるが、例えば、6g/sec及び0.02m/secに調整される。
【0075】
引き続き、導電性組成物5を押出すと共に軸体2を搬送すると、硬化前弾性層4が形成された軸体2の上流側に位置する別の軸体2に硬化前弾性層4が次々と形成される。このようにして、複数の軸体2に硬化前弾性層4が形成される。
【0076】
次いで、軸体2の外周面に成形された導電性組成物5、すなわち、硬化前弾性層4を、この発明に係る第1の製造方法と同様にして、硬化し、所望により、二次硬化され、また、外径調整加工が行われてもよい。さらに、この発明に係る第2の製造方法においては、この発明に係る第1の製造方法と同様にして、所望により、導電性弾性層3の外周面にコート層を形成することもできる。
【0077】
この発明に係る第1の製造方法及び第2の製造方法において使用される導電性組成物は、ゴムと各種添加剤を有していればよく、ゴムとして、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む。)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロールヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。各種添加剤としては、例えば、導電性付与剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、硬化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
【0078】
具体的には、導電性組成物として、例えば、ミラブル型シリコーンゴム組成物等が挙げられる。ミラブル型シリコーンゴム組成物は、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、及び、(C)上記(B)成分に属するもの以外の導電性材料を含有する。
【0079】
SiO(4−n)/2 (1)
ここで、Rは、同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の1価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。
【0080】
前記Rは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基、並びに、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基及びシアノエチル基等が挙げられる。
【0081】
前記(A)オルガノポリシロキサンは、分子鎖末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニル基、ジメチルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されていることが好ましい。このオルガノポリシロキサンは分子中に少なくとも2個の前記アルケニル基を有することが好ましく、具体的には、Rのうち0.001〜5モル%、特に0.01〜0.5モル%のアルケニル基を有することが好ましく、特にビニル基を有することが好ましい。特に、後述する硬化剤として白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを組み合わせて使用する場合には、このようなアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが通常使用される。
【0082】
また、このオルガノポリシロキサンは、通常選択されたオルガノハロシランの1種若しくは2種以上を共加水分解縮合することによって、又は、シロキサンの3量体若しくは4量体等の環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。このオルガノポリシロキサンは基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、一部分岐していてもよい。また、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。このオルガノポリシロキサンは、通常、25℃におけるその粘度が100cSt以上であり、好ましくは100,000〜10,000,000cStである。また、このオルガノポリシロキサンは、通常、その重合度は100以上であり、好ましくは3,000以上であり、その上限は、好ましくは100,000であり、さらに10,000が好ましい。
【0083】
前記(B)充填材は、特に限定されないが、シリカ系充填材を用いることができる。シリカ系充填材としては、例えば、煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)で示されるシランカップリング剤で表面処理された、補強効果の高い表面処理シリカ系充填材が好ましい。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記一般式におけるR’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等として、容易に入手することができる。このようなシランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面を処理することにより、得られる。なお、シランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、市販品を用いてもよく、例えば、J.M.HUBER株式会社製の商品名「Zeothix 95」等が入手可能である。シリカ系充填材の配合量は、前記(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、11〜39質量部であるのが好ましく、15〜35質量部であるのが特に好ましい。また、シリカ系充填材の平均粒子径としては、1〜80μmであるのが好ましく、2〜40μmであるのが特に好ましい。シリカ系充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)等として測定することができる。
【0084】
前記(C)導電性材料は、前記充填材(B)に属さない導電性材料であり、物理的化学的に同一材料からなるものであっても、充填材(B)として規定されシリカ系充填材と形態及び状態等が異なる導電性材料は、(C)導電性材料に属する。このような導電性材料は、導電性付与成分であり、例えば、コート層4を形成する樹脂組成物に含有される前記導電性付与剤が挙げられ、これらの中でも、カーボンブラックが好ましい。導電性材料は単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0085】
ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、また、必要に応じて種々の化合物を含有させることができる。例えば、種々の化合物又は添加剤として、硬化剤及びシリカ微粉末等が挙げられる。
【0086】
前記硬化剤としては、公知の白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを組み合わせた硬化剤、及び、有機過酸化物が挙げられる。前記白金系触媒としては、公知の触媒を使用することができ、具体的には、白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックス等が挙げられる。白金系触媒の含有量は、有効量、いわゆる触媒量であればよく、例えば、(A)オルガノポリシロキサンに対して、白金族金属換算で1〜2,000ppmとするのが好ましい。
【0087】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、その重合度は300以下が好ましく、ジメチルハイドロジエンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、末端がトリメチルシロキシ基でジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジエンシロキサン単位からなる共重合体、ジメチルハイドロジエンシロキサン単位(H(CHSiO1/2とSiO単位とからなる低粘度流体、1,3,5,7−テトラハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジエン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。オルガノハイドロジエンポリシロキサンの含有量は、(A)オルガノポリシロキサンのアルケニル基に対して、ケイ素原子に直結した水素原子が50〜500モル%となる割合で用いられるのが好ましい。
【0088】
前記有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のアルキル過酸化物、ジクミルパーオキサイド等のアラルキル過酸化物等の有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物の含有量は有効量であればよく、例えば、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましい。
【0089】
前記シリカ微粉末は、機械的強度の優れた弾性層3を得るために好適であり、この目的のためにはBET比表面積が10m/g以上、好ましくは50〜400m/gのシリカ微粉末を用いるのが好ましい。このようなシリカ微粉末としては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈降性シリカ(湿式シリカ)等が挙げられ、煙霧質シリカが好ましい。ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物にシリカ微粉末を添加する場合には、シリカ微粉末の含有量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、5〜100質量部であるのが好ましく、5〜90質量部であるのがより好ましく、10〜50質量部であるのが特に好ましい。含有量が5質量部未満では所望の補強効果が得られないことがあり、100質量部を超えると加工性が悪くなることがある。また、シリカ微粉末の平均粒子径としては、1〜80nmであるのが好ましく、5〜50nmであるのが特に好ましい。シリカ微粉末の平均粒子径は、例えば、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)等として測定することができる。
【0090】
ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物は、また、他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤として、例えば、着色剤、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤、受酸剤、熱伝導向上剤、離型剤、アルコキシシラン、重合度がオルガノポリシロキサン(A)よりも低いジメチルシロキサンオイル、シラノール、例えば、ジフェニルシランジオール、α,ω−ジメチルシロキサンジオール等の両末端シラノール基封鎖低分子シロキサンやシラン等の分散剤、接着性や成形加工性を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、架橋反応等を阻害しない硬化又は未硬化の各種オレフィン系エラストマー等が挙げられる。
【0091】
導電性組成物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって、常温又は加熱下で混練して、得られる。
【0092】
導電性組成物は、例えば、25℃において、120〜300のウイリアムス可塑度を有しているのがよく、180〜250のウイリアムス可塑度を有しているのが特によい。導電性組成物のウイリアムス可塑度は、通常、それらに含まれる各成分の種類及び/又は配合量によって、調整することができる。また、必要により、例えば、ジメチルシリコーン、メチルビニルシリコーン等の生ゴム等により、また、シリカ等の添加剤の種類又は配合量等により、ウイリアムス可塑度を調整することもできる。ここで、ウイリアムス可塑度は、JIS C 2123に準じて、測定することができる。
【0093】
この発明に係る前記第3の手段の一実施例である導電性ローラは、図7に示されるように、軸体2と導電性弾性層3とを備え、所望により、図8に示されるように、軸体2と導電性弾性層3とコート層6とを備え、例えば、図9に示される画像形成装置等に配設される。
【0094】
これらの導電性ローラ1A及び1B(以下、導電性ローラ1と称することがある。)は、以下の方法で測定される、導電性弾性層3又はコート層6等の最外層全体の電気抵抗値(以下、全体電気抵抗値と称することがある。)が10〜10Ωであるのが好ましい。導電性ローラ1が前記範囲の全体電気抵抗値を有していると、帯電特性が優れ、画像形成装置に配設されたときに高品質の画像を形成することができる。帯電特性が特に優れる点で、導電性ローラ1の全体電気抵抗値は、10〜10Ωであるのがより好ましく、10〜10Ωであるのが特に好ましい。導電性ローラ1の全体電気抵抗値は、例えば、導電性弾性層3を形成する導電性組成物の組成、コート層6を形成する樹脂組成物の組成等を調整することによって、前記範囲内に調整することができる。
【0095】
導電性ローラ1の全体電気抵抗値は、図10に示されるように、抵抗測定器100、例えば、製品名「R8340A」(アドバンテスト株式会社製)を用いて、導電性ローラ1を電極板101に載置し、軸体2の両端部近傍(端部からの距離が等しくなる位置)それぞれに500gの分銅102を垂下状態に固定し、電極板101を抵抗測定器100に接続すると共に抵抗測定器100の電極を軸体2に接続して、電極板101と電極とに500Vの電圧を1秒印加して、測定される。
【0096】
導電性ローラ1は、また、以下の方法で測定される、導電性弾性層3又はコート層6等の最外層の周方向における複数箇所の電気抵抗値(以下、部分電気抵抗値と称することがある。)において、周方向における部分電気抵抗値の最小値に対する部分電気抵抗値の最大値の割合(以下、部分電気抵抗値の比と称することがある。)が10以下であるのが好ましい。導電性ローラ1が前記範囲の部分電気抵抗値の比を有していると、導電性ローラ1における最外層の周方向にわたって電気特性が均一になるから、画像形成装置に配設されたときに高品質の画像を形成することができる。より一層高品質の画像を形成することができる点で、部分電気抵抗値の比は、7以下であるのがより好ましく、5以下であるのが特に好ましい。部分電気抵抗値の比の下限は1であるのがよいが、現実的には2程度であってもよい。導電性ローラ1の部分電気抵抗値の比は、前記全体電気抵抗値の同様にして、調整することができる。
【0097】
導電性ローラ1は、前記部分電気抵抗値の平均値が、5×10〜1×109Ωであるのが好ましい。導電性ローラ1が前記範囲の部分電気抵抗値の平均値を有していると、帯電特性が優れ、画像形成装置に配設されたときに高品質の画像を形成することができる。帯電特性が特に優れる点で、導電性ローラ1の部分電気抵抗値の平均値は、1×10〜5×10Ωであるのがより好ましく、5×10〜2×10Ωであるのが特に好ましい。導電性ローラ1の部分電気抵抗値の平均値は、前記全体電気抵抗値と同様にして、調整することができる。
【0098】
また、導電性ローラ1は、前記部分電気抵抗値の標準偏差が0.3×10Ω以下であるのが好ましい。導電性ローラ1が前記範囲の部分電気抵抗値の標準偏差を有していると、より一層均一な帯電特性が得られ、画像形成装置に配設されたときに高品質の画像を形成することができる。特に均一な帯電特性が得られる点で、導電性ローラ1の部分電気抵抗値の標準偏差は、0.25×10Ω以下であるのが特に好ましい。導電性ローラ1の部分電気抵抗値の標準偏差は、例えば、押出機の押出条件等によって、調整することができる。
【0099】
導電性ローラ1の部分電気抵抗値は、図11に示されるように、抵抗測定器100、例えば、製品名「R8340A」(アドバンテスト株式会社製)を用いて、導電性ローラ1を、軸体2の軸線方向からローラ固定治具103で挟持して固定し、導電性弾性層3又はコート層6等の最外層に対して、4mmの幅を有する第1の電極104(金属製)を10g/cmの加重で押圧すると共に、第2の電極105(金属製)を軸体2の外周面に接続して、第1の電極と第2の電極とに500Vの電圧を1秒印加して、測定される。この測定は、前記最外層の軸線方向における複数位置、例えば、6箇所を選択し、かつ、その各位置における前記最外層の周方向における複数箇所、例えば、4箇所を選択して、測定する。そして、部分電気抵抗値の比は、このようにして測定された部分電気抵抗値のうち、前記最外層の軸線方向における同一の位置において、周方向の複数箇所における測定値の最小値に対する最大値の割合を算出し、それぞれの前記最外層の軸線方向における各位置において算出された前記割合の平均値とする。また、部分電気抵抗値の平均値は、このようにして測定された部分電気抵抗値を算出平均して、求められる。さらに、部分電気抵抗値の標準偏差は、このようにして測定された部分電気抵抗値から、常法により求めることができる。
【0100】
導電性ローラ1の前記軸体2は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体とされる。また、軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。図9に示される画像形成装置等に配設された場合に、軸体2は、その一端を接地し、又は、バイアス電圧を印加することにより、例えば、像担持体の電圧、現像剤への電荷の注入、像担持体からの現像剤の搬送による潜像の現像等の機能を発揮する。
【0101】
導電性ローラ1の前記導電性弾性層3は、軸体2の外周面に前記導電性組成物を硬化して成る。この導電性弾性層3は、20〜70のJIS A硬度を有しているのが好ましい。導電性弾性層3が20〜70のJIS A硬度を有していると、導電性ローラ1と被当接体との接触面積を大きくすることができ、また、導電性弾性層3の反発弾性及び圧縮永久ひずみが優れる。導電性ローラ1と被当接体との接触面積が向上し、導電性弾性層3の反発弾性及び圧縮永久ひずみを所望のように向上させることができる点で、JIS A硬度は、30〜60であるのがより好ましく、35〜50であるのが特に好ましい。JIS A硬度は、JIS K6301に準拠して測定することができる。
【0102】
導電性弾性層3は、被当接体と均一な当接状態を確保することができ、又は、被当接体と弾性層3との均一な当接幅(ニップ幅とも称する。)を確保することができる点で、その厚さは、1mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましい。一方、弾性層3の厚さの上限は、弾性層3の外径精度を損なわない限り特に制限されないが、一般に、弾性層3の厚さを厚くしすぎると、弾性層3の作製コストが上昇するから、実用的な作製コストを考慮すると、弾性層3の厚さは、30mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。なお、弾性層3の厚さは、所望の当接状態又は所望のニップ幅を達成するために、弾性層3の硬度、例えば、JIS A硬度等に応じて、適宜選択される。
【0103】
前記コート層6は、前記樹脂組成物を用いて導電性弾性層3の外周面に形成されて成る。このコート層6、すなわち、導電性ローラ1Bは、30〜80のJIS A硬度を有しているのが好ましい。コート層6、すなわち、導電性ローラ1Bが30〜80のJIS A硬度を有していると、導電性ローラ1と被当接体との接触面積を大きくすることができ、また、コート層4の反発弾性及び圧縮永久ひずみが優れる。導電性ローラ1と被当接体との接触面積が向上し、コート層6の反発弾性及び圧縮永久ひずみを所望のように向上させることができる点で、JIS A硬度は、40〜70であるのがより好ましく、45〜60であるのが特に好ましい。JIS A硬度は、JIS K6301に準拠して測定することができる。
【0104】
コート層4は、通常、0.1〜50μmの層厚を有しているのが好ましく、10〜20μmの層厚を有しているのがより好ましい。
【0105】
前記導電性ローラ1は、公知の製造方法によって製造されればよいが、前記部分電気抵抗値の比等の特性を容易に満足することができる点で、この発明に係る第1の製造方法及び第2の製造方法によって、製造されるのがよい。
【0106】
導電性ローラ1は、前記部分電気抵抗値の比が前記範囲にあるから、その電気的特性が均一であり、画像形成装置に配設されると、高品質の画像を形成することに貢献することができる。したがって、導電性ローラ1は、画像形成装置に配設される各種ローラ、特に、現像ローラ、帯電ローラ、定着ローラ等に好適に用いられる。
【0107】
次に、この発明に係る前記第4の手段の一実施例画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一実施例を、図9を参照して、説明する。
【0108】
画像形成装置10は、図9に示されるように、四種の現像ユニットに装備された像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト1上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト1上に直列に配置されている。
【0109】
現像ユニットBは、図9に示されるように、静電潜像が形成される回転可能な像担持体11Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bを帯電させる帯電手段12Bと、像担持体11Bの上方に設けられ、像担持体11Bに静電潜像を形成する露光手段13Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに一定の層厚で現像剤22Bを供給し、静電潜像を現像する現像手段20Bと、像担持体11Bの下方に転写搬送ベルト1を介して当接又は圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体11Bから転写搬送ベルト1で搬送される記録体16上に転写する転写手段14Bと、記録体16に転写されず像担持体11Bに残留した現像剤22B等を除去するクリーニング手段15Bとを備えている。図9に示されるように、現像ユニットBにおける像担持体11Bと転写手段14Bとは、二本の支持ローラ5に張架された転写搬送ベルト1を介して当接又は圧接している。そして、記録体16は、転写搬送ベルト1により、像担持体11Bと転写手段14Bとの当接部を通過するように、搬送される。この転写搬送ベルト1は記録体16を搬送すると共に、転写手段14Bと協働して像担持体11Bに現像された静電潜像を転写する。像担持体11B、帯電手段12B、露光手段13B、転写手段14B及びクリーニング手段15Bは、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
【0110】
前記現像手段20Bは、図9に示されるように、像担持体11Bに対向する位置に開口部を有し、現像剤22Bを収納する筐体21Bと、筐体21Bの開口部に、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに現像剤22Bを一定の層厚で供給する回転可能な現像剤担持体23Bと、現像剤担持体23Bの上方に設けられ、現像剤担持体23Bに当接又は圧接して現像剤22Bの層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤22Bを帯電させる現像剤規制部材24Bとを備えている。現像剤担持体23B及び現像剤規制部材24Bは、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。前記現像剤22Bは、摩擦により帯電可能で、記録体16に定着可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。現像ユニットBは、筐体21B内に黒色現像剤を収納している。
【0111】
現像ユニットC、M及びYは、図9に示されるように、現像ユニットBと同様に構成されている。現像ユニットC、M及びYはそれぞれ、筐体21C、21M及び21Y内に、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yを収納している。
【0112】
画像形成装置10の底部には、図9に示されるように、記録体16として複数枚の記録体を積層収容するカセット41が設置され、カセット41内の記録体は給紙ローラ等によって1枚ずつ送り出されて、転写搬送ベルト1上に搬送される。
【0113】
画像形成装置10における記録体16の搬送方向下流には、図9に示されるように、記録体16に転写された各種現像剤(静電潜像)を定着させる定着手段30が配置されている。定着手段30は、例えば、発熱可能な定着ローラを備えた熱ローラ定着装置、オーブン定着器等の加熱定着装置、加圧可能な定着ローラを備えた圧力定着装置等を用いることができる。画像形成装置10は、図9に示されるように、無端ベルト7を備えた定着装置30が配置されている。定着装置30は、図9にその断面が示されるように、記録体16を通過させる開口35を有する筐体34内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた無端ベルト7と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、無端ベルト7を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。無端ベルト支持ローラ33は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。定着ローラ31、無端ベルト支持ローラ33及び加圧ローラ32はそれぞれ、加熱体(図示しない。)が内蔵され、加圧ローラ32はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって、無端ベルト7を介して定着ローラ31に圧接している。無端ベルト7と加圧ローラ32との圧接された間を記録体16が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体16に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
【0114】
画像形成装置10は、次にように作用する。まず、現像ユニットBの像担持体11Bが、帯電手段12Bにより一様に帯電され、露光手段13Bにより画像が露光されて、像担持体11Bの表面に静電潜像が形成される。一方、現像手段20Bにおいて、現像剤担持体23B及び現像剤規制部材24Bにより、黒色現像剤22Bが所望の層厚に規制され、所望のように帯電される。そして、この黒色現像剤22Bが現像剤担持体23Bから像担持体11Bに供給され、像担持体11Bに形成された静電潜像が現像されて、現像剤像として可視化される。次いで、この現像剤像が、像担持体11Bと転写手段14Bとの間に転写搬送ベルト1により搬送される記録体16上に、転写される。このようにして、現像剤像が記録体16上に黒像に顕像化される。
【0115】
次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、現像剤像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。
【0116】
次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、搬送手段により定着手段30に搬送され、定着ローラ31と加圧ローラ32との無端ベルト7を介した当接部又は圧接部を通過するときに加熱及び/又は加圧されて、転写されたカラー像が永久画像として定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0117】
画像形成装置10によれば、現像ローラ、帯電ローラ及び定着ローラとして、前記導電性ローラ1が装着されているから、画像形成装置10は高品質の画像を形成することができる。なお、画像形成装置10において、前記導電性ローラ1を他のローラに用いても、同様に、高品質の画像を形成することができる。
【0118】
画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置10は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置10は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置とされているが、画像形成装置は、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置であっても、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す四サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。画像形成装置10は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をトルエンで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の表面にプライマー層を形成した。
【0120】
一方、メチルビニルシリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部と、ジメチルシリコーン生ゴム(商品名「KE−76VBS」、信越化学工業株式会社製)20質量部と、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部と、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL 20」、日本アエロジル株式会社製)15質量部と、白金触媒(商品名「C−19A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部と、ハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−19B」、信越化学工業株式会社製)2.0質量部とを混合し、加圧ニーダーで混練して、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物を調製した。このミラブル型導電性シリコーンゴム組成物の25℃におけるウイリアムス可塑度は、前記方法により測定したところ、220であった。
【0121】
次いで、図1に示される押出機50及び図2に示される押出成形装置を用いて、プライマー層を形成した複数の軸体を搬送手段92により、スクリュー60の移送路62に、16mm/secの速度で搬送すると共に、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物をホッパー90からシリンダー52とスクリュー60との間隙に供給し、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物を押出量6.5g/secで、軸体2の移送方向と同方向に、押出流路72に押出して、マンドレル80の案内孔82から送り出される軸体2の外周面にミラブル型導電性シリコーンゴム組成物を成形した。
【0122】
なお、スクリュー60のスクリュー径は50mmであり、有効長(L/D)は12であり、スクリュー60の圧縮比(C/R)は3であった。また、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物は25℃に保たれていた。また、ヘッド70における貫通孔の径は20mmであった。さらに、パイナップル型混合部63における矩形の凸状部は5mm程度の高さ及び25mm程度の断面積を有し、凸状部と凸状部との間隔は5mm程度であった。
【0123】
このようにして、軸体2の外周面にミラブル型導電性シリコーンゴム組成物を成形し、ホッパー90に収納されているミラブル型導電性シリコーンゴム組成物の残存量がホッパー内容積に対して10%になった時点で、前記と同様にして、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物を新たに調製して、新たに調製されたミラブル型導電性シリコーンゴム組成物をホッパー90に投入した。
【0124】
次いで、軸体2の外周面にミラブル型導電性シリコーンゴム組成物を成形し、新たに調製したミラブル型導電性シリコーンゴム組成物が軸体2の外周面に成形された軸体2を、ギヤオーブンを用いて、250℃、30分間加熱した。その後、さらに、ギヤオーブンを用いて、200℃で4時間にわたって、二次加熱し、常温にて24時間放置した。次いで、円筒研削盤にて、形成した導電性弾性層の直径が18mmとなるように、その表面を研磨して、導電性ローラを製造した。
【0125】
このようにして製造した導電性ローラ、すなわち、導電性弾性層の全体電気抵抗値、部分電気抵抗値の比、平均値及び標準偏差、並びに、JIS A硬度を前記方法により、測定した。部分電気抵抗値は、導電性弾性層3の軸線方向に等間隔になるように6箇所を選択し、各個所における周方向に等間隔となるように8個所を選択して、合計48個所について、測定した。その結果を表1に示す。
【0126】
(実施例2)
前記押出機50のスクリュー60を、先端部が円筒形に形成された、混合部63を有しないフルフライト形状のスクリューに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性ローラを製造した。また、実施例1と同様にして、導電性ローラ、すなわち、導電性弾性層の全体電気抵抗値、部分電気抵抗値の比、平均値及び標準偏差、並びに、JIS A硬度を前記方法により、測定した。その結果を表1に示す。
【0127】
(実施例3)
実施例1で形成した導電性弾性層の外周面に、低圧水銀灯により紫外線・オゾン処理を施した。その後、導電性弾性層の表面にアミノシラン系カップリング剤(商品名「KBM603」、信越化学工業株式会社製)を塗布してプライマー層を形成した。
【0128】
次いで、ウレタン系塗料(商品名「タケラックE−553」、不揮発分50%、三井武田ケミカル株式会社製)100質量部に、充填材として煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL 200」、日本アエロジル株式会社製)15質量部、導電性付与剤としてカーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部を添加し、ポットミルで8時間攪拌・分散した後、ポリイソシアネート系架橋剤(商品名「タケラックD140N」、三井武田ケミカル株式会社製)20質量部を添加したコート剤を調製した。このコート剤を、表面にプライマー層を形成した導電性弾性層上に、厚さ15μmでスプレーコーティングした後、温度150℃で30分間加熱硬化させて、コート層を形成し、導電性ローラを製造した。実施例1と同様にして、このようにして製造した導電性ローラ、すなわち、コート層6の導電性弾性層の全体電気抵抗値、部分電気抵抗値の比、平均値及び標準偏差、並びに、JIS A硬度を前記方法により、測定した。その結果を表1に示す。
【0129】
(実施例4)
実施例2で形成した導電性弾性層の外周面に、実施例3と同様にして、コート層を形成し、導電性ローラを製造した。また、実施例1と同様にして、導電性ローラ、すなわち、コート層6の全体電気抵抗値、部分電気抵抗値の比、平均値及び標準偏差、並びに、JIS A硬度を前記方法により、測定した。その結果を表1に示す。
【0130】
(比較例1)
前記押出機50を、平滑な外周面を有するマンドレル80を装着した図5に示される押出機51に変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性ローラを製造した。また、実施例1と同様にして、このようにして製造した導電性ローラ、すなわち、導電性弾性層の全体電気抵抗値、部分電気抵抗値の比、平均値及び標準偏差、並びに、JIS A硬度を前記方法により、測定した。その結果を表1に示す。
【0131】
(比較例2)
比較例1で形成した導電性弾性層の外周面に、実施例3と同様にして、コート層を形成し、導電性ローラを製造した。実施例1と同様にして、このようにして製造した導電性ローラ、すなわち、コート層の全体電気抵抗値、部分電気抵抗値の比、平均値及び標準偏差、並びに、JIS A硬度を前記方法により、測定した。その結果を表1に示す。
【0132】
次いで、実施例1〜4並びに比較例1及び2の導電性ローラそれぞれを4本準備し、電子写真式プリンター(商品名「HL−1850」、ブラザー工業株式会社製)において、現像ローラとして配設した。なお、現像剤及び現像剤規制部材は、電子写真式プリンターに付属の現像剤及び現像剤規制部材を用いた。
【0133】
(かすれ評価)
この電子写真式プリンターを、温度20℃、相対湿度50%の環境下で、稼動させて、黒ベタ印字部を6,000枚印字した。その後、黒ベタ−網点−5%デューティー−白地印字を2回繰り返し行った後、引き続いて黒ベタ印字部の印字を継続して行った。通算で10,000枚印刷しても黒ベタ印字部に表面白筋が出現しなかった場合を「◎」とし、7,000枚以上10,000枚未満印刷したときに黒ベタ印字部に表面白筋が出現した場合を「○」とし、7,000枚印刷するまでに、黒ベタ印字部に表面白筋が出現した場合を「×」とした。その結果を表1に示す。
【0134】
【表1】

【0135】
通常、押出成形において、調製バッチが異なる組成物を用いた場合には、押出成形装置から押出される組成物が調製バッチが異なる複数の組成物の混合状態にあると、その混合状態は均一になりにくい。しかし、表1に示されるように、実施例1〜4によれば、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物の調製バッチの変わり目で形成された導電性弾性層においても、部分電気抵抗値の比が小さく、電気抵抗値を周方向及び軸線方向において均一に調製できることができた。すなわち、1バッチのミラブル型導電性シリコーンゴム組成物で導電性弾性層を形成すれば、さらに、電気抵抗値を周方向及び軸線方向においてより一層均一に調製することができることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1は、この発明に係る第1の手段である導電性ローラの製造方法に好適に使用される押出機の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、この発明に係る第1の手段である導電性ローラの製造方法に好適に使用される押出機を備えた押出成形装置の構成図である。
【図3】図3は、スクリューにおける混合部の凹凸形状を示す側面図である。
【図4】図4は、この発明に係る第1の手段である導電性ローラの製造方法を説明する概略断面説明図である。
【図5】図5は、この発明に係る第2の手段である導電性ローラの製造方法を説明する概略断面説明図である。
【図6】図6は、この発明に係る第2の手段である導電性ローラの製造方法に好適に使用される押出機の一実施例に装備されるマンドレルを示す概略側面図である。
【図7】図7は、この発明に係る導電性ローラの一実施例を示す概略斜視図である。
【図8】図8は、この発明に係る導電性ローラの別の一実施例を示す概略斜視図である。
【図9】図9は、この発明の一実施例であるタンデム型カラー画像形成装置の概略図である。
【図10】図10は、導電性弾性層の全体電気抵抗値を測定する方法を説明する説明図である。
【図11】図11は、導電性弾性層の部分電気抵抗値を測定する方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0137】
1、1A、1B 導電性ローラ
2 軸体
3 導電性弾性層
4 硬化前弾性層
5 導電性組成物
6 コート層
7 無端ベルト
10 画像形成装置
11B、11C、11M、11Y 像担持体
12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13B、13C、13M、13Y 露光手段
14B、14C、14M、14Y 転写手段
15B、15C、15M、15Y クリーニング手段
16 記録体
20 現像手段
21B、21C、21M、21Y、34 筐体
22B、22C、22M、22Y 現像剤
23B、23C、23M、23Y 現像剤担持体
24B、24C、24M、24Y 現像剤規制部材
30 定着装置
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 無端ベルト支持ローラ
35 開口部
41 カセット
42 支持ローラ
50 押出機
51 押出機
52 シリンダー
53 ホッパー装着口
60 スクリュー
61 スクリュー
62 移送路
63 混合部
64 間隙
70 ヘッド
71 ヘッド
72 押出流路
73 押出流路
74 案内孔
80 マンドレル
81 マンドレル
82 案内孔
83 突出部
84 外周面
90 ホッパー
91 駆動手段
92 搬送手段
93 フィルタ部材
100 抵抗測定器
101 電極板
102 分銅
103 ローラ固定治具
104 第1の電極
105 第2の電極
B、C、M、Y 現像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体を移送することのできる移送路が内部に形成されたスクリューと、軸線が前記スクリューの軸線と同軸になるように前記スクリューの下流に配置され、前記スクリューにより押出されてきた導電性組成物を収容するヘッドと、前記ヘッドの内部に配置されて、前記ヘッドに収容された前記導電性組成物が流動する押出流路を形成すると共に、前記移送路から移送されてくる前記軸体を前記ヘッド内部に案内する案内孔が内部に形成されたマンドレルとを備えた押出機を用いて、前記軸体の移送方向と同方向に、前記スクリューにより導電性組成物を前記押出流路に押出して、前記ヘッド内で前記案内孔から送り出される前記軸体の外周面に前記導電性組成物を成形し、
前記軸体の外周面に成形された前記導電性組成物を硬化することを特徴とする導電性ローラの製造方法。
【請求項2】
前記スクリューは、少なくともその先端部がパイナップル型混合部である請求項1に記載の導電性ローラの製造方法。
【請求項3】
前記マンドレルは、その外周面がパイナップル型凹凸形状に形成されてなる請求項1又は2に記載の導電性ローラの製造方法。
【請求項4】
スクリューと、軸線が前記スクリューの軸線に対して垂直方向になるように前記スクリューの下流に配置され、前記スクリューにより押出されてきた導電性組成物を収容するヘッドと、前記ヘッドの内部に配置されて、前記ヘッドに収容された前記導電性組成物が流動する押出流路を形成すると共に、軸体を前記ヘッド内部に案内する案内孔が内部に形成され、かつ、パイナップル型凹凸形状が外周面に形成されたマンドレルとを備えた押出機を用いて、前記スクリューの軸線に対して垂直方向に、前記スクリューにより導電性組成物を前記押出流路に押出して、前記ヘッド内で前記案内孔から送り出される前記軸体の外周面に前記導電性組成物を成形し、
前記軸体の外周面に成形された前記導電性組成物を硬化することを特徴とする導電性ローラの製造方法。
【請求項5】
軸体と、前記軸体の外周面に形成された導電性弾性層とを備え、周方向における電気抵抗値の最小値に対する最大値の割合が10以下である導電性ローラ。
【請求項6】
前記導電性弾性層の外周面に形成されたコート層を備えた請求項5に記載の導電性ローラ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の導電性ローラを備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−116709(P2008−116709A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300110(P2006−300110)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【復代理人】
【識別番号】100118809
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 育男
【Fターム(参考)】