説明

導電性微粒子、異方性導電材料及び接続構造体

【課題】接続抵抗値を低減させることができ、高い接続信頼性を実現することができる、導電性微粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、該導電性微粒子を用いてなる、異方性導電材料及び接続構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂微粒子の表面に、ニッケル又はパラジウムを含有する金属層と、低融点金属とインジウムとを含有する低融点金属層とが順次積層されている導電性微粒子であって、前記低融点金属層中に含有される金属の合計に占める前記インジウムの含有量は、0.01〜6重量%である導電性微粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続抵抗値を低減させることができ、高い接続信頼性を実現することができる、導電性微粒子に関する。また、本発明は、該導電性微粒子を用いてなる、異方性導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路基板において、ICやLSIは、ICやLSIの電極をプリント基板にハンダ付けすることによって、接続されていた。しかし、ハンダ付けを用いた場合、プリント基板と、ICやLSIとの接続が効率的ではなく、更に、ICやLSIの実装密度を向上させることが困難であるという問題があった。
この問題を解決するためにハンダを球状にした、「ハンダボール」を用いて、ICやLSIを基板に接続するBGA(ボールグリッドアレイ)が開発された。BGAを用いると、チップ又は基板に実装されたハンダボールを高温で溶融させることにより、基板とチップとを接続できる。従って、電子回路基板の生産効率が改善され、チップの実装密度が向上した電子回路基板を製造できる。
【0003】
近年、電子部品の小型化が要求されているため、電子回路基板の多層化が進んでいる。多層基板は使用環境の影響を受けやすいことから、基板に歪みや伸縮が発生することがあった。その結果、基板間の接続部が断線するという問題があった。例えば、ハンダボールを用いて半導体を基板に接続すると、半導体と基板との線膨張係数が違うため、ハンダボールに応力が加わる。ハンダボールに応力が加わると、ハンダボールに亀裂が入り、基板間の接続部が断線することがあった。
【0004】
特許文献1や特許文献2には、樹脂微粒子の表面に無電解めっきや電解めっきにより金属層を設けた導電性微粒子が開示されている。樹脂微粒子の表面に金属層を設けた導電性微粒子を用いれば、柔軟な樹脂微粒子が導電性微粒子に加わる応力を緩和する。従って、半導体と基板との接続部に応力が発生しても、半導体と基板との接続部の導通が維持できる。
【0005】
特許文献1や特許文献2に開示されている導電性微粒子を用いた接続方法では、導電性微粒子が電極と点接触しているため、充分な導通が得られないという問題があった。この問題に対して、特許文献3には、銅等の金属層上に更にハンダ層を設けた導電性微粒子が開示されている。ハンダ層を設けた導電性微粒子は、リフロー工程を経ることによりハンダ層が溶融し、導電性微粒子が電極に面接触した状態で接合する。従って、特許文献3に開示されている導電性微粒子を用いることにより、高い導通性能が得られる。実際、粒子径が100μmを超える大きな導電性微粒子を用いて接続を行った場合には、充分な導通を得ることができていた。なお、上記リフロー工程は、「基板上で電子部品を接続する箇所に予めハンダ層を設けた導電性微粒子を供給し、加熱するハンダ付けの工程」を意味する。
【0006】
しかし、近年の電子部品は小型化が進んでいる。電子部品を小型化するためには、電子部品の隣接する電極間の距離が100μm未満であることが要求されている。ところが、例えば、特許文献3の記載に基づいて、粒子径100μm未満の導電性微粒子を作製し、隣接する電極間の距離が100μm未満の電子部品を接続した場合、充分な導通が得られなかった。更に、粒子径100μm未満の導電性微粒子を作製する段階で2個以上の導電性微粒子が凝集してしまうため、凝集した導電性微粒子を介して隣接する電極間で短絡が発生してしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平5−036306号公報
【特許文献2】特開平9−306231号公報
【特許文献3】特開2001−220691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、接続抵抗値を低減させることができ、高い接続信頼性を実現することができる、導電性微粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、該導電性微粒子を用いてなる、異方性導電材料及び接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、樹脂微粒子の表面に、ニッケル又はパラジウムを含有する金属層と、低融点金属とインジウムとを含有する低融点金属層とが順次積層されている導電性微粒子であって、前記低融点金属層中に含有される金属の合計に占める前記インジウムの含有量は、0.01〜6重量%である導電性微粒子である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
金属層上に錫等を含有する低融点金属層が設けられた導電性微粒子は、加熱されると金属層と低融点金属層との間で金属の相互拡散が起こることが知られていた。特に平均粒子径が100μm未満の導電性微粒子は、金属層及び低融点金属層の厚さが薄いため、各金属層間の金属の相互拡散が起こりやすかった。その結果、導電性微粒子と電極との導通性能が大幅に低下する原因となっていた。
【0010】
そこで、本発明者らは、樹脂微粒子の表面にニッケル等の特定の金属を含有する金属層と低融点金属層とを順次積層することにより、各金属層間の金属の相互拡散を防止できる導電性微粒子が得られることを見出した。また、この導電性微粒子は、平均粒子径が100μm未満の導電性微粒子であっても、電子部品の実装に用いることができることを見出した。
しかしながら、金属層の表面に低融点金属層を形成すると、低融点金属層の表面が凹凸形状となり、低融点金属層の厚みが均一とならないことがあった。その結果、導電性微粒子と電極との接続抵抗値が高くなるという新たな課題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明者らは、低融点金属層に所定量のタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素を含有させることにより、低融点金属層の表面に凹凸がなく、低融点金属層の厚みが均一となる導電性微粒子が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明の導電性微粒子を用いて導電接続すると、電極間の接続抵抗値を低減させることができ、接続信頼性を大幅に向上させることができる。
【0012】
本発明の導電性微粒子は、樹脂微粒子の表面に、ニッケル又はパラジウムを含有する金属層と低融点金属層とが順次積層された構造を有する。
上記樹脂微粒子を構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂等のフェノール樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等のメラミン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂等のベンゾグアナミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、(不)飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた樹脂は、好適な硬さの樹脂微粒子を得やすいことから好ましい。
【0013】
上記樹脂微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は90μmである。上記樹脂微粒子の平均粒子径が1μm未満であると、樹脂微粒子が凝集しやすく、凝集した樹脂微粒子を用いて得られた導電性微粒子が隣接する電極間の短絡を引き起こすことがある。上記樹脂微粒子の平均粒子径が90μmを超えると、粒子径が100μm以下の導電性微粒子を製造できないことがある。上記樹脂微粒子の平均粒子径のより好ましい下限は2μm、より好ましい上限は50μmである。
なお、本明細書において樹脂微粒子の平均粒子径は光学顕微鏡、又は、電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ50個の粒子を観察して得られた直径の平均値を意味する。
【0014】
上記樹脂微粒子の平均粒子径の変動係数は特に限定されないが、好ましい上限は10%である。上記変動係数が10%を超えると、得られた導電性微粒子が相対向する電極間隔を均一に制御できないことがある。
なお、上記変動係数は、粒子径分布から得られた標準偏差を平均粒子径で除して得られた数値である。
【0015】
上記樹脂微粒子の10%K値は特に限定されないが、好ましい下限は1000MPa、好ましい上限は15000MPaである。上記10%K値が1000MPa未満であると、得られた樹脂微粒子の強度が充分ではなく圧縮変形させたときに粒子の破壊が生じることがある。その結果、相対向する電極間隔を均一に制御できないことがある。上記10%K値が15000MPaを超えると、導電性微粒子により、電極が損傷することがある。上記10%K値のより好ましい下限は2000MPa、より好ましい上限は10000MPaである。
なお、上記10%K値は、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所社製「PCT−200」)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円柱の平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記式により求めることができる。
K値(N/mm)=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2
F:粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:粒子の半径(mm)
【0016】
上記樹脂微粒子の回復率は特に限定されないが、好ましい下限は20%である。上記回復率が20%未満であると、得られた導電性微粒子が圧縮された後、導電性微粒子が変形されたまま形状が回復しなくなり、接続抵抗値が高くなることがある。上記回復率のより好ましい下限は40%である。
なお、上記回復率は、粒子に9.8mNの荷重を負荷した後の回復率をいう。
【0017】
本発明の導電性微粒子は、樹脂微粒子の表面に、ニッケル又はパラジウムを含有する金属層を有する。なお、上記金属層は、銅等の金属を含有する導電層を介して、樹脂微粒子の表面に形成されていてもよい。
上記金属層は、上記低融点金属層と上記金属層との間で、金属の相互拡散を抑制し、導電性の低下を防止する役割を有する。特に、上記金属層が、銅等の金属を含有する導電層を介して、上記導電層の表面に形成されている導電性微粒子は、銅等の金属と上記低融点金属との間での金属の相互拡散を防止できる。
上記金属層を構成する金属のなかでも、上記金属層の形成が容易であることからニッケルが好適である。
【0018】
本発明の導電性微粒子は、樹脂微粒子の表面に、ニッケル又はパラジウムを含有する金属層と、低融点金属とタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素とを含有する低融点金属層とが順次積層されている導電性微粒子である。このような導電性微粒子の場合、上記金属層は、上記低融点金属層に拡散しにくい金属で構成されていることが必要である。
また、本発明の導電性微粒子は、樹脂微粒子の表面に、銅等の金属を含有する導電層と、ニッケル又はパラジウムを含有する金属層と、低融点金属とタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素とを含有する低融点金属層とが順次積層されている導電性微粒子であってもよい。このような導電性微粒子の場合、上記金属層は、上記低融点金属層に拡散しにくい金属で構成されており、かつ、上記銅等の金属が上記低融点金属層に拡散することを防止できる金属で構成されていることが好ましい。
【0019】
上記金属層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.02μm、好ましい上限は2μmである。上記金属層の厚さが0.02μm未満であると、上記金属層が割れやすくなることがある。上記金属層の厚さが2μmを超えると、上記金属層を形成する際に、導電性微粒子が凝集しやすく、凝集した導電性微粒子は隣接する電極間の短絡を引き起こすことがある。更に、得られた導電性微粒子の柔軟性が損なわれることがある。上記金属層の厚さのより好ましい下限は0.05μm、より好ましい上限は1μmである。
【0020】
本発明の導電性微粒子は、低融点金属とタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素とを含有する低融点金属層を有する。
上記低融点金属層は、リフロー工程により溶融して電極に接合し、電極間を導通させる役割を有する。
【0021】
本発明における上記低融点金属層中に含有される金属の合計に占めるタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素の含有量は、0.01〜6重量%である。
従来のめっき方法で、上記金属層の表面に低融点金属層を形成すると、低融点金属層の表面が凹凸形状となり、厚みが均一とならない。その結果、接続抵抗値が高くなってしまう。しかしながら、上記低融点金属層中に、タリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素を所定量含有することで、上記金属層の表面に低融点金属層が均一に形成された導電性微粒子が得られる。その結果、接続抵抗値が低くなる。
また、形成された低融点金属層は、低融点金属の結晶子径が小さく、緻密なめっき構造となるため、適度な硬度を有する。本発明の導電性微粒子を異方性導電材料に使用した場合、異方性導電材料に含まれるバインダー樹脂を容易に排除し、導電性微粒子が電極に接触できるため、接続抵抗値を低減させることができる。
【0022】
上記低融点金属層中に含有される金属の合計に占めるタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素の含有量の下限は、0.01重量%、上限は6重量%である。上記第13族元素の含有量が0.01重量%未満であると、低融点金属層の表面が凹凸形状となり、厚みが均一とならないため、電極間の接続抵抗値が高くなる。上記第13族元素の含有量が6重量%を超えると、低融点金属層に含まれる低融点金属の含有量が減少するため、電極間の接続抵抗値が高くなる。上記第13族元素の含有量の好ましい上限は2.5重量%であり、より好ましい上限は1.0重量%である。
なお、上記第13族元素の含有量は、エネルギー分散蛍光X線分析装置(島津製作所社製「Rayny EDX−800HS」)により測定できる。
【0023】
上記低融点金属層を構成する低融点金属は特に限定されないが、錫、又は錫を含有する合金であることが好ましい。上記合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金等が挙げられる。
なかでも、融点が低いことから、低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金が好適である。
【0024】
更に、上記低融点金属層と電極との接合強度を向上させるために、上記低融点金属層に、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含有させてもよい。なかでも、上記低融点金属層と電極との接合強度を向上させる効果に優れていることから、上記低融点金属層に、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛を含有させることが好適である。
上記低融点金属層中に含有される金属の合計に占める上記金属の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.0001重量%、好ましい上限は1重量%である。上記低融点金属層中に含有される金属の合計に占める上記金属の含有量が、0.0001〜1重量%の範囲内であることにより、上記低融点金属層と電極との接合強度をより向上させることができる。
【0025】
上記低融点金属層に含まれる低融点金属の平均結晶子径は特に限定されないが、好ましい上限は40nmである。上記平均結晶子径が40nmを超えると、低融点金属層の硬度が低下し、電極との接合強度が充分に得られないことがある。
なお、平均結晶子径は、X線回折による低融点金属結晶の(111)ピークから機器依存の値を取り除いた半値幅を算出し、Scherrerの式を用いることにより算出できる。
【0026】
上記低融点金属層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は10μmである。上記低融点金属層の厚さが0.05μm未満であると、リフローして溶融させても充分に電極に接合できないことがある。上記低融点金属層の厚さが10μmを超えると、上記低融点金属層を形成する際に導電性微粒子が凝集しやすく、凝集した導電性微粒子は隣接する電極間の短絡を引き起こすことがある。上記低融点金属層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は6μmである。
【0027】
本発明の導電性微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は2μm、好ましい上限は100μmである。本発明の導電性微粒子の平均粒子径が2μm未満であると、導電性微粒子の製造時に、導電性微粒子が凝集することがある。本発明の導電性微粒子の平均粒子径が100μmを超えると、本発明の優れた効果が充分に発揮されないことがある。上記平均粒子径のより好ましい上限は60μmである。
なお、上記導電性微粒子の平均粒子径は光学顕微鏡、又は、電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ50個の粒子を観察して得られた直径の平均値である。
【0028】
本発明の導電性微粒子を製造する方法は特に限定されない。しかしながら、従来の電解めっき法により金属層や低融点金属層を形成する方法では、平均粒子径が100μm未満の導電性微粒子を製造することは困難である。これは、小さな樹脂微粒子に電解めっき法によりめっきを施そうとすると、樹脂微粒子が凝集して均一なめっきができないからである。
本発明者らは、金属層及び低融点金属層をそれぞれ無電解めっき法により形成させた場合に、平均粒子径が100μm未満の導電性微粒子であってもほとんど凝集せず、めっき層を形成できることを見出した。
【0029】
更に、本発明者らは、無電解めっき法において、所定量のタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素の塩を含有する低融点金属めっき液を用いることで、導電性微粒子の表面に凹凸がなく、均一な厚さの低融点金属層を形成でき、接続抵抗値が低く、接続信頼性に優れる導電性微粒子が得られることを見出した。
【0030】
本発明の導電性微粒子を製造する方法は特に限定されないが、樹脂微粒子の表面に無電解めっき法によりニッケル又はパラジウムを含有する金属層を形成する工程と、上記金属層上に、低融点金属めっき液を用い、無電解めっき法により低融点金属とタリウム、インジウム及びガリウムからなる群より選択される少なくとも1種の第13族元素とを含有する低融点金属層を形成する工程を有する導電性微粒子の製造方法であって、上記低融点金属層を形成する工程において、上記低融点金属塩と上記第13族元素の塩とを含有する低融点金属めっき液を用いる導電性微粒子の製造方法であることが好ましい。
【0031】
上記低融点金属層を形成する工程において、前期めっき工程として、上記低融点金属塩と上記第13族元素の塩とを含有する低融点金属めっき液を用いて上記第13族元素を含有する低融点金属層を形成し、次いで後期めっき工程として、上記第13族元素の塩を含有しない低融点金属めっき液を用いて上記第13族元素を含有しない低融点金属層を形成させることもできる。
前期めっき工程と後期めっき工程とを行なうことにより、低融点金属層全体に含有される金属に占める上記第13族元素の含有量を容易に調整できる。
【0032】
本発明の導電性微粒子を製造する方法では、上記樹脂微粒子の表面に無電解めっき法によりニッケル又はパラジウムを含有する金属層を形成する工程において、従来公知の無電解めっき法と同様の方法を用いることができる。
なお、銅等の金属を含有する導電層を形成する工程を有する場合も、従来公知の無電解めっき法と同様の方法を用いることができる。
【0033】
本発明の導電性微粒子を製造する方法では、低融点金属層を形成する工程において、低融点金属塩と上記第13族元素の塩とを含有し、かつ、上記第13族元素の塩の含有量が低融点金属塩100重量部に対して0.05〜5重量部である低融点金属めっき液を用いることが好ましい。
上記第13族元素の塩の含有量が0.05重量部未満であると、低融点金属層の表面が凹凸形状となり、厚みが均一とならないことがある。上記第13族元素の塩の含有量が5重量部を超えると、めっき反応が進行しないことがある。上記第13族元素の塩の含有量は0.1〜3重量部であることがより好ましい。
【0034】
上記低融点金属塩は特に限定されず、塩化錫等が挙げられる。
上記第13族元素の塩は特に限定されず、上記第13族元素の硝酸塩、上記第13族元素の塩化物等が挙げられる。具体的には、例えば、硝酸タリウム、硫酸タリウム、塩化タリウム、硝酸ガリウム、硫酸ガリウム、塩化ガリウム、硝酸インジウム、硫酸インジウム、塩化インジウム等が挙げられる。
【0035】
本発明の導電性微粒子は、絶縁性のバインダー樹脂中に分散させることにより異方性導電材料としても好適に用いることができる。例えば、本発明の導電性微粒子をバインダー樹脂や粘接着剤等と混合、混練することにより、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、異方性導電シート等の異方性導電材料として使用できる。本発明の導電性微粒子を用いてなる異方性導電材料もまた、本発明の1つである。
また、本発明の導電性微粒子は特に狭小な電極間の導電接続に用いたときに、高い接続信頼性を発揮できる接続構造体が得られる。本発明の導電性微粒子を用いてなる接続構造体もまた、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、接続抵抗値を低減させることができ、高い接続信頼性を実現することができる、導電性微粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、該導電性微粒子を用いてなる、異方性導電材料及び接続構造体を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0038】
(実施例1)
テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量部とジビニルベンゼン50重量部とを共重合させて得られた、平均粒子径10μmの樹脂微粒子5gに、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記銅めっき液(pH10、めっき液温65℃)にて無電解銅めっきを行い、樹脂微粒子表面に厚さ0.2μmの銅めっき層(導電層)を形成した。
【0039】
(銅めっき液組成)
硫酸銅五水和物:21g/L
ホルムアルデヒド:60g/L
エチレンジアミン四酢酸:45g/L
ビピリジル:40ppm
ポリエチレングリコール(分子量1000):50ppm
【0040】
上記銅めっき層を形成した銅めっき被覆樹脂微粒子の表面に、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記ニッケルめっき液(pH12、めっき液温50℃)にて無電解ニッケルめっきを行い、銅めっき層の上に厚さ0.05μmのニッケルめっき層(金属層)を形成した。
【0041】
(ニッケルめっき液組成)
硫酸ニッケル六水和物:450g/L
次亜リン酸ナトリウム:150g/L
クエン酸ナトリウム:116g/L
トリエタノールアミン:7.5g/L
硝酸タリウム:2ppm
【0042】
上記ニッケルめっき層を形成したニッケルめっき被覆樹脂微粒子を下記錫めっき液(pH9、めっき液温50℃)にて無電解錫めっきを行い、ニッケルめっき層の上に厚さ1μmの錫めっき層(低融点金属層)を形成し、平均粒子径12.5μmの導電性微粒子を得た。
【0043】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:20ppm
【0044】
なお、上記錫めっき層中に含有される金属の合計に占めるタリウムの含有量は、エネルギー分散蛍光X線分析装置(島津製作所社製「Rayny EDX−800HS」)により求めた。以下、同様とする。
【0045】
(実施例2)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
【0046】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:100ppm
【0047】
(実施例3)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
【0048】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:250ppm
【0049】
(実施例4)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
【0050】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:400ppm
【0051】
(実施例5)
テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量部とジビニルベンゼン50重量部とを共重合させて得られた、平均粒子径10μmの樹脂微粒子5gに、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記ニッケルめっき液(pH12、めっき液温50℃)にて無電解ニッケルめっきを行い、厚さ0.05μmのニッケルめっき層(金属層)を形成した。
【0052】
(ニッケルめっき液組成)
硫酸ニッケル六水和物:450g/L
次亜リン酸ナトリウム:150g/L
クエン酸ナトリウム:116g/L
トリエタノールアミン:7.5g/L
硝酸タリウム:2ppm
【0053】
上記ニッケルめっき層を形成したニッケルめっき被覆樹脂微粒子を下記錫めっき液(pH9、めっき液温50℃)にて無電解錫めっきを行い、ニッケルめっき層の上に厚さ1μmの錫めっき層(低融点金属層)を形成し、平均粒子径12.1μmの導電性微粒子を得た。
【0054】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:20ppm
【0055】
(実施例6)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例5と同様にして導電性微粒子を得た。
【0056】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:100ppm
【0057】
(実施例7)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例5と同様にして導電性微粒子を得た。
【0058】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:250ppm
【0059】
(実施例8)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例5と同様にして導電性微粒子を得た。
【0060】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:400ppm
【0061】
(実施例9)
テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量部とジビニルベンゼン50重量部とを共重合させて得られた、平均粒子径10μmの樹脂微粒子5gに、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記銅めっき液(pH10、めっき液温65℃)にて無電解銅めっきを行い、樹脂微粒子表面に厚さ0.2μmの銅めっき層(導電層)を形成した。
【0062】
(銅めっき液組成)
硫酸銅五水和物:21g/L
ホルムアルデヒド:60g/L
エチレンジアミン四酢酸:45g/L
ビピリジル:40ppm
ポリエチレングリコール(分子量1000):50ppm
【0063】
上記銅めっき層を形成した銅めっき被覆樹脂微粒子の表面に、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記パラジウムめっき液(pH10、めっき液温50℃)にて無電解パラジウムめっきを行い、銅めっき層の上に厚さ0.05μmのパラジウムめっき層(金属層)を形成した。
【0064】
(パラジウムめっき液組成)
硫酸パラジウム:4.0mol/L
エチレンジアミン:2.4g/L
ギ酸ナトリウム:4.0mol/L
【0065】
上記パラジウムめっき層を形成したパラジウムめっき被覆樹脂微粒子を下記錫めっき液(pH9、めっき液温50℃)にて無電解錫めっきを行い、パラジウムめっき層の上に厚さ1μmの錫めっき層(低融点金属層)を形成し、平均粒子径12.5μmの導電性微粒子を得た。
【0066】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:20ppm
【0067】
(実施例10)
テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量部とジビニルベンゼン50重量部とを共重合させて得られた、平均粒子径10μmの樹脂微粒子5gに、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記銅めっき液(pH10、めっき液温65℃)にて無電解銅めっきを行い、樹脂微粒子表面に厚さ0.2μmの銅めっき層(導電層)を形成した。
【0068】
(銅めっき液組成)
硫酸銅五水和物:21g/L
ホルムアルデヒド:60g/L
エチレンジアミン四酢酸:45g/L
ビピリジル:40ppm
ポリエチレングリコール(分子量1000):50ppm
【0069】
上記銅めっき層を形成した銅めっき被覆樹脂微粒子の表面に、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記ニッケルめっき液(pH12、めっき液温50℃)にて無電解ニッケルめっきを行い、銅めっき層の上に厚さ0.05μmのニッケルめっき層(金属層)を形成した。
【0070】
(ニッケルめっき液組成)
硫酸ニッケル六水和物:450g/L
次亜リン酸ナトリウム:150g/L
クエン酸ナトリウム:116g/L
トリエタノールアミン:7.5g/L
硝酸タリウム:2ppm
【0071】
上記ニッケルめっき層を形成したニッケルめっき被覆樹脂微粒子を下記錫めっき液(pH9、めっき液温50℃)にて無電解錫めっきを行い、ニッケルめっき層の上に厚さ1μmの錫めっき層(低融点金属層)を形成し、平均粒子径12.5μmの導電性微粒子を得た。
【0072】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸ガリウム:20ppm
【0073】
なお、上記錫めっき層中に含有される金属の合計に占めるガリウムの含有量は、エネルギー分散蛍光X線分析装置(島津製作所社製「Rayny EDX−800HS」)により求めた。以下、同様とする。
【0074】
(実施例11)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例10と同様にして導電性微粒子を得た。
【0075】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸ガリウム:100ppm
【0076】
(実施例12)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例10と同様にして導電性微粒子を得た。
【0077】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸ガリウム:250ppm
【0078】
(実施例13)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例10と同様にして導電性微粒子を得た。
【0079】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸ガリウム:400ppm
【0080】
(実施例14)
テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量部とジビニルベンゼン50重量部とを共重合させて得られた、平均粒子径10μmの樹脂微粒子5gに、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記銅めっき液(pH10、めっき液温65℃)にて無電解銅めっきを行い、樹脂微粒子表面に厚さ0.2μmの銅めっき層(導電層)を形成した。
【0081】
(銅めっき液組成)
硫酸銅五水和物:21g/L
ホルムアルデヒド:60g/L
エチレンジアミン四酢酸:45g/L
ビピリジル:40ppm
ポリエチレングリコール(分子量1000):50ppm
【0082】
上記銅めっき層を形成した銅めっき被覆樹脂微粒子の表面に、パラジウム触媒を担持させた。次いで、下記ニッケルめっき液(pH12、めっき液温50℃)にて無電解ニッケルめっきを行い、銅めっき層の上に厚さ0.05μmのニッケルめっき層(金属層)を形成した。
【0083】
(ニッケルめっき液組成)
硫酸ニッケル六水和物:450g/L
次亜リン酸ナトリウム:150g/L
クエン酸ナトリウム:116g/L
トリエタノールアミン:7.5g/L
硝酸タリウム:2ppm
【0084】
上記ニッケルめっき層を形成したニッケルめっき被覆樹脂微粒子を下記錫めっき液(pH9、めっき液温50℃)にて無電解錫めっきを行い、ニッケルめっき層の上に厚さ1μmの錫めっき層(低融点金属層)を形成し、平均粒子径12.5μmの導電性微粒子を得た。
【0085】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸インジウム:20ppm
【0086】
なお、上記錫めっき層中に含有される金属の合計に占めるインジウムの含有量は、エネルギー分散蛍光X線分析装置(島津製作所社製「Rayny EDX−800HS」)により求めた。以下、同様とする。
【0087】
(実施例15)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例14と同様にして導電性微粒子を得た。
【0088】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸インジウム:100ppm
【0089】
(実施例16)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例14と同様にして導電性微粒子を得た。
【0090】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸インジウム:250ppm
【0091】
(実施例17)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例14と同様にして導電性微粒子を得た。
【0092】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸インジウム:400ppm
【0093】
(比較例1)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液に硝酸タリウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。なお、得られた導電性微粒子には、均一な厚さの低融点金属層が形成されていなかったため、平均粒子径の測定を行なわなかった。
【0094】
(比較例2)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を得た。
【0095】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:700ppm
【0096】
(比較例3)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液に硝酸タリウムを添加しなかったこと以外は、実施例5と同様にして導電性微粒子を得た。なお、得られた導電性微粒子には、均一な厚さの低融点金属層が形成されていなかったため、平均粒子径の測定を行なわなかった。
【0097】
(比較例4)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例5と同様にして導電性微粒子を得た。
【0098】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸タリウム:700ppm
【0099】
(比較例5)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例10と同様にして導電性微粒子を得た。
【0100】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸ガリウム:700ppm
【0101】
(比較例6)
錫めっき層を形成する際に錫めっき液を以下の組成とした以外は、実施例14と同様にして導電性微粒子を得た。
【0102】
(錫めっき液組成)
塩化錫(II)二水和物:18g/L
塩化チタン(III):26g/L
クエン酸ナトリウム:50g/L
ニトリロ酢酸三ナトリウム一水和物:38g/L
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物:43g/L
グリシルグリシン:250ppm
ベンゾトリアゾール:100ppm
硝酸インジウム:700ppm
【0103】
(導電性微粒子の表面観察)
実施例1〜17及び比較例1〜6で得られた導電性微粒子の表面を、電子顕微鏡で観察した。実施例1〜17、比較例2、4〜6で得られた導電性微粒子の表面には、全体を覆うように低融点金属層が形成されていた。比較例1、3で得られた導電性微粒子の表面には、均一な厚さの低融点金属層が形成されていなかった。
【0104】
(異方性導電フィルムの作製)
実施例1〜17及び比較例1〜6で得られた導電性微粒子を用いて、以下の方法によりそれぞれ異方性導電フィルムを作製した。
バインダー樹脂としてエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「エピコート828」)100重量部、トリスジメチルアミノエチルフェノール2重量部、及び、トルエン100重量部を、遊星式攪拌機を用いて充分に混合した後、離型フィルム上に乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布し、トルエンを揮発させて接着性フィルム1を得た。
次いで、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「エピコート828」)100重量部、トリスジメチルアミノエチルフェノール2重量部、及び、トルエン100重量部に、実施例1〜17及び比較例1〜6で得られた導電性微粒子のいずれかを添加し、遊星式攪拌機を用いて充分に混合した後、離型フィルム上に乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、トルエンを揮発させて導電性微粒子を含有する接着性フィルム2をそれぞれ得た。
なお、接着性フィルム2における導電性微粒子の含有量が5万個/cmとなるように調整した。
得られた接着性フィルム1と接着性フィルム2とを常温でラミネートし、2層構造を有する厚さ35μmの異方性導電フィルムを得た。
【0105】
(接続抵抗値の測定)
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断した異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線が形成されたアルミニウム電極(高さ0.2μm、L/S=20μm/20μm)を有するガラス基板(幅200μm、長さ1mm)のアルミニウム電極側のほぼ中央に貼り付けた。次いで、同じアルミニウム電極を有するガラス基板(幅200μm、長さ1mm)を、電極同士が重なるように位置合わせをしてから貼り合わせた。このガラス基板の積層体を、10N、240℃の圧着条件でリフローした後、対向する電極間の接続抵抗値を測定した。また、接続抵抗値の評価を以下の基準で行った。結果を表1に示した。
○:対向する電極間の接続抵抗値が4Ω未満
×:対向する電極間の接続抵抗値が4Ω以上
【0106】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、接続抵抗値を低減させることができ、高い接続信頼性を実現することができる、導電性微粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、該導電性微粒子を用いてなる、異方性導電材料及び接続構造体を提供することを目的とする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂微粒子の表面に、ニッケル又はパラジウムを含有する金属層と、低融点金属とインジウムとを含有する低融点金属層とが順次積層されている導電性微粒子であって、
前記低融点金属層中に含有される金属の合計に占める前記インジウムの含有量は、0.01〜6重量%である
ことを特徴とする導電性微粒子。
【請求項2】
樹脂微粒子と金属層との間に、導電層を有することを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項3】
導電層は、銅を含有することを特徴とする請求項2記載の導電性微粒子。
【請求項4】
インジウムの含有量は、0.01〜2.5重量%であることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の導電性微粒子を用いてなることを特徴とする異方性導電材料。
【請求項6】
請求項1、2、3若しくは4記載の導電性微粒子、又は、請求項5記載の異方性導電材料を用いてなることを特徴とする接続構造体。


【公開番号】特開2009−231266(P2009−231266A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318054(P2008−318054)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【分割の表示】特願2008−532517(P2008−532517)の分割
【原出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】