説明

導電性端子及び導電性端子を使用した電気コネクタ

【解決手段】 導電性端子及び導電性端子を使用した電気コネクタ、導電性端子は、電子部品と回路基板との間の信号伝達が可能な電気コネクタの絶縁性ハウジング内に画定された端子チャネル内に収容される。導電性端子は、第1の壁と、該第1の壁と所定の角度で接続する第2の壁と、該第2の壁と所定の角度で接続し、かつ、第1の壁と対向する第3の壁とを有する。導電性端子ははんだボールに接続される取付部を形成している。該取付部は、第1の壁の端から湾曲して第3の壁に向かって延在する水平部と、第3の壁に形成され所定の角度で水平部に対応する鉛直部とを備える。水平部と鉛直部とがはんだボールに異なる二方向から接合し、はんだボールが確実に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に導電性端子に関し、より詳細には回路基板に接続されたはんだボールを介して電子部品と回路基板との間の信号伝達が可能な電気コネクタに使用される導電性端子に関する。
【背景技術】
【0002】
図1〜3を参照すると、台湾特許出願087216147号(公開番号392975号)に開示されているように、電気コネクタ1は、コンピュータ装置に使用される中央処理装置(「CPU」)とメインボードを電気的に相互接続するゼロ挿入力(「ZIF」)電気コネクタである。電気コネクタ1は、絶縁性ハウジング10と複数の導電性端子2とを有する。各導電性端子2は、その端にはんだボール23をあらかじめセットすることによって、表面実装技術(「SMT」)により回路基板30と電気的に接続する。
【0003】
電気コネクタ1の絶縁性ハウジング10の下面は、回路基板30側に向けられ位置決めされた取付面12であり、上面は、電子部品を支承する支持面11である。また、絶縁性ハウジング10の取付面12と支持面11との間には複数のスルーホール13が貫通している。
【0004】
対応するスルーホール13に収容された各導電性端子2は、支持面11に向かって延在する接触部20と、取付面12まで反対方向に延在する端部21とから成る。端部21の下面22は、対応するはんだボール23にはんだ付される。
【0005】
導電性端子2の端部21にはんだボール23をあらかじめセットする成功率を高めるために、端部21は接触部20に対して約90度の角度をなす円盤形平面であり、端部21と絶縁性ハウジング10の取付面12がほぼ同一の平面に配置される。端部21が平らな円盤形であることによってはんだボール23をあらかじめセットすることができる領域が広くなるため、はんだボール23は確実にあらかじめセットされる。更に、端部21の縁から複数の突起25が一体的に延在しており、これにより、はんだボール23が端部21の下面22からずれるのを防いでいる。
【0006】
はんだボール23をあらかじめセットするSMTを利用するために、導電性端子2の一端の構造は、はんだボール23を容易に配置し接続することができるものでなければならない。導電性端子2の端部は、種々の解決策によってはんだボール23を配置し接続することができる様々な構造をとることができ、前述の方法はそのような解決策の1つに過ぎない。本発明は、はんだボール23の配置及び接続が改善された導電性端子を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、はんだボールの配置を容易に行うことができる導電性端子及びその導電性端子を使用する電気コネクタを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、はんだボールとはんだ付の確実性が向上した導電性端子を提供することである。
【0009】
本発明の導電性端子は、電子部品と回路基板との間の信号伝達が可能な電気コネクタの絶縁性ハウジングの複数の端子チャネル内に収容される。導電性端子は、第1の壁と、第1の壁と所定の角度で接続する第2の壁と、第2の壁と所定の角度で接続しかつ第1の壁と対向する第3の壁とを有する。導電性端子は、電子部品に電気接続される接触部と、はんだボールを介して回路基板に電気接続される取付部とを有する。取付部は、第1の壁の一端から湾曲して第3の壁に向かって延在する水平部と、第3の壁に形成され所定の角度で水平部に対応する鉛直部とを備える。水平部と鉛直部とがはんだボールに異なる二方向から接合しはんだボールが確実に位置決めされる。
【0010】
鉛直部と水平部の鉛直部側の側面との間に間隙が形成される。はんだボールが溶解すると錫(すず)がこの間隙(げき)に流れ込み、はんだボールと取付部の間のはんだ付の確実性が向上する。
【0011】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面と関連して行われる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
新規であると考えられる本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に説明される。本発明は、その目的及び利点とともに、添付図面と関連して行われる以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。図面において類似の参照符号は類似の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
特定の実施形態を図面に示し本明細書に詳細に説明するが、本発明は様々な形態の実施形態をとることができ、本明細書の記載は発明の原理の例示であり、本発明は本明細書に記載し図示したものに限定されるものではないと理解されたい。
【0014】
ここで、図4及び5を参照すると、電気コネクタに使用される本発明の導電性端子4は、従来技術と類似しており、電子部品(図示せず)と回路基板(図示せず)とを接続する。導電性端子4の端部には、はんだボール6があらかじめセットされる。
【0015】
電気コネクタは、絶縁性ハウジング5と、複数の導電性端子4とを含む。
【0016】
絶縁性ハウジング5は、回路基板(コンピュータのマザーボード等)側に位置決めされる取付面51と、電子部品(中央処理装置(CPU)等)を支持する支持面52とを有する。絶縁性ハウジング5の取付面51と支持面52との間には複数の端子チャネル53が延在している。説明を分かりやすくするために、各図において示す絶縁性ハウジング5は1個の端子チャネル53を有するものとする。
【0017】
各導電性端子4は、対応する端子チャネル53に収容される。導電性端子4は、第1の壁41と、該第1の壁41の一方の側部と約90度の角度をなして接続する第2の壁42と、該第2の壁42の他方の側部と約90度の角度をなして接続し第1の壁41と一定の距離で対向する第3の壁43とを有する。第1の壁41と第2の壁42との接続角部には複数の中空部44があり、これにより、第1の壁41と第2の壁42との接続角部の強度が弱まり、第1の壁41が中空部44に沿って容易に曲がるようになっている。同様に、第3の壁43と第2の壁42との接続角部には複数の中空部44があり、第3の壁43が中空部44に沿って第2の壁42の方に容易に曲がるようになっている。各導電性端子4が、対応する端子チャネル53に収容されると、取付面51に隣接する導電性端子4の一端部は取付部401となり、導電性端子4の取付部401とは反対側の支持面52に隣接する部分は接触部402となる。
【0018】
取付部401は、取付面51に隣接する第1の壁41の一端から第3の壁43に向けて約90度湾曲して延在する水平部45と、第3の壁43から延在し、約90度の角度で水平部45に対応する鉛直部46とを有する。図5を参照すると、水平部45と絶縁性ハウジング5の取付面51は略同一面内に存在する。鉛直部46は取付面51から延出し、はんだボール6を位置決めするためのL字状構造を水平部45と協同して形成している。
【0019】
接触部402は、第1の壁41の一方の側に支持面52に隣接して形成された第1のばねアーム47と、第2の壁42の一方の側に支持面52に隣接して形成された第2のばねアーム48とを有する。第1のばねアーム47の自由端と第2のばねアーム48の自由端とは隣接して、電気要素(図示せず)の挿入部の挿入アームとなるばね収容構造を形成する。接触部402は本発明の新規性の要点ではなく、その電気接続の原理は、ZIF電気コネクタ(図示せず)の導電性端子の対応構造と類似しているので、ここでは詳しく説明しない。
【0020】
図4〜6を参照すると、組立においては、導電性端子4は、絶縁性ハウジング5の取付面51からも絶縁性ハウジング5の対応する端子チャネル53に挿入することができ(図4参照)、絶縁性ハウジング5の支持面52からも絶縁性ハウジング5の対応する端子チャネル53に挿入することができる(図6参照)。導電性端子4を絶縁性ハウジング5の取付面51から絶縁性ハウジング5の対応する端子チャネル53に挿入する場合、導電性端子4の取付部401の鉛直部46を持って導電性端子4を挿入することができる。反対に、導電性端子4を絶縁性ハウジング5の支持面52から絶縁性ハウジング5の対応する端子チャネル53に挿入する場合、第2の壁42の一端に第1のばねアーム47と第2のばねアーム48に対応させて把持部49を形成し、これを持って導電性端子4を挿入することができる。
【0021】
図4及び5を参照すると、導電性端子4の取付部401は、その水平部45と鉛直部46とによってはんだボール6を位置決めする。はんだボール6が水平部45の表面に接触すると、鉛直部46は、水平部45に対し約90度の角度をなし水平部45と協同してL字状構造を形成しているため、はんだボール6が水平部45の延在方向に沿って移動するのを防ぐ。したがって、はんだボール6が、水平部45と鉛直部46とによって画定されたL字状スペースに置かれると、はんだボール6は水平部45及び鉛直部46とそれぞれ接続し、これらによって、異なる二方向の位置決めが行われる。したがって、はんだボール6は、水平部45の表面に正確に位置合せする必要はなく、容易に位置決めすることができる。
【0022】
更に、はんだボール6の位置合せの正確性を向上させるため、水平部45に凹部451を形成する。はんだボール6が水平部45と接続すると、はんだボール6は水平部45の凹部451に収容されるため、はんだボール6の位置決めの確実性が向上する。
【0023】
図7を参照すると、鉛直部46と水平部45の鉛直部46側の側面の間に間隙452が形成されている。はんだボール6が溶融すると、錫が間隙452に流れ込むため、はんだボール6を異なる二方向から水平部45及び鉛直部46の表面にそれぞれはんだ付することができるだけでなく、はんだボール6の錫の一部が間隙452を埋めて閉じ、はんだボール6と導電性端子4の取付部401の間をより確実にはんだ付することができる。
【0024】
導電性端子4は、第1の壁41、第2の壁42及び第3の壁43を有する。導電性端子4は、はんだボール6の位置決めの確実性が、第1の壁41から延在する水平部45と第3の壁43から延在する鉛直部46とによって形成されたL字状スペースによって向上している。鉛直部46と水平部45の鉛直部46側の側面との間に間隙452が形成され、溶融したはんだボール6の錫がこの間隙に入り込むため、はんだボール6のはんだ付の確実性が向上する。
【0025】
本発明をその例示的な実施形態に関して示し説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲に示したような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更、省略及び追加を行えると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の電気コネクタを示す部分断面図である。
【図2】図1の側面部分断面図である。
【図3】図1の従来の電気コネクタの導電性端子の斜視図である。
【図4】本発明の絶縁性ハウジングに絶縁性ハウジングの下から挿入する導電性端子の斜視図である。
【図5】本発明の導電性端子の取付部に位置決めされたはんだボールを示す図4の組立斜視図である。
【図6】本発明の絶縁性ハウジングに絶縁性ハウジングの上から挿入する導電性端子の斜視図である。
【図7】溶融して本発明の導電性端子に接続するはんだボールの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性ハウジング内でかつ電子部品と回路基板の間に画定された端子チャネルに収容することができ、電子部品に電気接続する接触部と、はんだボールを介して回路基板に電気接続する取付部とを備える導電性端子であって、
第1の壁と、第1の壁と所定の角度で接続する第2の壁と、第2の壁と所定の角度で接続しかつ第1の壁と対向する第3の壁とを有し、取付部は、第1の壁の一端から湾曲して第3の壁に向かって延在する水平部と、第3の壁に形成され所定の角度で水平部に対応する鉛直部とを備え、水平部と鉛直部とがはんだボールに異なる二方向から接合してはんだボールを確実に位置決めする導電性端子。
【請求項2】
水平部は、はんだボールを収容するための凹部をはんだボールとの接続面に備えた、請求項1に記載の導電性端子。
【請求項3】
鉛直部と水平部の鉛直部側の側面との間に間隙が形成され、はんだボールが溶解すると錫がこの間隙に流れ込む、請求項1に記載の導電性端子。
【請求項4】
接触部は、第1の壁の一側部に形成された第1のばねアームと、第1のばねアームに対応して第2の壁の一側部に形成された第2のばねアームとを有し、第1のばねアームと第2のばねアームとが電子部品に接続するばね収容構造を形成している、請求項1に記載の導電性端子。
【請求項5】
第2の壁の一端が把持部を形成している、請求項1に記載の導電性端子。
【請求項6】
回路基板にはんだ付される複数のはんだボールを介して電子部品を回路基板と接続するための電気コネクタであって、
回路基板に隣接する取付面と電子部品を支承するための支持面とを備え取付面及び支持面を貫通する複数の端子チャネルを画定する絶縁性ハウジングと、
対応する端子チャネル内にそれぞれ収容された複数の導電性端子とを有し、導電性端子は、第1の壁と、第1の壁と接続する第2の壁と、第1の壁と対向して第2の壁と接続する第3の壁と、取付面に隣接する第1の壁の一端から湾曲して第3の壁に向かって延在する水平部と、所定の角度で水平部に対応し第3の壁から延在する鉛直部とを備え、水平部と鉛直部とがはんだボールを確実に位置決めするための取付部を形成する電気コネクタ。
【請求項7】
導電性端子の水平部が、はんだボールを収容するための凹部をはんだボールとの接続面に備える、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
水平部と絶縁性ハウジングの取付面とが略同一面内に存在し、鉛直部は取付面から延出する、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
鉛直部と水平部の鉛直部側の側面との間に間隙が形成され、溶融したはんだボールの錫が間隙に流れ込む、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
導電性端子は、支持面に隣接して第1の壁の一側部に形成された第1のばねアームと、支持面に隣接して第2の壁の一側部に形成された第2のばねアームとを有し、第1のばねアームと第2のばねアームとが隣接して、ばね収容構造を形成している、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
導電性端子の第2の壁の一端が、支持面に隣接して把持部を形成している、請求項6に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−526251(P2006−526251A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518859(P2005−518859)
【出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/002819
【国際公開番号】WO2004/068641
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】