説明

導電性組成物、並びに、それを用いた透明導電体、タッチパネル及び太陽電池

【課題】特定の分散剤を含有させることで、焼成しなくても導電性を有し、耐久性及び透過率を向上させることができる導電性組成物、並びに、これを用いることで筆圧耐久性、可撓性及び変換効率を向上させることができる透明導電体、筆圧耐久性及び可撓性を向上させることができるタッチパネル、及び変換効率を向上させることができる集積型太陽電池の提供。
【解決手段】本発明の導電性組成物は、導電性繊維と、前記導電性繊維を分散させる下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む分散剤と、を少なくとも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成しなくても導電性を有し、耐久性及び透過率を向上させることができる導電性組成物、並びに、それを用いた透明導電体、タッチパネル及び太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性繊維、導電性ペーストなどの導電性材料は、電子回路の形成、導電性接着剤、導電性塗料などとして広く使用されている。導電性材料を使用して電子回路を形成する方法としては、例えば、プラスチックフィルム上にスクリーン印刷法などにより導電性材料を印刷する方法が知られている。
【0003】
しかし、導電性材料をプラスチックフィルム上に印刷しただけでは導電性材料は導電性を有さない。印刷後、約800℃で3時間〜30時間焼成させることで初めて導電性材料に導電性が有するようになる。このように、導電性材料に導電性を有するようにするには、高温で長時間焼成させる必要があるので、耐熱性に劣るプラスチックフィルム上には導電性材料を印刷することができないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、粒子状銀化合物と分散媒とからなる導電性組成物が提案されており(特許文献1参照)、また、ロッド状のナノサイズの金属微粒子と球状の金属ナノ粒子と分散剤と分散媒とを含有する金属微粒子含有組成物が提案されており(特許文献2参照)、前記導電性組成物及び前記金属微粒子含有組成物を用いることで、180℃〜200℃で焼成することができる。
【0005】
しかし、フレキシブル基板などに使用する材料は前記プラスチックフィルムよりも耐熱性が劣ることから、180℃〜200℃で焼成するとフレキシブル基板が融解してしまうという問題があった。
また、近年、携帯ゲーム機などの普及により急速に需要が拡大しているタッチパネルにおいても導電性材料が広く利用されているが、タッチパネル特有の問題として、筆圧耐久性及び可撓性が劣るという問題もあった。さらに、エネルギー対策の一環から、太陽光から直接電気を得られ、クリーンな発電方法である薄膜太陽電池の開発が検討されているが、変換効率が低いという問題もあった。
【0006】
このように、未だ導電性、筆圧耐久性、可撓性及び変換効率などの向上効果は不十分であり、更なる改善が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−308732号公報
【特許文献2】特開2006−70300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、特定の分散剤を含有させることで、焼成しなくても導電性を有し、耐久性及び透過率を向上させることができる導電性組成物、並びに、これを用いることで筆圧耐久性、可撓性及び変換効率を向上させることができる透明導電体、筆圧耐久性及び可撓性を向上させることができるタッチパネル、及び変換効率を向上させることができる集積型太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 導電性繊維と、前記導電性繊維を分散させる下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む分散剤と、を少なくとも含むことを特徴とする導電性組成物である。
【化1】

但し、一般式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Jは、−CO−、−COO−、−CONR10−、−OCO−、メチレン基、フェニレン基、又は−CCO−基を表す。R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。Wは、単結合又は2価の連結基を表す。Pは、ヘテロ環基を表す。
<2> 一般式(1)中のPが、下記一般式(2)で表される置換基又はその互変異性体構造で表される置換基である前記<1>に記載の導電性組成物である。
【化2】

但し、一般式(2)中、Rは、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、又は置換又は無置換のアリール基を表す。Rは、水素原子又は下記一般式(3)で表される置換基を表す。
【化3】

但し、一般式(3)中、R23は、置換又は無置換の芳香環、ヘテロ原子含有複素環を表す。
<3> 分散剤が、さらに末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーを共重合単位として含むグラフト共重合体である前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電性組成物である。
<4> 重合性オリゴマーが下記一般式(4)で表される前記<3>に記載の導電性組成物である。
【化4】

但し、一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Xは、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、Lは、単結合、又は2価の有機連結基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。mは、0〜100の整数を表し、nは、1〜100の整数を表す。
<5> SP値が、18MPa1/2〜30MPa1/2である非水溶性バインダーをさらに含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の導電性組成物である。
<6> 導電性繊維が、金属ナノワイヤーである前記<1>から<5>のいずれかに記載の導電性組成物である。
<7> 金属ナノワイヤーが、銀、及び、銀と銀以外の金属との合金、のいずれかからなる前記<6>に記載の導電性組成物である。
<8> 銀以外の金属が、金、パラジウム、イリジウム、白金及びオスミウムから選択される少なくとも1種である前記<7>に記載の導電性組成物である。
<9> 導電性繊維の平均長軸径が、1μm〜40μmである前記<1>から<8>のいずれかに記載の導電性組成物である。
<10> 一般式(1)で表される分散剤の含有量が、導電性繊維100質量部に対し、0.01質量部〜30質量部である前記<1>から<9>のいずれかに記載の導電性組成物である。
<11> 一般式(1)で表される分散剤の重量平均分子量が、5,000〜1,000,000である前記<1>から<10>のいずれかに記載の導電性組成物である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の導電性組成物を含んでなることを特徴とする透明導電体である。
<13> 透明導電体における導電性繊維の量が、0.005g/m〜0.5g/mである前記<12>に記載の透明導電体である。
<14> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の導電性組成物を有することを特徴とするタッチパネルである。
<15> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の導電性組成物を有することを特徴とする集積型太陽電池である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、特定の分散剤を含有させることで、焼成しなくても導電性を有し、耐久性及び透過率を向上させることができる導電性組成物、並びに、これを用いることで筆圧耐久性、可撓性及び変換効率を向上させることができる透明導電体、筆圧耐久性及び可撓性を向上させることができるタッチパネル、及び変換効率を向上させることができる集積型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、タッチパネルの一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、タッチパネルの他の一例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、図2に示すタッチパネルにおける透明導電体の配置例を示す概略平面図である。
【図4】図4は、タッチパネルの更に他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(導電性組成物)
前記導電性組成物は、導電性繊維と、分散剤と、を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0013】
<導電性繊維>
前記導電性繊維の20℃〜100℃での導電性としては、0.01(Ω/□)〜1,000(Ω/□)である。前記導電性は、例えば、導電性繊維でペレットを作製し、Loresta−GP MCP−T600(三菱化学株式会社製)を用いて測定することができる。
前記導電性繊維の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中実構造及び中空構造のいずれかであることが好ましい。
ここで、中実構造の繊維をワイヤーと呼ぶことがあり、中空構造の繊維をチューブと呼ぶことがある。
平均短軸径が5nm〜1,000nmであって、平均長軸径が1μm〜100μmの導電性繊維をナノワイヤーと呼ぶことがある。
また、平均短軸径が1nm〜1,000nm、平均長軸径が0.1μm〜1,000μmであって、中空構造を持つ導電性繊維をナノチューブと呼ぶことがある。
前記導電性繊維の材料としては、導電性を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属及びカーボンの少なくともいずれかであることが好ましく、これらの中でも、前記導電性繊維は、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ、及びカーボンナノチューブの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0014】
<<金属ナノワイヤー>>
−金属−
前記金属ナノワイヤーの材料としては、特に制限はなく、例えば、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2族〜第14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
【0015】
前記金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、これらの合金などが挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀、及び銀との合金が好ましい。
前記銀との合金で使用する金属としては、金、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
−形状−
前記金属ナノワイヤーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面の多角形の角が丸まっている断面形状であることが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
【0017】
−平均短軸径及び平均長軸径−
前記金属ナノワイヤーの平均短軸径(平均短軸径を「平均直径」と称することがある。)としては、5nm〜45nmが好ましく、10nm〜40nmがより好ましく、15nm〜35nmが特に好ましい。
前記平均短軸径が、5nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、45nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じ、十分な透明性を得ることができないことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸径(平均直径)は、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸径を求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸径は、最も長い径を短軸径とした。
【0018】
前記金属ナノワイヤーの平均長軸径(平均長軸径を「平均長さ」と称することがある。)としては、1μm〜40μm好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが特に好ましい。
前記平均長軸径が、1μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、40μmを超えると、金属ナノワイヤーが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸径は、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均長軸径を求めた。なお、前記金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸径とした。
【0019】
−製造方法−
前記金属ナノワイヤーの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散添加剤とを溶解した溶媒中で加熱しながら金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。
【0020】
前記溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
前記エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
【0021】
前記加熱時の加熱温度としては、250℃以下が好ましく、20℃〜200℃がより好ましく、30℃〜180℃が更に好ましく、40℃〜170℃が特に好ましい。
前記加熱温度が、20℃未満であると、前記加熱温度が低くなる程、核形成確率が下がり金属ナノワイヤーが長くなりすぎるので金属ナノワイヤーが絡みやすく、分散安定性が悪くなることがあり、250℃を超えると、金属ナノワイヤーの断面の角が急峻になり、塗布膜評価での透過率が低くなることがある。
必要であれば、金属ナノワイヤー形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更により、金属ナノワイヤーの核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果を向上させることができる。
【0022】
前記加熱の際には、還元剤を添加して行うことが好ましい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
前記水素化ホウ素金属塩としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどが挙げられる。
前記水素化アルミニウム塩としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウムなどが挙げられる。
前記アルカノールアミンとしては、例えば、ジエチルアミノエタノール、エタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノールなどが挙げられる。
前記脂肪族アミンとしては、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ジプロピレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミンなどが挙げられる。
前記ヘテロ環式アミンとしては、例えば、ピペリジン、ピロリジン、Nメチルピロリジン、モルホリンなどが挙げられる。
前記芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジンなどが挙げられる。
前記アラルキルアミンとしては、例えば、ベンジルアミン、キシレンジアミン、N−メチルベンジルアミンなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
前記有機酸類としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、それらの塩などが挙げられる。
前記還元糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオースなどが挙げられる。
前記糖アルコール類としては、例えば、ソルビトールなどが挙げられる。
【0023】
前記還元剤によっては、機能として分散添加剤、溶媒としても働く場合があり、同様に好ましく用いることができる。
【0024】
前記金属ナノワイヤー製造の際には、分散添加剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子とを添加して行うことが好ましい。
前記分散添加剤と、ハロゲン化合物との添加のタイミングとしては、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい金属ナノワイヤーを得るためには、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
【0025】
前記分散添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、合成高分子、これらに由来するゲルなどが挙げられる。これらの中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が好ましい。
前記分散添加剤として使用可能な構造については、例えば、「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
また、使用する分散添加剤の種類によって、得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることもできる。
【0026】
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
前記ハロゲン化合物によっては、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
【0027】
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
【0028】
前記分散添加剤と、ハロゲン化合物あるいはハロゲン化銀微粒子とは、同一物質で併用してもよい。分散添加剤と、ハロゲン化合物とを併用した化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)などが挙げられる。
【0029】
前記脱塩処理は、金属ナノワイヤーを形成した後、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
【0030】
<<金属ナノチューブ>>
−金属−
前記金属ナノチューブの材料としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、例えば、前記した金属ナノワイヤーの材料などを使用することができる。
【0031】
−形状−
前記金属ナノチューブの形状としては、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
【0032】
−平均短軸径、平均長軸径、厚み−
前記金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)としては、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が特に好ましい。
なお、前記金属ナノチューブの厚みとしては、3nm〜80nmが好ましい。
前記厚みが、3nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、80nmを超えると、金属ナノチューブ起因の散乱が生じることがある。
また、前記金属ナノチューブの平均長軸径は、1μm〜40μm好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが特に好ましい。
【0033】
−製造方法−
前記金属ナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよく、例えば、米国出願公開2005/0056118号公報等の公知の方法などを用いることができる。
【0034】
<<カーボンナノチューブ>>
−形状−
前記カーボンナノチューブ(CNT)は、グラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が、単層あるいは多層の同軸管状になった物質である。単層のカーボンナノチューブはシングルウォールナノチューブ(SWNT)、多層のカーボンナノチューブはマルチウォールナノチューブ(MWNT)と呼ばれ、特に、2層のカーボンナノチューブはダブルウォールナノチューブ(DWNT)とも呼ばれる。本発明の導電性繊維において、前記カーボンナノチューブは、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
【0035】
−製造方法−
前記カーボンナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよく、例えば、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等の公知の方法を用いることができる。
また、これらの方法で得られたカーボンナノチューブは、洗浄、遠心分離、ろ過、酸化、クロマトグラフ等の方法により、副生成物や触媒金属等の残留物を除去することが、高純度化されたカーボンナノチューブを得ることができる点で好ましい。
【0036】
<<アスペクト比>>
前記導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であることが好ましい。前記アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(長軸径/短軸径の比率)を意味する。
前記アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記導電性繊維のアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記導電性繊維のアスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記導電性繊維の長軸径と短軸径とを各々別に測定することによって、前記導電性繊維全体のアスペクト比を見積もることができる。
なお、前記導電性繊維がチューブ状の場合には、前記アスペクト比を算出するための直径としては、該チューブの外径を用いる。
【0037】
前記導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると、前記導電性繊維によるネットワーク形成がなされず導電性が十分取れないことがあり、1,000,000を超えると、導電性繊維形成時やその後の取り扱いにおいて、成膜前に導電性繊維が絡まり凝集するため、安定な液が得られないことがある。
【0038】
<<アスペクト比が10以上の導電性繊維の比率>>
前記アスペクト比が10以上の導電性繊維の比率としては、全導電性組成物中に体積比で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。これらの導電性繊維の割合を、以下、「導電性繊維の比率」と呼ぶことがある。
前記導電性繊維の比率が、50%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、導電性繊維以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
【0039】
ここで、前記導電性繊維の比率は、例えば、導電性繊維が銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、導電性繊維の比率を求めることができる。ろ紙に残っている導電性繊維をTEMで観察し、300個の導電性繊維の平均短軸径を観察し、その分布を調べることにより、平均短軸径が200nm以下であり、かつ平均長軸径が1μm以上である導電性繊維であることを確認する。なお、ろ紙は、TEM像で平均短軸径が200nm以下であり、かつ平均長軸径が1μm以上である導電性繊維以外の粒子の最長軸を計測し、その最長軸の2倍以上であり、かつ導電性繊維の長軸の最短長以下の径のものを用いることが好ましい。
【0040】
ここで、前記導電性繊維の平均短軸径及び平均長軸径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、導電性繊維の平均短軸径及び平均長軸径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により300個の導電性繊維を観察し、その平均値から求めたものである。
【0041】
<分散剤>
前記分散剤は、導電性繊維の凝集を防ぎ、分散させるために用いる。前記分散剤は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【化5】

【0042】
前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Jは、−CO−、−COO−、−CONR10−、−OCO−、メチレン基、フェニレン基、又は−CCO−基を表し、R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。これらの中でも、Jとしては、−COO−、−CONH−、フェニレン基が好ましい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖、炭素数1〜8の分岐又は炭素数1〜8の環状の置換又は無置換であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、置換又は無置換であってもよく、例えば、フェニル基を表す。
前記アラルキル基としては、置換又は無置換であってもよく、例えば、ベンジル基を表す。
【0043】
前記一般式(1)中、Wは、単結合又は2価の連結基を表し、単結合、アルキレン基、又はアリーレン基が好ましく、単結合、アルキレン基がより好ましく、単結合が特に好ましい。
前記2価の連結基としては、例えば、直鎖、分岐もしくは環状のアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基などが挙げられる。これらは、さらに置換基を有していてもよい。また、分子内にエーテル結合を有していてもよい。
前記アルキレン基としては、例えば、炭素数1〜30が好ましく、炭素数1〜12がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましい。具体的には、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、オクチレン、デシレンなどが挙げられる。
前記アラルキレン基としては、例えば、炭素数7〜30が好ましく、炭素数7〜13がより好ましい。具体的には、例えば、ベンジリデン、シンナミリデンなどが挙げられる。
前記アリーレン基としては、例えば、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜15がより好ましい。具体的には、例えば、フェニレン、クメニレン、メシチレン、トリレン、キシリレンなどが挙げられる。
【0044】
前記一般式(1)中、Pは、ヘテロ環基を表し、例えば、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、テトラゾール、トリアジン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、キナクリドン、アントラキノン、フタルイミド、キナルジン、キノフタロン、バルビツール、チオバルビツール、下記一般式(2)で表される置換基などが挙げられる。これらの中でも、ベンズイミダゾロン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン、バルビツール、チオバルビツール、フタルイミドの残基、下記一般式(2)で表される置換基が特に好ましい。
【化6】

【0045】
一般式(2)中、Rは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又はアリール基を表す。中でも、水素原子、メチル基、エチル基、2−エチルヘキシル基、又はフェニル基が好ましい。
は、水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基は下記一般式(3)で表される構造を有することが好ましい。
【化7】

23は、置換又は無置換の芳香環、ヘテロ原子含有(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)複素環を表す。中でも、その芳香環及び複素環の構造として、5員環〜6員環の単環又は2縮合環が好ましい。その中でも、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、イソキサゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイソキサゾール環、ベンゾチアゾールチアジアゾール環がより好ましい。
【0046】
本発明において、「置換基」は、置換可能な基であればよく、例えば、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基などが挙げられる。
【0047】
以下、前記一般式(1)で表される繰り返し単位として好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本具体例に挙げられている構造は、考えられる互変異性体構造の中の一例であり、他の互変異性構造も取り得る。
【化8】

【0048】
ここで互変異性について説明する。互変異性とは異性体同士の可逆的相互変換であり、主にプロトン転位で、水素原子が相互に転位する現象である。また互変異性体とは、相互変換可能な構造異性体同士が、互いに変換する異性化の速度が速く、どちらの異性体も共存する平衡状態に達しうるものを指す。一般にみられる例としては、単結合と二重結合の変換を伴う、水素原子つまりプロトンの転位反応によって起こる。異性化の速度や平衡比は温度やpH、液相、固相、又は溶液の場合には溶媒の種類によっても変化する。平衡に達するのが数時間から数日の場合でも互変異性と呼ぶことが多い。
本発明においては、高分子化合物中で上記互変異性を示す化学構造(部)を互変異性体構造(部)といい、一般式(1)で表される繰り返し単位中の互変異性化反応によって得られる化学構造(互変異性体構造)は下記式(a)〜(h)のとおりである。
【化9】

【0049】
前記分散剤としては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位と、末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーを共重合単位として含むグラフト共重合体であってもよい。
【0050】
前記末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーは、所定の分子量を有する化合物であることからマクロモノマーとも呼ばれる。この特定の重合性オリゴマーは、ポリマー鎖部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなることが好ましい。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端にのみ有することが所望のグラフト重合体を得るという観点から好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
前記マクロモノマーの数平均分子量としては、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1,000〜10,000が好ましく、2,000〜9,000がより好ましい。
上記ポリマー鎖の部分は、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びブタジエンからなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーから形成される単独重合体あるいは共重合体、あるいはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリカプロラクトンが一般的である。
前記重合性オリゴマーは、下記一般式(5)で表されるオリゴマーであることが好ましい。
【化10】

ただし、R及びR11は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表わし、R10は炭素原子数1〜12のアルキレン基(好ましくは炭素原子数2〜4のアルキレン基であり、置換基(例えば水酸基)を有していてもよく、さらにエステル結合、エーテル結合、アミド結合等を介して連結していてもよい)を表わし、Zは、フェニル基、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するフェニル基又は−COOR12(但し、R12は、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数7〜10のアリールアルキル基を表わす)を表わし、そしてqは20〜200である。Zは、フェニル基又は−COOR12(但し、R12は、炭素原子数1〜12のアルキル基)であることが好ましい。
上記重合性オリゴマー(マクロモノマー)としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート及びポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート、ポリスチレンの分子末端の一個に(メタ)アクリロイル基が結合したポリマーなどが挙げられる。
市場で入手できる前記重合性オリゴマーとしては、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6,000、商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6,000、商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)及び片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6,000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0051】
前記重合性オリゴマーは、前記一般式(5)で表される重合性オリゴマーだけでなく、下記一般式(6)で表される重合性オリゴマーであることも好ましい。
【化11】

【0052】
前記一般式(6)中、R13は、水素原子又はメチル基を表し、R14は炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Qは、−OR15又は−OCOR16を表す。ここでR15、R16は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。nは、2〜200を表す。
前記一般式(6)において、R13は、水素原子又はメチル基を表す。R14は、炭素数1〜8のアルキレン基を表し、中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。Qは、−OR15又は−OCOR16を表す。ここで、R15は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェニル基を表す。R16は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。また、nは、2〜200を表し、5〜100が好ましく、10〜100が特に好ましい。
【0053】
前記一般式(6)で表される重合性オリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0054】
前記一般式(6)で表される重合性モノマーの市販品としては、例えば、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:NKエステルM−40G,M−90G,M−230G(以上、新中村化学工業(株)製);商品名:ブレンマーPME−100,PME−200,PME−400,PME−1000,PME−2000、PME−4000(以上、日油(株)製))、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350,日油(株)製)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPP−500、PP−800、PP−1000,日油(株)製)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー70PEP−350B,日油(株)製)、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー55PET−800,日油(株)製)、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーNHK−5050,日油(株)製)などが挙げられる。
また前記一般式(5)、(6)の重合性オリゴマー以外にも、ポリカプロラクトンモノマーも好ましく、市販品としては、ポリカプロラクトンモノメタクリレート(商品名:プラクセル FM2D、FM3、FM5、FA1DDM、FA2D、ダイセル化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0055】
前記重合性オリゴマーとしては、特に制限はなく、使用目的に応じて適宜変更することができるが、例えば、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【化12】

【0056】
一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。
Xは、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、−C(=O)O−、−CONH−が好ましい。
mは、0〜100の整数を表し、nは、1〜100の整数を表す。
【0057】
前記一般式(4)中、Lは、単結合、又は2価の有機連結基を表す。2価の有機連結基としては、置換若しくは無置換のアルキレン基や、該アルキレン基とヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造とからなる2価の有機連結基が好ましい。
前記アルキレン基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などが挙げられる。アルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などが挙げられ、これらの中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
前記2価の有機連結基としては、例えば、エチレン基などが挙げられる。
【0058】
一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。
一般式(4)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。前記炭素数1〜20の直鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
前記炭素数1〜20の分岐のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。
【0059】
以下、前記一般式(4)で表される重合性オリゴマーとして好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化13】

【0060】
前記グラフト共重合体からなる分散剤としては、特に制限はないが、例えば、以下の化合物が好ましい。なお、l、m、nは、高分子の質量組成比を表し、l+m+n=1となる範囲で任意に選択可能である。
前記lとしては、0.4〜0.95が好ましく、0.5〜0.9がより好ましく、0.6〜0.85が特に好ましい。
前記mとしては、0.01〜0.3が好ましく、0.03〜0.25がより好ましく、0.06〜0.2が特に好ましい。
前記nとしては、0.01〜0.3が好ましく、0.03〜0.25がより好ましく、0.06〜0.2が特に好ましい。
【化14】

(P−11) 上記例示化合物M−4を与えるモノマー/AA−6(東亞合成化学工業(株)社製、末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー)/メタクリル酸共重合体
(P−12) 上記例示化合物M−4を与えるモノマー/AB−6(東亞合成化学工業(株)社製、末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルメタクリレートオリゴマー)/メタクリル酸共重合体
(P−13) 上記例示化合物M−4を与えるモノマー/AS−6(東亞合成化学工業(株)社製、末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー)/メタクリル酸共重合体
(P−14) 上記例示化合物M−4を与えるモノマー/ブレンマーPME−1000(日油(株)社製、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート)/メタクリル酸共重合体
(P−15) 上記例示化合物M−4を与えるモノマー/ブレンマーPP−1000(日油(株)社製、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート)/メタクリル酸共重合体
(P−16) 上記例示化合物M−4を与えるモノマー/ブレンマー70PEP−350B(日油(株)社製、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート)/メタクリル酸共重合体
(P−17) 上記例示化合物M−4を与えるモノマー/プラクセルFM5(ダイセル化学工業(株)社製、ポリカプロラクトンモノメタクリレート)/メタクリル酸共重合体
【0061】
前記分散剤の重量平均分子量としては、5,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜500,000がより好ましく、10,000〜300,000が特に好ましい。
前記重量平均分子量が、5,000未満であると、導電性繊維が分散液中で凝集することがあり、1,000,000を超えると、導電性繊維を用いて作製された導電体の導電性が悪化することがある。前記重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することができる。
【0062】
前記分散剤の含有量としては、導電性繊維100質量部に対し、0.01質量部〜50質量部が好ましく、0.1質量部〜50質量部がより好ましく、0.5質量部〜40質量部がさらに好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
前記含有量が、0.01質量部未満であると、分散液中で導電性繊維が凝集してしまうことがあり、50質量部を超えると、塗布工程において安定な液膜が形成できず、塗布ムラが発生することがある。
【0063】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、非水溶性ポリマー、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。これらの成分は、必要に応じて適宜含んでいてもよい。
【0064】
−非水溶性ポリマー−
前記非水溶性ポリマーは、バインダーとしての機能を有しており、中性付近の水に実質的に溶解しないポリマーである。前記非水溶性ポリマーとは、具体的には、SP値(沖津法により算出)が、18MPa1/2〜30MPa1/2のポリマーを意味する。
【0065】
前記SP値としては、18MPa1/2〜30MPa1/2が好ましく、19MPa1/2〜28MPa1/2がより好ましく、19.5MPa1/2〜27MPa1/2が特に好ましい。
前記SP値が、18MPa1/2未満であると、付着した有機汚れを洗浄するのが困難になる場合があり、30MPa1/2を超えると、水との親和性が高くなり、塗布膜の含水率上昇に起因し、赤外線領域の吸収が高くなるためか、太陽電池を作製したときに変換効率が減少してしまうことがある。
【0066】
ここで、前記SP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは前記文献記載の値である。

SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)

複数の非水溶性ポリマーを用いた場合のSP値(σ)及びSP値の水素結合項(σh)は次の式により算出する。
【0067】
【数1】

(ただし、σnは、非水溶性ポリマーと水のSP値又はSP値の水素結合項を、Mnは混合液中における非水溶性ポリマーと水のモル分率を、Vnは溶媒のモル体積を、nは溶媒の種類を表す2以上の整数を表す。)
【0068】
前記非水溶性ポリマーとしては、前記SP値が18MPa1/2〜30MPa1/2であれば特に制限されないが、塗膜の基板への密着性、摺りなどに対する耐久性という点で、エチレン性不飽和基を有するポリマーが好ましい。これらの中でも、主鎖に連結する側鎖に、エチレン性不飽和結合の少なくとも1種を含むことが好ましい。前記エチレン性不飽和結合は、側鎖中に複数含まれていてもよい。また、前記エチレン性不飽和結合は、非水溶性ポリマーの側鎖中に、前記分岐及び/又は脂環構造、並びに/又は前記酸性基とともに含まれていてもよい。
【0069】
前記エチレン性不飽和結合としては、非水溶性ポリマーの主鎖との間に少なくとも1つのエステル基(−COO−)を介して結合し、エチレン性不飽和結合とエステル基のみで非水溶性ポリマーの側鎖を構成していてもよい。また、非水溶性ポリマーの主鎖とエステル基との間、及びエステル基とエチレン性不飽和結合との間のいずれか、さらに2価の有機連結基を有してもよく、エチレン性不飽和結合は「エチレン性不飽和結合を有する基」として非水溶性ポリマーの側鎖を構成していてもよい。
前記2価の有機連結基としては、例えば、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、(メタ)アクリレート類がより好ましい。
【0070】
前記エチレン性不飽和結合としては、(メタ)アクリロイル基を導入して配されることが好ましい。
前記非水溶性ポリマーの側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入する方法としては、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ繰り返し単位にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、イソシアネート基を持つ繰り返し単位にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
これらの中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
【0071】
前記エチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、これらを有すれば特に制限はないが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
【0072】
【化15】

ただし、前記構造式(1)中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表す。炭化水素基としては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がさらに好ましい。炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Lは、2価の有機基を表す。前記2価の有機基としては、2価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の2価の炭化水素基がより好ましい。前記2価の炭化水素基の具体例としては、アルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0073】
【化16】

ただし、前記構造式(2)中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表す。前記炭化水素基としては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がより好ましい。前記炭化水素基の具体例としては、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Lは、2価の有機基を表す。前記2価の有機基としては、2価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の2価の炭化水素基がより好ましい。前記2価の炭化水素基の具体例としては、アルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。Wは、4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
【0074】
前記構造式(1)及び構造式(2)で表される化合物の中でも、光硬化樹脂と組み合わせ、ネガ型、ポジ型のレジストとして使用した場合、良現像性、及び膜強度という点で、構造式(1)で表される化合物が好ましい。前記構造式(1)及び(2)においては、L及びLがそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましい。
【0075】
前記構造式(1)及び構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の化合物(1)〜(10)が好ましい。
【0076】
【化17】

【0077】
前記非水溶性ポリマーの含有比率としては、前記導電性繊維の含有量(A)と非水溶性ポリマーの含有量(B)との質量比(A/B)が、0.1〜5が好ましく、0.25〜3.5がより好ましく、0.5〜2.5が特に好ましい。
前記比が、0.1未満であると、抵抗値の面内分布が不均一になることがあり、0.5を超えると、導電性繊維分散液の経時安定性が低下することがある。
【0078】
(透明導電体)
本発明の透明導電体は、前記導電性組成物を含んでなる。前記導電性組成物は、支持体上に透明導電層として形成されていることが好ましい。ここで、導電体とは、例えば、層状に配置される素子間を導通するために設ける膜(層間導電膜)や、面内での導通を確保する導電膜等をいう。
【0079】
<支持体>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明ガラス基板、合成樹脂性シート、フィルム、金属基板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などを挙げることができる。これらの支持体には、所望により、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
前記透明ガラス基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどが挙げられる。
前記合成樹脂製シート、フィルムとしては、例えば、PET、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが挙げられる。
前記金属基板としては、例えば、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板などが挙げられる。
【0080】
前記支持体の全可視光透過率としては、70%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
前記全可視光透過率が、70%未満であると、透過率が低く実用上問題となることがある。
なお、本発明では、支持体として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0081】
前記支持体の平均厚みとしては、1μm〜5,000μmが好ましく、3μm〜4,000μmがより好ましく、5μm〜3,000μmが特に好ましい。
前記平均厚みが、1μm未満であると、塗布工程においてのハンドリングの困難さに起因し、歩留まりが低下することがあり、5,000μmを超えると、ポータブルなアプリケーションにおいてその支持体の厚みや質量が問題となることがある。
前記平均厚みは、光学顕微鏡による断面観察、又はマイクロメーターで多点測定を行い、平均値を求めることで算出することができる。
【0082】
<形成方法>
−透明導電体の形成−
前記透明導電体の形成方法としては、本発明の前記導電性組成物を、スピンコート、ロールコート、スリットコート等など公知の方法により、支持体上に塗布する方法、導電性組成物を支持体上に転写する方法などが挙げられる。
【0083】
前記透明導電体の形態としては、前記導電性組成物を前記支持体の片面に塗布することで前記支持体の片面に透明導電層を形成させてもよい。
また、例えば、前記支持体上に、誘電体層を介して透明導電層を2層以上積層させた構造であってもよい。
さらに、前記支持体の両面に前記導電性組成物を塗布して前記支持体の両面に前記透明導電層を形成させてもよい。
【0084】
前記透明導電体における導電性繊維の量としては、0.005g/m〜0.5g/mが好ましく、0.01g/m〜0.45g/mがより好ましく0.015g/m〜0.4g/mが特に好ましい。
前記量が、0.005g/m未満であると、局所的に抵抗が高くなってしまう箇所ができ、面内の抵抗分布が悪化することがあり、0.5g/mを超えると、塗布後の乾燥中に導電性繊維同士の凝集により、ヘイズが悪化することがある。
【0085】
前記透明導電層の平均厚みとしては、20nm〜5,000nmが好ましく、25nm〜4,000nmがより好ましく、30nm〜3,500nmが特に好ましい。
前記平均厚みが、20nm未満であると、導電性繊維の短軸径と変わらない領域となり、膜強度が低下することがあり、5,000nmを超えると、膜のヒビ割れ、透過率やヘイズが悪化することがある。
【0086】
また、前記透明導電層としては、必要に応じてパターニングすることもできる。
前記パターニングの方法としては、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂やネガ型あるいはポジ型レジストを用いたパターニング法、インクジェット法、スクリーン印刷、グラビア印刷やオフセット印刷による印刷法、レーザースクライブ法、その他マイクロコンタクトプリント等を用いた親疎水パターンや親銀パターンを形成した後に銀ナノワイヤー分散液を塗布あるいは前記支持体を銀ナノワイヤー分散液に浸漬することにより固定する方法などが挙げられる。
【0087】
また、前記透明導電体としては、使用目的に応じて、透明導電層以外に機能層を積層させてもよい。
前記機能層としては、例えば、下塗り層、密着層、クッション層、オーバーコート保護層、保護フィルム層、防汚層、撥水層、撥油層、ハードコート層、粘着層、バリア層などが挙げられる。これらは単層でもよく、複数を積層してもよい。
また、前記透明導電体としては、例えば、アンチグレア層、反射防止層、低反射層、λ/4層、偏光層、位相差層などを積層させることで、光学的な機能を付与することができる。これらは単層でもよく、複数を積層してもよい。
【0088】
(タッチパネル)
本発明のタッチパネルは、本発明の前記導電性組成物を含んでなる透明導電体を有してなる。
前記タッチパネルとしては、前記透明導電体を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネル等が挙げられる。
【0089】
前記表面型静電容量方式タッチパネルの一例を図1を用いて説明する。該図1において、タッチパネル10は、透明基板11の表面を一様に覆うように透明導電体12を配してなり、透明基板11の端部の透明導電体12上に、図示しない外部検知回路との電気接続のための電極端子18が形成されている。
なお、図中、13は、シールド電極となる透明導電体を示し、14、17は、保護膜を示し、15は、中間保護膜を示し、16は、グレア防止膜を示す。
透明導電体12上の任意の点を指でタッチ等すると、前記透明導電体12は、タッチされた点で人体を介して接地され、各電極端子18と接地ラインとの間の抵抗値に変化が生じる。この抵抗値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
【0090】
前記表面型静電容量方式タッチパネルの他の一例を図2を用いて説明する。該図2においてタッチパネル20は、透明基板21の表面を覆うように配された透明導電体22と透明導電体23と、該透明導電体22と該透明導電体23とを絶縁する絶縁層24と、指等の接触対象と透明導電体22又は透明導電体23の間に静電容量を生じる絶縁カバー層25からなり、指等の接触対象に対して位置検知する。構成によっては、透明導電体22,23を一体として構成することもでき、また、絶縁層24又は絶縁カバー層25を空気層として構成してもよい。
絶縁カバー層25を指等でタッチすると、指等と透明導電体22又は透明導電体23の間の静電容量の値に変化が生じる。この静電容量値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
また、図3により、投射型静電容量方式タッチパネルとしてのタッチパネル20を透明導電体22と透明導電体23とを平面から視た配置を通じて模式的に説明する。
タッチパネル20は、X軸方向の位置を検出可能とする複数の透明導電体22と、Y軸方向の複数の透明導電体23とが、外部端子に接続可能に配されている。透明導電体22と透明導電体23とは、指先等の接触対象に対し複数接触して、接触情報が多点で入力されることを可能とされる。
このタッチパネル20上の任意の点を指でタッチ等すると、X軸方向及びY軸方向の座標が位置精度よく特定される。
なお、透明基板、保護層等のその他の構成としては、前記表面型静電容量方式タッチパネルの構成を適宜選択して適用することができる。また、タッチパネル20において、複数の透明導電体22と、複数の透明導電体23とによる透明導電体のパターンの例を示したが、その形状、配置等としては、これらに限られない。
【0091】
前記抵抗膜式タッチパネルの一例を図4を用いて説明する。該図4において、タッチパネル30は、透明導電体32が配された基板31と、該透明導電体32上に複数配されたスペーサ36と、空気層34を介して、透明導電体32と接触可能な透明導電体33と、該透明導電体33上に配される透明フィルム35とが支持されて構成される。
このタッチパネル30に対して、透明フィルム35側からタッチすると、透明フィルム35が押圧され、押し込まれた透明導電体32と透明導電体33とが接触し、この位置での電位変化を図示しない外部検知回路で検出することで、タッチした点の座標が特定される。
【0092】
(集積型太陽電池)
本発明の集積型太陽電池は、前記導電性組成物を有することを特徴とする。前記集積型太陽電池(以下、太陽電池デバイスと称することもある)としては、特に制限はなく、太陽電池デバイスとして一般的に用いられるものを使用することができる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池デバイス、多結晶シリコン系太陽電池デバイス、シングル接合型、又はタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池デバイス、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、色素増感型太陽電池デバイス、有機太陽電池デバイスなどが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、上記太陽電池デバイスが、タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、及び銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイスであることが好ましい。
【0093】
タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイスの場合、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜層、また、これらにゲルマニウムを含んだ薄膜、更に、これらの2層以上のタンデム構造が光電変換層として用いられる。成膜はプラズマCVD等を用いる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0095】
(分散剤の調製例1)
−前記化合物M−4を与えるモノマーの合成−
2−チオバルビツール酸45.28質量部、水酸化ナトリウム13.82質量部をジメチルスルホキシド200質量部に溶解させ、25℃に加熱した。これにクロロメチルスチレン57.53質量部を滴下し、55℃でさらに5時間加熱攪拌を行った。加熱攪拌後、この反応液にメタノール150質量部、蒸留水150質量部を加えて1時間攪拌し、続いてこの溶液を蒸留水2,000質量部に攪拌しながら注ぎ、得られた析出物を濾別、洗浄することで、例示化合物M−4を与えるモノマーを80.1質量部得た。
【0096】
−重合性オリゴマーN−1の合成−
JEFFAMINE M−2005(Huntsman社製)500質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.061質量部を500質量部の1−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、10℃に冷却した。これに、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)38.01質量部と38.01質量部の1−メチル−2−ピロリドンを滴下した。滴下終了後、25℃で1時間攪拌することで、50質量%の重合性オリゴマーN−1の1−メチル−2−ピロリドン溶液を1,076質量部得た。
【0097】
−分散剤(1)の合成−
下記のモノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して80℃まで昇温し30分間攪拌した。続いて、下記の開始剤溶液を上記の液に添加し、2時間80℃で加熱攪拌した。加熱攪拌後、さらに下記開始剤溶液を添加し、80℃にて2時間加熱攪拌する操作を計2度繰り返した。最後の2時間撹拌後、1−メチル−2−ピロリドンを7.33質量部添加することで、下記構造式で表されるグラフト重合体(分散剤(1):前記共重合体P−1)の25質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
【化18】

−−モノマー溶液−−
・前記化合物M−4を与えるモノマー 2.0質量部
・重合性オリゴマーN−1(50質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液)
32.0質量部
・メタクリル酸 2.0質量部
・n−ドデシルメルカプタン 0.210質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 30.67質量部

−−開始剤溶液−−
・2.2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬(株)製V−601)
0.159質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 3.0質量部
【0098】
(分散剤の調製例2)
−前記化合物M−11を与えるモノマーの合成−
2−メルカプトベンゾチアゾール16.73質量部、水酸化ナトリウム4.40質量部、4−メトキシフェノール0.018質量部をジメチルスルホキシド100質量部に溶解させ、室温にて撹拌した。これにクロロメチルスチレン15.26質量部を20分かけ滴下し、55℃でさらに3.5時間加熱撹拌を行った。反応終了後、蒸留水200質量部、濃塩酸1質量部、酢酸エチル200質量部を加えて酢酸エチル層に抽出し、溶媒を留去することで、化合物M−11を与えるモノマーを22.67質量部得た。
−分散剤(2)の合成−
下記のモノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して80℃まで昇温し30分間攪拌した。続いて、下記の開始剤溶液を上記の液に添加し、2時間80℃で加熱攪拌した。加熱攪拌後、さらに下記開始剤溶液を添加し、80℃にて2時間加熱攪拌する操作を計2度繰り返した。最後の2時間攪拌後、1−メチル−2−ピロリドンを7.33質量部添加することで、下記構造式で表されるグラフト重合体(分散剤(2):前記共重合体P−6)の25質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
【化19】

−−モノマー溶液−−
・前記化合物M−11を与えるモノマー 2.0質量部
・重合性オリゴマーN−1 (50質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液)
32.0質量部
・メタクリル酸 2.0質量部
・n−ドデシルメルカプタン 0.114質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 30.67質量部

−−開始剤溶液−−
・2.2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬(株)製V−601)
0.087質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 3.0質量部
【0099】
(分散剤の調製例3)
−前記化合物M−2を与えるモノマーの合成−
2−アミノベンズイミダゾール30.00質量部、4−ニトロフェノール0.0065質量部を1−メチル−2−ピロリドン225質量部に溶解させ、室温にて撹拌した。これに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート34.96質量部を20分かけ滴下した。室温にて30分間撹拌し、70℃でさらに1時間加熱撹拌を行った。加熱撹拌後、この溶液を40℃まで放冷し、メタノール1,000質量部に撹拌しながら注ぎ、1時間撹拌した。得られた析出物を濾別、洗浄することで、前記化合物M−2を与えるモノマー55.21質量部を得た。
−分散剤(3)の合成−
下記のモノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して80℃まで昇温し30分攪拌した。続いて、下記の開始剤溶液を上記の液に添加し、2時間80℃で加熱攪拌した。加熱攪拌後、さらに下記開始剤溶液を添加し、80℃にて2時間加熱攪拌する操作を計2度繰り返した。最後の2時間攪拌後、1−メチル−2−ピロリドンを7.33質量部添加することで、下記構造式で表されるグラフト重合体(分散剤(3):前記共重合体P−9)の25質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
【化20】

−−モノマー溶液−−
・前記化合物M−2を与えるモノマー 2.0質量部
・重合性オリゴマーN−1 (50質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液)
32.0質量部
・メタクリル酸 2.0質量部
・n−ドデシルメルカプタン 0.205質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 30.67質量部

−−開始剤溶液−−
・2.2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬(株)製V−601)
0.155質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 2質量部
【0100】
(分散剤の調製例4)
−分散剤(4)の合成−
下記のモノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して80℃まで昇温し30分攪拌した。続いて、下記の開始剤溶液を上記の液に添加し、2時間80℃で加熱攪拌した。加熱攪拌後、さらに下記開始剤溶液を添加し、80℃にて2時間加熱攪拌する操作を計2度繰り返した。最後の2時間攪拌後、1−メチル−2−ピロリドンを7.33質量部添加することで、グラフト重合体(分散剤(4):前記共重合体P−11)の25質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
−−モノマー溶液−−
・上記例示化合物M−4を与えるモノマー 2.0質量部
・重合性オリゴマー、AA−6(東亞合成化学工業(株)社製) 16.0質量部
・メタクリル酸 2.0質量部
・n−ドデシルメルカプタン 0.082質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 46.67質量部

−−開始剤溶液−−
・2.2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬(株)製V−601)
0.062質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 3.0質量部
【0101】
(分散剤の調製例5)
−分散剤(5)の合成−
下記のモノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して80℃まで昇温し30分攪拌した。続いて、下記の開始剤溶液を上記の液に添加し、2時間80℃で加熱攪拌した。加熱攪拌後、さらに下記開始剤溶液を添加し、80℃にて2時間加熱攪拌する操作を計2度繰り返した。最後の2時間攪拌後、1−メチル−2−ピロリドンを7.33質量部添加することで、下記構造式で表されるグラフト重合体(分散剤(5):前記共重合体P−13)の25質量%1−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
−−モノマー溶液−−
・上記例示化合物M−4を与えるモノマー 2.0質量部
・重合性オリゴマー、AS−6(東亞合成化学工業(株)社製 16.0質量部
・メタクリル酸 2.0質量部
・n−ドデシルメルカプタン 0.082質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 46.67質量部

−−開始剤溶液−−
・2.2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬(株)製V−601)
0.062質量部
・1−メチル−2−ピロリドン 2質量部
【0102】
(非水溶性ポリマーの調製例1)
−非水溶性ポリマー(1)の調製−
反応容器中に1−メトキシ−2−プロパノール(MMPGAC、ダイセル化学工業(株)製) 8.57質量部をあらかじめ加え90℃に昇温し、モノマーとしてシクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸(添加質量比は順に45.5mol%:2mol%:19mol%:33.5mol%となるように、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、及び後述のグリシジルメタクリレートを調製した。)、アゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V−601)1質量部、及び1−メトキシ−2−プロパノール8.57質量部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.025質量部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.084質量部を加えた後、グリシジルメタクリレートを2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように溶媒を添加することにより調製し、不飽和基を有する非水溶性ポリマー(1)の溶液(重量平均分子量(Mw);30,000、1−メトキシ−2−プロパノール 45%溶液)を得た。
なお、前記重量平均分子量の測定方法としては、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。
非水溶性ポリマー1のSP値は、沖津法により算出し、22MPa1/2であった。
【0103】
(非水溶性ポリマーの調製例2)
−非水溶性ポリマー(2)の調製−
反応容器中に1−メトキシ−2−プロパノール(MMPGAC、ダイセル化学工業(株)製)8.57質量部を予め加えて90℃に昇温し、モノマーとしてイソプロピルメタクリレート6.27質量部及びメタクリル酸5.15質量部、アゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V−601)1質量部、及び1−メトキシ−2−プロパノール8.57質量部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.025質量部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.084質量部を加えた後、グリシジルメタクリレート5.41質量部を2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように溶媒(1−メトキシ−2−プロパノール)を添加することにより調製し、不飽和基を有する非水溶性ポリマー(2)の溶液(固形分酸価;73mgKOH/g、Mw;10,000、1−メトキシ−2−プロパノール 45%溶液)を得た。非水溶性ポリマー(2)のSP値は、沖津法により算出し、20MPa1/2であった。
【0104】
(銀ナノワイヤー分散物の調製例1)
硝酸銀粉末0.51gを純水50mLに溶解した硝酸銀溶液を調製した。その後、前記硝酸銀溶液に1Nのアンモニア水を透明になるまで添加し、全量が100mLになるように、純水を添加して、添加液Aを調製した。
【0105】
グルコース粉末0.5gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
【0106】
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5
mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
【0107】
添加液A 20.6mLを三口フラスコ内に入れ室温にて攪拌した。この液に純水41mL、添加液H 20.6mL及び溶液B 16.5mLの順でロートにて添加し、90℃で5時間、200rpmで攪拌しながら加熱することで、銀ナノワイヤー水分散物(1)を得た。
得られた水分散物を冷却した後、分散剤(1)を銀の重量1に対し0.05となるように撹拌しながら添加し、その後遠心分離し、伝導度が50μS/cm以下になるまで精製し、プロピレングリコールモノメチルエーテルでさらに遠心分離を行い水を除去し、最終的にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し、銀ナノワイヤー溶剤分散物(1)を調製した。
得られた銀ナノワイヤー分散物(1)の平均短軸径、平均長軸径、短軸径の変動係数、アスペクト比が10以上の導電性繊維(銀ナノワイヤー)の比率は、以下に示すように測定し、結果を表1に示す。
【0108】
<銀ナノワイヤーの平均短軸径(直径)及び平均長軸径>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の銀ナノワイヤーを観察し、その平均値から銀ナノワイヤーの平均短軸径及び平均長軸径を求めた。
【0109】
<銀ナノワイヤー短軸径の変動係数>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、銀ナノワイヤーの短軸径を300個観察し、その平均値から銀ナノワイヤーの短軸径を計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより変動係数を求めた。
【0110】
<アスペクト比が10以上の導電性繊維の比率>
各銀ナノワイヤー水分散物をろ過して銀ナノワイヤーとそれ以外の粒子を分離し、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPS−8000)を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、平均短軸径が50nm以下であり、かつ平均長軸径が5μm以上である銀ナノワイヤーをアスペクト比が10以上の導電性繊維の比率(%)として求めた。
なお、導電性繊維の比率を求める際の銀ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
【0111】
(銀ナノワイヤー分散物の調製例2)
銀ナノワイヤー分散物の調製例1において、HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)をオクタデシル−トリメチルアンモニウムブロミドに代え、反応時間を2時間に変えた以外は、銀ナノワイヤー分散物の調製例1と同様にして銀ナノワイヤー分散物(2)を得た。このとき、得られた銀ナノワイヤー粒子は、平均短軸長さ18nm、平均長軸長さ0.7μmのワイヤー状であった。得られた銀ナノワイヤー分散物(2)の平均短軸径、平均長軸径、短軸径の変動係数、アスペクト比が10以上の導電性繊維(銀ナノワイヤー)の比率は、銀ナノワイヤー(1)と同様に測定し、結果を表1に示す。
【0112】
(銀ナノワイヤー分散物の調製例3)
銀ナノワイヤー分散物の調製例1において、HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)をオクタデシル−トリメチルアンモニウムブロミドに代え、反応時間を3時間に変えた以外は、銀ナノワイヤー分散物の調製例1と同様にして銀ナノワイヤー分散物(3)を得た。このとき、得られた銀ナノワイヤー粒子は、平均短軸長さ22nm、平均長軸長さ1.2μmのワイヤー状であった。得られた銀ナノワイヤー分散物(3)の平均短軸径、平均長軸径、短軸径の変動係数、アスペクト比が10以上の導電性繊維(銀ナノワイヤー)の比率は、銀ナノワイヤー(1)と同様に測定し、結果を表1に示す。
【0113】
(銀ナノワイヤー分散物の調製例4)
銀ナノワイヤー分散物の調製例1において、添加液A、添加液G、添加液Hの他に、シクロヘキサノールを10.4ml添加した以外は、銀ナノワイヤー分散物の調製例1と同様にして銀ナノワイヤー分散物(4)を得た。このとき、得られた銀ナノワイヤー粒子は、平均短軸長さ42nm、平均長軸長さ29μmのワイヤー状であった。得られた銀ナノワイヤー分散物(4)の平均短軸径、平均長軸径、短軸径の変動係数、アスペクト比が10以上の導電性繊維(銀ナノワイヤー)の比率は、銀ナノワイヤー(1)と同様に測定し、結果を表1に示す。
【0114】
(銀ナノワイヤー分散物の調製例5)
銀ナノワイヤー分散物の調製例1において、添加液A、添加液G、添加液Hの他に、シクロヘキサノールを19.6ml添加した以外は、銀ナノワイヤー分散物の調製例1と同様にして銀ナノワイヤー分散物(5)を得た。このとき、得られた銀ナノワイヤー粒子は、平均短軸長さ56nm、平均長軸長さ22μmのワイヤー状であった。得られた銀ナノワイヤー分散物(5)の平均短軸径、平均長軸径、短軸径の変動係数、アスペクト比が10以上の導電性繊維(銀ナノワイヤー)の比率は、銀ナノワイヤー(1)と同様に測定し、結果を表1に示す。
【0115】
【表1】

表1中、「導電性繊維の比率」とは、アスペクト比が10以上の導電性繊維(銀ナノワイヤー)の比率を表す。
【0116】
(実施例1)
−透明導電体1の作製−
銀ナノワイヤー分散物(1)と非水溶性ポリマー(1)と分散剤(1)との含有比(銀ナノワイヤー/非水溶性ポリマー/分散剤)を100/100/5となるようにスターラーを用いて撹拌混合させて、導電性組成物1を調製した。この導電性組成物1中に含まれる銀ナノワイヤーの含有量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。
市販の100mm×100mm×0.7mmのガラス基板(旭硝子社製、製品番号AN-100)の表面にドクターコーターを用いて、前記導電性組成物1を平均厚みが15μmとなるように塗布し、温度25℃、湿度55%の条件下で乾燥させることで、透明導電体1を作製した。透明導電体1中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0117】
(実施例2)
−透明導電体2の作製−
実施例1において、銀ナノワイヤー分散物(1)を銀ナノワイヤー分散物(2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物2及び透明導電体2を得た。なお、導電性組成物2中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体2中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0118】
(実施例3)
−透明導電体3の作製−
実施例1において、銀ナノワイヤー分散物(1)を銀ナノワイヤー分散物(3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物3及び透明導電体3を得た。なお、導電性組成物3中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体3中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0119】
(実施例4)
−透明導電体4の作製−
実施例1において、銀ナノワイヤー分散物(1)を銀ナノワイヤー分散物(4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物4及び透明導電体4を得た。なお、導電性組成物4中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体4中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0120】
(実施例5)
−透明導電体5の作製−
実施例1において、銀ナノワイヤー分散物(1)を銀ナノワイヤー分散物(5)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物5及び透明導電体5を得た。なお、導電性組成物5中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体5中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0121】
(実施例6)
−透明導電体6の作製−
実施例1において、分散剤(1)を分散剤(2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物6及び透明導電体6を得た。なお、導電性組成物6中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体6中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0122】
(実施例7)
−透明導電体7の作製−
実施例1において、分散剤(1)を分散剤(3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物7及び透明導電体7を得た。なお、導電性組成物7中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体7中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0123】
(実施例8)
−透明導電体8の作製−
実施例1において、分散剤(1)を分散剤(4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物8及び透明導電体8を得た。なお、導電性組成物8中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体8中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0124】
(実施例9)
−透明導電体9の作製−
実施例1において、分散剤(1)を分散剤(5)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物9及び透明導電体9を得た。なお、導電性組成物9中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体9中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0125】
(実施例10)
−透明導電体10の作製−
実施例1において、分散剤(1)の重量平均分子量を100,000から4,600に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物10及び透明導電体10を得た。なお、導電性組成物10中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体10中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0126】
(実施例11)
−透明導電体11の作製−
実施例1において、分散剤(1)の重量平均分子量を100,000から1,300,000に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物11及び透明導電体11を得た。なお、導電性組成物11中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体11中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0127】
(実施例12)
−透明導電体12の作製−
実施例1において、分散剤(1)の含有量を0.05質量部から0.005質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物12及び透明導電体12を得た。
【0128】
(実施例13)
−透明導電体13の作製−
実施例1において、分散剤(1)の含有量を0.05質量部から32質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物13及び透明導電体13を得た。
【0129】
(実施例14)
−透明導電体14の作製−
実施例1において、非水溶性ポリマー(1)を非水溶性ポリマー(2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物14及び透明導電体14を得た。なお、導電性組成物14中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体14中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
(実施例15)
−透明導電体15の作製−
実施例1において、非水溶性ポリマー(1)を非水溶性ポリマー(3)としてのポリメタクリル酸メチル(SP値18.5MPa1/2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物15及び透明導電体15を得た。なお、導電性組成物15中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体15中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
(実施例16)
−透明導電体16の作製−
実施例1において、非水溶性ポリマー(1)を非水溶性ポリマー(4)としてのポリイソブチレンSP値15.8MPa1/2に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物16及び透明導電体16を得た。なお、導電性組成物16中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体16中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0130】
(比較例1)
−透明導電体17の作製−
実施例1において、分散剤(1)をソルスパース24000(ルーブリゾール社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物17及び透明導電体17を得た。なお、導電性組成物17中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体17中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0131】
(比較例2)
−透明導電体18の作製−
実施例1において、分散剤(1)をCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)(和光純薬社製)に代えたところ、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えたところで凝集が発生し、その先の評価が不可能であった。
【0132】
(比較例3)
−透明導電体19の作製−
実施例1において、分散剤(1)をDISPERBYK−2091(ビックケミー社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物19及び透明導電体19を得た。なお、導電性組成物19中に含まれる銀ナノワイヤー量をICP(高周波誘導結合プラズマ;島津製作所社製、ICPS−1000IV)にて測定したところ、0.27%であった。透明導電体19中に含まれる銀ナノワイヤー量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.04g/mであった。
【0133】
(参考例1)
−透明導電体20の作製−
実施例1において、非水溶性ポリマー(1)を水溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルエチルセルロースに代えたところ、凝集が発生し、その先の評価が不可能であった。
【0134】
(評価)
実施例1〜実施例16、比較例1及び比較例3の室温乾燥させたときの導電性(以下、「低温導電性」という。)150℃で30分間焼成させた後の導電性(以下、「高温導電性」という。)、溶剤分散性、全光透過率、ヘイズ、耐久性及び可撓性を以下のように評価した。結果を表2に示す。
【0135】
<低温導電性>
低温導電性は、室温乾燥させたときの導電性を評価した。Loresta−GP MCP−T600(三菱化学株式会社製)を用い、表面抵抗(Ω/□)を測定することにより行った。
【0136】
<高温導電性>
高温導電性は、150℃で30分間焼成させた後の導電性を評価した。Loresta−GP MCP−T600(三菱化学株式会社製)を用い、表面抵抗(Ω/□)を測定することにより行った。
【0137】
<溶剤分散性>
導電性繊維の溶剤分散物の調製において、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加した時点で、以下のとおりの判定で評価した。
[評価基準]
○:目視にて凝集物の発生がない。
×:凝集物が観察された、もしくは調製中の段階で凝集物が発生していた。
【0138】
<透明導電層の全光透過率>
ガードナー社製ヘイズガードプラスを使用して、得られた各サンプルの全光透過率(%)を測定した。
【0139】
<透明導電層のヘイズ>
ガードナー社製ヘイズガードプラスを使用して、得られた各サンプルのヘイズ(%)を測定した。
【0140】
<透明導電層の湿熱経時耐久性>
耐久性の評価として、湿熱経時試験を行った。透明導電体1〜透明導電体10を温度80℃、湿度85%RHで250時間経時した後、Loresta−GP MCP−T600(三菱化学株式会社製)を用い、表面抵抗(Ω/□)を測定し、以下のとおりの判定で評価した。
R1(経時後抵抗率)/R0(経時前抵抗率)×100=抵抗率変化(%)
[評価基準]
1.抵抗率変化が300%以上で、実用上問題のあるレベルである。
2.抵抗率変化が300%未満、200%以上で、実用上問題のあるレベルである。
3.抵抗率変化が200%未満、150%以上で、実用上問題のあるレベルである。
4.抵抗率変化が150%未満、110%以上で、実用上問題ないレベルである。
5.抵抗率変化が110%未満で、実用上問題ないレベルである。
【0141】
<透明導電層の可撓性>
得られた各サンプルの導電層を付与した面を外側にし、直径9mmの金属棒に巻きつけ、15秒間静置させた。巻きつけ前後の各サンプルの表面抵抗を、デジタルマルチメータ7555(商品名、株式会社横河電子機器社製)により測定し、その変化を(巻きつけ後)/(巻きつけ前)×(100%)=抵抗率変化(%)とし、以下の基準で評価した。なお、可撓性は、数字が大きいほど優れていることを示す。
[評価基準]
1.抵抗率変化が300%以上で、実用上問題のあるレベルである。
2.抵抗率変化が300%未満150%以上で、実用上問題のあるレベルである。
3.抵抗率変化が150%未満130%以上で、実用上問題ないレベルである。
4.抵抗率変化が130%未満115%以上で、実用上問題ないレベルである。
5.抵抗率変化が115%未満で、実用上問題ないレベルである。
【0142】
【表2】

(表中、「O.L.」とは、10Ω/□以上の表面抵抗値を示したことを表す。)
【0143】
表2より、実施例1〜実施例16は、低温導電性が優れており、かつ、ヘイズ、耐久性及び可撓性すべてにおいて優れているのに対し、比較例1〜比較例3は、高温導電性が優れているものの、低温導電性がないことがわかる。
【0144】
(タッチパネルの作製)
実施例1〜実施例16での透明導電体は、長波長の透過率が高いことから実施例1〜実施例16の透明導電体を用いて作成したタッチパネルを使用した場合、透過率の向上により視認性に優れ、且つ、導電性の向上により素手、手袋を嵌めた手、指示具のうち少なくとも一つによる文字等の入力又は画面操作に対し応答性に優れるタッチパネルを製作できることがわかった。なお、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
タッチパネルの作製に際しては、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行(株))テクノタイムズ社)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に記載の公知な方法を用いた。
【0145】
(集積型太陽電池の作製)
<作製例1>
−アモルファス太陽電池(スーパーストレート型)の作製−
ガラス基板上に、実施例1の導電性組成物1を塗布し、温度25℃、湿度55%の条件下で乾燥させることで、透明導電体1を形成した。この透明導電体1中の銀量を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.06g/mであった。その上部にプラズマCVD法により厚み約15nmのp型、前記p型の上部に厚み約350nmのi型、前記i型の上部に厚み約30nmのn型アモルファスシリコンを形成し、前記n型アモルファスシリコンの上部に裏面反射電極として厚み20nmのガリウム添加酸化亜鉛層、前記ガリウム添加酸化亜鉛層の上部に厚み200nmの銀層を形成し、光電変換素子1Aを作製した。
【0146】
<作製例2〜15,17>
−アモルファス太陽電池(スーパーストレート型)の作製−
作製例1において、表3に示すように透明導電体1を透明導電体2〜15,17にそれぞれ代えた以外は、作製例1と同様にして、光電変換素子2A〜15A,17Aを作製した。
【0147】
<作製例19>
−CIGS太陽電池(サブストレート型)の作製−
ガラス基板上に、直流マグネトロンスパッタ法により厚み500nm程度のモリブデン電極、前記電極の上部に真空蒸着法により厚み約2.5μmのカルコパイライト系半導体材料であるCu(In0.6Ga0.4)Se薄膜、前記Cu(In0.6Ga0.4)Se薄膜の上部に溶液析出法により厚み約50nmの硫化カドミニウム薄膜を形成し、前記硫化カドミニウム薄膜の上部に実施例1の導電性組成物1を塗布し、温度25℃、湿度55%の条件下で乾燥させることで透明導電体1を形成した。この透明導電体1中の銀を蛍光X線分析装置(SII社製、SEA1100)にて測定したところ、0.06g/mであった。前記透明導電体1の上部に直流マグネトロンスパッタ法により厚み約100nmのホウ素添加酸化亜鉛薄膜(透明導電層)を形成し、光電変換素子1Bを作製した。
【0148】
<作製例20〜33、35>
−CIGS太陽電池(サブストレート型)の作製−
作製例19において、表4に示すように透明導電体1を透明導電体2〜15,17にそれぞれ代えた以外は、作製例19と同様にして、光電変換素子2B〜15B,17Bを作製した。
【0149】
(太陽電池特性(変換効率)の評価)
各太陽電池について、AM1.5、 100mW/cmの疑似太陽光を照射することで太陽電池特性(変換効率)を測定し、評価した。アモルファス太陽電池の結果を表3に、CIGS太陽電池の結果を表4に示す。
【0150】
【表3】

【0151】
【表4】

【0152】
表3及び表4から、実施例1〜実施例14の透明導電体を使用した太陽電池は変換効率が極めて高いのに対し、比較例1及び比較例3の透明導電体を使用した太陽電池は変換効率が実施例1〜実施例14と比較して劣っていることがわかる。これは、分散剤(1)から分散剤(5)を使用することで、膜中の含水率が低下し、長波長域の透過率が向上したためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の導電性組成物は、優れた導電性及び透過率、ヘイズ、耐久性、可撓性を有しているため、例えば、タッチパネル、ディスプレイ用帯電防止、電磁波シールド、有機又は無機ELディスプレイ用電極、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用帯電防止、太陽電池、その他の各種デバイスなどに幅広く利用可能である。
また、本発明の導電性組成物は、焼成しなくても導電性を有することから、熱をかけることができないフレキシブル基板などへ配線する際に利用可能である。
【符号の説明】
【0154】
10 タッチパネル
20 タッチパネル
30 タッチパネル
11 透明基板
21 透明基板
31 透明基板
12 透明導電膜
13 透明導電膜
22 透明導電膜
23 透明導電膜
32 透明導電膜
33 透明導電膜
24 絶縁層
25 絶縁カバー層
14 保護層
17 保護膜
15 中間保護膜
16 グレア防止膜
18 電極端子
33 スペーサ
34 空気層
35 透明フィルム
36 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性繊維と、
前記導電性繊維を分散させる下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む分散剤と、を少なくとも含むことを特徴とする導電性組成物。
【化23】

但し、一般式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Jは、−CO−、−COO−、−CONR10−、−OCO−、メチレン基、フェニレン基、又は−CCO−基を表す。R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。Wは、単結合又は2価の連結基を表す。Pは、ヘテロ環基を表す。
【請求項2】
一般式(1)中のPが、下記一般式(2)で表される置換基又はその互変異性体構造で表される置換基である請求項1に記載の導電性組成物。
【化24】

但し、一般式(2)中、Rは、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、又は置換又は無置換のアリール基を表す。Rは、水素原子又は下記一般式(3)で表される置換基を表す。
【化25】

但し、一般式(3)中、R23は、置換又は無置換の芳香環、ヘテロ原子含有複素環を表す。
【請求項3】
分散剤が、さらに末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーを共重合単位として含むグラフト共重合体である請求項1から2のいずれかに記載の導電性組成物。
【請求項4】
重合性オリゴマーが下記一般式(4)で表される請求項3に記載の導電性組成物。
【化26】

但し、一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Xは、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、Lは、単結合、又は2価の有機連結基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。mは、0〜100の整数を表し、nは、1〜100の整数を表す。
【請求項5】
SP値が、18MPa1/2〜30MPa1/2である非水溶性バインダーをさらに含む請求項1から4のいずれかに記載の導電性組成物。
【請求項6】
導電性繊維が、金属ナノワイヤーである請求項1から5のいずれかに記載の導電性組成物。
【請求項7】
金属ナノワイヤーが、銀、及び、銀と銀以外の金属との合金、のいずれかからなる請求項6に記載の導電性組成物。
【請求項8】
銀以外の金属が、金、パラジウム、イリジウム、白金及びオスミウムから選択される少なくとも1種である請求項7に記載の導電性組成物。
【請求項9】
導電性繊維の平均長軸径が、1μm〜40μmである請求項1から8のいずれかに記載の導電性組成物。
【請求項10】
一般式(1)で表される分散剤の含有量が、導電性繊維100質量部に対し、0.01質量部〜30質量部である請求項1から9のいずれかに記載の導電性組成物。
【請求項11】
一般式(1)で表される分散剤の重量平均分子量が、5,000〜1,000,000である請求項1から10のいずれかに記載の導電性組成物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の導電性組成物を含んでなることを特徴とする透明導電体。
【請求項13】
透明導電体における導電性繊維の量が、0.005g/m〜0.5g/mである請求項12に記載の透明導電体。
【請求項14】
請求項1から11のいずれかに記載の導電性組成物を有することを特徴とするタッチパネル。
【請求項15】
請求項1から11のいずれかに記載の導電性組成物を有することを特徴とする集積型太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−228243(P2011−228243A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152406(P2010−152406)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】