説明

導電性被覆を有する物品の製造方法

本発明は、微細に分割された導電性金属粒子とバインダーを含む組成物で基材を少なくとも部分的に被覆し、そして被覆された基材を雰囲気温度から200℃の範囲の温度でハライドイオン源の存在下少なくとも1回水により処理することによる、少なくとも表面の一部に導電性被覆を有する物品の製造方法に関する。本発明の方法は、導電性被覆を有する物品を簡単で、迅速かつマイルドな方法で生産することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともその表面の一部に導電性被覆を有する物品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性被覆を備えた物品は、例えば導体トラック、電磁場遮蔽シールド、RFIDアンテナなど様々な応用が見られる。これらの物品は、印刷、塗装、スプレー又は散布のような基材を導電性組成物で被覆する通常のコーティング方法により製造される。導電性組成物は、通常、液体又はペースト状のポリマーマトリックスの中へ取込まれている、銀、銅又はカーボン粒子若しくはそれらの混合物のような粒子形態の高重量割合の導電性物質から構成される。該組成物が適用された後、被覆は乾燥及び/又は硬化される。被覆の導電性の程度は、導電性粒子の間でどれだけ有効な電気的な接触が生成できるかによる。この目的のために多様な方法が使用される。
【0003】
1つの方法は厚膜技術と呼ばれ、それは特にセラミック基材の上にハイブリッド回路を作り出すために使用される。その場合、有機バインダー及び溶媒からなり、その中に導電性材料が分散されており、必要に応じ他の成分をさらに含んでいるペースト状の組成物が所望のパターンの形に適用されそして乾燥される。次に350℃以上の温度での焼成は有機材料を焼成し、そして導電性材料が導電トラックを形成するように焼結を生じさせる。高温であることを考慮すると、この技術の適用はセラミック基材に限られる。到達できる導電性は、典型的には対応する中実金属の導電性の半分から4分の1である。
【0004】
他の方法は薄膜技術であり、ここでは材料は高真空下で蒸気化され、そして基材の上に望みのパターンに沈着される。この場合に得られた膜は、実質的に厚膜技術によるものより薄く、膜の厚みは概して約0.1μmである。この場合、しばしば膜厚を電気めっきにより3μmまで増強しなければならない。薄膜技術は高価であり、そしてそれ故使用されるのはまれである。
【0005】
さらなる方法は、国際公開WO98/37133号及びWO03/003381号公報の中で詳述されている。この場合、反応有機媒体および金属粉を含む組成物が基材へ適用されそして望みの接触トラックが形成される間450℃までの温度に加熱される。反応性有機媒体は、例えばネオデカン酸又は2ーエチルヘキサン酸の銀塩など、有機酸の金属塩のような有機金属化合物である。使用される温度下では、有機金属化合物は対応する金属を形成するように分解を受け、そして該組成物の中に存在する金属粒子へ固着する。高い温度のために、この方法も使用できる基材に関して制限を受ける。
【0006】
さらなる方法は、溶媒と熱可塑性樹脂又は熱硬化性のバインダーをベースとするシステムの使用を含む。金属粒子はバインダーマトリックスの中に存在する。そのため、銀粒子に対して少なくとも25mΩ/25μm(25mΩ/平方ミル)オーダーの標準化された比表面導電性を達成するために、これらのシステムは十分に硬化または乾燥させなければならない。この場合、一般的には何分もの間100℃以上の温度が使用されることが必要である。
【0007】
先行技術の方法の共通の特徴は、それらは比較的長時間の間高温を適用することを必要とし及び/又は望ましくない低導電性を有する被覆を生成するため、導電性を向上させるために追加の対策を必要とすることである。
【発明の開示】
【0008】
従って、本発明が基本とする目的は、低温で迅速かつ簡単に実施することができ、それでいて高い導電性を有する被覆を生成する、導電性被覆を有する物品を製造するための方法を提供することにある。
【0009】
今や驚いたことに、もし導電性の金属粒子からなる組成物が基材へ適用され、そして被覆された基材をハライドイオン源の存在下水により処理すると、この目的が達成されることが見い出された。
【0010】
それ故、本発明は、微細に分割された導電性金属粒子とバインダーを含む組成物で基材を少なくとも部分的に被覆し、そして被覆した基材を雰囲気温度から200℃までの範囲の温度でハライドイオン源の存在下少なくとも1回水により処理することを含む少なくとも表面の一部に導電性被覆を有する物品を製造するための方法を提供する。
【0011】
本発明の目的のための導電性は、標準化された比表面抵抗が100mΩ/25μmより小さく、とりわけ50Ωm/25μmより小さく、好ましくは25mΩ/25μmより小さく、特に好ましくは10mΩ/25μmより小さい時に提供される。
【0012】
本発明方法は、導電性金属粒子を含む組成物を使用する。好ましい導電性金属は、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、マンガン、レニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、チタニウム、アルミニウム、インジウム、錫、鉛、アンチモン又はビスマス若しくはそれらの混合物および合金である。特に好ましい金属は、銀、銅、アルミニウム又はそれらの混合物若しくは合金である。金属粒子はどのような望みの形態においても使用することができるが、フレークまたは球が好ましい。好ましいフレークは、0.1μm〜100μm、好ましくは2μm〜50μmそして特に好ましくは5μm〜30μmの範囲の平均的な主直径を有する。フレークの平均的な厚みは、好ましくは0.05μm〜2μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲である。フレークの主直径と厚みの比は2:1〜2000:1の範囲である。好ましい球形は1nm〜100μm、好ましくは10nm〜10μm、そして特に好ましくは10又は20nm〜1μmの範囲の平均的な直径を有する。
【0013】
典型的には、組成物はバインダーを含む。これは有機ポリマーのバインダー又は組成物であってよく、それは適当な方法により硬化させることができる。好適なポリマーバインダーの具体例は、ポリビニルブチラール(ブチルアセテート単位、メチルアクリレート単位及びビニルアルコール単位からなるコポリマー)、線状(メタ)アクリレート又はそれらと、例えばスチレン、ブタジエンなどとのコポリマーのようなポリ(メタ)アクリレート系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、セルロースエーテル又はセルロースエステルのような熱可塑性ポリマーである。しかしながら、エポキシレジン、ポリエステルレジン、ポリウレタンレジン、高架橋アクリレートレジン及びアルキドレジンのような熱硬化性ポリマーもまた好適である。
【0014】
硬化性成分は、とりわけ反応性レジン、反応性ワニス及び反応性希釈液である。この種の成分はとりわけ放射線硬化性レジンであり、具体的には重合可能なビニル基を含んでいるモノマー、オリゴマー又はポリマーの(メタ)アクリルエステル、およびポリイソシネート及びポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール)から製造されたポリウレタンである。硬化性成分が使用される時は、UV開始剤、促進剤などのような硬化するための補助剤も必要となる。
【0015】
これらの他に、組成物はさらに溶剤を含んでいてもよい。特に有益な溶剤は、水;アルキルアセテート、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル及びイソブチルアセテートのようなエステル類、メチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート、ブトキシメチルアセテートのようなアルキルグリコールアセテート類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−オクタノール、イソブタノール、グリコール又はグリセロールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン又はイソホロンのようなケトン類;ジオキサン又はテトラヒドロフランのようなエーテル類;又はメチルグリコール、エチルグリコール、3−メトキシブタン−1−オール又は1−メトキシプロパン−2−オール、ポリエチレングリコール又はそれらの混合物のようなグリコールエーテル類である。
【0016】
他に組成物は、例えば界面活性剤、染料、顔料、充填剤などの代表的な助剤を含んでいてもよい。
【0017】
組成物の中の金属粒子の総量は、導電性金属粒子およびバインダーの合計重量を基準として一般的に60重量%〜99重量%、好ましくは70重量%〜99重量%、そして特に好ましくは80重量%〜99重量%の範囲である。そしてバインダーの総量は、導電性金属粒子およびバインダーの合計重量を基準として一般に1重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、特に好ましくは1重量%〜20重量%の範囲である。バインダーと導電性金属粒子の比は、一般に1:99〜40:60、好ましくは1:99〜30:70、そして特に好ましくは1:99〜20:80の範囲である。溶剤の総量は、通常、組成物を基材へ適用するのに適した粘性を有するように選択される。そして、しばしば溶剤の総量は、組成物の合計重量を基準として5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、そして特に好ましくは15重量%〜35重量%の範囲である。
【0018】
組成物は、慣用的な方法により基材へ適用することができる。好適な方法は、印刷、塗装、スプレー及び流延方法である。好ましい印刷方法は、例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、平版印刷、パッド印刷及びデジタル印刷であり、特にインクジェット印刷及び転写印刷である。このような技術は当業者に知られている。好ましい印刷方法は、スクリーン印刷、インクジェット印刷及びグラビア印刷である。基材への適用は、通常0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmの範囲の乾燥膜厚を与えるように実施される。
【0019】
本発明の方法において使用できる基材の選択は、材料または基材の形態に関して制限されない。それらは硬質又は可撓性のプラスチック、金属、セラミック又は紙でよく、若しくは複合材料の形態をしていてもよい。しかしながら、典型的に電子構成部品に使用される材料、特にポリマーフィルムを使用することが好ましい。もし望むなら、乾燥処理及び/又は硬化処理が適用に続けられてもよい。被覆された基材は、雰囲気温度における風乾、または適当な場合減圧下において乾燥装置中の慣用方法で乾燥することができる。硬化は、UV光へ曝露することによるような典型的な条件下で達成することができる。
【0020】
導電性を向上させるため、被覆された基材はその後ハライドイオン源の存在下水により処理される(語句“水”は、以後ハライドイオン源および適切な場合さらなる助剤を含んでいる水を指す)。使用されるハライドイオン源は、好ましくはフッ化物又は臭化物、特に好ましくは塩化物のイオン源である。また、水は界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、水混和剤の溶剤のような助剤を含んでもよく、溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、グリコール又はグリセロールのようなアルコール類、アセトンメチルエチルケトンのようなケトン類、ジオキサン又はテトラヒドロフランのようなエーテル類、メチルグリコール、エチルグリコール又はポリエチレングリコールのようなグリコールエーテル類である。処理は、好ましくは雰囲気温度(すなわち、15〜30℃で、とりわけ20℃)〜200℃、とりわけ20℃以上水の沸騰温度まで、そして特に好ましくは50〜90℃の範囲の温度で実施される。水処理は、被覆された基材を選択された処理温度にて水に接触させることにより達成される。これは被覆された基材を浸漬する又は水で基材をスプレーすることにより好適に成し遂げられる。水は既に望みの温度にされていてもよく、または浸漬又はスプレーの後に望みの温度にされてもよい。また、代りとして、例えば蒸気で飽和されたチャンバー内で、蒸気を用いて処理を実施してもよい。処理は短時間で十分である。好適には、処理時間は0.1秒〜10分とりわけ1秒〜1分、そして特に好ましくは1秒〜30秒の範囲が適切である。処理時間は、処理温度を含むファクターにより左右され、換言すれば、処理温度が高ければ高いほど処理時間が短くなる。
【0021】
有機および無機ハライドが、ハライドイオン源として使用することができる。無機ハライドは、とりわけ水溶性の金属ハライド、好ましくはアルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、そして水溶液が酸性pHのルイス酸ハライドを含む。
【0022】
語句“水溶性”は、水の中の溶解度が以下に示される水溶液中のハライドイオン源の濃度を達成するために少なくとも十分であることを意味している。使用できるハライドの例は、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、又は塩化アンモニウム若しくは対応するフッ化物及び臭化物を含む。とりわけ好適な有機物のハライドは、テトラアルキルアンモニウムハライドのようなアンモニウムハライド、例えばテトラメチルアンモニウムフロライド又はテトラヒドロオキシアルキルアンモニウムハライドである。さらに好適なハライドイオン源は、ハロゲン化水素酸(ハロゲン化水素)、特にフッ化水素酸、臭化水素酸そして、とりわけ好ましいのは塩酸である。特にハロゲン化水素酸は、被覆された基材が蒸気により処理された時に好適である。
【0023】
処理は、とりわけ1〜6のpHを、そして時に好ましくは2〜5のpHの酸性pHを有する水を使用して適当に実施することができる。pHは、典型的には硫酸、リン酸、酢酸などのような水溶性の有機又は無機酸を使用して、またはその水溶液が酸性pHを有するハライドイオン源を使用することにより設定することができる。この種のハライドイオン源は、前述のルイス酸ハライドそしてハロゲン化水素酸である。
【0024】
水溶液中のハライドイオン源の濃度は、水の総量を基準として通常0.01重量%〜10重量%、特に好ましくは0.1重量%〜7重量%の範囲である。酸性のハライド又はハロゲン化水素酸を使用する時、濃度は溶媒が望みのpHを有するように適当に選択される。
【0025】
通常、1回の水処理で十分である。もし望むなら、1又はそれ以上の回数処理を繰り返すことができる。
【0026】
導電性被覆の導電性は、200℃以下の温度で圧延することによる後処理により付加的に向上させることができる。圧延は、例えばカレンダーやラミネーターの慣用の装置を用いて実施される。圧延する時に使用される圧力は、圧延温度により及び物品が圧延装置を通過する速度により、そしてロール径によっても左右される。100mmのロール径のための圧力は、50mmの幅を有するロールで圧延すべきシートに対して通常5〜100barの範囲が好適である。それは雰囲気温度(15〜30℃)で最初の圧延処理を実行し、そして続いて70℃〜200℃の範囲の温度で少なくとも1回以上の圧延処理を実行するのが特に有益であることが証明された。
【0027】
被覆された物品に、付加物にワニスコート又は膜のような保護被覆又はトップコートを施してもよい。
【0028】
本発明の方法は、簡単で迅速に、そしてコスト的に有効な態様で導電性被覆を有する物品の生産を許容し、物品の導電性は少なくとも従来技術に従って得られた物品の導電性に匹敵する。従って、本発明の方法は、プリント回路、電磁波シールドのためのデバイス、RFIDアンテナ、センサー、バッテリー又は太陽電池のような電子部品を生産するのに特に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、限定することなく本発明の実施例を示す。
【0030】
〔実施例1〕
導電性スクリーン印刷用インクは、4重量部のポリビニルブチラールレジン(Pioloform BL18;Wacker)、28重量部のブチルグリコールアセテート及び68重量部の銀フレーク(SF9AL Ferro)を一緒に攪拌し、そして該混合物を3連ロールミルで均質化することにより調製される。望ましいスクリーン印刷の粘性は、エトキシプロピルアセテートを添加することにより設定される。
【0031】
半自動スクリーン印刷装置は、50μm厚のポリイミドフィルムの上に4μm厚のフィルムでUHF用のRFIDアンテナを印刷するためにスクリーン(120−31)を用いて使用される。これらは室温で乾燥された後、これらのアンテナは64〜96mΩ/25μmの標準化された比表面抵抗に相当する400〜600mΩの比表面抵抗を有する。その後アンテナは、90℃に加熱された塩化アルミニウム水溶液(水200ml中10gの塩化アルミニウム)の中に10秒間浸漬することにより処理される。
【0032】
そしてサンプルの1バッチは、2つの鋼ロールの間で30barの圧力で冷間圧延され、そしてまたラミネーター(IBICO社のPouchman12)において3回曲げ熱間圧延(カレンダーリング)によって後処理される。
【0033】
標準化された比表面抵抗の値は、以下の表に従う。
【0034】
【表1】

【0035】
〔実施例2〕
導電性グラビアインクは、4重量部のポリビニルブチラールレジン(Pioloform BL18,Wacker)、26重量部のエタノール、2重量部のエトキシプロピルアセテート及び68重量部の銀フレーク(SF9AL,Ferro)を一緒に攪拌することにより調整される。望ましいグラビア印刷の粘性は、エタノールを添加することにより設定される。
【0036】
印刷は、六角形セル形状の深さ70μm及び角度60°の40本彫刻線を有するテストシリンダーを使用して実施される。幅2mmの線が、ポリイミドフィルム(厚み50μm)上に印刷される。印刷厚みは略3μmであり、そして線は構造において均一でない。比表面抵抗は180mΩであり、標準比された比表面抵抗は21.6mΩ/25μmである。その後、印刷された試料は、10gの塩化アルミニウム200mlの水に溶けた90℃に加熱された溶液の中に10秒間浸漬される。標準化れさた比表面抵抗は5.4mΩ/25μmの値へ低下する。
【0037】
実施例1の規定した圧延による後処理は、標準化された比表面抵抗を4.1mΩ/25μmの値へ低下させる。
【0038】
〔実施例3〕
実施例1が繰り返されるが、浸漬沿中の塩化アルミニウムは15gの塩化ナトリウムと25%濃度の酢酸10mlで置き換えられる。この後、実施例1に規定した圧延による後処理が続けられる。得られた物品の標準化された比表面抵抗は、2.8mΩ/25μmである。
【0039】
〔実施例4〕
導電性グラビアインクは、16.8重量部のワニス(ハーフトーン印刷のためのフィルム展延剤111350PN,A.M.Ramp & Co社)、0.2重量部の分散添加剤(Byk301,Byk−Chemie社)、9.1重量部のエトキシプロパノール及び73.9重量部の銀粉末(7000−35,Ferro)を攪拌することにより調製され、そしてインクはビードミルの中で均質化される。望ましいグラビア印刷粘性は、エトキシプロパノールを添加することにより設定される。
【0040】
グラビア印刷プレス(Moser)が、75μm厚のPETフィルムの上に3.5μm厚のUHFテストアンテナを印刷するために50m/minの速度で使用される。
【0041】
これらのアンテナが乾燥された後、それらの比表面抵抗は200kΩより大きい。その後、印刷された試料は、10gの塩化ナトリウムが200mlの水に溶けた90℃に加熱された溶液の中に1秒間浸漬される。比表面抵抗は67mΩへ低下する。その後の圧力30bar(ロール径100mm,ウエブ幅30mm)の2回曲げ冷間圧延は、比表面抵抗を41mΩへ低減する。上で同定した塩化ナトリウム溶液の中の1分間の新たな浸漬は、比表面抵抗を標準化された比表面抵抗3.6mΩ/25μmに相当する25mΩへとさらに低減する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細に分割された導電性金属粒子とバインダーよりなる組成物で基材を少なくとも部分的に被覆し、そして被覆された基材を雰囲気温度から200℃の範囲の温度でハライドイオン源の存在下少なくとも1回水により処理することを特徴とする、少なくとも表面の一部に導電性被覆を有する物品の製造方法。
【請求項2】
ハライドイオン源として、水溶性金属ハライド、アンモニウムハライド又はハロゲン化水素が使用されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハライドイオン源として、アルカリ金属ハライド又はアルカリ土類金属ハライド、アルミニウムハライド又は亜鉛ハライドが使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ハライドイオン源として、塩化物イオン源が使用されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ハライドイオン源の濃度は、水の総量を基準として0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ハライドイオン源の存在下水による処理は、20〜95℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
水による処理は、被覆された基材を水の中へ浸漬又は被覆された基材を水でスプレーすることにより実施されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ハライドイオン源を含む水は、1〜6の範囲のpHを有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
物品は200℃以下の温度で圧延することにより少なくとも1回後処理を受けていることを請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
圧延は、雰囲気温度で実施されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
物品は、最初に雰囲気温度で圧延処理を受け、そしてその後で7〜200℃の範囲の温度で少なくとも1回さらに圧延処理を受けていることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
組成物は、そのバインダーとして有機ポリマーバインダー又は硬化性成分を含んでいることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
バインダーは、ポリビニルブチラール及び(メタ)アクリレート系ポリマーから選ばれることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
導電性金属は、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、マンガン、レニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、チタニウム、アルミニウム、インジウム、錫、鉛、アンチモン又はビスマス若しくはそれらの混合物及び合金から選ばれていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
組成物は、スクリーン印刷、インクジェット印刷又はグラビア印刷より基材へ適用されることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
物品は、付加的に保護コート又はトップコートを備えている請求項1ないし15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかの方法により得られる、バインダーと微細に分割された導電性金属粒子を含んでいる少なくとも部分的に導電性被覆を有する導電性物品。
【請求項18】
プリント回路基板、RFIDアンテナ、バッテリー又は太陽電池の形態である請求項17に記載の物品。
【請求項19】
請求項1ないし16のいずれかの方法によりハライドイオン源の存在下水による処理を受けていることを特徴とする、微細に分割された導電性金属粒子とバインダーを含んでいる導電性被覆を少なくともその表面に部分的に有する導電性物品の表面抵抗を低減する方法。

【公表番号】特表2009−506524(P2009−506524A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527318(P2008−527318)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004572
【国際公開番号】WO2007/022810
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508056464)アー、エム、ランプ、ウント、コンパニー、ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】