説明

小型トランスポンダ、及び、トランスポンダと読取装置を有する識別システム

フェライトの円筒形状のバー(1)の上に巻かれた導線が、無線周波数により識別の集積回路(3)に接続されているコイルを備えるトランスポンダ。前記コイル(2)が隣接しない非絶縁の巻線(21)の唯1の層で構成され、前記集積回路(3)は10MHzより大きい周波数で動作する。それは、バーとコイルで規定される円筒の太さを越えないように、フェライトバー(1)に、例えばバーの一端部に形成された平面部に、直接的に固定されている。読取装置は平らな巻線で形成された送信アンテナ(5)及び少なくとも平らな螺旋を並べた線部の2つのセット(61,62)を備える受信アンテナ(6)を備えている。各セットは、反対方向に巻かれた2つの平面的巻線61a,61bを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型トランスポンダ及び‘トランスポンダと読取装置を有する識別システム’に関する。前記識別装置はRFID(Radio Frequency Identification)技術と呼ばれる無線周波数による識別技術に基づいて動作する。RFID識別装置はトランスポンダと《 読取装置》と呼ばれる読取/書込部とから構成されている。読取装置は無線でトランスポンダとのデータ交換を行う。一般的に、トランスポンダは電子回路、チップを備え、データを受信し、蓄積し、送信する。読取装置との通信は前記チップに接続されたアンテナを介して行われる。チップ動作に必要なエネルギーは、読取装置によりトランスポンダに供給される。読取装置は送信アンテナを有し、トランスポンダにこのエネルギーを供給し、データを送信する。受信アンテナはトランスポンダにより供給されるデータを受信する。
【背景技術】
【0002】
本発明のトランスポンダは、特に、動物の識別用のものであるが、それに限定されるものではない。この目的で、動物の体に移植されるものである。一般的には動物の皮膚の下付近に移植される。
【0003】
本発明によるシステムは、特に、ねずみ、xenope(かえるの一種)等、小型魚類のような小型動物を識別するのに使用される。トランスポンダは極めて小さく、生体移植を可能にする密閉ガラス又は生体に適合する素材のカプセルに組み込まれている。
【0004】
しかしながら、本システムは別の対象又は要素(大きいために使用することができない従来の大きいトランスポンダを組込むことができない)を所定距離 離れて識別するのにも使用することができる。
【0005】
1MHz以下の周波数で動作するRFID技術に基づいて構成されているシステムは、既に知られている。特許公報FR−2726926又はEP-258415に記載されているように、それは、125kHzの近傍又は数kHz付近である。トランスポンダは、RFIDチップに接続された絶縁線がフェライトバー上で数百回巻かれたコイルから構成されている。このようなトランスポンダは特に、US-5025550, FR2736240, WO-92/22827, US-5963132, WO- 8704900, CA-2478975, US-5281855に記載されている。大量のコイル巻き数が必要であることから、一旦円筒形のガラスカプセルに組込まれたトランスポンダは、最低でも、直径約2ミリメートル、長さ8ミリメートルの大きさを有している。更に、上記最後の2引用文献において、アンテナ、チップ間の接続は、中間ケーブル手段、例えば、印刷回路または接続板を使っている。これには不可避な最小の大きさがあるため、トランスポンダの大きさを十分に小さくすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】FR−2726926
【特許文献2】EP-258415
【特許文献3】US-5025550
【特許文献4】FR2736240
【特許文献5】WO-92/22827
【特許文献6】US-5963132
【特許文献7】WO- 8704900
【特許文献8】CA-2478975
【特許文献9】US-5281855
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の応用分野においては、大きさが極めて重要である。できる限りそれらを小さくすることが望ましい。しかし、読取装置とチップとの間で良好に通信を行うためには、小型トランスポンダでは問題がある。特に、送信電力、即ち、読取装置により送出される磁場強度が比較的に大きいことが、トランスポンダの動作を行うために必要である。その反面、トランスポンダから返信される信号の電力は弱い。従って、読取装置は受信に弱く、送信の電力が強いために、選択度が問題になる。
【0008】
トランスポンダに対して求められている小型化及びトランスポンダの直接的にアクセスすることができないことによる (皮下に埋めるために直接アクセスできない)による最小読取り距離を考慮すると、公知技術では上記応用分野に使えるトランスポンダを得ることはできない。
【0009】
本発明はこれらの問題を解決することを目的とする。特に、動物の皮下に容易に組み込むことのできる、又は、種々の対象に容易に目立たないように適応できる小型トランスポンダを提供することを目的とする。又、本発明は、このトランスポンダと動作するシステムを提供することを目的とする。特に小型トランスポンダと通信できる読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の対象は、フェライトの円筒形バーの上に巻かれ、無線識別用集積回路に接続された導電性線路のコイルを有するトランスポンダである。
【0011】
このトランスポンダの特徴として、コイルは非絶縁線で端と端がぴったりあっていない(non jointive)一層のターンで形成されている。集積回路は10MHz以上の周波数で動作するように構成され、バー及びコイルにより決定される円筒体から突き出ないようにして、フェライトバーの上に直接固定されている。
【0012】
集積回路の動作周波数は13.56MHzであることが好ましい。この周波数は、無線周波数のスペクトルで使えるように構成されている。既に、RFIDの分野では、アクセス又はチケットのコントロールによく使われている。
【0013】
トランスポンダと読取装置との間の伝送には高周波が使われるという事実により、極めて少ないターン数、高々数十程度、例えば30ターンしか持たないコイルを使うことができる。コイルは端と端がぴったりあっていないターンで構成され、結果、非絶縁の細線で構成される。従来の技術では層が重畳される、互いに接触することが不可欠であったし、大きいターン数が必要であったが、従来の技術では、これは不可能であった。例えば、本発明では、直径30μm以下の非絶縁のアルミ又は金の線を使うことができる。これら金属には集積回路の上で半田付けを容易にするという利点がある。1層のコイルで構成し、非絶縁のこの線を使うことにより、コイルの直径を小さくできる。従って、トランスポンダを小さくできる。例えば、最大長さは4.5mmで、その直径は0.7mmより小さくすることができる。
【0014】
このようにして、トランスポンダがカプセル化されるときに、カプセル全体の大きさは直径1mm、長さ6mmより小さくすることができる。
【0015】
集積回路は接着又はロウ付けでフェライトバー上の平らな表面部上に一端部方向に向けて固定されることが好ましい。又、この平らな表面部は、その軸のレベルでそれに平行して、円筒バーの中に形成された平面部であることが好ましい。この平らな表面部をバーの端部で斜めに形成することもできる。直接的にバーの上に回路を固定することにより、別のサポート台を取り除くことができ、従って、それが占める大きさを削減することができる。読取装置との通信のためには、バーの体積、即ちバーの長さが十分長くなければならないことに注意すべきである。それにより、バーの最小の大きさを増大させずに、軸についてコイルを越えるバーの一端部を、集積回路の台として利用することができる。又、少なくともバーの一つの端部が、線を巻く操作の際バーを保持するためにコイルを越える(depasse du bobinage)必要がある。従って、バーの二端部が軸上でコイルを越えるようにすることが可能である。一端部は集積回路の台として役立ち、他の端部はコイル巻きのときにバーを保持するのに役立つ。
又、バーの一つの端部の直近でコイル巻きを実施し、反対の端部を回路支持台のために及びバーの把持のために使うことができる。把持のために又は磁気ニーズ(besoins magnetiques)のためには、必要に応じて回路支持台の平らな表面部を超えて、バーを所定長さ(une certaine surlongueur du barreau)に保つことができる。
【0016】
使用される集積回路は、バーの上で反対方向に固定されると有利である。即ち、接続端子は、集積回路が固定されるバーの表面の反対側に設けられると有利である。このような配置により、アンテナ線を接続するための仲介物(接続板)を不要とすることができる。従って、アンテナは前記回路の端子に直接半田付け又は接着することができる。更に、線は細く、絶縁体を有していないから、回路端子に正確に配置することができ、又、アンテナ線がより大きな直径をもち、絶縁されている場合に必要な接続板を必要としない。
【0017】
回路の接続端子に対して線を正確に位置決めするために、半田付け又は接着されるときに回路の正確な位置決めが保証されることに注意すべきである。これは、前記回路がバーの軸の端部で少なくとも少し突き出してフェライトバーに固定されるように有利に設計されるおかげである。その結果、半田付け又は接着する時に、製造装置の固定目標に対して、回路を機械的スラストに置きながら正確に配置することができる。このようにすることにより、バーの大きさに関する避けることできない小さい欠点をクリアできる。素子の小ささを考えると、これは、大きなメリットであって、アンテナと回路の間の接続の信頼性を高くでき、導体の両端部位置と回路端子の位置との間のずれを回避できる。
【0018】
しかし、コイル(集積回路を載せる端部の反対側のバー端部に向かって配置されている)の端部を前記集積回路に接続するために、バーの長さに沿って軸方向に導電線の戻り部分を通すことが必要である。
【0019】
このために、バーの長さ方向に沿って延びる小さい平面部を設けることができる。その大きさは戻り線をそこに配置するために十分な大きさとする。前記戻り線はコイルの内側を通る。これによりコイルの直径は増加しない。また、戻り導線のこの部分を絶縁するために、線の前記部分を薄層電気的絶縁体(例えば、絶縁接着剤、薄意フィルム)でカバーするように設計される。また、前記平面を縦方向の溝又はノッチ(saignee)(例えば、V状断面、その底に戻り線が配置される)により置き換えることができる。更に、狭い溝を使うことができる。その幅は戻り線を適度に通すもので、深さが深いものである。結果、戻り線はコイル巻線と接触せず、絶縁層を設ける必要もない。
【0020】
又、戻り導線を巻線の上に(即ち巻線の外側)に通すことができる。この場合、線はバーに設けられる平面の形状に合うように(de maniere a epouser la forme d'un meplat)巻かれる。そして、前記平面が大きさを更に拡大させないように絶縁性ニス又は樹脂により巻線と戻り導線(巻線の上を通る)との間を確実に絶縁する。
【0021】
コイルは、マイクロエレクトロニクスで使用されるコイル巻き手段により、端と端がぴったりあっていない線で巻かれる。これにより、巻線が必要とする空間を確保することができる。次に、ニスをつかって、巻線の間隔を確実にすることができる。又、フェライトバーの上に深い谷(gorge)、ねじ山を形成し、その深さを、コイルの巻線を収容し、その位置決めと絶縁を確実にするように形成することができる。
【0022】
従来の方法により、トランスポンダは密閉した又は封止したカプセルの中に入れて使われている。このカプセルはガラス又はプラスチック材料であってよい。また、トランスポンダは、トランスポンダの周りに直接行うプラスチック、樹脂、シリコーン、PVC等の材料による射出成型(surmoulage)により、又はニスの外側層によりの保護することができる。
【0023】
本発明は、このトランスポンダ及び読取装置を有する識別システムを対象としている。前記読取装置は所定直径の平らな渦巻に形成された送信アンテナ、及び、‘平らな螺旋を並べた線の少なくとも2セットを備える受信アンテナ’を有している。但し、前記各セットは、同一面にあって隣接して(dans un meme plan et adjacentes)反対方向に巻かれた2つの平らな螺旋を有している。
【0024】
読取装置の放射要素を形成する送信アンテナ及び受信アンテナは同一基板上で彫刻(gravage)により作成される。
【0025】
本装置により、読取装置の光学的動作が保証される。前もって決められた小型トランスポンダに送信レベルを適合させることができる。即ち、相対的に高い送信レベルを提供することができる。送受信アンテナは、受信信号をよりよく区別するために、受信アンテナが送信部分から影響を受けないように、配置される。
【0026】
トランスポンダは小型であるから、読取装置の送信信号強度は比較的強く、通常、磁場の値は20と30アンペア/mの間である。即ち、従来の読取装置より3倍及び6倍大きい。これにより高い信頼性でトランスポンダに電源を供給できる。しかしながら、他方、トランスポンダが小型のために、トランスポンダから送信される信号は比較的小さい。
【0027】
アンテナのgravureに与えられた図形により、送信アンテナが直接生成する電磁場を最小化し、結果、受信アンテナに関して、トランスポンダから来る信号をよりよく識別することができる。
【0028】
送信信号は、少なくともC級の増幅器を介して、生成され、フィルタされ、適応され、増幅される。
【0029】
帯域通過フィルタリングにより、トランスポンダから戻ってくる受信信号をフィルタすることができる。このフィルタリングは受信信号の側帯域しか保存しないが(これはトランスポンダから来る必要情報を受信するのに十分である)、前記側帯域に含まれる全エネルギーを保存するようにして実施され、情報は復調回路により読み取ることができる。
【0030】
受信回路に関しては、動作電圧は極めて小さく、プリアンプは受信信号の復調の前に行われ、読取装置の増幅回路により、トランスポンダの送出した信号を十分増幅し、トランスポンダからの情報を誤り無く読み取ることができる。
【0031】
本発明とその変形例に基づくトランスポンダについてのその他の特徴と有利な点について明細書に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面について説明する。
【図1】本発明によるトランスポンダの斜視図である。
【図2】トランスポンダの端部の前面の図である。戻り線の位置と絶縁を示すように拡大されて詳細が示されている。
【図3】トランスポンダが密閉されたガラスカプセルに組込まれ収容されていることを示す図である。
【図4】トランスポンダの実施例の第1変形例である部分斜視図である。
【図5】トランスポンダの第2の実施例の斜視図である。
【図6】トランスポンダの第3の実施例のフェライトバーの斜視図である。
【図7】トランスポンダの第4の実施例による第1図に対応する図である。
【図8】トランスポンダの第4の実施例による第2図に対応する図である。
【図9】トランスポンダの第4の実施例による第3図に対応する図である。
【図10】読取装置の放射素子の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1,2で示されるトランスポンダは、一般的に軸方向に伸びている円筒形であるフェライトバー、バーの周りに形成されたコイル2、及び周知のRFID用集積回路3を含んでいる。
【0034】
フェライトバー1は、一端部に平面部11を有している。その平面部の表面はバーの軸の近くに配置されている。又、バーが図のように配置され、コイルの両端部の半田付けを可能にするときに、その上に、回路3が接着又はロウ付け(brasage)により固着されている。回路の電気接続端子35は上方に配置されている。又、バー1は別の平面部12を持つ。この平面部はバーの長さ方向に延びているが、切断面はより小さい。この点については、後述する。
【0035】
コイル2は、バー1の上で端と端がぴったりあっていない、絶縁被覆のない導電性(例えば、金)細線21を使って数十回巻いて形成される。コイル2は、例えば、直径25μmの線で約30回巻く。巻きの間隔は例えば約0.07mmである。
【0036】
このコイル2は平面部11から他の端部に延び、バーの他の端部13にはコイルのない部分を残している。これにより、コイルを作成するとき、バーを把持することができる。平面部11側の導電線21の端部21bは集積回路3の端子35に直接半田付けされて接続されている。コイルの他の端部においては、戻り銅線21bが折り返され、平面部12に沿ってコイル巻線の下を通って、集積回路3に接続している。絶縁用の薄いフィルムを設けて、戻り線21aと巻線の間の絶縁を確実にしている。平面部12の断面の大きさは、戻り線と絶縁フィルム4との断面における大きさに対応するように決められている。結果、巻線のコイル半径は一定で、戻り線の上の通過についての過剰な厚みを持つことは無い。図2を見て分かるように、断面図において、集積回路は、コイル2の回りを越えてはみ出していないことに注意すべきである。
【0037】
埋め込み可能なトランスポンダの応用において、上記トランスポンダは周知のやり方で図3のように、両端部で密閉された円筒形の形状のガラスの中に組み込まれる。
【0038】
図4は変形例である。平面部12は、円筒形バーのgeneratrice(円筒の軸と平行の、筒表面の上の直線)に沿ってV字状(又はU字状)断面の溝に置きかえられている。戻り線21aはその中に配置されている。もしこの溝の深さが十分深く、何箇所かで接着剤又はニスを使って溝に戻り線を正確に保持することができれば、絶縁フィルムを使用しなくてよい。
【0039】
変形例である図5において、コイル巻きは回路を設けている端部と反対のバー1の面から行われる。回路3が固定される平面部11は、自由端部15を延長することができる。これは、トランスポンダを作成するときにバーを把持するのに役立つ。この図は補完的な変形例である。戻り線21aの通る平面部は、図1のようには、回路3の支持台である平面部11に平行していないことに注意すべきである。つまり、角度がずれている。
【0040】
図6は巻線2と集積回路3がなく、フェライトバーだけが示されている。同図は別の変形例を示す。巻線を形成する線を設けるために、例えば、深さ0.05mで適合されたピッチのネジが巻線を持つバーの部分に刻まれている。必要に応じて、この線は、平面部を持つ端部部分を含め、バーの長さに延びている。更に、戻り線21aの通路について、この図に別の実施例が示されている。この通路は溝17を使って比較的深く(例えば、バーの軸まで深いレベルまで)作られている。この深さは戻り線の維持、絶縁の手段の必要性を避けるような深さである。
【0041】
図7乃至9には、別の変形例が示されている。フェライトバー1は平面部12を有しており、細い巻線21が、前記平面部に対して押し当てられてバーに巻かれている。ニス、接着剤又は絶縁樹脂41が前記平面部12に配置されている巻線部分の上に配置され、この巻線部分を覆い、確実に絶縁している。戻り線21aはこの絶縁被覆41(平面部12の上に形成されている)の上を通る。この絶縁被覆はフェライトバーの直径を大きくするものではない。このために、戻り線はコイルの大きさより大きくするものではない。
【0042】
又、回路3は、バー端部を越えてバーの平面部11に固定されていることに注意すべきである。従って、既に説明したように、接続端子35の上に線21a及び21bを半田付けするときに製造装置上で回路位置について正確な表示をするために、バーの軸端部方向に位置している回路の面31及び回路の横方向面の縁をスラスト面として使用することができる。その結果、線が極細線であり、端子又は接続面(plage de connexion)が極めて小さいにも拘らず、接続は極めて確実に自動的に実行される。
【0043】
本発明によるトランスポンダと通信するための読取装置は従来の電子素子を備え、送信するときに、無線により電流を生成しトランスポンダに集積回路の動作に必要なエネルギーを伝送することを可能にする。又、読取装置からトランスポンダに送信された信号をそれに結合し、又、受信時に、戻り信号を検出し、それからトランスポンダが提供する情報を抽出する。しかしながら、既に説明されているように、本発明によるトランスポンダが小型化されるので、読取装置は改善され、トランスポンダに十分なエネルギーを送信し、トランスポンダの送信内容を確実に読み取ることができる。このために、本発明による読取装置の放射素子(例えば図10に示される)は、公知の印刷回路技術を使って、同一基板の上に設けられる送信アンテナ5及び受信アンテナ6で構成されている。送信アンテナ5は複数の大きい直径巻線で構成されている。受信アンテナ6は送信アンテナの巻線の内側で平らな渦巻を並べた導電トラック部の2セット61,62を有している。各セットは、同一面にあって隣接している2つの平らな螺旋61a,61bを有している。これら螺旋は相互に連続しているが、反対方向に巻かれている。これら巻線の中心端部は受信電子回路に接続されている(図示していない)。これにより、受信回路に対し送信磁場の伝送において、数dB減少させることができる。
【0044】
本発明は、例示として前記した実施例に限定されるものではない。特に小動物用のための、特に移植可能なトランスポンダの特別な応用に限定されるものではない。又、本発明は芸術品または高価な物品(例えば、絵画、宝石、贅沢品等)の識別、武器、特別な使用の機器(内視鏡等)の識別、連続製造される製品(電子カード、電子ピペット等)の産業界におけるトレーサビリティに応用することができる。このような応用において、トランスポンダモジュールは、特にガラスカバーの中に設置されて、機械的保護材料(エポキシ樹脂、シリコーン、PVC又はニス、カーボンファイバ、kevlar(登録商標)のような非金属)でカバーする、又は密閉した(応用の仕方によっては非密閉の)非金属カプセルの中に挿入することができる。
【0045】
本発明は特に小型の実験動物(例えば、5日又はそれいかの年齢の実験用二十日ねずみ(souris)の赤子、1日齢ねずみ(rat))の識別、トレースに応用される。本発明が到達する大きさを極めて小さくすれば、注入の後、縫合手術の必要もなく、麻酔の必要もなく、このような使用が可能になる。トレーサビリティの実行可能性により、例えば、ある種の動物のDNA検証処理をなくすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライトの円筒形状のバー(1)の上に巻かれた導線が、無線周波数により識別の集積回路(3)に接続されているコイルを備えるトランスポンダであって、
コイル(2)が端と端がぴったりあっていない非絶縁の巻線の唯1の層で構成され、前記集積回路(3)は10MHzより大きい周波数で動作する回路であり、バーとコイルで規定される円筒の大きさを越えないように、フェライトバー(1)に直接的に固定されていることを特徴とするトランスポンダ。
【請求項2】
コイル(2)は30μmより小さい直径のアルミニウム又は金の線であることを特徴とする請求項1に記載されたトランスポンダ。
【請求項3】
前記集積回路(3)はフェライトバー(1)上で、前記バーの一つの端部に向かって形成された平らな表面(11)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項4】
前記平らな表面は円筒形状バー(1)に形成された平面(11)であり、その軸のレベルで、軸に平行であることを特徴とする請求項3に記載のトランスポンダ。
【請求項5】
前記集積回路(3)は、この回路が固定されているバーの表面(11)と反対の側に位置する接続端子(35)をもってバー(1)に固定されていることを特徴とする請求項3に記載のトランスポンダ。
【請求項6】
前記回路(3)は、前記フェライトバーの軸の端部を越えて、前記フェライトバー(1)に固定されていることを特徴とする請求項3に記載のトランスポンダ。
【請求項7】
前記コイル(2)は前記バー(1)の一端部の直近に形成され、前記集積回路(3)はバーの反対端部に向かって固定されることを特徴とする請求項3に記載のトランスポンダ。
【請求項8】
前記フェライトバー(1)は、バーの長さ方向に延びる一つの平面(12)又は溝(14,17)を有し、コイル(2)の戻り線(21a)は、コイル巻線の内側で、前記平面の上又は前記溝の中を通ることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項9】
前記フェライトバー(1)は深い谷(gorge)又はネジ山を有し、その深さはコイル巻線を収容し、位置及び絶縁を確実なものにすることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項10】
前記フェライトバー(1)は平面(12)を有して、前記巻線は前記平面の形状に適合し、ニス又は絶縁樹脂(41)は巻線と‘同巻線の下を前記平面位置で通る戻り線(21a)’との間の電気的絶縁を確実なものにすることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項11】
ガラス又はプラスチック材料で封止されたカプセル(9)の中に設けられることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項12】
エポキシ樹脂、シリコーン、PVC又はニスの機械的保護材料でカバーされ、又は、密閉の又は非密閉の非金属カプセルの中に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項13】
‘請求項1乃至12のいずれか1項のトランスポンダ’及び‘所定の直径の平らな渦巻で形成された送信アンテナ(5)及び‘平らな螺旋を並べた線の少なくとも2セット(61,62)を備える受信アンテナ(6)を有する読取装置’を備える識別システム。但し、各セットは、同一面にあって、隣接して、反対方向に巻かれた2つの平らな螺旋(61a、61b)を有している。
【請求項14】
前記読取装置の送信アンテナ(5)及び受信アンテナ(6)は同一基板上で彫刻により形成されることを特徴とする請求項13に記載の識別システム。
【請求項15】
受信アンテナ(6)は送信アンテナ(5)の巻線の内側にあって平らな渦巻を並べた導電トラック部の2セット61,62を備えることを特徴とする請求項13に記載の識別システム。
【請求項16】
識別用及び/又は実験用動物のトレース用の請求項1乃至12のいずれか1項に基づくトランスポンダの応用。
【請求項17】
年齢5日又はそれ未満の研究用二十日ネズミの赤子又は年齢1日のねずみ等の、識別用及び/又は実験用小動物のトレース用の請求項16に基づく応用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−511238(P2010−511238A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538699(P2009−538699)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062907
【国際公開番号】WO2008/065127
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(509150684)ルートロニック アンテルナショナル ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】