説明

小型モータ用ブラシおよびその製造方法ならびに小型モータ

【課題】ブラシの接点部の耐久性を向上させて長期にわたり安定した性能を得ることができるようにした安価な小型モータ用ブラシ及びその製造方法並びに小型扁平モータの提供。
【解決手段】導電性金属材からなる板バネ材16の整流子側との接触領域として予定されている位置にある送り出し方向に、貴金属合金からなる無垢線材18を位置合わせして板バネ材16共々送り出す第1工程と、該第1工程を経て送り出された無垢線材18の整流子側との接触領域を板バネ材16側に溶着部19として溶接する第2工程と、該第2工程を経た板バネ材16側から溶着部19を突出接点15とする所定形状のブラシ基材12を形成すべく打ち抜きとバネプレス成型とを行う第3工程とを経ることで、小型モータ用ブラシ11を製造した。また、該小型モータ用ブラシ11を組み込んで小型モータを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コストの低減と耐久性の向上とに有効に寄与させることができる小型モータ用ブラシおよびその製造方法ならびに小型モータに関する技術である。
【背景技術】
【0002】
近時、小型モータ、特に小型扁平モータは、携帯電話、歯ブラシ、目覚まし時計など、各種機器に振動を発生させるための駆動源として搭載される例が多い。
【0003】
このような小型扁平モータにおいては、その性能を長期にわたり維持させる観点から、特に摺接部位である整流子とブラシとの関係が問題となってきている。すなわち、ブラシは、その駆動時に整流子に対し摺接しながら通電状態を維持させる必要があることから、その際に発生しがちな摺動摩耗や電気的消耗がモータの回転数変動や起動不良を招く原因となっていた。
【0004】
図7(a),(b)は、下記特許文献1に開示されているブラシの製造工程を示す説明図である。同図によれば、ベース帯材5にAgなどの被覆層6を設けたクラッド帯材4が用いられ、該クラッド帯材4のベース帯材5側に帯状溝7を設けた上で、該帯状溝7内に接触特性の良好な貴金属や貴金属合金からなるテープ状接点材8をインレイ接合して(a)に示すようなクラッド層9を形成する。このようにしてクラッド層9を設けた後は、(b)に示すようにプレス抜きしてそれぞれにクラッド層9の部分が整流子に対する接点部2として機能する3本のブラシ片1aを備えたブラシ1が形成される。
【特許文献1】特開平5−251155号公報
【0005】
この場合、ブラシ1は、整流子側との接触部位に貴金属や貴金属合金からなる接点部2を備えているので、接触特性の優れたものとなっている。
【0006】
また、下記特許文献2,3には、貴金属や貴金属合金を用いてブラシを形成する場合であっても、部材コストを低減することができる技術が開示されている。
【特許文献2】特開平5−159661号公報
【特許文献3】特開昭55−91575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図7に示すブラシ1は、貴金属や貴金属合金を圧延によるシーム溶接を同時に行うインレイ接合により形成するものであることから、難度の高い技術を用いるコスト的に高い製造方法により接点部2を形成しなければならず、結果的に全体コストを引き上げてしまう不都合があった。
【0008】
また、ブラシ1は、その表出面と面一となって形成されているクラッド層9からなる相対的に薄い接点部2を備えていることから、相対的に薄い状態のもとで確保される接点部2には整流子との間で摺動摩耗や電気的消耗が発生しがちであり、耐久性のある長寿命化を達成する上からは問題を残すものでもあった。
【0009】
また、特許文献2に開示されている製造方法は、薄板ベースの端面に貴金属または貴金属合金を圧接した複合接点材の端面を電子ビーム溶接で突き合わせ溶接するものであるが、インレイ接合で製造した複合接点材を用いているので部材コストの低減効果は低く、かつ、真空装置を用いた難度の高い電子ビーム溶接を行う必要があることから、製造コストの上昇を招いてしまう不都合があった。
【0010】
さらに、特許文献3に開示されている製造方法は、明細書添付の第3図および明細書6頁2行目から13行目に明記されているように、ブラシは、板バネの先端に貴金属合金ブラシ材料を点溶接で取り付けたもので、0.23mm×0.46mm断面で長さ2mmの板状線材を円弧状に曲げて点溶接されている。このような手法による場合には、歩留まりの高い製造をすることが難しいことから、結局のところ、製造コストの上昇を招いてしまうという不都合があった。
【0011】
本発明は、従来からあるブラシにみられた上記課題に鑑み、低コストのもとでブラシの接点部の耐久性を向上させて、長期にわたり安定した性能を得ることができるようにした小型モータ用ブラシ及びその製造方法並びに小型モータを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、そのうちの第1の発明(小型モータ用ブラシ)は、燐青銅、洋白などの導電性金属を原材料とする板バネ材により形成されるブラシ基材における整流子側との接触領域に、貴金属合金を原材料とする無垢線材を溶接して形成される突出接点を付設したことを最も主要な特徴とする。
【0013】
この場合、前記突出接点は、前記ブラシ基材の長さ方向に対し前記無垢線材の長さ方向が交差する位置関係となるように配置して溶接してなる溶着部から形成することができる。また、前記突出接点は、前記ブラシ基材の長さ方向と交差する方向での断面が略円形を呈する形状に形成するのが好ましい。
【0014】
第2の発明(小型モータ用ブラシの製造方法)は、燐青銅、洋白などの導電性金属材を原材料とする板バネ材の少なくとも整流子側との接触領域として予定されている位置に沿わせた送り出し方向に、貴金属合金を原材料とする無垢線材を位置合わせして板バネ材共々送り出す第1工程と、該第1工程を経て送り出された前記無垢線材の前記整流子側との接触領域を前記板バネ材側に溶着部として溶接する第2工程と、該第2工程を経た前記板バネ材側から前記溶着部を突出接点とする所定形状のブラシ基材を形成すべく打ち抜きとバネプレス成型とを行う第3工程とを少なくとも含むことを最も主要な特徴とする。この場合、前記溶着部の形成は、スポット溶接により行うのが好ましい。
【0015】
第3の発明(小型モータ)は、整流子と接触するブラシを少なくとも備えてなる小型モータにおいて、前記ブラシは、請求項1ないし3のいずれかに記載の小型モータ用ブラシ、もしくは請求項4または5に記載の製造方法により製造された小型モータ用ブラシであることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、ブラシ基材に少量の貴金属合金を突出接点として溶接してなる小型モータ用ブラシを提供することができるので、消耗に耐え得る厚みを付与することでその耐久性を高めてやることができる。この場合、ブラシ基材の長さ方向に対し無垢線材の長さ方向が交差する位置関係となるように配置して突出接点を形成しておくならば、安定性と信頼性とに富む摺接状態を確保することができ、かつ、製造コストの低減にも有効に寄与させることができる。
【0017】
第2の発明によれば、貴金属合金からなる無垢線材を部分的に用いてブラシ基材に整流子側と摺接する突出接点をプレス抜き前のブラシ基材位置(想定位置)に太い無垢線材で溶接により容易に形成することができるので、耐久性に富む小型モータ用ブラシを安価に製造することができる。
【0018】
第3の発明によれば、低コストで耐久性に富む小型モータ用ブラシが組み込まれているので、長寿命な小型モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1および図2は、第2の発明に係る小型モータ用ブラシの製造方法の工程例を示す説明図である。そのうちの図1(a)は、平面視方向での要部説明図を、同(b)は(a)についての側面視方向での要部説明図をそれぞれ示す。また、図2は、図1(a)の状態のもとで打ち抜きとバネプレス成型とを同時に行った際の状態を平面視方向から示す説明図であり、同図の右側には、その場合における第1の発明に係る小型モータ用ブラシの側面視方向での形状を示す。
【0020】
これらの図によれば、第1の発明である小型モータ用ブラシ11は、図1(b)に示すように燐青銅、洋白などの導電性金属を原材料とし、ロール状となって用意される厚さが30〜60μm程度の板バネ材16と、貴金属合金を原材料とし、巻線状となって用意される外径が50〜80μm程度の無垢線材18とを用いて形成される。
【0021】
このような板バネ材16と無垢線材18とを用いて行われる第2の発明に係る小型モータ用ブラシの製造方法には、図4に示されているような整流子35との接触領域として予定されている位置にある板バネ材16の送り出し方向に、無垢線材18を位置合わせして添設しながら板バネ材16共々送り出す第1工程と、該第1工程を経て送り出された無垢線材18の整流子35との接触領域を板バネ材16側に図1(a),(b)に示すように溶着部19として溶接する第2工程と、該第2工程を経た板バネ材16側から溶着部19を突出接点15とする所定形状のブラシ基材12を形成すべく図2に示すように打ち抜きとバネプレス成型とを同時に行う第3工程とが少なくとも含まれる。
【0022】
この場合における無垢線材18の整流子35との接触領域は、製造される小型モータ用ブラシ11におけるブラシ基材12が備えるブラシ片13の数との関係で定まるものであり、図示例のように二股状のブラシ片13を備えている場合には、各ブラシ片13の対応箇所である各一カ所に対し各別に設定される。したがって、無垢線材18の整流子35との接触領域は、例えばブラシ片13が1本であれば一カ所に対し、3本であれば三カ所に対し各別に設定されることになる。
【0023】
また、板バネ材16側に無垢線材18の溶着部19を形成する際に用いられる溶接手法としては、抵抗溶接の範疇に属する溶接手法、特にスポット溶接を好適に用いることができる。
【0024】
さらに、第3工程においては、図2に示されているようにそれぞれの溶着部19を突出接点15として備える二股状に分岐された各ブラシ片13を、板バネ材16の送り出し方向とは直交する方向にその長さ方向を向けた状態で備えるブラシ基材12が、打ち抜きとバネプレス成型とを順次、同一装置内で行うことにより形成される。
【0025】
すなわち、ブラシ基材12は、その基端部14側が板バネ材16側と連結した状態のもとで、例えば図3に示す整流子35側の配置状態に対応させ得る形状が付与されて打ち抜かれることになる。
【0026】
つまり、一方のブラシ基材12は、図2における左側に示されているように右方向に湾曲しながら分岐している二本のブラシ片13を基端部14側から延設させた形状のもとで、他方のブラシ基材12は、その右隣にて左方向に湾曲しながら分岐している二本のブラシ片13を基端部14側から延設させた形状のもとで、左右一対となって同時に打ち抜かれることになる。
【0027】
しかも、一対のブラシ基材12,12は、図2の右側に単体としてその側面形状を示す小型モータ用ブラシ11からも明らかなように、各ブラシ片13における先端部13a側における突出接点15が位置する部位が最も高い位置となるように突曲させるためのバネプレス成型も順次、同一装置内で行うことで、突出接点15側を図4に示すように整流子35側へと圧接させるめのバネ性を付与して形成されることになる。
【0028】
このため、第1の発明である小型モータ用ブラシ11は、板バネ材16側からその基端部14側を介して破断することにより、図2の右側に単体として示す側面形状を備えたものとして製造することができることになる。
【0029】
しかも、溶着部19は、板バネ材16の送り出し方向に無垢線材18を位置合わせして板バネ材16共々送り出して溶接することにより形成されている。
【0030】
このため、打ち抜かれた際のブラシ基材12には、その長さ方向に対し無垢線材18の長さ方向が交差する位置関係となって突出接点15が残置される結果、該突出接点15は、ブラシ基材12の長さ方向と交差する方向で切断された両断面が略円形を呈することになる。つまり、突出接点15は、ブラシ基材12の各ブラシ片13に対し該ブラシ片13の厚さよりも厚くなった状態のもとで形成されることになる。また、突出接点15は、回転する整流子35に対して元の線材の横断面側が摺接する位置関係のもとで形成されることになる。
【0031】
図3は、第2の発明に係る小型モータ用ブラシの製造方法により製造された第1の発明である小型モータ用ブラシ11を組み込んで形成される第3の発明に係る小型モータの一例を示す分解斜視図である。
【0032】
同図によれば、扁平タイプの小型モータ21は、平面視が例えば略18mm程度の外径の円形を呈する一側ケース体22と、該一側ケース体22内に回転自在に収容される回転子32と、平面視がドーナツ形状を呈する固定子としてのマグネット板42と、該マグネット板42を磁着させた状態で収容し、かつ、回転子32側に給電する小型モータ用ブラシ(第1の発明)11を備えて一側ケース部22と一体的に組み合わされる平面視が例えば略17.2mm程度の外径の円形を呈する他側ケース体52とで構成されている。
【0033】
このうち、磁性金属材からなる一側ケース体22は、その内側面23の中心位置に回転子32側が備える一側支軸部36を回転自在に軸支する一側軸受け穴24を設けて形成されている。
【0034】
回転子32は、一側ケース体22の一側軸受け穴24を含む中心領域との対面部位に位置させる小円形部34と、該小円形部33の半円部分から略相似形状を呈する形状のもとで同一面方向に一体となって延設された半円形部38とからなる合成樹脂製の偏心回転部33を有している。
【0035】
また、該偏心回転部33にあって他側ケース体52と対面する側の小円形部34の面には、中心部位を除く面領域を均等に六分割して電気的に非導通の関係で区画された計6個の整流子35が各別に面状となって形成されている。
【0036】
また、偏心回転部33における半円形部38には、等間隔に穿設された計3個の保持孔部38aを介してコイル部39が、他側ケース体52との対面側を大きく突出させた状態のもとで各別に取り付けられている。
【0037】
さらに、回転子32は、その偏心回転部33における小円形部34の円心位置の一側方向に突設されて一側ケース体22の一側軸受け穴24に軸支される一側支軸部36と、他側方向に突設されて他側ケース体52の他側軸受け穴54に軸支されるた他側支軸部37とを備えて形成されている。
【0038】
図5は、この場合における小型モータ用ブラシ11と回転子32との配置関係を示す説明図であり、回転子32には、3個のコイル部39が組み込まれ、これらの各コイル部39は、一方の配線を6極からなる整流子35の対向する2つの極に接続し、他方の配線を各コイル部39とも共通に接続することで相互が短絡された状態となっている。
【0039】
一方の小型モータ用ブラシ11が備えるブラシ片13側と他方の小型モータ用ブラシ11が備えるブラシ片13側とは、常にひとつおきの整流子35側に各別に摺接する配置関係となっており、プラス、マイナスを給電ブラシ接点を経由して整流子35に接続されたコイル39は、回転子32の回転に伴って、それぞれN極、S極を交番して発生させる関係となる。
【0040】
固定子としてのマグネット板42は、他側ケース体52内に磁着した状態のもとで収容されるものであり、その中心部には、回転子32における小円形部34の各整流子35を表出させることができる内径を有する円孔部43が形成されている。
【0041】
また、マグネット板42は、図6に示すように例えばその面を周方向に沿わせて四等分に区画して形成される計4個の永久磁石部44を有しており、各永久磁石部44は、一方の永久磁石部44のS極とこれに隣接する他方の永久磁石部44のN極とが相互に隣り合う位置関係のもとて配設されている。
【0042】
磁性金属材からなる他側ケース体52は、その内側面53の中心位置に回転子32側が備える他側支軸部37を回転自在に軸支する他側軸受け穴54を設けて形成されている。
【0043】
また、他側ケース体52には、その他側軸受け穴54回りにフレキシブルプリント板56の円形部57が配置され、該円形部57側からリードが延設されたフレキシブルプリント板56のシート片部58がその周壁部に設けられている切欠部55を介して外部へと引き出されたフレキシブルプリント板56のリードが配設されている。
【0044】
この場合、フレキシブル基板56のリードの円形部57には、他側軸受け穴54を中心に位置させてその一側寄りと他側寄りとにそれぞれの各ブラシ片13を位置させて基端部14側を各別に図示しないリード線側に接続させた一対の小型モータ用ブラシ11,11がそれぞれの突出接点15を含む先端部13a側が基端部14側よりも上方へと弾性を伴って立ち上がる配置関係のもとで配設されている。
【0045】
この場合、一対の小型モータ用ブラシ11,11は、組立て後の小型モータ21の内部構造例を図4として模式的に示す説明図からも明らかなように、バネ性を伴った圧接状態のもとでそれぞれの突出接点15が回転子32における整流子35側に対し接触させることができることになる。
【0046】
次に、第2の発明に係る小型モータ用ブラシの製造方法により製造される第1の発明に係る小型モータ用ブラシの作用・効果を説明すれば、小型モータ用ブラシ11は、整流子35との接触領域として予定されている位置にある板バネ材16の送り出し方向に、無垢線材18を位置合わせして添設しながら板バネ材16共々送り出し、無垢線材18の整流子35との接触領域を板バネ材16側に溶着部19として溶接し、板バネ材16側から溶着部19を突出接点15とする所定形状のブラシ基材12に打ち抜きとバネプレス成型とを行って製造されている。
【0047】
このため、打ち抜かれた際のブラシ基材12には、その長さ方向に対し無垢線材18の長さ方向が交差する位置関係となって突出接点15が残置されることになる。
【0048】
その結果、突出接点15は、ブラシ基材12の長さ方向と交差する方向で切断された両断面が略円形を呈することになり、また、ブラシ基材12の各ブラシ片13に該ブラシ片13の厚さよりも厚くなった状態のもとで形成されることになる。
【0049】
つまり、第1の発明である小型モータ用ブラシ11は、30〜60μm程度の厚さの板バネ材16側に外径が50〜80μm程度の無垢線材18の一部を溶着部19として溶着した上で、該溶着部19を突出接点15としたブラシ片13を備えるブラシ基材12として打ち抜くことで形成することができる。したがって、小型モータ用ブラシ11には、消耗に耐え得る耐久性を付与することができるとともに、製造コストの低減にも有効に寄与させることができる。
【0050】
また、第3の発明に係る小型モータは、第1の発明である小型モータ用ブラシ11を組み込んで形成されているので、回転する回転子32における整流子35側に接触させても、消耗に耐え得る耐久性を付与することができるので、小型モータ用ブラシ11側の耐摩耗による小型扁平モータ21自体の長寿命化を実現することができる。しかも、低コストの小型モータ用ブラシ11を組み込むことで、全体コストの低減にも有効に寄与させることができる。
【0051】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その具体的な内容は、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形を加えたものとすることができる。例えば、第1の発明に係る小型モータ用ブラシが備えるブラシ片の数は必要に応じて適宜選定することができる。また、ブラシ基材上に突出接点を形成する無垢線材は、横断面が円形以外の適宜の形状を呈するものであってもよい。
【0052】
また、第2の発明において板バネ材側からブラシ基材を形成すべく打ち抜きとバネプレス成型とを行う第3工程は、打ち抜きとバネプレス成型とを同時に行うのが望ましいが、必要により打ち抜きを行った後にバネプレス成型を行うようにしてもよい。
【0053】
さらに、マグネット板に設けられる永久磁石部は、極数との関係で定まる適宜の数のもとで形成しておくことができる。
【0054】
さらまた、第1の発明に係る小型モータ用ブラシが組み込まれる小型モータは、図示例のものに限定されるものではなく、その他の適宜構造を備えているものであってもよい。また、小型モータは、振動用や扁平型に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第2の発明に係る小型モータ用ブラシの製造方法の工程例を示す説明図であり、そのうちの図1(a)は平面視方向での要部説明図を、同(b)は側面視方向での要部説明図をそれぞれ示す。
【図2】図1(a)の状態のもとで打ち抜きとバネプレス成型とを同時に行った際の状態を平面視方向から示す説明図。
【図3】第1の発明に係る小型モータ用ブラシを組み込んだ第3の発明に係る小型扁平モータの一例を示す分解斜視図。
【図4】第3の発明に係る小型モータの内部構造例を模式的に示す説明図。
【図5】第1の発明に係る小型モータ用ブラシと回転子との配置関係を示す説明図。
【図6】第3の発明に係る小型モータが備えるマグネット板の各磁石部と回転子と第1の発明に係る小型モータ用ブラシとの配置例を示す説明図。
【図7】特許文献1に開示されているブラシの製造工程を示す説明図。
【符号の説明】
【0056】
11 小型モータ用ブラシ
12 ブラシ基材
13 ブラシ片
13a 先端部
14 基端部
15 突出接点
16 板バネ材
18 無垢線材
19 溶着部
21 小型モータ
22 一側ケース体
23 内側面
32 回転子
33 偏心回転部
34 小円形部
35 整流子
36 一側軸支部
37 他側軸支部
38 半円形部
38a 保持孔部
39 コイル部
42 マグネット板
43 円孔部
44 永久磁石部
52 他側ケース体
53 内側面
54 他側軸受け穴
55 切欠部
56 フレキシブルプリント板
57 円形部
58 シート片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燐青銅、洋白などの導電性金属を原材料とする板バネ材により形成されるブラシ基材における整流子側との接触領域に、貴金属合金を原材料とする無垢線材を溶接して形成される突出接点を付設したことを特徴とする小型モータ用ブラシ。
【請求項2】
前記突出接点は、前記ブラシ基材の長さ方向に対し前記無垢線材の長さ方向が交差する位置関係となるように配置して溶接してなる溶着部である請求項1に記載の小型モータ用ブラシ。
【請求項3】
前記突出接点は、前記ブラシ基材の長さ方向と交差する方向での断面が略円形を呈する請求項2に記載の小型モータ用ブラシ。
【請求項4】
燐青銅、洋白などの導電性金属材を原材料とする板バネ材の少なくとも整流子側との接触領域として予定されている位置に沿わせた送り出し方向に、貴金属合金を原材料とする無垢線材を位置合わせして板バネ材共々送り出す第1工程と、
該第1工程を経て送り出された前記無垢線材の前記整流子側との接触領域を前記板バネ材側に溶着部として溶接する第2工程と、
該第2工程を経た前記板バネ材側から前記溶着部を突出接点とする所定形状のブラシ基材を形成すべく打ち抜きとバネプレス成型とを行う第3工程とを少なくとも含むことを特徴とする小型モータ用ブラシの製造方法。
【請求項5】
前記溶着部の形成は、スポット溶接により行う請求項4に記載の小型モータ用ブラシの製造方法。
【請求項6】
整流子と接触するブラシを少なくとも備えてなる小型モータにおいて、
前記ブラシは、請求項1ないし3のいずれかに記載の小型モータ用ブラシ、もしくは請求項4または5に記載の製造方法により製造された小型モータ用ブラシであることを特徴とする小型モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−68272(P2007−68272A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248651(P2005−248651)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(505022127)鈴木接点工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】