説明

小型基地局および制御方法、並びに通信システム

【課題】無線通信の利用可能な範囲と、放送の利用可能な範囲を一致させることができるようにする。
【解決手段】フェムトセル基地局1には、フェムトセルによる無線通信を行うための機能と、ワンセグメント放送を行う機能が設けられている。フェムトセルによる無線通信を行うための電波である通信波の到達範囲と、ワンセグメント放送を行うための電波である放送波の到達範囲が一致するように、監視制御装置11による制御に従って、それらの電波の電界強度がフェムトセル基地局1により調整される。移動機21のユーザは、エリアワンセグメント放送のデータ放送で提供されるURLを指定してフェムトセル経由でネットワークに接続させるといったことを、移動することなく行うことが可能になる。本発明は、フェムトセル基地局などの小型のセルの基地局に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型基地局および制御方法、並びに通信システムに関し、特に、無線通信の利用可能な範囲と、放送の利用可能な範囲を一致させることができるようにした小型基地局および制御方法、並びに通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭内、オフィス内など、半径数十メートル程度の狭い範囲を通信可能範囲としてカバーするための「フェムトセル」が注目されている。
【0003】
「フェムトセル」は、そのような狭い範囲をカバーする程度のレベルの電波を出力する基地局であるフェムトセル基地局を、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線、光ファイバ回線などのブロードバンド回線の屋内装置に接続することによって構築される。
【0004】
不特定多数の公衆向けのものであって半径数百メートルから数キロメートルの広いセルである「マクロセル」とは異なり、「フェムトセル」はフェムトセル基地局が設置された家屋の住人などの限られたユーザに対して通信サービスを提供するものである。
【0005】
例えば、屋外にいるユーザが、マクロセルに在圏している状態の移動機を使って音声通話を行った場合、その音声データはマクロセルをカバーするマクロセル基地局から無線アクセスネットワークおよびコアネットワークを介して通信相手の移動機に送信される。
【0006】
一方、屋内にいるユーザが、フェムトセルに在圏している状態の移動機を使って音声通話を行った場合、その音声データはフェムトセル基地局からモデムに出力され、ブロードバンド回線、コアネットワークなどを介して通信相手の移動機に送信される。
【0007】
また、近年、ワンセグメント放送対応の携帯機器が普及してきている。ワンセグメント放送は、UHF帯の470〜710MHzの帯域を13〜52Chの40のチャネルに分け、1つのチャネルの周波数帯域幅である6MHzを13のセグメントに分割し、そのうちの1セグメント分の帯域を使って行われる携帯機器向けの放送である。
【0008】
ワンセグメント放送対応の携帯機器の普及に伴い、そのようなワンセグメント放送対応の携帯機器を持つユーザ向けのサービスを提供するシステムが提案、または実現されている。例えば、ワンセグメント放送に使う電波の出力を抑えることによって、地域に特化したコンテンツを配信するシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−279376号公報
【特許文献2】特開2007−116391号公報
【特許文献3】特開2007−140829号公報
【特許文献4】特開2005−175611号公報
【特許文献5】特開2002−218528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
フェムトセルによる無線通信と、地域に特化したワンセグメント放送であるエリアワンセグメント放送を組み合わせた場合、様々な用途に用いることができるものと考えられる。
【0011】
例えば、飲食店などの店舗内に、フェムトセルによる無線通信が可能であるとともに、エリアワンセグメント放送の受信が可能なエリアが形成されている場合を考える。このようなエリアは、例えば、エリアワンセグメント放送を行う機器をフェムトセル基地局の近くに設置することによって形成される。
【0012】
ユーザは、エリアワンセグメント放送で提供される商品の紹介映像を自分の移動機を使って視聴し、気になる商品があった場合、データ放送で提供されたURL(Uniform Resource Locator)を指定することによって、その商品の詳細な情報が掲載されているサイトにフェムトセル経由でアクセスすることができる。
【0013】
マクロセルを使って通信を行うのと、フェムトセルを使って通信を行うのとでは、後者の方が、通信コストが安く、しかも良好な通信品質が得られる場合が多いから、これにより、ユーザはより気軽に商品の情報を確認することができる。
【0014】
店舗にいる客を対象としたこのようなサービスを提供する場合、フェムトセルによる無線通信の利用可能な範囲と、エリアワンセグメント放送の利用可能な範囲が一致している必要がある。
【0015】
例えば、エリアワンセグメント放送で商品の紹介映像を見ることはできるが、その位置からはフェムトセル経由で商品情報サイトにアクセスすることができない場合、ユーザは位置を移動しなければならず不便である。
【0016】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、無線通信の利用可能な範囲と、放送の利用可能な範囲を一致させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の小型基地局は、自身が管理するセルに在圏する移動機との間で通信を行うための通信波を出力する通信手段と、前記移動機が受信可能な放送波を出力する放送手段と、前記通信波の到達範囲と前記放送波の到達範囲とを一致させるように、前記通信手段または前記放送手段が出力する電波の電界強度を制御する制御手段とを備える。
【0018】
他の基地局が出力する電波の電界強度を測定する測定手段をさらに設けることができる。この場合、前記制御手段には、前記他の基地局が出力する電波の電界強度に応じて、前記通信手段に対して前記通信波の電界強度を制御させ、当該制御後の前記通信波の到達範囲に一致させるように、前記放送手段に対して前記放送波の電界強度を制御させることができる。
【0019】
前記測定手段には、さらに、自身が管理するセルに在圏する移動機が出力する通信波の電界強度を測定させ、前記制御手段には、さらに、前記移動機が出力する通信波の電界強度に応じて、前記放送手段に対して前記放送波の電界強度を制御させることができる。
【0020】
前記制御手段には、前記移動機が出力する通信波の電界強度に応じた前記放送波の電界強度の制御を、自身が管理するセルに前記移動機が在圏する毎に行わせることができる。
【0021】
本発明の制御方法は、自身が管理するセルに在圏する移動機との間で通信を行うための通信波を出力する通信手段と、前記移動機が受信可能な放送波を出力する放送手段とを備える小型基地局の制御方法において、前記通信波の到達範囲と前記放送波の到達範囲とを一致させるように、前記通信手段または前記放送手段が出力する電波の電界強度を制御するステップを含む。
【0022】
本発明の通信システムは、ネットワークを介して接続される小型基地局と制御装置とから構成される通信システムである。前記小型基地局は、自身が管理するセルに在圏する移動機との間で通信を行うための通信波を出力する通信手段と、前記移動機が受信可能な放送波を出力する放送手段と、他の基地局が出力する電波の電界強度を測定する測定手段と、前記制御装置と通信を行い、前記測定手段により測定された前記他の基地局が出力する電波の電界強度を表す情報を前記制御装置に送信し、前記制御装置から送信されてきた、電波の電界強度に関する情報である出力情報を受信する通信手段と、前記通信手段により受信された前記出力情報に基づいて、前記通信波の到達範囲と前記放送波の到達範囲とを一致させるように、前記通信手段または前記放送手段が出力する電波の電界強度を制御する制御手段とを備え、前記制御装置は、前記小型基地局から送信されてきた、前記他の基地局が出力する電波の電界強度を表す情報を受信し、受信した情報により表される前記電界強度に基づいて決定された電波の電界強度に関する情報である前記出力情報を前記小型基地局に送信する通信手段を備える。
【0023】
本発明の小型基地局、または通信システムにおいては、通信波の到達範囲と放送波の到達範囲とを一致させるように、通信手段または放送手段が出力する電波の電界強度が制御される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、無線通信の利用可能な範囲と、放送の利用可能な範囲を一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【図2】コンテンツの提供の例を示す図である。
【図3】図1の通信システムの出力制御処理について説明するシーケンスである。
【図4】放送波の電界強度を再調整する処理について説明するシーケンスである。
【図5】フェムトセル基地局の構成例を示すブロック図である。
【図6】フェムトセル基地局の機能構成例を示すブロック図である。
【図7】監視制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】監視制御装置とエリアワンセグメント放送管理ASの機能構成例を示すブロック図である。
【図9】フェムトセル基地局の他の機能構成例を示すブロック図である。
【図10】図9のフェムトセル基地局の出力制御処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施の形態>
[通信システムの構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0027】
図1の例においては、店舗として利用されている建物B内にフェムトセル基地局1が設置されており、フェムトセル基地局1によりフェムトセルが形成されている。フェムトセルの範囲である範囲Aを実線の楕円で示す。
【0028】
フェムトセルは、公衆網を構成するマクロセルより狭い、半径数メートル、数十メートルなどの、フェムトセル基地局1が設置されている建物B内の範囲をカバーするセルである。
【0029】
フェムトセル基地局1にはLAN(Local Area Network)ケーブル2を介してモデム3が接続されている。モデム3は、ADSL回線や光ファイバ回線などよりなるブロードバンド回線4の宅内装置である。フェムトセル基地局1にモデム機能が搭載されている場合、フェムトセル基地局1がブロードバンド回線4に直接接続されるようにしてもよい。
【0030】
フェムトセル基地局1は、LANケーブル2、モデム3、およびブロードバンド回線4を介して、インターネットなどよりなるネットワーク5に接続され、フェムトセルに在圏している移動機が行う音声データなどの通信を中継する。
【0031】
図1の例においては、携帯電話機である移動機21がフェムトセルに在圏している。移動機21は、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式に従って、音声データなどの各種のデータの送受信をフェムトセル基地局1との間で行う。
【0032】
フェムトセル基地局1は、フェムトセルによる無線通信機能だけでなく、ワンセグメント放送によってコンテンツを提供する機能も有する。例えば、フェムトセル基地局1に装着されたメモリカードなどの記録媒体に記録されているコンテンツや、ネットワークを介して外部の装置から送信されてきたコンテンツが、フェムトセル基地局1からワンセグメント放送によって提供される。
【0033】
フェムトセル基地局1がワンセグメント放送に使う周波数帯域はISDB-T仕様の地上デジタル放送規格のワンセグメント放送と同じUHF帯の470〜710MHzの帯域であるが、出力する電波の電界強度は、フェムトセルと同程度の半径数メートルから数十メートルの範囲をカバーする強度である。フェムトセル基地局1がワンセグメント放送に使う電波の電界強度は、半径数キロメートル、数十キロメートルなどの範囲を対象として放送塔などが出力する電波の電界強度より弱い。
【0034】
以下、適宜、フェムトセル基地局1が行うワンセグメント放送をエリアワンセグメント放送という。また、フェムトセル基地局1が出力する電波のうち、フェムトセルを形成して無線通信を行うための電波を通信波といい、エリアワンセグメント放送を行うための電波を放送波という。
【0035】
図1の例においては、建物B内の破線の楕円で示す範囲Aを対象としてエリアワンセグメント放送が行われている。図1においては楕円の位置をずらして示しているが、実際には、通信波が到達するフェムトセルの範囲Aと、放送波が到達する範囲Aはほぼ一致する。
【0036】
フェムトセル基地局1が出力する電波(通信波と放送波)の到達範囲内にいる移動機21のユーザは、フェムトセルを使って外部の装置と通信を行うことができるとともに、放送波を受信してコンテンツを利用することもできることになる。移動機21には、ワンセグメント放送を受信する機能も搭載されている。
【0037】
一連の処理については後述するが、図1の通信システムにおいては、フェムトセルの範囲Aとエリアワンセグメント放送の範囲Aが一致するように、通信波と放送波の電界強度が調整される。
【0038】
図2は、コンテンツの提供の例を示す図である。
【0039】
フェムトセル基地局1が飲食店などの店舗内に設置されており、その店舗内に、フェムトセルと、エリアワンセグメント放送の利用可能エリアが形成されているものとする。店舗に入ったとき、図2のユーザUの移動機は、それまで在圏していたマクロセルから、フェムトセル基地局1が管理するフェムトセルに移行し、フェムトセルに在圏した状態になる。店舗内での通信は、マクロセルではなく、フェムトセルを使って行われることになる。
【0040】
店舗に入ったユーザUが、移動機のワンセグメント放送受信機能をオンとし、所定のチャネルを選局した場合、矢印#1の先に示すように、フェムトセル基地局1により提供される、商品を動画で紹介する広告コンテンツなどが移動機のディスプレイに表示される。
【0041】
すなわち、フェムトセル基地局1は、サーバとなる装置からネットワーク5を介して送信されてきた広告コンテンツなどを受信し、エリアワンセグメント放送によって提供することを続けて行っている。また、フェムトセル基地局1は、動画の放送だけでなく、データ放送もエリアワンセグメント放送として続けて行っている。
【0042】
広告コンテンツを視聴しているユーザUが、データ放送の内容を表示する操作を行った場合、矢印#2の先に示すように、クーポン配信サイトのURLが移動機のディスプレイに表示される。
【0043】
クーポン配信サイトのURLが表示されている状態でクーポン配信サイトにアクセスする操作が行われた場合、例えばネットワーク5に接続されるサーバが管理するクーポン配信サイトへのアクセスが行われる。クーポン配信サイトへのアクセスは、矢印#3の先に示すように、フェムトセル基地局1を経由して、すなわち、フェムトセルによる無線通信を用いて行われる。
【0044】
クーポン配信サイトにアクセスした場合、移動機のディスプレイには、クーポン配信サイトから送信されてきたクーポン画像が表示される。例えば、ユーザUは、そのクーポンの画像を店舗の店員に見せることによって、商品の代金の割引を受けることができる。
【0045】
フェムトセルの範囲Aとエリアワンセグメント放送の範囲Aが一致していることにより、ユーザUは、エリアワンセグメント放送とフェムトセルによる無線通信を連動させた以上のようなサービスを、位置を移動することなく利用することが可能になる。
【0046】
例えば、エリアワンセグメント放送の範囲は店舗内全体に形成されているが、フェムトセルの範囲が店舗の一部の範囲にしか形成されていない場合、ユーザの位置によっては、クーポン配信サイトにアクセスする前に位置を移動しなければならないといったことになるが、そのようなことを防ぐことが可能になる。
【0047】
図1の説明に戻り、フェムトセル基地局1側から見てブロードバンド回線4の先には、ネットワーク5を介して、監視制御装置11、在圏・離圏管理AS(Application Server)12、およびエリアワンセグメント放送管理AS13が接続される。
【0048】
監視制御装置11、在圏・離圏管理AS12、およびエリアワンセグメント放送管理AS13によって、フェムトセルのコアネットワークが構築される。フェムトセルのコアネットワークには、音声データの交換機としての機能を有するSIP(Session Initiation Protocol)サーバであるCSCF(Call Session Control Function)なども設けられる。また、フェムトセルのコアネットワークには、同様にCSCFなどよりなるマクロセルのコアネットワークも接続される。
【0049】
監視制御装置11は、ネットワーク5、ブロードバンド回線4、モデム3、およびLANケーブル2を介してフェムトセル基地局1と通信を行い、フェムトセル基地局1が出力する通信波と放送波の電界強度を制御する。
【0050】
例えば、監視制御装置11は、認証が成功したフェムトセル基地局1から送信されてくる、フェムトセル基地局1の設置位置において受信される電波の電界強度に関する情報に基づいて通信波の電界強度を決定し、決定した強度で通信波を出力するようにフェムトセル基地局1を制御する。
【0051】
また、監視制御装置11は、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度の情報をエリアワンセグメント放送管理AS13に送信し、放送波の電界強度をエリアワンセグメント放送管理AS13に決定させる。放送波の電界強度の情報がエリアワンセグメント放送管理AS13から送信されてきた場合、監視制御装置11は、その電界強度で放送波を出力するようにフェムトセル基地局1を制御する。
【0052】
監視制御装置11は、フェムトセル基地局1が管理するフェムトセルに移動機が在圏する毎に、放送波の電界強度をエリアワンセグメント放送管理AS13に再計算させることなども行う。
【0053】
在圏・離圏管理AS12は、フェムトセルに移動機が在圏したときにフェムトセル基地局1から送信されてくる情報に基づいて、移動機21が在圏しているセルを管理する。
【0054】
例えば、図1の移動機21が、フェムトセル基地局1が管理するフェムトセルに在圏した場合、フェムトセル基地局1の識別情報と移動機21の識別情報を含む在圏情報がフェムトセル基地局1から送信されてくる。在圏・離圏管理AS12は、在圏情報に含まれる識別情報を対応付けて記憶することによって、各移動機が在圏しているセルを管理する。
【0055】
エリアワンセグメント放送管理AS13は、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度の情報が監視制御装置11から送信されてきた場合、放送波の電界強度を決定し、決定した電界強度の情報を監視制御装置11に送信する。
【0056】
エリアワンセグメント放送管理AS13においては、通信波の電界強度を基準として、通信波の到達範囲に放送波の到達範囲を一致させるように、放送波の電界強度が計算により決定される。
【0057】
通信波の周波数帯域と放送波の周波数帯域は異なるから、同じ電界強度で出力したとしてもそれぞれの電波の到達範囲は一致しない。エリアワンセグメント放送管理AS13において決定される放送波の電界強度は、通信波の電界強度と異なる強度になる。
【0058】
通信波の電界強度の各値に対応付けて、計算により予め求められた放送波の電界強度の値がエリアワンセグメント放送管理AS13により管理されるようにしてもよい。この場合、通信波の電界強度の情報が監視制御装置11から送信されてくることに応じて、対応付けて管理されている放送波の電界強度の値がエリアワンセグメント放送管理AS13により特定され、その値を表す情報が監視制御装置11に送信される。
【0059】
[通信システムの処理]
図3のシーケンスを参照して、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度と放送波の電界強度を調整する図1の通信システムの処理について説明する。この処理は、フェムトセル基地局1、監視制御装置11、およびエリアワンセグメント放送管理AS13により行われる。
【0060】
筐体に設けられる電源ボタンがオンにされるなどしてステップS21において起動した場合、ステップS22において、フェムトセル基地局1は、監視制御装置11と通信を行い、自身の認証を行う。起動した後、フェムトセル基地局1は、例えば、予め設定された電界強度で通信波と放送波の出力を開始する。
【0061】
監視制御装置11には正当なフェムトセル基地局の識別情報が予め登録されている。ステップS1において、監視制御装置11は、フェムトセル基地局1から送信されてきたフェムトセル基地局1の識別情報が、登録されている識別情報と同じものであるか否かを判定するなどしてフェムトセル基地局1の認証を行う。
【0062】
認証が成功し、そのことが監視制御装置11から通知されてきた場合、ステップS23において、フェムトセル基地局1は、近隣にあるマクロセル基地局やフェムトセル基地局などの、外部にある他の基地局が出力する電波の電界強度を測定する。
【0063】
他の基地局が出力する電波との干渉を防ぐために、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度は調整可能になっている。その調整を行う前にフェムトセル基地局1の設置位置において受信される電波の電界強度を測定する機能がフェムトセル基地局1には設けられており、その機能により、他の基地局が出力する電波の電界強度が測定される。各基地局が出力する電波は、各基地局に割り当てられたスクランブリングコードなどの識別情報により識別される。
【0064】
ステップS24において、フェムトセル基地局1は、他の基地局が出力する電波の電界強度の測定結果を表す測定情報を監視制御装置11に送信する。
【0065】
ステップS2において、監視制御装置11は、フェムトセル基地局1から送信されてきた測定情報を受信し、ステップS3において、測定結果に基づいて、フェムトセル基地局1の設置位置において受信される電波との干渉を起こさないように、通信波の電界強度を決定する。
【0066】
ステップS4において、監視制御装置11は、決定した通信波の電界強度を表す情報である通信波出力情報をフェムトセル基地局1に送信する。
【0067】
ステップS25において、フェムトセル基地局1は、監視制御装置11から送信されてきた通信波出力情報を受信し、ステップS26において、通信波出力情報により表される強度で出力するように、通信波の電界強度を調整する。
【0068】
一方、ステップS5において、監視制御装置11は、フェムトセル基地局1に送信した通信波出力情報をエリアワンセグメント放送管理AS13にも送信し、フェムトセル基地局1が出力する通信波の強度を通知する。
【0069】
ステップS11において、エリアワンセグメント放送管理AS13は、監視制御装置11から送信された通信波出力情報を受信し、ステップS12において、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度に基づいて、放送波の電界強度を計算により求める。求められる放送波の電界強度は、通信波の到達範囲に放送波の到達範囲を一致させるものになる。
【0070】
ステップS13において、エリアワンセグメント放送管理AS13は、計算により求めた放送波の電界強度を表す情報である放送波出力情報を監視制御装置11に送信する。
【0071】
ステップS6において、監視制御装置11は、エリアワンセグメント放送管理AS13から送信されてきた放送波出力情報を受信し、ステップS7において、フェムトセル基地局1に送信する。
【0072】
ステップS27において、フェムトセル基地局1は、監視制御装置11から送信されてきた放送波出力情報を受信し、ステップS28において、放送波出力情報により表される強度で出力するように、放送波の電界強度を調整する。
【0073】
以上の処理により、無線通信の利用可能な範囲と、エリアワンセグメント放送の利用可能な範囲を一致させることができ、店舗側からすれば、図2を参照して説明したような、エリアワンセグメント放送とフェムトセルによる無線通信を連動させたサービスを提供することができる。また、ユーザは、そのサービスを、位置を移動することなく利用することができる。
【0074】
次に、図4のシーケンスを参照して、放送波の電界強度を再調整する図1の通信システムの処理について説明する。
【0075】
ある移動機がフェムトセルに新たに在圏した場合、その移動機が出力する電波の影響によって、フェムトセル基地局1が出力する通信波の到達範囲が変わり、それにより、図3の処理によって一致していた通信波の到達範囲と放送波の到達範囲にずれが生じてしまうことがある。図1の通信システムにおいては、そのずれを修正するように、放送波の電界強度が再度調整される。
【0076】
図4の処理は、図3の処理が行われた後、移動機がフェムトセルに在圏する毎に、フェムトセル基地局1、監視制御装置11、在圏・離圏管理AS12、およびエリアワンセグメント放送管理AS13により行われる。
【0077】
フェムトセル基地局1が管理するフェムトセルに移動機21が在圏した場合、ステップS81において、移動機21はフェムトセル基地局1にアクセスし、位置登録の要求をフェムトセル基地局1に送信する。位置登録の要求には移動機21の識別情報も含まれている。
【0078】
ステップS71において、フェムトセル基地局1は、移動機21からの位置登録の要求を受信し、ステップS72において、移動機21の識別情報と自身の識別情報を含む在圏情報を在圏・離圏管理AS12に送信する。
【0079】
ステップS51において、在圏・離圏管理AS12は、フェムトセル基地局1から送信されてきた在圏情報を受信し、在圏情報に含まれる識別情報を対応付けて記憶することによって、フェムトセル基地局1が管理するフェムトセルに移動機21が在圏していることを管理する。
【0080】
ステップS41において、監視制御装置11は、在圏・離圏管理AS12に記憶されている情報を参照し、フェムトセル基地局1が管理するフェムトセルに在圏している端末を確認する。
【0081】
移動機21が新たに在圏したことを確認した場合、ステップS42において、監視制御装置11は、移動機21が出力する電波の電界強度の測定をフェムトセル基地局1に要求する。
【0082】
ステップS73において、フェムトセル基地局1は、監視制御装置11からの要求を受信し、ステップS74において、移動機21が出力する電波の電界強度を測定する。
【0083】
ステップS75において、フェムトセル基地局1は、測定結果を表す測定情報を監視制御装置11に送信する。
【0084】
ステップS43において、監視制御装置11は、フェムトセル基地局1から送信されてきた測定情報を受信し、ステップS44において、エリアワンセグメント放送管理AS13に送信する。
【0085】
ステップS61において、エリアワンセグメント放送管理AS13は、監視制御装置11から送信されてきた測定情報を受信し、ステップS62において、フェムトセル基地局1が出力する放送波の電界強度を再計算する。放送波の電界強度の再計算には、適宜、図3のステップS11において受信された通信波出力情報により表される、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度も用いられる。
【0086】
例えば、移動機21が出力する電波の影響を受けることによって、フェムトセル基地局1が出力する通信波の到達範囲が狭くなる場合、それに応じて放送波の到達範囲が狭くなるように、放送波の電界強度が再計算される。すなわち、移動機21の在圏後の通信波の到達範囲に放送波の到達範囲を合わせるように、放送波の電界強度が計算される。
【0087】
ステップS63において、エリアワンセグメント放送管理AS13は、再計算により求めた放送波の電界強度を表す情報である放送波出力調整情報を監視制御装置11に送信する。
【0088】
ステップS45において、監視制御装置11は、エリアワンセグメント放送管理AS13から送信されてきた放送波出力調整情報を受信し、ステップS46において、フェムトセル基地局1に送信する。
【0089】
ステップS76において、フェムトセル基地局1は、監視制御装置11から送信されてきた放送波出力調整情報を受信し、ステップS77において、放送波出力調整情報により表される強度で出力するように、放送波の電界強度を調整する。
【0090】
以上の処理により、移動機21が在圏することに応じて、無線通信の利用可能な範囲とワンセグメント放送の利用可能な範囲にずれが生じた場合であっても、そのずれを修正することが可能になる。
【0091】
なお、放送波の電界強度を再度調整するのではなく、通信波の電界強度の方を再度調整するようにしてもよいし、放送波と通信波の両方の電界強度を再度調整するようにしてもよい。
【0092】
[各装置の構成例]
図5は、フェムトセル基地局1の構成例を示すブロック図である。
【0093】
図5に示すように、フェムトセル基地局1は、ネットワーク通信部31、制御部32、無線通信部33、アンテナ34、エリアワンセグメント放送部35、およびアンテナ36から構成される。
【0094】
ネットワーク通信部31はネットワークのインタフェースであり、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)などの所定のプロトコルに従って、LANケーブル2とモデム3を介して通信を行う。
【0095】
ネットワーク通信部31は、無線通信部33から供給された、フェムトセルに在圏している移動機21からの例えば音声データをモデム3に出力してCSCFなどに送信させる。また、ネットワーク通信部31は、CSCFから送信され、モデム3により受信された音声データを受信し、無線通信部33に出力する。
【0096】
ネットワーク通信部31は、通信波出力情報や放送波出力情報が監視制御装置11から送信されてきた場合、それを受信し、制御部32に出力する。
【0097】
制御部32はCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)などよりなり、所定のプログラムを実行してフェムトセル基地局1の全体の動作を制御する。
【0098】
例えば、制御部32は、エリアワンセグメント放送部35を制御してエリアワンセグメント放送を行う。また、制御部32は、無線通信部33がアンテナ34から出力する通信波の電界強度を通信波出力情報に基づいて制御し、エリアワンセグメント放送部35がアンテナ36から出力する放送波の電界強度を放送波出力情報に基づいて制御する。
【0099】
無線通信部33は、制御部32による制御に従って、空中線電力が20mW以下などの所定の強度の通信波をアンテナ34から出力し、フェムトセルに在圏している移動機21との間で、W-CDMA、CDMA2000などの所定の規格の無線通信を行う。無線通信部33が出力する通信波は、エリアワンセグメント放送部35がアンテナ36から出力する放送波の周波数帯域とは異なる、2GHz帯、800MHz帯などの周波数帯域の電波である。
【0100】
無線通信部33は、ネットワーク通信部31から供給された音声データを、送信先として指定された移動機21に送信する。また、無線通信部33は、アンテナ34から供給された信号に基づいて受信した移動機21からの音声データをネットワーク通信部31に出力する。
【0101】
エリアワンセグメント放送部35は、制御部32による制御に従って、所定の強度の放送波をアンテナ36から出力し、エリアワンセグメント放送を行う。例えば、所定のサーバから送信されてきたコンテンツがネットワーク通信部31において受信され、図示せぬ経路を介して供給された場合、エリアワンセグメント放送部35はその供給されたコンテンツを放送する。
【0102】
図6は、フェムトセル基地局1の機能構成例を示すブロック図である。
【0103】
図6に示す機能部のうちの少なくとも一部は、図5の制御部32内のCPUにより所定のプログラムが実行されることによって実現される。図6に示すように、制御部32においては、電界強度制御部41、測定部42、および在圏検出部43が実現される。
【0104】
電界強度制御部41は、ネットワーク通信部31から供給された通信波出力情報に基づいて、無線通信部33がアンテナ34から出力する通信波の電界強度を制御し、放送波出力情報に基づいて、エリアワンセグメント放送部35がアンテナ36から出力する放送波の電界強度を制御する。
【0105】
測定部42は、認証が成功した後、無線通信部33から供給される情報に基づいて、外部にある他の基地局が出力する電波の電界強度を測定し、測定情報をネットワーク通信部31に出力して監視制御装置11に送信させる。無線通信部33からは、アンテナ34において受信された電波を復調して得られた信号のレベルを表す情報などが供給される。
【0106】
また、測定部42は、フェムトセルに移動機21が在圏した場合、監視制御装置11からの要求に応じて、移動機21が出力する電波の電界強度を測定し、測定情報をネットワーク通信部31に出力して監視制御装置11に送信させる。
【0107】
在圏検出部43は、無線通信部33から供給された情報に基づいて移動機の在圏を検出する。在圏検出部43は、フェムトセルに移動機21が在圏した場合、ネットワーク通信部31を制御し、移動機21の識別情報とフェムトセル基地局1の識別情報を含む在圏情報を在圏・離圏管理AS12に送信する。
【0108】
図7は、監視制御装置11の構成例を示すブロック図である。
【0109】
CPU51、ROM52、RAM53は、バス54により相互に接続されている。バス54には、さらに、入出力インタフェース55が接続されている。入出力インタフェース55には、キーボード、マウスなどよりなる入力部56、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部57が接続される。また、バス54には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部58と、通信部59が接続される。
【0110】
通信部59は、ネットワークインタフェースなどよりなり、フェムトセル基地局1、在圏・離圏管理AS12、エリアワンセグメント放送管理AS13などの外部の装置とネットワーク5を介して通信を行う。
【0111】
在圏・離圏管理AS12、エリアワンセグメント放送管理AS13も、図7に示す監視制御装置11の構成と同じ構成を有している。以下、適宜、図7に示す構成を在圏・離圏管理AS12、エリアワンセグメント放送管理AS13の構成として引用して説明する。
【0112】
監視制御装置11、在圏・離圏管理AS12、およびエリアワンセグメント放送管理AS13がそれぞれ1つのコンピュータにより構成されるのではなく、それぞれの装置が、複数のコンピュータにより構成されるようにしてもよい。
【0113】
図8は、監視制御装置11、およびエリアワンセグメント放送管理AS13の機能構成例を示すブロック図である。
【0114】
図8に示す機能構成のうちの少なくとも一部は、各装置のCPU51が、例えば記憶部58に記憶されているプログラムをRAM53にロードして実行することにより実現される。
【0115】
図8に示すように、監視制御装置11においては、測定情報受信部71、通信波電界強度計算部72、および送信部73が実現され、エリアワンセグメント放送管理AS13においては、受信部81、および放送波電界強度計算部82が実現される。なお、在圏・離圏管理AS12においては、フェムトセル基地局1から送信されてきた在圏情報を受信し、識別情報を対応付けて記憶する構成が実現される。
【0116】
監視制御装置11の測定情報受信部71は、フェムトセル基地局1から送信されてきた測定情報を受信する。測定情報受信部71は、受信した測定情報のうち、認証が成功した後に行われた、外部にある他の基地局が出力する電波の電界強度の測定の結果を表す測定情報を通信波電界強度計算部72に出力する。また、測定情報受信部71は、フェムトセルに移動機が新たに在圏することに応じて行われた、移動機が出力する電波の電界強度の測定の結果を表す測定情報をエリアワンセグメント放送管理AS13に送信する。
【0117】
通信波電界強度計算部72は、測定情報受信部71から供給された測定情報に基づいて通信波の電界強度を計算し、計算により求めた電界強度を表す通信波出力情報を送信部73に出力する。また、通信波電界強度計算部72は、通信波出力情報をエリアワンセグメント放送管理AS13に送信することによって、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度を通知する。
【0118】
送信部73は、通信波電界強度計算部72から供給された通信波出力情報をフェムトセル基地局1に送信する。また、送信部73は、放送波出力情報や放送波出力調整情報がエリアワンセグメント放送管理AS13から送信されてきた場合、それをフェムトセル基地局1に送信する。
【0119】
エリアワンセグメント放送管理AS13の受信部81は、監視制御装置11の通信波電界強度計算部72から送信されてきた通信波出力情報を受信し、放送波電界強度計算部82に出力する。また、受信部81は、移動機が出力する電波の電界強度を表す測定情報が監視制御装置11の測定情報受信部71から送信されてきた場合、それを受信し、放送波電界強度計算部82に出力する。
【0120】
放送波電界強度計算部82は、通信波出力情報が受信部81から供給された場合、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度に基づいて放送波の電界強度を計算し、放送波出力情報を監視制御装置11に送信する。
【0121】
また、放送波電界強度計算部82は、移動機が出力する電波の電界強度を表す測定情報が受信部81から供給された場合、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度と、移動機が出力する電波の電界強度に基づいて放送波の電界強度を再計算し、放送波出力調整情報を監視制御装置11に送信する。
【0122】
図8の各構成が1つのコンピュータ上に実現されるようにしてもよいし、図8の各構成に在圏・離圏管理AS12の構成を加えた構成全体が1つのコンピュータ上に実現されるようにしてもよい。
【0123】
<第2の実施の形態>
以上においては、通信波や放送波の電界強度の計算がコアネットワーク側の装置により行われるものとしたが、電界強度の計算機能をフェムトセル基地局1に持たせることも可能である。
【0124】
[フェムトセル基地局の構成例]
図9は、通信波や放送波の電界強度を計算する機能をも有するフェムトセル基地局1の機能構成例を示すブロック図である。フェムトセル基地局1のハードウエア構成は図5に示す構成と同じである。
【0125】
図9に示すように、フェムトセル基地局1の制御部32においては、在圏検出部101、測定部102、計算部103、電界強度制御部104が実現される。
【0126】
在圏検出部101は、無線通信部33から供給された情報に基づいて移動機の在圏を検出する。フェムトセルに移動機が在圏したことを検出した場合、在圏検出部101は、ネットワーク通信部31を制御し、在圏情報を在圏・離圏管理AS12に送信するとともに、フェムトセルに移動機が在圏したことを表す情報を測定部102に出力する。
【0127】
測定部102は、認証が成功した後の測定時に無線通信部33から供給された情報に基づいて、外部にある他の基地局が出力する電波の電界強度を測定し、測定情報を計算部103に出力する。また、測定部102は、フェムトセルに移動機が在圏した場合、その移動機が出力する電波の電界強度を測定し、測定情報を計算部103に出力する。
【0128】
計算部103は、認証が成功した後に行われた測定の結果を表す測定情報が測定部102から供給された場合、通信波の電界強度を計算し、計算により求めた通信波の電界強度を表す通信波出力情報を電界強度制御部104に出力する。
【0129】
また、計算部103は、計算により求めた通信波の電界強度に基づいて、通信波の到達範囲に放送波の到達範囲を一致させるように放送波の電界強度を計算し、計算により求めた放送波の電界強度を表す放送波出力情報を電界強度制御部104に出力する。
【0130】
計算部103は、移動機が出力する電波の電界強度を表す測定情報が測定部102から供給された場合、フェムトセル基地局1が出力する通信波の電界強度と、移動機が出力する電波の電界強度に基づいて放送波の電界強度を再計算し、放送波出力調整情報を電界強度制御部104に送信する。
【0131】
電界強度制御部104は、計算部103から供給された通信波出力情報に基づいて、無線通信部33がアンテナ34から出力する通信波の電界強度を制御し、放送波出力情報に基づいて、エリアワンセグメント放送部35がアンテナ36から出力する放送波の電界強度を制御する。
【0132】
また、電界強度制御部104は、計算部103から供給された放送波出力調整情報に基づいて、エリアワンセグメント放送部35がアンテナ36から出力する放送波の強度を再度制御する。
【0133】
[フェムトセル基地局の動作]
図10のフローチャートを参照して、図9の構成を有するフェムトセル基地局1が行う出力制御処理について説明する。図10の処理は、例えばフェムトセル基地局1が起動したときに開始される。
【0134】
ステップS101において、フェムトセル基地局1の測定部102は、近隣にあるマクロセル基地局やフェムトセル基地局などの、外部にある他の基地局が出力する電波の電界強度を測定する。
【0135】
ステップS102において、計算部103は、測定部102による測定結果に基づいて、フェムトセル基地局1の設置位置において受信される電波と干渉を起こさないように、通信波の電界強度を計算により求める。
【0136】
ステップS103において、電界強度制御部104は、計算部103により求められた強度で出力するように、通信波の電界強度を調整する。
【0137】
ステップS104において、計算部103は、通信波の電界強度に基づいて、放送波の電界強度を計算により求める。
【0138】
ステップS105において、電界強度制御部104は、計算部103により求められた強度で出力するように、放送波の電界強度を調整する。これにより、通信波の到達範囲と放送波の到達範囲は一致する。
【0139】
ステップS106において、在圏検出部101は、移動機が在圏したか否かを判定し、在圏したと判定するまで待機する。
【0140】
移動機が在圏したとステップS106において判定された場合、ステップS107において、測定部102は、新たに在圏することになった移動機21が出力する電波の電界強度を測定する。
【0141】
ステップS108において、計算部103は、放送波の電界強度を再計算する。放送波の電界強度の再計算には、移動機21が出力する電波の電界強度と、ステップS103における調整後の通信波の電界強度が用いられる。
【0142】
ステップS109において、電界強度制御部104は、計算部103により求められた強度で出力するように、放送波の電界強度を再調整する。その後、ステップS106に戻り、移動機が在圏する毎に、放送波の電界強度の調整が繰り返される。
【0143】
移動機が在圏する毎に放送波の電界強度を調整することにより、放送波の到達範囲を通信波の到達範囲に常に一致させることが可能になる。
【0144】
<変形例>
以上においては、通信波の到達範囲を基準として、その範囲に放送波の到達範囲を一致させるように放送波の電界強度が決定され、放送波の電界強度が調整されるものとしたが、反対に、放送波の到達範囲を基準として、その範囲に通信波の到達範囲を一致させるように通信波の電界強度が決定され、通信波の電界強度の方が調整されるようにしてもよい。
【0145】
また、放送波と通信波のうちのいずれか一方ではなく、放送波と通信波の両方の電界強度が調整されるようにしてもよい。
【0146】
さらに、以上においては、フェムトセルによる無線通信を行うための電波と、エリアワンセグメント放送を行うための電波の2つの電波の到達範囲を一致させる場合について説明したが、到達範囲を一致させるために電界強度を調整する電波の数は2つに限られるものではなく、それ以上の数の電波の電界強度を調整し、到達範囲を一致させるようにしてもよい。
【0147】
また、電波の種類も、フェムトセルによる無線通信を行うための電波とエリアワンセグメント放送を行うための電波に限られるものではなく、無線LAN通信を行うための電波、ブルートゥース通信を行うための電波、13セグメント全体を使った放送であるフルセグメント放送の電波などの他の種類の電波であってもよい。
【0148】
フェムトセル基地局1に替えて、「ピコセル」、「マイクロセル」と呼ばれる小型セルを形成する基地局が設けられ、その基地局により、以上のようにして通信波、放送波の電界強度が調整されるようにしてもよい。小型基地局は、フェムトセル、ピコセル、マイクロセル等の小型セルを形成する基地局である。
【0149】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0150】
1 フェムトセル基地局, 11 監視制御装置, 12 在圏・離圏管理AS, 13 エリアワンセグメント放送管理AS, 21 移動機, 31 ネットワーク通信部, 32 制御部, 33 無線通信部, 35 エリアワンセグメント放送部, 41 電界強度制御部, 42 測定部, 43 在圏検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身が管理するセルに在圏する移動機との間で通信を行うための通信波を出力する通信手段と、
前記移動機が受信可能な放送波を出力する放送手段と、
前記通信波の到達範囲と前記放送波の到達範囲とを一致させるように、前記通信手段または前記放送手段が出力する電波の電界強度を制御する制御手段と
を備える小型基地局。
【請求項2】
他の基地局が出力する電波の電界強度を測定する測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記他の基地局が出力する電波の電界強度に応じて、前記通信手段に対して前記通信波の電界強度を制御し、当該制御後の前記通信波の到達範囲に一致させるように、前記放送手段に対して前記放送波の電界強度を制御する
請求項1に記載の小型基地局。
【請求項3】
前記測定手段は、さらに、自身が管理するセルに在圏する移動機が出力する通信波の電界強度を測定し、
前記制御手段は、さらに、前記移動機が出力する通信波の電界強度に応じて、前記放送手段に対して前記放送波の電界強度を制御する
請求項2に記載の小型基地局。
【請求項4】
前記制御手段は、前記移動機が出力する通信波の電界強度に応じた前記放送波の電界強度の制御を、自身が管理するセルに前記移動機が在圏する毎に行う
請求項3に記載の小型基地局。
【請求項5】
自身が管理するセルに在圏する移動機との間で通信を行うための通信波を出力する通信手段と、
前記移動機が受信可能な放送波を出力する放送手段と
を備える小型基地局の制御方法において、
前記通信波の到達範囲と前記放送波の到達範囲とを一致させるように、前記通信手段または前記放送手段が出力する電波の電界強度を制御する
ステップを含む制御方法。
【請求項6】
ネットワークを介して接続される小型基地局と制御装置とから構成される通信システムにおいて、
前記小型基地局は、
自身が管理するセルに在圏する移動機との間で通信を行うための通信波を出力する通信手段と、
前記移動機が受信可能な放送波を出力する放送手段と、
他の基地局が出力する電波の電界強度を測定する測定手段と、
前記制御装置と通信を行い、前記測定手段により測定された前記他の基地局が出力する電波の電界強度を表す情報を前記制御装置に送信し、前記制御装置から送信されてきた、電波の電界強度に関する情報である出力情報を受信する通信手段と、
前記通信手段により受信された前記出力情報に基づいて、前記通信波の到達範囲と前記放送波の到達範囲とを一致させるように、前記通信手段または前記放送手段が出力する電波の電界強度を制御する制御手段と
を備え、
前記制御装置は、
前記小型基地局から送信されてきた、前記他の基地局が出力する電波の電界強度を表す情報を受信し、受信した情報により表される前記電界強度に基づいて決定された電波の電界強度に関する情報である前記出力情報を前記小型基地局に送信する通信手段を備える
通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−77570(P2011−77570A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223687(P2009−223687)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(501275178)ソフトバンクBB株式会社 (112)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】