説明

小型容器

【課題】本発明は、流体物を封入しやすく、注出作業を容易に行うことが出来る小型容器を提供する。
【解決手段】フィルム材により、内部に流体物充填用の空間部Xを有するように形成され、その一部にフィルム材の対向する部分を接合して第1のシール部6が形成された容器本体2と、該容器本体2の第1のシール部6に設けられ、空間部Xと外部とを連通させる管状の注出部4とを備えた小型容器1Aであって、容器本体2に、第1のシール部6と異なる位置に、第2のシール部7を形成し、第1のシール部6を第1の基準面に形成すると共に、第2のシール部7を該第1の基準面と異なる第2の基準面上に形成することにより空間部Xを形成するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の器具等に流体物を注入する際に用いる小型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いて体内の検査又は治療を行う際には、検査等を行っている間に患部に止血剤等の薬剤が投与されることがある。薬剤の投与は、これを収容した容器の注出部を内視鏡の鉗子口に接続し、内視鏡に注入することにより行われる。一般に、内視鏡を用いて薬剤を投与するための容器には、注射用のシリンジが用いられてきたが、シリンジとの誤認防止、及びシリンジの費用が高く非経済的であるという観点から、近年、下記特許文献1に開示された、フィルム材による容器本体に注出部が備えられた小型容器が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された小型容器は、図9(a)に示すように、密封された収容室101が設けられた可撓性のある容器本体102に、収容室101に連通する排出流路104pが形成された管状の注出部104が連結されて構成されている。
【0004】
この小型容器100の容器本体102は、上下のフィルム材F1、F2(図9は、小型容器100の断面を示しているので紙面の手前側のフィルム材F1は不図示)が、その外周を巡るように、側縁部102c、102d及び底縁部102bにおいて接合されており、厚みが薄い扁平形状をなしている。容器本体102の材質としては、使用者の握力により変形可能な可撓性を有する合成樹脂等が用いられている。
【0005】
該注出部104には、排出流路104pを基端部側において封止するために一体的に形成された閉塞部105と、該閉塞部105に連設した操作突起部106a、106bが収容室101内に備えられている。
【0006】
操作突起部106a、106bは、注出部104から収容室101側に向かって互いに離間する方向に延出した突起物により構成されており、樹脂材料により形成されている。
また、注出部104と操作突起106a、106bとの間に形成された接続部108は、操作突起部106a、106bを相対変異させることにより破断可能に形成されている。
注出部104の先端部は、剥離可能なシール材107により閉塞されている。収容室101内には、液体、半液体等の薬剤が充填されている。
【0007】
小型容器100から鉗子口に薬剤を注入して患部に投与するためには、図9(b)に示すように、まず、シール材(不図示)を剥離除去した後に、内視鏡109の鉗子口110に注出部104の先端を挿入して配置し、容器本体102を把持して操作突起106a、106bを互いに近接させるように相対変位させて、接続部108を破断する。
接続部108が破断されると、収容室101と注出部104の排出流路104pとが連通するので、容器本体102を更に圧縮し、収容室101の薬剤を注出部104へ押し出して鉗子口110に供給し、内視鏡109の先端から患部に投与する。
薬剤の投与が完了した場合には、注出部104を鉗子口110から抜き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−288771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記の小型容器100は、上下のフィルム材F1、F2の外周を接合した構成であるため、容器本体102が扁平形状に形成されるものであって、収容室101の流体物を充填する容積を確保しにくいという問題があった。更に、操作突起106a、106bを収容室101内に配置するため、前記容積が更に狭くなるというという問題があった。
また、扁平形状であるので容器本体102を圧縮し難く、収容室101内部の薬剤等(不図示)を注出し難いという問題があった。
【0010】
また、薬剤を注出する際に、操作突起106a、106bを強く圧迫して互いに接近させ接続部108を破断する必要があり、容器本体102を取扱い難いという問題があった。
【0011】
また、操作突起106a、106bの接続部108を分断した場合、その勢いで薬剤が一気に流れ込んでしまい、薬剤の量を適宜調節しながら排出するという操作を行い難いという問題があった。
【0012】
また、操作突起106a、106bが、扁平な形状の容器本体102の開口部102a付近から延出しているため、薬剤の注出後、該薬剤が一部操作突起106a、106bの先端部周辺に残されてしまうという問題があった。
【0013】
また、収容室101内に操作突起106a、106bを有した構造であるため、小型容器の部品点数及び作製工程が増え、コスト嵩むという問題があった。
【0014】
また更に、誤ってシール材107を貼着させたまま鉗子口110に挿入してしまった場合には、鉗子口110が詰まって不具合を起こしてしまうおそれがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題を解決するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1の発明は、フィルム材により、内部に流体物充填用の空間部を有するように形成され、その一部に前記フィルム材の対向する部分を接合して第1のシール部が形成された容器本体と、該容器本体の前記第1のシール部に設けられ、前記空間部と外部とを連通させる管状の注出部とを備えた小型容器であって、前記容器本体に、前記第1のシール部と異なる位置に、第2のシール部を形成し、前記第1のシール部を第1の基準面に形成すると共に、前記第2のシール部を該第1の基準面と異なる第2の基準面上に形成することにより前記空間部を形成するようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、前記容器本体には、前記空間部を複数に分割する剥離可能な分割シール部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、前記第1のシール部を形成する第1の基準面が前記管状の注出部の軸線を通るように設定され、前記第2のシール部を形成する第2の基準面が前記軸線を通り、かつ前記第1の基準面に直交するように設定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、前記第1のシール部が前記容器本体の前端部に形成され、前記第2のシール部が前記容器本体の後端部に形成され、前記容器本体の後端部に前記第2のシール部の長さ方向略中央部に対応する位置に前記容器本体の先端部方向に凹む切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、前記管状の注出部の先端部の内孔は、その最先端部に向かうに従って漸次小径とされていることを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、前記管状の注出部先端には、前記内孔を閉塞する蓋体が形成され、
この蓋体は、前記注出部断面輪郭より大きい断面輪郭を有することを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明は、前記管状の注出部は、その後端部が前記空間部内に突出するように形成され、該後端部に前記内孔を閉塞する蓋体が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の小型容器によれば、第2のシール部が、第1のシール部と異なる第2の基準面上において第1シール部と離間して形成されているため、容器本体が立体的となり、薬剤を封入する空間を確保しやすいという効果を奏する。
また、立体形状なので圧縮等の操作がしやすく、流体物を容易に排出可能であるという効果を奏する。
【0023】
また、フィルム材と管状の注出部だけで小型容器を作製可能であるため、構造が簡素で製造が容易であり、製造費用を抑えられるという効果を奏する。
【0024】
請求項2に記載の小型容器によれば、分割シール部が容器本体に形成されて空間部を分割しているため、注出部と連通しない空間部に収容された流体物を、注出する直前まで密封しておき、注出時に分割シール部を剥離して流体物を注出することが出来るという効果を奏する。したがって、流体物を管状の注出部から不用意に注出してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項3に記載の小型容器によれば、流体物を収容する空間部を最大限に形成することができ、かつ、把持しやすく、流体物の排出時に容器本体を圧縮しやすい形状とすることが出来るという効果を奏する。
【0026】
請求項4に記載の小型容器によれば、切欠部が形成されていることにより、容器本体を第2のシール部の長さ方向に圧縮しやすくなるという効果を奏する。
【0027】
請求項5に記載の小型容器によれば、先端部の内孔が、その最先端部に向かうに従って小径となるように形成されているので、流体物の排出量の調整が容易であるという効果を奏する。
【0028】
請求項6に記載の小型容器によれば、蓋体が、注出部断面輪郭より大きい断面輪郭を有するよう形成されているため、蓋体を外すことなく注出部を鉗子口に挿入させないようにすることができ、小型容器の誤用を防止することが出来るという効果を奏する。
【0029】
請求項7に記載の小型容器によれば、蓋体が容器本体内において形成されているため、蓋体を分離させた後に、蓋体を容器本体に収納しておくことが出来、小型容器の処分が簡便になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】は、本発明の第1の実施形態として示した小型容器を示す斜視図である。
【図2】は、本発明の第1の実施形態として示した小型容器を示す平面図である。
【図3】は、本発明の第1の実施形態として示した小型容器を示す側面図である。
【図4】は、本発明の第1の実施形態として示した小型容器の注出部を示した拡大部分断面図である。
【図5】は、本発明の第1の実施形態として示した小型容器を内視鏡に適用した場合を示す説明図である。
【図6】は、本発明の第2の実施形態として示した小型容器を示す平面図である。
【図7】は、本発明の第2の実施形態として示した小型容器を示す側面図である。
【図8】は、本発明の第3の実施形態として示した小型容器を示す平面図である。
【図9】(a)は、従来の小型容器を示した平面図であり、(b)は該小型容器の使用例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を、内視鏡に流体の薬剤を注入するために使用する場合を例として説明する。図1は、第1の実施形態の小型容器1Aを示した斜視図であり、図2は小型容器1Aの平面図、図3は同側面図である。
【0032】
図1に示すように、小型容器1Aは、容器本体2の前端部3に管状の注出部材(注出部)4を有している。
【0033】
容器本体2は、筒状に形成されたフィルム材の前端部3と後端部5において、フィルム材の互いに対向する内面部分同士を重ね合わせて封止し形成したものである。
【0034】
前端部3を封止した第1のシール部6は、図1、3に示すように、注出部材4の軸線を通る水平方向の基準面P(第1の基準面)上において帯状に熱融着されたものであり、図2に示すように、容器本体2の外周に沿って前端部3とその両側部近傍に及んで形成されている。
第1のシール部6の内縁6a、6bは、両端部6S、6Tから前端部3の幅方向中央に備えられた、注出部材4に向かって漸次接近するように形成されている。
【0035】
後端部5を封止した第2のシール部7は、図1、2に示すように、管状の注出部材4の軸線を通り、かつ前記基準面Pに直交する基準面Q(第2の基準面)上において帯状に熱融着されたものであり、図3に示すように、注出部材4に向かって凹む「く」の字状に形成されている。
【0036】
このように容器本体2の前端部3と後端部5を封止することで、図1に示すように、第1のシール部6の両端部6S、6Tと第2のシール部7の両端部7M、7Nをそれぞれ結んだ線上に緩やかにカーブする折曲部8、9、10、11が容器本体2に形成され、筒状のフィルム材は、この折曲部8、9・・により略三角形に形成された壁部12、13、14、15がこの順に隣接するように区画されている。
【0037】
壁部12は、容器本体2の上壁部を構成するものであり、下方に位置する壁部14と前端部3において水平方向に接合され、その接合部である第1のシール部6を底辺部とするようにして第2のシール部7の端部7Mに向かって幅寸法を漸次小とさせながら上方に傾斜するように延在している。
【0038】
壁部13は、容器本体2の側壁部を構成するものであり、折曲部8を挟んで壁部12に隣接している。この壁部13は、鉛直方向に接合された第2のシール部7を底辺部とするようにして、壁部12とは逆に、第1のシール部6の端部6Sに向かって高さ寸法を漸次小とさせながら外方に向かって傾斜するように延在している。
【0039】
壁部14は、容器本体2の下壁部を構成するものであり、折曲部9を挟んで壁部13に隣接している。この壁部14は、上方に位置する壁部12と前端部3において接合され、壁部12と同様に第1のシール部6を底辺部とするようにして第2のシール部7の端部7Nに向かって幅寸法を漸次小とさせて延在している。
【0040】
壁部15は、折曲部10を挟んで壁部14に隣接し、壁部13に対向する側壁部を構成するものである。この壁部15は、壁部13と同様に、鉛直方向に接合された第2のシール部7を底辺部とするようにして、壁部12、14とは逆方向に、第1のシール部6の端部6Tに向かって高さ寸法を漸次小とさせながら外方に向かって傾斜するように延在している。
【0041】
容器本体2の寸法は、片手で把持できる程度の寸法で、幅寸法が約2cm〜12cm、高さ寸法が約2cm〜12cmとされている。また、容器本体2は、可撓性のあるフィルム材からなり、その材質としては合成樹脂、具体的には例えば、ポリオレフィン等が好適に用いられる。
この構成において、容器本体2の空間部Xは、水平方向及び鉛直方向に広がりをもつ立体空間とされている。
【0042】
注出部材4は、容器本体2の空間部Xと外部とを連通させる管状の部材であり、前端部3の幅方向中央で、壁部12、14の間に挿通され、これらと密着して保持されている。
注出部材4は、図4に示すように、内孔20が大径に形成された基部21と、基部21の内孔20と連通して形成され、内孔20よりも小径に形成された内孔22を有する挿入部23とからなっている。また更に、挿通部23の先端部24は、その内孔25が、最先端部の開口端面25aに向かうに従って漸次小径となるように形成されている。
【0043】
この場合、注出部材4の内孔は、内孔20から内孔25の先端に至るまで断面正円形となるように形成されている。先端部24の内孔25は、その開口端面25aにおいて直径がφ2mm〜0.3mmとなるよう形成されるのが好ましい。
【0044】
注出部材4の先端部24には、注出部材4の内孔25を封止する蓋体26が形成されている。
蓋体26は、手で把持することが出来る程度の長さ寸法を有した杆状体であり、外観そろばん駒の形状を有する膨出部26A、26B、26C、・・が形成され、最先端部には、そろばん駒形状の膨出部の一部を切欠した外形を有する膨出部26Dが形成されている。
【0045】
各膨出部26A、26B、・・の大径部26aの輪郭形状は、注出部材4の挿通部23の断面輪郭よりも大きい断面輪郭を有するように形成されている。
蓋体26の基端部26bの基端面26cは、注出部材4の開口端面25aにおける内孔25よりも径寸法が大とされて該内孔25全体を覆っており、かつ、注出部材4の先端から分離容易なように、基端面26cに向かって漸次すぼむ形状とされている。
【0046】
次に、小型容器1Aの製造方法について説明する。
インフレーションフィルムなどを筒状に形成したフィルム材の開口部の前端を開口させた状態にして、図1に示すように注出部材4を中央に配置し、前端部3及びその両側部近傍を融着し、第1のシール部とする。この際、第1のシール部が形成する面を含む面が図3に示す基準面Pとなる。
【0047】
これによって、容器本体2の前端部3側が完全に封止されるので、この状態において後端部5側が上方を向くように位置させて、開口部から薬剤等の流体物を注入する。第1のシール部6が形成された基準面Pを注出部材4の軸線を基準に90度回転させた基準面Q上において、後端部5側を封止して第2のシール部7を形成することで、流体物を保持した小型容器1Aが形成される。
【0048】
この際、第2のシール部7は、後端部5において、第2のシール部7の長さ方向略中央に対応する位置に容器本体2の前端部3方向に凹む「く」の字形状になるように熱融着されている。
第1及び第2のシール部6、7のシーリングは、熱板式ヒートシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等によってすることができる。
【0049】
次に、図5を用いて、小型容器1Aを使用する方法について説明する。
小型容器1Aの容器本体2に保持された薬剤(不図示)を内視鏡30を用いて患部に投与するには、まず、小型容器1Aの注出部材4の先端に設けられた図4に示す蓋体26を、開口端面25aで折曲して分離し、注出部材4を開口させた上で、挿入部23を鉗子口31に挿入する。
【0050】
容器本体2を片手で把持し、薬剤を投与するタイミングで容器本体2を握って空間部Xを圧縮し、適宜握る力を調整しながら注出部材4から適量の薬剤を鉗子口31内に注入する。注入された薬剤は、内視鏡30を通って患部へ投与される。小型容器1Aの容器本体2に収容された薬剤を投与し終えた場合には、注出部材4を鉗子口31から抜出し、小型容器1Aを廃棄する。
【0051】
上記小型容器1Aによれば、筒状のフィルム材の開口部を水平方向と鉛直方向に延在するように第1のシール部6と第2のシール部7によって封止し、容器本体2の空間部Xが立体的となるよう形成されているので、薬剤を封入する空間を十分に確保することができるという効果が得られる。
【0052】
また、フィルム材と注出部材4のみによって、フィルム材を封止するだけで小型容器1Aが作製可能であるため、構造が簡素で作製が容易であり作製費用が抑えられると共に、使い捨てにも適するという効果が得られる。
【0053】
また、封止によって立体空間部を形成するので、空間部Xに流体物を入れた後に開口部を封止する際に、容器本体2が扁平になって流体物を溢れさせてしまうということを回避することが出来るという効果が得られる。
【0054】
また、図4に示すように蓋体26の先端の膨出部26Dが注出部材4の挿入部23の外径よりも大きい断面径寸法となるように形成されているので、蓋体26を外すことなく鉗子口31に挿入部23を挿入することが不可能とされている。よって、蓋体26を被冠したまま鉗子口31に注入部材4を挿入し、容器本体2を握っても薬剤が投与されないために検査等を中断させてしまうという不都合を回避したり、内視鏡30を壊してしまったりするという誤用を防止することができるという効果が得られる。
【0055】
また、注出部材4の先端部24の内孔25の径寸法を漸次小径としているので、薬剤を不用意に排出してしまうことを回避することができ、排出量を調節しながら注出することが出来るという効果が得られる。
【0056】
なお、本実施形態において、第2のシール部7は、管状の注出部材4の軸線を通り、かつ基準面Pに直交する基準面Q上において帯状に熱融着して形成されているが、管状の注出部材4の軸線を通り基準面Pと角度を成した面上であれば直交した基準面Q上に形成されたものでなくてもよい。
【0057】
容器本体2を構成するフィルム材や注出部材4に用いる合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン、ポリエーテルサルホン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。さらに、フィルム材を構成するフィルムとして蒸着ポリエステルフィルム及び蒸着ポリアミドフィルム等の蒸着フィルム、アルミニウム箔などを用いることもできる。
【0058】
容器本体2を構成するフィルム材や注出部材4は、薬剤の種類に応じて、それぞれ単層構成や多層構成とすることができる。例えば、容器本体2の内壁面となる最内層に環状ポリオレフィンからなるフィルムを有する多層のフィルム材と単層の環状ポリオレフィンとからなる注出部材4の組合せとすることで、接液部が全て環状ポリオレフィン樹脂となり、薬剤の有効成分が小型容器1Aに吸着して薬効が低下してしまうのを防止することが出来るという効果が得られる。
【0059】
また、他の例としては、フィルム材を内層、中間層及び外層を有する3層以上の多層フィルムとし、中間層にエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド及びポリエステルからなるフィルム並びに蒸着フィルム及びアルミニウム箔などのバリア性を有するフィルムを挟む構成とすることで、酸素や光による薬剤の変質を防止することが出来るという効果が得られる。
【0060】
また、注出部材4は、容器本体2の前端部3で壁部12、14の間に挿通され、これらに密着して保持されるものであるため、容器本体2の最内面と注出部材4の最外面とが熱接着可能な合成樹脂同士の組合せとすることが好ましく、同一の合成樹脂とすることがより好ましい。
【0061】
また、上記の実施形態において、注出部材4の内孔は断面正円形とされているが、横長のスリット形状としてもよい。
注出部材4の内孔を横長のスリット形状とすることで、蓋体26を分離して注出部材4を開口し小型容器1Aを傾倒させても、注出部材4から薬剤が排出されにくく、治療等をする傍ら小型容器1Aを手元で扱う場合や、鉗子口31等の注入口に挿入する動作の途中で、意図的に容器を圧縮しない限り液がこぼれにくくなり、小型容器1Aから不用意に薬剤が排出されるのを防止することが出来るという効果が得られる。
注出部材4の開口端面25aにおける内孔25の径をφ2mm〜0.3mmとすることによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0062】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6、図7において、図2、図3と同一の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
この実施の形態による小型容器1Bには、図6、図7に示すように、壁部12、14の内面同士を接合して、空間部Xを2つに分割する分割シール部27が形成されている。
分割シール部27は、容器本体2の前端部3寄りに、第1のシール部6と同一基準面P上で熱融着により形成されている。
この分割シール部27は、空間部Xを前端部3側の空間部X1と後端部5側の空間部X2に分割しており、空間部X2に流体物(不図示)が収容されている。
【0064】
分割シール部27は、空間部X2側を圧縮すると、空気又は流体物の圧力によって剥離することが出来る程度の接合力で封止されている。
【0065】
また、後端部5の外縁は、図7に示すように、第2のシール部7の外縁7eに沿って形成されており、容器本体2の注出部材4に向かって凹む切欠部35とされている。
【0066】
小型容器1Bは、分割シール部27を有していることにより、流体物を、注出する直前まで密封しておき、注出時に分割シール部27を剥離して流体物を注出することが出来るという効果が得られる。したがって、蓋体26を注出部材4から分離した時点から薬剤を注入をするまでの間に徒に流体物を排出してしまうことを防止することができるという効果が得られる。
【0067】
また、後端部5の外縁は、第2のシール部7の外縁7eに沿って形成されて切欠部35とされているため、容器本体2を第2のシール部の長さ方向に圧縮しやすくなるという効果が得られる。
小型容器1Bによると、上記の効果の他、小型容器1Aと同様の効果が得られる。
【0068】
この第2の実施形態において、切欠部35は、注出部材4に向かって凹む「く」の字状に形成された第2のシール部7の外縁7eに沿って鋭角に形成されているが、第2のシール部7を残して半楕円形に形成されていてもよく、又は第2のシール部7を前端部3に向かって凹む半楕円形状とし、該第2のシール部7の外縁に沿って半楕円形状に形成されても良い。
【0069】
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
図8において、図2と同一の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
この実施の形態による小型容器1Cの注出部材4には、図8に示すように、基端部29が空間部X内に突出するように容器本体2に保持され、基端部29に内孔20を閉塞する蓋体28が形成されている。
【0071】
蓋体28は、中実の杆状体であり、注出部材4の空間部X側の端面を覆って、後端部5方向に延在している。蓋体28の長さ寸法は、これを容器本体2のフィルム材上から押さえるか、又は指で把持して端部29に応力を掛け、注出部材4と分離する操作を適切に行うことが出来る程度に形成されている。
【0072】
また、注出部材4の先端部24と前端部3との間には、外方に向かって膨出した壁部が環状方向に形成された挿入規制壁部36が設けられている。
【0073】
小型容器1Cによれば、注出部材4の蓋体28を注出部材4の基端部29側に有していることで、小型容器1Cを図5に示す鉗子口31に装着した状態でも、蓋体28を分離して薬剤を投与する直前まで該薬剤を容器本体2に保持させておくことが出来るという効果が得られる。
また、容器本体2内で蓋体28を分離させるので、蓋体28を分離させてもゴミが発生せず、小型容器1Cの廃棄処理が簡便となるという効果が得られる。
【0074】
また、小型容器1Cによれば、注出部材4に挿入位置規制壁部36が形成されていることにより、注出部材4の鉗子口31への挿入時に該挿入位置規制壁部36が鉗子口31の開口部に当接するので、注出部材4の鉗子口31への挿入が適切な位置で止められるという効果が得られる。
小型容器1Cによると、上記の効果の他、小型容器1Aと同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0075】
1A、1B、1C 小型容器
2 容器本体
3 前端部
4 注出部材(注出部)
5 後端部
6 第1のシール部
7 第2のシール部
24 先端部
25 内孔
25a 最先端部
26 蓋体
27 分割シール部
28 蓋体
35 切欠部
X 空間部
P 第1の基準面
Q 第2の基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム材により、内部に流体物充填用の空間部を有するように形成され、その一部に前記フィルム材の対向する部分を接合して第1のシール部が形成された容器本体と、該容器本体の前記第1のシール部に設けられ、前記空間部と外部とを連通させる管状の注出部とを備えた小型容器であって、
前記容器本体に、前記第1のシール部と異なる位置に、第2のシール部を形成し、
前記第1のシール部を第1の基準面に形成すると共に、
前記第2のシール部を該第1の基準面と異なる第2の基準面上に形成することにより前記空間部を形成するようにしたことを特徴とする小型容器。
【請求項2】
請求項1に記載の小型容器であって、
前記容器本体には、前記空間部を複数に分割する剥離可能な分割シール部が形成されていることを特徴とする小型容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の小型容器であって、
前記第1のシール部を形成する第1の基準面が前記管状の注出部の軸線を通るように設定され、
前記第2のシール部を形成する第2の基準面が前記軸線を通り、かつ前記第1の基準面に直交するように設定されていることを特徴とする小型容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の小型容器であって、
前記第1のシール部が前記容器本体の前端部に形成され、
前記第2のシール部が前記容器本体の後端部に形成され、
前記容器本体の後端部に前記第2のシール部の長さ方向略中央部に対応する位置に前記容器本体の先端部方向に凹む切欠部が形成されていることを特徴とする小型容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の小型容器であって、
前記管状の注出部の先端部の内孔は、その最先端部に向かうに従って漸次小径とされていることを特徴とする小型容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の小型容器であって、
前記管状の注出部先端には、前記内孔を閉塞する蓋体が形成され、
この蓋体は、前記注出部断面輪郭より大きい断面輪郭を有することを特徴とする小型容器。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の小型容器であって、
前記管状の注出部は、その後端部が前記空間部内に突出するように形成され、
該後端部に前記内孔を閉塞する蓋体が形成されていることを特徴とする小型容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−79543(P2011−79543A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232791(P2009−232791)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】