説明

小荷物用昇降機のかご扉装置、及び小荷物用昇降機

【課題】より安全性及び利便性の高い小荷物用昇降機及び小荷物用昇降機のかご扉装置を提供する。
【解決手段】小荷物用昇降機のかご50は、かご50の荷物出し入れ口を開閉可能に覆う上扉52及び下扉54と、上扉52及び下扉54を連動して開閉させる扉開閉機構56と、を含むかご扉装置を備える。上扉52の上端の辺は荷物出し入れ口の上端の辺に取り付けられ、荷物出し入れ口の上端の辺を回転中心軸としてかご50の外側方向に回転することで開く。下扉54の下端の辺は荷物出し入れ口の下端の辺に取り付けられ、荷物出し入れ口の下端の辺を回転中心軸としてかご50の外側方向に回転することで開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小荷物用昇降機に関し、特に、小荷物用昇降機のかご扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小荷物用昇降機のかごには、かご内の荷物がかごから出て昇降路の内壁などに接触したり、昇降路の内壁とかごとの間に挟まったりすることを防ぐために、かごの荷物出し入れ口に扉が設けられることが多い。
【0003】
図4に、小荷物用昇降機のかごに設けられる従来のかご扉の例を示す。図4では、小荷物用昇降機のかご1の荷物出し入れ口3に、ガイドレール4に沿って上下方向にスライドして開閉するかご扉2が取り付けられる。図4に示すかご扉2を手で上に押し上げると、かご扉2は、ロープ6及び滑車7を介して重り8によって上方向にスライドし、開いた状態になる。
【0004】
また、特許文献1には、上下方向にスライドしながら伸縮して開閉する折りたたみ式のかご扉について記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−215628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4に示すかごを備える小荷物用昇降機において、荷物を出し入れする際の右側面断面図を図5に示す。図5を参照すると、従来の上下スライド式のかご扉では、かご扉を開いてかご内の荷物を出し入れする際、かご1の底面の荷物出し入れ口3側の端10と小荷物用昇降機が設置される建物の荷物出し入れ口の昇降路20側の端30との間に間隙40が生じる。したがって、かごから荷物を出し入れする際、この間隙40に書類などの荷物を落としてしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、より安全性及び利便性の高い小荷物用昇降機及び小荷物用昇降機のかご扉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る小荷物用昇降機のかご扉装置は、かごの荷物出し入れ口を開閉可能に覆う扉であって、この扉の下端の辺が前記荷物出し入れ口の下端の辺に取り付けられ、前記荷物出し入れ口の下端の辺を回転中心軸として前記かごの外側方向に回転することで開く下扉を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る小荷物用昇降機のかご扉装置は、さらに、前記荷物出し入れ口を開閉可能に覆う扉であって、この扉の上端の辺が前記荷物出し入れ口の上端の辺に取り付けられ、前記荷物出し入れ口の上端の辺を回転中心軸として前記かごの外側方向に回転することで開く上扉と、前記上扉と前記下扉とを連動して開閉させる扉開閉機構と、を備えることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るかご扉装置において、前記扉開閉機構は、前記上扉に接続され、前記上扉の回転に従って回転する上部ウォームホイールと、前記上部ウォームホイールと噛み合う上部ウォームギヤと、前記下扉に接続され、前記下扉の回転に従って回転する下部ウォームホイールと、前記下部ウォームホイールと噛み合う下部ウォームギヤと、前記上部ウォームギヤと前記下部ウォームギヤとを両端に固定したウォーム軸と、を備えることが好ましい。
【0011】
本発明に係るかご扉装置は、昇降路内を昇降するよう設けられ、荷物出し入れ口を有するかごを備える小荷物用昇降機に適用できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、より安全性及び利便性の高い小荷物用昇降機及び小荷物用昇降機のかご扉装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の1つの実施形態のかご扉装置を備える小荷物用昇降機のかごを示す斜視図である。かご50は、その荷物出し入れ口を開閉可能に覆う上扉52及び下扉54と、扉開閉機構56と、を備える。上扉52の上端の辺は、かご50の荷物出し入れ口の上端の辺に蝶番60を用いて取り付けられる。上扉52の上端の辺、すなわち、かご50の荷物出し入れ口の上端の辺を回転中心軸として、上扉52は、矢印a及び矢印bの両方向に回転可能である。上扉52のかご50に対して外側の面の下端の辺には、把手64が設けられる。下扉54の下端の辺は、かご50の荷物出し入れ口の下端の辺に蝶番62を用いて取り付けられる。下扉54の下端の辺、すなわち、かご50の荷物出し入れ口の下端の辺を回転中心軸として、下扉54は、矢印c及び矢印dの両方向に回転可能である。下扉54のかご50側の面の左右両端には、止め板66が設けられる。扉開閉機構56は、上扉52及び下扉54を連動して開閉させる機構である。扉開閉機構56は、保護カバー58で覆われる。図1では、わかりやすくするために保護カバー58内部の扉開閉機構56を実線で描いている。
【0015】
図2は、扉開閉機構56の右側面図である。図2は、保護カバー58及びかご50を省略して示す。扉開閉機構56は、上扉用ウォームホイール68及び下扉用ウォームホイール70と、上扉用ウォームギヤ72及び下扉用ウォームギヤ74と、ウォーム軸76と、軸受け78及び80と、を備える。上扉用ウォームホイール68及び下扉用ウォームホイール70の回転中心軸は、それぞれ、上扉52及び下扉54の回転中心軸と接続される。上扉用ウォームギヤ72及び下扉用ウォームギヤ74は、それぞれ、上扉用ウォームホイール68及び下扉用ウォームホイール70に噛み合う。上扉用ウォームギヤ72及び下扉用ウォームギヤ74は、互いのねじ切りの方向が逆になるように、ウォーム軸76の両端に固定される。また、上扉用ウォームギヤ72及び下扉用ウォームギヤ74は、それぞれ、軸受け78及び80によって支持される。
【0016】
図2を参照し、扉開閉機構56による、上扉52及び下扉54の連動した開閉動作について説明する。把手64を持って上扉52を矢印aの方向に回転させると、上扉52は開く。この上扉52の回転に従って上扉用ウォームホイール68は右方向に回転する。上扉用ウォームホイール68が右方向に回転すると、上扉用ウォームホイール68と噛み合う上扉用ウォームギヤ72が回転する。この回転運動はウォーム軸76を通じて下扉用ウォームギヤ74に伝達される。下扉用ウォームギヤ74には、上扉用ウォームギヤ72と逆の方向にねじが切られているため、下扉用ウォームギヤ74に噛み合う下扉用ウォームホイール70は、上扉用ウォームホイール68と逆方向すなわち左方向に回転する。この下扉用ウォームホイール70の左方向の回転に従って、下扉54は矢印c方向に回転して開く。
【0017】
上扉52及び下扉54を閉じる際には、上扉52を矢印bの方向、すなわちかご50に向かう方向に回転させる。すると、上扉用ウォームホイール68は左方向に回転し、この回転運動が上扉用ウォームギヤ72及びウォーム軸76を介して下扉用ウォームギヤ74に伝達される。これによって、下扉用ウォームギヤ74に噛み合う下扉用ウォームホイール70は、上扉用ウォームホイール68の回転方向とは逆の右方向に回転し、下扉54は矢印dの方向に回転して閉じられる。以上のように、扉開閉機構56の作用によって、上扉52及び下扉54は連動して開閉する。
【0018】
図3は、図1及び図2を参照して説明した実施形態の小荷物用昇降機において、この小荷物用昇降機が設置される建物の荷物出し入れ口を示す図である。図3では、テーブル形の小荷物用昇降機の例を示す。通常、テーブル形の小荷物用昇降機が設置された建物において、荷物出し入れ口は人間の腰の高さ付近に設けられ、荷物出し入れ口の下側にテーブル82が設けられる。操作パネル84を用いて小荷物用昇降機の呼び出しなどが行われる。図3は、建物の荷物出し入れ口に対応してかごが停止した状態を示す。図3では、建物の荷物出し入れ口に設けられた扉は開いていて、かごの荷物出し入れ口に設けられた上扉52及び下扉54は閉じている。このとき、かごの底面の荷物出し入れ口側の端と建物の荷物出し入れ口の昇降路側の端との間に間隙40が生じる。図3の二点鎖線で示すように、上扉52及び下扉54を開くと、間隙40は下扉54によって覆われる。また、止め板66は、荷物出し入れ時に、荷物が横に落下するのを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの実施形態のかご扉装置を備える小荷物用昇降機のかごを示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態のかご扉装置が有する扉開閉機構の側面図である。
【図3】図1に示すかごを備える小荷物用昇降機が設置された建物の荷物出し入れ口の一例を示す図である。
【図4】小荷物用昇降機のかごに設けられる従来のかご扉装置の一例を示す図である。
【図5】図4のかごを備える小荷物用昇降機において、荷物を出し入れする際の右側面断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1,50 かご、2 かご扉、3 荷物出し入れ口、4 ガイドレール、6 ロープ、7 滑車、20 昇降路、52 上扉、54 下扉、56 扉開閉機構、58 保護カバー、60,62 蝶番、64 把手、66 止め板、68 上扉用ウォームホイール、70 下扉用ウォームホイール、72 上扉用ウォームギヤ、74 下扉用ウォームギヤ、76 ウォーム軸、78,80 軸受け、82 テーブル、84 操作パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの荷物出し入れ口を開閉可能に覆う扉であって、この扉の下端の辺が前記荷物出し入れ口の下端の辺に取り付けられ、前記荷物出し入れ口の下端の辺を回転中心軸として前記かごの外側方向に回転することで開く下扉を備えることを特徴とする小荷物用昇降機のかご扉装置。
【請求項2】
請求項1に記載のかご扉装置において、さらに、
前記荷物出し入れ口を開閉可能に覆う扉であって、この扉の上端の辺が前記荷物出し入れ口の上端の辺に取り付けられ、前記荷物出し入れ口の上端の辺を回転中心軸として前記かごの外側方向に回転することで開く上扉と、
前記上扉と前記下扉とを連動して開閉させる扉開閉機構と、
を備えることを特徴とする小荷物用昇降機のかご扉装置。
【請求項3】
請求項2に記載のかご扉装置において、
前記扉開閉機構は、
前記上扉に接続され、前記上扉の回転に従って回転する上部ウォームホイールと、
前記上部ウォームホイールと噛み合う上部ウォームギヤと、
前記下扉に接続され、前記下扉の回転に従って回転する下部ウォームホイールと、
前記下部ウォームホイールと噛み合う下部ウォームギヤと、
前記上部ウォームギヤと前記下部ウォームギヤとを両端に固定したウォーム軸と、
を備えることを特徴とする小荷物用昇降機のかご扉装置。
【請求項4】
昇降路内を昇降するよう設けられ、荷物出し入れ口を有するかごと、
請求項1から3のいずれか1項に記載のかご扉装置と、
を備えることを特徴とする小荷物用昇降機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−44725(P2008−44725A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222154(P2006−222154)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】