少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法およびスパッタソース
静的な磁界(HS)を用いてスパッタリングが行なわれる。再堆積に晒されるスパッタリング表面(3)の腐食されない領域を、前記静的な磁界(HS)に対して変調磁界(Hm)を重畳させることにより、静的な磁界に関与する磁極のうちの1つの近くで静的な磁界(HS)を変調することによって最小化または取除かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般的に、少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法に関し、この方法はスパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの少なくとも1つの基板の磁界向上スパッタコーティングを含む。
【0002】
この発明はさらに、スパッタリングを向上させるよう、スパッタリング表面と磁界生成部材とを有する少なくとも1つの目標を含むスパッタリングソースに関する。
【背景技術】
【0003】
真空堆積処理により基板をコーティングする技術では、スパッタリングは長くから公知である。これによって、真空チャンバの中でアノードと目標のカソードとの間に電界が印加され、処理ガス、通常はたとえばアルゴンのような希ガス、が真空チャンバ内に注入される。単純に言えば、処理ガスは、上述した電界により目標のスパッタリング表面に向かって加速される正の希ガスイオンを形成するよう衝突によりイオン化され、そこから、目標材料が真空雰囲気内にスパッタリングされ、コーティングされることになる1つ以上の基板の上に堆積される。処理ガスを反応性ガスと置換または処理ガスに反応性ガスを加えることにより、このような反応性ガスはスパッタリング表面の近くのプラズマにおいて活性化され、反応性ガスとスパッタリングされた目標材料との反応生産物を用いて基板においてコーティングをする。
【0004】
このガスイオン化処理により自由になる電子は、進行中のイオン化に実質的に貢献する。
【0005】
このようなスパッタリング処理は、目標のカソードに印加される電界に対して垂直な磁界成分を用いて、目標のスパッタリング表面の近くに磁界を印加することにより向上され得る。このような磁界印加の一般的な効果には、特に軽量電子の付加的な加速があり、これによりガス分子のイオン化率が増加し、したがって印加された磁界の領域でプラズマ密度が増加する。
【0006】
磁界向上スパッタリングの効果は上述した磁界を成形することによりさらに向上し、これにより、スパッタリング表面に垂直な面で考えると、スパッタリング表面の上で弧を描く(arc)磁力線のパターンが得られるとともに、さらに上述した面に垂直な方向で考えると、それぞれの技術ではしばしば磁力線の閉ループトンネルと述べられるスパッタリング表面に沿った閉ループが形成される。この技術は一般的にはマグネトロンスパッタリングとして公知である。磁力線の閉ループトンネルの効果は、このような磁界と電界との相互作用により、電子がトンネルループに沿ってかつトンネルループ内で加速され、そこでプラズマ密度が非常に増加することである。これにより、ループ領域でスパッタリング率が非常に増加する。電界と協働する磁力線のトンネルループの効果のため、このトンネル領域はしばしば「電子トラップ」と呼ばれる。目標に対する効果は、トンネルループに覆われる領域でのスパッタ率の増加である。スパッタリング表面で結果得られるループ形状のスパッタリングプロファイルは、しばしば「レーストラック」と呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が取り組む一般的な問題は、磁界向上スパッタリングが行なわれる場合は、目標のスパッタリング表面において、他の領域よりもスパッタ腐食される領域があるという
問題である。明らかなことに、ある目標が他の領域よりも局所的にスパッタ腐食される場合は、目標の寿命は腐食が増加した領域で目標が費やされた時間によって決定される。したがって、目標に沿った不均一なスパッタ腐食分布によって、スパッタコーティングのために所与の目標から利用され得る材料の割合についての効率性が大きく決定される。さらに、局所的に顕著なスパッタ腐食により、基板に沿った、スパッタリングされる材料の堆積率の均一性が損なわれる。
【0008】
磁界向上スパッタリングの上述した影響を改良する多くの異なる方策が公知である。一つには、静的なトンネル形状の磁界の調整をして、スパッタリング表面に平行、したがって電界には垂直であり、かつその表面の近くにある磁力線の成分を増加させることが含まれる。
【0009】
その他の方策は動的であり、磁界をスパッタリング表面に沿って移動させ、これによりその時間にわたって目標のスパッタ腐食を一様にする。
【0010】
JP148642、図11からは、たとえば目標に沿って第1の静的細長磁極配列を設けることが公知である。このような静的細長磁極配列に平行であるとともにそこから離れている軸について回転する細長いドラムで実現される動的細長磁極配列が、静的細長配列から離れるとともにそれに沿って、スパッタリング表面の下に設けられる。ドラムの磁極と静的配列の磁極との間にアーク磁界(arc magentic field)が生成される。目標のスパッタリング表面から見ると、上述したドラムの上に磁極が螺旋パターンで配されるという事実により、これらの磁極は静的細長磁極配列に沿って線形に動かされる。したがって、スパッタリング処理を向上させる磁界は、目標のスパッタリング表面の上で、静的細長磁極配列から線形に移動される磁極の動的細長配列へ、またはその逆に弧を描く。
【0011】
このような方策にはいくつかの不都合がある。そのうちの1つは、得られる磁界は動的配列上の磁石の力に実質的に支配されるということである。第2には、得られる磁界は実際のところ、磁極の動的配列と静的細長磁極配列との間の非常に限られた中心領域に沿ったところでだけスパッタリング表面に平行であるということである。
【0012】
この発明の目的は異なる方策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これは、この発明に従って、少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法により達成される。この方法は、スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を有する目標構成からの少なくとも1つの基板の磁界向上スパッタコーティングを含む。これにより、第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列によりスパッタ表面の上に時変の磁界が生成され、第1および第2の静的細長配列は互いに間隔を置くとともに、一方が他方に沿う。上述した静的細長配列の少なくとも一方がスパッタリング表面の下に位置する。これら2つの磁極配列は、スパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えるとスパッタリング表面の上で弧を描く磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成する。さらに、上述した磁力線のパターンは、上述した面に垂直な方向で考えるとすなわちトンネルのようである。第1および第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方のすぐ近くに、かつ上述した一方の配列の長さ方向の延長部の少なくとも主な部分に沿って、静的な磁界に対して変調磁界が重畳される。
【0014】
定義
・目標のスパッタリング表面に言及し、このような表面を他の幾何学的な実体に対する幾何学的な実体として用いる場合、目標搭載配列またはおよび特にスパッタ腐食プロファイルによってもたらされるような実際のスパッタリング表面のいかなる不安定さも考慮せ
ず、スパッタリング表面は幾何学的な面またはおそらく湾曲した幾何学的な表面として理解される。
【0015】
・静的細長磁極配列に対して「近い」と言う場合は、このような「近い」という言葉は、他の静的細長磁極配列よりも上述した配列に対して実質的により近い位置を規定する言葉であると理解される。
【0016】
一方では、磁力線のトンネル形状のパターンを有する静的な磁界が静的である細長磁極配列を用いて生成されるという事実により、磁界の全体の強度は、静的な磁極、したがってそれぞれの磁石配列によって支配される。静的な磁界は作用点の磁界として作用する。他方では、スパッタリング表面に平行な磁力線を最適化する措置を静的に活用するというオプションが開かれている。
【0017】
静的細長配列の少なくとも一方の近くで動的な変調磁界を作用点の磁界に付加的に重畳することにより、スパッタリング表面に平行な磁力線成分の効果の範囲の増加が上述した一方の静的配列の近くで達成される。これにより、トンネル形状のパターンの磁界の全体の強度を支配する磁極を駆動部によって動的に移動させる必要はなくなる。
【0018】
この発明に従った方法の一実施例では、上述した変調は、時間および場所に依存して、少なくとも一方の静的細長配列に沿ってに行われ、これにより一方の配列に沿った波のような変調がなされる。
【0019】
さらなる実施例では、上述した変調は、一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、単一または交互に異なる極性の磁極の動的配列を移動させるステップを含み、移動される配列の単一極性の磁極は移動方向に相互に間隔を置く。
【0020】
さらなる実施例では、上述した変調は、少なくとも一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、強磁性分路部材の配列を移動させるステップを含み、分路部材は移動の方向に相互に間隔を置く。両方の極性の磁極および強磁性分路部材は、移動される1つおよび同じ配列において組み合わされてもよい。
【0021】
マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングに対して特に好適に適用されるさらなる実施例では、この方法は第3の静的細長磁極配列を設けるステップをさらに含み、第2の静的磁極配列は第1および第3の静的細長磁極配列の間に、かつスパッタリング表面の下に配置される。上述した変調は、第2の静的細長磁極配列の近くで、かつそれに沿って、すなわち他の2つの静的細長磁極配列の間に設けられる配列で行なわれる。
【0022】
一実施例では、変調磁界は、それが重畳される静的な磁界よりも強くなるよう選択される。
【0023】
別の実施例では、重畳される変調磁界は、それが重畳される静的な磁界よりも弱くなるよう選択される。
【0024】
なお、一方の静的細長磁極配列に沿って、変調磁界は、延長部のいくつかのセグメントでは、自身が重畳される静的な磁界よりも強くてもよく、他のセグメントでは弱くてもよい。
【0025】
この発明に従った方法のさらなる実施例では、上述した変調は、ある軸について回転可能であり、かつ上述した一方の静的細長配列の近くに位置するドラムを設けることを含む
。このドラムは強磁性部材および磁極の少なくとも一方のパターンを有する。
【0026】
ドラムを回転することにより、強磁性部材および/または磁極は一方の静的細長配列の磁極に向かうようにおよび磁極から離れるように、したがって静的配列の長さ方向の延長部に対して垂直に動かされる。
【0027】
さらなる実施例では、少なくとも2つの目標が一方が他方の傍にあるよう配置され、一方の静的細長磁極配列、すなわち変調が行われる配列、はこれら少なくとも2つの目標の間に実質的に配置される。これにより、上述した変調は、両方の目標の上で静的な磁界に影響を与える。
【0028】
さらに、さらなる実施例では、この発明に従った方法は、第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、静的な磁界を平坦化するステップを含む。そのために、双極子の軸は、目標のスパッタリング表面に実質的に平行であるとともにその下にある。
【0029】
さらに、第1、第2、および第3の静的細長磁極配列を有する実施例から派生したさらなる実施例では、第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配されるとともに、第3および第2の静的細長磁極配列の間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、静的な磁界が第3および第2の静的細長磁極配列の間で平坦化される。そのために、双極子の軸はスパッタリング表面に対して実質的に平行であるとともにその下にある。
【0030】
この発明はさらに、
スパッタ表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標と、
目標に沿った第1の静的細長磁極配列と、
第1の静的細長磁極配列と相互に間隔を置くとともにそれに沿って配置される第2の静的細長磁極配列とを含むスパッタリングソースに関する。
【0031】
第1および第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方はスパッタリング表面の下に配置される。第1および第2の静的細長配列は、上述したスパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えるとスパッタリング表面の上で弧を描く磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成する。さらに、このパターンは上述した面に対して垂直な方向で考えると、つまりトンネルのようである。
【0032】
このスパッタリングソースは、第1および第2の静的細長磁極配列の一方の近くに駆動により移動可能である、少なくとも一方の相隔たる強磁性部材および磁極の動的配列をさらに含む。
【0033】
そのために、相隔たる強磁性部材および/または磁極のさらなる動的配列が、第1および第2の静的細長磁極配列の他方の近くに、かつそれに沿って駆動により移動可能であるよう設けられてもよい。
【0034】
この発明に従った製造方法を振り返ると、変調磁界を静的な磁界に重畳することは、第1および第2の静的細長磁極配列の他方の近くで付加的に行われてもよいと言うことは明らかである。しかしながら、考慮される1つの変調磁界でも、上述した第1および第2の静的細長磁極配列の一方に実質的に沿って静的な磁界に影響を与える。
【0035】
この発明に従ったスパッタリングソースの実施例では、上述した動的配列は、第1および第2の静的細長磁極配列のうちの一方の近くであって、かつこの上述した一方の配列に
対して垂直に、および/またはそれに沿って駆動により移動可能である。これにより、静的な磁界の変調は、上述した一方の静的細長磁極配列に沿って、波のような態様で、時間および場所に依存して行われてもよい。
【0036】
この発明に従ったスパッタリングソースの一実施例では、このソースは、第3の静的細長磁極配列を含み、第2の静的細長配列は第1および第3の静的細長配列の間であるとともに、スパッタリング表面の下に配置される。動的配列が近くにあるこの一方の静的細長磁極配列は、第2の静的磁極配列である。
【0037】
この発明に従ったソースの一実施例では、静的な磁界は、動的配列が関連付けられる一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、動的配列の磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも強い。
【0038】
ソースのさらなる実施例では、静的な磁界は、一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、動的配列の磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも弱い。
【0039】
これにより、これら上述した実施例は、後者が、動的配列で生成されるそれぞれ関連付けられる磁界よりも、静的な磁界のある部分に沿っては強く、別の部分に沿っては弱くなるように組み合わされてもよい。
【0040】
この発明に従ったソースの一実施例では、動的配列は、ある軸について駆動回転可能であるとともに強磁性部材および磁極のうちの上述した少なくとも一方のパターンを含むドラムを含む。
【0041】
さらなる実施例では、この上述したパターンはドラムの表面の周りの螺旋パターンである。
【0042】
さらなる実施例では、この発明に従ったソースは、一方が他方の傍にあるよう配置される少なくとも2つの目標を含み、上述したように動的配列に関連付けられる一方の静的細長磁極配列はこれら少なくとも2つの目標の間に実質的に配置される。
【0043】
この発明に従ったソースのさらなる実施例では、少なくとも第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に磁気双極子の静的細長配列が設けられ、双極子の軸は、スパッタリング表面と実質的に平行に配置されるとともに、スパッタリング表面の近くに、かつその下に配置される。
【0044】
この発明のさらなる局面の下では、少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法が提案され、この方法は、スパッタ表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの少なくとも1つの基板を磁界向上スパッタコーティングするステップを含む。これにより、第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列によりスパッタ目標の表面の上に時変の磁界が生成される。第1および第2の静的細長配列は相互に間隔を置くとともに、一方が他方に沿うよう配置される。これら上述した配列の少なくとも一方は、スパッタリング表面の下に位置する。第1および第2の静的細長配列は、スパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えるとスパッタリング表面の上で弧を描く磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成する。さらに、これら磁力線は、上述した面に垂直な方向で考えるとトンネルのようにパターン化される。上述した静的な磁界は制御可能に不均衡にされ、これにより時変の磁界が得られる。
【0045】
この発明のさらなる局面の下では、プラズマ密度を変調する方法が提案され、この方法
は、磁極の螺旋パターンを有するとともに自身の軸について回転するドラムにより独占的にプラズマにおいて磁界を生成するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
ここで、例およびそれぞれの図面を用いて、この発明をさらに説明する。
図1には、この発明に従った一般的な方策を説明するために、この発明に従ったスパッタリングソースの部分が概略的に示される。点線で示される、スパッタリング表面3を有する目標1が設けられる。第1の磁極配列5が一方向yに延在し、双極子DPの磁極を与える。これらの磁極は、具体的に選択される交互に異なる極性のものであってもよいが、通常は、配列5の少なくともある範囲に沿って、たとえばSで示されるように同じ極性のものである。配列5は目標1に対して静的に搭載される。
【0047】
方向yに同様に延在し、配列5から間隔を空ける双極子DPの第2の磁極配列7が設けられる。配列7によって与えられる磁極も異なる極性のものであってもよいが、ここでもまた、Nで示されるように、通常は少なくとも配列7の延長部の一部に沿って同様のものである。これら2つの静的細長磁極配列5、7のうちの少なくとも一方は目標1のスパッタリング表面3の下に搭載される。これら2つの静的細長配列5および7ならびに実際に関連する双極子DPによって、静的な磁界HSが生成される。これらの磁力線は、スパッタリング表面3に垂直である面P1において、スパッタリング表面3上で、これら2つの配列5および7の間で弧を描いている。図1の図によると、これらの面P1は方向yに対して垂直である。これら磁力線は一緒に、y方向、すなわち面P1に垂直な方向で考えると、スパッタリング表面3の上に弧を描くトンネルを形成する。
【0048】
図2には、図1の配列5でのような極性Sの磁極に当たっている静的な磁界HSの部分が概略的に示される。この発明に従えば、図2で概略的かつ拡大されて示されるように、静的な磁界Hsは、スパッタリング表面3に平行な磁界成分Hsxと、スパッタリング表面3に垂直な成分HSzとを有する。この発明に従えば、静的細長磁極配列の近くに、時変の磁界成分Hmx(t)を有する変調磁界Hmが印加される。スパッタリング表面に平行な静的な磁界成分Hsxと変調磁界Hmの時変成分Hmxとの重畳により、得られるスパッタリング表面3に平行な磁界成分も時変になる。
【0049】
図3には、時間軸t上に、磁界の作用点の値として静的な磁界HSの成分HSxと、重畳の結果、磁界H(t)になる磁界の変調成分Hmx(t)が示される。
【0050】
したがって、目標1のスパッタリング表面3の上で一方の配列7から第2の配列5に弧を描く静的な磁界HSは、図1によれば、1つの静的細長磁極配列5の近くであるとともにそれに沿って変調時変磁界Hmが重畳される作用点の磁界について規定していると言い得る。点線で図1に示されるように、静的な磁界HSはさらに、第2の静的細長磁極配列7の近くにあるとともにそれに沿った、たとえば図3でも点線で示されるような位相が反対であるさらなる重畳される変調磁界によって変調されてもよい。
【0051】
図4には、変調磁界Hmによって静的な磁界HSが近くで変調される一方の静的細長磁極配列5が拡大図で示される。この実施例では、磁極S1・・Snの近くであるととも方向yに沿った変調は、波のように伝搬する配列5の延長部に沿った変調パターンHmx(t,y)が実現されるように位相合わせについて関連付けられる。
【0052】
図5には、図1に従った一方の静的細長磁極配列5が拡大図で示され、これについては他の図面と同様に、二重矢印は各々の配列での磁極となる磁気双極子を示す。図1〜図3に従った変調磁界Mmは、矢印
【0053】
【数1】
【0054】
に従って、1つの静的配列の近くにかつそれに沿って磁極の配列を線形に移動させることによって実現される。図5にさらに示されるように、この実施例における動的配列9は、同様の極性の静的配列5の磁極と相互作用する磁極を与える。図5に示されるように1つより多い磁極が配列9に沿って設けられる場合は、動的配列9の延長部に沿った同様の磁極は相互に間隔を空ける。静的細長配列5の近くに、かつそれに沿って動的配列9を駆動により動かすことによって、静的な磁界(図5に図示せず)は静的細長配列5の磁極の各々で変調される。実践的には、配列5および9の同様の極性の磁極の2つが整列すると、図2でのような静的な磁界の磁界成分HSxは静的細長配列5の磁極の近くで増加し、したがってスパッタリング表面のそれぞれの領域の近くで増加すると言い得る。
【0055】
図5の図と同様の図で、図6は磁極9aの動的配列と協働する1つの静的細長磁極配列5の構成を示し、動的配列9aの磁極は静的細長配列5の磁極と反対の極性である。さらに実践的には、静的および動的配列5、9aの2つの磁極がそれぞれ整列しているかまたは整列すると、これによりスパッタリング表面の近くで、かつその上で、図2でのようなスパッタリング表面に平行な磁界成分Hmxが弱くなる。
【0056】
図7は、動的磁極配列が交互に異なる極性の後続の磁極の少なくとも1対を有するということを除いて、図5および図6の図に類似する図を示す。動的細長配列9bを静的細長磁極配列5の近くにかつそれに沿って動かすことにより、スパッタリング表面に平行な磁界成分は、静的細長配列5の磁極の近くのスパッタリング表面の後続の領域で位相が反対の状態で交互に増加および低減される。
【0057】
図5および図6に従った実施例を念頭に置くと、磁極のいくつかまたはすべておよび図5において11で示されるそれぞれの磁気双極子は、強磁性部材と置換えられてもよい。これにより静的な磁界HSの一部が分路され、これにより、変調する態様でこのような強磁性分路部材が静的細長配列5のそれぞれの磁極の近くに瞬間的にあると、静的な磁界がそこで不均衡になる。さらに、このような強磁性分路部材は図5、図6または図7でのような磁極の間に適用されてもよい。このような強磁性分路部材により、静的な磁界HSは変調される。
【0058】
図8は、図5〜図7の図に似た図で、図1でのような静的な磁界HSの変調を実現するためのさらなる実施例を示す。1つの静的細長配列5に対して平行に方向付けされた軸Aについて駆動回転するドラムが、静的細長磁極配列5の近くに、かつそれに沿って設けられる。ドラム13では、静的細長配列5に沿って磁極とそれぞれ整列する磁気双極子部材15が設けられる。図8の実施例では、部材15の双極子は方向および極性においてすべて整列する。ドラム13を回転することにより、静的配列5の磁極の近くでスパッタリング表面の上に当たる静的な磁界HSは、ここでは実際にx軸に沿って配列5に向かうようにおよび配列5から離れるように動くとともに回転ドラム13に沿った双極子部材15の交互に現れる有効な極性によって、すべて同様にかつ同時に変調される。
【0059】
図9は、図8の実施例と似た実施例を同様の図で示す。図8の実施例と図9の実施例との違いは、図9の実施例のドラム13aは、ドラム13aに沿って配されるとともに交互に異なる極性の磁極を有する磁極部材15を有することである。この実施例によって、図7の実施例により達成された変調と実質的に同じ変調が実現される。しかしながら、構造上の観点から言えば、図7でのような線形に動かされる配列を用いての実現と比較して、
図9の実施例でのような駆動回転可能なドラムを用いての実現のほうが非常に有利である。
【0060】
図5〜図7に従った実施例を念頭に置くと、それぞれの動的配列9、9aおよび9bの長さ方向の延長部はそれぞれ、けっして静的細長配列5のこのような長さ方向の延長部と等しい必要はないということは強調されなければならない。したがって、図5および図6の実施例を念頭に置くと、動的細長配列は、1つの磁気的極性のついて規定する1つの部材のみを含むよう縮小されてもよい。図7の実施例では、上述の長さは、反対の極性のただ1対の磁極片を含むよう縮小されてもよい。
【0061】
図10には、図8および図9に示されるような実施例に似たさらなる実施例が示される。図10に従った実施例と図8および図9の実施例との違いは、双極子部材15が駆動回転可能なドラム13bに沿って配され、ドラム13bの延長部に沿って磁極のねじ山のような螺旋パターンを形成することである。これにより、静的な磁界HSの変調は、1つの双極子部材15から次のものへ、規定された位相合わせで時間とともに行なわれる。これにより、より一般的な図4の文脈で言及したように、変調が波のように伝搬されることになる。明らかなことであるが、軸Aに対する双極子部材の相対的な角位置と実際に一致する、続く双極子部材15の間のそれぞれの相互の位相合わせは自由に選択されてもよい。これにより、膨大な数の異なる変調パターンが用いられることになる。
【0062】
ここまで、図1、図2、または図3にあるような静的な磁界HSを変調するための異なる実施例を具体的に述べてきた。
【0063】
既に述べたように、この発明に従った原理には、印加される変調磁界Hmから独立して、形状および強度について静的な磁界が調整され得るという利点がある。図11は、図1の図と類似した図で、この発明のある実施例を示す。具体的には、この実施例では静的な磁界HSがスパッタリング表面に平行である最適な磁界成分HSxを有するよう調整される。静的細長磁極配列7aは、一例として、図1の配列7と比較すると反対方向に極性を付与される。これは純粋にただの例であり、上述した極性の付与は図1に示されるのと全く同じであり得る。ここでも、スパッタリング表面を有する(図示されない)目標から間隔を置いた第1の静的細長磁極配列5aが設けられる。配列5および7aは、弧を描く静的な磁界HSを生成するために、図1〜図10のほかのすべての実施例においても実際に設けられる強磁性橋渡部材17によって橋渡しされる。これら2つの静的細長配列5aと7aとの間には、静的細長双極子配列19が存在する。双極子の方向は、配列19、5a、17、および7aを有する磁気回路に沿って、双極子の極性の反転が確立されないように選択される。
【0064】
有利なことに、双極子配列19は、それぞれの配列7aおよび5aの表面を形成する磁極よりも、スパッタリング表面(図示せず)から少しだけさらに間隔を空けている。この配列により、概略的に図示されるように、図1の文脈で記載されたようにそれぞれのアークおよびトンネルをそれでも形成する磁力線の実質的に平坦化されたパターンが達成される。これにより、図1でのようなスパッタリング表面3に平行な磁界成分HSxは、方向xで考えるとともに図1の実施例と比較すると、実質的に均一化される。図1〜図10を用いて記載されてきたすべての変調実施例は、図11に示される変調ユニットMOD21を実現するよう適用され得る。
【0065】
ここまで示してきたすべての実施例は、この発明に従って変調される静的な磁界HSの1つの延在トンネルを提供する。この発明に従ったこの方策は、しかしながら、マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングに非常に好適に適用される。該マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングでは、静的な磁界はスパッタリング表面の上に閉トンネルルー
プを形成し、特に上述したトンネルループの内側のスパッタリング表面の中心領域はあまり腐食されず、これにより目標の利用は最適にはならず、スパッタリングコーティングされることになる基板の表面に沿ったスパッタ堆積分布が最適に均一化されない。
【0066】
図12は、マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングのためのこの発明の方法に従って動作するとともにこの発明に従ったスパッタリングソースの実施例を示す。図12に従った実施例は、図11に示される実施例を鏡面対称にして二重にするということから実際に得られる。最も外側で左側の静的細長磁極配列7a1は、静的細長双極子配列191と強磁性橋渡部分17とを介して、より中心に配される静的細長磁極配列5a1と協働する。これにより、図1でのようなy方向で考えると、静的な磁界HSの左側脚部HS1が生成される。最も外側で右側の静的細長磁極配列7arは、静的細長双極子配列19rおよびより中心に位置する静的細長磁極配列5arと協働して、HSrに従って磁界トンネルの右側脚部を生成する。より中心に位置する静的配列5a1および5arの対の間には、一般的に言えば、変調ユニットが存在する。
【0067】
当業者には完全に明らかであるが、このような変調ユニットは、図5〜図10を用いて具体的に記載されたように実現され得る。図12に示されるように、このような変調ユニット21aはここでは図8〜図10のうちの1つでのようなドラム13、13a、または13bを用いて実現される。
【0068】
図13には、静的な磁界HS1、HSrの変調がない場合に、スパッタリング表面3において得られる腐食プロファイル、特に腐食されないスパッタリング表面の領域Fが存在する図12に従った実施例が示される。
【0069】
図14(a)〜図14(d)は、図8〜図10のドラム13、13a、または13bによって実現される変調ユニットを有する図13の実施例を示す。これについて、具体的な図14a〜図14dは、図13でのような静的な磁界HSと、駆動回転するドラム13、13a、13bによって生成される変調磁界Hmとの重畳の結果得られる磁界の時間変化を示す。示されるように、磁気双極子を有するドラムは、図(a)から図(d)まで、時計回りの方向にそれぞれ90°回転される。さらに、陰影が付与された態様でドラムの位置の各々での腐食プロファイルが示されるとともに、スパッタリング表面上の腐食のない領域Fの相対的なシフトとが示される。明確さのため、図14にはほとんど参照番号を差し込まない。1つ以上の基板のスパッタリングおよびスパッタコーティングの間、ドラムは一定または可変角速度ωで駆動回転される。
【0070】
図8、図9、もしくは図10に従った実施例のうちの1つに従った回転ドラムに沿って配される磁気双極子部材の代わりに、またはそれらに加えて、強磁性材料部材がドラムに設けられてもよい。ドラムが良好な解決策として図10の実施例に従って実現される場合は、一実施例では図10でのようなドラム13bの延長部に沿ったねじ山のような螺旋パターンの旋回数は整数である。これにより、ドラム13bに沿って配される磁石と、静的細長磁極配列5a1および5arとの間のトルク力が最小化される。
【0071】
それぞれの実施例において、図12〜図14から分かり得るように、上述したトンネルの脚部の両端の上で磁界のトンネルのようなパターンによって形成される電子トラップをそれぞれ閉じることにより、マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングが実現される。ドラム13bの回転速度は、同時に1つ以上の基板をスパッタコーティングするための処理時間に従って調節され得る。回転速度ωは、処理時間が回転期間を下回る場合にのみ危機的になる。スパッタ堆積コーティングの良好な均一性を達成するよう、処理時間ごとにドラム13bを少なくとも1回転または数回転させることが提案される。図14a〜図14dから分かり得るように、ドラム13bのどのような回転角度でも、スパッタリング
表面3上における磁力線および瞬間のスパッタリング腐食プロファイルは異なる。回転する双極子が静的磁極配列の双極子と平行ならば、左側および右側の腐食プロファイルは対称となるが、図13でのような変調がないスパッタリングと比べるとそれでも異なる。
【0072】
回転する双極子の任意の他の角度では、2つの静的細長磁極配列のすぐ近くの磁界パターンと腐食プロファイルとが、より小さくまたはより大きく左および右へ横方向にシフトする。スパッタ材料が再堆積するスパッタされない領域Fが実質的に消える。結果得られる全体の腐食プロファイルは図15に示される。
【0073】
図16には、図10でのようなドラム13bの実施例がより詳細に概略的に示される。磁力線のトンネルがドラムでのそれぞれの磁極の間に形成される。このようなドラム13bはプラズマ放電のプラズマ密度を変調するのに用いられ得る。ドラム13bを回転することにより、磁極のパターンは軸Aの方向に線形に移動する。
【0074】
図17には、付加的磁界なしに、プラズマの下に図16でのようなドラムを適用することにより得られる増加したプラズマ密度の領域が図示される。
【0075】
磁極のねじ山のような螺旋パターンを有するドラム13bを利用する図12の実施例では、図18に示すように、一方では、マグネトロン電子トラップが静的細長磁極配列およびこのような磁極の終端配列23とによって生成される。付加的には、ドラム13bによって実現される変調磁界と、図12に従った近傍の静的細長磁極配列5a1および5arとの相互作用により、図18においてTで示される中央の電子トラップが生成され、回転するドラム13bの軸Aの方向に移動する。
【0076】
これについて、図18に従った実施例では、図12でのような静的な磁界HSは、たとえば10ガウスから200ガウスのように比較的弱く、ドラム13bによって生成される変調磁界は100ガウスから1000ガウスである。
【0077】
しかしながら、静的な磁界は磁界の移動する閉トンネルを変調磁界とともに形成するには十分強く、これにより図18でのような電子トラップTが得られる。
【0078】
変調磁界Hmに対する静的な磁界HSの相対的強度が、静的な磁界が変調磁界と比較して相対的に強くなるように変更されると、図18でのような電子トラップの得られるパターンは図19に示されるパターンに切換わる。これにより、変調磁界は200ガウスの範囲において選択され、静的な磁界は約250ガウスの範囲で選択される。図18に示される静的細長磁極配列は図19に示されていない。ドラム13bが回転すると、連続する蛇のような移動電子トラップが形成される。
【0079】
図20には、図14の図に従った図に基づき、目標1ごとに2つのロッドを有する2つの実施例a)およびb)が示される。図20(a)に従った実施例では、それぞれのドラム13、13a、13bによる変調は、近隣の目標の近くの静的細長磁極配列7a1と7arとの間、したがって実際にはこれら目標1の間であって、付加的にかつ図12によると、それぞれの静的細長磁極配列5a1と5arとの間で行われ、後者は図20には図示されない。図20(b)の実施例では、図12を念頭に置くと、複数の目標1の各々の外側の静的細長磁極配列7a1、7arの近くで磁界変調が行なわれる。
【0080】
それぞれの磁気双極子によって実現される変調磁界を用いた静的な磁界HSの変調に類似して、この変調を提供するのに強磁性材料を用いることが可能である。このような材料は自身の磁界を生成することはないが、変調磁界を重畳することでなされるのと同様な方法で、存在する磁界を修正し得る。
【0081】
図21の実施例に従えば、静的な磁界は図12の文脈で説明したように生成される。静的細長磁極配列5a1および5arの間には、駆動回転可能なドラム13cが設けられる。ドラム13cに沿って、図8〜図10のそれぞれのドラムでの双極子と同様に配され、強磁性材料の半径方向に延在するバー25が設けられる。ドラム13cは単一極性の磁極29が集められる強磁性磁極片27で回転する。したがって、強磁性のバー25は、このようなバーが磁極片27の近くにあると、磁極(S)を提供する。バー25の角度位置に依存して、左および右側脚部での静的な磁極の変調は図14の文脈で説明した変調と非常に似た形で実現される。
【0082】
特に、ここまで述べてきたような駆動されるドラムを用いて静的な磁界HSの変調を行なう場合には、このようなドラムに沿って、異なる変調が行なわれるセグメントが規定されてもよい。したがって、ねじ山のような螺旋パターンを用いる場合には、ドラムの表面に沿った磁極および/または強磁性部材表面であれ、ドラムに沿った異なるセグメントにおいて、異なるねじ山ピッチが適用され得、異なる回転速度などさえもが適用され得る。図22には、磁極の螺旋パターンが設けられたドラムの5つの例が図示され、これら螺旋パターンはドラムの延長部に沿った所定のセグメントにおいて異なる。
【0083】
たとえば図1〜図9を用いて一般的に説明したこの発明を思い返すとともに理解すると、この発明はさらなる局面の下で異なる観点からも考慮され得るということが分かり得る。図23(a)〜図23(c)を用いてこれについて説明する。図23(a)は、ここまでに述べられたような第1および第2の磁極配列5、7と静的な磁界HSとを概略図で示す。図23(b)によると、静的な磁界HSは、概略的に示されるように補助磁極配列5aを静的細長磁極配列5の近くに適用することにより制御可能に不均衡にされる。図23(c)によると、静的細長磁極配列5の近くに補助配列7aが設けられる。これら補助配列5aおよび7aが静的な磁界HSに与えるそれぞれの極性S、Nの機能として、図23(a)でのような上述した静的な磁界HSが変調により不均衡となり、これにより図23の配列5に従った単一極性の静的細長磁極配列の近くで、トンネル形状を有しかつ弧を描く静的な磁界HSを強くするかまたは弱くする。
【0084】
補助磁極配列の制御Cによって概略的に示されるように、上述した静的細長磁極配列5に対して代替的な磁極を代替的に提供するよう、静的な磁界HSはこの発明に従って1つの静的細長磁極配列5の近くで変調される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の一般的な方策を説明するための、この発明およびこの発明の方法に従ったソースに設けられる磁石配列の概略斜視図である。
【図2】この発明が利用する静的な磁界とその変調とをさらに概略的に示す図である。
【図3】時間軸上で、作用点規定磁界として静的な磁界の変調を示す図である。
【図4】静的な磁界の波のような変調が適用された、この発明に従ったソースおよび方法の一実施例で用いられる磁界配列の一部を示す図である。
【図5】この発明に従った静的な磁界を変調する第1の実施例を有する磁石配列の一部を概略的に示す図である。
【図6】この発明の、静的な磁界の変調を実現する第2の実施例を有する図5の図に類似した図である。
【図7】図5および図6の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従った第3の実施例を示す図である。
【図8】図5〜図7の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従ったさらなる実施例を示すさらなる図である。
【図9】図5〜図7の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従ったさらなる実施例を示すさらなる図である。
【図10】図5〜図7の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従ったさらなる実施例を示すさらなる図である。
【図11】この発明の実施例において用いられる、平坦化された静的な磁界を実現するための実施例を概略斜視図で示す図である。
【図12】この発明の実施例に従った、図11の実施例によりマグネトロンタイプのパターンで生成される静的な磁界の変調を実現することを示す図である。
【図13】変調のない図12の実施例を示す図であって、結果得られる平坦化された静的な磁界を示す図である。
【図14】a)〜d)は、図12に従った実施例から派生して、この発明に従った図13での静的な磁界を変調する際における磁界の発達とスパッタリング表面に沿ったスパッタ腐食プロファイルとを示す図である。
【図15】図14に示される実施例で、目標のスパッタリング表面に沿って得られる腐食プロファイルを示す図である。
【図16】静的な磁界を変調するために、この発明のいくつかの実施例において用いられる得られる磁界とともに、磁極の螺旋パターンを有するドラムを示す図である。
【図17】図16に示されるような、ドラムそれ自体によって引起されるスパッタリング目標上のより高いプラズマ密度の得られる領域を示す図である。
【図18】静的な磁界がドラムの変調磁界と比較して相対的に低い場合に得られる移動電子トラップを有する図16に示されるようなドラムを用いる図12に従った実施例を上面図で示す図である。
【図19】図18の図に似た図で、ドラムの変調磁界と比べて静的な磁界が反対に相対的に強い場合に、図18の実施例で得られる蛇のような移動電子トラップを示す図である。
【図20】図14の図に類似した図で、複数の目標および目標ごとに複数の変調があるこの発明に従った2つの実施例を示す図である。
【図21】図13に従った実施例において実現される、静的な磁界を変調するために強磁性部材を利用するこの発明のさらなる実施例を示す図である。
【図22】長さ方向の延長部に沿って考えると、ドラムの続くセグメントに沿って異なって調節された磁極の螺旋パターンを有する、この発明のいくつかの実施例に適用される変調ドラムの5つの例を示す図である。
【図23】この発明に従って印加される静的な磁界と制御された不均衡化によるその変調とを概略的に示す図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は一般的に、少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法に関し、この方法はスパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの少なくとも1つの基板の磁界向上スパッタコーティングを含む。
【0002】
この発明はさらに、スパッタリングを向上させるよう、スパッタリング表面と磁界生成部材とを有する少なくとも1つの目標を含むスパッタリングソースに関する。
【背景技術】
【0003】
真空堆積処理により基板をコーティングする技術では、スパッタリングは長くから公知である。これによって、真空チャンバの中でアノードと目標のカソードとの間に電界が印加され、処理ガス、通常はたとえばアルゴンのような希ガス、が真空チャンバ内に注入される。単純に言えば、処理ガスは、上述した電界により目標のスパッタリング表面に向かって加速される正の希ガスイオンを形成するよう衝突によりイオン化され、そこから、目標材料が真空雰囲気内にスパッタリングされ、コーティングされることになる1つ以上の基板の上に堆積される。処理ガスを反応性ガスと置換または処理ガスに反応性ガスを加えることにより、このような反応性ガスはスパッタリング表面の近くのプラズマにおいて活性化され、反応性ガスとスパッタリングされた目標材料との反応生産物を用いて基板においてコーティングをする。
【0004】
このガスイオン化処理により自由になる電子は、進行中のイオン化に実質的に貢献する。
【0005】
このようなスパッタリング処理は、目標のカソードに印加される電界に対して垂直な磁界成分を用いて、目標のスパッタリング表面の近くに磁界を印加することにより向上され得る。このような磁界印加の一般的な効果には、特に軽量電子の付加的な加速があり、これによりガス分子のイオン化率が増加し、したがって印加された磁界の領域でプラズマ密度が増加する。
【0006】
磁界向上スパッタリングの効果は上述した磁界を成形することによりさらに向上し、これにより、スパッタリング表面に垂直な面で考えると、スパッタリング表面の上で弧を描く(arc)磁力線のパターンが得られるとともに、さらに上述した面に垂直な方向で考えると、それぞれの技術ではしばしば磁力線の閉ループトンネルと述べられるスパッタリング表面に沿った閉ループが形成される。この技術は一般的にはマグネトロンスパッタリングとして公知である。磁力線の閉ループトンネルの効果は、このような磁界と電界との相互作用により、電子がトンネルループに沿ってかつトンネルループ内で加速され、そこでプラズマ密度が非常に増加することである。これにより、ループ領域でスパッタリング率が非常に増加する。電界と協働する磁力線のトンネルループの効果のため、このトンネル領域はしばしば「電子トラップ」と呼ばれる。目標に対する効果は、トンネルループに覆われる領域でのスパッタ率の増加である。スパッタリング表面で結果得られるループ形状のスパッタリングプロファイルは、しばしば「レーストラック」と呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が取り組む一般的な問題は、磁界向上スパッタリングが行なわれる場合は、目標のスパッタリング表面において、他の領域よりもスパッタ腐食される領域があるという
問題である。明らかなことに、ある目標が他の領域よりも局所的にスパッタ腐食される場合は、目標の寿命は腐食が増加した領域で目標が費やされた時間によって決定される。したがって、目標に沿った不均一なスパッタ腐食分布によって、スパッタコーティングのために所与の目標から利用され得る材料の割合についての効率性が大きく決定される。さらに、局所的に顕著なスパッタ腐食により、基板に沿った、スパッタリングされる材料の堆積率の均一性が損なわれる。
【0008】
磁界向上スパッタリングの上述した影響を改良する多くの異なる方策が公知である。一つには、静的なトンネル形状の磁界の調整をして、スパッタリング表面に平行、したがって電界には垂直であり、かつその表面の近くにある磁力線の成分を増加させることが含まれる。
【0009】
その他の方策は動的であり、磁界をスパッタリング表面に沿って移動させ、これによりその時間にわたって目標のスパッタ腐食を一様にする。
【0010】
JP148642、図11からは、たとえば目標に沿って第1の静的細長磁極配列を設けることが公知である。このような静的細長磁極配列に平行であるとともにそこから離れている軸について回転する細長いドラムで実現される動的細長磁極配列が、静的細長配列から離れるとともにそれに沿って、スパッタリング表面の下に設けられる。ドラムの磁極と静的配列の磁極との間にアーク磁界(arc magentic field)が生成される。目標のスパッタリング表面から見ると、上述したドラムの上に磁極が螺旋パターンで配されるという事実により、これらの磁極は静的細長磁極配列に沿って線形に動かされる。したがって、スパッタリング処理を向上させる磁界は、目標のスパッタリング表面の上で、静的細長磁極配列から線形に移動される磁極の動的細長配列へ、またはその逆に弧を描く。
【0011】
このような方策にはいくつかの不都合がある。そのうちの1つは、得られる磁界は動的配列上の磁石の力に実質的に支配されるということである。第2には、得られる磁界は実際のところ、磁極の動的配列と静的細長磁極配列との間の非常に限られた中心領域に沿ったところでだけスパッタリング表面に平行であるということである。
【0012】
この発明の目的は異なる方策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これは、この発明に従って、少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法により達成される。この方法は、スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を有する目標構成からの少なくとも1つの基板の磁界向上スパッタコーティングを含む。これにより、第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列によりスパッタ表面の上に時変の磁界が生成され、第1および第2の静的細長配列は互いに間隔を置くとともに、一方が他方に沿う。上述した静的細長配列の少なくとも一方がスパッタリング表面の下に位置する。これら2つの磁極配列は、スパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えるとスパッタリング表面の上で弧を描く磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成する。さらに、上述した磁力線のパターンは、上述した面に垂直な方向で考えるとすなわちトンネルのようである。第1および第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方のすぐ近くに、かつ上述した一方の配列の長さ方向の延長部の少なくとも主な部分に沿って、静的な磁界に対して変調磁界が重畳される。
【0014】
定義
・目標のスパッタリング表面に言及し、このような表面を他の幾何学的な実体に対する幾何学的な実体として用いる場合、目標搭載配列またはおよび特にスパッタ腐食プロファイルによってもたらされるような実際のスパッタリング表面のいかなる不安定さも考慮せ
ず、スパッタリング表面は幾何学的な面またはおそらく湾曲した幾何学的な表面として理解される。
【0015】
・静的細長磁極配列に対して「近い」と言う場合は、このような「近い」という言葉は、他の静的細長磁極配列よりも上述した配列に対して実質的により近い位置を規定する言葉であると理解される。
【0016】
一方では、磁力線のトンネル形状のパターンを有する静的な磁界が静的である細長磁極配列を用いて生成されるという事実により、磁界の全体の強度は、静的な磁極、したがってそれぞれの磁石配列によって支配される。静的な磁界は作用点の磁界として作用する。他方では、スパッタリング表面に平行な磁力線を最適化する措置を静的に活用するというオプションが開かれている。
【0017】
静的細長配列の少なくとも一方の近くで動的な変調磁界を作用点の磁界に付加的に重畳することにより、スパッタリング表面に平行な磁力線成分の効果の範囲の増加が上述した一方の静的配列の近くで達成される。これにより、トンネル形状のパターンの磁界の全体の強度を支配する磁極を駆動部によって動的に移動させる必要はなくなる。
【0018】
この発明に従った方法の一実施例では、上述した変調は、時間および場所に依存して、少なくとも一方の静的細長配列に沿ってに行われ、これにより一方の配列に沿った波のような変調がなされる。
【0019】
さらなる実施例では、上述した変調は、一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、単一または交互に異なる極性の磁極の動的配列を移動させるステップを含み、移動される配列の単一極性の磁極は移動方向に相互に間隔を置く。
【0020】
さらなる実施例では、上述した変調は、少なくとも一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、強磁性分路部材の配列を移動させるステップを含み、分路部材は移動の方向に相互に間隔を置く。両方の極性の磁極および強磁性分路部材は、移動される1つおよび同じ配列において組み合わされてもよい。
【0021】
マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングに対して特に好適に適用されるさらなる実施例では、この方法は第3の静的細長磁極配列を設けるステップをさらに含み、第2の静的磁極配列は第1および第3の静的細長磁極配列の間に、かつスパッタリング表面の下に配置される。上述した変調は、第2の静的細長磁極配列の近くで、かつそれに沿って、すなわち他の2つの静的細長磁極配列の間に設けられる配列で行なわれる。
【0022】
一実施例では、変調磁界は、それが重畳される静的な磁界よりも強くなるよう選択される。
【0023】
別の実施例では、重畳される変調磁界は、それが重畳される静的な磁界よりも弱くなるよう選択される。
【0024】
なお、一方の静的細長磁極配列に沿って、変調磁界は、延長部のいくつかのセグメントでは、自身が重畳される静的な磁界よりも強くてもよく、他のセグメントでは弱くてもよい。
【0025】
この発明に従った方法のさらなる実施例では、上述した変調は、ある軸について回転可能であり、かつ上述した一方の静的細長配列の近くに位置するドラムを設けることを含む
。このドラムは強磁性部材および磁極の少なくとも一方のパターンを有する。
【0026】
ドラムを回転することにより、強磁性部材および/または磁極は一方の静的細長配列の磁極に向かうようにおよび磁極から離れるように、したがって静的配列の長さ方向の延長部に対して垂直に動かされる。
【0027】
さらなる実施例では、少なくとも2つの目標が一方が他方の傍にあるよう配置され、一方の静的細長磁極配列、すなわち変調が行われる配列、はこれら少なくとも2つの目標の間に実質的に配置される。これにより、上述した変調は、両方の目標の上で静的な磁界に影響を与える。
【0028】
さらに、さらなる実施例では、この発明に従った方法は、第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、静的な磁界を平坦化するステップを含む。そのために、双極子の軸は、目標のスパッタリング表面に実質的に平行であるとともにその下にある。
【0029】
さらに、第1、第2、および第3の静的細長磁極配列を有する実施例から派生したさらなる実施例では、第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配されるとともに、第3および第2の静的細長磁極配列の間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、静的な磁界が第3および第2の静的細長磁極配列の間で平坦化される。そのために、双極子の軸はスパッタリング表面に対して実質的に平行であるとともにその下にある。
【0030】
この発明はさらに、
スパッタ表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標と、
目標に沿った第1の静的細長磁極配列と、
第1の静的細長磁極配列と相互に間隔を置くとともにそれに沿って配置される第2の静的細長磁極配列とを含むスパッタリングソースに関する。
【0031】
第1および第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方はスパッタリング表面の下に配置される。第1および第2の静的細長配列は、上述したスパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えるとスパッタリング表面の上で弧を描く磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成する。さらに、このパターンは上述した面に対して垂直な方向で考えると、つまりトンネルのようである。
【0032】
このスパッタリングソースは、第1および第2の静的細長磁極配列の一方の近くに駆動により移動可能である、少なくとも一方の相隔たる強磁性部材および磁極の動的配列をさらに含む。
【0033】
そのために、相隔たる強磁性部材および/または磁極のさらなる動的配列が、第1および第2の静的細長磁極配列の他方の近くに、かつそれに沿って駆動により移動可能であるよう設けられてもよい。
【0034】
この発明に従った製造方法を振り返ると、変調磁界を静的な磁界に重畳することは、第1および第2の静的細長磁極配列の他方の近くで付加的に行われてもよいと言うことは明らかである。しかしながら、考慮される1つの変調磁界でも、上述した第1および第2の静的細長磁極配列の一方に実質的に沿って静的な磁界に影響を与える。
【0035】
この発明に従ったスパッタリングソースの実施例では、上述した動的配列は、第1および第2の静的細長磁極配列のうちの一方の近くであって、かつこの上述した一方の配列に
対して垂直に、および/またはそれに沿って駆動により移動可能である。これにより、静的な磁界の変調は、上述した一方の静的細長磁極配列に沿って、波のような態様で、時間および場所に依存して行われてもよい。
【0036】
この発明に従ったスパッタリングソースの一実施例では、このソースは、第3の静的細長磁極配列を含み、第2の静的細長配列は第1および第3の静的細長配列の間であるとともに、スパッタリング表面の下に配置される。動的配列が近くにあるこの一方の静的細長磁極配列は、第2の静的磁極配列である。
【0037】
この発明に従ったソースの一実施例では、静的な磁界は、動的配列が関連付けられる一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、動的配列の磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも強い。
【0038】
ソースのさらなる実施例では、静的な磁界は、一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、動的配列の磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも弱い。
【0039】
これにより、これら上述した実施例は、後者が、動的配列で生成されるそれぞれ関連付けられる磁界よりも、静的な磁界のある部分に沿っては強く、別の部分に沿っては弱くなるように組み合わされてもよい。
【0040】
この発明に従ったソースの一実施例では、動的配列は、ある軸について駆動回転可能であるとともに強磁性部材および磁極のうちの上述した少なくとも一方のパターンを含むドラムを含む。
【0041】
さらなる実施例では、この上述したパターンはドラムの表面の周りの螺旋パターンである。
【0042】
さらなる実施例では、この発明に従ったソースは、一方が他方の傍にあるよう配置される少なくとも2つの目標を含み、上述したように動的配列に関連付けられる一方の静的細長磁極配列はこれら少なくとも2つの目標の間に実質的に配置される。
【0043】
この発明に従ったソースのさらなる実施例では、少なくとも第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に磁気双極子の静的細長配列が設けられ、双極子の軸は、スパッタリング表面と実質的に平行に配置されるとともに、スパッタリング表面の近くに、かつその下に配置される。
【0044】
この発明のさらなる局面の下では、少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法が提案され、この方法は、スパッタ表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの少なくとも1つの基板を磁界向上スパッタコーティングするステップを含む。これにより、第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列によりスパッタ目標の表面の上に時変の磁界が生成される。第1および第2の静的細長配列は相互に間隔を置くとともに、一方が他方に沿うよう配置される。これら上述した配列の少なくとも一方は、スパッタリング表面の下に位置する。第1および第2の静的細長配列は、スパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えるとスパッタリング表面の上で弧を描く磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成する。さらに、これら磁力線は、上述した面に垂直な方向で考えるとトンネルのようにパターン化される。上述した静的な磁界は制御可能に不均衡にされ、これにより時変の磁界が得られる。
【0045】
この発明のさらなる局面の下では、プラズマ密度を変調する方法が提案され、この方法
は、磁極の螺旋パターンを有するとともに自身の軸について回転するドラムにより独占的にプラズマにおいて磁界を生成するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
ここで、例およびそれぞれの図面を用いて、この発明をさらに説明する。
図1には、この発明に従った一般的な方策を説明するために、この発明に従ったスパッタリングソースの部分が概略的に示される。点線で示される、スパッタリング表面3を有する目標1が設けられる。第1の磁極配列5が一方向yに延在し、双極子DPの磁極を与える。これらの磁極は、具体的に選択される交互に異なる極性のものであってもよいが、通常は、配列5の少なくともある範囲に沿って、たとえばSで示されるように同じ極性のものである。配列5は目標1に対して静的に搭載される。
【0047】
方向yに同様に延在し、配列5から間隔を空ける双極子DPの第2の磁極配列7が設けられる。配列7によって与えられる磁極も異なる極性のものであってもよいが、ここでもまた、Nで示されるように、通常は少なくとも配列7の延長部の一部に沿って同様のものである。これら2つの静的細長磁極配列5、7のうちの少なくとも一方は目標1のスパッタリング表面3の下に搭載される。これら2つの静的細長配列5および7ならびに実際に関連する双極子DPによって、静的な磁界HSが生成される。これらの磁力線は、スパッタリング表面3に垂直である面P1において、スパッタリング表面3上で、これら2つの配列5および7の間で弧を描いている。図1の図によると、これらの面P1は方向yに対して垂直である。これら磁力線は一緒に、y方向、すなわち面P1に垂直な方向で考えると、スパッタリング表面3の上に弧を描くトンネルを形成する。
【0048】
図2には、図1の配列5でのような極性Sの磁極に当たっている静的な磁界HSの部分が概略的に示される。この発明に従えば、図2で概略的かつ拡大されて示されるように、静的な磁界Hsは、スパッタリング表面3に平行な磁界成分Hsxと、スパッタリング表面3に垂直な成分HSzとを有する。この発明に従えば、静的細長磁極配列の近くに、時変の磁界成分Hmx(t)を有する変調磁界Hmが印加される。スパッタリング表面に平行な静的な磁界成分Hsxと変調磁界Hmの時変成分Hmxとの重畳により、得られるスパッタリング表面3に平行な磁界成分も時変になる。
【0049】
図3には、時間軸t上に、磁界の作用点の値として静的な磁界HSの成分HSxと、重畳の結果、磁界H(t)になる磁界の変調成分Hmx(t)が示される。
【0050】
したがって、目標1のスパッタリング表面3の上で一方の配列7から第2の配列5に弧を描く静的な磁界HSは、図1によれば、1つの静的細長磁極配列5の近くであるとともにそれに沿って変調時変磁界Hmが重畳される作用点の磁界について規定していると言い得る。点線で図1に示されるように、静的な磁界HSはさらに、第2の静的細長磁極配列7の近くにあるとともにそれに沿った、たとえば図3でも点線で示されるような位相が反対であるさらなる重畳される変調磁界によって変調されてもよい。
【0051】
図4には、変調磁界Hmによって静的な磁界HSが近くで変調される一方の静的細長磁極配列5が拡大図で示される。この実施例では、磁極S1・・Snの近くであるととも方向yに沿った変調は、波のように伝搬する配列5の延長部に沿った変調パターンHmx(t,y)が実現されるように位相合わせについて関連付けられる。
【0052】
図5には、図1に従った一方の静的細長磁極配列5が拡大図で示され、これについては他の図面と同様に、二重矢印は各々の配列での磁極となる磁気双極子を示す。図1〜図3に従った変調磁界Mmは、矢印
【0053】
【数1】
【0054】
に従って、1つの静的配列の近くにかつそれに沿って磁極の配列を線形に移動させることによって実現される。図5にさらに示されるように、この実施例における動的配列9は、同様の極性の静的配列5の磁極と相互作用する磁極を与える。図5に示されるように1つより多い磁極が配列9に沿って設けられる場合は、動的配列9の延長部に沿った同様の磁極は相互に間隔を空ける。静的細長配列5の近くに、かつそれに沿って動的配列9を駆動により動かすことによって、静的な磁界(図5に図示せず)は静的細長配列5の磁極の各々で変調される。実践的には、配列5および9の同様の極性の磁極の2つが整列すると、図2でのような静的な磁界の磁界成分HSxは静的細長配列5の磁極の近くで増加し、したがってスパッタリング表面のそれぞれの領域の近くで増加すると言い得る。
【0055】
図5の図と同様の図で、図6は磁極9aの動的配列と協働する1つの静的細長磁極配列5の構成を示し、動的配列9aの磁極は静的細長配列5の磁極と反対の極性である。さらに実践的には、静的および動的配列5、9aの2つの磁極がそれぞれ整列しているかまたは整列すると、これによりスパッタリング表面の近くで、かつその上で、図2でのようなスパッタリング表面に平行な磁界成分Hmxが弱くなる。
【0056】
図7は、動的磁極配列が交互に異なる極性の後続の磁極の少なくとも1対を有するということを除いて、図5および図6の図に類似する図を示す。動的細長配列9bを静的細長磁極配列5の近くにかつそれに沿って動かすことにより、スパッタリング表面に平行な磁界成分は、静的細長配列5の磁極の近くのスパッタリング表面の後続の領域で位相が反対の状態で交互に増加および低減される。
【0057】
図5および図6に従った実施例を念頭に置くと、磁極のいくつかまたはすべておよび図5において11で示されるそれぞれの磁気双極子は、強磁性部材と置換えられてもよい。これにより静的な磁界HSの一部が分路され、これにより、変調する態様でこのような強磁性分路部材が静的細長配列5のそれぞれの磁極の近くに瞬間的にあると、静的な磁界がそこで不均衡になる。さらに、このような強磁性分路部材は図5、図6または図7でのような磁極の間に適用されてもよい。このような強磁性分路部材により、静的な磁界HSは変調される。
【0058】
図8は、図5〜図7の図に似た図で、図1でのような静的な磁界HSの変調を実現するためのさらなる実施例を示す。1つの静的細長配列5に対して平行に方向付けされた軸Aについて駆動回転するドラムが、静的細長磁極配列5の近くに、かつそれに沿って設けられる。ドラム13では、静的細長配列5に沿って磁極とそれぞれ整列する磁気双極子部材15が設けられる。図8の実施例では、部材15の双極子は方向および極性においてすべて整列する。ドラム13を回転することにより、静的配列5の磁極の近くでスパッタリング表面の上に当たる静的な磁界HSは、ここでは実際にx軸に沿って配列5に向かうようにおよび配列5から離れるように動くとともに回転ドラム13に沿った双極子部材15の交互に現れる有効な極性によって、すべて同様にかつ同時に変調される。
【0059】
図9は、図8の実施例と似た実施例を同様の図で示す。図8の実施例と図9の実施例との違いは、図9の実施例のドラム13aは、ドラム13aに沿って配されるとともに交互に異なる極性の磁極を有する磁極部材15を有することである。この実施例によって、図7の実施例により達成された変調と実質的に同じ変調が実現される。しかしながら、構造上の観点から言えば、図7でのような線形に動かされる配列を用いての実現と比較して、
図9の実施例でのような駆動回転可能なドラムを用いての実現のほうが非常に有利である。
【0060】
図5〜図7に従った実施例を念頭に置くと、それぞれの動的配列9、9aおよび9bの長さ方向の延長部はそれぞれ、けっして静的細長配列5のこのような長さ方向の延長部と等しい必要はないということは強調されなければならない。したがって、図5および図6の実施例を念頭に置くと、動的細長配列は、1つの磁気的極性のついて規定する1つの部材のみを含むよう縮小されてもよい。図7の実施例では、上述の長さは、反対の極性のただ1対の磁極片を含むよう縮小されてもよい。
【0061】
図10には、図8および図9に示されるような実施例に似たさらなる実施例が示される。図10に従った実施例と図8および図9の実施例との違いは、双極子部材15が駆動回転可能なドラム13bに沿って配され、ドラム13bの延長部に沿って磁極のねじ山のような螺旋パターンを形成することである。これにより、静的な磁界HSの変調は、1つの双極子部材15から次のものへ、規定された位相合わせで時間とともに行なわれる。これにより、より一般的な図4の文脈で言及したように、変調が波のように伝搬されることになる。明らかなことであるが、軸Aに対する双極子部材の相対的な角位置と実際に一致する、続く双極子部材15の間のそれぞれの相互の位相合わせは自由に選択されてもよい。これにより、膨大な数の異なる変調パターンが用いられることになる。
【0062】
ここまで、図1、図2、または図3にあるような静的な磁界HSを変調するための異なる実施例を具体的に述べてきた。
【0063】
既に述べたように、この発明に従った原理には、印加される変調磁界Hmから独立して、形状および強度について静的な磁界が調整され得るという利点がある。図11は、図1の図と類似した図で、この発明のある実施例を示す。具体的には、この実施例では静的な磁界HSがスパッタリング表面に平行である最適な磁界成分HSxを有するよう調整される。静的細長磁極配列7aは、一例として、図1の配列7と比較すると反対方向に極性を付与される。これは純粋にただの例であり、上述した極性の付与は図1に示されるのと全く同じであり得る。ここでも、スパッタリング表面を有する(図示されない)目標から間隔を置いた第1の静的細長磁極配列5aが設けられる。配列5および7aは、弧を描く静的な磁界HSを生成するために、図1〜図10のほかのすべての実施例においても実際に設けられる強磁性橋渡部材17によって橋渡しされる。これら2つの静的細長配列5aと7aとの間には、静的細長双極子配列19が存在する。双極子の方向は、配列19、5a、17、および7aを有する磁気回路に沿って、双極子の極性の反転が確立されないように選択される。
【0064】
有利なことに、双極子配列19は、それぞれの配列7aおよび5aの表面を形成する磁極よりも、スパッタリング表面(図示せず)から少しだけさらに間隔を空けている。この配列により、概略的に図示されるように、図1の文脈で記載されたようにそれぞれのアークおよびトンネルをそれでも形成する磁力線の実質的に平坦化されたパターンが達成される。これにより、図1でのようなスパッタリング表面3に平行な磁界成分HSxは、方向xで考えるとともに図1の実施例と比較すると、実質的に均一化される。図1〜図10を用いて記載されてきたすべての変調実施例は、図11に示される変調ユニットMOD21を実現するよう適用され得る。
【0065】
ここまで示してきたすべての実施例は、この発明に従って変調される静的な磁界HSの1つの延在トンネルを提供する。この発明に従ったこの方策は、しかしながら、マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングに非常に好適に適用される。該マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングでは、静的な磁界はスパッタリング表面の上に閉トンネルルー
プを形成し、特に上述したトンネルループの内側のスパッタリング表面の中心領域はあまり腐食されず、これにより目標の利用は最適にはならず、スパッタリングコーティングされることになる基板の表面に沿ったスパッタ堆積分布が最適に均一化されない。
【0066】
図12は、マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングのためのこの発明の方法に従って動作するとともにこの発明に従ったスパッタリングソースの実施例を示す。図12に従った実施例は、図11に示される実施例を鏡面対称にして二重にするということから実際に得られる。最も外側で左側の静的細長磁極配列7a1は、静的細長双極子配列191と強磁性橋渡部分17とを介して、より中心に配される静的細長磁極配列5a1と協働する。これにより、図1でのようなy方向で考えると、静的な磁界HSの左側脚部HS1が生成される。最も外側で右側の静的細長磁極配列7arは、静的細長双極子配列19rおよびより中心に位置する静的細長磁極配列5arと協働して、HSrに従って磁界トンネルの右側脚部を生成する。より中心に位置する静的配列5a1および5arの対の間には、一般的に言えば、変調ユニットが存在する。
【0067】
当業者には完全に明らかであるが、このような変調ユニットは、図5〜図10を用いて具体的に記載されたように実現され得る。図12に示されるように、このような変調ユニット21aはここでは図8〜図10のうちの1つでのようなドラム13、13a、または13bを用いて実現される。
【0068】
図13には、静的な磁界HS1、HSrの変調がない場合に、スパッタリング表面3において得られる腐食プロファイル、特に腐食されないスパッタリング表面の領域Fが存在する図12に従った実施例が示される。
【0069】
図14(a)〜図14(d)は、図8〜図10のドラム13、13a、または13bによって実現される変調ユニットを有する図13の実施例を示す。これについて、具体的な図14a〜図14dは、図13でのような静的な磁界HSと、駆動回転するドラム13、13a、13bによって生成される変調磁界Hmとの重畳の結果得られる磁界の時間変化を示す。示されるように、磁気双極子を有するドラムは、図(a)から図(d)まで、時計回りの方向にそれぞれ90°回転される。さらに、陰影が付与された態様でドラムの位置の各々での腐食プロファイルが示されるとともに、スパッタリング表面上の腐食のない領域Fの相対的なシフトとが示される。明確さのため、図14にはほとんど参照番号を差し込まない。1つ以上の基板のスパッタリングおよびスパッタコーティングの間、ドラムは一定または可変角速度ωで駆動回転される。
【0070】
図8、図9、もしくは図10に従った実施例のうちの1つに従った回転ドラムに沿って配される磁気双極子部材の代わりに、またはそれらに加えて、強磁性材料部材がドラムに設けられてもよい。ドラムが良好な解決策として図10の実施例に従って実現される場合は、一実施例では図10でのようなドラム13bの延長部に沿ったねじ山のような螺旋パターンの旋回数は整数である。これにより、ドラム13bに沿って配される磁石と、静的細長磁極配列5a1および5arとの間のトルク力が最小化される。
【0071】
それぞれの実施例において、図12〜図14から分かり得るように、上述したトンネルの脚部の両端の上で磁界のトンネルのようなパターンによって形成される電子トラップをそれぞれ閉じることにより、マグネトロンタイプの磁界向上スパッタリングが実現される。ドラム13bの回転速度は、同時に1つ以上の基板をスパッタコーティングするための処理時間に従って調節され得る。回転速度ωは、処理時間が回転期間を下回る場合にのみ危機的になる。スパッタ堆積コーティングの良好な均一性を達成するよう、処理時間ごとにドラム13bを少なくとも1回転または数回転させることが提案される。図14a〜図14dから分かり得るように、ドラム13bのどのような回転角度でも、スパッタリング
表面3上における磁力線および瞬間のスパッタリング腐食プロファイルは異なる。回転する双極子が静的磁極配列の双極子と平行ならば、左側および右側の腐食プロファイルは対称となるが、図13でのような変調がないスパッタリングと比べるとそれでも異なる。
【0072】
回転する双極子の任意の他の角度では、2つの静的細長磁極配列のすぐ近くの磁界パターンと腐食プロファイルとが、より小さくまたはより大きく左および右へ横方向にシフトする。スパッタ材料が再堆積するスパッタされない領域Fが実質的に消える。結果得られる全体の腐食プロファイルは図15に示される。
【0073】
図16には、図10でのようなドラム13bの実施例がより詳細に概略的に示される。磁力線のトンネルがドラムでのそれぞれの磁極の間に形成される。このようなドラム13bはプラズマ放電のプラズマ密度を変調するのに用いられ得る。ドラム13bを回転することにより、磁極のパターンは軸Aの方向に線形に移動する。
【0074】
図17には、付加的磁界なしに、プラズマの下に図16でのようなドラムを適用することにより得られる増加したプラズマ密度の領域が図示される。
【0075】
磁極のねじ山のような螺旋パターンを有するドラム13bを利用する図12の実施例では、図18に示すように、一方では、マグネトロン電子トラップが静的細長磁極配列およびこのような磁極の終端配列23とによって生成される。付加的には、ドラム13bによって実現される変調磁界と、図12に従った近傍の静的細長磁極配列5a1および5arとの相互作用により、図18においてTで示される中央の電子トラップが生成され、回転するドラム13bの軸Aの方向に移動する。
【0076】
これについて、図18に従った実施例では、図12でのような静的な磁界HSは、たとえば10ガウスから200ガウスのように比較的弱く、ドラム13bによって生成される変調磁界は100ガウスから1000ガウスである。
【0077】
しかしながら、静的な磁界は磁界の移動する閉トンネルを変調磁界とともに形成するには十分強く、これにより図18でのような電子トラップTが得られる。
【0078】
変調磁界Hmに対する静的な磁界HSの相対的強度が、静的な磁界が変調磁界と比較して相対的に強くなるように変更されると、図18でのような電子トラップの得られるパターンは図19に示されるパターンに切換わる。これにより、変調磁界は200ガウスの範囲において選択され、静的な磁界は約250ガウスの範囲で選択される。図18に示される静的細長磁極配列は図19に示されていない。ドラム13bが回転すると、連続する蛇のような移動電子トラップが形成される。
【0079】
図20には、図14の図に従った図に基づき、目標1ごとに2つのロッドを有する2つの実施例a)およびb)が示される。図20(a)に従った実施例では、それぞれのドラム13、13a、13bによる変調は、近隣の目標の近くの静的細長磁極配列7a1と7arとの間、したがって実際にはこれら目標1の間であって、付加的にかつ図12によると、それぞれの静的細長磁極配列5a1と5arとの間で行われ、後者は図20には図示されない。図20(b)の実施例では、図12を念頭に置くと、複数の目標1の各々の外側の静的細長磁極配列7a1、7arの近くで磁界変調が行なわれる。
【0080】
それぞれの磁気双極子によって実現される変調磁界を用いた静的な磁界HSの変調に類似して、この変調を提供するのに強磁性材料を用いることが可能である。このような材料は自身の磁界を生成することはないが、変調磁界を重畳することでなされるのと同様な方法で、存在する磁界を修正し得る。
【0081】
図21の実施例に従えば、静的な磁界は図12の文脈で説明したように生成される。静的細長磁極配列5a1および5arの間には、駆動回転可能なドラム13cが設けられる。ドラム13cに沿って、図8〜図10のそれぞれのドラムでの双極子と同様に配され、強磁性材料の半径方向に延在するバー25が設けられる。ドラム13cは単一極性の磁極29が集められる強磁性磁極片27で回転する。したがって、強磁性のバー25は、このようなバーが磁極片27の近くにあると、磁極(S)を提供する。バー25の角度位置に依存して、左および右側脚部での静的な磁極の変調は図14の文脈で説明した変調と非常に似た形で実現される。
【0082】
特に、ここまで述べてきたような駆動されるドラムを用いて静的な磁界HSの変調を行なう場合には、このようなドラムに沿って、異なる変調が行なわれるセグメントが規定されてもよい。したがって、ねじ山のような螺旋パターンを用いる場合には、ドラムの表面に沿った磁極および/または強磁性部材表面であれ、ドラムに沿った異なるセグメントにおいて、異なるねじ山ピッチが適用され得、異なる回転速度などさえもが適用され得る。図22には、磁極の螺旋パターンが設けられたドラムの5つの例が図示され、これら螺旋パターンはドラムの延長部に沿った所定のセグメントにおいて異なる。
【0083】
たとえば図1〜図9を用いて一般的に説明したこの発明を思い返すとともに理解すると、この発明はさらなる局面の下で異なる観点からも考慮され得るということが分かり得る。図23(a)〜図23(c)を用いてこれについて説明する。図23(a)は、ここまでに述べられたような第1および第2の磁極配列5、7と静的な磁界HSとを概略図で示す。図23(b)によると、静的な磁界HSは、概略的に示されるように補助磁極配列5aを静的細長磁極配列5の近くに適用することにより制御可能に不均衡にされる。図23(c)によると、静的細長磁極配列5の近くに補助配列7aが設けられる。これら補助配列5aおよび7aが静的な磁界HSに与えるそれぞれの極性S、Nの機能として、図23(a)でのような上述した静的な磁界HSが変調により不均衡となり、これにより図23の配列5に従った単一極性の静的細長磁極配列の近くで、トンネル形状を有しかつ弧を描く静的な磁界HSを強くするかまたは弱くする。
【0084】
補助磁極配列の制御Cによって概略的に示されるように、上述した静的細長磁極配列5に対して代替的な磁極を代替的に提供するよう、静的な磁界HSはこの発明に従って1つの静的細長磁極配列5の近くで変調される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の一般的な方策を説明するための、この発明およびこの発明の方法に従ったソースに設けられる磁石配列の概略斜視図である。
【図2】この発明が利用する静的な磁界とその変調とをさらに概略的に示す図である。
【図3】時間軸上で、作用点規定磁界として静的な磁界の変調を示す図である。
【図4】静的な磁界の波のような変調が適用された、この発明に従ったソースおよび方法の一実施例で用いられる磁界配列の一部を示す図である。
【図5】この発明に従った静的な磁界を変調する第1の実施例を有する磁石配列の一部を概略的に示す図である。
【図6】この発明の、静的な磁界の変調を実現する第2の実施例を有する図5の図に類似した図である。
【図7】図5および図6の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従った第3の実施例を示す図である。
【図8】図5〜図7の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従ったさらなる実施例を示すさらなる図である。
【図9】図5〜図7の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従ったさらなる実施例を示すさらなる図である。
【図10】図5〜図7の図に類似した図で、静的な磁界を変調するこの発明に従ったさらなる実施例を示すさらなる図である。
【図11】この発明の実施例において用いられる、平坦化された静的な磁界を実現するための実施例を概略斜視図で示す図である。
【図12】この発明の実施例に従った、図11の実施例によりマグネトロンタイプのパターンで生成される静的な磁界の変調を実現することを示す図である。
【図13】変調のない図12の実施例を示す図であって、結果得られる平坦化された静的な磁界を示す図である。
【図14】a)〜d)は、図12に従った実施例から派生して、この発明に従った図13での静的な磁界を変調する際における磁界の発達とスパッタリング表面に沿ったスパッタ腐食プロファイルとを示す図である。
【図15】図14に示される実施例で、目標のスパッタリング表面に沿って得られる腐食プロファイルを示す図である。
【図16】静的な磁界を変調するために、この発明のいくつかの実施例において用いられる得られる磁界とともに、磁極の螺旋パターンを有するドラムを示す図である。
【図17】図16に示されるような、ドラムそれ自体によって引起されるスパッタリング目標上のより高いプラズマ密度の得られる領域を示す図である。
【図18】静的な磁界がドラムの変調磁界と比較して相対的に低い場合に得られる移動電子トラップを有する図16に示されるようなドラムを用いる図12に従った実施例を上面図で示す図である。
【図19】図18の図に似た図で、ドラムの変調磁界と比べて静的な磁界が反対に相対的に強い場合に、図18の実施例で得られる蛇のような移動電子トラップを示す図である。
【図20】図14の図に類似した図で、複数の目標および目標ごとに複数の変調があるこの発明に従った2つの実施例を示す図である。
【図21】図13に従った実施例において実現される、静的な磁界を変調するために強磁性部材を利用するこの発明のさらなる実施例を示す図である。
【図22】長さ方向の延長部に沿って考えると、ドラムの続くセグメントに沿って異なって調節された磁極の螺旋パターンを有する、この発明のいくつかの実施例に適用される変調ドラムの5つの例を示す図である。
【図23】この発明に従って印加される静的な磁界と制御された不均衡化によるその変調とを概略的に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法であって、
スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの前記少なくとも1つの基板を磁界向上スパッタコーティングするステップを含み、これにより、
・第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列により前記表面の上に時変の磁界を生成し、前記第1および第2の静的細長配列は互いに間隔を置くとともに、一方が他方に沿い、かつ少なくとも一方が前記スパッタリング表面の下にあるよう配置され、前記第1および第2の静的細長配列は、前記表面に垂直なそれぞれの面で考えると前記表面の上で弧を描き、前記面に垂直な方向で考えるとトンネルのようである磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成し、
・前記第1および前記第2の静的細長磁極配列のうちの一方の近くに、かつ前記一方の静的細長配列の少なくとも主な部分に沿って、前記静的な磁界に対して変調磁界を重畳させる、方法。
【請求項2】
時間および場所を関数として、前記少なくとも一方の静的細長配列に沿って、したがって前記一方の配列に沿った波のような態様で、前記変調を行なうステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調を行なうステップは、前記少なくとも一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、単一または交互に異なる極性の磁極の配列を移動させるステップを含む、請求項1または2の1つに記載の方法。
【請求項4】
前記変調を行うステップは、前記少なくとも一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、強磁性分路部材の配列を移動させるステップを含み、前記部材は前記移動の方向に相互に間隔を置く、請求項1〜請求項3の1つに記載の方法。
【請求項5】
第3の静的細長磁極配列を設けるステップをさらに含み、前記第2の静的配列は前記第1および第3の静的細長配列の間に、かつ前記スパッタリング表面の下に配置され、前記変調は、前記第2の静的細長磁極配列の近くで、かつそれに沿って前記変調を行なうステップを含む、請求項1〜請求項4の1つに記載の方法。
【請求項6】
前記重畳される変調磁界を前記静的な磁界よりも強くなるよう選択するステップを含む、請求項1〜請求項5の1つに記載の方法。
【請求項7】
前記重畳される変調磁界を、それが重畳される前記静的な磁界よりも弱くなるよう選択するステップを含む、請求項1〜請求項6の1つに記載の方法。
【請求項8】
前記変調磁界を実現することは、ある軸について回転可能であり、かつ前記少なくとも一方の静的細長配列の近くであるとともにそれに沿ってドラムを設けることを含み、前記ドラムは強磁性部材および磁極の少なくとも一方の少なくとも1つのパターンを有する、請求項1〜請求項7の1つに記載の方法。
【請求項9】
前記パターンは前記ドラムの表面の周りの螺旋パターンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一方が他方の傍にあるよう配置される少なくとも2つの目標を設けることで、前記一方の静的細長磁極配列は前記少なくとも2つの目標の間に実質的に存在する、請求項1〜請
求項9の1つに記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、双極子の軸が前記表面に実質的に平行であるとともにその下にある状態で、前記静的な磁界を平坦化するステップをさらに含む、請求項1〜請求項10の1つに記載の方法。
【請求項12】
前記第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配されるとともに、前記第3および第2の静的細長磁極配列の間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、双極子の軸が前記スパッタリング表面に対して実質的に平行であるとともにその下にある状態で、前記静的な磁界を平坦化するステップをさらに含む、請求項5〜請求項11の1つに記載の方法。
【請求項13】
・スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標と、
・前記目標に沿った第1の静的細長磁極配列と、
・前記第1の静的細長磁極配列と相互に間隔を置くとともにそれに沿って配置される第2の静的細長磁極配列とを含み、前記第1および前記第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方は前記スパッタリング表面の下に配置され、前記第1および第2の静的細長配列は、前記スパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えると前記スパッタリング表面の上で弧を描くとともに、前記面に対して垂直な方向で考えるとトンネルのようである磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成し、さらに
・前記第1および第2の静的細長磁極配列の一方の近くに駆動により移動可能である、相隔たる強磁性部材および磁極の少なくとも一方の動的配列を含む、スパッタリングソース。
【請求項14】
強磁性部材および磁極の少なくとも一方の前記動的配列は、前記第1および第2の静的細長磁極配列のうちの前記一方の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って駆動により移動可能である、請求項13に記載のソース。
【請求項15】
第3の静的細長磁極配列を含み、前記第2の静的細長配列は前記第1および前記第3の静的細長配列の間であるとともに、それらからは離れて、かつ前記スパッタリング表面の下に配置され、前記一方の静的細長磁極配列は前記第2の配列である、請求項13または請求項14の1つに記載のソース。
【請求項16】
前記静的な磁界は、前記一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、前記動的配列の前記磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも強い、請求項13〜請求項15の1つに記載のソース。
【請求項17】
前記静的な磁界は、前記一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、前記動的配列の前記磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも弱い、請求項13〜請求項16の1つに記載のソース。
【請求項18】
前記動的配列は、ある軸について駆動回転可能であるとともに強磁性部材および磁極のうちの前記少なくとも一方のパターンを含むドラムを含む、請求項13〜請求項17の1つに記載のソース。
【請求項19】
前記パターンは前記ドラムの表面の周りの螺旋パターンである、請求項18に記載のソース。
【請求項20】
一方が他方の傍にあるよう配置される少なくとも2つの目標を含み、前記一方の静的細
長磁極配列は前記少なくとも2つの目標の間に実質的に存在する、請求項13〜請求項19の1つに記載のソース。
【請求項21】
少なくとも前記第1および前記第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に磁気双極子の静的細長配列を含み、前記双極子の軸は、前記スパッタリング表面と実質的に平行であり、前記スパッタリング表面の近くであるとともにその下にある、請求項13〜請求項20の1つに記載のソース。
【請求項22】
プラズマ密度を変調する方法であって、
・磁極の螺旋パターンを有するとともに自身の軸について回転するドラムにより独占的にプラズマにおいて磁界を生成するステップを含む、方法。
【請求項23】
少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法であって、
・スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの前記少なくとも1つの基板を磁界向上スパッタコーティングするステップを含み、これにより、
・第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列により前記表面の上に時変の磁界を生成するステップを含み、前記第1および第2の静的細長配列は互いに間隔を置くとともに、一方が他方に沿い、かつ少なくとも一方が前記スパッタリング表面の下にあるよう配置され、前記第1および第2の静的細長配列は、前記表面に垂直なそれぞれの面で考えると前記表面の上で弧を描き、前記面に垂直な方向で考えるとトンネルのようである磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成し、前記方法はさらに、
・前記第1および前記第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方の近くで、変調の態様で前記静的な磁界を制御可能に不均衡にするステップを含む、方法。
【請求項1】
少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法であって、
スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの前記少なくとも1つの基板を磁界向上スパッタコーティングするステップを含み、これにより、
・第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列により前記表面の上に時変の磁界を生成し、前記第1および第2の静的細長配列は互いに間隔を置くとともに、一方が他方に沿い、かつ少なくとも一方が前記スパッタリング表面の下にあるよう配置され、前記第1および第2の静的細長配列は、前記表面に垂直なそれぞれの面で考えると前記表面の上で弧を描き、前記面に垂直な方向で考えるとトンネルのようである磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成し、
・前記第1および前記第2の静的細長磁極配列のうちの一方の近くに、かつ前記一方の静的細長配列の少なくとも主な部分に沿って、前記静的な磁界に対して変調磁界を重畳させる、方法。
【請求項2】
時間および場所を関数として、前記少なくとも一方の静的細長配列に沿って、したがって前記一方の配列に沿った波のような態様で、前記変調を行なうステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調を行なうステップは、前記少なくとも一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、単一または交互に異なる極性の磁極の配列を移動させるステップを含む、請求項1または2の1つに記載の方法。
【請求項4】
前記変調を行うステップは、前記少なくとも一方の静的細長磁極配列の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って、強磁性分路部材の配列を移動させるステップを含み、前記部材は前記移動の方向に相互に間隔を置く、請求項1〜請求項3の1つに記載の方法。
【請求項5】
第3の静的細長磁極配列を設けるステップをさらに含み、前記第2の静的配列は前記第1および第3の静的細長配列の間に、かつ前記スパッタリング表面の下に配置され、前記変調は、前記第2の静的細長磁極配列の近くで、かつそれに沿って前記変調を行なうステップを含む、請求項1〜請求項4の1つに記載の方法。
【請求項6】
前記重畳される変調磁界を前記静的な磁界よりも強くなるよう選択するステップを含む、請求項1〜請求項5の1つに記載の方法。
【請求項7】
前記重畳される変調磁界を、それが重畳される前記静的な磁界よりも弱くなるよう選択するステップを含む、請求項1〜請求項6の1つに記載の方法。
【請求項8】
前記変調磁界を実現することは、ある軸について回転可能であり、かつ前記少なくとも一方の静的細長配列の近くであるとともにそれに沿ってドラムを設けることを含み、前記ドラムは強磁性部材および磁極の少なくとも一方の少なくとも1つのパターンを有する、請求項1〜請求項7の1つに記載の方法。
【請求項9】
前記パターンは前記ドラムの表面の周りの螺旋パターンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一方が他方の傍にあるよう配置される少なくとも2つの目標を設けることで、前記一方の静的細長磁極配列は前記少なくとも2つの目標の間に実質的に存在する、請求項1〜請
求項9の1つに記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、双極子の軸が前記表面に実質的に平行であるとともにその下にある状態で、前記静的な磁界を平坦化するステップをさらに含む、請求項1〜請求項10の1つに記載の方法。
【請求項12】
前記第1および第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に配されるとともに、前記第3および第2の静的細長磁極配列の間に配される磁気双極子の静的細長配列を用いて、双極子の軸が前記スパッタリング表面に対して実質的に平行であるとともにその下にある状態で、前記静的な磁界を平坦化するステップをさらに含む、請求項5〜請求項11の1つに記載の方法。
【請求項13】
・スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標と、
・前記目標に沿った第1の静的細長磁極配列と、
・前記第1の静的細長磁極配列と相互に間隔を置くとともにそれに沿って配置される第2の静的細長磁極配列とを含み、前記第1および前記第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方は前記スパッタリング表面の下に配置され、前記第1および第2の静的細長配列は、前記スパッタリング表面に垂直なそれぞれの面で考えると前記スパッタリング表面の上で弧を描くとともに、前記面に対して垂直な方向で考えるとトンネルのようである磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成し、さらに
・前記第1および第2の静的細長磁極配列の一方の近くに駆動により移動可能である、相隔たる強磁性部材および磁極の少なくとも一方の動的配列を含む、スパッタリングソース。
【請求項14】
強磁性部材および磁極の少なくとも一方の前記動的配列は、前記第1および第2の静的細長磁極配列のうちの前記一方の近くであって、それに対して垂直に、および/またはそれに沿って駆動により移動可能である、請求項13に記載のソース。
【請求項15】
第3の静的細長磁極配列を含み、前記第2の静的細長配列は前記第1および前記第3の静的細長配列の間であるとともに、それらからは離れて、かつ前記スパッタリング表面の下に配置され、前記一方の静的細長磁極配列は前記第2の配列である、請求項13または請求項14の1つに記載のソース。
【請求項16】
前記静的な磁界は、前記一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、前記動的配列の前記磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも強い、請求項13〜請求項15の1つに記載のソース。
【請求項17】
前記静的な磁界は、前記一方の静的細長磁極配列に沿うとともにその近くの共通位置で考えると、前記動的配列の前記磁極の少なくともある部分で生成される磁界よりも弱い、請求項13〜請求項16の1つに記載のソース。
【請求項18】
前記動的配列は、ある軸について駆動回転可能であるとともに強磁性部材および磁極のうちの前記少なくとも一方のパターンを含むドラムを含む、請求項13〜請求項17の1つに記載のソース。
【請求項19】
前記パターンは前記ドラムの表面の周りの螺旋パターンである、請求項18に記載のソース。
【請求項20】
一方が他方の傍にあるよう配置される少なくとも2つの目標を含み、前記一方の静的細
長磁極配列は前記少なくとも2つの目標の間に実質的に存在する、請求項13〜請求項19の1つに記載のソース。
【請求項21】
少なくとも前記第1および前記第2の静的細長磁極配列に沿って、かつそれらの間に磁気双極子の静的細長配列を含み、前記双極子の軸は、前記スパッタリング表面と実質的に平行であり、前記スパッタリング表面の近くであるとともにその下にある、請求項13〜請求項20の1つに記載のソース。
【請求項22】
プラズマ密度を変調する方法であって、
・磁極の螺旋パターンを有するとともに自身の軸について回転するドラムにより独占的にプラズマにおいて磁界を生成するステップを含む、方法。
【請求項23】
少なくとも1つのスパッタコーティングされた基板を製造する方法であって、
・スパッタリング表面を有する少なくとも1つのスパッタ目標を含む目標構成からの前記少なくとも1つの基板を磁界向上スパッタコーティングするステップを含み、これにより、
・第1の静的細長磁極配列および第2の静的細長磁極配列により前記表面の上に時変の磁界を生成するステップを含み、前記第1および第2の静的細長配列は互いに間隔を置くとともに、一方が他方に沿い、かつ少なくとも一方が前記スパッタリング表面の下にあるよう配置され、前記第1および第2の静的細長配列は、前記表面に垂直なそれぞれの面で考えると前記表面の上で弧を描き、前記面に垂直な方向で考えるとトンネルのようである磁力線のパターンを有する静的な磁界を共通に生成し、前記方法はさらに、
・前記第1および前記第2の静的細長磁極配列のうちの少なくとも一方の近くで、変調の態様で前記静的な磁界を制御可能に不均衡にするステップを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23(a)】
【図23(b)】
【図23(c)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23(a)】
【図23(b)】
【図23(c)】
【公表番号】特表2009−520878(P2009−520878A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546443(P2008−546443)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069995
【国際公開番号】WO2007/071719
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(596013501)オー・ツェー・エリコン・バルザース・アクチェンゲゼルシャフト (55)
【氏名又は名称原語表記】OC Oerlikon Balzers AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069995
【国際公開番号】WO2007/071719
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(596013501)オー・ツェー・エリコン・バルザース・アクチェンゲゼルシャフト (55)
【氏名又は名称原語表記】OC Oerlikon Balzers AG
【Fターム(参考)】
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