説明

少なくとも3枚の半導体ウェハの両面の同時材料除去処理のための方法

【課題】特に平面平行半導体ウェハを経済的に製造できるように、遊星運動学を用いて公知の両面処理方法を向上させる。
【解決手段】両面処理装置は、キャリア13の各々は厳密に1つの開口部1を有し、当該開口部1に1枚の半導体ウェハが、加工ディスク同士の間のサイクロイド軌道上を移動するように、自由に移動できるように挿入され、両面処理装置内のキャリア13の配置およびキャリア13の開口部1の配置は、不等式R/e・sin(π/N*)−r/e−1≦1.2を満たすようなものであり、N*は、周角と、隣接するキャリア同士が互いに最大距離を空けられた状態で転がり装置に挿入される角度との比率を表わし、rは半導体ウェハを受ける開口部1の半径を表わし、eは、開口部1が配置されるキャリア13の中点4の周りのピッチ円2の半径を表わし、Rは、キャリア13が転がり装置によって加工ディスク同士の間を移動するピッチ円8の半径を表わす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、両面処理装置の2枚の回転する環状加工ディスク同士の間の少なくとも3枚の半導体ウェハの両面の同時材料除去処理のための方法であって、両面処理装置は、少なくとも3つのキャリアを回転させる転がり装置を有し、各キャリアは厳密に1つの開口部を有し、当該開口部に1枚の半導体ウェハが、加工ディスク同士の間のサイクロイド軌道上を移動するように、自由に移動できるように挿入される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
電子機器、超小型電子機器および超小型電気機械装置には、出発物質として、大域的および局所的な平坦度、片面参照平坦度(ナノトポロジー)、粗度および清浄度に関する極端な要求を満たさなければならない半導体ウェハが必要である。半導体ウェハは、元素半導体(シリコン、ゲルマニウム)、化合物半導体(たとえば、アルミニウム、ガリウムもしくはインジウムなどの周期表の第III主族の元素に、窒素、リンもしくは砒素などの周期表の第V主族の元素を加えたもの)、またはそれらの化合物(たとえばSi1-xGex、0<x<1)などの半導体材料からなるウェハである。
【0003】
先行技術によると、半導体ウェハは、以下のグループに大きく分類され得る多数の連続した処理ステップによって製造される:
(a) 通常単結晶の半導体ロッドの製造;
(b) ロッドの個々のウェハへのスライシング;
(c) 機械的処理;
(d) 化学処理;
(e) 化学機械的処理;
(f) 適宜、層構造の付加的な製造。
【0004】
この場合のステップ(c)および(e)の文脈における有利な方法はいわゆる「自由浮遊法」(free floating process:FFP)を含み、この方法では、半導体ウェハの両面が1つの加工ステップにおいて材料を除去する態様で同時に処理され、正確には、材料除去時に前面および後面で半導体ウェハに作用する処理力が互いに相殺することによって、半導体ウェハが、案内装置の拘束力が実質的に作用しない「自由浮遊」の態様で処理される。この場合、「実質的に」とは、処理の運動学的特性の結果、処理時に前面および後面に作用する力が少なくとも原理的に互いに正確に釣り合うことができること、かつ、発生し得る結果として生じる低い残留力は、統計的変動または外乱変数によってのみ発生することを意味する。FFPによって、以前の処理の結果としての形状欠陥を特に効果的に、材料をほとんど除去せずに取除くことができ、FFPは、自身に起因する加工特性の新たな形状欠陥を半導体ウェハにほとんど与えることがない。
【0005】
先行技術では、含まれる処理ステップのうちの少なくとも1つのステップがFFPである半導体ウェハの製造順序に優先が与えられる。先行技術では、少なくとも2枚の半導体ウェハの両面が、2枚の環状加工ディスク同士の間で材料が除去される態様で同時に処理される方法を少なくとも1つのFFPが含む順序に特定の優先が与えられ、当該方法において、半導体ウェハは各場合において、外側に歯を付けられた少なくとも1つの薄い案内ケージ(キャリア)の少なくとも1つの受取り開口部全体に緩く挿入され、面処理装置の中点の周りを完全に回転する(遊星運動)するように、圧力下で転がり装置および外側歯によって、加工ディスクに対してサイクロイド経路上に案内される。このような運動学は、半導体ウェハのラッピング、研削または研磨に用いられる。
【0006】
US2009/0298396A1およびUS2009/0298397A1には、直径450mmの半導体ウェハの場合でもエッジロールオフのない非常に平坦な表面を得ることが意図された、遊星運動学を用いた両面研削法が記載されている。この場合、同一直径の複数の半導体ウェハがキャリア内に、半導体ウェハの面積に対するピッチ円の面積の比率が1.33〜2.0であるように、キャリアの中点の周りの厳密に1つのピッチ円上に配置される。US2009/0298396A1はさらに、当該方法で用いる研磨ペレットのサイズおよび配置の要件を確認している。これとは対照的に、US2009/0298397A1は、キャリア内の半導体ウェハの配置が同一の研削方法を開示しているが、接着研磨剤に加えてアルカリ溶液を使用し、半導体ウェハの回転速度は1分当たり5〜80回転である。しかし、これらの要件に準拠しても、求められる平坦面の平面平行性を有する半導体ウェハを得るには十分でないことが分かっている。特に、キャリア1つ当たり1つの大型半導体ウェハしか配置されない場合、十分な平坦度が得られないことがしばしばあった。ほとんどの市販の両面処理装置では、たとえば直径450mmの半導体ウェハの場合はこのような配置が避けられない。なぜなら、対応のキャリアは、このサイズの複数の半導体ウェハを受取るほど大きくないからである。
【0007】
キャリア内の半導体ウェハ、および両面処理装置内のキャリアの他の配置も公知である。一例として、DE10159848A1は、外側駆動リングの直径が1970mmであり、内側駆動リングの直径が530mmである、一例として言及された両面研磨装置において、外側歯のピッチ円径が720mmのキャリアを最大5個挿入することが可能であることを明記している。各キャリアには、直径300mmの3枚の半導体ウェハのためのスペースがある。しかし一般的に、この開示されている配置は、処理によって得ることができる平面平行性に関するとはみなされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2009/0298396A1
【特許文献2】US2009/0298397A1
【特許文献3】DE10159848A1
【特許文献4】DE10007390A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
目的およびその達成方法
したがって、たとえば450mmなどの非常に大きい直径の場合でも、特に平面平行半導体ウェハを経済的に製造できるように、遊星運動学を用いて公知の両面処理方法を向上させるという目的が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、両面処理装置の2枚の回転する環状加工ディスク同士の間の少なくとも3枚の半導体ウェハの両面の同時材料除去処理のための方法であって、両面処理装置は、少なくとも3つのキャリアを回転させる転がり装置を有し、各キャリアは厳密に1つの開口部を有し、当該開口部に1枚の半導体ウェハが、加工ディスク同士の間のサイクロイド軌道上を移動するように、自由に移動できるように挿入される方法によって達成され、両面処理装置内のキャリアの配置およびキャリアの開口部の配置は、不等式
R/e・sin(π/N*)−r/e−1≦1.2
を満たすようなものであり、N*は、周角と、隣接するキャリア同士が互いに最大距離を空けられた状態で転がり装置に挿入される角度との比率を表わし、rは半導体ウェハを受ける開口部の半径を表わし、eは、開口部が配置されるキャリアの中点の周りのピッチ円の半径を表わし、Rは、キャリアが転がり装置によって加工ディスク同士の間を移動するピッチ円の半径を表わす。
【0011】
先行技術において、キャリア内の半導体ウェハの配置、加工ディスク上のキャリアの配置と、処理される半導体ウェハの取得可能な平面平行性との公知の関係は存在しない。本発明は、材料除去メカニズム(研削、ラッピング、研磨)の選択とは無関係に、かつ、その方法(ラッピング法、ペレット研削、PPG研削、両面研磨)の選択とは無関係に、キャリア内の半導体ウェハの配置と加工ディスク上のキャリアの配置との多数の可能性のある組合せから、ごく狭い選択範囲しか、特定の要求の厳しい用途に好適な高い平面平行性を有する半導体ウェハを経済的に製造するのに好適ではないという観察に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】キャリア内の半導体ウェハの本発明に係る配置、ならびに両面処理装置内のキャリアの数、サイズおよび配置の例を示す図である。
【図2】キャリア内の半導体ウェハの本発明に係らない配置、ならびに両面処理装置内のキャリアの数、サイズおよび配置の比較例を示す図である。
【図3】キャリア内の半導体ウェハの本発明に係らない配置、ならびに両面処理装置内のキャリアの数、サイズおよび配置のさらなる比較例を示す図である。
【図4】キャリア内の半導体ウェハの本発明に係る配置、ならびに両面処理装置内のキャリアの数、サイズおよび配置のさらなる例を示す図である。
【図5】本発明に係らない第1の方法による処理後の半導体ウェハの直径厚みプロファイルを、比較例として示す図である。
【図6】本発明に係らない第2の方法による処理後の半導体ウェハの直径厚みプロファイルを、さらなる比較例として示す図である。
【図7】本発明に係る方法による処理後の半導体ウェハの直径厚みプロファイルを、実施例として示す図である。
【図8】本発明に係る方法を実行するのに好適な装置を示す図である。
【図9】異なる装置および処理方法のためのキャリアおよび半導体ウェハの配置の、本発明に本質的な、パラメータx/eに対して得られた領域正規化平坦度TTV*のプロッティングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
遊星運動学を用いた両面処理の全体的な説明
図8は、本発明に係る方法を実行するのに好適な、先行技術に係る装置の主要な要素を示す。当該装置は、遊星運動学を用いた同時両面ラッピング、研削または研磨に好適である。当該図は、たとえばDE10007390A1に開示されているような、半導体ウェハなどのディスク型加工物を処理するための2ディスクマシンの基本的な概略を斜視図で示す。図1〜図4は、キャリア13、およびキャリア13の開口部1の配置の平面図である。当該装置の以下の説明で用いられる参照符号および当該装置が動作する態様は、これら5つの図面に関連する。
【0014】
この種類の装置は、上側加工ディスク31と、下側加工ディスク32と、内側駆動リング33および外側駆動リング35によって形成される転がり装置とで構成され、キャリア13が当該転がり装置に挿入されている。この種類の装置の加工ディスクは環状である。キャリアは、半導体ウェハ36を受ける開口部1を有する。(各々が3つの開口部を有するキャリアが図示されている。これとは対照的に、本発明は1つの開口部のみを有するキャリアに関する。)
処理時、加工ディスク31および32、ならびに駆動リング33および35は、装置全体の中点3の周りに同心円状に回転速度no、nu、niおよびnaで回転する(4方向駆動)。この結果、キャリアは、一方ではピッチ円8上で中点3の周りを回転し、他方では同時に自身のそれぞれの中点4の周りで固有回転を行う。半導体ウェハの任意の点について、下側加工ディスク32および上側加工ディスク31に関して特徴的な軌道(運動学)が生じ、当該軌道はトルコイドと称される。トルコイドは、すべての通常の、短縮または延長された外サイクロイドまたは内サイクロイドの一般性であると理解される。
【0015】
処理方法の種類(ラッピング、研磨、研削)に依存して、上側加工ディスク31および下側加工ディスク32は、加工層39,40を担持し得る。これらは、研磨の場合は研磨パッドであり、研削の場合は接着研磨剤を含む加工層である。加工層39と40との間に形成される隙間は加工間隙30と称され、この中を半導体ウェハ36が処理時に移動する。
【0016】
少なくとも1つの加工ディスク、たとえば上側加工ディスク31は穴34を含み、これを通じて、たとえば冷却潤滑油、研磨剤またはラッピング剤などの作用剤が加工間隙30に供給され得る。また、加工間隙30の幅を測定する測定装置37も存在し得る。
【0017】
ラッピング時、研磨作用を有する遊離した硬質物質のスラリー(ラッピング剤、ラッピングスラリー)が加工間隙30に供給され、このようにして半導体ウェハ36からの材料除去が行なわれる。この場合、加工ディスク31,32の加工面は研磨剤を含まない。
【0018】
研削時は、これとは対照的に、加工ディスク31,32は、加工間隙30に面し、かつ固定接着研磨剤を含む加工層39,40をそれぞれ含む。研磨作用を有する物質を含まない冷却潤滑油が加工間隙30に供給される。加工層は、固定接着研磨剤を含む弾性研磨パッドで構成され得る。これは、PPG法(「遊星パッド研削(planetary pad grinding)」)と称される。研磨パッドは、使用の間中、真空によって、マジックテープ(登録商標)によって、または接着接合によって磁気的に加工ディスクに接続され、使用後に剥離動作によって取外すことができるため、迅速に交換できる。または、加工層39は、多数の剛性研磨体(いわゆるペレット)で構成され得る。研磨体は、シリンダ、中空シリンダまたは直角プリズムとして具体化され、自身の端面によって、加工ディスクの表面に接着接合されるか、ねじ留めされるか、組込まれる。摩耗した研磨体の交換は、研磨パッドの交換よりも複雑である。
【0019】
研磨(両面研磨、double-side polishing:DSP)の際、加工層39,40は、研磨物質を全く有しない研磨パッドである。好ましくはコロイド的に分散したアルカリシリカゾルなどの研磨物質を含む研磨剤(研磨スラリー)が、研磨パッド同士の間に形成される加工間隙30に供給される。研磨パッドは弾性を有し、PPG法における研磨パッドと同様に、剥離動作によって加工ディスクから取外すことができるため、容易に交換できる。
【0020】
発明の詳細な説明
図面および例示的な実施形態を参照して、本発明を以下により詳細に説明する。
【0021】
本発明は、異なる両面処理方法(両面研磨、ラッピング、ペレット研削およびPPG研削)と、キャリア内の半導体ウェハの数および配置が異なる対応の装置、ならびにそれぞれの両面処理装置内のキャリアの数、サイズおよび配置が異なる装置とを用いた多数の実験に基づいている。本発明は、すべての方法は、それぞれの異なる材料除去メカニズム(化学的、浸食、チッピング)や使用する装置の差異にも関わらず、特に要求の厳しい用途に好適な非常に平坦な半導体ウェハを有益に達成するために満たさなければならない基本的な運動学的および位相的条件を明らかに共有しているという、本願で得られた知見に基づいている。先行技術に関連して挙げた方法は、これらの相関関係を認識していないか、特に平坦な形状を有する半導体ウェハの経済的生産を可能にするのに十分ではないこれらの相関関係の切離された部分的な局面を考慮しているに過ぎない。
【0022】
本発明は、2つのパラメータxとeの比率に関する(図1参照)。xは、半導体ウェハを受ける隣接するキャリア13の開口部1の包絡線6同士の間の距離の半分である。この場合、キャリア13内に配置される開口部1の包絡線6はキャリア13内の円を意味すると理解すべきであり、その中点4は、キャリア13が中点4の周りを回転する時に開口部1が覆う面積の境界を付ける。換言すれば、包絡輪状線6は、開口部1の全面積を厳密に、かつ完全に含むキャリア13の中点4の周りの輪状線である。eはキャリア13の開口部1の偏心率であり、すなわち、開口部1がそれぞれのキャリア13の中心4の周りに配置されるピッチ円2の半径である。
【0023】
本発明は、特に平坦な半導体ウェハを得るため、および同時にその方法を特に経済的に実行できるようにするために、比率x/eを非常に限定された範囲から選択しなければならないという観察に特に基づいている。
【0024】
回転キャリアを用いる上述の両面群処理方法に精通した当業者であれば、当該方法を可能な限り経済的に実行することを試みるであろう。すなわち、当業者であれば、バッチ処理で同時に処理される半導体ウェハの全面積が、処理されるために環状加工ディスク上の最大限の比率の利用可能面積を確実に占めるようにするであろう。
【0025】
したがって、本発明の重要な知見は、この場合の半導体ウェハを任意に配置してはならず、むしろ、キャリア13の開口部1の配置、および隣接するキャリア13の包絡線6同士の間の距離を、比率x/eが1.2以下になるように選択しなければならないということである。
【0026】
それぞれの隣接するキャリア13同士の間の距離が均一であり、すべてのキャリア13の開口部1の配置が同一であると仮定すると、比率x/eは以下のように計算することができる:
x/e=R/e・sin(π/N)−r/e−1
この場合、Rは、内側駆動リング33および外側駆動リング35によって形成される転がり装置によってキャリア中点4が環状加工ディスク31と32との間で両面処理装置の中点3の周りを回転するピッチ円8の半径を表わし(図8参照)(遊星運動)、Nは、両面処理装置に挿入されるキャリア13の数を表わし、rは、半導体ウェハを受けるキャリア13の開口部1の半径を示し、eは、開口部1の中点5が存在するキャリア13の中心4の周りのピッチ円2の半径である。本発明によると、各キャリアは、半導体ウェハを受ける厳密に1つの開口部1を有する。
【0027】
キャリア13も同様に、ピッチ円8上の隣接するキャリア13の包絡線6同士の間の異なる距離2xを有して配置され得る。この場合、隣接するキャリアの包絡線同士の間の最大距離2xは、
x/e=R/e・sin(π/N*)−r/e−1
からの計算に従った結果として、本発明に本質的である。
【0028】
この場合、N*は、周角(2π rad)と、隣接するキャリア同士が互いに最大距離を空けられた状態で転がり装置に挿入される角度との比率を表わす。したがってこの場合、π/N*は、2つの隣接するキャリア13が互いに最大距離を空けられた状態で転がり装置に挿入される角度の半分を表わす。一般に、N*は整数ではない。なぜなら、キャリアが互いに異なる距離を有してそのように不均一に分布している場合、互いに最大距離を空けられた隣接するキャリア同士の間の角度は、一般に周角の除数ではないからである。すべての隣接するキャリア同士の間の距離が等しく、キャリアが均一に分布している場合は、N*=Nである。
【0029】
内側および外側ピン輪によって形成される転がり装置内のキャリア13の配置は好ましくは、各場合において隣接するキャリア13の包絡線6同士の距離が可能な限り等しくなるように行なわれる。しかし、数学上の理由(遊星歯車伝動の式)により、これが達成できるのは、外側および内側ピン輪のピンの総数が、剰余なしで挿入キャリアの数によって除算できるときのみである。これは、本発明に係る方法を実行するのに好適なすべての両面処理装置について構造的に実現されるわけではなく、実現されたとしても、通常は特定数のキャリアが挿入される場合のみである。隣接するキャリア13の包絡線6同士の距離が可能な限り等しい好ましい配置は、ここでは、すべてのキャリア13の隣接する包絡線6同士の間の平均距離からの、隣接する包絡線6同士の間の距離の偏差の絶対値の合計が最小になる配置と定義される。
【0030】
さらに、開口部1は、構成の異なるキャリア13の内部に異なるように配置されてもよい。この場合、キャリアLS1,LS2,…,LSN,i=1,2,…,Nのすべての偏心率eiの平均値が本発明に本質的である。しかし、すべてのキャリア13が開口部1の同一の配置を有すること、すなわち、構成のすべてのキャリア13が同一であることが好ましい。
【0031】
請求項1に表わされる不等式は、説明したすべての特別な場合を含むため、本発明を定義するために用いられる。
【0032】
実際は、キャリアの開口部の配置、ならびに、環状加工ディスク上の、キャリアの内側/外側ピン輪および外側歯によって形成される転がり装置内の少なくとも3つのキャリアの配置は、請求項1に表わされる不等式を満たすように、常に容易に見出すことができる。
【0033】
本発明によると、x/e≦1.2が意図される。したがって、測定後に、たとえばパラメータx/eが当初大き過ぎることが判明した所与の配置から始まって、まず、同じ種類のさらなるキャリアが転がり装置に挿入され得、正確には、好ましくは、できるだけ多くのキャリアが互いの距離が最小限のスペースを有し、特に、好ましくは互いの距離が可能な限り離れて等しいように挿入され得る。この測定の結果、隣接するキャリアの開口部配置の包絡線同士の間の決定距離2xが最小化されるため、x/eが減少する。これでも十分でない場合は、当初用いたキャリアを、各キャリアの開口部が当該キャリアの外側歯の歯元円にさらに近接するキャリアに交換してもよい。この結果、キャリアの開口部の配置の重要な偏心率eが増大するため、x/eが減少する。好ましくは、両方法の組合せも用いられる。
【0034】
本発明に本質的なパラメータx/eが0.55以下である配置が、特に均一な厚みを有する半導体ウェハの製造に特に好適であることが判明した。その理由は、所与の配置で得ることができる半導体ウェハの平坦度、たとえば半導体ウェハ全体の大域的平坦度(total thickness variation:TTV、全厚み変化;半導体ウェハの最大厚みと最小厚みとの差)によって表わされる平坦度、および1行程での厚み変動は、x/eの特に小さい値が実現されると減少する傾向があることが判明したためである。この場合の特に好ましい制限値x/e≦0.55は、以下のように生じる。
【0035】
半導体ウェハを製造する際、ラッピング、PPGまたはペレット研削の後、一般に化学機械研磨、好ましくは同時両面研磨(DSP)が行なわれる。研磨時は、非常に低い材料除去率しか得られない。したがって、研磨は時間が掛かり高価であるため、可能な限り低い材料除去で処理することが試みられている。しかし、経験上、DSPの場合は最小の除去も必要であり、当該最小除去は、熱平衡を達成するための装置および処理によって要求される最小遅延時間に起因する。これが、行程毎に制御可能な均一な結果を得るための唯一の方法である。研磨は通常、半導体ウェハの製造時の成形処理の最後の重要なステップであるため、このように処理される半導体ウェハの得られる平坦度および厚みの不変性に関する特に厳しい要件を満たす必要がある。経験上、良好な一定の結果を有するDSP最小除去は、約10μmである。安定したDSP処理を実行するための必要条件は、研磨前に半導体ウェハの平坦度が既に非常に良好であることと、バッチ処理のすべての半導体ウェハの当初の厚みの分布が非常に狭いことである。実際は、DSP行程後に得られる平坦度および厚みの均一性が、前駆体生産物の特性によってではなく、実行されたDSP処理の特性のみによって決定されるようにするために、DSP除去は、DSPバッチの半導体ウェハの初期の厚みの全変動帯域幅、すなわち最も厚い半導体ウェハの最大厚みから最も薄い半導体ウェハの最小厚みを引いたものよりも少なくとも約10倍高くなければならないことが分かっている。したがって、バッチの平均値の周りの初期の厚みの分布が±1μmであると仮定すると、約20μmのDSPの最小除去が必要である。これは経験値であり、実際に必要な除去値は、研磨パッドの種類、圧力および運動学、ならびに適用される研磨剤の特性に依存する。
【0036】
最後に、上述の経済的理由のためだけではないが、20〜30μmが最適なDSP除去値である。DSPを用いたより高い材料除去の場合、すなわち、研磨期間がより長くなり、したがって研磨剤の作用時間がより長くなると、研磨剤に含まれる微粒金属が必然的に半導体ウェハに移り、半導体ウェハを汚染する。したがって全体的に、品質、プロセス歩留まりおよび経済効率の観点から半導体ウェハの全体処理を高率で実行できるようにするためには、平坦度および厚みの変動の許容制限値しかない。当該制限値は、直径300mmのPPG研削またはペレット研削半導体ウェハについては、およそTTV=1μmである。より大型の半導体ウェハについては、許容可能なTTV値は、300mmの半導体ウェハの面積に対する当該半導体ウェハの面積の比率よりも高くてもよく、より小型の半導体ウェハについては、当該値は当該面積率未満である必要がある。x/e≦1.2の値、特に好ましくはx/e≦0.55の値が、この目的のために特に好適であることが分かっている。領域正規化TTV値、すなわち、300mmの半導体ウェハの面積に対するTTV値は、ここではTTV*と表わされる。
【0037】
キャリアには、両面処理装置の内側および外側駆動リング内に係合する外側歯が設けられている。駆動リングの歯またはピンは、キャリアの移動用の力を伝達できるようにするために十分な硬度、およびしたがって強度を有する必要があり、キャリアの対応する外側歯も、対応する最小の許容可能な歯のプロファイル深さを有する。半導体ウェハを受けるキャリアの開口部は、外側歯の歯元円に接近して任意に配置されると、キャリアの機械的安定性に悪影響を与えてしまう。したがって、xは任意に小さくすることはできない。実際は、事実上0.05未満のx/eの値は達成不可能である。したがって、0.05≦x/e≦0.55のパラメータx/eが特に好ましい。
【0038】
ラッピングおよび両面研磨は、3つの物体の相互作用によって半導体ウェハから材料を除去する方法であり、これらの3つの物体とは、ラッピングの場合は(1)ラッピングプレート、(2)ラッピング剤、(3)半導体ウェハであり、両面研磨の場合は(1)研磨パッド、(2)研磨剤、(3)半導体ウェハである。材料除去を達成するために、ラッピング剤または研磨剤は、加工間隙から、半導体ウェハの端縁上で、供給先まで運ばれなければならず、均一な材料除去を達成するために、半導体ウェハの面積全体にわたって、すなわち、ラッピングの場合は半導体ウェハとラッピングディスクとの間、両面研磨の場合は半導体ウェハと研磨パッドとの間の相互作用区域全体に、可能な限り均一に分布しなければならない。このために、半導体ウェハは可能な限り均一に、かつ、利用可能な加工ディスクの環状領域上で、請求項1に従った(および好ましくは請求項2に従った)それらの配置を示すパラメータの関係に従って分布されて処理されなければならない。
【0039】
ラッピング、PPG研削およびペレット研削の際、加工面は摩耗し易い。したがって、処理時に半導体ウェハが覆う面積が環状加工面の面積内にある場合、加工層(PPG研削、ペレット研削)または加工ディスク(ラッピング)のトラフ形状の厚みプロファイルが時間とともに径方向に形成され、これによって処理される半導体ウェハは、望ましくない凸状に増大する。これを抑制するため、半導体ウェハは、キャリアの固有回転時に、自身の面積の一部が環状加工面の内側および外側端縁を越えて一時的に延在するように、キャリア内に配置される。装置の中点の周りの加工ディスクの回転およびキャリアの回転のため、この場合、好適な回転速度が選択されたと仮定すると、いわゆる「変位した工作物」12(図1,3および4)が加工面の端縁全体を覆い、当該加工面がより均一に摩耗する。これによって、半導体ウェハを受けるキャリアの開口部の偏心配置、または半導体ウェハの直径よりも小さいリング幅を有する加工面が必要になる。
【0040】
DSPの場合、研磨パッドは、その形状を著しく変えるであろう摩耗の影響を受けないので、変位した加工物は不要である。
【0041】
しかし、半導体ウェハの直径よりも小さいリング幅を有する加工面の端縁上のキャリア内に同心配置された半導体ウェハによる一定の変位した加工物は、それ自体では不十分であることが判明した。平坦度および厚みの高均一性を得るためには、キャリア内の半導体ウェハの偏心配置がさらに必要である。これは、以下の理由により妥当であることが判明した。すなわち、ラッピングおよびDSPの間、半導体ウェハの偏心「ポンプ運動」が、半導体ウェハの端縁から中心へのラッピング剤および研磨剤のそれぞれの移動を明らかに支持するため、均一な材料除去を可能にする。(キャリア内に偏心配置された半導体ウェハは、転がり装置によって駆動されるキャリアの固有回転を受けると、遠心ポンプのインプラと同様のジャイロスコープ運動を行なうので、研磨剤、ラッピング剤または冷却潤滑油などの周囲の流体に運動エネルギを発するため、流体移動が行なわれる。)PPG研削またはペレット研削の場合、このポンプ運動はそれに対応して、半導体および加工層面上の冷却潤滑油のより均一な分布をもたらすため、加工間隙の加熱および変形を抑制する。さらに、キャリア内に不十分な偏心率で配置された半導体ウェハは、キャリアが加工間隙内で当該装置の中心の周りを回転している間、事実上同じ軌道上に回転している後のキャリアの半導体ウェハ用のラッピング剤または研磨剤または冷却潤滑油を消費するか移動させる。これによって、同一の処理行程内で、異なるキャリアの半導体ウェハの同一でない処理結果がもたらされる。
【0042】
遊星歯車運動学の特徴(サイクロイド軌道)のため、加工間隙のこの消耗は異方的に起こる。なぜなら、研磨剤またはラッピング剤または冷却潤滑油は、上側加工ディスク31の個別の供給部34を介した点にしか供給されず(図8)、キャリア内の半導体ウェハ配置の偏心率の欠如のために、加工間隙内で十分均一に分布しないからである。
【0043】
さらに、キャリアの受取り開口部内の半導体ウェハの有利な自由な移動が、不十分な偏心率によって抑制される。その理由は、対称性のために、半導体ウェハが同心配置されていると仮定すると、加工間隙内での移動時に半導体ウェハに作用する力が互い釣り合うため、結果的に、受取り開口部内の固有回転を駆動するトルクが半導体ウェハに全く作用しないからである。(キャリア内に同心配置された半導体ウェハの任意の点の軌道は、常に閉じた円である。)受取り開口部内の半導体ウェハの固有回転が欠如すると、非回転対称厚みプロファイル、すなわち「楔形」半導体ウェハがもたらされる。
【0044】
このような本発明に係らない配置が、半導体ウェハ同士の間、または隣接するキャリア内の半導体ウェハの配置の包絡線同士の間に広い隙間が生じるようにさらに具体化されると、このように行なわれる処理は特に不経済になる。なぜなら、高価な研磨剤またはラッピング剤が未使用のまま広い隙間を通じて加工間隙から流出し、利用可能な加工面が半導体ウェハによって不十分に覆われるからである(処理行程の小バッチサイズ;低スループット)。研磨剤またはラッピング剤の一部は、部分的に廃棄された使用済み研磨/ラッピング剤、および比例的に計量された新たな研磨/ラッピング剤の平衡状態で何度も再利用されて加工間隙に移動することができ、この処理は、一定範囲内の未使用のラッピング/研磨剤の割合に従って適合され得るが、この結果、風解(研磨剤)または凝集(ラッピング剤)のために多大な損失が常に生じ、このように処理される半導体ウェハの低い表面品質を受入れつつ、ラッピングまたは研磨スラリーのフィルタ処理および分離に関するかなりの労力を必要とする。
【0045】
また、ラッピングプレートおよび主に研磨パッドは、過剰なラッピング剤または研磨剤を有する領域よりも、ラッピング剤または研磨剤が減少した領域の方が、より高い程度まで加熱される。なぜなら、減少した領域では、新たに供給されるラッピング/研磨剤の冷却効果が欠如しているからである。特に、発泡プラスチックまたは織プラスチック繊維もしくはフェルト製プラスチック繊維からなり、したがって熱伝導率が非常に低い研磨パッドは、研磨時に特に急速に加熱される。この結果、パッドは局所的に膨張する。本発明に係らない配置の場合、膨張は加工ディスクの加工面全体に不均一に起こり、半導体ウェハの軌道上の不均一な圧力状況のために不均一な材料除去が生じる。研磨時、材料変化はさらに、研磨メカニズムの化学成分のために温度依存プロファイルを有する。したがって、半導体ウェハが不均一に覆う研磨パッドの局所的に変動する温度によって、特に不均一な材料除去、さらに、大きく変動する表面欠陥(初期エッチング、基本的な粗度の増大(「研磨もや」)がもたらされる。
【0046】
これとは対照的に、パッドまたはペレットによる研削の際は、材料除去は2つの物体、すなわち(1)研磨コーティング(パッドまたはペレット)内に結合した砥粒と、(2)半導体ウェハとの相互作用によって行われる。ここでは、ラッピングまたは両面研磨などにおける不均一な大量移動の問題を防ぐことができる。なぜなら、砥粒は加工層に固定結合され、有利な遊星運動学によって、処理対象の半導体ウェハの表面の各場所に均一に案内されるからである。したがって、結合粒子を用いる研削の際、均一な厚みを有する半導体ウェハが得られるのか、不均一な厚みを有する半導体ウェハが得られるのかを決定するさらなる処理が優勢になる。
【0047】
材料除去がゆっくりと、ラッピングプレートまたは研磨パッドと半導体ウェハとの接触区域における遊離研磨またはラッピング粒子の回転移動によって低い材料除去率で行なわれる研磨またはラッピングとは対照的に、結合粒子を用いる研削の場合の材料除去は、加工層と半導体ウェハとの相対運動による粒子移動の直接的な力伝達のため、研磨またはラッピングの場合よりも、比較的かなり高い材料除去率で行なわれる。
【0048】
バッチ処理のすべての半導体ウェハの厚みの減少に関連して、研磨の場合は典型的に0.5〜1μm/分の除去率が達成され、ラッピングの場合は典型的に、ラッピング粒子材料および粒子径に依存して3〜5μm/分が達成され、研削の場合は20〜40μm/分が達成される。したがって、研削の場合、特に大量の研磨スラリーが単位時間毎に生じ、正確には半導体ウェハの面積全体に均一に生じる。研磨パッドが詰まらずに均一な切削能力を維持し、蓄積した研磨スラリーによる異なる摺動摩擦の結果としての局所的な過熱を防ぐために、スラリーを除去する必要がある。ここで、関連のジャイロスコープ運動またはポンプ運動を用いたキャリア内の半導体ウェハ配置の十分に大きい偏心率によって、生じる研磨スラリーの迅速な除去が明らかに促進される。さらに、ジャイロスコープ運動によって冷却潤滑油が確実に均一に供給されるため、半導体ウェハの全面の十分かつ均一な冷却が支持される。
【0049】
特に研削(2つの物体の相互作用)の場合、しかし同様にラッピングまたは研磨の場合も、半導体ウェハは、冷却潤滑油(またはラッピング剤または研磨剤)が蓄積した場所で「浮遊」することができるため、加工層との材料除去係合を外れて移動できる。この結果、半導体ウェハの平坦度および厚みの変動が悪化した、軌道上の不均一な材料除去が生じる。たとえば、処理装置から1つ以上のキャリアを取除き、残りのキャリアをこのようにして得られたスペース全体に可能な限り均一に分布させることによって、隣接するキャリア同士の間、したがって半導体ウェハ同士の間の距離を大きくしても、局所的に蓄積した作用剤または不適切に除去された研削、ラッピングまたは研磨スラリーの問題は解決されない。なぜなら、広い隙間を介して、作用媒体が半導体ウェハと接触せずに単に未使用のまま流出してしまうからである。これによって実際、加工間隙の不均一な温度が強化される。また、このような手順は不経済である(バッチ処理毎の半導体ウェハの数の減少;作用媒体の無駄)。
【0050】
キャリア内の半導体ウェハの偏心配置によって、キャリアの転がり(固有回転および装置中点の周りの回転)の際、半導体ウェハが移動時にその軌跡に沿って受取り開口部の壁に押付けられる絶対値および方向に従った荷重の変化、ならびにその面積全体の摩擦力の分布の変化がもたらされる。この結果、半導体ウェハの固有回転はキャリアの受取り開口部内で駆動され、開口部内でウェハは結局、緩く存在する。この半導体ウェハの固有回転によって、装置中心の周りに、キャリアの2自由度しか有さない純粋な遊星回転に対して、付加的な3自由度がもたらされる。この加工物移動の付加的な自由度によって半導体ウェハの特に異方的な処理がもたらされ、行程構成のすべての半導体ウェハの特に良好な厚みおよび良好な平坦度の均一性が得られる。偏心率の欠如によってキャリア内の半導体ウェハの固有回転が抑制され、たとえば半導体ウェハの厚みプロファイルの楔形形状の形態で、回転非対称の半導体ウェハがもたらされる。
【0051】
下側加工ディスクに対する上側加工ディスクの位置は、3点によって完全に決定される。(3点が平面の位置を完全に決定する。)3つのキャリアの各々が、自身の内部に正確に同心配置された半導体ウェハを有する場合、下側加工ディスクに対する上側加工ディスクの位置、およびしたがって加工ディスク同士の間の加工間隙が、実際に正確に決定されることになる。その結果、たとえば半導体ウェハが異なる初期の厚みを有することによって生じる、下側加工ディスクに対する上側加工ディスクの初期の傾斜位置によって、処理時、下側加工ディスクに対する上側加工ディスクの不減衰の揺動として、異なる厚みを有する楔形半導体ウェハがもたらされる。
【0052】
しかし、キャリア内の偏心配置のために半導体ウェハが偏心運動をさらにを行なう場合、上側加工ディスクの位置を決定する半導体ウェハ上の軸受点は、それに対応して処理時に常に移動し、揺動がもはや発生しないか大幅に減衰されるため、行程バッチの半導体ウェハの形状および厚みが迅速に一致して、行程におけるすべての半導体ウェハにわたって良好な平坦度および厚みの不変性が得られる。したがって、半導体ウェハが十分に偏心配置されていると仮定すると、処理行程における最小限バッチである、合計3つのキャリア内の合計3枚の半導体ウェハしかない場合でも、良好な平坦度および厚みの均一性が得られる。
【0053】
半導体ウェハの数をさらに増やすこと、すなわち、半導体ウェハが隣接するキャリア内で可能な限り互いに近接した(小距離2x)可能な限り多くのキャリアを選択することが特に有利である。この結果、下側加工ディスクに対する上側加工ディスクの位置が幾何学的に過剰決定され(4つ以上の軸受点)、この結果、均一な厚みを有する特に平坦な半導体ウェハが得られる。(形状または厚みの偏差を有する半導体ウェハは、平面平行形状に向かう材料除去の態様で処理されない限り、3点によって既に規定された加工間隙の間をもはや移動することはできない。)
したがって、良好な処理結果は、好ましい範囲x/e≦1.2内の距離2xおよび偏心率eの特定の比率についてのみ得られ、これは、各キャリアが半導体ウェハを受ける開口部を有する遊星運動学を用いるすべての両面処理方法についての材料除去作用の特定的なメカニズムに関係なく当てはまる。これは特に、300mmよりも大きい直径を有する大型半導体ウェハについても同じである。当該半導体ウェハは、特に、400mm以上の直径を有し得る。シリコンウェハの場合、実際的な用途には450mmの直径がますます重要になるであろう。
【0054】
半導体ウェハ群の両面を同時に処理する本方法は、さらに大型の半導体ウェハについてもおそらく有利である。適用範囲が限定されるのは構造上の制限によってのみであり、たとえば、必要な加工ディスク直径が、自身の上に、それぞれの半導体ウェハを受けるための十分なサイズの少なくとも3つのキャリアを配置できるようにするために、2.5mmよりもかなり大きい必要がある場合などに制限される。非常に大型の半導体ウェハについては、キャリア1つ当たり厳密に1枚の半導体ウェハのみを有する特定の配置が重要になる。(450mmの3枚の半導体ウェハを各々が有する3つのキャリアを有する両面処理装置について考えられる最小構成は、たとえば少なくとも2355mmの直径を有する。450mmの3枚の半導体ウェハを各々が有する5つのキャリアについての運動学的に好ましい設計によって、たとえば少なくとも2955mmの加工ディスクの直径がもたらされる。適切なキャリアはもはや、直径300mmの3枚の半導体ウェハの構成と比べて、非破壊的な態様で225%増大した摩擦力を印加するほど十分に安定していない。)これとは対照的に、半導体ウェハを1枚しか担持しないキャリアを有する装置は、各場合において、最大600mmの半導体ウェハ直径まで確実に適用可能である。
【0055】
実施例および比較実施例
実施例1
図1を参照して、まず本発明に係る関係をより詳細に説明する。図1は、本発明に係る配置例を示す。示される実施例では、5個(N=5)のキャリア13が、環状加工ディスク上の両面処理装置の中点3の周りの半径Rを有するピッチ円8上のそれぞれの中点4に関して配置される。各キャリア13内で、直径450mmの半導体ウェハが1枚のみ、半径rの受取り開口部1に挿入される。
【0056】
この場合、開口部1の中点5は、キャリアの中点4の周りの半径eを有するピッチ円2上に配置される。この場合、半導体ウェハが自由に移動でき続け、かつ開口部1内で自由に回転するか、自身の周囲によって開口部1の壁上を自由に転がることができるように、開口部1の半径rは半導体ウェハの半径r*よりも若干大きい。開口部1内の半導体ウェハの正確な位置、および処理時の半導体ウェハの移動は、挿入が緩いために未知である。しかし、本発明に関して、処理時の開口部内の半導体ウェハの正確な位置は重要ではないため、半導体ウェハは分かりやすくするために図1には示していない。
【0057】
キャリア13がその中点4の周りに回転した結果、開口部1は、中点4に関して同心配置された輪状包絡線6によって境界を付けられる領域を覆う。この場合、構造上の拘束によって、包絡線6は常に各キャリア13の外側歯のピッチ円7内に完全に存在し、これによって、キャリアは内側および外側ピン輪によって形成される転がり装置内で転がるため、両面処理装置の中心3の周りの遊星経路上に回転する。本発明によると、各キャリア13は各場合において厳密に1つの開口部1を含む。隣接するキャリア13の包絡線6は、互いに距離2xだけ離れている。
【0058】
図1に示す実施例では、ピーターウォルターズ社(Peter Wolters GmbH)(ドイツ、レンズブルグ)の「AC−2000」型の両面処理装置を使用し、それに対してPPG法に従った処理を実行した。当該装置は、外側ピン輪のピッチ円径20が1970mmであり、内側ピン輪のピッチ円径14が530mmである。したがって、キャリアは、自身の外側歯のピッチ円径7が720mmであり、キャリア13の中点4が存在するピッチ円8の半径はしたがってR=625mmであった。次に、半径r*=225mm(φ450mm)の半導体ウェハ13を受ける半径r=225.5mmの開口部1の中点5が、キャリアの中点4に対する絶対値e=111.5mmによって偏心配置されるように、キャリア13を本発明に従って設計した。したがって、半導体ウェハは径方向の遊びが0.5mmであり、すなわち、開口部内の直径の遊びが1mmであった。選択した偏心率によって、半導体ウェハを有する開口部1が、自身の面積の一部がその内側端縁11および外側端縁10を最大10mmだけ越えて(変位ウェハ12)一時的に延在するように、環状加工層40のサイズを調整した。
【0059】
キャリア内の開口部の偏心率eは、最大限に、すなわち、定期的に「変位ウェハ」に入るために加工層によって垂直方向に案内および支持されないキャリアがこの領域内で曲がることができないように十分な材料(硬化鋼)が残留し続けるように選択した。R=625mm、N=5、r=225.5mmおよびe=111.5mmの場合、x=30.366mmおよびx/e=0.272が得られる。したがって、x/eは、特に好ましい範囲である0.05≦x/e≦0.55内にある。
【0060】
図1に示す例におけるPPG研磨パッドは、粒径が2〜6μm(累積粒径濃度の5%および95%の値)であるダイヤモンドを研磨剤として含有していた。圧力下での加工ディスクと半導体ウェハとの相対運動の結果、かつ水を添加して、当該研磨剤は、幾何学的に不定の切込みでチッピング材料除去を行なった。
【0061】
図1に示す実施例で用いた装置は、処理時に半導体ウェハが移動する加工層同士の間の加工間隙が、機械的(圧力蓄積)および熱的交番荷重(チッピング加工、摩擦加工、駆動損失)下で平行に維持され得るように、上側加工ディスクの目標変形のための装置を有する。上側加工ディスクの変形は、加工ディスクの2つの表面同士の間の距離を処理時に連続的かつ非接触的に測定する(図8の概略図の装置の参照番号37)上側加工ディスクに配置された2つのセンサを用いて、閉制御ループ内で起こった。
【0062】
図7は、実施例1に従って処理された半導体ウェハの直径厚みプロファイルT(r*)をマイクロメートル(μm)で示す。この直径厚みプロファイルは、互いに対向配置された2本の測定プローブが、半導体ウェハの前面および後面上の8個の半径(2つの隣り合う半径同士の間の角度は45°)を追跡する容量測定法によって求めた。測定プローブ、それに対向する半導体ウェハの表面、およびその間の少量の空気が、各場合においてキャパシタを形成する。それぞれの少量の空気の厚み(誘電体)は、容量の測定によって求める。測定プローブは、半導体ウェハを含む共通クリップ上に互いに固定距離を空けて取付けられているため、これによって、半導体ウェハの両面の高さプロファイルの直接的な測定が得られる。既知の厚みを有する半導体ウェハの測定によって測定プローブの距離を較正した後、これらの高さの値同士の差異によって、半導体ウェハの絶対厚みが得られる。
【0063】
当該測定装置は、45°の距離毎に8個の半径を測定し、そこから4つの直径の厚みプロファイルをまとめる。図7は、これら4つの直径測定値から計算した平均厚みプロファイルを示す。図7は、図1に示す配置で処理された半導体ウェハの厚みは非常に均一であることを示す(曲線17)。このようにして得られた厚みプロファイルの「端縁」構造は、使用した450mmのプロトタイプの測定装置の測定精度を反映している。本発明に係る方法によって処理された半導体ウェハの平坦度は、この分析限界に近づく。
【0064】
比較例1
図2は、比較例として、本発明に係らない配置を示す。実施例1と同じ装置(図1)を使用した。研磨パッド、冷却潤滑油の種類、および流れ(水)は同一である。同一の材料除去率(処理時の同等の機械的および熱的交番荷重)を得るために、下側加工ディスクに対する上側加工ディスクの圧力を、バッチ内の半導体ウェハの数に比例して減少させた。処理行程のすべての半導体ウェハの厚みの平均値の周りの各半導体ウェハの平均の個々の厚みの最適な平坦度および最小変動を得るために、実施例1で説明したように、加工間隙の距離を処理時に測定および調整装置によって常に一定に保った。
【0065】
唯一の相違点は、実施例1のように(最大可能数のうち)5個のキャリアを挿入する代わりに、比較例1では3つのキャリアしか挿入しなかったことであり、正確には、隣接するキャリア13の包絡線6同士の間の同一距離2xを用い、すなわち、互いに対する角度が120°であった。
【0066】
配置を決定する特徴的なパラメータR=625mm,r=225.5mm(r*=225mmの半導体ウェハ、すなわち直径450mm)およびe=111.5mmは、比較例1でも実施例1と同じであったが、比較例1では(実施例1のN=5に対して)N=3である。x=204.266mmの場合、予想通り、隣接するキャリア同士の間の半導体ウェハを受ける開口部1の配置の包絡線6同士の間の半分の距離は非常に大きかった。x/e=1.832の場合、本発明にとって重要なパラメータは、本発明に係らない範囲内にある。
【0067】
このような大きい距離を有する配置によって、処理行程毎に極端に異なる半導体ウェハ、したがってたとえば、図6に示すような厚みプロファイルを有するウェハが得られる。(厚みプロファイルは、図7に関連して説明した測定方法によって同様に求めた。)図6は、凸型の不規則な形状を有する半導体ウェハの厚みプロファイルを示す。キャリア内の半導体ウェハの偏心位置のため、受取り開口部内で半導体ウェハの十分な固有回転が依然として明らかに発生したため、厚みプロファイルは非対称の楔形ではないが、依然としして若干の回転対称を有する。(最大厚みの領域は半導体ウェハの中心にある。)しかし、異なる方位角について記録された測定トラック全体の測定方法の平均化は、得られた一次元の厚みプロファイルが、半導体ウェハ全体の実際の二次元の厚みプロファイルについてはそうでなくても、常にほぼ回転方向に対称に見える効果を有する。
【0068】
実施例1(図1)および比較例1(図2)は、図1および図2では同一の、キャリア内の半導体ウェハの偏心配置だけでは良好な処理結果を得るのに不十分であることを実証している。
【0069】
比較例2
図3は、本発明に係らない配置のさらなる比較例を示し、開口部1がキャリア内に完全に同心配置されている。同図は、合計6個のキャリア内の合計6個(N=6)の450mmの半導体ウェハ(r*=225mm)の配置を示しており、これらの外側歯のピッチ円径は482.85mmである。この例は、ピーターウォルターズ社のAC1500P3型の処理装置を使用して得られ、装置中点3の周りのキャリア中点の回転についてのピッチ円8はR=507.75mmであった。当該処理は、実施例1および比較例1と同一の加工層および冷却潤滑油(水)を用いたPPGとして実行した。キャリアのサイズが小さいため、450mmの半導体ウェハの配置は、ほぼ完全に同心円状であるときにのみ可能である。示される他の実施例および比較例と同様に、かつ先行技術において慣例のように、半導体ウェハを受けるキャリアの開口部は合成樹脂(「インサート」)で裏打ちされている。これによって、半導体ウェハがキャリアの材料と直接接触することが防止されるため、キャリア材料の硬鋼との直接接触による半導体ウェハの損傷、および微量金属(Fe、Ni、Cu)による汚染が防止される。この裏打ちは、射出成形法によって導入される。射出成形時の高圧のため、および冷却時の導入合成樹脂の収縮の結果として、鋼体が弾性変形するため、裏打ちは一般に真円度偏差および偏心率が小さい。これは、図2に示す例では、およそe=0.5mmであった。
【0070】
これによって、半導体ウェハを受ける開口部1の配置の包絡線6同士の間の距離2xがx=28.363mmとして得られ、x/e=427は、本発明に係らない範囲内にある。
【0071】
比較例2における包絡線同士の間の距離は、本発明に係る実施例1の距離よりもさらに小さいが、平坦度および厚みの変動についての処理結果が非常に悪い半導体ウェハが得られる。したがって、半導体ウェハを有する利用可能な加工面の可能な最高占有率−経済的理由から明らかである―も、同様に、それ自体では良好な処理結果を得るのに不十分である。
【0072】
説明した実施例および比較例において特定的に得られた平坦度、ならびに、ここで用いた半導体ウェハの配置の方法、装置およびパラメータを表1にまとめる。表1は、パラメータx/e、得られた平坦度(TTV)、および、PPG、ラッピングおよびDSPによって本発明に従って、かつ本発明には従わずに処理された半導体ウェハに用いた装置の特徴的なパラメータを示す。表1はさらに、ここで用いた多数のさらなる配置、装置および方法について得られた平坦度も示すが、これはここではより詳細には説明しない。
【0073】
実施例2
実施例2では、最後に、比較例2と、同一の処理装置についての本発明に係る配置(N=6、R=507.75)を比較する。この配置を図4に示す。転がり装置には再び、6個のキャリアを最大密度で配置した。比較例2(図3)とは対照的に本発明に係る実施例2(図4)における小さなキャリア内の半導体ウェハの偏心配置を達成するために、より小型の半導体ウェハを使用し(r*=150mm、すなわち直径300mmの半導体ウェハ)、r=150.5mmの開口部1に挿入した。この場合、開口部1の偏心率eは、両方の場合において隣接するキャリアの包絡線6同士がほぼ等しい距離2x(実施例2ではx=30.875、比較例2ではx=28.363)を有するように(e=72.5mm)選択した。実施例2では、x/e=0.426が望ましい範囲内に生じた。
【0074】
比較例2と同じ方法で実施例2に従ってPPG処理された半導体ウェハは、表1にまとめられる結果をもたらした(TTV=0.9μm)。
【0075】
したがって、実施例2および比較例2は、高密度の占有率(隣接するキャリア13の開口部1の配置の包絡線6同士の間の小距離2x)は必要であるが、それ自身では良好な処理結果を得るのに不十分であることを示す。(比較例1のように距離2xが極端に大きい場合は、偏心率eをどのように選択しても良好な処理結果は得られない。)
さらなる実施例および比較例
表1は、ラッピング処理によって得られた実施例および比較例も含む。ラッピングによって本発明に従って処理された半導体ウェハについては、非常に平坦な厚みプロファイルを有する平坦で厚みが均一の半導体ウェハが得られ、これらは、図7に示すPPGによって処理された半導体ウェハの実施例1と同様である。本発明に従わずに行なったラッピング方法の場合(x/e>1.2)、たとえば図5に示されるような厚みプロファイルを有する半導体ウェハが得られる。PPGによって本発明に従わずに処理された半導体ウェハ(図6)の場合と同様の態様で、図5は、凸状の厚みプロファイルを有する半導体ウェハを示す。ここでも、最大厚みの場所は半導体ウェハの中心に位置しているが、本発明に従わずにラッピングされた半導体ウェハの凸形状は、半導体ウェハの中心から端縁にかけて、厚み15がより均一に、かつ著しく回転対称に減少している。
【0076】
表1にまとめた結果を図9にグラフで示す。黒丸(●)はPPG法に関し、白丸(○)はラッピング法に関し、白い四角(□)はDSP法に関する。使用したさまざまな半導体ウェハ直径についての本発明に係る、および本発明に係らないパラメータx/eを用いて実行したさまざまな実施例および比較例についてのTTVを比較できるようにするために、各場合において半導体ウェハ全面で実際に求めたTTV値を、直径300mmの同一の平坦度を有する半導体ウェハについてコンピュータ的に生成された値に変換した。したがって、比較値TTV*=TTV/2.25を得るために、450mmの半導体ウェハのTTV値を2.25で除算し、これは、300mmの半導体ウェハと比べて2.25倍大きい450mmの半導体ウェハの測定面積を考慮している。
【0077】
図9は、TTV*≦1μmであるx/eについての本発明に係る範囲が、TTV*>1μmであるx/eについての本発明に係らない範囲とは明確に区別されることを示す。ここでは、TTV*<1μmであるパラメータx/eが、DSPおよびPPGについて特に好まれる。ラッピングによって処理される半導体ウェハについては、特に好ましいTTV*値は、1μm(18)よりも若干大きくてもよい。ラッピングによって、脆性侵食材料除去メカニズムのために、半導体ウェハの表面近くの層に著しく深い損傷(表面下損傷)を有する表面が生成され、それを除去するには、ラッピングと研磨との間に挿入される付加的な材料除去ステップが必要となる。たとえば、材料除去の態様で両面を連続的に処理する片面微粉砕装置を用いたエッチングもしくは微粉砕、または材料除去が増加した研磨が必要となる。したがって、ラッピング処理された半導体ウェハに結局必要となるこの付加的な処理のため、相対平坦度TTV*が多少悪くても許容可能である。
【0078】
【表1】

【符号の説明】
【0079】
参照符号および略語の一覧
1 半導体ウェハを受ける開口部
2 半導体ウェハを受けるキャリアの開口部の配置のピッチ円
3 両面処理装置の中点
4 キャリアの中点
5 半導体ウェハを受ける開口部の中点
6 キャリアの中点の周りのキャリア内の半導体ウェハを受ける開口部の配置の包絡輪状線
7 キャリアの外側歯のピッチ円
8 両面処理装置の中点の周りのキャリア中点の回転のピッチ円(遊星経路)
9 2つの隣接するキャリアの中点を結ぶ直線
10 環状加工ディスクの外側端縁
11 環状加工ディスクの内側端縁
12 加工ディスクの端縁を越えた半導体ウェハの変位の領域
13 キャリア
14 内側駆動リングのピッチ円
15 半導体ウェハの凸状厚みプロファイル
16 半導体ウェハの凸状の不規則な厚みプロファイル
17 半導体ウェハの均一な厚みプロファイル
18 本発明に係る望ましい範囲内のx/eパラメータおよびTTV*を有する方法構成のセット
19 望ましい範囲内ではないが、依然として本発明に係る範囲内のx/eパラメータおよびTTV*を有する方法構成のセット
20 外側駆動リングのピッチ円
21 本発明に係らない範囲内のx/eパラメータおよびTTV*を有する方法構成のセット
30 加工間隙
31 上側加工ディスク
32 下側加工ディスク
33 内側駆動リング
34 作用剤を供給するための穴
35 外側駆動リング
36 半導体ウェハ
37 加工間隙幅の測定装置
39 上側加工層
40 下側加工層
e キャリア内の半導体ウェハを受ける開口部の配置のピッチ円半径(開口部の偏心率)
a 外側駆動リングの回転速度
i 内側駆動リングの回転速度
o 上側加工ディスクの回転速度
u 下側加工ディスクの回転速度
* 半導体ウェハの半径
r 半導体ウェハを受けるキャリアの円形開口部の半径
N 両面処理装置のキャリアの数
* 隣接するキャリア同士が互いに最大距離を空けられた状態で転がり装置に挿入される角度に対する周角の比率
R 両面処理装置の中点の周りのキャリア中点の回転のピッチ円半径(遊星経路半径)
T 半導体ウェハの厚み
TTV 全厚み変化(半導体ウェハ全体の厚み変化の範囲、最小…最大)
TTV* 領域正規化TTV、すなわち、300mmの半導体ウェハの面積に対するTTV
x 2つの隣接するキャリアの包絡線6同士の間の距離の半分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面処理装置の2枚の回転する環状加工ディスク同士の間の少なくとも3枚の半導体ウェハの両面の同時材料除去処理のための方法であって、両面処理装置は、少なくとも3つのキャリアを回転させる転がり装置を有し、キャリアの各々は厳密に1つの開口部を有し、当該開口部に1枚の半導体ウェハが、加工ディスク同士の間のサイクロイド軌道上を移動するように、自由に移動できるように挿入され、両面処理装置内のキャリアの配置およびキャリアの開口部の配置は、不等式
R/e・sin(π/N*)−r/e−1≦1.2
を満たすようなものであり、N*は、周角と、隣接するキャリア同士が互いに最大距離を空けられた状態で転がり装置に挿入される角度との比率を表わし、rは半導体ウェハを受ける開口部の半径を表わし、eは、開口部が配置されるキャリアの中点の周りのピッチ円の半径を表わし、Rは、キャリアが転がり装置によって加工ディスク同士の間を移動するピッチ円の半径を表わす、方法。
【請求項2】
両面処理装置内のキャリアの配置、およびキャリアの開口部の配置は、不等式
0.05≦R/e・sin(π/N*)−r/e−1≦0.55
を満たすようなものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
半導体ウェハの直径は400mm以上である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
すべてのキャリアの開口部はサイズが同一であり、キャリア上に同様に配置される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
各キャリア上に、半導体ウェハを受ける開口部を厳密に完全に含む包絡輪状線が、キャリアの中点の周りに規定され、キャリアは、隣接する包絡輪状線同士の間の平均距離からの、隣接するキャリアの包絡輪状線同士の間の距離の偏差の絶対値の合計が最小になるように、転がり装置に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
すべての隣接するキャリアの包絡輪状線同士の間の距離は等しい、請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−125913(P2012−125913A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−270161(P2011−270161)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】