説明

尿路感染症予防改善剤

【課題】副作用や耐性菌の発現を抑制し、入手が容易であるため、長期間において予防的に使用可能である尿路感染症予防改善剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の尿路感染症予防改善剤はD−(+)−マンノースを含有することを特徴とする。D−(+)−マンノースは、植物のヘミセルロース由来であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D−(+)−マンノースを含有する尿路感染症予防改善剤、該尿路感染症予防改善剤を含有する飲食品、飼料およびペットフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿路感染症は、尿道、膀胱、腎臓など尿の通り道(尿路)に細菌が感染して炎症を起こす病気であり、膀胱炎、尿道炎、腎盂炎などの総称である。症状としては、頻尿、排尿痛、尿の混濁、残尿感、膀胱付近の不快感などが挙げられる。尿路感染症に罹患した場合は、平均6.1日の症状の持続期間、平均2.4日の日常活動の制限、平均1.2日の就業制限、平均0.4日の臥床などが発生し、日常生活に影響を受ける(非特許文献1)。
【0003】
尿路感染症は、最も頻繁に起こる細菌感染症の一つであり、特に女性での罹患率が高く、米国では、一生涯において、女性の尿路感染症の罹患率は60%であると報告されている。尿路感染症のなかでも、急性膀胱炎は約半数が1年以内に再発すると言われている(非特許文献2)。
【0004】
尿路感染症に対する治療法は、ニューキノロン系薬剤等の抗生物質の投与が一般的である(非特許文献1)。しかしながら、このような抗生物質を使用する際には、副作用、耐性菌の発現が問題となっている。また、薬事法の改正により、このような抗生物質の使用には処方箋が必要になったため、予防的な摂取や、長期間の摂取といったような日常的な摂取が不可能である場合があった。また、尿路感染症は、本来は診察を受けるべき疾患であるが、泌尿器科を訪れるのをためらい自然治癒を選択する場合もあった。
【0005】
D−(+)−マンノースは、細胞表面の糖鎖の構成成分であり、細胞間のコミュニケーションに重要な役割を担うものである。さらに、大腸菌やサルモネラ菌等の有害細菌の腸管への定着を阻害することが見出されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、D−(+)−マンノースを摂取した場合に、尿路感染症を予防改善する効果があることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−38064号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本感染症学会・日本化学療法学会編集、「抗菌薬使用の手引き」、2001年
【非特許文献2】土屋紀子、Yamanashi nursing journal、4巻1号、2005年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、こうした背景から、副作用や耐性菌の発現を抑制し、入手が容易なため長期間において予防的に使用可能である尿路感染症予防改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、D−(+)−マンノースに尿路感染症を予防し、さらに改善する効果があることを初めて見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)D−(+)−マンノースを含有することを特徴とする尿路感染症予防改善剤。
(2)D−(+)−マンノースが、植物のヘミセルロース由来であることを特徴とする(1)の尿路感染症予防改善剤。
(3)植物のヘミセルロースが、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナンから選ばれる少なくとも一つを構成成分とすることを特徴とする(1)又は(2)の尿路感染症予防改善剤。
(4)植物が、パーム、ココヤシ、コンニャクイモから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする(1)〜(3)の尿路感染症予防改善剤。
(5)D−(+)−マンノースが、植物のヘミセルロースを加水分解することにより得られたものであることを特徴とする(1)〜(4)の尿路感染症予防改善剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の尿路感染症予防改善剤を含有することを特徴とする飲食品。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の尿路感染症予防改善剤を含有することを特徴とする飼料。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の尿路感染症予防改善剤を含有することを特徴とするペットフード。
【発明の効果】
【0010】
本発明の尿路感染症予防改善剤は、副作用や耐性菌の発現を防止または抑制することができる。また、入手が容易なため、長期間において予防的に使用可能である。さらに、本発明の尿路感染症予防改善剤を含有する飲食品、飼料、ペットフードを摂取することにより、ヒトや動物の尿路感染症を、予防改善しうるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の尿路感染症予防改善剤は、D−(+)−マンノースを含有するものである。
【0012】
D−(+)−マンノースは六単糖の一種である。D−(+)−マンノースは、多糖の形で自然界に広く存在し、なかでも、植物のヘミセルロースに多く存在する。
【0013】
本発明で用いられるD−(+)−マンノースを得る方法は特に制限されず、植物ヘミセルロースや微生物多糖を加水分解して得る方法、グルコースまたはフルクトースを酵素あるいは化学的に異性化して得る方法、マンニトールを酸化して得る方法などが挙げられる。なかでも、植物ヘミセルロースを加水分解して得られるD−(+)−マンノースを用いることが、安全性およびコストの観点から、最も好ましい。植物ヘミセルロースを加水分解する場合には、酸、アルカリ、酵素を用いて加水分解したり、高温高圧の環境下で加水分解したりすることができる。このうち、副産物が少ない点、加水分解工程における設備の制限が少ない点や、環境への負荷が少ない点で、酵素を用いて加水分解し、D−(+)−マンノースを得ることが最も好ましい。
【0014】
植物のヘミセルロースとしては、特に限定されず、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン等を構成成分としたものが挙げられる。このうち、D−(+)−マンノースを容易に精製しうる観点から、マンナン、グルコマンナンがより好ましい。さらに、D−(+)−マンノースを多く含有する観点から、マンナンが最も好ましい。なお、本発明において植物のヘミセルロースとは、植物細胞壁に含まれるもののうちセルロースを除いた多糖類をいう。
【0015】
植物のヘミセルロースを加水分解してD−(+)−マンノースを得る際に、マンナンを用いる場合において、マンナンの原料としては、特に限定されないが、パーム(アブラヤシ)、ココヤシ、ゾウゲヤシ、コーヒー、サイハイラン、コンニャクイモ等が挙げられる。なかでも、マンナンを多く含有する観点からパームが好ましく、特にパームの中のパーム核が最も好ましい。
【0016】
植物のヘミセルロースを加水分解するためには、例えば、パーム核、ココヤシ、コーヒー豆、グアー豆(グアーガム)、コンニャクイモなどの植物のヘミセルロースに、マンナナーゼ、ガラクトマンナナーゼなどの酵素を作用させ、例えば、20〜70℃で、2〜72時間処理することが挙げられる。
【0017】
上記のような手段で得られたD−(+)−マンノースは、液状組成物であり、通常多くの不純物が含まれている。本発明においては、該液状組成物をそのまま用いても良いが、多量の摂取を回避するとの観点から、精製して純度を高めたもの、あるいは固形状としたものを使用してもよい。D−(+)−マンノースを精製したり、固形状としたりするためには、固液分離、樹脂精製、膜精製、濃縮、噴霧乾燥、凍結乾燥、晶析等の公知の技術を用いることができる。
【0018】
本発明の尿路感染症予防改善剤におけるD−(+)−マンノースの含有量は、特に限定されないが、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。D−(+)−マンノース含有量が10質量%未満であれば、尿路感染症予防改善効果のために、多量の尿路感染症予防改善剤を摂取することが必要となる場合がある。
【0019】
上記のD−(+)−マンノースの含有量の根拠は、1日に摂取するD−(+)−マンノースの量に存する。すなわち、1日に摂取するD−(+)−マンノースの含有量が、100mg〜10gとなるように、さらには500mg〜5gとなるように、本発明の尿路感染症予防改善剤を調製することが好ましい。
【0020】
本発明の尿路感染症予防改善剤は、本発明の効果を損なわない限り、薬学分野において公知慣用な担体を用いることにより、製剤化し、種々の剤形とすることができる。剤形としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤;溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液体製剤が挙げられる。なかでも、服用の容易さの観点から、細粒剤や散剤とすることが好ましい。
【0021】
固形製剤を調製する場合に用いられる担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、着色剤等が挙げられる。賦形剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット、デキストリン、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、プルラン、無水ケイ酸、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。結合剤としては結晶セルロース、白糖、マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、水、エタノール等が挙げられる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、結晶セルロース等が挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸およびその金属塩、タルク、ホウ酸、脂肪酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、無水ケイ酸等が挙げられる。矯味矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0022】
液体製剤を調製する場合に用いられる担体としては、緩衝剤、安定化剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。緩衝剤としてはクエン酸塩、コハク酸塩等が挙げられる。安定化剤としてはレシチン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロースが挙げられる。矯味矯臭剤としては、上記の経口用固形製剤を調製する際に用いられる矯味矯臭剤と同様のものが挙げられる。
【0023】
また、本発明の尿路感染症予防改善剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、乳酸菌製剤などの、他の薬効を有する薬剤を含有していてもよい。それにより、尿路感染症予防効果以外の効果を併存させたり、尿路感染症予防改善効果をより向上させたりすることができる。
【0024】
本発明の尿路感染症予防改善剤を摂取する方法は、特に限定されないが、服用が容易であるとの観点から、経口投与により摂取することが好ましい。経口投与するためには、例えば、上記した担体等を尿路感染症予防改善剤に添加した後、公知慣用の方法により、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ゲル状、ペースト状、乳状、懸濁状、液状等の経口投与に適した形態に成形すればよい。また、本発明の尿路感染症予防改善剤には、味質の改善を目的として、本発明の効果を損なわない範囲で糖類、糖アルコール類、塩類、油脂類、アミノ酸類、有機酸類、果汁、野菜汁、香料、アルコール類、グリセリン等を含有することができる。
【0025】
また、本発明の尿路感染症予防改善剤を、既存の飲料又は食品に含有させることにより飲食品とし、経口投与に付してもよい。既存の飲料又は食品としては、例えば、うどんやパスタ等の加工麺;ハム・ソーセージ等の食肉加工食品;かまぼこ・ちくわ等の水産加工食品;バター・粉乳・醗酵乳等の乳加工品;ゼリー・アイスクリーム等のデザート類;パン類、菓子類、調味料類等の加工食品;および、清涼飲料水、アルコール飲料類、果汁飲料、野菜汁飲料、乳飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料等の飲料などが挙げられる。
【0026】
本発明の尿路感染症予防改善剤を既存の飲料又は食品に含有させることにより飲食品とする場合は、尿路感染症予防改善剤の形態は特に限定されず、飲料、グミ、キャンデーなどにおいては液体状の尿路感染症予防改善剤を、錠剤、顆粒、カプセルなどにおいては粉末状の尿路感染症予防改善剤を用いることができる。
【0027】
本発明の飲食品中のD−(+)−マンノースの含有量は、特に限定されないが、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。D−(+)−マンノース含有量が0.1質量%未満であれば、尿路感染症予防改善効果のために、多量の摂取が必要となる場合がある。なお、飲食品におけるD−(+)−マンノースの含有量の根拠は、上述の1日に摂取するD−(+)−マンノースの量に存する。
【0028】
本発明の尿路感染症予防改善剤を含有する飲食品は、例えば、約60kgの体重を有するヒトが該飲食品を摂取する場合において、D−(+)−マンノースとしての摂取量が、1日あたり約0.1〜10gとなるように摂取されることが好ましい。
【0029】
本発明の尿路感染症予防改善剤は、ヒトに対してだけではなく、動物に対しても、高い尿路感染症予防改善効果を発現しうるものである。従って、本発明の尿路感染症予防改善剤は動物の飼料またはペットフードに含有され、経口投与に付されてもよい。
【0030】
本発明の飼料とは、本発明の尿路感染症予防改善剤に、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦などの穀類、ふすま、米ぬかなどのぬか類、コーングルテンミール、コーンジャムミールなどの粕類、脱脂粉乳、ホエー、魚類、骨粉などの動物性飼料類、ビール酵母などの酵母類、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム類、ビタミン類、油脂類、アミノ酸類、糖類などを配合することにより製造することができる。飼料の形態としては、ペットフード、家畜飼料、養殖魚用飼料などに用いることができる。またペットフードとして用いる場合には、上記飲食品と同じ形態のもの(例えば、加工麺や食肉加工品など)を用いても何ら問題がない。
【0031】
本発明の飼料やペットフードにおける、D−(+)−マンノースの含有量は、特に限定されないが、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。D−(+)−マンノース含有量が0.1質量%未満であれば、尿路感染症予防改善効果のために、該飼料やペットフードを多量に摂取することが必要となる場合がある。なお、飼料やペットフードにおけるD−(+)−マンノースの含有量の根拠は、上述の1日に摂取するD−(+)−マンノースの量に存する。
【0032】
本発明の尿路感染症予防改善剤を含有する飼料またはペットフードは、例えば対象となる動物の体重が約60kgとすると、D−(+)−マンノースとしての摂取量が、1日あたり、約0.1〜10gとなるように摂取されることが好ましい。
【0033】
本発明の尿路感染症予防改善剤、飲食品、飼料、ペットフードをヒトや動物に摂取させることにより、高い尿路感染症予防改善効果を発現させることができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明する。
【0035】
(実施例1)
パーム核を粉砕、圧搾することにより得られたパーム核ミール1kgに、マンナナーゼ(新日本化学製、商品名「スミチームAC」)5g、水5Lおよびシュウ酸20gを加え、60℃で48時間反応させ、酵素失活させた。その後、珪藻土50gを添加して、濾紙を用いて吸引濾過を行い、清澄な濾液を得た。濾液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、樹脂名:ダイヤイオンSK1B)に通液させ、次いで、弱塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、樹脂名:ダイヤイオンWA10)に通液させてイオン性物質を除去した後、エバポレーターで減圧濃縮を行い、D−(+)−マンノースを43質量%含有する尿路感染症予防改善剤を得た。
(尿路感染症改善試験)
15人の膀胱炎再発頻度の高い女性被験者に、実施例1で得られた尿路感染症予防改善剤を、2.33g[D−(+)−マンノースの摂取量:1g]を、朝晩の1日2回、水100gとともに経口により摂取させた。半年間摂取を継続し、膀胱炎の再発頻度変化を調べた。
評価は、摂取開始以前と摂取開始以後とを比較することにより、以下の5段階で行った。
+2:膀胱炎がほとんど発症しなくなった
+1:膀胱炎がやや発症しにくくなった
0 :変化が無かった
−1:膀胱炎がやや発症しやすくなった
−2:膀胱炎が発症しやすくなった
評価結果を表1に示す。なお、この評価においては、3名が途中で尿路感染症予防改善剤の摂取を中断した。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から明らかなように、D−(+)−マンノース含有する尿路感染症予防改善剤を摂取することで、尿路感染症が予防・改善されることがわかった。
【0038】
(実施例2)
ドリンク剤の調製
実施例1で得られた尿路感染症予防改善剤 1500mg
アスコルビン酸(BASF武田ビタミン社製、商品名「L−アスコルビン酸(ビタミンC)」) 500mg
L−システイン(協和発酵バイオ社製、商品名「L−システイン塩酸塩協和」) 50mg
塩酸ピリドキシン(BASF武田ビタミン社製、商品名「ビタミンB6」) 40mg
リボフラビン(BASF武田ビタミン社製、商品名「リボフラビンFP」) 10mg
ビオチン(DSMニュートリション社製、商品名「ビオチン(結晶)」) 0.05mg
アスパルテーム(味の素ヘルシーサプライ社製、商品名「PAL SWEET DIET」) 5mg
クエン酸(磐田化学工業社製、商品名「クエン酸(結晶)」) 100mg
レモンフレーバー(パイオニア企画社製、商品名「レモンエッセンス」) 0.2ml
上記の成分を精製水に溶解し、200mlのドリンク剤を調製した。
【0039】
(実施例3)
ソフトカプセルの調製
実施例1で得られた尿路感染症予防改善剤 200mg
オリーブオイル(サミット製油社製、商品名「エクストラバージンオリーブオイル」) 250mg
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、商品名「ポエムS」) 25mg
ミツロウ(三木化学工業社製、商品名「ビースワックス」) 25mg
上記の成分とゼラチンを混合し、全体として500mgのソフトカプセルを得た。
【0040】
(実施例4)
ジュースの調製
実施例1で得られた尿路感染症予防改善剤5g、濃縮クランベリージュース(OceanSpray ITG社製、商品名「Cranberry Concentrate」)200ml、水道水800mlを配合し、よく混合して、尿路感染症予防改善効果を有するクランベリージュース1Lを得た。味、匂い、舌触りに大きな変化は無く、クランベリーの風味に影響は無かった。
【0041】
(実施例5)
キャンデーの調製
砂糖300g、水飴250g、実施例1で得られた尿路感染症予防改善剤100gに水を加えて加熱溶解し、150℃にて平鍋で煮詰めた後、冷却盤に移して冷却させ、さらに混練した。この混練物を、スタンピング成型機(ミハマ製作所社製、商品名「スタンピングマシンMPM30」)を用いて成型し、質量4gのキャンデーを120個得た。
【0042】
(実施例6)
ドッグフードの調製
下記組成および手順により、尿路感染症予防用のドライドッグフードを製造した。
とうもろこし30質量部、小麦粉30質量部、脱脂大豆17質量部、ミートミール10質量部、チキンミール10質量部、ビタミンミネラルミックス1質量部、実施例1の組成物2質量部を混合し、粉砕した。その後、1mmの開口を有する篩を用いて整粒し、組成物を得た。得られた組成物に、固形分濃度が約27質量%となるように水を添加し、次いで8mmの円型ダイスが装着されたクッキングエクストルーダーを用いて押出し処理を行なって、膨化物を得た。得られた膨化物を、ベルト式乾燥機により120℃、20分で乾燥した後、膨化物95質量部に対して5質量部のダイズ油を噴霧し、尿路感染症予防用ドライドッグフードを得た。このドライドッグフードにはD-マンノースが0.73質量%含まれていた
【0043】
膀胱炎再発頻度の高い体重15kgの犬に対して、実施例6で得られたドライドッグフードを、1日当たり100g摂食させた。その結果、排尿頻度が低くなり、ヒトの場合と同様に犬においても尿路感染症予防効果が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
D−(+)−マンノースを含有することを特徴とする尿路感染症予防改善剤。
【請求項2】
D−(+)−マンノースが、植物のヘミセルロース由来であることを特徴とする請求項1記載の尿路感染症予防改善剤。
【請求項3】
植物のヘミセルロースが、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナンから選ばれる少なくとも一つを構成成分とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の尿路感染症予防改善剤。
【請求項4】
植物が、パーム、ココヤシ、コンニャクイモから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの尿路感染症予防改善剤。
【請求項5】
D−(+)−マンノースが、植物のヘミセルロースを加水分解することにより得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの尿路感染症予防改善剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の尿路感染症予防改善剤を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の尿路感染症予防改善剤を含有することを特徴とする飼料。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の尿路感染症予防改善剤を含有することを特徴とするペットフード。


【公開番号】特開2011−219469(P2011−219469A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65113(P2011−65113)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】