説明

局側終端装置、光通信システム、帯域割り当て制御方法、および装置のプログラム

【課題】BUFFER蓄積量の通知を必要とせず、必要帯域の変化に対する帯域割り当ての追従性を向上させることができ、上り帯域に占める制御用帯域の割合を下げることができる局側終端装置、光通信システム、帯域割り当て制御方法、および装置のプログラムを提供する。
【解決手段】加入者側終端装置の帯域割当単位それぞれについて必要帯域の変化パターンを判定するトラフィック解析手段と、トラフィック解析手段により判定された変化パターンに基づいて、各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を切り替える切り替え手段と、を備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種のPON(Passive Optical Network)システムなど、時分割多元接続(TDMA;time division multiple access)により加入者側終端装置を接続させるシステムにおける局側終端装置、光通信システム、帯域割り当て制御方法、および装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ITU−T(国際電気通信連合−電気通信標準化部門)勧告G983.4には、PONシステムの上り帯域制御方法として、SR(status reporting)、NSR(non-status reporting)方式の2種類が規定されている。
【0003】
また、一般にPONシステムは、局側終端装置(OLT;Optical Line Terminal)に、複数の加入者側終端装置(ONU;Optical Network Unit)が接続されて構成される。
こうしたPONシステムの上り帯域制御方法としては、OLTによる適正帯域アサイン(assign)の追従性のよさから、主にSR方式の制御が採用されることが多かった。NSR方式が利用されるケースとしては、ONUが自身のBUFFERの蓄積量を報告できない場合(REPORT通知機能を持っていない場合など)かつ、OLTにて動的な帯域管理を行いたい場合にほぼ限られていた。
【0004】
また、本発明の関連技術として、ONUが、トラヒックの負荷が高いときにはフレームあたり複数回の通知機会として通知頻度を高め、トラヒックの負荷が低いときには複数のフレームにわたって1回だけの通知機会として通知頻度を低くし、この通知によりOLTでの動的帯域制御を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−305544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし近年、PON区間の送信帯域の拡大によって、最大接続ONU数や、ONU内に定義される最大TCONT(traffic container;帯域割当単位)数ともに増加傾向にあり、TCONTごとに制御帯域が必要となるSR方式では、上り総帯域に占めるこの全制御帯域の割合が無視できなくなりつつある。
つまりSR方式の課題は、TCONT単位の制御帯域のために、一般のデータ送信用帯域が無駄に消費されることである。
【0007】
また、NSR方式は、OLT側で受信したトラフィックによって、そのONUが必要としている帯域を推測し帯域アサインを決定する方式であるため、検出の時点でONUに割り当てられている帯域が十分でない場合、次のサイクルでの帯域増加量を決定するための情報が不足している。このため、OLTがそのONUが必要としている必要帯域を適正にアサインするためには、ある程度の時間が必要である。
【0008】
つまりNSR方式の課題は、帯域制御のための情報不足のために、適正帯域アサインの追従性が悪いということである。適正に帯域がアサインされないということは、当然一般データ用の帯域が無駄に消費されることになり、その割合は上記SR方式の場合よりもはるかに大きかった。よって一般的にはSR方式の制御が用いられていたのである。
【0009】
また、上述した特許文献1のものは、上述したSR方式により、ONUから送信されるBUFFER蓄積量の情報を用いてOLTが動的帯域制御を行うものであり、ONUからのBUFFER蓄積量の情報を用いずに制御方法の切り替えを行い、SR方式とNSR方式の2つの制御方法の長所を組み合わせることについてまで考慮されたものではなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、BUFFER蓄積量の通知を必要とせず、必要帯域の変化に対する帯域割り当ての追従性を向上させることができ、上り帯域に占める制御用帯域の割合を下げることができる局側終端装置、光通信システム、帯域割り当て制御方法、および装置のプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明に係る局側終端装置は、加入者側終端装置の帯域割当単位それぞれについて必要帯域の変化パターンを判定するトラフィック解析手段と、上記トラフィック解析手段により判定された変化パターンに基づいて、上記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を切り替える切り替え手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光通信システムは、上述した本発明に係る局側終端装置に、上記加入者側終端装置の複数が伝送路を介して接続されて構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る帯域割り当て制御方法は、加入者側終端装置の帯域割当単位それぞれについて必要帯域の変化パターンを判定するトラフィック解析工程と、上記トラフィック解析工程により判定された変化パターンに基づいて、上記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を切り替える切り替え工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る局側終端装置のプログラムは、加入者側終端装置の帯域割当単位それぞれについて必要帯域の変化パターンを判定するトラフィック解析処理と、上記トラフィック解析処理により判定された変化パターンに基づいて、上記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を切り替える切り替え処理と、を局側終端装置のコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、BUFFER蓄積量の通知を必要とせず、必要帯域の変化に対する帯域割り当ての追従性を向上させることができ、上り帯域に占める制御用帯域の割合を下げることができる。
このため、より効率的な帯域制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】PONシステムの構成例および下り方向フレームを示すブロック図である。
【図2】PONシステムの構成例および上り方向フレームを示すブロック図である。
【図3】帯域割り当て制御部109周りの構成を示すブロック図である。
【図4】SR時の帯域割り当て時間変化を示す図である。
【図5】NSR時の帯域割り当て時間変化1を示す図である。
【図6】NSR時の帯域割り当て時間変化2を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による制御での時間変化を示す図である。
【図8】本発明の実施形態による帯域割り当て制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る局側終端装置、光通信システム、帯域割り当て制御方法、および装置のプログラムをPONシステムに適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
まず、本実施形態の概略について説明する。
本実施形態は、OLTによる上り帯域制御方法として、ITU−T勧告G983.4に規定されているSR方式、NSR方式それぞれの長所を同時に取り入れることによって、より効率的な上り帯域の割り当て制御を行うことを主な特徴とするものである。
【0019】
SR方式の長所としては、ONUが要求する必要帯域に対し実際の帯域アサイン調整が迅速に行えることが挙げられ、短所としては、帯域制御用の専用帯域が必要なことが挙げられる。
【0020】
NSR方式の長所としては、上り制御用帯域が必要ないことが挙げられ、短所としてはONUに必要なだけの適切な帯域を割り当てるよう調整することが難しいところが挙げられる。
【0021】
本実施形態では、上りトラフィックの変化パターンを解析することにより、PONシステムの上り帯域制御方法としてSR方式、NSR方式を使い分け、それぞれの帯域制御方法の短所を改善し、効率的な帯域制御を実現する。
【0022】
次に、本実施形態としてのPONシステムの構成について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、PONシステムの構成および下り方向フレーム伝送の様子を説明するものである。PONシステムは、図示しない局内に配置されたOLT101と、エンドユーザ宅内に配置された第1〜第NのONU1021〜102nと、これらの間で信号を分岐あるいは合流させる光スプリッタ(分岐手段)103とを備え、これらが光ファイバによる光伝送路で接続されて構成される。
【0023】
各エンドユーザ宅のパーソナルコンピュータ(図示せず)は、ONU1021〜102nのいずれかと光スプリッタ103とOLT101を介して上位ネットワーク(図示せず)に接続されることになる。また、各ONU102内には複数個のTCONT104が定義され、フレームの送受信はこのTCONT単位に行われる。
【0024】
PONでは、上り方向の信号と下り方向の信号は、双方向1心の光ファイバで波長多重により伝送される。図1に示すように、下り方向の信号は、OLT101からすべてのONU1021〜102nに一斉に送信される。この場合、ONU1021〜102nは送られたフレームのあて先をすべてチェックして、自装置のいずれかのTCONTへのあて先フレームのみを取り込むことになる。
【0025】
図2は、図1と同一構成のPONシステムにおける上り方向のフレーム伝送の様子を説明するものである。
ONU1021〜102nからの上り方向のフレームは、光スプリッタ103の箇所で合流する。したがって、光スプリッタ103の箇所で各フレームが時間的に重複し信号の衝突が起こることがないようにする必要がある。このため、ONU1021〜102nから送信されるフレームが時間的に重複しないように時分割多重通信が行われるようになっている。
【0026】
このフレーム送信タイミングの制御はOLT101にて、ONU内部に複数個定義されるTCONT単位に行われる。OLT101は、OLT101と各ONU102との間の距離に基づいて伝送時間を計算して、すべてのTCONTのうちで出力要求があったものに対してタイミングを定めて送信許可信号(BWMAP)を与える。OLT101からの送信許可信号はONUごとに複数定義されるTCONT104A〜104Z単位に与えられる。
【0027】
このOLT101からの送信許可信号には、宛先のTCONTに蓄積されているフレームを送信可能とさせる送信開始時間および送信停止時間の情報が含まれている。各TCONTは、この指定された時間の間に、ONU内のBUFFERに蓄積されたフレームの送信を行うが、もし蓄積していたフレームすべてを送信後にも送信許可された時間が残っている場合、残りの時間はIDLEフレームの送信を行う。つまりOLT101がONU102からIDLEフレームを受信した場合、発信元のTCONTが必要としている以上の帯域をOLTが過剰にアサインしていることになる。
【0028】
OLT101がこの送信許可信号を決定する方法として、ITU−T G984.3規格では、SR方式とNSR方式の2種類が規定されている。ここではまず、TCONT単位の出力要求(REPORT)を使用して、そのTCONTが送信する時間を決定する方式であるSR方式について説明する。
【0029】
OLT101は、接続状態にあるすべてのTCONT104に対して、REPORTによるTCONT状態報告を行うように要求する。このREPORTには、それぞれのTCONT単位に送信しようとするフレームを格納したバッファメモリキューの状態、すなわち待ち行列の長さの情報が含まれる。このため、OLT101は、図3に示すREPORT処理部105により、各TCONTが必要としているフレーム送信時間、すなわち上りの要求帯域を確認することができる。
【0030】
図3に示す帯域計算部106では、各TCONT104からの情報に基づき、その報告値と各TCONTに設定される優先情報に応じて計算を行い、送信許可信号(BWMAP)を作成し、各TCONT宛に送信を行う。このように、SR方式では、OLT101がONUからの具体的な要求値に基づいて計算を行うため、正確かつ迅速に帯域アサインを行うことが可能である。
【0031】
次に、OLT101で受信したトラフィックによって、そのTCONTが送信する時間を決定する方式であるNSR方式について説明する。
OLT101は、図3に示すトラフィック解析部107により、各TCONT単位に送信時間中のIDLEフレームの数をカウントする。帯域計算部106は、TCONT単位にその結果を収集し、IDLEフレームが0であれば、前回の帯域よりも大きな割り当てを該当TCONTに対して行う。またIDLEフレームをカウントした場合、全帯域におけるIDLEフレーム数の割合を計算し、その割合に応じて前回の帯域よりも小さな帯域割り当てを行う。
【0032】
そして、本実施形態では、上述したSR方式とNSR方式とを選択するためのSR/NSR切り替え制御部108をOLT101に実装する。このSR/NSR切り替え制御部108は、通常状態の時、すべてのTCONTに対してNSR方式で動作するように帯域計算部106に対して指示を送信する。また、トラフィック解析部107によるIDLEカウント数が0であったTCONTに対してのみ、SR方式としての動作を行うように帯域計算部106に対して指示を送信する。ただし上りの帯域が輻輳状態、つまり多数のTCONTで現在の帯域以上のアサインを要求しており、各TCONTの現状の帯域を増加させる余裕がないような場合には、NSR方式での動作を指示する。
【0033】
このように、本実施形態は、図3に示すように、帯域割り当て制御部109内に、SR/NSR切り替え制御部108を設け、上りトラフィックの変化パターンに応じて帯域制御方法をSR方式とNSR方式の何れかに切り替えることで、効率的に上り帯域制御を行うことを特徴としている。
【0034】
次に、PONシステムにおける上り帯域割り当て動作について説明する。
まず、図4にSR方式のみを利用して帯域制御を行った場合の例を示す。図4にはあるTCONTが必要とする帯域の時間変化を点線で示し、それに対して実際にOLT101から割り当てられた帯域を棒グラフで示す。
【0035】
SR方式の場合、そのTCONTが必要な帯域はREPORTとして、ある時間単位で常にOLT101に対して報告されるために、TCONTに必要な帯域が時間によって大きく変化したとしても、その帯域に合わせてOLT101は迅速にONUに必要な帯域をアサインすることが可能である。
【0036】
ここで複数のTCONTが帯域要求を行った場合、すべてのTCONTに対してその要求に対応した帯域をアサインできない場合があり得る。この場合は帯域計算部106にて各TCONTの優先度に対応した帯域アサインが行われるが、その計算アルゴリズムは本実施形態の主要な特徴に関係しないため、説明を省略する。以下の説明では、TCONTの要求に対してアサイン可能な帯域が十分あるものとして、その結果を示す。
【0037】
次に、図5にNSR方式のみを利用して帯域制御を行った場合の例を示す。図5においても同様に、あるTCONTが必要とする帯域の時間変化を点線で示し、それに対して実際にOLT101から割り当てられた帯域を棒グラフで示す。
【0038】
NSR方式ではONUからREPORT通知が行われないので、OLTではそのTCONTより受信したトラフィックによってその必要な帯域を推測する必要がある。この推測方法として一般的な方式は、そのTCONTのトラフィックにおけるIDLEフレーム数をカウントすることである。例えばOLTの帯域アサイン100Mbpsに対して、そのTCONTの上りトラフィックに占めるIDLEフレームが50%であれば、次の帯域アサインは50Mbpsにするといった手法である。
【0039】
この手法で必要帯域の推測を行うと、図5におけるONUの必要帯域が減少している場合には、OLTはその帯域アサインをTCONTの必要帯域に調整するのは比較的容易であり、図4に示すSR方式と比較しても、ともに手順(6)で適正値をアサイン完了しており、性能の差はほとんどない。
【0040】
しかし、TCONTにおける必要帯域が増加方向にある場合には、その性能の差が大きく現れる。この増加区間では必要な帯域が足りていないので、当然TCONTからのIDLEフレームの送信は行われず、OLTでのカウント値は常に0となる。この場合OLTでは、TCONTが現状の帯域より更に大きな帯域を必要としていることはわかるが、現状の帯域に対してどれだけの割合で増加してよいのか判断できない。このため、TCONTの必要帯域と実際のアサイン帯域が適切になるには、SR方式と比較するとかなりの時間が余計に必要となる。図4、図5の例で比較すると、図4に示すSRモードでは手順(11)で適正値となり、図5に示すNSRモードでは手順(14)で適正値となっている。
【0041】
また、NSR方式で、図5のように徐々に帯域を増加させるのではなく、図6のように一気に帯域を増加させるような設定の場合を考慮しても、適正帯域になるまでの時間は、図6における手順(12)までとなり、やや短くできるものの、手順(9)、(10)にて無駄な帯域が大きくアサインされてしまう。
【0042】
このようにNSR方式だけのシステムでは、TCONTの必要帯域が増加傾向である場合の制御が難しく、アサイン帯域不足による通信フレーム送信遅延又は過剰帯域アサインによる無駄帯域の発生が起こりやすい。
【0043】
次に、本実施形態のOLT101による上り帯域割り当て動作について、図7、図8を参照して説明する。
上述したSR方式とNSR方式それぞれの特性をふまえ、本実施形態のOLT101は、図7に示すように、TCONTの必要帯域に変化がない又は減少傾向の場合(IDLEカウント>0の場合)、NSR方式にてそのTCONTの帯域制御を行う。また、必要帯域が増加傾向の場合(IDLEカウント=0の場合)、SR方式で制御を行うように、該当のTCONTに対してのみREPORT要求を行う。
【0044】
このため、本実施形態のOLT101では、図8に示すような以下の制御を行う。
解析対象のTCONTについて、トラフィック解析部107でIDLEカウントが1以上と判定された場合(ステップS2;No)、TCONTの必要帯域に変化がない又は減少傾向であるので、SR/NSR切り替え制御部108は、NSR方式にてそのTCONTの帯域制御を行うように帯域計算部106に指示を行う(ステップS5)。
【0045】
また、トラフィック解析部107が、解析対象のTCONTについてIDLEカウント=0と判定した場合(ステップS2;Yes)、そのTCONTの必要帯域が増加傾向であるため、上り帯域がそのTCONTに対して増加可能な状態とトラフィック解析部107で判定されていれば(ステップS3;Yes)、SR/NSR切り替え制御部108は、SR方式にてそのTCONTの帯域制御を行うように帯域計算部106に指示を行う(ステップS4)。
【0046】
ただし、上り帯域処理が輻輳状態となり、これ以上帯域を大きくすることができないとトラフィック解析部107が判定した場合(ステップS3;No)、SR/NSR切り替え制御部108は、IDLEカウント=0の場合であってもNSR方式での帯域制御を行うように帯域計算部106に指示を行う(ステップS5)。
そして、上述したステップS2〜S5の切り替え制御を、各TCONTに対して順次行う(ステップS1、S6、S7)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
第1の効果は、TCONTの必要帯域の変化がない、もしくは減少傾向にあるときは、NSR方式にて帯域制御を行っているので、TCONT単位の上りの制御帯域が必要なく、その帯域を一般の通信フレーム用帯域として活用できることである。
【0048】
第2の効果はTCONTの必要帯域が増加傾向にある場合、SR方式での帯域制御を行うので、TCONTが必要とする帯域を迅速にアサインすることができ、無駄帯域および送信遅延を抑制できることである。
【0049】
以上のように、本実施形態のOLTによる上り帯域割り当て制御方法を行うことによって、SR方式並みの帯域追従性を持ちながら、上り帯域に占める制御用帯域の割合を下げることができる。このため、より効率的な帯域制御を行うことができる。
【0050】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0051】
例えば、本発明は、上述した実施形態のように、PONシステムの上り帯域制御に適用するだけに限定されず、時分割にて帯域を加入者間でシェアするような通信機器にも同様に適用可能である。
【0052】
また、上述した各実施形態としてのOLTを実現するための処理手順をプログラムとして記録媒体に記録することにより、本発明の各実施形態による上述した各機能を、その記録媒体から供給されるプログラムによって、装置を構成するコンピュータのCPUに処理を行わせて実現させることができる。
この場合、上記の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
この記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROM等を用いてよい。
【0053】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御されるOLTやPONシステムに、上述した実施形態における各機能を実現させることができる。
【符号の説明】
【0054】
101 OLT(局側終端装置)
102 ONU(加入者側終端装置)
103 光スプリッタ(分岐手段)
104 TCONT(帯域割当単位)
105 REPORT処理部
106 帯域計算部
107 トラフィック解析部
108 SR/NSR切り替え制御部
109 帯域割り当て制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者側終端装置の帯域割当単位それぞれについて必要帯域の変化パターンを判定するトラフィック解析手段と、
前記トラフィック解析手段により判定された変化パターンに基づいて、前記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を切り替える切り替え手段と、を備えたことを特徴とする局側終端装置。
【請求項2】
前記トラフィック解析手段は、前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数に基づいて前記変化パターンの判定を行うことを特徴とする請求項1記載の局側終端装置。
【請求項3】
前記トラフィック解析手段は、
前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数が0の場合、前記変化パターンが必要帯域増加傾向であると判定し、
前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数が1以上の場合、前記変化パターンが必要帯域減少傾向または変化なしであると判定することを特徴とする請求項1または2記載の局側終端装置。
【請求項4】
前記切り替え手段は、前記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を、SR(status reporting)方式とNSR(non-status reporting)方式との何れかに切り替えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の局側終端装置。
【請求項5】
前記切り替え手段は、
前記トラフィック解析手段により前記変化パターンが必要帯域増加傾向と判定された場合、当該判定対象である前記帯域割当単位に対する帯域制御方法をSR(status reporting)方式に切り替え、
前記トラフィック解析手段により前記変化パターンが必要帯域減少傾向または変化なしと判定された場合、当該判定対象である前記帯域割当単位に対する帯域制御方法をNSR(non-status reporting)方式に切り替えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の局側終端装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の局側終端装置に、前記加入者側終端装置の複数が伝送路を介して接続されて構成されたことを特徴とする光通信システム。
【請求項7】
加入者側終端装置の帯域割当単位それぞれについて必要帯域の変化パターンを判定するトラフィック解析工程と、
前記トラフィック解析工程により判定された変化パターンに基づいて、前記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を切り替える切り替え工程と、を備えたことを特徴とする帯域割り当て制御方法。
【請求項8】
前記トラフィック解析工程では、前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数に基づいて前記変化パターンの判定を行うことを特徴とする請求項7記載の帯域割り当て制御方法。
【請求項9】
前記トラフィック解析工程では、
前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数が0の場合、前記変化パターンが必要帯域増加傾向であると判定し、
前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数が1以上の場合、前記変化パターンが必要帯域減少傾向または変化なしであると判定することを特徴とする請求項7または8記載の帯域割り当て制御方法。
【請求項10】
前記切り替え工程では、前記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を、SR(status reporting)方式とNSR(non-status reporting)方式との何れかに切り替えることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載の帯域割り当て制御方法。
【請求項11】
前記切り替え工程では、
前記トラフィック解析工程により前記変化パターンが必要帯域増加傾向と判定された場合、当該判定対象である前記帯域割当単位に対する帯域制御方法をSR(status reporting)方式に切り替え、
前記トラフィック解析工程により前記変化パターンが必要帯域減少傾向または変化なしと判定された場合、当該判定対象である前記帯域割当単位に対する帯域制御方法をNSR(non-status reporting)方式に切り替えることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載の帯域割り当て制御方法。
【請求項12】
加入者側終端装置の帯域割当単位それぞれについて必要帯域の変化パターンを判定するトラフィック解析処理と、
前記トラフィック解析処理により判定された変化パターンに基づいて、前記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を切り替える切り替え処理と、を局側終端装置のコンピュータに実行させることを特徴とする局側終端装置のプログラム。
【請求項13】
前記トラフィック解析処理では、前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数に基づいて前記変化パターンの判定を行うことを特徴とする請求項12記載の局側終端装置のプログラム。
【請求項14】
前記トラフィック解析処理では、
前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数が0の場合、前記変化パターンが必要帯域増加傾向であると判定し、
前記帯域割当単位からの送信時間中のIDLEフレームの数が1以上の場合、前記変化パターンが必要帯域減少傾向または変化なしであると判定することを特徴とする請求項12または13記載の局側終端装置のプログラム。
【請求項15】
前記切り替え処理では、前記各帯域割当単位それぞれに対する帯域制御方法を、SR(status reporting)方式とNSR(non-status reporting)方式との何れかに切り替えることを特徴とする請求項12から14の何れか1項に記載の局側終端装置のプログラム。
【請求項16】
前記切り替え処理では、
前記トラフィック解析処理により前記変化パターンが必要帯域増加傾向と判定された場合、当該判定対象である前記帯域割当単位に対する帯域制御方法をSR(status reporting)方式に切り替え、
前記トラフィック解析処理により前記変化パターンが必要帯域減少傾向または変化なしと判定された場合、当該判定対象である前記帯域割当単位に対する帯域制御方法をNSR(non-status reporting)方式に切り替えることを特徴とする請求項12から14の何れか1項に記載の局側終端装置のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−199861(P2010−199861A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41160(P2009−41160)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(390010386)NECマグナスコミュニケーションズ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】