説明

屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法

【課題】本発明は、屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法を提供する。
【解決手段】
光学モニタリンググラフィックによって提供された情報により、また、極値点と終点の膜堆積の光学特性に合わせて、各フィルム層の屈折率や厚さ及び対応する補正厚さを推定でき、これにより、作業者が最初に入力した屈折率に対して即時に修正でき、また、フィルム層の終点透過率や反射率により、前のフィルム層の厚さを算出でき、モニタリング波長に対してエラー補正厚さを有する切点を推定でき、そのスペクトル位置が偏移しなく、中心極値も変更せず、そして、作業者が任意に各フィルム層に対して、予測した切点の近くに対応する感度が高いモニタリング波長を選択でき、作業者が工程状況をより把握でき、元の設計に満たす光学素子を作製できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法に関し、特に従来の光学モニタリング構造を変更することが必要しなく、同時に、屈折率や厚さに対して、それぞれ、即時に修正できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
多層干渉光学コーティングは、大部分の効果が材料の光学特性や膜厚に対する精確性の把握により決められ、既存の一般のモニタリングは、時間の計算や石英振動子モニタリング及び光学信号による光強度判断の光学モニタリングがある。一般の光学モニタリングの問題は、4分の1の波長整数堆積(Quarter-wave stack)すると、光学信号の変化感度が良くないため切点を見分けることが難しくなり、また、非整数に堆積する時も切点を判断できなく、そして、多層干渉コーティングする時、堆積層数が多ければ感度が低くなり誤差も大きくなる。薄膜の屈折率が工程パラメータや工程方法により変化する時、一般の光学モニタリング方法では、即時に光学特性の差異性を判別できない。
【0003】
従来の予期透過率は、同じ工程環境とパラメータにおいて、一般の透過率モニタリング法で即時にモニタリングし、予めに設定されたカットポイント(Cut-point)によりカットタイミングが決められ、或いは、透過率が極値に到達する時をカットタイミングとする。一般の光学モニタリングは、4分の1波長整数膜堆積である場合、即ち、光学厚さが極値点に到達する時、感度が悪くなるため、切点を識別しにくく、つまり、予期と異なる時でもそのグラフィックから判断できないだけでなく、エラーの厚さでも予期と同じカットポイントが出現し、また、上記の問題も非整数膜堆積にも現す。そのため、一般の従来のものは実用的とは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来の光学モニタリング構成を変更することなく、同時に、屈折率や厚さに対して、それぞれ、即時に修正できる効果が得られる屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法を提供する。
【0005】
本発明の他の目的は、計算機数値調和を必要しなくて、最適のカットポイントを求めることができる屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法を提供する。
【0006】
本発明の更に他の目的は、作業者が任意に各フィルム層に対して、予測した切点の近くに対応する感度が高いモニタリング波長を選択でき、単一波長を限定しなくても、元の設計に満たす光学素子を作製できる屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するため、光学モニタリンググラフィック曲線から感度が高いモニタリング波長を選択し、コーティングを開始する時、該光学モニタリンググラフィック曲線のフィルムの厚さの生長に応じて変化する透過率や、反射率の極値点で目前のフィルム層の屈折率を推定し、また、目前のフィルム層の終点や次の層の起点の透過率や反射率値により、該目前のフィルム層の厚さを推定し、複数層のフィルムを作製する時、各フィルム層の屈折率と厚さにより前の複数層のフィルムの参考波長に対応する等価アドミタンス値を算出し、また、該前の複数層のフィルムの該参考波長に対応する等価アドミタンス値が切点である場合、実数である特性を利用して該目前のフィルム層に対応するエラー補正厚さを算出し、これにより、該モニタリング波長に対応するエラー補正厚さを有する切点を推定して、また、該切点をカットポイントカットとし、そのため、最終の完成品のスペクトル位置が偏移しないことを特徴とする、屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の作製流れの概念図である。図のように、本発明は屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法であり、少なくとも次のステップが含有される。
【0009】
(A)ステップ(11):感度が高いモニタリング波長を選択するステップであり、光学モニタリンググラフィック曲線から、感度が高い波長をモニタリング波長として選択する。
【0010】
(B)ステップ(12):目前のフィルム層の屈折率を推定するステップであり、コーティングを開始する時、該光学モニタリンググラフィック曲線のフィルムの厚さの生長に応じて変化する透過率や反射率の極値点でその値を記録し、また、それにより目前のフィルム層の屈折率を推定する。
【0011】
(C)ステップ(13):目前のフィルム層の厚さを推定するステップであり、該目前のフィルム層の終点や次の層の起点の透過率や反射率値を記録し、該目前のフィルム層の厚さを推定する。
【0012】
(D)ステップ(14):等価アドミタンス値を算出するステップであり、複数層のフィルムを作製する時、ステップ(B)とステップ(C)によって算出した各フィルム層の屈折率と厚さにより、前の複数層のフィルムの参考波長に対応する等価アドミタンス値を算出する。
【0013】
(E)ステップ(15):補正厚さを算出するステップであり、該前の複数層のフィルムの該参考波長に対応する等価アドミタンス値に、4分の1波長の補正厚さが結合され、該参考波長が切点である場合の等価アドミタンス値が実数軸になることにより、実数である特性を利用して、該目前のフィルム層に対応するエラー補正効果を有する補正厚さを算出する。
【0014】
(F)ステップ(16):カットポイントを推定するステップであり、該モニタリング波長のエラー補正効果を有する補正厚さに対応する切点を推定し、該切点をカットポイント(Cut-point)としてカットする。
【0015】
(G)ステップ(17):最後の層であるかを判断するステップであり、最後の層であるかを判断し、最後の層ではない場合、ステップ(A)に戻り、次の層を作製する。
【0016】
本発明によれば、従来の光学モニタリング構成を変更することを必要としなくて、同時に、屈折率や厚さに対して、それぞれ即時に修正効果が得られる。該光学モニタリンググラフィックによって提供された情報により、また、極値点と終点の膜堆積の光学特性に合わせて、各フィルム層の屈折率や厚さ及び対応する補正厚さを推定でき、作業者が最初に入力した屈折率に対して即時に修正でき、より良い効果が得られる。また、モニタリング中、計算機数値調和を行わなくても最適のカットポイントが求められ、これにより、そのスペクトル位置が偏移せず、また、中心極値も変更せず、そして、作業者が任意に各フィルム層に対して、予測した切点の近くに対応する感度が高いモニタリング波長を選択でき、単一波長を限定しなくても各フィルム層の誤差が小さくなり、また、該参考波長より短いモニタリング波長でモニタリングしても、完成品のスペクトルが正確な位置に保持され、そして、作業者が工程状況をより把握でき、元の設計に満たす光学素子を作製できる。
【0017】
図2は本発明の実施概念図である。図のように、本発明に係わる屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法によるスペクトル図22であり、それを、それぞれ極値点方法(Turning Point)による極値点スペクトル図21と射越点方法(Over Shot)による射越点スペクトル図23と比較すると、実数である特性を有するため、本発明は確実に極値点方法による極値点スペクトル図21と射越点方法(Over Shot)による射越点スペクトル図23より優れていることを分かる。そのため、本発明によれば目前のフィルム層に対応するエラー補正効果を有する補正厚さを算出でき、そしてそのカットポイントを推定できる。
【0018】
以上の説明のように、本発明に係わる屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法は、有効的に従来の諸欠点を改善でき、従来の光学モニタリング構成を変更する必要がなく、同時に、それぞれ屈折率や厚さを即時に修正する効果が得られ、そのため、本発明はより進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0019】
以上は、ただ本発明のより良い実施例であり、本発明はそれによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の作製流れの概念図
【図2】本発明の実施概念図
【符号の説明】
【0021】
11 ステップ(A):感度が高いモニタリング波長を選択する
12 ステップ(B):目前のフィルム層の屈折率を推定する
13 ステップ(C):目前のフィルム層の厚さを推定する
14 ステップ(D):等価アドミタンス値を算出する
15 ステップ(E):補正厚さを算出する
16 ステップ(F):カットポイントを推定する
17 ステップ(G):最後の層であるかを判断する
21 極値点スペクトル図
22 本発明のスペクトル図
23 射越点スペクトル図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、光学モニタリンググラフィック曲線からモニタリング波長として、感度が高い波長を選択する(A)ステップと、コーティングを開始する時、該光学モニタリンググラフィック曲線のフィルムの厚さの生長に応じて変化する透過率や反射率の極値点で、その値を記録し、また、それにより、目前のフィルム層の屈折率を推定する(B)ステップと、該目前のフィルム層の終点や次の層の起点の透過率や反射率値を記録し、該目前のフィルム層の厚さを推定する(C)ステップと、複数層のフィルムを作製する時、ステップ(B)とステップ(C)によって算出した各フィルム層の屈折率と厚さにより、前の複数層のフィルムの参考波長に対応する等価アドミタンス値を算出する(D)ステップと、該前の複数層のフィルムの該参考波長に対応する等価アドミタンス値が切点である場合、実数である特性を利用して、該目前のフィルム層に対応するエラー補正効果を有する補正厚さを算出する(E)ステップと、該モニタリング波長の補正厚さに対応する切点を推定し、該切点をカットポイント(Cut-point)としてカットする(F)ステップと、最後の層であるかを判断し、最後の層ではない場合、ステップ(A)に戻り次の層を作製する(G)ステップとが含有されることを特徴とする、屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法。
【請求項2】
該モニタリング波長は、予測した切点の近くにおいてより高い感度を有することを特徴とする、請求項1に記載の屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法。
【請求項3】
該前の複数層のフィルムの該参考波長に対応する等価アドミタンス値は、4分の1波長の補正厚さが結合されて、該参考波長は、切点においての等価アドミタンス値が実数軸になることを特徴とする、請求項1に記載の屈折率と厚さの修正効果を有する精密光学コーティングモニタリング法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−31235(P2009−31235A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213453(P2007−213453)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(504007741)國立中央大學 (28)
【Fターム(参考)】