説明

屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法および光学素子

【課題】可視波長領域に吸収がなく、カドミウムや砒素等の有害な物質を用いることなく、簡単な方法により製造することが可能となる屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法および光学素子を提供する。
【解決手段】前記屈折率周期構造の母材に電磁波または電子線の照射もしくは加熱によって屈折率が変化するアルカリハライドを用い、該母材に紫外レーザ光線あるいは電子線を強度変調して照射することにより、それらの照射強度に応じた屈折率の異なる領域を有する2次元周期構造を前記母材に形成する、周期構造形成工程を有する構成とする。また、この2次元周期構造を構成するパターンの一部を変更し(図3(a))、光導波路(図3(b))を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法および光学素子に関し、例えばフォトニック結晶構造(屈折率周期構造)により光変調を実現するレンズ・プリズム・波長フィルタ・導波路等の光学部品から構成される光学素子の製造方法および光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
周期的な屈折率分布を有する通常の1次元回折格子は、光学基板表面に等間隔に直線状の屈折率変調領域を形成したものである。
これに対し、2次元3次元の回折格子を実現することにより、1次元の回折格子では得られない新しい効果が得られることが知られている。例えば、特許文献1に示されているように、異なる屈折率領域を可視波長程度の周期で2次元あるいは3次元的に積み重ねた構造は、フォトニック結晶と呼ばれ、最近注目されている。
【0003】
このような、フォトニック結晶は、屈折率変化が可視波長程度で周期的に2次元あるいは3次元に繰り返される構造を有し、2つの異なる光学材料の屈折率差が特に大きい場合には、光の導波が許されないフォトニックバンドが生じ、フォトニック結晶を介して光の出射制御や様々な応用が考えられている。大きな屈折率差を得るために、フォトリソグラフィーを用いてシリコンの微細構造を形成し、空気との屈折率差を利用することが一般的である。
また、屈折率差が小さい場合には、フォトニックバンドは生じないが、2次元の光変調素子として、通常の光学材料では得られない光の異常な回折現象や分散効果を実現できる。
【0004】
一方、フォトリソを用いないでフォトニック結晶を製造する例として、特許文献2には、CdF2:Gaを作用物質として用いてレーザ光線の照射によって屈折率の異なる領域を多次元周期的に形成する方法が示されている。
【特許文献1】特開平11−218627号公報
【特許文献2】特開2000−193811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された従来例のようにフォトリソグラフィーによってフォトニック結晶を製造する場合には、波長オーダーでの材料の加工技術が必要となり、さらにこれを2次元3次元での周期構造として実現しなければならない等、非常に困難な課題が多い。
また、シリコンは可視波長領域に吸収があるため、利用分野が赤外通信などに限定されている。シリコン酸化物であるガラスや石英は可視波長領域において透明であるが、シリコンに比べて微細加工が困難である。
さらに、シリコンやシリコン酸化物あるいは半導体化合物などからフォトリソで作製したフォトニック構造は固定されているため、1つのフォトニック効果しか実現できないため、幅広い用途への展開が困難である。
また、特許文献2に示された従来例のフォトリソを用いない製造方法では、そこで用いているフォトリフラクティブ材料が有害なカドミウム化合物であり、また可視波長域に吸収があるため応用分野が限られる、等の点で問題を有している。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、可視波長領域に吸収がなく、カドミウムや砒素等の有害な物質を用いることなく、簡単な方法により製造することが可能となる屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法および光学素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のように構成した屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法および光学素子を提供するものである。
すなわち、本発明の屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法は、屈折率周期構造を形成するための母材にアルカリハライドを用い、該母材に電磁波あるいは電子線を照射し、屈折率周期構造を形成することを特徴としている。
また、本発明の屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法は、前記屈折率周期構造の母材に電磁波または電子線の照射もしくは加熱によって屈折率が変化するアルカリハライドを用い、該母材に紫外レーザ光線あるいは電子線を強度変調して照射することにより、それらの照射強度に応じた屈折率の異なる領域を有する2次元周期構造を、前記母材に形成する周期構造形成工程を有することを特徴としている。また、この本発明の光学素子の製造方法においては、前記周期構造形成工程によって屈折率の異なる領域を有する2次元周期構造を形成した後に、前記2次元周期構造を構成するパターンの一部を変更するように加工するパターン加工工程を有する構成とすることができる。その際、前記パターンの一部の変更は、前記パターンの一部を赤外光照射または加熱によって消去することができ、この消去によって光導波路を形成する構成を採ることができる。
また、本発明の光学素子は、屈折率周期構造を有する光学素子であって、該屈折率周期構造を備えた母材がアルカリハライドを含み構成されていることを特徴としている。
また、本発明の光学素子は、電磁波または電子線の照射もしくは加熱によって屈折率が変化するアルカリハライドによって構成された屈折率周期構造を備えた光学素子であて、前記屈折率周期構造が、前記アルカリハライドに紫外レーザ光線あるいは電子線を強度変調して照射することによって形成された、屈折率の異なる領域を備えた2次元周期構造を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可視波長領域に吸収がなく、カドミウムや砒素等の有害な物質を用いることなく、簡単な方法により製造することが可能となる屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法および光学素子を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、上記した構成により、本発明の課題を達成することができるものであるが、それは本発明者のつぎのような知見に基づくものである。
光(電磁波)や電子線を照射することにより屈折率変化を起こす材料はいくつか知られており、中でも、アルカリハライドは、紫外線を照射することにより、カラーセンターを形成し着色するため、同時に数%の屈折率変化が得られるが、この屈折率変化は、小さいことから従来は光学変調素子に用いられることはなかった。しかしながら、屈折率差が小さくても、任意の屈折率・任意のピッチを有する2次元の周期構造を形成することによって、光学的変調効率を高くすることができる。すなわち、レーザ干渉縞を生じさせる二光束干渉計露光などによる二光束あるいは三光束では、同心円の中心に向かって縞ピッチを変え、あるいは屈折率の変化等をつけることができず、干渉縞は等間隔のパターンしか形成できないが、上記した屈折率の小さいアルカリハライド材料に、レーザ光ビームや電子線ビームをその強度に応じて照射することにより、任意の屈折率・任意のピッチを有する2次元の周期構造を形成することができ、これにより光学的変調効率の高いフォトニック結晶を得ることが可能となる。
したがって、このようにフォトニック結晶の母材としてフォトリフラクティブ材料でなくアルカリハライドを用いる本発明によれば、可視波長域に吸収があり、有害なカドミウム化合物によるフォトリフラクティブ材料を用いた特許文献2に比して、そのような問題のない優れた光学変調素子を得ることができる。
【0010】
また、アルカリハライドとフォトリフラクティブは、共に屈折率変化を示し、また可逆な屈折率変化を示す点で似ているが、両者のそれらは全く異なるメカニズムによるものである。
すなわち、フォトリフラクティブ材料において、屈折率が変化するのは光照射部位の価電子帯から導電帯へ電子励起され非照射部位に拡散移動することにより電子密度分布が発生する。その結果ポッケルス効果によって光照射部位と非照射部位との屈折率差ができ、空間的な屈折率分布を生ずる。また、初期状態に戻すときには電子密度分布を平均化させるために屈折率分布を生じさせた同じ露光光源で全面均一露光する。
一方、アルカリハライド材料においては、光照射部位の価電子帯からトラップ準位へ電子励起され、光照射部位の誘電率が変化することにより非照射部位との間に屈折率差ができるため屈折率分布を生ずる。例えば、フッ化リチウムでは初期状態で波長450nmにおける屈折率n=1.40が着色状態で1.46に変化する。アルカリハライドの着色状態から初期状態に戻すときには、屈折率変化を生じさせた波長より長波長の光で全面露光するか、もしくは全体を加熱して、トラップ準位から電子を再励起して価電子帯へ電子を戻す。つまり、着色状態は長波長の光や熱などの外乱によって、光照射により形成されたカラーセンターが消滅し元の無色透明な状態に戻る。ダークトレース管や輝尽蛍光体イメージングプレートはこのようなカラーセンターの可逆反応を応用したものである。
以上のように、両者の屈折率変化及び可逆な屈折率変化は全く異なるメカニズムによるものである。
【0011】
本発明の実施の形態においては、アルカリハライドの以上のような可逆な屈折率変化を光学素子に応用し、屈折率変化した特定部位に赤外光ビームによって電子的に、あるいは光ビームによって熱的に、カラーセンターを消滅させ、屈折率周期構造をダイナミックに変化させることができる。
例えば、時刻t1からt2までとt2からt3までで、焦点距離を変えるなどの使い方ができる。フォトニック結晶としての性質を利用すれば、フォトニックバンドギャップを変えて入射・出射する光の波長をダイナミックに変化させることができる。
また、本発明の実施の形態においては、屈折率の異なる領域の2次元周期ピッチが一定値のみではなく、関数f(x、y)で示されるようにすることができる。また、本発明の実施の形態においては、フォトニック結晶光学素子は、フォトニック結晶を構成するアルカリハライドを、電子線あるいは波長350nm以下の紫外線照射によって波長350nm以上の可視域における透過率および屈折率変化を生じるI-VII族化合物の単結晶もしくは混晶で構成することができる。
また、本発明の実施の形態においては、フォトニック結晶を構成するアルカリハライドを、電子線あるいは波長350nm以下の紫外線照射によって生じた波長350nm以上の可視域における透過率および屈折率が波長700nm以上の赤外光もしくは加熱によって変化を生じるI-VII族化合物の単結晶もしくは混晶で構成することができる。
また、本発明の実施の形態においては、レーザビームの照射に際し、照射する座標(x、y)にビーム位置を走査移動し、g(x、y)なる関数に応じた強度変調を行うようにすることができる。その際、強度変調は電流値、電圧、パルス幅、パルス数など、用いる照射源によって適宜選択することができる。g(x、y)は結果的にアルカリハライド表面に、f(x、y)なる屈折率の空間分布が得られるように構成することができる。
【0012】
以上の本実施の形態によれば、従来のフォトニック結晶作製の難しさに対して、簡単な製造方法によって、ダイナミックな2次元フォトニック結晶構造による光変調を実現する光学素子を提供することができる。ここで、ダイナミックとは任意の時間と母材中の任意の位置を意味する。
さらには、可視波長領域に吸収のない母材を用いることで可視波長領域での高効率な変調を達成することができる。
また、有害なカドミウムや砒素を用いず、安全安価なアルカリハライドを用い、且つ可逆な屈折率変化を実現することができる。
【0013】
つぎに、本実施の形態における2次元回折格子(屈折率周期構造)および2次元回折格子(屈折率周期構造)の製造方法について説明する。
屈折率変化を起こさせる物質として色中心を形成するアルカリハライド光学材料である、KBr結晶を用いる。回折格子の書き込み、および消去は結晶純度や結晶性に依存する性質がある。ペルチェを用いて冷却する、あるいは加熱・加温して温度制御しながら回折格子を書き込む。
本実施の形態においては、2光束干渉による周期構造形成ではなく、2次元ビーム走査による周期構造形成を特徴とする。
すなわち、回折格子の書き込み方法としての一般的な方法は、2光束干渉によっている。波長λの光をビームスプリッタで分岐した2光束による干渉縞はP・sinθ=m・λで表される(P:干渉縞ピッチ、θ:2光束挟角、m:回折次数)。
したがって、このような2光束干渉では、1次元の周期構造を持つ回折格子しか得られない。しかも周期Pは一定である。
3光束にすると2次元の周期構造を持つ回折格子を得られるが、周期Pは一定である。
以上のことから、本実施の形態においては、2光束干渉による周期構造形成ではなく、2次元ビーム走査により周期構造形成を形成する。
【0014】
2光束に比べてビーム走査でフォトニック結晶を作製するにはビーム径およびビーム位置精度が要求される。電子線ではサブミクロンオーダーのビーム径と精度が保証できるが、レーザビームでも波長の短い紫外レーザならば可能性はある。レ−ザによる微細加工を例にとれば、加工精度はレ−ザ光をレンズによりワ−ク表面に集束した場合のスポット径に依存する。
光学の理論により、集束スポット径は集束レンズの焦点距離とレ−ザ光の波長に比例するため、波長が短いほど、また焦点距離が短いほど、集束スポット径は小さくなり、微細集束が可能となる。YAG4倍高調波266nmにおいて、実用的な集束レンズの焦点距離f=150mmを用いた場合、集束スポット径は12μmとなる。
走査はステージ側を移動する場合では、液晶やPDP用の大面積ステージで1μm以下の精度が得られている。
また、レーザビームを走査する場合に、シュリンクフィッタ法による光学系を用いてスポット12μmで10μmピッチ(2,540dpi)の走査が可能である。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1は、本発明の構成を適用して2次元ドット配列からなるフォトニック結晶を製造した例である。
図1は、本実施例における2次元ドット配列からなるフォトニック結晶の製造方法を説明する図である。
本実施例においては、まず、赤外用臭化カリウム(KBr)板(13mm×13mm×t1mm)を用い、それを248nmKrFエキシマレーザ(TUI LASER社製ExciStar)を1μmに集束したビームで露光した。
ステッピングモーターでKBrディスクをY走査し、ガルバノミラーでレーザビームをX走査しながら、レーザ出力を変調して2次元に露光した。
X走査の1μmピッチ画素ごとに、KrFエキシマレーザ強度をON/OFF変調し100μm幅を走査露光し、ちどり配置になるようY走査の次の周期においてX走査の1μmピッチ画素ごとにKrFエキシマレーザ強度を、OFF/ON変調し、図1で示すようなちどり配置の2次元ドット配列に露光した。
【0016】
露光部位は色中心を形成して着色し、600nmにおける屈折率はKrFエキシマレーザ非露光部でn=1.50、露光部で1.54であった。よって、非露光部位に比べて屈折率が4%ほど上がった。
レーザビームは強度分布を持ち中心ピーク強度の1/eで表される直径が1μmの円形であるため、ちどり配置の場合に隣接ドットは連続せず、孤立した海島構造となる。
KBrの物性はバンドギャップが測定方法によって若干のばらつきがあるが7eV前後、F帯遷移エネルギーが2.06eVである。F帯遷移に対応する波長600nmにおける屈折率変化を利用するのが適当である。
このときの色中心の密度は1017cm−3程度と推定される。
かかるアルカリハライド母材に最初形成した2次元ドット列から成るフォトニック結晶に表面導波路で波長600nm光を導入し、その透過率を測定したところ、10%未満であった。光の透過が10%程度あるのは、屈折率差が小さいためフォトニックバンドギャップが不完全なためと推測される。
【0017】
[実施例2]
実施例2は、本発明の構成を適用して関数型フォトニック結晶を製造した例である。
図2は、本実施例における関数型フォトニック結晶およびその作用効果を説明する図である。
2つの屈折率の異なる領域が関数f(x、y)として表される平面レンズを形成するため、上記実施例1でのKrFエキシマレーザの走査を座標(x、y)において、関数g(x、y)なる強度変調を実施し、2つの屈折率の異なる領域が関数f(x、y)として表される平面レンズを形成した。本実施例において強度変調はON/OFFの2値とした。
関数g(x、y)としてy=xを選択し、結晶の1つの面の中心を原点(0、0)とした放物線状に走査露光した。図2(a)のように、放物線の内側は全部露光着色すると、図2(b)に示すように負のy座標から平行入射した光は焦点に集光された。
【0018】
[実施例3]
実施例3は、上記実施例1によって製造したフォトニック結晶構造の一部を選択的に消去し、導波路を形成した例である。
図3は、本実施例における導波路の製造方法を説明する図である。
本実施例において、上記実施例1によって形成したフォトニック結晶構造の消去には、長波長露光により、あるいは300℃程度に加熱することにより、無色透明な初期状態にリセットすることができる。ここでは選択的に消去するために、633nmのヘリウムネオンレーザを1μmスポットに集光して、着色部位のうち一列を選択して走査露光した。
その結果、図3に示すような幅1μmの導波路を形成することができた。
実施例1では10%未満だった透過率が、本実施例では導波路形成後には導波路を経由して入射光の80%以上が透過していた。
本実施例で形成された導波路によれば、導波路のスイッチングを任意に行うことが可能で、また導波路の位置・経路も自由に選択することができる。
【0019】
[実施例4]
実施例4は、上記実施例1によって製造したフォトニック結晶構造の一部を、選択的に消去し、スリットマスク露光して実施例3と同様のライン状の導波路を形成した例である。図4に、本実施例における導波路の構成を示す。
本実施例においては、上記実施例1によって製造したフォトニック結晶構造の一部を、XeClエキシマレーザによりスリットマスク露光により消去し、図4に示すようなライン状の導波路を形成した。
【0020】
[実施例5]
実施例5では、上記実施例1と同様のフォトニック結晶の製造方法において、臭化カリウム(KCl)との1:1混晶を用いた。X線による(200)の格子定数はKBr3.30Å、KCl3.15Åに対して混晶では1つのピークで3.23Åであり、混合物ではなく均一な混晶を形成していることを確認した。
このような混晶において、上記実施例1と同様に、2次元ドット配列状に露光を施すと、表面(200)面は着色せず、異なる面方位が着色し、光学的異方性があるフォトニック結晶を得た。
【0021】
[実施例6]
実施例6においては、上記実施例5の製造方法によって形成した2次元ドット配列からなるフォトニック結晶を用い、上記実施例3あるいは上記実施例4と同じ消去方法によって導波路を形成した。
【0022】
[実施例7]
実施例7においては、上記実施例1と同じ臭化カリウムを母材として用い、2次元ドット配列を露光することによって、図5に示す上記実施例3と同様の構造の導波路を得た。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1における2次元ドット配列からなるフォトニック結晶の製造方法の1例を説明する図。
【図2】本発明の実施例2における関数型フォトニック結晶およびその作用効果を説明する図。
【図3】本発明の実施例3における導波路の製造方法を説明する図。
【図4】本発明の実施例4における導波路の構成を示す図。
【図5】本発明の実施例7における導波路の構成を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法であって、
屈折率周期構造を形成するための母材にアルカリハライドを用い、該母材に電磁波あるいは電子線を照射し、屈折率周期構造を形成することを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項2】
屈折率周期構造を備えた光学素子の製造方法であって、
前記屈折率周期構造の母材に電磁波または電子線の照射もしくは加熱によって屈折率が変化するアルカリハライドを用い、該母材に紫外レーザ光線あるいは電子線を強度変調して照射することにより、それらの照射強度に応じた屈折率の異なる領域を有する2次元周期構造を前記母材に形成する、周期構造形成工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項3】
前記母材に形成された屈折率の異なる領域は、2次元面内座標(x、y)の屈折率が関数f(x、y)で示される領域となるように形成することを特徴とする請求項2に記載の光学素子の製造方法。
【請求項4】
前記周期構造形成工程によって屈折率の異なる領域を有する2次元周期構造を形成した後に、前記2次元周期構造を構成するパターンの一部を変更するように加工するパターン加工工程を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の光学素子の製造方法。
【請求項5】
前記パターン加工工程における前記パターンの一部の変更は、前記パターンの一部を赤外光照射または加熱によって消去することによって行うことを特徴とする請求項4に記載の光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記パターン加工工程における前記パターンの一部の変更によって、2次元周期構造中に光導波路を形成することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
前記アルカリハライドは、電子線あるいは波長350nm以下の紫外線照射によって、波長350nm以上の可視域における透過率および屈折率変化を生じるI-VII族化合物の単結晶もしくは混晶が用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
【請求項8】
前記アルカリハライドとしては、電子線あるいは波長350nm以下の紫外線照射によって、波長350nm以上の可視域における透過率および屈折率変化を生じ、波長700nm以上の赤外光もしくは加熱によって、前記パターンの一部を消去することが可能なI-VII族化合物の単結晶もしくは混晶を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
【請求項9】
屈折率周期構造を有する光学素子であって、該屈折率周期構造を備えた母材がアルカリハライドを含み構成されていることを特徴とする光学素子。
【請求項10】
電磁波または電子線の照射もしくは加熱によって屈折率が変化するアルカリハライドによって構成された屈折率周期構造を備えた光学素子であて、
前記屈折率周期構造が、前記アルカリハライドに紫外レーザ光線あるいは電子線を強度変調して照射することによって形成された、屈折率の異なる領域を備えた2次元周期構造を有することを特徴とする光学素子。
【請求項11】
前記母材に形成された屈折率の異なる領域は、2次元面内座標(x、y)の屈折率が関数f(x、y)で示される領域であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
【請求項12】
前記2次元周期構造には、光導波路が構成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の光学素子。
【請求項13】
前記アルカリハライドは、電子線あるいは波長350nm以下の紫外線照射によって、波長350nm以上の可視域における透過率および屈折率変化を生じるI-VII族化合物の単結晶もしくは混晶であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項14】
前記アルカリハライドは、電子線あるいは波長350nm以下の紫外線照射によって、波長350nm以上の可視域における透過率および屈折率変化を生じ、波長700nm以上の赤外光もしくは加熱によって、前記光導波路の形成が可能なI-VII族化合物の単結晶もしくは混晶が用いられることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−145650(P2006−145650A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332721(P2004−332721)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】