説明

屋内配線終端状態判定装置、PLCアダプタ、屋内配線終端状態判定方法

【課題】 追加的に必要な消費電力を抑えながら需要家の電力の使用状態を認識可能な技術を提供する。
【解決手段】 スキャン周波数及びこの周波数別の初期時パワーに関する情報が内包されたスキャン用ビット列データを出力部34から出力し、スキャン周波数別のデータに分解後、IFFTモジュール19において時系列ディジタルデータに変換し、AFE11においてD/A変換されてスキャン用アナログデータとして電力線10に送信される。電力線10から受信した反射アナログデータは、AFE11においてA/D変換された後、FFTモジュール14において周波数系列の反射スペクトルデータに変換され、照合部31に送られる。照合部31では、各スキャン周波数別の減衰率の組み合わせをパターン対応関係保存部32に登録された登録済パターンデータと照合し、関連付けられたコンセントの接続状態を照合結果として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内配線終端状態判定装置、並びに屋内配線終端状態の判定機能を有するPLCアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)は、電灯線等の屋内電力線を通信回線としても利用する技術であり、通信線路を新たに敷設する必要がなく通信料金の低コスト化が可能であるため、新たな通信手段として注目されており、昨今技術開発が進んでいるところである。
【0003】
例えば、下記特許文献1においては、PLCに使用される中継器及びモデムを設置する際に、屋内電力線のS/N値に基づいて前記モデムの適正な使用帯域を判断する情報を提供する電力線測定器が開示されている。具体的には、発振部と測定部の間に被測定電力線を接続し、発振部から直交周波数分割多重式(Orthogonal Frequency Division Mutiplexing:OFDM)信号を屋内電力線に送信して、測定部により受信したOFDM信号のS/N値に応じてモデムの使用帯域を演算することで、測定範囲の制約を受けずに伝送路特性と使用可能な伝送速度の測定を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−318229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、環境意識の向上を背景に、近年、民生部門における省エネルギーを図るべく、HEMS(Home Energy Management System)が提唱されている。HEMSは、IT技術を活用して電化製品等の効率的な運転を制御することで省エネルギーを図るものであり、これに関連して、家庭のエネルギー消費状況を表示してエネルギー消費意識を高めるようにしたり、電気機器の運転の制御により強制的にエネルギー消費を抑えさせたりするようなシステムが多数提案されている。
【0006】
HEMSでは、各電気機器の運転を制御するために、各電気機器を通信回線で接続し、運転状態を監視或いは検知することが想定されている。しかし、各電気機器の運転状態を監視或いは検知するためには、各機器が個別に現時点の運転状態についての信号をホスト側に送信する構成となる。この結果、機器の数が増加すればするほど各機器とホストの間で前記信号を授受する回数が増加するため、通信に必要な電力量が増加してしまい、省エネルギーという観点からは逆行する懸念もあった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、PLCの技術を利用することで、追加的に必要な消費電力を抑えながら需要家の電力の使用状態を認識可能な技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく、本発明に係る屋内配線終端状態判定装置は、
屋内電力線と電気機器を接続するために設置されたコンセントが、開放状態にあるか若しくは機器が接続された状態にあるかを自動判定する屋内配線終端状態判定装置であって、
複数のスキャン周波数に関する情報と前記スキャン周波数別の初期時パワーに関する情報を内包したスキャン用ビット列データを出力するスキャン用ビット列データ出力部と、
前記スキャン周波数別の減衰率に関する情報若しくは減衰率の算出が可能な情報が前記屋内電力線上に設置された各コンセントの接続状態と関連付けられてなる登録済パターンデータが保存されるパターン対応関係保存部と、
入力された周波数系列の反射スペクトルデータより前記スキャン周波数別のパワーを認識して前記初期時パワーからの減衰率を前記スキャン周波数別に算出し、前記パターン対応関係保存部から前記スキャン周波数別の減衰率が同一の又は誤差範囲内で同一と判断可能な前記登録済パターンデータを検索し、検索に成功した場合には、当該検索された前記登録済パターンデータに関連付けられたコンセントの接続状態を照合結果として出力する照合部と、を備え、
前記反射スペクトルデータは、
PLCアダプタにおいて、前記スキャン用ビット列データが前記スキャン周波数別のデータに分解され、逆フーリエ変換が施されて時系列のディジタルデータに変換された後、D/A変換が施されて生成されたスキャン用アナログデータが前記屋内電力線に対して送信され、その後に、同一の又は別個の前記PLCアダプタにおいて前記屋内電力線から受信された反射アナログデータにA/D変換、フーリエ変換が施されて生成されたディジタルデータであることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る屋内配線終端状態判定装置は、上記の特徴に加えて、
前記パターン対応関係保存部は、前記スキャン周波数別の減衰率の組み合わせに応じて各コンセントの状態が確率情報として保存されており、
前記照合部が、前記反射スペクトルデータから算出した前記スキャン周波数別の減衰率の組み合わせを前記パターン対応関係保存部の保存情報と照合して、各コンセント別に確率情報が最も高いコンセントの状態を照合結果として出力することを別の特徴とする。
【0010】
本発明に係る屋内配線終端状態判定装置は、上記の特徴に加えて、
前記照合部は、前記スキャン周波数別の減衰率が同一の又は誤差範囲内で同一と判断可能な前記登録済パターンデータが検索できなかった場合には、現在の各コンセントの接続状態に関する情報の入力を求める旨の情報を出力することを別の特徴とする。
【0011】
本発明に係る屋内配線終端状態判定装置は、上記の特徴に加えて、
前記照合部は、前記スキャン周波数別の減衰率が同一の又は誤差範囲内で同一と判断可能な前記登録済パターンデータが検索できなかったコンセントが存在した場合には、当該コンセントの接続状態に関する情報の入力を求める旨の情報を出力することを別の特徴とする。
【0012】
本発明に係る屋内配線終端状態判定装置は、上記の特徴に加えて、
コンセントの接続状態に関する情報の外部入力を受け付ける終端状態入力受付部を有し、
前記終端状態入力受付部は、入力された一又は複数のコンセントの接続状態を前記パターン対応関係保存部に出力し、
前記パターン対応関係保存部は、直前に前記照合部が算出した前記スキャン周波数別の減衰率の組み合わせと前記終端状態入力受付部から与えられたコンセントの接続状態とを関連付けて、新たな前記登録済パターンデータとして格納することを別の特徴とする。
【0013】
また、本発明のPLCアダプタは、
上記記載の屋内配線終端状態判定装置を内在すると共に、
周波数に関する情報及び各周波数別のパワーに関する情報が内包されたディジタルデータを周波数別の信号に分解するエンコーダと、
前記エンコーダで生成された周波数別のディジタルデータを重畳して時系列のディジタルデータに変換する逆フーリエ変換モジュールと、
前記時系列ディジタルデータをD/A変換して変換済アナログデータを生成して前記屋内電力線に送信すると共に、前記屋内電力線から受信したアナログデータにA/D変換して変換済ディジタルデータを生成するアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドから出力された時系列の前記変換済ディジタルデータを、周波数系列のディジタルデータに変換するフーリエ変換モジュールと、を備え、
前記スキャン用ビット列データ出力部が前記スキャン用ビット列データを出力すると、前記エンコーダにおいて前記スキャン周波数別の信号に分解した後、前記逆フーリエ変換モジュールにおいて時系列のディジタルデータに変換し、更に前記アナログフロントエンドにおいて前記スキャン用アナログデータに変換した後、前記屋内電力線に送信し、
その後に、前記アナログフロントエンドが前記屋内電力線より前記反射アナログデータを受信すると、これをディジタルデータに変換した後、前記フーリエ変換モジュールにおいて周波数系列のディジタルデータである前記反射スペクトルデータに変換した後、前記照合部に与え、当該照合部で照合処理を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の屋内配線終端状態判定方法は、
上記特徴を有するPLCアダプタを複数個前記屋内電力線に接続し、
一のPLCアダプタより前記スキャン用アナログデータを送信し、
別のPLCアダプタが前記反射アナログデータを受信して、これに基づいて前記反射スペクトルデータを生成して前記照合部において照合処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の屋内配線終端状態判定装置のような構成としたとき、前記スキャン用ビット列データ出力部としては、所定のビット列データを生成、出力(送信)する機能を備えていれば良く、前記パターン対応関係保存部としては、情報を格納する機能を備えていれば良く、前記照合部としては、与えられたデータに基づいて前記パターン対応関係保存部に格納されたデータと照合する演算処理機能を備えていれば良い。つまり、通常のPLCアダプタが存在すれば、追加的に必要なハードウェアとしては通常のマイクロコンピュータで実現が可能である。当然に、このマイクロコンピュータは、PLCアダプタ内に内在させることも可能であり、この場合、屋内配線終端状態の判定機能を有するPLCアダプタが実現される。
【0016】
ビット列データはスキャン周波数別に分解された後、これが重畳されることで周波数系列のディジタルデータとなる。そして、このデータが逆フーリエ変換されることで時系列ディジタルデータに変換され、更にD/A変換されることでアナログデータ(スキャン用アナログデータ)に変換される。
【0017】
このスキャン用アナログデータが屋内電力線に対して送信されると、各コンセントの状態に応じて終端から反射されるアナログデータ(反射アナログデータ)の状態は変化する。この反射アナログデータをA/D変換、フーリエ変換することで、周波数系列のディジタルデータ(反射スペクトルデータ)が生成される。これにより、各スキャン周波数別のパワーが、送信時からどの程度変化したかが認識される。
【0018】
パターン対応関係保存部には、各コンセントの接続状態と、各スキャン周波数別の減衰率が関連付けされたデータが格納されている。よって、照合部において、反射スペクトルデータから、各スキャン周波数別の減衰率を検出し、この減衰率の組み合わせと同一の組み合わせをパターン対応関係保存部から検索する。検索に成功すれば、当該組み合わせに関連付けられているコンセントの接続状態(終端状態)が現在の終端状態であると認定できる。
【0019】
なお、終端状態を検出する際において、送信側アダプタ(検出装置)と受信側アダプタ(検出装置)を同一のものとしても構わないし、別個のものとしても構わない。送信用と受信用のアダプタ(装置)を同一とした場合、スキャン用アナログデータからの出力(送信処理)が完全に完了してからでないと反射アナログデータを正しく受信することが難しいが、別個とすることで、スキャン用アナログデータの出力が完了する前から反射アナログデータの受信が開始できるため、終端状態の判定に要する時間を短縮化でき、また、判定精度も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】PLCアダプタが接続された屋内配線の模式図
【図2】本発明のPLCアダプタの概略構成を示すブロック図
【図3】登録済パターンデータのイメージを示す表
【図4】本発明の屋内配線終端状態判定装置がPLCアダプタ外にある場合の概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、屋内において電力を各箇所に分配するために設けられた配線(屋内電力線)を、単に「電力線」と略記する。
【0022】
図1は、本発明のPLCアダプタの利用状況を模式的に示したものである。屋内1において、分電盤10から各箇所に設置されたコンセントに電力が供給されており、電気機器をこれに接続することで給電が行われる。
【0023】
なお、ここでいう「コンセント」とは、屋内配線を構成する電力線と電気機器を電気的に接続するために設置された接続機器を指す。
【0024】
PLCアダプタ2は、コンセントに接続されることで電力線から電源用電圧を得ると共に、当該電力線を介して通信情報の授受を行う。また、図示しないLAN用のインタフェースを備えており、LANを利用する機器とLAN回線を介して接続される。例えば、PLCアダプタ2が別々の部屋に設けられ、各部屋で各PLCアダプタと機器がLAN回線によって接続されることで、別々の部屋に存在する前記機器同士が(電力線を経由して)LANにより接続される。これにより、同LANに接続されたコンピュータによって各機器を遠隔で制御したり、機器の運転状態を監視したりすることが可能となる。
【0025】
屋内1には、分電盤50、並びに多数のコンセント51a,51b,52a,52b,53a,53b,……が備えられている。図1においては、コンセント51aに機器Aが、52bに機器Bが、53bにPLCアダプタ2が接続されている例が図示されている。
【0026】
前述したように、PLCアダプタは、本来はLAN回線を介して機器を接続することで、当該機器をLANに接続させることを意図したものである。従って、離れた部屋に存在する複数の機器をLANにより接続させる場合、必然的に複数のPLCアダプタが必要となる。
【0027】
しかし、本発明は、PLCアダプタが通常備えている機能を利用して、各コンセントの利用状態(屋内配線の終端状態)を判定することを目的とするものであり、前述した各機器をLANにより接続するというPLCアダプタの本来の利用目的とは異なる。そして、この本発明の目的でPLCアダプタを利用して、その機能(以下、「本発明機能」という)を実現する場合においては、PLCアダプタを必ずしも複数備える必要はない。ただし、後述するようにPLCアダプタを複数備えることで効果が向上する場合がある。
【0028】
以下、本発明におけるPLCアダプタの動作内容につき、図2のブロック図を参照して説明する。
【0029】
図2は、PLCアダプタ2の概略構成を模式的に示したブロック図である。PLCアダプタ2は、一般的なPLCアダプタと同じく、アナログフロントエンド(AFE)11,オートゲインコントローラ(AGC)12,同期モジュール13,FFT(フーリエ変換)モジュール14,フレームコントロールデコーダ15,LANインタフェース16,フレームコントロールエンコーダ17,コンスタレーションマッパー18,IFFT(逆フーリエ変換)モジュール19,ポスト処理モジュール21,コンスタレーションデマッパー22を備える。そして、PLCアダプタ2は、これらに加えて本発明の目的を奏するための終端状態判定ユニット3を備える。
【0030】
AFE11は、A/D変換器及びD/A変換器を備えており、電力線10から与えられるアナログデータをディジタルデータに変換してFFTモジュール14に出力し、逆にポスト処理モジュール21から与えられるディジタルデータをアナログデータに変換して電力線10に送信する。
【0031】
AGC12,同期モジュール13,FFTモジュール14,フレームコントロールデコーダ15,フレームコントロールエンコーダ17,コンスタレーションマッパー18,IFFTモジュール19,ポスト処理モジュール21,コンスタレーションデマッパー22は、LAN回線からLANインタフェース16を介して与えられたディジタルデータ、或いはAFE11から与えられたディジタルデータに対して各種演算処理を施すソフトウェア処理ブロックである。これらの処理ブロックでは、いずれもPLCアダプタ2内にハードウェアとして存在するCPU及びメモリ(不図示)を利用して各演算処理が行われる。
【0032】
LANインタフェース16は、PLCアダプタ2を本来の目的で使用する場合において、PLCアダプタ2と外部の機器をLAN回線によって接続して、両者間で信号の授受を可能にするためのインタフェースである。
【0033】
終端状態判定ユニット3は、本発明機能を実現するために備えられた特有のソフトウェア処理ブロックである。その説明は後述する。
【0034】
まず、PLCアダプタ2の通常の使用時における信号処理の手順につき簡単に説明する。
【0035】
LAN回線よりLANインタフェース16に入力されたディジタルデータは、フレームコントロールエンコーダ17において、スクランブリング、エラー訂正符号化、インターリービング等の処理が行われた後、サブキャリア(N)数のパラレルデータに変換される。
【0036】
パラレルデータは、コンスタレーションマッパー18において、それそれ各サブキャリア毎に、使用される変調方式に従って複素平面(I−Q平面)上にマッピングされる。例えば64QAMであれば、6ビット毎にデータが取り出され、複素平面上の64点のうちのいずれか1点にマッピングされる。
【0037】
各サブキャリアは、それぞれ周波数が互いに異なるが、周波数帯域が相互に重なっても分離できるよう直交性を有している。基本信号A(t)は、下記数1によって規定される。
【0038】
【数1】



【0039】
なお、上記数1において、各サブキャリアの周波数がnf0、シンボル長T=1/f0である。つまり、nを1,2,……と異なる値にすることで、各サブキャリアの周波数を異ならせることができる。
【0040】
また、送信信号s(t)は、下記数2のように表せるため、数3に示すようにキャリア成分と変調成分に分解することができる。
【0041】
【数2】



【0042】
【数3】



【0043】
つまり、数3より、変調成分は実部と虚部からなる複素数で表せるため、各サブキャリア毎にコンスタレーションマッパー18においてマッピングされた複素平面位置が示す複素数によって、各サブキャリア毎にak, bkの値が決定される。
【0044】
IFFTモジュール19は、コンスタレーションマッパー18において決定されたak, bkの値により各サブキャリア毎に決定される信号波形を、各サブキャリアの搬送周波数を異ならせて同一タイミングで足し合わせて下記数4に示すベースバンドOFDM信号を生成する。これにより、周波数系列のディジタルデータが時系列のディジタルデータに変換される。
【0045】
【数4】



【0046】
なお、実際の演算においては、N個のサブキャリア毎に決定されたak, bk (k=0,1,2,……,N-1)を用いて表わされる複素データシンボルdk (= ak+jbk)を定義し、これを逆離散フーリエ変換(IDFT)したものを連続信号に変換することで得られる信号u(t)の実部をとることで、ベースバンドOFDM信号sB(t)を算出するものとして良い。
【0047】
IFFTモジュール19によって生成されたベースバンドOFDM信号は、ポスト処理モジュール21において、受信側の同期処理に用いるプリアンブル付加、シンボル間干渉を回避するためのガードインターバル付加、時間窓によるフィルタリング、信号の瞬時電力が一定以上となる部分を取り除くリミッタ処理等の各種処理が行われる。
【0048】
そして、AFE11において、アナログデータに変換され(D/A変換)、必要に応じて送信に必要な周波数への変換、強度調整が施された後、電力線10に出力される。
【0049】
受信時には、前述した送信時の処理と反対の処理を行う。電力線10から伝送信号を受信すると、AFE11は、周波数変換や強度調整の後、伝送信号をディジタルデータに変換し、AGC12及び同期モジュール13と協力してサンプル信号データ及びタイミング情報をFFTモジュール14に提供する。
【0050】
FFTモジュール14は、時系列のディジタルデータを周波数系列のディジタルデータに変換し、これをコンスタレーションデマッパー22に与える。実際の演算においては、離散フーリエ変換(DFT)を行っても良い。コンスタレーションデマッパー22は、使用される変調方式に従って各サブキャリア別にデマッピングを行い、サブキャリア別のパラレルデータを取得する。フレームコントロールデコーダ15は、N個のパラレルデータをシリアルデータに変換し、必要に応じてデスクランブリング、デインターリービング等の処理を施して、LANインタフェース16に与える。LANインタフェース16は、LAN回線を介して送信可能な形式に変換処理を行って、LAN回線へと出力する。
【0051】
このような一連の処理が行われることで、PLCアダプタ2とLAN回線を介して接続された機器同士が、電力線10を経由して通信可能な状態となる。
【0052】
次に、PLCアダプタ2を利用して本発明機能を実現する場合の動作処理につき、説明する。
【0053】
図2に示すように、PLCアダプタ2は、本発明機能を実現させるべく終端状態判定ユニット3(終端状態判定装置3)を備えている。
【0054】
終端状態判定ユニット3は、照合部31,パターン対応関係保存部32,照合結果出力部33,スキャン用ビット列データ出力部34,及び終端状態入力受付部35を備える。照合部31は、FFTモジュール14から与えられる周波数系列のディジタルデータを、パターン対応関係保存部32に保持されたデータと照合して、屋内1における各コンセントの状態を判定するソフトウェア処理ブロックである。パターン対応関係保存部32は後述する所定のデータが保持された記憶部である。照合結果出力部33及びスキャン用ビット列データ出力部34は、それぞれ所定のデータの出力を行うインタフェースであり、終端状態入力受付部35は所定のデータの入力を受け付けるインタフェースである。つまり、終端状態判定ユニット3は、いずれも、CPU、メモリ、或いは信号の入出力インタフェースをハードウェアとして実現されるものであり、通常のPLCアダプタが備えるハードウェアに加えて別途専用のハードウェアが必要となるわけではない。
【0055】
終端状態判定ユニット3は、PLCアダプタ2がコンセントに接続されている状態の下で、このコンセントに接続している電力線、並びにこれに直接或いは分電盤を介して間接的に接続している他の電力線の終端の状態を判定する機能ブロックである。例えば、図1に戻って、各コンセント51a,51b,52a,52b,53a,53bが開放中か機器が接続されているか、接続されている機器は稼働中か否かといった情報を検出することができる。以下では、このようなコンセントの状態を指して「終端状態」と呼ぶ。
【0056】
終端状態を検出を行うに際しては、まずスキャン用ビット列データ出力部34が所定のスキャン用ビット列データを出力する。このビット列データには、複数の搬送周波数(以下、「スキャン周波数」という)に関する情報と、各スキャン周波数別の大きさ(以下、「初期時パワー」という)に関する情報が内包されている。
【0057】
スキャン用ビット列データは、フレームコントロールエンコーダ17においてサブキャリア数(すなわち、スキャン周波数の種類数)のパラレルデータに変換された後、コンスタレーションマッパー18において、それそれ各スキャン周波数別に、初期時パワーに関する情報に基づいて複素平面(I−Q平面)上にマッピングされ、数3に既述の変調成分を確定させる。
【0058】
ここで、スキャン周波数の種類は、サブキャリアとして利用可能な搬送周波数の中から、終端状態を判定するコンセント数に応じて選択して決定される。例えば、この数を10種類とし、各搬送周波数を2,5,8,11,14,17,20,23,26,30MHzとすることができる。
【0059】
IFFTモジュール19は、各サブキャリアの搬送周波数(スキャン周波数)と各スキャン周波数別の変調成分によって確定される信号波形を同一タイミングで足し合わせることで、周波数系列のディジタルデータを時系列のディジタルデータに変換する。このとき、前記のように逆離散フーリエ変換(IDFT)を行うものとしても良い。数4に示すベースバンド周波数は直交性を有するため、各周波数成分が混合されても再び取り出すことができる。
【0060】
その後、ポスト処理モジュール21において後処理が施された後、AFE11でアナログデータ(以下、「スキャン用アナログデータ」と称する)に変換され、電力線10に送信される。
【0061】
電力線10に出力されたスキャン用アナログデータは、このPLCアダプタ2と直接接続された電力線10の終端、同電力線に直接接続された他の電力線の終端、並びに分電盤50を介して間接的に接続された他の電力線の終端へと供給される。そして、各終端へ到達すると、これが反射されてその反射波が逆向きに流れる。この反射波は、各終端の状態に応じて状態を変化させる。すなわち、コンセントが開放状態にあるか、どのような機器が接続されているか、そして接続されている機器が運転中であるか停止中であるかといった事情に応じて、反射波の態様は変化する。つまり、反射波には各終端の状態が反映されているといえる。
【0062】
一の電力線を流れる反射波は、他の電力線からの反射波と交わると、その信号レベルを変化させる。この場合においても、直交性ゆえ、周波数成分相互で影響を及ぼし合うことはない。そして、PLCアダプタ2が直接接続されている電力線10に反射波(以下、「反射アナログデータ」と称する)が流入すると、PLCアダプタ2のAFE11が反射アナログデータをディジタルデータに変換し、FFTモジュール14に与える。
【0063】
通常の情報授受機能として利用する場合、既述したように、電力線10を介して取得したデータは、AFE11において、AGC12及び同期モジュール13の協力の下、ゲインを一定に保ちながら信号変換を行っていた。これに対し、本発明機能を実現する場合においては、ゲインコントロールを行うことなくA/D変換を行って、得られたディジタルデータをFFTモジュール14に提供する。これは、終端状態によって決定された反射アナログデータの各スキャン周波数成分の大きさを、初期時パワーと正しく比較するためである。
【0064】
FFTモジュール14は、AFE11から時系列のデータとして与えられたディジタルデータに対してフーリエ変換を施して、周波数系列のディジタルデータ(以下、「反射スペクトルデータ」という)を生成し、終端状態判定ユニット3の照合部31に供給する。これにより、スキャン用アナログデータの反射波がどのようなスペクトル分布を示しているかが認識可能となる。
【0065】
反射スペクトルデータが示すスペクトル分布状態は、各終端の状態に依存する。例えば、図1において、コンセント51aに機器Aが接続されている場合と接続されていない場合とでは、同一のスキャン用アナログデータを電力線10に出力した場合であっても、その反射波のスペクトル分布状態が変化する。パターン対応関係保存部32には、予め終端状態と反射波のスペクトル分布の対応関係が調査され、これが登録されているものとする。
【0066】
ここでは、受信した信号について、送信側で生成し、重畳させた各スキャン周波数(前記の例では2,5,8,11,14,17,20,23,26,30MHz)成分のそれぞれの大きさが、送信時からどの程度減衰しているかに着目する。このとき、パターン対応関係保存部32においては、各終端の状態の組み合わせと、各スキャン周波数の減衰率が関連付けられている。図3に一例を示す。
【0067】
反射パターンとは、各搬送周波数毎の減衰率の組み合わせが登録されているものであり、それぞれにパターン番号が付されている。屋内1には多くのコンセントが存在するが、照明用コンセントには照明しか付けられることはなく、他のコンセントにおいても、あるコンセントでは利用者が予定する所定の機器しか使わないということが想定される。このため、利用者が各コンセントを利用する可能性がないコンセント利用態様の組み合わせを排除した残りの組み合わせにつき、各組み合わせ毎に反射パターンを登録すれば良い。無論、全ての可能性につき反射パターンを登録しても良い。
【0068】
図3に示す表はあくまで模式的なイメージを示すものであり、実際にパターン対応関係保存部32内に登録する際には、各コンセントを識別するための符号と、コンセントの状態に関する情報(開放、接続機器運転状態、接続機器停止状態等)を合わせた数ビットの情報として記録することができる。
【0069】
照合部31は、FFTモジュール14から反射スペクトルデータが与えられると、各スキャン周波数別のパワーを認識すると共に、初期時パワーからの減衰率を算出し、この組み合わせをパターン対応関係保存部32に登録されている減衰率の組み合わせ(以下、「登録済パターンデータ」という)と照合する。そして、完全に一致するものが存在すれば、当該登録済パターンデータが示す終端状態をもって現時点における終端状態と認識し、その旨を照合結果出力部33から外部に出力する。
【0070】
実際には、各スキャン周波数別の減衰率の数値が、誤差を有せず完全に一致するということは難しいため、多少の誤差を許容した上で対応する終端状態を検出する。この場合、照合部31では、各スキャン周波数別の減衰率に基づいて、各コンセント毎に状態を確率化し、最大エントロピー法(MEM: Maximum Entropy Method)を用いて最も確率の高い状態の組み合わせをもって終端状態として検出する方法が採用できる。
【0071】
また、パターン対応関係保存部32に、利用者が想定する全ての終端状態に関する情報が登録できていない場合には、適宜学習をさせながら登録済パターンデータを追加記憶させていくことが可能である。また、前記のように、最も確率の高い状態をもって終端状態として検出する方法の場合において、最も確率の高い値であっても所定の値を下回るような場合には、検出に失敗したものとみなして学習をさせるものとして良い。
【0072】
照合部31は、反射スペクトルデータから算出した各スキャン周波数別の減衰率の組み合わせに相当する登録済パターンデータの検索に失敗した場合には、照合結果出力部33に対しその旨を出力させる。利用者は、終端状態入力受付部35より、現時点における各コンセントの状態を入力する(例えば、コンセント51aは開放、コンセント51bは機器A接続、……)。終端状態入力受付部35は、各コンセントの状態が入力されると、この情報をパターン対応関係保存部32に出力する。パターン対応関係保存部32は、今回送られてきた終端状態に関する情報を、今回検出した搬送周波数別の減衰率の組み合わせに関連付けて、登録済パターンデータとして新たに保存する。
【0073】
これにより、現時点における終端状態に対応した登録済パターンデータが登録されたこととなり、再度同一の終端状態の下で照合を行った場合には、終端状態を正しく判定できる可能性が高くなる。このように、終端状態の検出に失敗する都度、その時点における終端状態を終端状態入力受付部35より入力させ、直前に与えられた反射スペクトルデータと関連付けてパターン対応関係保存部32に登録することで、登録済パターンデータを適宜追加登録させることができる。
【0074】
なお、上述の例では、利用者が全てのコンセントに関する状態の情報を入力するものとしたが、一部のコンセントに関する状態のみを入力しても良い。例えば、検出に失敗した際に、この時点におけるコンセント51aが開放であって、かかる情報のみを登録したとする。すると、パターン対応関係保存部32は、他のコンセントの情報については認識できないものの、照合部31から与えられた直前の反射スペクトルデータが示すスキャン周波数別の減衰率の組み合わせを、「コンセント51aが開放」という終端状態に関連付けることが可能となる。
【0075】
このとき、再びスキャン用ビット列データを出力させ、スキャン用アナログデータを電力線10に送信し、反射アナログデータをA/D変換、フーリエ変換して得られる反射スペクトルデータが示すスキャン周波数別の減衰率に基づいて、照合部31が再照合した場合、少なくともコンセント51aについては「開放」である旨を認識できる可能性が極めて高い。残りのコンセントに関する状態については、再び終端状態入力受付部35から入力して登録すれば良い。このように、各コンセントに関する状態情報を、少しずつ登録することも可能である。
【0076】
また、上記構成において、照合部31が登録済パターンデータの検索に失敗した場合に、同一のスキャン用ビット列データを出力してPLCアダプタ2からスキャン用アナログデータを送信させ、受信した反射アナログデータから生成された反射スペクトルデータに基づいて照合部31が登録済パターンデータの再検索を行うという一連の処理を、検索に成功するまで、或いは処理回数が所定数を超えるまで繰り返し行うものとしても良い。この場合、何らかのエラーによって検索に失敗したような場合であれば、再検索時に成功する可能性があり、このときは終端状態の判定が可能となる。他方、所定回数繰り返しでもなお検索に失敗するような場合には、現時点の終端状態に対応するパターンデータが登録されていないことが想定されるため、かかる場合には、前記のように、その旨を出力して終端状態に関する外部入力を求めれば良い。
【0077】
以上、説明したように、本発明のPLCアダプタ2によれば、内部に終端状態判定ユニット3を備えるため、各コンセントの状態の自動判定が可能となる。また、判定に失敗した場合であっても、学習機能を有しているため、判定と登録を繰り返し行うことにより、判定の成功確率を高めることができる。
【0078】
本発明の機能を利用することで、PLCアダプタ2によって、各コンセントに接続されている機器が現在運転中であるかどうか、という情報も遠隔で認識可能となるため、例えば消費電力の高い機器が運転中である場合にはその旨を強調して利用者に知らせることで、利用者に対して省エネルギー意識を向上させる効果が期待できる。また、その機器がアイロンやドライヤーといった発熱を伴う機器である場合には、利用者への通知によって安全性の担保につながる。
【0079】
さらに、照明機器が接続されるコンセントの状態を検出することで、照明機器のON/OFF状態を認識できるため、例えば一人暮らしの老人宅にかかる機能を有したPLCアダプタ2を設置し、その家族が遠隔で情報の監視を行うことにより、住人が活動しているかどうかを推測でき、監視者に安心を提供することができる。
【0080】
以下、別実施形態につき説明する。
【0081】
〈1〉 図2の構成では、PLCアダプタ2内に終端状態判定ユニット(終端状態判定装置)3を備える構成としたが、終端状態判定ユニット3をPLCアダプタ2の外部(例えばPLCアダプタ2とは別の汎用コンピュータ)に備える構成としてもよい(図3参照)。動作内容は図2と同じであるため、説明を省略する。なお、図3においてPLCアダプタ2Aは、終端状態判定ユニット3を備えない従来のPLCアダプタに相当する。
【0082】
〈2〉 上述した実施形態では、PLCアダプタ2を1つ設置し、スキャン用アナログデータを電力線10に出力したPLCアダプタ2が、受信した反射アナログデータに基づく反射スペクトルデータに基づいて終端状態の検出も行う構成であった。これに対し、PLCアダプタ2を2つ設置し、スキャン用アナログデータを送信するアダプタ(送信側アダプタ)と、反射アナログデータを受信して反射スペクトルデータを生成し、これに基づいて終端状態の判定を行うアダプタ(受信側アダプタ)を別個にする構成としても良い。この場合、受信用のPLCアダプタ2は、送信用のPLCアダプタ2との位置関係に応じて受信信号の特性が異なるため、両アダプタ共に予め定められたコンセントに接続するのが好ましい。
【0083】
更に、スキャン用アナログデータを送信する送信用PLCアダプタと、反射アナログデータを受信する受信用PLCアダプタを異ならせる場合において、送信用PLCアダプタにはスキャン用ビット列データ出力部34を備え、受信用PLCアダプタには、照合部31,パターン対応関係保存部32,照合結果出力部33,終端状態入力受付部35を備える構成としても良い。この場合、各PLCアダプタ内のソフトウェアブロック数を減らすことができる。
【0084】
また、複数のPLCアダプタを設置した場合において、各PLCアダプタにおいてそれぞれ反射スペクトルデータを生成して判定処理を行い、得られたそれぞれの判定結果に基づいて終端状態を決定する構成としても良い。このようにすることで、判定精度を増すことができる。
【0085】
〈3〉 上述した実施形態では、PLCアダプタ2がOFDM方式のディジタル変復調処理を行う構成であることを想定したが、信号の変調方式はこの方式に限られるものではなく、例えばスペクトル拡散方式(SS方式)等においても同様の方法で利用できる。
【0086】
〈4〉 上述した実施形態では、パターン対応関係保存部32には、各スキャン周波数別に初期時パワーを基準としたときの、反射スペクトルデータのパワーの減衰度を割合の形で示した情報の組み合わせが、終端状態と関連付けられて登録済パターンデータとして登録されているものとした。これに対し、登録済パターンデータとして各スキャン周波数別の反射スペクトルデータのパワーの値そのものが登録されているものとしても良い。
【0087】
すなわち、スキャン用ビット列データが内包する各スキャン周波数別の初期時パワーを、終端状態の判定を行う際に常時共通の値としておくことで、反射スペクトルデータのパワーの値そのものが検出できれば、実際に照合部31において検出された各スキャン周波数別の反射スペクトルデータのパワーの値の比較によって、終端状態の検出が可能となる。これは、初期時パワーが常に共通であるために結果的に反射スペクトルデータのパワー値を比較することによって、減衰率を検出したのと同様の効果が得られることを意味するものである。
【0088】
これを踏まえると、終端状態の判定を行う際、初期時パワーが変化しても各判定時における初期時パワーに関する情報が認識できていれば、照合部31において減衰率を算出することが可能である。すなわち、初期時パワーの変更を可能にすると共に、スキャン用ビット列データ出力部34からスキャン用ビット列データが出力される際、各スキャン周波数別の初期時パワーに関する情報を一時的に保持しておくことで、照合部31は、受信した反射スペクトルデータの各スキャン周波数別のパワーを認識すると、保持していた各スキャン周波数別の初期時パワーに対する減衰率を算出し、これに基づいてパターン対応関係保存部32に対して照合を行うことができる。得られた反射アナログデータの大きさが小さく、フーリエ変換を行っても、各スキャン周波数別のパワーが照合可能な程度に認定できなかったような場合に、初期時パワーを高めてスキャン用ビット列データを再生成して出力することで、終端状態の判定が可能になることが想定される点で有用である。
【符号の説明】
【0089】
1: 屋内
2: 本発明のPLCアダプタ
2A: 従来のPLCアダプタ
3: 終端状態判定ユニット(装置)
10: 屋内電力線(屋内配線)
11: アナログフロントエンド
12: オートゲインコントローラ
13: 同期モジュール
14: FFTモジュール
15: フレームコントロールエンコーダ
16: LANインタフェース
17: フレームコントロールデコーダ
18: コンスタレーションマッパー
19: 逆変換モジュール
21: ポスト処理モジュール
22: コンスタレーションデマッパー
31: 照合部
32: パターン対応関係保存部
33: 照合結果出力部
34: スキャン用ビット列データ出力部
35: 終端状態入力受付部
50: 分電盤
51a,51b,52a,52b,53a,53b: コンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内電力線と電気機器を接続するために設置されたコンセントが、開放状態にあるか若しくは機器が接続された状態にあるかを自動判定する屋内配線終端状態判定装置であって、
複数のスキャン周波数に関する情報と前記スキャン周波数別の初期時パワーに関する情報を内包したスキャン用ビット列データを出力するスキャン用ビット列データ出力部と、
前記スキャン周波数別の減衰率に関する情報若しくは減衰率の算出が可能な情報が前記屋内電力線上に設置された各コンセントの接続状態と関連付けられてなる登録済パターンデータが保存されるパターン対応関係保存部と、
入力された周波数系列の反射スペクトルデータより前記スキャン周波数別のパワーを認識して前記初期時パワーからの減衰率を前記スキャン周波数別に算出し、前記パターン対応関係保存部から前記スキャン周波数別の減衰率が同一の又は誤差範囲内で同一と判断可能な前記登録済パターンデータを検索し、検索に成功した場合には、当該検索された前記登録済パターンデータに関連付けられたコンセントの接続状態を照合結果として出力する照合部と、を備え、
前記反射スペクトルデータは、
PLCアダプタにおいて、前記スキャン用ビット列データが前記スキャン周波数別のデータに分解され、逆フーリエ変換が施されて時系列のディジタルデータに変換された後、D/A変換が施されて生成されたスキャン用アナログデータが前記屋内電力線に対して送信され、その後に、同一の又は別個の前記PLCアダプタにおいて前記屋内電力線から受信された反射アナログデータにA/D変換、フーリエ変換が施されて生成されたディジタルデータであることを特徴とする屋内配線終端状態判定装置。
【請求項2】
前記パターン対応関係保存部は、前記スキャン周波数別の減衰率の組み合わせに応じて各コンセントの状態が確率情報として保存されており、
前記照合部が、前記反射スペクトルデータから算出した前記スキャン周波数別の減衰率の組み合わせを前記パターン対応関係保存部の保存情報と照合して、各コンセント別に確率情報が最も高いコンセントの状態を照合結果として出力することを特徴とする請求項1に記載の屋内配線終端状態判定装置。
【請求項3】
前記照合部は、前記スキャン周波数別の減衰率が同一の又は誤差範囲内で同一と判断可能な前記登録済パターンデータが検索できなかった場合には、現在の各コンセントの接続状態に関する情報の入力を求める旨の情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の屋内配線終端状態判定装置。
【請求項4】
前記照合部は、前記スキャン周波数別の減衰率が同一の又は誤差範囲内で同一と判断可能な前記登録済パターンデータが検索できなかったコンセントが存在した場合には、当該コンセントの接続状態に関する情報の入力を求める旨の情報を出力することを特徴とする請求項2に記載の屋内配線終端状態判定装置。
【請求項5】
コンセントの接続状態に関する情報の外部入力を受け付ける終端状態入力受付部を有し、
前記終端状態入力受付部は、入力された一又は複数のコンセントの接続状態を前記パターン対応関係保存部に出力し、
前記パターン対応関係保存部は、直前に前記照合部が算出した前記スキャン周波数別の減衰率の組み合わせと前記終端状態入力受付部から与えられたコンセントの接続状態とを関連付けて、新たな前記登録済パターンデータとして格納することを特徴とする請求項3又は4に記載の屋内配線終端状態判定装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の屋内配線終端状態判定装置を内在すると共に、
周波数に関する情報及び各周波数別のパワーに関する情報が内包されたディジタルデータを周波数別の信号に分解するエンコーダと、
前記エンコーダで生成された周波数別のディジタルデータを重畳して時系列のディジタルデータに変換する逆フーリエ変換モジュールと、
前記時系列ディジタルデータをD/A変換して変換済アナログデータを生成して前記屋内電力線に送信すると共に、前記屋内電力線から受信したアナログデータにA/D変換して変換済ディジタルデータを生成するアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドから出力された時系列の前記変換済ディジタルデータを、周波数系列のディジタルデータに変換するフーリエ変換モジュールと、を備え、
前記スキャン用ビット列データ出力部が前記スキャン用ビット列データを出力すると、前記エンコーダにおいて前記スキャン周波数別の信号に分解した後、前記逆フーリエ変換モジュールにおいて時系列のディジタルデータに変換し、更に前記アナログフロントエンドにおいて前記スキャン用アナログデータに変換した後、前記屋内電力線に送信し、
その後に、前記アナログフロントエンドが前記屋内電力線より前記反射アナログデータを受信すると、これをディジタルデータに変換した後、前記フーリエ変換モジュールにおいて周波数系列のディジタルデータである前記反射スペクトルデータに変換した後、前記照合部に与え、当該照合部で照合処理を行うことを特徴とするPLCアダプタ。
【請求項7】
請求項6に記載のPLCアダプタを複数個前記屋内電力線に接続し、
一のPLCアダプタより前記スキャン用アナログデータを送信し、
別のPLCアダプタが前記反射アナログデータを受信して、これに基づいて前記反射スペクトルデータを生成して前記照合部において照合処理を行うことを特徴とする屋内配線終端状態判定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−252810(P2011−252810A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127296(P2010−127296)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】