説明

屋根の棟部の構造

【課題】防水性を高くすることができる屋根の棟部の構造を提供する。
【解決手段】建物躯体3に複数本の山部1、1…を有する屋根材2をその山部1、1…が屋根勾配と平行となるように載設する。この屋根材2の棟側端部の上方に棟包4を設ける。隣接する山部1、1の間の谷部5に風雨の吹き込みを防止するために棟包4の下方の谷部5に遮蔽板6を配設する屋根の棟部の構造に関する。前記遮蔽板6として棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを屋根勾配と直交する方向に配設すると共に棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを屋根勾配と平行な方向に並設する。棟側遮蔽板7にその下端に開口する棟側排水口を形成すると共に棟側排水口と位置を違えて軒側遮蔽板8にその下端に開口する軒側排水口を形成する。棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8の各下端面を谷部5の表面に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄せ棟や片流れ棟などの屋根の棟部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、雨水の吹き込みによる屋内への侵入を防止するために、各種の屋根の棟部の構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は断熱屋根パネル20で形成した屋根の棟部の構造を示す。断熱屋根パネル20は、図7に示すように、二枚の金属外皮である表面外皮21と裏面外皮22の間に断熱材23を介在して形成されている。また、断熱屋根パネル20の表面(上面)には複数本の山部1が突設されており、隣り合う山部1、1の間は平坦な谷部5として形成されている。このような断熱屋根パネル20は、図8に示すように、その山部1の長手方向が屋根の傾斜方向と平行になるようにして母屋などの建物躯体3に載置した後、テクス(ドリルネジ)などの固定具27により建物躯体3に固定するものであり、複数枚の断熱屋根パネル20を固定することにより屋根を形成することができる。
【0004】
図6に示すように、屋根の棟部では、左右に対向配置された断熱屋根パネル20、20の棟側端面の間にはウレタン製などのパッキン28が介在している。また、左右に対向配置された断熱屋根パネル20、20の棟側端部の上面を覆うようにして棟包4が配設されている。そして、さらに、この棟部には防水性を高めるために、水返し部30、溢止面戸31、エプロン部材32などが設けられている。
【0005】
水返し部30は、断熱屋根パネル20の谷部5において、表面外皮21の棟側端部を斜め上方に立ち上げるように屈曲して形成されている。溢止面戸31は棟側に開口する断面略コ字状又は断面略ロ字状の部材で形成されるものであって、水返し部30の軒側(屋根の傾斜方向において下側)において谷部5に配設されている。また、溢止面戸31の上面及び山部1の上面と棟包4の下面との間にはシーリングテープ33が充填されていると共に、図9、10に示すように、溢止面戸31の軒側において、溢止面戸31の下端と谷部5の表面(上面)との隙間、溢止面戸31の側端と山部1の側面との隙間及び山部1の上面と棟包4の下面との隙間をそれぞれ塞ぐようにしてシーリング材34が充填されている。さらに、エプロン部材32はシーリング材34の軒側において谷部5に配設されている。エプロン部材32は遮蔽板32aと遮蔽板32aの上端に設けた係止片32bとから構成されており、係止片32bの両端を山部1の上面に係止して固定するようにしている。谷部5に配設されたエプロン部材32の遮蔽板32aの側端部は山部1の側面に当接しているが、遮蔽板32aの下端は谷部5の表面には当接せず、5mm程度の間隙50が設けられている。この間隙50は、エプロン部材32と溢止面戸31との間に雨水(矢印ア参照)が浸入した場合に排水するために設けられている。
【0006】
しかし、上記の棟部の構造では、勢いのある雨滴51が間隙50を通って溢止面戸31に達して当たることがあり(矢印イ参照)、この雨滴51により防水性が低下する場合があった。つまり、溢止面戸31の下端と谷部5の表面(上面)との隙間及び溢止面戸31の側端と山部1の側面との隙間は、シーリング材34で閉塞されているために上記雨滴51の浸入はないが、溢止面戸31の上面はシーリングテープ33を挟んで棟包4で押さえられているだけであるので、ピンホールが発生する可能性が残っており、このピンホールに上記雨水が付着すると、屋内外の圧力差で屋内に雨滴51が浸入し、防水性が低下する場合があった。
【特許文献1】実開平5−73127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、防水性を高くすることができる屋根の棟部の構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る屋根の棟部の構造は、建物躯体3に複数本の山部1、1…を有する屋根材2をその山部1、1…が屋根勾配と平行となるように載設し、この屋根材2の棟側端部の上方に棟包4を設け、隣接する山部1、1の間の谷部5に風雨の吹き込みを防止するために棟包4の下方の谷部5に遮蔽板6を配設する屋根の棟部の構造において、前記遮蔽板6として棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを屋根勾配と直交する方向に配設すると共に棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを屋根勾配と平行な方向に並設し、棟側遮蔽板7にその下端に開口する棟側排水口9を形成すると共に棟側排水口9と位置を違えて軒側遮蔽板8にその下端に開口する軒側排水口10を形成し、棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8の各下端面を谷部5の表面に当接して成ることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に加えて、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを一体に形成して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
棟側排水口9と位置を違えて軒側遮蔽板8に軒側排水口10を形成し、棟側排水口9及び軒側排水口10の部分を除いて棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8の各下端面を谷部5の表面に当接するので、勢いのある雨滴が棟側排水口9と軒側排水口10の両方を通過することは難しく、且つ棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8の各下端面と谷部5の表面との間を通過することも難しい。従って、勢いのある雨滴が棟側遮蔽板7の棟側に浸入することが殆どなく、たとえ浸入したとしても、その雨水は棟側排水口9と軒側排水口10を通じて軒側遮蔽板8の軒側に排水することができ、防水性を高くすることができるものである。しかも、棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8により防水性が高まるために、従来例のような水返し部30が不要にすることができ、施工に手間がかからないようにすることができるものである。
【0011】
また、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを一体に形成することにより、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを一度に配設することができ、施工に手間がかからないようにすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0013】
本発明の屋根の棟部の構造は、図1に示すように、屋根材2、棟包4、溢止面戸31、エプロン部材11などを備えて形成されている。
【0014】
屋根材2としては、従来と同様に、図7に示すような断熱屋根パネル20を用いることができる。断熱屋根パネル20は、二枚の金属外皮である表面外皮21と裏面外皮22の間に断熱材23を充填して介在させることによりサンドイッチパネルとして形成されている。表面外皮21と裏面外皮22は金属板をロール成形や折り曲げ成形することにより所望形状に成形したものであり、金属板としては、0.3〜2.0mmの厚みを有し、ステンレス鋼板、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(商品名:ガルバリウム鋼板)などを用いることができるが、これに限定されるものではない。断熱材23はグラスウールやロックウールなどの無機繊維材料あるいはウレタンフォームやフェノールフォームなどの樹脂発泡体などで形成することができ、表面外皮21と裏面外皮22の内面に接着されている。断熱屋根パネル20の表面(上面)には複数本の山部1が突設されており、隣り合う山部1、1の間は平坦な谷部5として形成されている。尚、本発明では上記のような断熱屋根パネル20だけでなく、断熱材23を具備しない折版などの金属製屋根材を屋根材2として用いることができる。
【0015】
棟包4は金属板を断面略く字状に折り曲げ加工して形成されるものであって、頂部4aを挟んでその両側に覆い片4b、4bを有して長尺に形成されている。棟包4の金属板は上記金属外皮を形成する金属板と同様のものを用いることができる。
【0016】
溢止面戸31は金属板を断面略ロ字状に折り曲げ加工して形成されるものであって、図2に示すように、一対の脚片31a、31aと上片31bと下片31cとを有して形成されている。溢止面戸31の幅寸法(屋根勾配(傾斜方向)と直交する方向の寸法)は隣り合う山部1、1の間隔(谷部5の幅寸法)と同等あるいは少しだけ小さく形成されている。また、溢止面戸31の高さ寸法は谷部5の表面からの山部1の高さ寸法(谷部5の深さ寸法)とほぼ同等に形成されている。溢止面戸31の金属板は上記金属外皮を形成する金属板と同様のものを用いることができる。
【0017】
エプロン部材11は、下面が開口する断面略コ字状に金属板を折り曲げ加工して形成されるものであって、図2に示すように、遮蔽板6として棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを有し、これらの上端が連結部12で連結されて形成されている。連結部12の両方の側端部は係止片13として棟側遮蔽板7や軒側遮蔽板8の側端部よりも外側に突出している。棟側遮蔽板7には左右一対の棟側排水口9が形成されている。棟側排水口9は棟側遮蔽板7を厚み方向に貫通し、且つ棟側遮蔽板7の下端にも開口している。また、軒側遮蔽板8にはその略中央部に軒側排水口10が形成されている。軒側排水口10は軒側遮蔽板8を厚み方向に貫通し、且つ軒側遮蔽板8の下端にも開口している。棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とは全体に亘って互いに対向して位置するものであるが、棟側排水口9と軒側排水口10とは形成位置を違えて互いに対向しない位置に形成されている。従って、棟側排水口9と軒側排水口10とは重ならない位置に形成されている。棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8の幅寸法(屋根勾配(傾斜方向)と直交する方向の寸法)は隣り合う山部1、1の間隔(谷部5の幅寸法)と同等あるいは少しだけ小さく形成されている。また、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8の高さ寸法は谷部5の表面からの山部1の高さ寸法(谷部5の深さ寸法)とほぼ同等に形成されている。さらに、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8の間隔は小さいほど好ましく、15mm程度に形成することができるが、これに限定されるものではない。エプロン部材11の金属板は上記金属外皮を形成する金属板と同様のものを用いることができる。
【0018】
そして、本発明の屋根の棟部の構造は以下のようにして形成することができる。まず、母屋などの建物躯体3に複数枚の屋根材2、2…を載設する。各屋根材2はテクス(ドリルネジ)などの固定具27により建物躯体3に固定することができる。また、屋根材2はその山部1、1…の長手方向が屋根勾配と平行になるようにして配設される。次に、棟部を挟んで左右に対向配置された屋根材2、2の棟側端面の間にウレタン製などのパッキン28を介在する。次に、屋根材2の谷部5に溢止面戸31を取り付ける。溢止面戸31は屋根勾配と直交する方向(谷部5を幅方向に横切る方向)に長く配設し、その両方の側端部は山部1、1の側面に当接するようにしている。また、溢止面戸31の下面は谷部5の表面(上面)に当接するようにしている。また、必要に応じて、溢止面戸31の上面及び山部1の上面にシーリングテープを設けることができると共に、溢止面戸31の軒側において、溢止面戸31の下端と谷部5の表面(上面)との隙間、溢止面戸31の側端と山部1の側面との隙間をそれぞれ塞ぐようにしてシーリング材を充填することができる。
【0019】
次に、溢止面戸31の軒側(屋根勾配における下側)において、谷部5にエプロン部材11を取り付ける。エプロン部材11は棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを屋根勾配の方向に並設し、屋根勾配と直交する方向(谷部5を幅方向に横切る方向)に長く棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを配設し、その両方の側端部は山部1、1の側面に当接するようにしている。また、棟側排水口9及び軒側排水口10の部分を除いて棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8の各下端面を谷部5の表面にそれぞれ当接するようにしており、これにより、棟側排水口9及び軒側排水口10の部分を除いて棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8の各下端面と谷部5の表面との間に隙間が形成されないようにしている。エプロン部材11の取付にあたっては、係止片13を山部1の上面に係止し、ビス等の固定具で固定するようにして行うことができる。
【0020】
この後、棟部を跨ぐようにして棟包4を棟部の全長に亘って配設する。これにより、溢止面戸31及びエプロン部材11の上方を棟包4で覆うことができる。また、棟包4はビスなどの固定具で屋根材2に固定することができる。このようにして屋根の棟部を形成することができる。
【0021】
本発明の屋根の棟部の構造では、棟側排水口9と軒側排水孔10の形成位置を異ならせて互いに対向しない位置に屋根の傾斜方向(勾配方向)に貫通する棟側排水孔9と軒側排水口10とを形成したので、勢いのある雨滴が棟側排水口9及び軒側排水口10の両方を通過するのは困難である。すなわち、図2(b)(c)に示す矢印ウで示すように、棟部の方に向かう雨滴51は、まず、軒側遮蔽板8で遮断することができ、軒側遮蔽板8の軒側排水口10を通過した場合は、棟側遮蔽板7で遮断することができる。また、棟側排水口9及び軒側排水口10の部分を除いて、エプロン部材11の遮蔽板6である棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8との下端面を谷部5の表面に当接したので、棟側遮蔽板7及び軒側遮蔽板8の各下端面と谷部5の表面との間を通過することも困難である。従って、勢いのある雨滴が棟側遮蔽板7の棟側に浸入することが殆どないようにすることができ、防水性を高めることができる。しかも、たとえ、点線矢印オのように棟側遮蔽板7の棟側に雨滴が浸入したとしても、矢印エに示すように、その雨水は棟側排水口9と軒側排水口10を通じて軒側遮蔽板8の軒側に排水することができ、防水性を高くすることができる。そして、従来では、溢止面戸31を越えた雨滴51が室内に落下しないようにするために水返し部30を設けており、水返し部30と溢止面戸31との間に水が滞留できるプール状の部分を設けており、水返し部30を施工現場で加工しなければならず、施工に手間がかかるという問題があったが、本発明では水返し部30が不要となり、施工に手間がかからないようにすることができる。
【0022】
図3に他の実施の形態を示す。この実施の形態は、屋根勾配と直交する方向に隣接する屋根材2、2の山部1、1に、下面が開口する断面略コ字状のカバー材40を被せた屋根であるが、この場合、カバー材40の側部40aの棟側端部は工場などで切除されており、これにより、溢止面戸31やエプロン部材11を取り付けた際に、溢止面戸31やエプロン部材11の側端部と山部1の側面との間にカバー材40が介在することなく、溢止面戸31やエプロン部材11の側端部を山部1の側面に当接することができる。また、溢止面戸31は棟側に開口する断面略コ字状の部材で形成されるものであって、その上面と棟包4との間にはシーリングテープ33が充填されている。また、溢止面戸31の下端と谷部5の表面(上面)との隙間、溢止面戸31の側端と山部1の側面との隙間を塞ぐようにしてシーリング材34が充填されている。その他の構成は上記実施の形態と同様である。尚、52はエプロン部材11を山部1に固定するためのビスなどの固定具、53は溢止面戸31を山部に固定するためのビスなどの固定具、54は棟包4を山部1に固定するためのビスなどの固定具である。
【0023】
図4に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、屋根材2は上記と同様に断熱屋根パネル20で形成されている。この断熱屋根パネル20は上記と同様に、二枚の金属外皮である表面外皮21と裏面外皮22の間に断熱材23を充填して介在させることによりサンドイッチパネルとして形成されている。また、断熱屋根パネル20の一側端部にはパネル接続用の山部1aが形成されており、他側端部には表面外皮21を側方に延出してなる被覆片60が突設されている。被覆片60の突出先端部と突出基端部には凸状にされた係止部61がそれぞれ設けられており、山部1の両側面部63の突出基部に形成された凹部62に上記係止部61をそれぞれ係止させることで、左右(幅方向)に隣接する断熱屋根パネル20、20の間で被覆片60が接続用の山部1aを被覆した状態で取り付けられて、上記隣接する断熱屋根パネル20、20同士が連結されて接続されるようになっている。また、この断熱屋根パネル20の左右中央部には、上記パネル接続用の山部1aに被覆片60を被着した外観と略同じ外観になるような化粧用の山部1bが形成されている。
【0024】
この実施の形態においては、山部1aに被覆片60を被着した状態の山部1と化粧用の山部1bによる山部1とが形成され、その隣り合う山部1、1の間で屋根材2の谷部5が形成されている。そして、図4(a)〜(c)に示すように、棟側遮蔽板7、軒側遮蔽板8、溢止面戸31の下端部から側端部に至る形状は、谷部5から山部1に至る表面形状と同等である。また、棟側排水口9は棟側遮蔽板7の一方の側端部に設けられており、軒側排水口10は棟側排水口9とは反対側の軒側遮蔽板8の側端部に設けられている。従って、棟側排水口9と軒側排水口10とは対向していない。その他の構成は上記実施の形態と同様である。尚、図4においては棟包が図示省略されている。
【0025】
上記実施の形態では、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8と連結板12で連設して一体的に形成したエプロン部材11を用いているが、これに限らず、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とそれぞれ別体に形成してもよい。図5(a)に示す棟側遮蔽板7は上記と同様に金属板で形成され、その両方の側端部に厚み方向に貫通する棟側排水口9が形成されている。また、棟側遮蔽板7の上端には重ね片7aが突設されている。この重ね片7aは図5(b)に示すように棟側遮蔽板7の前側(軒側)に略直角に折り曲げて使用するものである。また、図5(c)に示す軒側遮蔽板8は上記と同様に金属板で形成され、その幅方向(長手方向)の中央部に厚み方向に貫通する軒側排水口10が形成されている。また、軒側遮蔽板8の上端には重ね片8aが突設されている。この重ね片8aは図5(d)に示すように軒側遮蔽板8の後側(棟側)に略直角に折り曲げて使用するものである。そして、図5(e)に示すように、軒側遮蔽板8の重ね片8aの上に棟側遮蔽板7の重ね片7aを重ね合わせ、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを対向配置すると共に上記と同様にして棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを谷部5に配設することによって、棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8からなるエプロン部材11を屋根材2の谷部5に設けることができる。このように棟側遮蔽板7と軒側遮蔽板8とを別体に形成することにより、エプロン部材11を容易に製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】同上の一部を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は断面図である。
【図3】同上の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図4】同上の他の実施の形態の一例を示し、(a)〜(c)は断面図である。
【図5】同上の他のエプロン部材の一例を示し、(a)は棟側遮蔽板の正面図、(b)は棟側遮蔽板の断面図、(c)は軒側遮蔽板の正面図、(d)は軒側遮蔽板の断面図、(e)はエプロン部材の断面図である。
【図6】従来例を示す断面図である。
【図7】断熱屋根パネルの一例を示す断面図である。
【図8】断熱屋根パネルの施工状態の一例を示す斜視図である。
【図9】従来の棟部の施工途中を示す斜視図である。
【図10】従来の棟部の一部を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 山部
2 屋根材
3 建物躯体
4 棟包
5 谷部
6 遮蔽板
7 棟側遮蔽板
8 軒側遮蔽板
9 棟側排水口
10 軒側排水口
11 エプロン部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に複数本の山部を有する屋根材をその山部が屋根勾配と平行となるように載設し、この屋根材の棟側端部の上方に棟包を設け、隣接する山部の間の谷部に風雨の吹き込みを防止するために棟包の下方の谷部に遮蔽板を配設する屋根の棟部の構造において、前記遮蔽板として棟側遮蔽板と軒側遮蔽板とを屋根勾配と直交する方向に配設すると共に棟側遮蔽板と軒側遮蔽板とを屋根勾配と平行な方向に並設し、棟側遮蔽板にその下端に開口する棟側排水口を形成すると共に棟側排水口と位置を違えて軒側遮蔽板にその下端に開口する軒側排水口を形成し、棟側遮蔽板及び軒側遮蔽板の各下端面を谷部の表面に当接して成ることを特徴とする屋根の棟部の構造。
【請求項2】
棟側遮蔽板と軒側遮蔽板とを一体に形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の屋根の棟部の構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−50886(P2008−50886A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229701(P2006−229701)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】