工事用エレベータ
【課題】本発明は、搬送量を多くすることができる工事用エレベータを提供する。
【解決手段】工事用エレベータ10は、搬送部30を備える。搬送部30は、内側に第1の収容空間R1が規定されるとともに、第1の搬入出用開口部85が形成される第1の搬器80と、第1の搬器80に連結される第2の搬器90であって、第1の搬器80の天井壁部82によって第1の収容空間R1と隔てられる第2の収容空間R2が内側に規定される第2の搬器90と、を備える。第1の搬器には、第1の搬入出用開口部85を開閉可能に覆う扉部材86,87と、扉部材86,87が開閉される際に操作される第1の操作盤120が設置され、天井壁部82には、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とを連通する連通孔100が形成される。
【解決手段】工事用エレベータ10は、搬送部30を備える。搬送部30は、内側に第1の収容空間R1が規定されるとともに、第1の搬入出用開口部85が形成される第1の搬器80と、第1の搬器80に連結される第2の搬器90であって、第1の搬器80の天井壁部82によって第1の収容空間R1と隔てられる第2の収容空間R2が内側に規定される第2の搬器90と、を備える。第1の搬器には、第1の搬入出用開口部85を開閉可能に覆う扉部材86,87と、扉部材86,87が開閉される際に操作される第1の操作盤120が設置され、天井壁部82には、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とを連通する連通孔100が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工事現場において資材または人員を搬送する工事用エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビルなどの建造物の工事現場において、該建造物には、資材または人員を搬送するための工事用エレベータが設置されている。工事現場では、効率よく作業を進めるために、資材や人員を効率よく搬送することが望まれている。
【0003】
そのため、1つの手段としては、ビルなどの建造物に、多くの工事用エレベータを設置することが考えられる。
【0004】
建造物の外壁に沿って工事用エレベータを設置した場合、建造物には、工事用エレベータの搬器(人員や資材が収容される籠など)から該建造物内へ人員や資材を運びいれるための開口部が必要になる。または、搬器が建造物の各フロアを貫通して昇降するように工事用エレベータした場合、各フロアには、搬器が通る開口部が必要になる。これら開口部は、工事用エレベータが取り外された後、塞ぐべく補修される。
【0005】
それゆえ、上記のように、建造物に多くの工事用エレベータを設置すると、該建造物に設けられる開口部の数も多くなるので、開口部の補修作業に費やされる時間も長くなる。
【0006】
したがって、建造物に多くの工事用エレベータを設置することによって作業の効率を向上する場合では、工期が長くなることが考えられる。
【0007】
一方、2つの搬器を備えるダブルデッキエレベータが提案されている。ダブルデッキエレベータは、2つの搬送部を備えており、これら2つの搬器は互いに連結されている。それゆえ、ダブルデッキエレベータは、多くの作業員と資材とを搬送することができる。各搬器には、それぞれ人員や資材が通る開口部が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3372892号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されているダブルデッキエレベータは、多くの作業員および資材を搬送することができる。しかし、各搬器内は、互いに連通していない。それゆえ、各搬器内に、該搬器の開口部を覆う扉部材の開閉などを行うオペレータを配置しなければならない。
【0009】
つまり、各搬器内にオペレータを配置することによって、オペレータの占める分各搬器内の収容容積が減少することになる。各搬器内の収容容積が減少することは、好ましくない。
【0010】
したがって、本発明は、搬送量を多くすることができる工事用エレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の工事用エレベータは、搬送部を備える。前記搬送部は、第1の搬器と、第2の搬器と、を備える。前記第1の搬器の内側には、第1の収容空間が規定される。前記第1の搬器には、前記搬送部の内側と外側とを連通しかつ前記搬送部内に収容されるべきものが通る第1の搬入出用開口部が形成される。前記第2の搬器は、前記第1の搬器に連結される。前記第2の搬器の内側には、隔壁部によって前記第1の収容空間と隔てられる第2の収容空間が規定される。前記第1の搬器には、前記第1の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材と、前記扉部材が開閉される際に操作される操作部が設置される。前記隔壁部には、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを連通する連通孔が形成される。
【0012】
この構造によれば、第1の収容空間と第2の収容空間とが連通孔を通して互いに連通するので、第1の搬入出用開口部を通して収容された作業員および資材などの搬送すべきものは、連通孔を通して第2の収容空間内にも収容されるようになる。
【0013】
つまり、第2の搬器に、該第2の搬器内に収容されるべきもの(作業員や資材など)を収容するための搬入出用開口部を形成しなくてもよくなる。それゆえ、第2の搬器内に、搬送部の動作の際に操作される操作部が配置されなくてもよいので、オペレータは、第1の収容空間に配置される操作部だけを操作すればよくなる。
【0014】
または、第2の搬器内に操作部が設置された場合、例えば第2の搬器内に収容されるべきもの(作業員や資材)を収容するための搬入出用開口部を第2の搬器に形成しかつ該搬入出用開口部を開閉する扉部材を第2の搬器に設けたことによって該扉部材の開閉の際に操作される操作部が第2の収容空間内に設置され場合、第2の収容空間に設置される操作部は、第1の収容空間内に配置される操作部を操作するオペレータが連通孔を通って第2の収容空間に移動した後に操作されるようになるので、オペレータの数は、増員されなくてすむ。
【0015】
つまり、上記構造によれば、第1,2の収容空間に、それぞれ独立してオペレータを配置することがないので、第1,2の収容空間内において、作業員や資材などの配置可能なスペースが広くなる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記操作部は、前記第1の搬入出用開口部の近傍に配置される。
【0017】
この構造によれば、オペレータは、扉部材の開閉の際に、該扉部材が搬送部に収容されるべきものと干渉するかどうかを確認しやすくなる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記第2の搬器は、前記第1の搬器よりも上方に位置する。前記第1の搬器には、前記連通孔に続く階段部が設けられる。前記操作部は、前記搬送部の移動の際にも操作される操作部であって、前記階段部の下端部の近傍に設けられる。
【0019】
この構造によれば、オペレータは、階段部を移動する作業員を確認しやすくなる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記第2の搬器には、該第2の収容空間の内側と外側とを連通する第2の搬入出用開口部であって、前記搬送部内に収容されるべきものが通る第2の搬入出用開口部が設けられる
この構造によれば、第2の収容空間内に搬送されるべきものを、第2の収容空間内に搬入出しやすくなる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記第2の搬入出用開口部には、該第2の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材が設けられる。前記第2の搬器には、前記第2の搬入出用開口部を覆う前記扉部材の開閉の際に操作される操作部が設置される。前記操作部は、前記第2の搬入出用開口部の近傍に配置される。
【0022】
この構造によれば、第2の搬入出用開口部を覆う扉部材の開閉の際に、該扉部材が搬送部に収容されるべきものと干渉するかどうかを確認しやすくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、工事用エレベータは、2つの搬器を備えるので、工事用エレベータが設置される建造物に形成される開口部、つまり、搬器から人員や資材を建造物内へ運びいれる開口部や建造物のフロアに形成されて各搬器が通る開口部を工事用エレベータが取り外された後に塞ぐための補修作業の時間を少なくすることができる。
【0024】
また、オペレータの人数を少なく抑えることによって、第1,2の収容空間内において作業員や資材などの配置可能なスペースが広くなるので、搬送量を多くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の第1の実施形態に係る工事用エレベータを、図1から図6を用いて、説明する。図1は、工事用エレベータ10を示している。工事用エレベータ10は、例えば工事中のビルなどの建造物20(図6に一部示す)の外壁に沿って設置される。工事用エレベータ10は、例えば、ラックピニオンギヤ駆動式である。
【0026】
図1に示すように、工事用エレベータ10は、搬送部30と、一対のガイドレール40と、駆動フレーム50と、荷台60と、カウンターウェイト70と、を備えている。
【0027】
搬送部30は、作業員Hと資材Mとなどを収容する。搬送部30の構造については、後で詳細に説明する。
【0028】
ガイドレール40は、搬送部30を両側から挟むように、互いに離間して配置されている。ガイドレール40は、搬送部30の移動をガイドする。本実施形態の工事用エレベータ10では、搬送部30は、上下方向に移動する。それゆえ、各ガイドレール40は、上下方向に延びている。
【0029】
各ガイドレール40には、該ガイドレール40に沿って延びるラック41が、各ガイドレール40において互いに向かい合う側に取り付けられている(図3,4とに一部示されている。)。各ガイドレール40の上端部には、シーブ42が設置されている。
【0030】
駆動フレーム50は、各ガイドレール40に、各ガイドレール40に対してスライド可能に取り付けられている。駆動フレーム50は、各ガイドレール40に設置されたラック41に係合するピニオンギヤ(図示せず)と、ガイドローラ51と、モータ減速機52と、が取り付けられている。
【0031】
各駆動フレーム50は、ピニオンギヤがラック41に係合することによって、ガイドレール40に沿って昇降する。ガイドローラ51は、駆動フレーム50の昇降をガイドする。モータ減速機52は、ピニオンギヤに連結されている。モータ減速機52がピニオンを回転駆動すると、ピニオンが昇降力を得る。この昇降力によって、駆動フレーム50は、昇降する。
【0032】
荷台60は、各駆動フレーム50に連結されている。それゆえ、荷台60を介して、各駆動フレーム50の移動は、同期する。
【0033】
各駆動フレーム50とカウンターウェイト70とは、ワイヤロープ71によって、互いに連結されている。ワイヤロープ71は、シーブ42を通っている。
【0034】
搬送部30は、荷台60の上に固定される。それゆえ、搬送部30は、ガイドレール40に沿って昇降する。
【0035】
搬送部30は、第1の搬器80と、第2の搬器90と、を備えている。第2の搬器90は、第1の搬器80の上に配置されている。図2は、図1に示されたF2−F2線に沿う断面図である。図2では、作業員H、資材Mは、省略されている。図2に示すように、第1の搬器80は、底壁部81と、天井壁部82と、第1の側壁部83と、第2の側壁部84(図3に示される)と、を有しており、略直方体状である。図1に示すように、第1の側壁部83は、図中、底壁部81の左縁側に配置されており、上方に延びている。第2の側壁部84は、図中、底壁部81の右縁側に配置されており、上方に延びている。
【0036】
天井壁部82は、第1,2の側壁部83,84の上端に連結されている。底壁部81と天井壁部82と第1,2の側壁部83,84は、例えば、金網状である。
【0037】
図2に示すように、第1の搬器80において工事用エレベータ10が取り付けられる建造物20に対向する第1の側S1と、該第1の側S1との反対側の第2の側S2とには、それぞれ第1の搬入出用開口部85が形成されている。本実施形態では、第1の搬入出用開口部85は、底壁部81と天井壁部82と第1の側壁部83と第2の側壁部84とによって規定される。
【0038】
第1の搬入出用開口部85は、例えば、第1の搬器80内に作業員Hや資材Mを搬入および搬出する際に、作業員Hや資材Mが通る。
【0039】
第1の搬器80には、第1の搬入出用開口部85を開閉可能に覆う第1の扉部材86と第2の扉部材87と、第1,2の扉部材86,87の開閉動作をガイドするガイドレール88と、第1,2の扉部材86,87を開閉する開閉機構(図示せず)と、などが備えられている。
【0040】
図1に示すように、ガイドレール88は、一対設置されている。一方のガイドレール88は、各第1の搬入出用開口部85の幅方向一端に設置されている。他方のガイドレール88は、他端縁に設置されている。各ガイドレール88は、上下方向に延びている。各ガイドレール88は、互いに対向するとともに、相手側のガイドレール88に向かって開口する断面凹状である。
【0041】
第1,2の扉部材86,87は、その幅方向端部が各ガイドレール88の内側に収容されている。第2の扉部材87は、第1の扉部材86の上方に配置されている。図2に示すように、第1,2の扉部材86,87によって、第1の搬入出用開口部85は、塞がれる。
【0042】
第1の扉部材86は、図中2点鎖線で示すように、第1の搬入出用開口部85を塞ぐ位置から下方にスライドする。第2の扉部材87は、図中2点鎖線で示すように、第1の搬入出用開口部85を塞ぐ位置から上方に向かってスライドする。
【0043】
図5は、第1,2の扉部材86,87が開いた状態示している。図5中では、資材Mと作業員Hとは、省略されている。図5に示すように、第1,2の扉部材86,87は、第1の搬入出用開口部85が略全域開かれる位置までスライドする。第1,2の扉部材86,87のスライドは、開閉機構によってなされる。
【0044】
開閉機構の一例としては、例えば第1,2の扉部材86,87にそれぞれワイヤロープを接続し、このワイヤロープを別途に用意するカウンターウェイトに接続し、このカウンターウェイトの重さを利用して第1,2の扉部材86,87を開閉する、つるべ式開閉機構であってもよい。要するに、開閉機構は、第1,2の扉部材86,87を開閉できればよい。
【0045】
第1の搬器80では、底壁部81と天井壁部82と第1の側壁部83と第2の側壁部84と第1,2の扉部材86,87とによって形成される空間が、第1の収容空間R1となっている。
【0046】
図1に示すように、第2の搬器90は、第1の搬器80の上に設置されている。図2に示すように、第2の搬器90は、天井壁部91と、第1の側壁部92と、第2の側壁部93(図4に示す)と、第3の側壁部94と、第4の側壁部95と、を有しており、略直方体状である。
【0047】
図1に示すように、第1の側壁部92は、第1の搬器80の天井壁部82の図中左縁側に設けられており、上方に向かって延びている。第2の側壁部93は、天井壁部82の図中右縁側に設けられており、上方に向かって延びている。
【0048】
図2に示すように、第3の側壁部94は、第1の搬器80の天井壁部82の第1の側S1側に設けられており、上方に向かって延びている。第4の側壁部95は、天井壁部82の図中第2の側S2側に設けられており、上方に向かって延びている。
【0049】
第3の側壁部94の一方の側縁は、第1の側壁部92の側縁と連結されている。第3の側壁部94の他方の側縁は、第2の側壁部93の側縁と連結されている。第1,2の側壁部92,93の他方の側縁は、第4の側壁部95の側縁に連結されている。天井壁部91は、第1〜4の壁部92〜95のそれぞれ上端に接続されており、上方を覆っている。
【0050】
天井壁部91と第1〜4の壁部92〜95とによって、第2の収容空間R2が規定されている。つまり、第1の搬器80の天井壁部82は、第2の搬器90の底壁部としても機能するとともに、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とを隔てる、本発明で言う、隔壁部としても機能する。
【0051】
図3は、図1に示されたF3−F3線に沿う断面図である。図3は、第1の搬器80の内側、つまり第1の収容空間R1内を示している。図4は、図1に示されたF4―F4線に沿う断面図である。図4は、第2の搬器90の内側、つまり第2の収容空間R2内を示している。
【0052】
図2,4に示すように、第1の搬器80の天井壁部82には、連通孔100が形成されている。連通孔100は、略L字状であって、第2の側壁部93と第4の側壁部95とに沿って形成されている。連通孔100は、第1の搬器80の天井壁部82を貫通しており、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とを連通している。
【0053】
図3,5に示すように、第1の収容空間R1内には、階段部110が設けられている。階段部110は、第1の部分111と、第2の部分112と、を有している。
【0054】
第1の部分111は、上下方向に連通孔100と重なるように、第1の搬器80の第2の側壁部84に沿って、位置Pから一方の第1の搬入出用開口部85(第2の側S2側の開口部85)にまで延びている。第1の部分111は、上下方向に、例えば第1の収容空間R1の略中間高さまで延びている。位置Pは、他方の第1の搬入出用開口部85(第1の側S1側の開口部85)の近傍である。なお、位置Pと他方の第1の搬入出用開口部85との間には、作業員Hが通ることができるだけのスペースTが確保されている。上記構造により、階段部110の下端部113は、第1の搬入出用開口部85の近傍に配置される。
【0055】
図4に示すように、第2の部分112は、第1の部分111とつながっており、上下方向に連通孔100と重なるように、一方の第1の搬入出用開口部85に沿って第2の収容空間R2まで延びている。作業員Hは、階段部110を通って第1の収容空間R1内と第2の収容空間R2内とを行き来することができる。
【0056】
また、図3に示すように、第1の搬器80の第2の側壁部84において位置Pの近傍には、工事用エレベータ10の動作を操作する第1の操作盤120が設置されている。第1の操作盤120は、階段部110とスペースTとを通る作業員Hの移動を妨げないように、その一部が第2の側壁部84を貫通して外に出ている。このように第1の操作盤120が設置されることによって、第1の収容空間R1内における第1の操作盤120の閉める割合が抑えられる。第1の操作盤120は、搬送部30の昇降と、第1,2の扉部材86,87の開閉と、などを操作する際に、オペレータOによって操作される。
【0057】
つぎに、工事用エレベータ10の動作を、ビルなどの建造物20の目的の高さに作業員Hと資材Mとを搬送する場合を一例に、説明する。
【0058】
まず、搬送部30に作業員Hと資材Mとを搬入する。具体的には、いずれか、もしくは両第1の搬入出用開口部85を通して搬送部30内に搬入された資材Mは、図3に示されるように、第1の収容空間R1内に収容される。図4に示すように、作業員Hは、階段部110を通って、第2の収容空間R2内に移動する。
【0059】
このようにすることによって、第1の収容空間R1には、比較的重い資材Mが収容され、第2の収容空間R2内には、作業員Hが収容される。
【0060】
資材Mと作業員Hの搬入中では、第1の操作盤120を操作するオペレータOは、第1の操作盤120の近傍にいることによって、搬送部30内に収容されるべき作業員Hが階段部110を通って第2の収容空間R2内に移動する様子を、確認しやすくなる。さらに、オペレータOは、資材Mの搬入作業の終了を確認しやすくなるとともに、資材Mが第1,2の扉部材86,87と干渉しないかどうかを確認しやすくなる。
【0061】
ついで、資材Mと作業員Hとが第1の搬入出用開口部85を通って搬送部30内に搬入されると、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、第1,2の扉部材86,87を閉める。ついで、第1,2の扉部材86,87が閉められると、オペレータOは、搬送部30を目的の高さに向かって移動する。
【0062】
図6は、搬送部30が、建造物20の目的の高さに達した状態を、概略的に示している。図6に示すように、搬送部30が建造物20の目的の高さに達すると、具体的には、第1の側S1の第1の搬入出用開口部85が、建造物20における目的の高さに形成される搬入出用開口部21に達すると、オペレータOは、搬送部30の移動を止める。
【0063】
搬送部30の移動が止まると、オペレータOは、第1の側S1の第1の搬入出用開口部85を開く。第1の搬入出用開口部85が開かれると、資材Mと作業員Hとは、該第1の搬器80の第1の搬入出用開口部85を通って、建造物20内へ移動する。
【0064】
このように構成される工事用エレベータ10では、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とは、連通孔100を通して、互いに連通している。それゆえ、第1の搬入出用開口部85は、第1,2の収容空間R1,R2に収容されるべきもの(作業員H、資材Mなど)を搬入出する際に、共通して用いられるようになる。
【0065】
つまり、収容空間を複数備える搬送部であっても、一つの搬器(本実施形態では、第1の搬器80)に形成される搬入出用開口部を利用して資材Mや作業員Hの搬入出が行われるので、オペレータOは、第1の操作盤120を操作するだけでよい。
【0066】
それゆえ、第1,2の搬器80,90のそれぞれに、独立してオペレータOを配置する必要がないので、工事用エレベータ10の動作に必要な人員を少なくすることができる。したがって、その分、第1、2の収容空間R1,R2において、作業員Hや資材Mの配置可能なスペースが広くなるので、工事用エレベータ10が搬送可能な量を増加することができる。
【0067】
また、第1の操作盤120が階段部110の下端部113の近傍、つまり階段部110の近傍に配置される。それゆえ、第1の操作盤120を操作するオペレータOは、第1の操作盤120を操作する際に、作業員Hが階段部110を通って第2の収容空間R2内へ移動したかどうかを確認しやすくなる。したがって、搬送部30を昇降する際の安全性が向上する。
【0068】
また、階段部110の下端部113は、第1の側S1の第1の搬入出用開口部85に臨むように配置されている。つまり、第1の操作盤120は、第1の搬入出用開口部85の近傍に配置される。
【0069】
それゆえ、オペレータOは、第1の操作盤120を操作する際に、第1,2の扉部材86,87の開閉を確認しやすくなるとともに、第1,2の扉部材86,87が、資材Mと干渉するかどうかを確認しやすくなる。したがって、搬送部30を昇降する際の安全性が向上する。
【0070】
また、第1の操作盤120が、搬送部30の昇降と、第1,2の扉部材86,87の開閉を操作するので、それぞれを操作する操作盤を別々に設けなくてよい。それゆえ、工事用エレベータ10の部品点数が削減される。
【0071】
また、第1の収容空間R1内に比較的重い資材Mを収容することによって、搬送部30の昇降が安定する。
【0072】
また、工事用エレベータ10が2つの搬器(第1の搬器80と第2の搬器90)を備えるので、建造物20に形成される搬入出用開口部21の数を少なくるすことができる。それゆえ、工事用エレベータ10が取り外された後、搬入出用開口部21を塞ぐ補修作業に費やされる時間を少なくすることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、工事用エレベータ10が建造物20の外壁に沿って設置されているので、建造物20の外壁には人員Hと資材Mとが通る搬入出用開口21が形成されたが、これに限定されない。例えば、第1,2の搬器80,90が建造物20の各フロアを貫通して昇降するように工事用エレベータ10が設置される場合、建造物20の各フロアには、第1,2の搬器80,90が通る開口部が形成される。このような場合であっても、本発明によれば、該開口部の数を少なくすることができるので、該開口部を塞ぐ補修作業に費やされる時間を少なくすることができる。
【0074】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る工事用エレベータを、図7から図13を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様な効果を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の搬器90に、第2の搬入出用開口部が形成される点が、第1の実施形態と異なる。この点について、具体的に説明する。
【0075】
図7は、本実施形態の工事用エレベータ10を示している。図8は、図7に示されるF8−F8線に沿う断面図である。図7,8に示すように、第2の搬器90において第1の側S1と第2の側S2とには、第2の搬入出用開口部96が形成されている。
【0076】
本実施形態では、第2の搬器90には、第3,4の側壁部94,95は、備えられていない。図8に示すように、第3,4の側壁部94,95が設置されていた箇所が、第2の搬入出用開口部96となっている。第2の搬入出用開口部96は、第1の搬器80の天井壁部82と、第1,2の側壁部92,93と、第2の搬器90の天井壁部91と、によって規定されている。
【0077】
本実施形態では、第1の搬入出用開口部85は、第3の扉部材89によって、開閉可能に覆われている。第2の搬入出用開口部96は、第4の扉部材97によって、開閉可能に覆われている。
【0078】
ガイドレール88は、第2の搬器90の天井壁部91よりも上方に延びており、第3,4の扉部材89,97の移動をガイドする。
【0079】
第3の扉部材89は、第1の搬入出用開口部85を覆う大きさを有している。第4の扉部材97は、第2の搬入出用開口部96を覆う大きさを有している。図9は、第1,2の搬入出用開口部85,96が開かれた状態、つまり、第3,4の扉部材89,97が開いた状態を示している。このように、第2の搬器90に、第2の搬入出用開口部96が形成されることによって、階段部110を通ることができない大きさを有する資材Mを、第2の搬入出用開口部96を通して第2の収容空間R2内に収容することができる。
【0080】
図9に示すように、第3の扉部材89は、第1の搬入出用開口部85を覆う位置から下方に向かってスライドする。第1の操作盤120は、第3の扉部材89を開閉操作する。第4の扉部材97は、第2の搬入出用開口部96を覆う位置から上方に向かってスライドする。
【0081】
開閉機構は、第3,4の扉部材89,97を開閉する。開閉機構の一例としては、例えば第3,4の扉部材89,97にそれぞれワイヤロープを接続し、このワイヤロープを別途に用意するカウンターウェイトに接続し、このカウンターウェイトの重さを利用して第3,4の扉部材89,97を開閉する、つるべ式開閉機構であってもよい。要するに、開閉機構は、第3,4の扉部材89,97を開閉できればよい。
【0082】
図10は、図7に示されるF10−F10線に沿う断面図である。図10は、第2の搬器90内、つまり第2の収容空間R2内を示している。図10に示すように、第2の搬器90内には、第2の操作盤122が設置されている。
【0083】
天井壁部82において、第2の側壁部93側であって第1の側S1側には、連通孔100を避けた位置に、スペースQが形成されている。スペースQは、一方の第2の搬入出用開口部96と対向している。第2の操作盤122は、第4の扉部材97を開閉する際に用いられる。第2の操作盤122は、第2の側壁部93においてスペースQと対向する位置に配置されている。
【0084】
第2の操作盤122は、第2の収容空間R2内における第2の操作盤122の閉める割合を小さくするために、その一部が第1の側壁部92を貫通して外へ出ている。スペースQは、オペレータOが第2の操作盤122を操作できるだけの広さを有している。
【0085】
図11は、図7に示されるF11−F11線に沿う断面図である。図11は、第1の搬器80内、つまり第1の収容空間R1内を示している。図11に示すように、第1の収容空間R1内には、資材Mが収容される。
【0086】
つぎに、工事用エレベータ10の動作を、建造物20の目的の高さに資材Mと作業員Hとを搬送する場合を一例に、説明する。なお、第1の収容空間R1内には、資材Mが収容されている。第2の収容空間R2内には、作業員Hと資材Mとが収容されている。
【0087】
図12は、第1の搬入出用開口部85が建造物20側の搬入出用開口部21と対向している状態を概略的に示す側面図である。図13は、第2の搬入出用開口部96が搬入出用開口部21と対向している状態を概略的に示す側面図である。
【0088】
例えば、まず、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、搬送部30を建造物20の目的の高さまで移動する。図12に示すように、建造物20側の搬入出用開口部21と第1の搬入出用開口部85とが対向すると、オペレータOは、搬送部30の移動を止める。
【0089】
ついで、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、第1の側S1の第3の扉部材89を開く。資材Mと作業員Hとは、第1の搬入出用開口部85と建造物20に形成される搬入出用開口部21とを通って、建造物20内に移動する。
【0090】
作業員Hと第1の収容空間R1内に収容された資材Mが建造物20内に移動されると、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、第3の扉部材89を閉じるとともに、図13に示すように、第1の側S1の第2の搬入出用開口部96が搬入出用開口部21と対向するように、搬送部30を移動する。
【0091】
第2の搬入出用開口部96が搬入出用開口部21と対向すると、オペレータOは、搬送部30の移動を止めた後、階段部110を通って第2の収容空間R2内に移動する。第2の収容空間R2内に移動した後、オペレータOは、第2の操作盤122を操作して、第1の側S1の第4の扉部材97を開く。
【0092】
第4の扉部材97が開かれることによって、第2の搬入出用開口部96と搬入出用開口部21とを通って、第2の収容空間R2内の資材Mが、建造物20内に移動される。
【0093】
このように構成される工事用エレベータ10では、第2の搬入出用開口部96を通して、第2の収容空間R2内にも資材Mを収容できるようなる。
【0094】
また、オペレータOは、連通孔100を通って第1,2の収容空間R1,R2を行き来することができるので、第1,2の操作盤120,122を操作することができる。つまり、連通孔100が形成されることによって、各収容空間R1,R2にそれぞれ独立してオペレータOを配置する必要がない。それゆえ、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0095】
また、第2の操作盤122が、第1の側S1の第2の搬入出用開口部96の近傍に配置されているので、オペレータOは、資材Mと作業員Hとが第4の扉部材97とが干渉するかどうかを確認しやすくなる。
【0096】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る工事用エレベータを、図14を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様な効果を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ガイドレール40の数が、第1の実施形態と異なる。この点について、具体的に説明する。
【0097】
図14は、本実施形態の工事用エレベータ10を示している。図14に示すように、本実施形態では、一本のガイドレール40が用いられている。本実施形態であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0098】
なお、第1の実施形態と本実施形態に示されるように、ガイドレール40の数は、1本、または2本に限定されるものではない。また、本実施形態に第2の実施形態であっても、ガイドレール40は、一本でもよい。
【0099】
つぎに、本発明の第4の実施形態に係る工事用エレベータを、図15を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様な効果を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、シーブ42に駆動モータ42aが取り付けられている点が、第1の実施形態と異なる。図15は、本実施形態の工事用エレベータ10を示している。本実施形態であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、本実施形態に、第2の実施形態で説明されたシーブ42に駆動モータ42aが取り付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る工事用エレベータを示す正面図。
【図2】図1に示されたF2−F2線に沿う断面図。
【図3】図1に示されたF3−F3線に沿う断面図。
【図4】図1に示されたF4―F4線に沿う断面図。
【図5】図1に示された第1,2の扉部材が開いた状態の工事用エレベータの正面図。
【図6】図1に示された搬送部が建造物の目的の高さに達した状態を示す側面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る工事用エレベータを示す正面図。
【図8】図7に示されたF8−F8線に沿う断面図。
【図9】図1に示された第3,4の扉部材が開いた状態を示す正面図。
【図10】図7に示されたF10−F10線に沿う断面図。
【図11】図7に示されたF11−F11線に沿う断面図。
【図12】図1に示された第1の搬入出用開口部が建造物の搬入出用開口部と対向している状態を示す側面図。
【図13】図1に示された第2の搬入出用開口部が建造物の搬入出用開口部と対向している状態を示す側面図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る工事用エレベータの正面図。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る工事用エレベータの正面図。
【符号の説明】
【0101】
10…工事用エレベータ、30…搬送部、80…第1の搬器、82…天井壁部(隔壁部)、85…第1の搬入出用開口部、86…第1の扉部材(第1の搬入出用開口部を覆う扉部材)、87…第2の扉部材(第1の搬入出用開口部を覆う扉部材)、89…第3の扉部材(第1の搬入出用開口部を覆う扉部材)、90…第2の搬器、96…第2の搬入出用開口部、100…連通孔、110…階段部、113…下端部、120…第1の操作盤(操作部)、122…第2の操作盤(操作部)、H…作業員(搬送すべきもの)、M…資材(搬送すべきもの)、R1…第1の収容空間、R2…第2の収容空間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工事現場において資材または人員を搬送する工事用エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビルなどの建造物の工事現場において、該建造物には、資材または人員を搬送するための工事用エレベータが設置されている。工事現場では、効率よく作業を進めるために、資材や人員を効率よく搬送することが望まれている。
【0003】
そのため、1つの手段としては、ビルなどの建造物に、多くの工事用エレベータを設置することが考えられる。
【0004】
建造物の外壁に沿って工事用エレベータを設置した場合、建造物には、工事用エレベータの搬器(人員や資材が収容される籠など)から該建造物内へ人員や資材を運びいれるための開口部が必要になる。または、搬器が建造物の各フロアを貫通して昇降するように工事用エレベータした場合、各フロアには、搬器が通る開口部が必要になる。これら開口部は、工事用エレベータが取り外された後、塞ぐべく補修される。
【0005】
それゆえ、上記のように、建造物に多くの工事用エレベータを設置すると、該建造物に設けられる開口部の数も多くなるので、開口部の補修作業に費やされる時間も長くなる。
【0006】
したがって、建造物に多くの工事用エレベータを設置することによって作業の効率を向上する場合では、工期が長くなることが考えられる。
【0007】
一方、2つの搬器を備えるダブルデッキエレベータが提案されている。ダブルデッキエレベータは、2つの搬送部を備えており、これら2つの搬器は互いに連結されている。それゆえ、ダブルデッキエレベータは、多くの作業員と資材とを搬送することができる。各搬器には、それぞれ人員や資材が通る開口部が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3372892号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されているダブルデッキエレベータは、多くの作業員および資材を搬送することができる。しかし、各搬器内は、互いに連通していない。それゆえ、各搬器内に、該搬器の開口部を覆う扉部材の開閉などを行うオペレータを配置しなければならない。
【0009】
つまり、各搬器内にオペレータを配置することによって、オペレータの占める分各搬器内の収容容積が減少することになる。各搬器内の収容容積が減少することは、好ましくない。
【0010】
したがって、本発明は、搬送量を多くすることができる工事用エレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の工事用エレベータは、搬送部を備える。前記搬送部は、第1の搬器と、第2の搬器と、を備える。前記第1の搬器の内側には、第1の収容空間が規定される。前記第1の搬器には、前記搬送部の内側と外側とを連通しかつ前記搬送部内に収容されるべきものが通る第1の搬入出用開口部が形成される。前記第2の搬器は、前記第1の搬器に連結される。前記第2の搬器の内側には、隔壁部によって前記第1の収容空間と隔てられる第2の収容空間が規定される。前記第1の搬器には、前記第1の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材と、前記扉部材が開閉される際に操作される操作部が設置される。前記隔壁部には、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを連通する連通孔が形成される。
【0012】
この構造によれば、第1の収容空間と第2の収容空間とが連通孔を通して互いに連通するので、第1の搬入出用開口部を通して収容された作業員および資材などの搬送すべきものは、連通孔を通して第2の収容空間内にも収容されるようになる。
【0013】
つまり、第2の搬器に、該第2の搬器内に収容されるべきもの(作業員や資材など)を収容するための搬入出用開口部を形成しなくてもよくなる。それゆえ、第2の搬器内に、搬送部の動作の際に操作される操作部が配置されなくてもよいので、オペレータは、第1の収容空間に配置される操作部だけを操作すればよくなる。
【0014】
または、第2の搬器内に操作部が設置された場合、例えば第2の搬器内に収容されるべきもの(作業員や資材)を収容するための搬入出用開口部を第2の搬器に形成しかつ該搬入出用開口部を開閉する扉部材を第2の搬器に設けたことによって該扉部材の開閉の際に操作される操作部が第2の収容空間内に設置され場合、第2の収容空間に設置される操作部は、第1の収容空間内に配置される操作部を操作するオペレータが連通孔を通って第2の収容空間に移動した後に操作されるようになるので、オペレータの数は、増員されなくてすむ。
【0015】
つまり、上記構造によれば、第1,2の収容空間に、それぞれ独立してオペレータを配置することがないので、第1,2の収容空間内において、作業員や資材などの配置可能なスペースが広くなる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記操作部は、前記第1の搬入出用開口部の近傍に配置される。
【0017】
この構造によれば、オペレータは、扉部材の開閉の際に、該扉部材が搬送部に収容されるべきものと干渉するかどうかを確認しやすくなる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記第2の搬器は、前記第1の搬器よりも上方に位置する。前記第1の搬器には、前記連通孔に続く階段部が設けられる。前記操作部は、前記搬送部の移動の際にも操作される操作部であって、前記階段部の下端部の近傍に設けられる。
【0019】
この構造によれば、オペレータは、階段部を移動する作業員を確認しやすくなる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記第2の搬器には、該第2の収容空間の内側と外側とを連通する第2の搬入出用開口部であって、前記搬送部内に収容されるべきものが通る第2の搬入出用開口部が設けられる
この構造によれば、第2の収容空間内に搬送されるべきものを、第2の収容空間内に搬入出しやすくなる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記第2の搬入出用開口部には、該第2の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材が設けられる。前記第2の搬器には、前記第2の搬入出用開口部を覆う前記扉部材の開閉の際に操作される操作部が設置される。前記操作部は、前記第2の搬入出用開口部の近傍に配置される。
【0022】
この構造によれば、第2の搬入出用開口部を覆う扉部材の開閉の際に、該扉部材が搬送部に収容されるべきものと干渉するかどうかを確認しやすくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、工事用エレベータは、2つの搬器を備えるので、工事用エレベータが設置される建造物に形成される開口部、つまり、搬器から人員や資材を建造物内へ運びいれる開口部や建造物のフロアに形成されて各搬器が通る開口部を工事用エレベータが取り外された後に塞ぐための補修作業の時間を少なくすることができる。
【0024】
また、オペレータの人数を少なく抑えることによって、第1,2の収容空間内において作業員や資材などの配置可能なスペースが広くなるので、搬送量を多くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の第1の実施形態に係る工事用エレベータを、図1から図6を用いて、説明する。図1は、工事用エレベータ10を示している。工事用エレベータ10は、例えば工事中のビルなどの建造物20(図6に一部示す)の外壁に沿って設置される。工事用エレベータ10は、例えば、ラックピニオンギヤ駆動式である。
【0026】
図1に示すように、工事用エレベータ10は、搬送部30と、一対のガイドレール40と、駆動フレーム50と、荷台60と、カウンターウェイト70と、を備えている。
【0027】
搬送部30は、作業員Hと資材Mとなどを収容する。搬送部30の構造については、後で詳細に説明する。
【0028】
ガイドレール40は、搬送部30を両側から挟むように、互いに離間して配置されている。ガイドレール40は、搬送部30の移動をガイドする。本実施形態の工事用エレベータ10では、搬送部30は、上下方向に移動する。それゆえ、各ガイドレール40は、上下方向に延びている。
【0029】
各ガイドレール40には、該ガイドレール40に沿って延びるラック41が、各ガイドレール40において互いに向かい合う側に取り付けられている(図3,4とに一部示されている。)。各ガイドレール40の上端部には、シーブ42が設置されている。
【0030】
駆動フレーム50は、各ガイドレール40に、各ガイドレール40に対してスライド可能に取り付けられている。駆動フレーム50は、各ガイドレール40に設置されたラック41に係合するピニオンギヤ(図示せず)と、ガイドローラ51と、モータ減速機52と、が取り付けられている。
【0031】
各駆動フレーム50は、ピニオンギヤがラック41に係合することによって、ガイドレール40に沿って昇降する。ガイドローラ51は、駆動フレーム50の昇降をガイドする。モータ減速機52は、ピニオンギヤに連結されている。モータ減速機52がピニオンを回転駆動すると、ピニオンが昇降力を得る。この昇降力によって、駆動フレーム50は、昇降する。
【0032】
荷台60は、各駆動フレーム50に連結されている。それゆえ、荷台60を介して、各駆動フレーム50の移動は、同期する。
【0033】
各駆動フレーム50とカウンターウェイト70とは、ワイヤロープ71によって、互いに連結されている。ワイヤロープ71は、シーブ42を通っている。
【0034】
搬送部30は、荷台60の上に固定される。それゆえ、搬送部30は、ガイドレール40に沿って昇降する。
【0035】
搬送部30は、第1の搬器80と、第2の搬器90と、を備えている。第2の搬器90は、第1の搬器80の上に配置されている。図2は、図1に示されたF2−F2線に沿う断面図である。図2では、作業員H、資材Mは、省略されている。図2に示すように、第1の搬器80は、底壁部81と、天井壁部82と、第1の側壁部83と、第2の側壁部84(図3に示される)と、を有しており、略直方体状である。図1に示すように、第1の側壁部83は、図中、底壁部81の左縁側に配置されており、上方に延びている。第2の側壁部84は、図中、底壁部81の右縁側に配置されており、上方に延びている。
【0036】
天井壁部82は、第1,2の側壁部83,84の上端に連結されている。底壁部81と天井壁部82と第1,2の側壁部83,84は、例えば、金網状である。
【0037】
図2に示すように、第1の搬器80において工事用エレベータ10が取り付けられる建造物20に対向する第1の側S1と、該第1の側S1との反対側の第2の側S2とには、それぞれ第1の搬入出用開口部85が形成されている。本実施形態では、第1の搬入出用開口部85は、底壁部81と天井壁部82と第1の側壁部83と第2の側壁部84とによって規定される。
【0038】
第1の搬入出用開口部85は、例えば、第1の搬器80内に作業員Hや資材Mを搬入および搬出する際に、作業員Hや資材Mが通る。
【0039】
第1の搬器80には、第1の搬入出用開口部85を開閉可能に覆う第1の扉部材86と第2の扉部材87と、第1,2の扉部材86,87の開閉動作をガイドするガイドレール88と、第1,2の扉部材86,87を開閉する開閉機構(図示せず)と、などが備えられている。
【0040】
図1に示すように、ガイドレール88は、一対設置されている。一方のガイドレール88は、各第1の搬入出用開口部85の幅方向一端に設置されている。他方のガイドレール88は、他端縁に設置されている。各ガイドレール88は、上下方向に延びている。各ガイドレール88は、互いに対向するとともに、相手側のガイドレール88に向かって開口する断面凹状である。
【0041】
第1,2の扉部材86,87は、その幅方向端部が各ガイドレール88の内側に収容されている。第2の扉部材87は、第1の扉部材86の上方に配置されている。図2に示すように、第1,2の扉部材86,87によって、第1の搬入出用開口部85は、塞がれる。
【0042】
第1の扉部材86は、図中2点鎖線で示すように、第1の搬入出用開口部85を塞ぐ位置から下方にスライドする。第2の扉部材87は、図中2点鎖線で示すように、第1の搬入出用開口部85を塞ぐ位置から上方に向かってスライドする。
【0043】
図5は、第1,2の扉部材86,87が開いた状態示している。図5中では、資材Mと作業員Hとは、省略されている。図5に示すように、第1,2の扉部材86,87は、第1の搬入出用開口部85が略全域開かれる位置までスライドする。第1,2の扉部材86,87のスライドは、開閉機構によってなされる。
【0044】
開閉機構の一例としては、例えば第1,2の扉部材86,87にそれぞれワイヤロープを接続し、このワイヤロープを別途に用意するカウンターウェイトに接続し、このカウンターウェイトの重さを利用して第1,2の扉部材86,87を開閉する、つるべ式開閉機構であってもよい。要するに、開閉機構は、第1,2の扉部材86,87を開閉できればよい。
【0045】
第1の搬器80では、底壁部81と天井壁部82と第1の側壁部83と第2の側壁部84と第1,2の扉部材86,87とによって形成される空間が、第1の収容空間R1となっている。
【0046】
図1に示すように、第2の搬器90は、第1の搬器80の上に設置されている。図2に示すように、第2の搬器90は、天井壁部91と、第1の側壁部92と、第2の側壁部93(図4に示す)と、第3の側壁部94と、第4の側壁部95と、を有しており、略直方体状である。
【0047】
図1に示すように、第1の側壁部92は、第1の搬器80の天井壁部82の図中左縁側に設けられており、上方に向かって延びている。第2の側壁部93は、天井壁部82の図中右縁側に設けられており、上方に向かって延びている。
【0048】
図2に示すように、第3の側壁部94は、第1の搬器80の天井壁部82の第1の側S1側に設けられており、上方に向かって延びている。第4の側壁部95は、天井壁部82の図中第2の側S2側に設けられており、上方に向かって延びている。
【0049】
第3の側壁部94の一方の側縁は、第1の側壁部92の側縁と連結されている。第3の側壁部94の他方の側縁は、第2の側壁部93の側縁と連結されている。第1,2の側壁部92,93の他方の側縁は、第4の側壁部95の側縁に連結されている。天井壁部91は、第1〜4の壁部92〜95のそれぞれ上端に接続されており、上方を覆っている。
【0050】
天井壁部91と第1〜4の壁部92〜95とによって、第2の収容空間R2が規定されている。つまり、第1の搬器80の天井壁部82は、第2の搬器90の底壁部としても機能するとともに、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とを隔てる、本発明で言う、隔壁部としても機能する。
【0051】
図3は、図1に示されたF3−F3線に沿う断面図である。図3は、第1の搬器80の内側、つまり第1の収容空間R1内を示している。図4は、図1に示されたF4―F4線に沿う断面図である。図4は、第2の搬器90の内側、つまり第2の収容空間R2内を示している。
【0052】
図2,4に示すように、第1の搬器80の天井壁部82には、連通孔100が形成されている。連通孔100は、略L字状であって、第2の側壁部93と第4の側壁部95とに沿って形成されている。連通孔100は、第1の搬器80の天井壁部82を貫通しており、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とを連通している。
【0053】
図3,5に示すように、第1の収容空間R1内には、階段部110が設けられている。階段部110は、第1の部分111と、第2の部分112と、を有している。
【0054】
第1の部分111は、上下方向に連通孔100と重なるように、第1の搬器80の第2の側壁部84に沿って、位置Pから一方の第1の搬入出用開口部85(第2の側S2側の開口部85)にまで延びている。第1の部分111は、上下方向に、例えば第1の収容空間R1の略中間高さまで延びている。位置Pは、他方の第1の搬入出用開口部85(第1の側S1側の開口部85)の近傍である。なお、位置Pと他方の第1の搬入出用開口部85との間には、作業員Hが通ることができるだけのスペースTが確保されている。上記構造により、階段部110の下端部113は、第1の搬入出用開口部85の近傍に配置される。
【0055】
図4に示すように、第2の部分112は、第1の部分111とつながっており、上下方向に連通孔100と重なるように、一方の第1の搬入出用開口部85に沿って第2の収容空間R2まで延びている。作業員Hは、階段部110を通って第1の収容空間R1内と第2の収容空間R2内とを行き来することができる。
【0056】
また、図3に示すように、第1の搬器80の第2の側壁部84において位置Pの近傍には、工事用エレベータ10の動作を操作する第1の操作盤120が設置されている。第1の操作盤120は、階段部110とスペースTとを通る作業員Hの移動を妨げないように、その一部が第2の側壁部84を貫通して外に出ている。このように第1の操作盤120が設置されることによって、第1の収容空間R1内における第1の操作盤120の閉める割合が抑えられる。第1の操作盤120は、搬送部30の昇降と、第1,2の扉部材86,87の開閉と、などを操作する際に、オペレータOによって操作される。
【0057】
つぎに、工事用エレベータ10の動作を、ビルなどの建造物20の目的の高さに作業員Hと資材Mとを搬送する場合を一例に、説明する。
【0058】
まず、搬送部30に作業員Hと資材Mとを搬入する。具体的には、いずれか、もしくは両第1の搬入出用開口部85を通して搬送部30内に搬入された資材Mは、図3に示されるように、第1の収容空間R1内に収容される。図4に示すように、作業員Hは、階段部110を通って、第2の収容空間R2内に移動する。
【0059】
このようにすることによって、第1の収容空間R1には、比較的重い資材Mが収容され、第2の収容空間R2内には、作業員Hが収容される。
【0060】
資材Mと作業員Hの搬入中では、第1の操作盤120を操作するオペレータOは、第1の操作盤120の近傍にいることによって、搬送部30内に収容されるべき作業員Hが階段部110を通って第2の収容空間R2内に移動する様子を、確認しやすくなる。さらに、オペレータOは、資材Mの搬入作業の終了を確認しやすくなるとともに、資材Mが第1,2の扉部材86,87と干渉しないかどうかを確認しやすくなる。
【0061】
ついで、資材Mと作業員Hとが第1の搬入出用開口部85を通って搬送部30内に搬入されると、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、第1,2の扉部材86,87を閉める。ついで、第1,2の扉部材86,87が閉められると、オペレータOは、搬送部30を目的の高さに向かって移動する。
【0062】
図6は、搬送部30が、建造物20の目的の高さに達した状態を、概略的に示している。図6に示すように、搬送部30が建造物20の目的の高さに達すると、具体的には、第1の側S1の第1の搬入出用開口部85が、建造物20における目的の高さに形成される搬入出用開口部21に達すると、オペレータOは、搬送部30の移動を止める。
【0063】
搬送部30の移動が止まると、オペレータOは、第1の側S1の第1の搬入出用開口部85を開く。第1の搬入出用開口部85が開かれると、資材Mと作業員Hとは、該第1の搬器80の第1の搬入出用開口部85を通って、建造物20内へ移動する。
【0064】
このように構成される工事用エレベータ10では、第1の収容空間R1と第2の収容空間R2とは、連通孔100を通して、互いに連通している。それゆえ、第1の搬入出用開口部85は、第1,2の収容空間R1,R2に収容されるべきもの(作業員H、資材Mなど)を搬入出する際に、共通して用いられるようになる。
【0065】
つまり、収容空間を複数備える搬送部であっても、一つの搬器(本実施形態では、第1の搬器80)に形成される搬入出用開口部を利用して資材Mや作業員Hの搬入出が行われるので、オペレータOは、第1の操作盤120を操作するだけでよい。
【0066】
それゆえ、第1,2の搬器80,90のそれぞれに、独立してオペレータOを配置する必要がないので、工事用エレベータ10の動作に必要な人員を少なくすることができる。したがって、その分、第1、2の収容空間R1,R2において、作業員Hや資材Mの配置可能なスペースが広くなるので、工事用エレベータ10が搬送可能な量を増加することができる。
【0067】
また、第1の操作盤120が階段部110の下端部113の近傍、つまり階段部110の近傍に配置される。それゆえ、第1の操作盤120を操作するオペレータOは、第1の操作盤120を操作する際に、作業員Hが階段部110を通って第2の収容空間R2内へ移動したかどうかを確認しやすくなる。したがって、搬送部30を昇降する際の安全性が向上する。
【0068】
また、階段部110の下端部113は、第1の側S1の第1の搬入出用開口部85に臨むように配置されている。つまり、第1の操作盤120は、第1の搬入出用開口部85の近傍に配置される。
【0069】
それゆえ、オペレータOは、第1の操作盤120を操作する際に、第1,2の扉部材86,87の開閉を確認しやすくなるとともに、第1,2の扉部材86,87が、資材Mと干渉するかどうかを確認しやすくなる。したがって、搬送部30を昇降する際の安全性が向上する。
【0070】
また、第1の操作盤120が、搬送部30の昇降と、第1,2の扉部材86,87の開閉を操作するので、それぞれを操作する操作盤を別々に設けなくてよい。それゆえ、工事用エレベータ10の部品点数が削減される。
【0071】
また、第1の収容空間R1内に比較的重い資材Mを収容することによって、搬送部30の昇降が安定する。
【0072】
また、工事用エレベータ10が2つの搬器(第1の搬器80と第2の搬器90)を備えるので、建造物20に形成される搬入出用開口部21の数を少なくるすことができる。それゆえ、工事用エレベータ10が取り外された後、搬入出用開口部21を塞ぐ補修作業に費やされる時間を少なくすることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、工事用エレベータ10が建造物20の外壁に沿って設置されているので、建造物20の外壁には人員Hと資材Mとが通る搬入出用開口21が形成されたが、これに限定されない。例えば、第1,2の搬器80,90が建造物20の各フロアを貫通して昇降するように工事用エレベータ10が設置される場合、建造物20の各フロアには、第1,2の搬器80,90が通る開口部が形成される。このような場合であっても、本発明によれば、該開口部の数を少なくすることができるので、該開口部を塞ぐ補修作業に費やされる時間を少なくすることができる。
【0074】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る工事用エレベータを、図7から図13を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様な効果を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の搬器90に、第2の搬入出用開口部が形成される点が、第1の実施形態と異なる。この点について、具体的に説明する。
【0075】
図7は、本実施形態の工事用エレベータ10を示している。図8は、図7に示されるF8−F8線に沿う断面図である。図7,8に示すように、第2の搬器90において第1の側S1と第2の側S2とには、第2の搬入出用開口部96が形成されている。
【0076】
本実施形態では、第2の搬器90には、第3,4の側壁部94,95は、備えられていない。図8に示すように、第3,4の側壁部94,95が設置されていた箇所が、第2の搬入出用開口部96となっている。第2の搬入出用開口部96は、第1の搬器80の天井壁部82と、第1,2の側壁部92,93と、第2の搬器90の天井壁部91と、によって規定されている。
【0077】
本実施形態では、第1の搬入出用開口部85は、第3の扉部材89によって、開閉可能に覆われている。第2の搬入出用開口部96は、第4の扉部材97によって、開閉可能に覆われている。
【0078】
ガイドレール88は、第2の搬器90の天井壁部91よりも上方に延びており、第3,4の扉部材89,97の移動をガイドする。
【0079】
第3の扉部材89は、第1の搬入出用開口部85を覆う大きさを有している。第4の扉部材97は、第2の搬入出用開口部96を覆う大きさを有している。図9は、第1,2の搬入出用開口部85,96が開かれた状態、つまり、第3,4の扉部材89,97が開いた状態を示している。このように、第2の搬器90に、第2の搬入出用開口部96が形成されることによって、階段部110を通ることができない大きさを有する資材Mを、第2の搬入出用開口部96を通して第2の収容空間R2内に収容することができる。
【0080】
図9に示すように、第3の扉部材89は、第1の搬入出用開口部85を覆う位置から下方に向かってスライドする。第1の操作盤120は、第3の扉部材89を開閉操作する。第4の扉部材97は、第2の搬入出用開口部96を覆う位置から上方に向かってスライドする。
【0081】
開閉機構は、第3,4の扉部材89,97を開閉する。開閉機構の一例としては、例えば第3,4の扉部材89,97にそれぞれワイヤロープを接続し、このワイヤロープを別途に用意するカウンターウェイトに接続し、このカウンターウェイトの重さを利用して第3,4の扉部材89,97を開閉する、つるべ式開閉機構であってもよい。要するに、開閉機構は、第3,4の扉部材89,97を開閉できればよい。
【0082】
図10は、図7に示されるF10−F10線に沿う断面図である。図10は、第2の搬器90内、つまり第2の収容空間R2内を示している。図10に示すように、第2の搬器90内には、第2の操作盤122が設置されている。
【0083】
天井壁部82において、第2の側壁部93側であって第1の側S1側には、連通孔100を避けた位置に、スペースQが形成されている。スペースQは、一方の第2の搬入出用開口部96と対向している。第2の操作盤122は、第4の扉部材97を開閉する際に用いられる。第2の操作盤122は、第2の側壁部93においてスペースQと対向する位置に配置されている。
【0084】
第2の操作盤122は、第2の収容空間R2内における第2の操作盤122の閉める割合を小さくするために、その一部が第1の側壁部92を貫通して外へ出ている。スペースQは、オペレータOが第2の操作盤122を操作できるだけの広さを有している。
【0085】
図11は、図7に示されるF11−F11線に沿う断面図である。図11は、第1の搬器80内、つまり第1の収容空間R1内を示している。図11に示すように、第1の収容空間R1内には、資材Mが収容される。
【0086】
つぎに、工事用エレベータ10の動作を、建造物20の目的の高さに資材Mと作業員Hとを搬送する場合を一例に、説明する。なお、第1の収容空間R1内には、資材Mが収容されている。第2の収容空間R2内には、作業員Hと資材Mとが収容されている。
【0087】
図12は、第1の搬入出用開口部85が建造物20側の搬入出用開口部21と対向している状態を概略的に示す側面図である。図13は、第2の搬入出用開口部96が搬入出用開口部21と対向している状態を概略的に示す側面図である。
【0088】
例えば、まず、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、搬送部30を建造物20の目的の高さまで移動する。図12に示すように、建造物20側の搬入出用開口部21と第1の搬入出用開口部85とが対向すると、オペレータOは、搬送部30の移動を止める。
【0089】
ついで、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、第1の側S1の第3の扉部材89を開く。資材Mと作業員Hとは、第1の搬入出用開口部85と建造物20に形成される搬入出用開口部21とを通って、建造物20内に移動する。
【0090】
作業員Hと第1の収容空間R1内に収容された資材Mが建造物20内に移動されると、オペレータOは、第1の操作盤120を操作して、第3の扉部材89を閉じるとともに、図13に示すように、第1の側S1の第2の搬入出用開口部96が搬入出用開口部21と対向するように、搬送部30を移動する。
【0091】
第2の搬入出用開口部96が搬入出用開口部21と対向すると、オペレータOは、搬送部30の移動を止めた後、階段部110を通って第2の収容空間R2内に移動する。第2の収容空間R2内に移動した後、オペレータOは、第2の操作盤122を操作して、第1の側S1の第4の扉部材97を開く。
【0092】
第4の扉部材97が開かれることによって、第2の搬入出用開口部96と搬入出用開口部21とを通って、第2の収容空間R2内の資材Mが、建造物20内に移動される。
【0093】
このように構成される工事用エレベータ10では、第2の搬入出用開口部96を通して、第2の収容空間R2内にも資材Mを収容できるようなる。
【0094】
また、オペレータOは、連通孔100を通って第1,2の収容空間R1,R2を行き来することができるので、第1,2の操作盤120,122を操作することができる。つまり、連通孔100が形成されることによって、各収容空間R1,R2にそれぞれ独立してオペレータOを配置する必要がない。それゆえ、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0095】
また、第2の操作盤122が、第1の側S1の第2の搬入出用開口部96の近傍に配置されているので、オペレータOは、資材Mと作業員Hとが第4の扉部材97とが干渉するかどうかを確認しやすくなる。
【0096】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る工事用エレベータを、図14を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様な効果を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ガイドレール40の数が、第1の実施形態と異なる。この点について、具体的に説明する。
【0097】
図14は、本実施形態の工事用エレベータ10を示している。図14に示すように、本実施形態では、一本のガイドレール40が用いられている。本実施形態であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0098】
なお、第1の実施形態と本実施形態に示されるように、ガイドレール40の数は、1本、または2本に限定されるものではない。また、本実施形態に第2の実施形態であっても、ガイドレール40は、一本でもよい。
【0099】
つぎに、本発明の第4の実施形態に係る工事用エレベータを、図15を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様な効果を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、シーブ42に駆動モータ42aが取り付けられている点が、第1の実施形態と異なる。図15は、本実施形態の工事用エレベータ10を示している。本実施形態であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、本実施形態に、第2の実施形態で説明されたシーブ42に駆動モータ42aが取り付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る工事用エレベータを示す正面図。
【図2】図1に示されたF2−F2線に沿う断面図。
【図3】図1に示されたF3−F3線に沿う断面図。
【図4】図1に示されたF4―F4線に沿う断面図。
【図5】図1に示された第1,2の扉部材が開いた状態の工事用エレベータの正面図。
【図6】図1に示された搬送部が建造物の目的の高さに達した状態を示す側面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る工事用エレベータを示す正面図。
【図8】図7に示されたF8−F8線に沿う断面図。
【図9】図1に示された第3,4の扉部材が開いた状態を示す正面図。
【図10】図7に示されたF10−F10線に沿う断面図。
【図11】図7に示されたF11−F11線に沿う断面図。
【図12】図1に示された第1の搬入出用開口部が建造物の搬入出用開口部と対向している状態を示す側面図。
【図13】図1に示された第2の搬入出用開口部が建造物の搬入出用開口部と対向している状態を示す側面図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る工事用エレベータの正面図。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る工事用エレベータの正面図。
【符号の説明】
【0101】
10…工事用エレベータ、30…搬送部、80…第1の搬器、82…天井壁部(隔壁部)、85…第1の搬入出用開口部、86…第1の扉部材(第1の搬入出用開口部を覆う扉部材)、87…第2の扉部材(第1の搬入出用開口部を覆う扉部材)、89…第3の扉部材(第1の搬入出用開口部を覆う扉部材)、90…第2の搬器、96…第2の搬入出用開口部、100…連通孔、110…階段部、113…下端部、120…第1の操作盤(操作部)、122…第2の操作盤(操作部)、H…作業員(搬送すべきもの)、M…資材(搬送すべきもの)、R1…第1の収容空間、R2…第2の収容空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送すべきものを収容して搬送する搬送部を具備する工事用エレベータであって、
前記搬送部は、
内側に第1の収容空間が規定されるとともに、前記搬送部の内側と外側とを連通しかつ前記搬送部内に収容されるべきものが通る第1の搬入出用開口部が形成される第1の搬器と、
前記第1の搬器に連結される第2の搬器であって、隔壁部によって前記第1の収容空間と隔てられる第2の収容空間が内側に規定される第2の搬器と、
を具備し、
前記第1の搬器には、前記第1の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材と、前記扉部材が開閉される際に操作される操作部が設置され、
前記隔壁部には、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを連通する連通孔が形成されることを特徴とする工事用エレベータ。
【請求項2】
前記操作部は、前記第1の搬入出用開口部の近傍に配置されることを特徴とする請求項1の記載の工事用エレベータ。
【請求項3】
前記第2の搬器は、前記第1の搬器よりも上方に位置し、
前記第1の搬器には、前記連通孔に続く階段部が設けられ、
前記操作部は、前記搬送部の移動の際にも操作される操作部であって、前記階段部の近傍に設けられることを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
【請求項4】
前記第2の搬器には、
前記第2の収容空間の内側と外側とを連通する第2の搬入出用開口部であって、前記搬送部内に収容されるべきものが通る第2の搬入出用開口部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
【請求項5】
前記第2の搬入出用開口部には、該第2の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材が設けられ、
前記第2の搬器には、前記第2の搬入出用開口部を覆う前記扉部材の開閉の際に操作される操作部が設置され、
前記操作部は、前記第2の搬入出用開口部の近傍に配置されることを特徴とする請求項4に記載の工事用エレベータ。
【請求項1】
搬送すべきものを収容して搬送する搬送部を具備する工事用エレベータであって、
前記搬送部は、
内側に第1の収容空間が規定されるとともに、前記搬送部の内側と外側とを連通しかつ前記搬送部内に収容されるべきものが通る第1の搬入出用開口部が形成される第1の搬器と、
前記第1の搬器に連結される第2の搬器であって、隔壁部によって前記第1の収容空間と隔てられる第2の収容空間が内側に規定される第2の搬器と、
を具備し、
前記第1の搬器には、前記第1の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材と、前記扉部材が開閉される際に操作される操作部が設置され、
前記隔壁部には、前記第1の収容空間と前記第2の収容空間とを連通する連通孔が形成されることを特徴とする工事用エレベータ。
【請求項2】
前記操作部は、前記第1の搬入出用開口部の近傍に配置されることを特徴とする請求項1の記載の工事用エレベータ。
【請求項3】
前記第2の搬器は、前記第1の搬器よりも上方に位置し、
前記第1の搬器には、前記連通孔に続く階段部が設けられ、
前記操作部は、前記搬送部の移動の際にも操作される操作部であって、前記階段部の近傍に設けられることを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
【請求項4】
前記第2の搬器には、
前記第2の収容空間の内側と外側とを連通する第2の搬入出用開口部であって、前記搬送部内に収容されるべきものが通る第2の搬入出用開口部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
【請求項5】
前記第2の搬入出用開口部には、該第2の搬入出用開口部を開閉可能に覆う扉部材が設けられ、
前記第2の搬器には、前記第2の搬入出用開口部を覆う前記扉部材の開閉の際に操作される操作部が設置され、
前記操作部は、前記第2の搬入出用開口部の近傍に配置されることを特徴とする請求項4に記載の工事用エレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−230668(P2007−230668A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50733(P2006−50733)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(592225124)株式会社サノヤス・ヒシノ明昌 (7)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(592225124)株式会社サノヤス・ヒシノ明昌 (7)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】
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