説明

工事用昇降装置

【課題】人専用の昇降装置と物専用の昇降装置とを別個に設ける場合に比べて、設備費を安く抑える。
【解決手段】複数階層の建物2を構築する際に側壁2aに設置される工事用昇降装置1において、かご室3には、かご床部30を囲むように少なくとも4つの壁部31,32,33,34を設ける。これらの壁部31,…によって安全性が確保されるので、人の搬送が可能となる。また、建物外方側の壁部32の一部32aを開閉可能として地上階にて物(例えば、建築資材等)を搬入できるようにし、かご天井部35の一部35aを開閉可能として所定階(例えば、屋上)にて物を搬出できるようにしている。つまり、1つの昇降装置でありながら、人と物の両方の搬送を可能としているため、人専用と物専用の昇降装置をそれぞれ設ける場合に比べて、設備費を安く抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数階層の建物を構築する際に該建物の側壁に沿うように設置されるものであって、人及び物の両方を昇降させることができる工事用昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションなどの複数階層の建物を構築する場合には、建築資材等を昇降させる必要があり、貨物用のリフトなどが使用されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−262688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような貨物用のリフトは 安全対策上 人の搬送用としての利用が認められないため、人の昇降のためには別途 昇降装置が設置されていた。したがって、貨物用と人用の昇降装置がそれぞれ必要となり、設備費が高くついてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の問題を解消することのできる工事用昇降装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、図1(a) に例示するものであって、複数階層の建物(2)を構築する際に該建物(2)の側壁(2a)に沿うように設置されるものであって、人及び物の両方を昇降させることができる工事用昇降装置(1)において、
かご床部(30)と、前記建物(2)から近い側にて前記かご床部(30)より立設されたかご内壁部(31)と、前記建物(2)から遠い側にて前記かご床部(30)より立設されたかご外壁部(32)と、これらの壁部(31,32)と共に前記かご床部(30)を囲むように立設された第1及び第2壁部(33,34)と、かご天井部(35)と、により構成されると共に、前記建物(2)の側壁(2a)に対向するように配置されるかご室(3)、並びに、
該かご室(3)と前記建物の側壁(2a)との間にて該側壁(2a)に沿うように上下に延設されると共に、前記かご室(3)を昇降可能に支持するガイド手段(4)、を備え、
前記かご外壁部(32)の少なくとも一部(32a)が開閉可能であり、
前記かご天井部(35)の少なくとも一部(35a)が開閉可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記かご室(3)は、
前記かご床部(30)の一部である第1床部(30A)と、前記かご内壁部(31)の一部である第1内壁部(31A)と、前記かご外壁部(32)の一部である第1外壁部(32A)と、前記第1壁部(33)と、前記かご天井部(35)の一部である第1天井部(35A)とからなる第1かご部(3A)、
前記かご床部(30)の一部である第2床部(30B)と、前記かご内壁部(31)の一部である第2内壁部(31B)と、前記かご外壁部(32)の一部である第2外壁部(32B)と、前記第2壁部(34)と、前記かご天井部(35)の一部である第2天井部(35B)とからなる第2かご部(3B)、
前記第1床部(30A)及び前記第2床部(30B)を接離可能な状態で連結する連結床部(30C)と、前記第1内壁部(31A)及び前記第2内壁部(31B)を接離可能な状態で連結する連結内壁部(31C)と、前記第1天井部(35A)及び前記第2天井部(35B)を接離可能な状態で連結する連結天井部(35C)とからなるかご連結部(3C)と、
を備え、
前記ガイド手段(4)は、前記第1かご部(3A)を昇降可能に支持する第1ガイド部(4A)と、前記第2かご部(3B)を昇降可能に支持する第2ガイド部(4B)と、を備え、
前記第1及び前記第2かご部(3A,3B)は、前記かご連結部(3C)にて連結されている場合には前記ガイド手段(4)に沿って一体的に昇降され、前記かご連結部(3C)による連結が解除されている場合には前記第1ガイド部(4A)及び前記第2ガイド部(4B)に沿って個別に昇降されるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記連結天井部(35C)の少なくとも一部は、該連結天井部(35C)が前記第1及び前記第2天井部(35A,35B)に連結されている場合には、それらの第1及び第2天井部(35A,35B)の少なくとも一部と一体的に移動されて前記かご天井部(35)の少なくとも一部(35a)を開閉することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に係る発明において、前記第1外壁部(32A)は、前記かご連結部(3C)が前記第1かご部(3A)に連結されている場合には、前記かご連結部(3C)の少なくとも一部及び前記第1かご部(3A)を略水平方向に移動できるように構成されて該かご連結部(3C)の少なくとも一部及び前記第1かご部(3A)を開閉するように構成された蛇腹状部材であり、
前記第2外壁部(32B)は、前記かご連結部(3C)が前記第2かご部(3B)に連結されている場合には、前記かご連結部(3C)の少なくとも一部及び前記第2かご部(3B)を略水平方向に移動できるように構成されて該かご連結部(3C)の少なくとも一部及び前記第2かご部(3B)を開閉するように構成された蛇腹状部材であり、
前記第1外壁部(32A)は、前記かご連結部(3C)が前記第1かご部(3A)に連結されていない場合には、該かご連結部(3C)が連結されていた前記第1かご部(3A)の開口部(図1(b) の符号36A参照)を閉塞するように移動可能に構成され、
前記第2外壁部(32B)は、前記かご連結部(3C)が前記第2かご部(3B)に連結されていない場合には、該かご連結部(3C)が連結されていた前記第2かご部(3B)の開口部(図2(b) の符号36B参照)を閉塞するように移動可能に構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記かご連結部(3C)が前記第1かご部(3A)に連結されている場合に該かご連結部(3C)の一部を閉塞する前記第1外壁部(32A)の長さは、前記かご連結部(3C)が前記第1かご部(3A)に連結されていない場合に前記第1外壁部(32A)により閉塞される前記第1かご部(3A)の開口部(36A)の水平寸法に略等しく、
前記かご連結部(3C)が前記第2かご部(3B)に連結されている場合に該かご連結部(3C)の一部を閉塞する前記第2外壁部(32B)の長さは、前記かご連結部(3C)が前記第2かご部(3B)に連結されていない場合に前記第2外壁部(32B)により閉塞される前記第2かご部(3B)の開口部(36B)の水平寸法に略等しいことを特徴とする。
【0011】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、かご室は、その周囲が壁部にて囲まれて安全性が確保されているので、物の昇降にだけでなく人の昇降にも利用することができる。また、本発明によれば、前記かご外壁部の少なくとも一部が開状態となるように構成されているので、物のかご室への搬入を建物側からでなく建物外方側から行うことが可能となり、建物内を搬送できないような大きな物であっても 建物との干渉を気にせずに前記かご室内に搬入することが可能となる。さらに、かご室への物の搬入は、建物内を経由せずに道路から直接行うことができるため、比較的短時間で済ますことができる。またさらに、かご室を所定階(最上階や途中階)に停止させた状態で前記かご天井部の少なくとも一部を開状態にすれば、該かご室に搬入されている物を クレーン等で該所定階に搬出することができるので、特に大型物や重量物の搬出に都合が良い。このように、本発明によれば、人のみならず、大型かつ重い物であっても同じ昇降装置で昇降させることが可能となり、人専用の昇降装置と、重量物専用の昇降装置とを別個に設ける場合に比べて、設備費を安く抑えることが可能となる。
【0013】
請求項2乃至5に係る発明によれば、第1及び第2かご部は別個独立な状態で昇降されるので、物や人の搬送効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(a)(b) は、本発明に係る工事用昇降装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】図2(a)(b) は、本発明に係る工事用昇降装置の構成の一例を示す斜視図である。
【図3】図3(a) は、本発明に係る工事用昇降装置の構成の一例(かご一体時)を示す平面図であり、同図(b)は、その正面図である。
【図4】図4(a) は、かご天井部を開けている状態の一例を示す側面図であり、同図(b)は、かご天井部を閉めている状態の一例を示す側面図である。
【図5】図5(a) は、本発明に係る工事用昇降装置の構成の一例(かご分割時)を示す平面図であり、同図(b)は、その正面図である。
【図6】図6(a) は、本発明に係る工事用昇降装置の構成の他の例(かご一体時)を示す平面図であり、同図(b)は、その正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1乃至図6に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明に係る工事用昇降装置は、図2(a) に符号1で例示するものであって、複数階層の建物2を構築する際に該建物の側壁(以下、“建物側壁”とする)2aに沿うように設置されて使用されるものである。また、本発明に係る工事用昇降装置1は、
・ かご室3と、
・ 該かご室3を昇降可能に支持するガイド手段4と、
を備えており、不図示の駆動手段で駆動されることにより人や物を昇降させるように構成されている。なお、説明の便宜のため、図2(a)の模式図を図1(a) に示し、図2(b) の模式図を図1(b) に示して、詳細構造を説明する。
【0017】
前記かご室3は、図1(a) に明示するように、
・ 床部(本明細書においては“かご床部”とする)30と、
・ 該かご床部30を囲むように該かご床部30より立設される 少なくとも4つの壁部31,32,33,34と、
・ 天井部(本明細書においては“かご天井部”とする)35と、
を備えており、該かご室3は前記ガイド手段4に支持された状態で前記建物側壁2aに対向するように配置されている。なお、本明細書においては、
・ 符号31で示す壁部、すなわち、前記建物2から近い側(以下、適宜“建物側”と称することとする)に立設される壁部を“かご内壁部”と称し、
・ 符号32で示す壁部、すなわち、前記建物2から遠い側(以下、適宜“建物外方側”と称することとする)に立設される壁部を“かご外壁部”と称し、
・ 符号33で示す壁部を“第1壁部”と称し、
・ 符号34で示す壁部を“第2壁部”と称する、
こととする。そして、上述のかご外壁部32の少なくとも一部(符号32a参照)、及び上述のかご天井部35の少なくとも一部(符号35a参照)は開閉可能となるように構成されている。
【0018】
一方のガイド手段4は、前記かご室3と前記建物側壁2aとの間にて該建物側壁2aに沿うように上下に延設されている。
【0019】
本発明によれば、上述のかご室3は、その周囲が壁部31,32,33,34にて囲まれて安全性が確保されているので、物の昇降にだけでなく人の昇降にも利用することができる。また、本発明によれば、前記かご外壁部32の少なくとも一部32aが開状態となるように構成されているので、物のかご室3への搬入を建物側からでなく建物外方側から行うことが可能となり、建物内を搬送できないような大きな物であっても 建物との干渉を気にせずに前記かご室内3に搬入することが可能となる。なお、このような物の搬入は、建物外方側に道路が配置された所定階(例えば、1階とか2階とか地階)にかご室3を停止させた状態でフォークリフト等を使用して行うと良い。さらに、かご室3への物の搬入は、建物内を経由せずに道路から直接行うことができるため、比較的短時間で済ますことができる。またさらに、かご室3を所定階(最上階や途中階)に停止させた状態で前記かご天井部35の少なくとも一部35aを開状態にすれば、該かご室3に搬入されている物を クレーン等で該所定階に搬出することができるので、特に大型物や重量物の搬出に都合が良い。このように、本発明によれば、人のみならず、大型かつ重い物であっても同じ昇降装置1で昇降させることが可能となり、人専用の昇降装置と、重量物専用の昇降装置とを別個に設ける場合に比べて、設備費を安く抑えることが可能となる。
【0020】
なお、人の乗り降りは、前記第1壁部33や第2壁部34を開閉して行うようにすると良い。その場合は、図3(a) (b) に符号2bで示すように、建物の各階に足場を設けておいて、同図(b) に矢印Cに示す経路で乗降できるようにすると良い。
【0021】
一方、かご天井部35の開閉は図4(a) に符号35aで示すように行うと良い。すなわち、符号35aに示す部分(蓋部材)にヒンジ(不図示)を設けておいて回転自在としておき、矢印Dに示す方向に搭載物を搬出するようにすると良い。なお、この図の蓋部材35aは建物側にヒンジを設けて該建物側に回転させているが、もちろんこれに限られるものではなく、建物外方側にヒンジを設けて該側に回転させるようにしても良い。後者の場合は、搭載物を搬出する際に、搭載物と蓋部材35aとの干渉を回避できる点で好ましい。また、この蓋部材35aは、かご室3を昇降させる際には、図4(b)
に示すように閉じておくと良い。
【0022】
また、図2(a)
や図3(b) に示すかご外壁部(格子状形状のもの)32は上下にスライドさせて開閉できるようにすると良い。
【0023】
ところで、上述のかご室3は、図1(b) 及び図2(b) に例示するように、左右2つの部分(以下、適宜“第1かご部”及び“第2かご部”と称することとする)3A,3Bに分離できるようにすると共に、それらのかご部3A,3Bを上述のガイド手段4で別個独立に昇降できるように支持しておくようにしても良い。以下、その構成について詳細に説明する。
【0024】
図1(b) に示す第1かご部3Aは、
・ 前記かご床部30の一部である第1床部30Aと、
・ 前記かご内壁部31の一部である第1内壁部31Aと、
・ 前記かご外壁部32の一部である第1外壁部32Aと、
・ 前記第1壁部33と、
・ 前記かご天井部35の一部である第1天井部35Aと、
により構成されている。また、他方の第2かご部3Bは、
・ 前記かご床部30の一部である第2床部30Bと、
・ 前記かご内壁部31の一部である第2内壁部31Bと、
・ 前記かご外壁部32の一部である第2外壁部32Bと、
・ 前記第2壁部34と、
・ 前記かご天井部35の一部である第2天井部35Bと、
により構成されている。そして、これらの第1かご部3Aと第2かご部3Bとの間には、図1(a) に示すように、それらを接離可能な状態で連結する“かご連結部”3Cが配置されていて、該かご連結部3Cは、
・ 前記第1床部30A及び前記第1床部30Bを接離可能な状態で連結する連結床部30Cと、
・ 前記第1内壁部31A及び前記第2内壁部31Bを接離可能な状態で連結する連結内壁部31Cと、
・ 前記第1天井部35A及び前記第2天井部35Bを接離可能な状態で連結する連結天井部35Cと、
により構成されている。なお、
・ かご連結部側の各部材(つまり、連結床部30Cや連結内壁部31Cや連結天井部35C)と第1かご部側の各部材(つまり、第1床部30Aや第1内壁部31Aや第1天井部35A)との連結、及び、
・ かご連結部側の各部材(つまり、連結床部30Cや連結内壁部31Cや連結天井部35C)と第2かご部側の各部材(つまり、第2床部30Bや第2内壁部31Bや第2天井部35B)との連結
は、ピンなどの公知の連結部材によって行うと良い。この場合、前記第1外壁部32Aと前記第2外壁部32Bとを連結するための連結外壁部32Cを設けておいても良い。また、前記第1かご部3A及び前記第2かご部3Bを別個独立の状態で昇降したい場合には、これらのかご部3A,3Bの間の位置から前記かご連結部3Cを取り除いて図1(b) や図2(b) や図5(a) (b) に示す状態にする必要があるが、その方法としては、
・ かご連結部3Cを前記第1及び第2かご部3A,3Bから完全の取り外してしまう方法と、
・ かご連結部3Cを、前記第1かご部3Aから取り外して前記第2かご部3Bの方に収納する方法(例えば、スライドさせる方法)と、
・ かご連結部3Cを前記第2かご部3Bから取り外して前記第1かご部3Aの方に収納する方法(例えば、スライドさせる方法)と、
がある。上記のいずれの方法を取ったとしても、該第1かご部3Aと該第2かご部3Bとの連結を絶ち、しかも、かご連結部3Cの寸法(水平方向の寸法であって、符号Eで示す寸法)だけ前記第1かご部3Aと前記第2かご部3Bとを離間させることができ、別個独立に昇降させる場合においてそれらのかご部3A,3Bの干渉を防止することができる。
【0025】
この場合、前記連結天井部35Cの開閉部分(前記連結天井部35Cの少なくとも一部であって、例えば、破線35aで区切られる部分)は、該連結天井部35Cが前記第1及び前記第2天井部35A,35Bに連結されている場合には、それらの第1及び第2天井部35A,35B(第1及び第2天井部35A,35Bの少なくとも一部であって、例えば、破線35aで区切られる部分)と一体的に移動されるように構成しておいて、破線35aで区切られる部分(つまり、前記かご天井部35の少なくとも一部)が一体的に開閉されるようにしておくと良い。
【0026】
また、図6(a) (b) に示すように、上述のような連結外壁部32Cは設けずに第1外壁部32A及び第2外壁部32Bを蛇腹状部材にして第1かご部3A、第2かご部3B及びかご連結部3Cの開閉をそれらの外壁部32A,32Bで行うようにしても良い。各外壁部32A,32Bを蛇腹式にすると、かご室3の建物外方側のほぼ全体を大きく開口させることが可能となり、大型物の出し入れも容易となる。以下、第1外壁部32Aを“第1蛇腹部材”とし、第2外壁部32Bを“第2蛇腹部材”として、構造を具体的に説明する。
【0027】
第1蛇腹部材32Aは、前記かご連結部3Cが前記第1かご部3Aに連結されている場合には、前記かご連結部3Cの少なくとも一部及び前記第1かご部3Aを略水平方向に移動できるように構成しておき、該かご連結部3Cの少なくとも一部及び前記第1かご部3Aを開閉するように構成しておくと良い。また、第2蛇腹部材32Bは、前記かご連結部3Cが前記第2かご部3Bに連結されている場合には、前記かご連結部3Cの少なくとも一部及び前記第2かご部3Bを略水平方向に移動できるように構成しておき、該かご連結部3Cの少なくとも一部及び前記第2かご部3Bを開閉するように構成しておくと良い。さらに、前記第1蛇腹部材32Aは、前記かご連結部3Cが前記第1かご部3Aに連結されていない場合には、該かご連結部3Cが連結されていた前記第1かご部の開口部(図1(b) に符号36Aで示す部分)にまで移動して該開口部を閉塞するように構成しておくと良く、前記第2蛇腹部材32Bは、前記かご連結部3Cが前記第2かご部3Bに連結されていない場合には、該かご連結部3Cが連結されていた前記第2かご部の開口部(図2(b) の符号36B参照)にまで移動して該開口部を閉塞するように構成しておくと良い。そのように構成するためには、
・ 前記かご連結部3Cが前記第1かご部3Aに連結されている場合に該かご連結部3Cの一部を閉塞する前記第1外壁部32Aの長さ(図6(a) のE/2)は、前記かご連結部3Cが前記第1かご部3Aに連結されていない場合に前記第1外壁部32Aにより閉塞される前記第1かご部3Aの開口部の水平寸法(F)に略等しくしておき、
・ 前記かご連結部3Cが前記第2かご部3Bに連結されている場合に該かご連結部3Cの一部を閉塞する前記第2外壁部32Bの長さ(図6(a) のE/2)は、前記かご連結部3Cが前記第2かご部3Bに連結されていない場合に前記第2外壁部32Bにより閉塞される前記第2かご部3Bの開口部の水平寸法(F)に略等しくしておく、
と良い。
【0028】
さらに、ガイド手段4は、
・ 前記第1かご部3Aを昇降可能に支持する第1ガイド部4Aと、
・ 前記第2かご部3Bを昇降可能に支持する第2ガイド部4Bと、
を備えていて、前記第1及び前記第2かご部3A,3Bは、
・ 前記かご連結部3Cにて連結されている場合には前記ガイド手段4(つまり、前記第1ガイド部4A及び前記第2ガイド部4Bの両方)に沿って一体的に昇降され、
・ 前記かご連結部3Cによる連結が解除されている場合には、前記第1かご部3Aは前記第1ガイド部4Aに沿って昇降され、前記第2かご部3Bは前記第2ガイド部4Bに沿って昇降される、
ように構成しておくと良い。
【0029】
上述のように、かご室3を分割できる構成とした場合には、次のような効果を得ることができる。建物を構築している際、重量物や大型物の搬送が終了した後は、この工事用昇降装置1は、専ら、軽量物や小型物(例えば、仕上げ材や内装材)や人の搬送に使用されるのが一般的である。このとき、上述のかご室3を第1かご部3A及び第2かご部3Bに分割することにより、それらのかご部3A,3Bは別個独立な駆動制御で建物を昇降されるので、物や人の搬送効率を高めることができる。
【0030】
なお、図1(b) や図2(b) や図5(a) (b) に示す例では、かご室3は2つに分割することとしたが、3つ以上に分割する場合を本発明の範囲から排除するものでは無い。
【符号の説明】
【0031】
1 工事用昇降装置
2 建物
2a 側壁
3 かご室
3A 第1かご部
3B 第2かご部
3C かご連結部
4 ガイド手段
4A 第1ガイド部
4B 第2ガイド部
30 かご床部
30A 第1床部
30B 第2床部
30C 連結床部
31 かご内壁部
31A 第1内壁部
31B 第2内壁部
31C 連結内壁部
32 かご外壁部
32A 第1外壁部
32B 第2外壁部
33 第1壁部
34 第2壁部
35 かご天井部
35A 第1天井部
35B 第2天井部
35C 連結天井部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階層の建物を構築する際に該建物の側壁に沿うように設置されるものであって、人及び物の両方を昇降させることができる工事用昇降装置において、
かご床部と、前記建物から近い側にて前記かご床部より立設されたかご内壁部と、前記建物から遠い側にて前記かご床部より立設されたかご外壁部と、これらの壁部と共に前記かご床部を囲むように立設された第1及び第2壁部と、かご天井部と、により構成されると共に、前記建物の側壁に対向するように配置されるかご室、並びに、
該かご室と前記建物の側壁との間にて該側壁に沿うように上下に延設されると共に、前記かご室を昇降可能に支持するガイド手段、を備え、
前記かご外壁部の少なくとも一部が開閉可能であり、
前記かご天井部の少なくとも一部が開閉可能である、
ことを特徴とする工事用昇降装置。
【請求項2】
前記かご室は、
前記かご床部の一部である第1床部と、前記かご内壁部の一部である第1内壁部と、前記かご外壁部の一部である第1外壁部と、前記第1壁部と、前記かご天井部の一部である第1天井部とからなる第1かご部、
前記かご床部の一部である第2床部と、前記かご内壁部の一部である第2内壁部と、前記かご外壁部の一部である第2外壁部と、前記第2壁部と、前記かご天井部の一部である第2天井部とからなる第2かご部、
前記第1床部及び前記第2床部を接離可能な状態で連結する連結床部と、前記第1内壁部及び前記第2内壁部を接離可能な状態で連結する連結内壁部と、前記第1天井部及び前記第2天井部を接離可能な状態で連結する連結天井部とからなるかご連結部と、
を備え、
前記ガイド手段は、前記第1かご部を昇降可能に支持する第1ガイド部と、前記第2かご部を昇降可能に支持する第2ガイド部と、を備え、
前記第1及び前記第2かご部は、前記かご連結部にて連結されている場合には前記ガイド手段に沿って一体的に昇降され、前記かご連結部による連結が解除されている場合には前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部に沿って個別に昇降されるように構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載の工事用昇降装置。
【請求項3】
前記連結天井部の少なくとも一部は、該連結天井部が前記第1及び前記第2天井部に連結されている場合には、それらの第1及び第2天井部の少なくとも一部と一体的に移動されて前記かご天井部の少なくとも一部を開閉する、
ことを特徴とする請求項2に記載の工事用昇降装置。
【請求項4】
前記第1外壁部は、前記かご連結部が前記第1かご部に連結されている場合には、前記かご連結部の少なくとも一部及び前記第1かご部を略水平方向に移動できるように構成されて該かご連結部の少なくとも一部及び前記第1かご部を開閉するように構成された蛇腹状部材であり、
前記第2外壁部は、前記かご連結部が前記第2かご部に連結されている場合には、前記かご連結部の少なくとも一部及び前記第2かご部を略水平方向に移動できるように構成されて該かご連結部の少なくとも一部及び前記第2かご部を開閉するように構成された蛇腹状部材であり、
前記第1外壁部は、前記かご連結部が前記第1かご部に連結されていない場合には、該かご連結部が連結されていた前記第1かご部の開口部を閉塞するように移動可能に構成され、
前記第2外壁部は、前記かご連結部が前記第2かご部に連結されていない場合には、該かご連結部が連結されていた前記第2かご部の開口部を閉塞するように移動可能に構成された、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の工事用昇降装置。
【請求項5】
前記かご連結部が前記第1かご部に連結されている場合に該かご連結部の一部を閉塞する前記第1外壁部の長さは、前記かご連結部が前記第1かご部に連結されていない場合に前記第1外壁部により閉塞される前記第1かご部の開口部の水平寸法に略等しく、
前記かご連結部が前記第2かご部に連結されている場合に該かご連結部の一部を閉塞する前記第2外壁部の長さは、前記かご連結部が前記第2かご部に連結されていない場合に前記第2外壁部により閉塞される前記第2かご部の開口部の水平寸法に略等しい、
ことを特徴とする請求項4に記載の工事用昇降装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−265084(P2010−265084A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118266(P2009−118266)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(507111553)SMCテック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】