説明

工作機械の制御装置および運転制御方法

【課題】手動パルスモードと1ブロック停止モードとの両方を選択してNC装置を運転する場合に、NCプログラムの動作がブロック終了位置で自動停止した後における運転再開のための操作性を向上させる。
【解決手段】CNC部50のNCプログラムがブロック終了位置で停止した後、手動パルス発生器20のハンドル14の回転停止および当該回転停止後の回転開始をPLC部40において検出したときに、NCプログラムの次のブロックの実行を開始するように制御することにより、NCプログラムがブロック終了位置で自動的に停止した後も、ハンドル14を回転させるという1つの操作を行うだけで、NCプログラムの動作を再開させることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の制御装置および運転制御方法に関し、特に、手動運転のための手動パルス発生器を備えた工作機械に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械の数値制御方式の1つに、NCプログラムを使用するNC制御方式が存在する。NCプログラムは、主軸や刃物台等の移動指令を表すGコード、使用する工具の呼出指令を表すTコード、補助機能指令を表すMコードなどのコード体系を持つプログラムである。NC制御方式では、工作機械の数値制御装置(NC装置)がNCプログラムを1ブロック(行)ずつ読み込んでその指令(NCコード)を解釈しながら、複数の指令を順次実行していく。
【0003】
NC制御方式の工作機械には通常、数種類の運転モードが用意されている。例えば、NCプログラムに基づいて自動運転を行う「自動運転モード」、NCプログラムを1ブロックだけ実行してNC装置の動作を停止させる「1ブロック停止モード」、オペレータが手動パルス発生器のハンドルを回すことによって、そのハンドルの回転に連動してNCプログラムを実行させる「手動パルスモード」などがある。一般的に、手動パルス発生器のハンドルは、工作機械の操作パネルに設けられている(例えば、特許文献1参照)。なお、ケーブルを介して操作パネルからハンドルを引き出して、オペレータが手元でハンドルを操作できるようにした工作機械も存在する。
【0004】
1ブロック停止モードは、自動運転モードでNC装置を自動運転する前の段取り時において、NCプログラムの動作を1ブロックずつ確認したいときに使用される運転モードである。1ブロック停止モードを選択して運転すると、NCプログラムが1ブロック実行されたところでNC装置の動作が自動停止し、主軸や刃物台の動きが止まる。そのため、オペレータは、特定のブロックでNCプログラムを停止させて、被加工物(ワーク)の加工状態、工具の状態、切削油のかかり具合などを確認することができる。
【0005】
手動パルスモードも、基本的にはNC装置を自動運転する前の段取り時に使用される運転モードである。手動パルスモードを選択した場合は、まず、オペレータが操作パネルを操作することにより、移動対象とする主軸や刃物台を選択するとともに、ハンドルの単位回転量当たりの主軸等の移動量を表わす倍率を選択する。その後、オペレータが手動パルス発生器のハンドルを所望の速度で正転または逆転させると、ハンドルの回転方向および回転速度に応じてNCプログラムが順行または逆行して実行され、選択した主軸や刃物台がNCプログラムの動作に合わせて移動するようになっている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、自動運転開始・休止モードが選択されている場合、手動パルス発生器のハンドルの回転開始を検知したときにNC装置の自動運転を開始し、ハンドルの回転停止を検知したときにNC装置の自動運転を停止するようになされている。
【0007】
手動パルスモード(特許文献2の自動運転開始・休止モードも同様)は、詳細な確認が不要なときはハンドルを高速に回転させて主軸等を速く移動させる一方、ワークと工具との干渉などを詳細にチェックしたいときはハンドルをゆっくり回すことにより、主軸等をゆっくり移動させながら動きを確認することができる点で便利である。また、ハンドルの回転を停止すればNCプログラムの動作も停止し、主軸等の移動も停止させることができる。しかし、オペレータがハンドルを止めた位置は、NCプログラムの1ブロックにおける途中の位置となることが多く、1ブロックをちょうど実行し終わったところで確実に停止させることは困難である。
【0008】
そこで、多くの工作機械では、手動パルスモードと1ブロック停止モードとを組み合わせて選択することもできるようになっている。手動パルスモードと1ブロック停止モードとの両方を選択した場合、NCプログラムは、手動パルス発生器のハンドルの回転に応じて順行または逆行し、ブロックの終了位置において自動的に停止する。そのため、オペレータは、段取り時においてNCプログラムのチェック作業を効率よく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−49413号公報
【特許文献2】特開平8−1482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の技術では、手動パルスモードと1ブロック停止モードとの両方を選択してNC装置を運転した場合、NCプログラムがブロックの終了位置で自動停止した後、運転を再開させるための操作が面倒であるという問題があった。すなわち、自動停止されたNC装置を起動状態とするために操作パネルの起動ボタンを押し、その後で手動パルス発生器のハンドルを回すという2つの操作を行う必要があった。起動ボタンとハンドルとが離れた位置に設置されている場合や、ケーブルを介して操作パネルからハンドルを引き出して使用している場合などは特に、運転再開のための操作性が悪くなるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、手動パルスモードと1ブロック停止モードとの両方を選択してNC装置を運転する場合に、NCプログラムの動作がブロック終了位置で自動停止した後における運転再開のための操作性を向上させ、段取りの作業効率を更に上げることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、手動パルスモードおよび1ブロック停止モードを選択してNC装置を運転している際、NCプログラムがブロック終了位置で停止したことを検出した後に、手動パルス発生器のハンドルの回転停止および当該回転停止後の回転開始を検出したら、NCプログラムの次のブロックの実行を開始するようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、手動パルス発生器のハンドルの回転に応じて動作しているNCプログラムが1ブロック停止モードの機能によりブロック終了位置で自動的に停止した後、ハンドルの回転をいったん停止させてから再び回転させると、ハンドルの回転開始に連動してNCプログラムの動作が自動的に再開される。そのため、オペレータは、手動パルスモードと1ブロック停止モードとの両方を選択してNC装置を運転する場合に、手動パルス発生器のハンドルを回転させるという1つの操作を行うだけで、NCプログラムの動作を再開させることができる。これにより、運転再開のための操作性を向上させ、段取りの作業効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態による制御装置を含む工作機械の主要なハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本実施形態によるPLC部の主要な機能構成例を示す図である。
【図3】本実施形態によるPLC部の動作例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態による工作機械の動作例をタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による制御装置を含む工作機械の主要なハードウェア構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態による工作機械100は、操作パネル10、手動パルス発生器20、I/Oボード30、PLC(Programmable Logic Controller)部40、CNC(Computed Numeric Controller)部50、駆動制御装置60および可動部70を備えている。ここで、CNC部50がNC装置に相当する。
【0016】
操作パネル10は、オペレータが工作機械100に対して各種操作を行うための操作子を備えている。操作子には、運転モードの選択を行うためのモード選択スイッチ11、NC装置の運転(NCプログラムの動作)を起動させるための起動スイッチ12、NC装置の運転を停止させるための停止スイッチ13、手動パルス発生器20のハンドル14、ハンドル14の回転によって移動させる主軸や刃物台を選択するための対象選択スイッチ15、ハンドル14の単位回転量当たりの主軸等の移動量を表わす倍率を選択するための倍率選択スイッチ16などがある。操作パネル10は、上述の各種操作子からの操作信号を、I/Oボード30を介してPLC部40へ出力する。
【0017】
手動パルス発生器20は、ハンドル14の回転操作に応じてパルス信号を発生する。手動パルス発生器20により発生されたパルス信号は、I/Oボード30を介してPLC部40およびCNC部50に出力される。なお、図1では手動パルス発生器20のハンドル14が操作パネル10上に設けられている例を示しているが、ケーブルを介して操作パネル10からハンドル14を引き出してオペレータの手元で使用できるようにしてもよい。
【0018】
PLC部40は、CPU41およびRAM42を備えている。CPU41は、RAM42に格納されているシーケンス・ラダー・プログラムに従って所定の処理を実行する。具体的には、CPU41は、操作パネル10から出力された操作信号をI/Oボード30を介して入力し、入力した操作信号に基づいてCNC部50を制御する。
【0019】
例えば、操作パネル10の起動スイッチ12が押されると、PLC部40は、操作パネル10からI/Oボード30を介して入力される操作信号に応じて、NC装置の運転を起動させるための起動指令をCNC部50に出力する。また、停止スイッチ13が押されると、PLC部40は、操作パネル10からI/Oボード30を介して入力される操作信号に応じて、NC装置の運転を停止させるための停止指令をCNC部50に出力する。
【0020】
また、モード選択スイッチ11の操作により自動運転モード、1ブロック停止モード、手動パルスモードの何れかが選択されると、PLC部40は、操作パネル10からI/Oボード30を介して入力される操作信号に応じて、選択された運転モードに設定するためのモード設定指令をCNC部50に出力する。また、対象選択スイッチ15が操作されると、PLC部40は、操作パネル10からI/Oボード30を介して入力される操作信号に応じて、移動対象とする主軸や刃物台を選択するための対象選択指令をCNC部50に出力する。さらに、倍率選択スイッチ16が操作されると、PLC部40は、操作パネル10からI/Oボード30を介して入力される操作信号に応じて、倍率を選択するための倍率選択指令をCNC部50に出力する。
【0021】
PLC部40は、本発明の制御装置に相当し、手動パルスモードおよび1ブロック停止モードの両方が選択された場合の動作を制御する。具体的には、PLC部40は、手動パルスモードおよび1ブロック停止モードの選択中に、NCプログラムがブロック終了位置で停止したことを検出した後に、手動パルス発生器20のハンドル14の回転停止および当該回転停止後の回転開始を検出したときに、CNC部50に再起動指令を出力することにより、NCプログラムの次のブロックの実行を自動的に開始するように制御する。なお、この制御内容の詳細については、図2を用いて後述する。
【0022】
CNC部50は、CPU51、ROM52およびRAM53を備えている。CPU51は、ROM52およびRAM53に格納されている各種プログラムに従って所定の処理を実行する。RAM53は、NCプログラムを記憶している。NCプログラムは、可動部70の主軸や刃物台等の移動指令を表すGコード、使用する工具の呼出指令を表すTコード、補助機能指令を表すMコードなどのコード体系を持つプログラムである。
【0023】
CPU51は、RAM53からNCプログラムを1ブロック(行)ずつ読み込んでその指令(NCコード)を解釈し、指令の実行に必要なデータを参照しながら、複数の指令を順次実行していくことにより、駆動制御装置60を制御する。駆動制御装置60は、CNC部50から与えられる動作指令に従って、可動部70における主軸および刃物台の駆動を制御する。
【0024】
具体的に、CNC部50は、PLC部40から入力されるモード設定指令によって自動運転モードが設定されている場合、PLC部40から入力される起動指令に応じてNCプログラムの実行を開始し、RAM53からNCプログラムのコードを1ブロックずつ読み込みながら、複数の指令を順次実行していく。このような自動運転中にPLC部40から停止指令が入力されると、CNC部50は、NCプログラムの実行を停止する。
【0025】
また、CNC部50は、PLC部40から入力されるモード設定指令によって手動パルスモードが設定されている場合、手動パルス発生器20からI/Oボード30を介して入力されるパルス信号に従って、NCプログラムを順行または逆行させながら複数の指令を順次実行していく。
【0026】
また、CNC部50は、PLC部40から入力されるモード設定指令によって1ブロック停止モードが設定されている場合、PLC部40から入力される起動指令に応じてNCプログラムの実行を開始し、NCプログラムを1ブロック実行したところで動作を自動停止する。CNC部50は、1ブロック停止モードの選択時にNCプログラムがブロック終了位置で停止すると、その旨を表すブロック停止信号をPLC部40に出力する。
【0027】
また、CNC部50は、手動パルスモードおよび1ブロック停止モードの両方が設定されている場合、手動パルス発生器20からI/Oボード30を介して入力されるパルス信号に従って、NCプログラムを順行または逆行させながら複数の指令を順次実行していく。そして、NCプログラムがブロック終了位置に達したところで動作を自動停止する。このときCNC部50は、ブロック停止信号をPLC部40に出力する。また、CNC部50は、ブロック停止信号を出力した後にPLC部40から再起動指令が入力されると、自動停止したブロックの次のブロックからNCプログラムの実行を自動再開する。
【0028】
なお、CNC部50は、自動運転モードで自動運転しているとき、および手動パルスモードで手動運転しているとき(実際にハンドル14を回しているかどうかは問わない)は、RAM53に保持している運転中フラグをオンにセットする。一方、自動運転モードでNCプログラムの実行を停止しているとき、および1ブロック停止モードでNCプログラムがブロック終了位置で停止しているときは、RAM53に保持している運転中フラグをオフにセットする。
【0029】
図2は、本実施形態によるPLC部40の主要な機能構成例を示す図である。図2に示すように、本実施形態のPLC部40は、RAM42に格納されたシーケンス・ラダー・プログラムに従ってCPU41により実現される機能構成として、ブロック停止検出部101、回転検出部102および制御部103を備えている。
【0030】
ブロック停止検出部101は、手動パルスモードおよび1ブロック停止モードの両方を選択中に、NCプログラムがブロック終了位置で停止したことを検出する。具体的には、ブロック停止検出部101は、CNC部50からブロック停止信号を入力したときに、NCプログラムがブロック終了位置で停止したと判断する。なお、ブロック停止信号の入力があったかどうかを監視する代わりに、1ブロック停止モードの選択中にCNC部50のRAM53に保持されている運転中フラグがオフになったか否かを監視することによって、NCプログラムがブロック終了位置で停止したことを検出するようにしてもよい。
【0031】
回転検出部102は、ブロック停止検出部101によりNCプログラムのブロック終了位置での停止が検出された後、手動パルス発生器20のハンドル14の回転停止および当該回転停止後の回転開始を検出する。具体的には、回転検出部102は、手動パルス発生器20からI/Oボード30を介して入力されるパルス信号がなくなったとき(例えば、500msecの間に次のパルス信号が入力されないとき)に、ハンドル14の回転が停止したと判断する。また、回転検出部102は、手動パルス発生器20からI/Oボード30を介してパルス信号の入力が再開されたときに、ハンドル14の回転が再開したと判断する。
【0032】
制御部103は、ブロック停止検出部101によりNCプログラムのブロック終了位置での停止が検出され、かつ、回転検出部102によりハンドル14の回転停止およびその後の回転開始が検出された場合に、NCプログラムの次のブロックの実行を開始するように制御する。具体的には、制御部103は、CNC部50に再起動指令を出力することにより、NCプログラムの次のブロックの実行を自動的に開始するように制御する。
【0033】
図3は、図2に示したPLC部40の各機能ブロック101〜103による動作例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、手動パルスモードおよび1ブロック停止モードの両方が選択されてNC装置の運転が行われたときにスタートする。まず、ブロック停止検出部101は、NCプログラムがブロック終了位置で停止したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、NCプログラムがブロック終了位置で停止していないと判断した場合、ブロック停止検出部101はステップS1の判定を継続して行う。
【0034】
一方、NCプログラムがブロック終了位置で停止したとブロック停止検出部101にて判断した場合、次に回転検出部102は、手動パルス発生器20のハンドル14の回転が停止したか否かを判定する(ステップS2)。ここで、ハンドル14の回転が停止していないと判断した場合、回転検出部102はステップS2の判定を継続して行う。
【0035】
一方、ハンドル14の回転が停止したと判断した場合、次に回転検出部102は、ハンドル14の回転が開始されたか否かを判定する(ステップS3)。ここで、ハンドル14の回転が開始されていないと判断した場合、回転検出部102はステップS3の判定を継続して行う。一方、ハンドル14の回転が開始されたと回転検出部102にて判断した場合、次に制御部103は、再起動指令をPLC部40に出力することにより、NCプログラムの次のブロックの実行を開始するように制御する(ステップS4)。
【0036】
図4は、本実施形態による工作機械100の動作例をタイミングチャートである。図4において、(a)は手動パルス発生器20から出力されるパルス信号を示し、ハンドル14を回転させているときだけパルス信号が出力される様子が示されている。(b)はNCプログラムの各ブロックを示し、ブロックAとブロックBは連続する2つのブロックであるものとする。(c)は1ブロック停止モードの設定状態を示し、1ブロック停止モードが設定されているときはオン、設定されていないときはオフである。(d)は運転中フラグを示し、NCプログラムを実行中のときはオン、停止中のときはオフである。
【0037】
図4に示す例は、手動パルスモードを選択して手動パルス発生器20のハンドル14を回転させることにより、NCプログラムのブロックAを実行している途中のタイミングTで、1ブロック停止モードを更に設定した状態を示している。このとき、運転中フラグはオンとなっている。ハンドル14を更に回転し続けると、手動パルス発生器20から出力されるパルス信号に応じてNCプログラムが継続して実行される。そして、ブロックAの終了位置に達したタイミングTでNCプログラムが自動的に停止し、RAM53の運転中フラグがオフとなる。
【0038】
その後、任意のタイミングTでハンドル14の回転を停止させ、その後の任意のタイミングTでハンドル14の回転を再開すると、PLC部40からCNC部50に出力される再起動信号に応じて、ブロックAの次のブロックBからNCプログラムが自動的に実行される。このとき、RAM53の運転中フラグは再びオンとなる。
【0039】
なお、以上の動作は、ブロックAの終了位置でNCプログラムが自動停止した後、ハンドル14をそれまでと同じ方向に正転させる場合を想定している。この場合は、上述のようにブロックBの先頭からNCプログラムが順方向に実行される。これとは逆に、ブロックAの終了位置でNCプログラムが自動停止した後、ハンドル14を逆転させると、NCプログラムはブロックAの終了位置から逆方向に実行される。
【0040】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、手動パルスモードおよび1ブロック停止モードを選択してNC装置を運転している際、NCプログラムがブロック終了位置で停止した後に、手動パルス発生器20のハンドル14の回転が再開されたときに、そのハンドル14の回転の再開に同期してNCプログラムの実行を自動的に開始するようにしている。
【0041】
このように構成した本実施形態によれば、NCプログラムがブロック終了位置で停止した後でも、ハンドル14の回転開始に連動してNCプログラムの動作を自動的に再開させることができる。そのため、オペレータは、手動パルスモードと1ブロック停止モードとの両方を選択してNC装置を運転する場合に、手動パルス発生器20のハンドル14を回転させるという1つの操作を行うだけで、NC装置の動作を再開させることができる。これにより、運転再開のための操作性を向上させ、段取りの作業効率を上げることができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、ブロック停止検出部101、回転検出部102および制御部103の機能をPLC部40が備える例について説明したが、これらをCNC部50が備えるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、モード選択スイッチ11により手動パルスモードを選択する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、自動運転の停止中に手動パルス発生器20のハンドル14を回転させたら、自動的に手動パルスモードとなるようにしてもよい。
【0044】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 操作パネル
14 ハンドル
20 手動パルス発生器
40 PLC部
50 CNC部
101 ブロック停止検出部
102 回転検出部
103 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル操作に応じて手動パルス発生器により発生されたパルス信号に基づいてNCプログラムを実行する手動パルスモードおよび上記NCプログラムを1ブロック実行して停止する1ブロック停止モードにより動作を制御する機能を備えた工作機械の制御装置あって、
上記手動パルスモードおよび上記1ブロック停止モードの選択中に、上記NCプログラムがブロック終了位置で停止したことを検出するブロック停止検出部と、
上記ブロック停止検出部により上記NCプログラムの停止が検出された後、上記手動パルス発生器のハンドルの回転停止および当該回転停止後の回転開始を検出する回転検出部と、
上記回転検出部により上記ハンドルの回転停止および回転開始が検出された場合に、上記手動パルスモードおよび上記1ブロック停止モードにより上記NCプログラムの次のブロックの実行を開始するように制御する制御部とを備えたことを特徴とする工作機械の制御装置。
【請求項2】
ハンドル操作に応じて手動パルス発生器により発生されたパルス信号に基づいてNCプログラムを実行する手動パルスモードおよび上記NCプログラムを1ブロック実行して停止する1ブロック停止モードの選択中における工作機械の運転制御方法であって、
上記NCプログラムがブロック終了位置で停止したか否かを判定する第1のステップと、
上記NCプログラムが上記ブロック終了位置で停止したと判断した後、上記手動パルス発生器のハンドルの回転が停止されたか否かを判定する第2のステップと、
上記ハンドルの回転が停止されたと判断した後、上記ハンドルの回転が開始されたか否かを判定する第3のステップと、
上記ハンドルの回転が開始されたと判断した場合に、上記NCプログラムの次のブロックの実行を開始するように制御する第4のステップとを有することを特徴とする工作機械の運転制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−175316(P2011−175316A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36854(P2010−36854)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000107642)スター精密株式会社 (253)
【Fターム(参考)】