説明

工具状態監視システム

本発明は、少なくとも1個の幾何学的に定義されたブレードとともに作動中に回転する工具要素2、具体的には、材料切削工具要素2を備える工具1に関する。上述工具要素2は作動状態で作動パラメータの影響を受けやすい。測定装置3は、作動パラメータの測定及び作動パラメータの測定信号への変換のために備えられる。第1の測定装置3、31は、本質的に第1の工具要素2、21に対する第1の作動パラメータだけが第1の測定装置3、31によって記録されることができるように作動状態で第1の工具要素2、21と協働する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具要素、具体的には、独立請求項1の前提部による材料切削工具要素を備える工具に関する。具体的には、本発明はブレードの力測定装置を1個だけ備えるブレード前部切削ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、複数の材料切削工具が知られ、これら材料切削工具を用いて様々な材料が加工される。例えば、前記工具は、例えば回転旋盤で使用するためのドリル、刃物、プレーナ又は全ての種類の工具などの切削工具である。さらに、岩、金属、ガラス、プラスチック、複合材料又はとりわけ他の材料など特定の材料を破砕し又は粉砕するための工具が、本出願における工具を意味している。前記工具は、石油又は天然ガスを掘削するための掘削装置、或いは、例えばトンネル掘削用工具など非常に大きな工具である場合があり、これら工具は岩を処理するために主に用いられる。他方では、本発明が、上述のように回転旋盤、又は別の工作機械で使用するための、例えばパワードリルで使用する小さい工具、例えば刃物又は切削ヘッドにも関することが理解されよう。
【0003】
作動状態では、これら全ての工具は、工具の作動状態に影響を与える可能性がある1つ又は複数の作動パラメータの影響を受け、その結果、これら作動パラメータは、常に監視される必要があり、工具の制御及び/又は調整の際に用いられる場合がある。すなわち、工具は、例えば力、機械的圧力、温度、並びに工具及びその構成要素の1つの状態又は磨耗状態である上述の作動パラメータ又は作動範囲を考慮に入れて作動状態において調整されることができる。例えば作動パラメータの温度が切削ヘッドで高すぎるか又は低すぎる値に達した場合、切削ヘッドの作動パラメータ、例えば切削ヘッドの回転速度パラメータ又は送りパラメータは、加工物を切削するとき所定の目標温度がリセットされるようになされることができる。材料を切削し、穿孔し、又は破砕するとき、別の重要な作動パラメータは、例えば、工具に、具体的には、作動中に工具の材料切削要素に作用するそれぞれの力又は力の流れ並びに機械的圧力である。トンネル掘削機械或いは石油又はガスなど天然資源のために掘削する掘削機械の或いは地質調査用の掘削機械上のドリル・ヘッドに関しては、典型的には、ドリル・ヘッドとして形成された工具の上に大抵はブレードのようないくつかの材料切削要素、破砕又は研磨用の要素及び同様の要素が備えられる。これら要素のそれぞれが同じ作動パラメータの相異なる値に同時にさらされる場合があり、これにより作動状態で工具の制御及び/又は調整の修正が非常に困難になる。したがって、例えばいくつかのブレードを有する切削工具では、1個のブレードが、同じ切削工具の別のブレードが決定的ではない所定の作動パラメータの影響を受けている間に、非常に大きな負荷、例えば高作動圧力、高切削抵抗又は高温度をかけられることがある。これまでは、いずれの場合にもそれぞれの作動パラメータの平均値だけが測定可能であり、これが例えば同じ切削ヘッドに取り付けられた全てのブレードの作動パラメータの合計又は平均値として工具の相異なる工具要素の全ての個別の作動パラメータに起因するので、実質的には、これら工具の作動状態は、各項について独立した方法ではそれぞれ認識も制御も不可能である。この結果は、従来技術で知られる工具が最適に制御可能及び/又は調整可能ではないということであり、これにより、劣悪な作業結果をもたらすことがあり、例えば製造物の品質の欠如又は最悪の場合には工具及びそれに取り付けられる機械要素の欠陥又は損傷をもたらす可能性がある。
【0004】
以下では、概ね上述の問題を、図解によって従来技術で知られるブレード前部切削ヘッドの実施例を参照しさらに詳細に考察する。
【0005】
以下では、当技術分野で知られる複数のブレード切削工具をより詳細に考察する。この回転式切削ブレード工具に作用するプロセスの力及びモーメントを測定するためには、例えばチェコスロバキア特許第000000268555号又はブルガリア特許第000000027981号でかなり前から知られているような切削抵抗動力計が用いられる。穿孔プロセス及び切削プロセスに関しては、4成分切削抵抗動力計が専用のよく知られる切削工具とともに用いられる。例えば、キスラー(Kistler)社によって開発されたRCD9124Bにより、空間的な切削抵抗ベクトル及びZ軸周りのモーメントの検出が可能になる。この動力計は、高予荷重の下でベース・プレート及びカバー・プレートの間に挿入される4成分検出器からなる。電荷増幅のためには、それぞれの成分に対して、2レンジのミニチュア電荷増幅器が用いられる。その出力電圧は、デジタル化され、遠隔測定でステータに伝達される。給電はまた非接触方式で行われる。切削抵抗動力計は、極めて簡単にSK又はHSKアダプタを有する通例の全ての機械の主軸の中に一体化されることができる。プロセスの監視及び分析との関連したRCDの様々な用途の選択肢にもかかわらず、これらシステムにはそれらの概念的デザインにより特定の不利益がある。測定結果は、全ての係合されるブレードの合計信号を提供するだけである。この場合、合計信号の変動に対する個別のブレードでの力の明らかな変化であってもわずかであるので、分解能はブレードの数が増加するにつれて減少する。RCDでは、単一ブレードを監視することが、1個のブレード以外の全てを除去することによってのみ可能である。この拘束条件に加えて、合計信号はまた、互いに対するブレードの幾何学的関係によって決まり、これにより複雑な処理機能に極めて動的な信号部分をもたらす。これら信号の評価及び解釈は、信号形状の多さ及びばらつきにより極めて要求が厳しい。工具の主軸システムの振動の同時重ね合せに加えて、合計信号からの力の成分の分離及びその個別のブレードへの割当ては、解決が困難であるものであることが分かるであろう。個別の場合では、それらの困難さは、信号がまともに評価可能かどうかに関わる問題である。さらに、合計信号の中の一定の成分は、より長い切削持続期間で信号ドリフトの影響を受けやすい。これは、一定の力が加えられるにもかかわらず、ドリフトが信号を減少させ、したがって測定誤差が時間とともに常に増加することを意味する。
【0006】
データ通信では、ステータの外部の付属装置が、必ずしもとは限らないが、主軸にあるロータの付近に必要であることが好ましい。ステータが主軸のヘッド側に取り付けられる必要があるので、ことによると接近可能性を制限するために再構成が必要である。この種の動力計は、工具の重量に加えてその無視できない約7.5kgの重量により、工具の主軸ユニットの弾力性の動作に著しく影響を及ぼし、その固有振動数を約300Hzに大きく低下させる。共振周波数の付近で刺激すると、振動形状が起こることがあり、これによりどのような信号の解釈ももはや不可能になる。
【0007】
さらに、このパルス型刺激は、ブレード係合の影響力だけ係合関連の信号形状とごく些細に異なり、具体的には、それによって自動式処理が非常に困難であることが分かる。固有振動数の減少に加えて、検出器の上流側に配置される大きな質量は、力の測定への加速の影響を増大させる。したがって、測定信号は、もはや増加された刺激周波数では処理に全く反映されないが、上流側に配置された質量の振動の動作に大きく影響される。
【0008】
上述の切断抵抗動力計の代替として、加工力の測定のために、力検出器が、従来技術でやはり知られるように任意選択で主軸ユニットの中に一体化されることができる。機関の主軸へ適用するためには、例えば複数の分力測定リングが主軸アダプタ又は主軸軸受の中にそれぞれ用いられる。しかしながら、この場合は検出器の上流側に配置された質量がRCDを備える質量より明らかに大きく、測定が切削位置からさらに離れて行われるという重大な不利点を有する。切削抵抗動力計に関して述べた検出器を用いた場合の質量に関する不足の問題が更に生じ、さらに外乱要素が信号入力に影響を及ぼし、その結果、測定結果は、対応する不確かさが増加された状態で対象のプロセスを説明する。
【0009】
別の配置が米国特許第4559600号で記載されている。この特許文書の中では、ブレードが検出器の上流側に配置されているので、1個の合計信号だけが測定される。さらに、検出器の上流側に配置された質量は非常に大きく、その結果、システムは低固定周波数を示し、それによって高速のプロセスは検査されることができない。
【0010】
同一の困難さは米国特許第6257953号に当てはまる。検出器の上流側に配置された質量の大きな慣性は低固定周波数をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、工具要素、例えば工具のブレードに影響を与える、例えば力、圧力又は温度など作動パラメータの検出を、より高い信頼性及びより簡単な方法で決定することができる工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
作動中、この工具はまた、回転運動をすることができ、少なくとも1個の幾何学的に画定されるブレードを呈すべきである。
【0013】
この目的は、独立請求項1の特徴によって解決される。
【0014】
したがって、本発明は、作動中に回転する工具要素を備える工具に関し、具体的には、少なくとも1個の幾何学的に定義されたブレードを有する材料切削工具要素に関する。前記工具要素は作動状態で作動パラメータの影響を受ける。さらに、測定装置が作動パラメータの測定及び作動パラメータの測定信号への変換のために備えられる。したがって、第1の測定装置が、本質的に第1の工具要素に対する第1の作動パラメータだけを検出することができるように、作動状態の第1の工具要素と協働する。
【0015】
したがって、各個別の工具要素が作動パラメータを測定するために測定装置に結合され、その結果、測定装置が単一の割り当てられた工具要素に個別に結合された状態で該工具要素の作動パラメータだけを検出可能であることが本発明の本質である。例えば、1個の工具にいくつかの工具要素が備えられている場合、例えば4個の単一ブレードを有するブレード前部切削ヘッドの中のように、適切な作動パラメータ、例えば切削抵抗の作用は、4個の単一ブレードのそれぞれに対して高い信頼性で別々に測定されることができる。すなわち、作動状態で生じる全ての部分的な作業パラメータの合計又は平均値として、例えば特定の工具要素の特定の測定装置又は工具それ自体で全ての作用する力、圧力などの合計として結果として生ずる作動パラメータの特定の「暗騒音」以外の作動パラメータは、本発明による工具の中の各個別の工具要素に対して完全に具体的に測定され、解析される。合計信号又は信号の平均値として上記した「暗騒音」は通常、特定の工具要素の作動パラメータの実際の測定信号に対して小さいか、或いは対応する工具要素又は工具に対して特有なので、公知の評価手順で、各工具要素の測定対象としての作動パラメータの実際の信号から確実に分離されることができる。
【0016】
工具の工具要素が、切削工具要素、具体的には、加工物及び/又は材料を切削するための切削プレート及び/又は切削要素及び/又はドリル・ヘッドであることが好ましい。
【0017】
この点において、具体的に実施に適する一実施例での工具は、少なくとも2個、具体的には、4個又は6個の別々の工具要素を備え、別々の工具要素のそれぞれに対して別個に結合される測定装置が備えられる。
【0018】
そして、測定装置が圧力検出器及び/又は力検出器、具体的には、圧電及び/又は圧電抵抗圧力検出器並びに/或いは力検出器、具体的には、スリム・ライン(Slim Line)検出器であり、並びに/或いは測定装置が温度検出器、具体的には、圧電応答温度検出器及び/又は抵抗式温度検出器及び/又は熱電対であることが好ましい。
【0019】
具体的には、測定装置はまた、工具の状態を監視し、具体的には、例えば工具及び/又は工具要素の磨耗状態を検出することができるように工具要素の状態を監視するための測定装置であってもよい。工具、工具要素又はそれぞれの用途に応じて、例えば加工されるべき材料に応じて、これは、例えば電気抵抗、光学的又は音響的パラメータ、例えば工具要素及び/又は工具の共振特性の測定のための測定装置であっても、或いは工具要素又は工具のそれぞれの状態又は磨耗状態のそれぞれを測定及び/又は監視するのに適した別の特性パラメータの測定のための測定装置であってもよい。
【0020】
工具要素と測定装置の間の作動パラメータの伝達を最適化するためには、具体的には、連結要素が備えられることができる。
【0021】
用途又は工具に応じて、適切な作動パラメータは、力及び/又は圧力並びに/或いは力の流れであることができる。これらパラメータは、該作動パラメータが工具のベース・ボディによって受け入れられることができるように、工具要素、具体的には、切削プレートから中間円板として形成される連結要素を介して測定装置に伝達されることができる。
【0022】
測定信号の分析ユニットへの伝達のためには、信号伝達手段、具体的には、信号増幅器を有する信号伝達手段が工具に備えられることができ、それによって信号伝達手段は、光学的、音響的、機械的又は電磁的信号伝達手段であり、好ましくは多チャネル遠隔測定であり、具体的には、4チャネル遠隔測定であり、すなわち、それは多チャネル又は4チャネルの無線通信手段であり、具体的には、測定信号を伝達するためにアンテナ・リングが備えられる。しかしながら、信号通信が別の方法、例えば音響的に、具体的には、超音波、光学的方法、或いは機械的に、例えば集電リング配置を用いて行われ得ることが理解されよう。
【0023】
この場合には、具体的には、工具は、切削工具、特にドリル及び/又は切削工具、具体的には、圧電及び/又は圧電応答型のブレードの力測定装置を1個だけ備えるブレード前部切削ヘッド、或いは岩及び/又は金属及び/又は木材及び/又は別の材料を切削又は粉砕するためのハンマ及び/又はドリル及び/又はブレードである。
【0024】
具体的には、本発明による工具を備え、1つ又は複数の制御軸又は調整軸を有する、工作機械が特許請求されている。
【0025】
実施に具体的に重要な本発明による工具の一実施例は、ブレードの力測定装置を1個だけ備えるブレード前部切削ヘッドである。例えば、この切削ヘッドは4個又は6個のブレードを備えることができ、各ブレードにいわゆるスリム・ライン検出器が取り付けられる。具体的には、スリム・ライン検出器は小型の円板状の検出器であり、この検出器の機能は圧電及び/又は圧電応答効果を用いてする。圧電方法で引き起こされる電荷シフトを増幅するためには、4個又は6個の信号測定増幅器、具体的には、4個又は6個の独立した電荷測定増幅器をブレード・ヘッドの中に一体化することができる。信号の伝達、具体的には、回転式工具からの力の信号が、所定の伝送速度、例えばチャネル当りXの伝送速度で多チャネル遠隔測定によって行われ、その結果、プロセスの動的特性が、例えば特定の周波数以下、すなわち約YHz以下の周波数に分解されることができ、ここでX及びYは、特定の場合のデータ伝送速度及び/又は信号伝達の分解能を示す数値である。
【0026】
上述の本発明によるブレード前部切削ヘッドを有するブレード・ヘッドでの1個だけのブレードの力の測定は、本明細書の冒頭部に明記したRCDの不利点に対して多数の利点を示す。具体的には、検出器は、切削抵抗の全ての成分、すなわち個別の工具ブレードの切削抵抗の水平方向力の成分及び/又は法線方向の力の成分を明らかにすることができる。各ブレードは個別の力の信号に確実に割り当てられ、その結果、情報は複雑な合計信号の形では供給されない。したがって、合計信号から個々の信号部分を確認するために無視できない努力を回避することができ、又は工具要素の個々の特定の信号部分の信頼性の高い評価が、具体的には、従来技術において知られる工具の信号分解能の貧弱さが、特に経験不足の利用者に対して誤って解釈される高い危険性があったが、本発明によって、確実に実現可能となった。可能な信号形状の数を低減することは重要なことであり、この低減により、具体的には、静的力の信号に加えて工具主軸システムの必然的な信号の動的特性が生じる場合に、信頼性の高い方法で複雑な信号の基本的評価が初めて可能になる。
【0027】
以下で、本発明を、図を参照して詳細に説明する。そこには概略図が示されている。
【実施例】
【0028】
図1は、ブレードの力測定装置を1個だけ備えるブレード前部切削ヘッドの形で本発明による工具を概略的に示し、この工具を以下で参照符号1によって全て示す。
【0029】
作動中回転するブレード前部切削ヘッド1を作動状態で図1に概略的に示しており、該ブレード前部切削ヘッドは、加工物Wの表面で所与の厚さの材料を切削することによって加工物Wの表面を加工する。図1の具体的な実施例では、4個の工具要素2、21、22、23、24が、4個の幾何学的に定義された切削プレート2、21、22、23、24の形でブレード前部切削ヘッド1に備えられる。これら切削プレートは切削によって、その表面で加工物Wを加工する。4個の切削プレート2、21、22、23、24のそれぞれは、割り当てられた測定装置3、31、32、33、34のそれぞれに中間円板4として形成された連結要素4を介して連結され、これら測定装置3、31、32、33、34によって切削プレート2、21、22、23、24の作動パラメータをそれぞれ別々に検出することができる。これは、各切削プレート2、21、22、23、24の後ろにそれぞれ1個の測定装置3、31、32、33、34、具体的には、それぞれ1個のスリム・ライン検出器3、31、32、33、34が存在していることを意味する。プロセス中のブレード荷重が検出器3、31、32、33、34の位置で端部荷重を増加させるので、中間円板4は検出器要素の上で力の二方向に分散する機能を果たす。
【0030】
図1の本実施例では、作動パラメータは、例えば切削抵抗であり、測定装置3、31、32、33、34は圧電及び/又は圧電応答型検出器であり、これら測定装置を用いて、切削プレート2、21、22、23、24のうち1個に加わる切削抵抗は、それぞれ独立した方法によって切削プレート2、21、22、23、24のそれぞれに対して選択的に測定可能である。測定装置3、31、32、33、34は、本実施例では明確に示さない信号増幅器を有する信号伝達手段5に信号接続される。具体的な実施例では、測定装置3、31、32、33、34の中の圧電方法で引き起こされる様々な電荷シフトが、電荷測定増幅器によって、例えば電圧信号に変換され、増幅される。信号伝達手段5はアンテナ・リング51にさらに信号接続される。このアンテナ・リング51を用いて、測定装置3、31、32、33、34の測定信号は、電磁信号の形で分析ユニット6に伝達されることができる。図1で示す実施例では、測定信号は、回転式工具1からアンテナ・リング51経由で4チャネル遠隔測定を用いて信号処理の静的な非回転部に伝達される。やはり、分析ユニット6自体は、切削プレート2、21、22、23、24のそれぞれに対して測定装置3、31、32、33、34で別々に測定される作動パラメータが作動状態の工具1を監視及び/又は制御及び/又は調整するために用いられることができるように図1に示さない工具のための制御及び/又は調整装置に信号接続されている。
【0031】
信号伝達手段5と一体化及び/又は信号接続される電荷測定増幅器と遠隔測定の回転部には、エネルギーが供給される。この目的のためには、例えば電池が工具1の回転部の中に備えられることができ、特定の時間、例えば約半時間の耐用寿命に十分な容量を作動中供給する。もちろん、工具1の回転部の給電はまた、例えば工具1の非回転部又は結合される工作機械の中の外部エネルギー源によって摺動接触を用いて別の方法、又は別の適した方法で実施されることができる。
【0032】
本発明が一例として上で示した実施例に限定されないことは理解されよう。一方、本発明の本質は、各工具要素に対する特定の作動パラメータの影響を別々に検出することができることと、さらなる使用のために評価することができることであることが分かるであろう。特に、本発明はまた、限定されることなく、この用途で説明された実施例の全ての適した組合せに関する。
【0033】
要約すれば、本発明の特別な利点は、ブレードの力測定装置を一個だけ備えるブレード前部切削ヘッドの実施、具体的には、作動状態におけるブレード前部切削ヘッドの半径方向及び/又は軸方向及び/又は水平方向及び/又は法線方向の切削抵抗の成分を測定するために特に重要な実施例に言及して例示的に説明することができる。4個のブレードのブレード前部切削ヘッドの個々のブレードのそれぞれには、スリム・ライン検出器が工具ベースの中に一体化される。スリム・ライン検出器は圧電効果に基づく高剛性の円板状の小型検出器であり、その結果、発生する力が実質的に伝達経路なしで測定される。この検出器は力の伝達方向から見て中間円板の次に配置され、この中間円板は二方向に発生する、プロセスに関連する端部荷重を分散する。これら検出器は工具ベースの上に直接取り付けられる。圧電電荷シフトを増幅するためには、4個の独立した2レンジのミニチュア電荷測定増幅器がブレード前部切削ヘッドの中に一体化されることが好ましい。4つの力の信号は、周波数変調を用いて4個のチャネルを経由して遠隔制御測定(telemetrically)により伝達される。この遠隔制御測定はチャネル当りXkHzの伝送速度を処理し、その結果、信号の最大分解能がX/2kHzに制限される。この目的を達成するために、アンテナ・リングが好都合な信号伝達状態のために設けられる。例えば、電荷測定増幅器及び遠隔測定の回転部の給電は、中央に配置された電池によって行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による工具の概略図である。
【符号の説明】
【0035】
1 工具
2 工具要素
3 測定装置
4 連結要素
5 信号伝達装置
6 分析ユニット
11 基礎本体
21 第1の工具要素
22 工具要素
23 工具要素
24 工具要素
31 第1の測定装置
32 測定装置
33 測定装置
34 測定装置
51 アンテナ・リング
W 加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何学的に定義された少なくとも1個のブレードとともに作動中に回転する工具要素(2)、具体的には、材料切削工具要素(2)を備える工具であって、前記工具要素(2)が前記作動状態で作動パラメータの影響を受け、測定装置(3)が前記作動パラメータの測定及び前記作動パラメータの測定信号への変換のために備えられる工具において、
第1の測定装置(3、31)が、作動状態にある第1の工具要素(2、21)の本質的に第1の作動パラメータだけを該第1の測定装置(3、31)を用いて検出することができるように前記第1の工具要素(2、21)と協働することを特徴とする工具。
【請求項2】
前記工具要素(2)が、切削工具要素(2)、具体的には、加工物(W)を切削するための切削プレート及び/又は切削要素及び/又はドリル・ヘッドである、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記工具(1)が、少なくとも2個、具体的には、4個又は6個の別々の工具要素(2、21、22、23、24)を備え、前記別々の工具要素(2、21、22、23、24)のそれぞれに対して別個に結合される測定装置(3、31、32、33、34)が備えられる、請求項1又は2に記載の工具。
【請求項4】
前記測定装置(3)が、圧力検出器及び/又は力検出器、具体的には、圧電及び/又は圧電応答型圧力検出器並びに/或いは力検出器、具体的には、スリム・ライン検出器であり、並びに/或いは前記測定装置(3)が、温度検出器、具体的には、圧電応答型温度検出器及び/又は抵抗式温度検出器及び/又は熱電対である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の工具。
【請求項5】
前記測定装置(3)が、前記工具(1)の状態を監視するための、具体的には、前記工具要素(2)の状態を監視するための測定装置(3)である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の工具。
【請求項6】
前記工具要素(2)と前記測定装置(3)の間に連結要素(4)が前記作動パラメータの伝達のために備えられる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の工具。
【請求項7】
前記工具(1)の基礎本体(11)によって前記作動パラメータを受けることができるように、該パラメータが前記工具要素(2)、具体的には、中間円板として構成される前記連結要素(4)を特に経由して切削プレートから前記計測装置(3)に伝達される力及び/又は圧力及び/又は力の流れである、請求項1から6までのいずれか一項に記載の工具。
【請求項8】
信号伝達手段(5)、具体的には、信号増幅器を有する信号伝達手段(5)が、前記測定信号を分析ユニット(6)へ伝達するために前記工具(1)に備えられる、請求項1から7までのいずれか一項に記載の工具。
【請求項9】
前記信号伝達手段(5)が、光学的、音響的、機械的、又は電磁的信号伝達手段(5)、好ましくは多チャネル遠隔測定であり、具体的には、前記測定信号を伝達するためにアンテナ・リング(51)が設けられる、請求項1から8までのいずれか一項に記載の工具。
【請求項10】
前記工具が、切削工具(1)、具体的には、ドリル及び/又は切削工具、具体的には、圧電及び/又は圧電応答型のブレードの力測定装置を一個だけ備えるブレード前部切削ヘッド、或いは岩及び/又は金属及び/又は木材及び/又は別の材料を切削又は粉砕するためのハンマ及び/又はドリル及び/又はブレードである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の工具。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の工具を備え、1つ又は複数の制御軸又は調整軸を有する工作機械。

【図1】
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【公表番号】特表2009−505848(P2009−505848A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528315(P2008−528315)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000470
【国際公開番号】WO2007/025404
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(502281471)キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト (45)
【Fターム(参考)】