説明

工程用剥離シート及びその製造方法

【課題】高光沢を有し、美麗性に優れた合成皮革やマーキングフィルム等の製造工程で繰り返し使用される工程用剥離シート及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより形成された熱可塑性樹脂からなる剥離層を有する工程用剥離シートであって、支持体の両面の平滑度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法、王研式平滑度)が100秒以上であり、剥離層の光沢度(JIS Z8741、75度鏡面光沢度)が80%以上であることを特徴とする工程用剥離シートおよび支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより形成された熱可塑性樹脂からなる剥離層を有する工程用剥離シートの製造方法であって、押出コーティングに際し、支持体上に形成された剥離層面に最大表面粗さRt(JIS B0601)が0.250μm以下の面を有する剥離フィルムを密着させ、密着状態のまま冷却ロールで冷却することを特徴とする工程用剥離シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高光沢を有し、美麗性に優れた合成皮革やマーキングフィルム等の製造工程で繰り返し使用される工程用剥離シート及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成皮革やマーキングフィルムなどは一般に支持体の表面に離型性樹脂からなる剥離層を有する工程用剥離シートを使用してその工程用剥離シートの剥離層の上にウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂などの合成樹脂を主成分とする塗工液を塗布し乾燥した、後、必要に応じてその上に基布を接着剤を介して積層し、その後、工程用剥離シートを剥離・除去して製造されている。
このような合成皮革やマーキングフィルムなどの表面には、用途に応じて光沢・艶消または柄模様などの型付けが行われている。この型付けを行う具体的な方法として、たとえば、上記のような工程用剥離シートの基材シートに用いる表面に剥離層形成用の溶融樹脂を押出コーティングする際に、金属製の冷却ロールを押し付けて型付けされた剥離層を有する工程用剥離シートにより型付けを行う方法が採用されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、この方法に用いられる工程用剥離シートを製造する際に、製造途中に混入した異物などによって金属製の冷却ロールの表面に傷がつくことや溶融樹脂からロールの表面への移行転着物質により、連続して製造している途中からロールの表面に光沢ムラや凹凸ムラなどが発生し、製造された工程用剥離シートの品質が経時的に低下するという問題が生じている。このような問題を回避するために、特に、高光沢を有し、美麗性に優れた合成皮革やマーキングフィルム製造用の工程用剥離シートの製造には高い鏡面性を有する冷却ロールが要求されるが、この場合、冷却ロールの保守、補修、点検、交換には多大な時間と費用が費やされていた。
【0003】
【特許文献1】特許第2627821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況の下、本発明の課題は、高光沢を有し、美麗性に優れた合成皮革やマーキングフィルムの製造工程で繰り返し使用され、かつ、高光沢を付与し得る工程用剥離シートおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく種々の研究を重ねた結果、特定の両面平滑度を有する支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより熱可塑性樹脂からなる特定の鏡面光沢度をもつ剥離層が設けられた剥離シートにより、上記課題を達成できることを見出した。また、支持体に押出コーティングにより熱可塑性樹脂からなる剥離層を形成させるために冷却ロールで冷却する際、剥離層と冷却ロールとの間に剥離フィルムを介在させることにより、上記課題を達成できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、下記
(1)支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより形成された熱可塑性樹脂からなる剥離層を有する工程用剥離シートであって、支持体の両面の平滑度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法、王研式平滑度)が100秒以上であり、剥離層の光沢度(JIS Z8741、75度鏡面光沢度)が80%以上であることを特徴とする工程用剥離シート、
(2)熱可塑性樹脂が、α-オレフィンの単独重合体またはα-オレフィンと他の重合性単量体との共重合体である上記(1)に記載の工程用剥離シート、
(3)熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/またはペンテン系樹脂である上記(2)に記載の工程用剥離シート、
(4)支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより形成された熱可塑性樹脂からなる剥離層を有する工程用剥離シートの製造方法であって、押出コーティングに際し、支持体上に形成された剥離層面に最大表面粗さRt(JIS B0601)が0.250μm以下の面を有する剥離フィルムを密着させ、密着状態のまま冷却ロールで冷却することを特徴とする工程用剥離シートの製造方法、
(5)前記冷却ロールで冷却した後、剥離フィルムを剥離層から剥離し、工程用剥離シートを巻き取る上記(4)に記載の工程用剥離シートの製造方法、
(6)熱可塑性樹脂が、α-オレフィンの単独重合体またはα-オレフィンと他の重合性単量体との共重合体である上記(4)または(5)に記載の工程用剥離シートの製造方法、
(7)熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/またはペンテン系樹脂である上記(4)または(5)に記載の工程用剥離シートの製造方法、
(8)支持体の両面の平滑度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法、王研式平滑度)が100秒以上である上記(4)〜(7)のいずれかに記載の工程用剥離シートの製造方法、
(9)剥離層が光沢度(JIS Z8741、75度鏡面光沢度)80%以上を有する上記(4)〜(8)のいずれかに記載の工程用剥離シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高光沢を有し、美麗性に優れた合成皮革やマーキングフィルムなどの製造工程で繰り返し使用され、かつ、高光沢を付与し得る工程用剥離シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の工程用剥離シートにおいて使用される支持体は両面の平滑度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法、王研式平滑度)が100秒以上、好ましくは、200秒以上、さらに好ましくは、250秒以上である。このような平滑度を有する支持体は、通常、抄紙された原紙にカオリンや接着成分等を含む塗工液を塗布・乾燥した後、スーパーカレンダーによる平滑化処理をすることにより得られる。
支持体の表面(剥離層形成面)の平滑度を100秒以上に設定することにより、支持体上に押出コーティングされた熱可塑性樹脂からなる剥離層の厚さを薄くすることができ、薄くしても剥離層に凹みや空隙(ピンホール)および光沢ムラが生じるのを防ぐことができる。剥離層の厚さを薄くすることにより、合成皮革等樹脂膜を製造する際、機械適正を良好に保つことができ、かつ、工程用剥離シートを運搬・保管するためのロール巻き取りが容易であり、工程用剥離シートのロール替えの頻度も上がらず、生産性を高く保つことができる。
また、支持体の裏面(剥離層非形成面)の平滑度を100秒以上に設定することにより、工程用剥離シートをロール状で保管した場合、支持体の裏面と剥離層が接している状態になっても、剥離層表面に支持体の裏面の形状が転写して剥離層の光沢度が低下することを防ぐことができる。
支持体の坪量は、30〜500g/m2程度であり、好ましくは、50〜300g/m2である。
支持体の坪量の範囲を上記のように設定することにより支持体の上に熱可塑性樹脂を押出コーティングする際、機械適正を良好に保つことができる。
【0009】
次に、押出コーティングにより剥離層を形成させるために使用する熱可塑性樹脂について説明する。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、下記のようなポリオレフィン系樹脂がある。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、2、2−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、2、2−ジメチル−1−ペンテン、3、3−ジメチル−1−ペンテン、2、3−ジメチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、2、2、3−トリメチル−1−ブテン、1−オクテン、2、2、4−トリメチル−1−オクテン等のα-オレフィンの単独重合体やこれらα-オレフィンと他の重合性単量体との共重合体が挙げられる。他の重合性単量体としては、例えば、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルケトン等のビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル等の不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の等の不飽和カルボン酸アミド等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。α-オレフィンと他の重合性単量体との共重合体の場合、前者がモル比で50%以上の共重合体、さらには75%以上の共重合体が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中で、剥離性や耐熱性および繰り返し使用における耐久性の観点からポリプロピレンを主とするポリプロピレン系樹脂及び/または4−メチル−1−ペンテンを主とするペンテン系樹脂が好ましい。
【0010】
上記剥離層の厚みは、10〜200μm程度、好ましくは、20〜100μm、さらに好ましくは、30〜80μmである。
本発明の工程用剥離シートの製造方法においては、前記熱可塑性樹脂からなる、剥離層の光沢度(JIS Z8741、75度鏡面光沢度)が80%以上であることを要する。この光沢度が80%未満であれば、高光沢を有し、美麗性に優れた合成皮革やマーキングフィルムなどを製造することができにくくなる。好ましい光沢度は90%以上である。
次に、本発明の工程用剥離シートの製造方法について説明する。
本発明の工程用剥離シートの製造方法においては、剥離層は支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより形成される。より詳しくは、通常使用されている共押出成形、シングル押出機によるタンデムまたはシングル押出機による押出コーティングが一般的である。
支持体としては、両面の平滑度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法、王研式平滑度)が100秒以上であるものが好ましい。
【0011】
次に、本発明で使用する剥離フィルムについて説明する。
本発明における剥離フィルムは最大表面粗さRt(JIS B0601)が0.250μm以下の面を有していることが必須である。T−ダイ方式やインフレーション方式などの方式で製造された、フィラーを含まないフィルムあるいは、フィラーを含まない層を表面に有するフィルムであって最大表面粗さRtが0.250μm以下のフィルムであれば、本発明において剥離フィルムとして使用できる。剥離フィルムの最大表面粗さRtは好ましくは、0.150μm以下である。
剥離フィルム用の樹脂としては、可とう性を有する樹脂であれば特に制限はないが、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン変性アルキド樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、フッ素樹脂などが好ましく用いられる。
中でも、価格や強度および耐熱性の観点からポリエチレンフタレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂を主体とするフィルムであることが好ましい。剥離フィルムは異なる2種類以上の上記樹脂材料からなるフィルムの積層体でも良いが、剥離層に対して鏡面の役割を果たす面、すなわち、剥離層に接触する面はポリエチレンフタレート樹脂やシリコーン変性アルキド樹脂であることが好ましい。さらに、フィラー含有フィルムをフィラーを含有しないフィルムと積層した多層フィルムを使用しても良いが、剥離層に接触する面は最大表面粗さを0.250μm以下にする必要があるためフィラーを含有しないフィルムにすることが肝要である。
剥離フィルムの厚みは、通常10〜200μm程度、好ましくは、10〜100μm、さらに好ましくは、20〜75μmである。厚みを10μm以上とすることにより、強度やラミネート時の機械的適性が確保され、200μm以下とすることにより、工程用剥離シートとともに巻き取っても運搬・保管が容易であり、工程用剥離シートのロール換えの頻度も上がらず、生産性を高く保つことができる。
【0012】
図1は、本発明の工程用剥離シートの製造方法の一実施態様を示す模式図である。図1に基づいて、本発明の工程用剥離シートの製造方法を説明する。
支持体繰り出しロール1から繰り出された支持体2は加圧ロール3の回転でT−ダイ4の下部に移送されるが、下部に到達する付近でコロナ放電処理およびオゾン処理されることが支持体と剥離層との密着性を向上させるという観点で好ましい。剥離層を形成させるための熱可塑性樹脂5はT−ダイ4から降下して支持体2とともに加圧ロール3と冷却ロール6にはさまれて支持体2に積層される。
一方、剥離フィルム7は剥離フィルム繰り出しロール8から繰り出された後、皺が生じないようにテンションロール9を経由して冷却ロール6に接触し、冷却ロール6の回転により移送され、剥離層および支持体とともに加圧ロール3と冷却ロール6にはさまれて剥離層上に積層される。なお、図1は、工程用剥離シートが剥離フィルムとともに工程用剥離シートを巻き取り用ロール10に巻き取られている状態を示しているが、剥離フィルムを剥離・除去した後に巻き取られても良い。なお、符号11はリリースロール、12はテンションロール、13は押出機バレルである。
【0013】
以上のようにして得られた工程用剥離シートの剥離層の光沢度(JIS Z8741、75度鏡面光沢度)は80%以上となる。
【実施例】
【0014】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0015】
実施例1
支持体[三菱製紙(株)製印画紙原紙、坪量:170g/m2、平滑度:表面側510秒、裏側420秒]の表面側に4−メチル−1−ペンテン系樹脂[商品名:DX820、三井化学(株)製]をT−ダイ押出機を用いて、押出成形の温度約300℃にて約50μmの厚さに押出して剥離層を形成させるとともに、その上に剥離フィルム[商品名:ポリエステルフィルムT−700、三菱化学ポリエステル(株)製、厚み38μm、構成:フィラー非含有ポリエステル樹脂層とフィラー含有ポリエステル樹脂層の二層構造品、フィラー非含有ポリエステル樹脂面の最大表面粗さRt:0.100μm]のフィラー非含有ポリエステル樹脂面側を剥離層に積層して加圧ロールと冷却ロールの間を通過させて工程用剥離シートを作製し、ロール状に巻き取った。なお、支持体と剥離層が接触する直前で支持体にコロナ放電処理およびオゾン処理をして両者の密着性を向上させるための処理を行ない、剥離フィルムは工程用剥離シートを巻き取る前に剥離層から剥離して除去した。
【0016】
実施例2
剥離フィルムを東レ(株)製ポリエステルフィルム[商品名:RC06、厚み:38μm、構成:フィラー非含有ポリエステル樹脂層とフィラー含有ポリエステル樹脂層の二層構造品、フィラー非含有ポリエステル樹脂面の最大表面粗さRt:0.070μm]に変更した以外は実施例1と同様に行い、工程用剥離シートを作製した。
【0017】
実施例3
支持体を三菱製紙(株)製印画紙原紙(坪量:100g/m2、平滑度:表面側320秒、裏側300秒)に剥離層をサンアロマー(株)製ポリプロピレン系樹脂(商品名:PH903A)に、剥離フィルムとしてリンテック(株)製剥離フィルム(商品名:PD386010、厚み:38μm、構成:フィラー非含有シリコーン変性アルキド樹脂層、フィラー非含有ポリエステル樹脂層およびフィラー含有ポリエステル樹脂層の三層構造品、シリコーン変性アルキド樹脂面の最大表面粗さRt:0.080μm)を用い、フィラー非含有シリコーン変性アルキド樹脂面をラミネートした以外は実施例1と同様に行い、工程用剥離シートを作製した。
【0018】
実施例1〜3において、冷却ロールは連続運転後でも表面は汚れておらず、剥離層の光沢度80%以上の工程用剥離シートを連続して作製することができた。
【0019】
比較例1
剥離フィルムとしてポリエステルフィルムT−100[三菱ポリエステル(株)製、厚み:38μm、構成:フィラー含有ポリエステル樹脂層のみの単層構造品、最大表面粗さRt:0.987μm]を使用した以外は実施例1と同様に行い、工程用剥離シートを作製した。
【0020】
比較例2
支持体として、上質紙(坪量:127.9g/m2、平滑度:表面側38秒、裏側32秒)を使用した以外は実施例1と同様に行い工程用剥離シートを作製した。
【0021】
比較例3
剥離フィルムとして、三菱ポリエステル(株)製ポリエステルフィルム(商品名:T−300、厚み38μm、構成:フィラー含有ポリエステル樹脂層のみの単層構造品、最大表面粗さRt:0.305μm)に変更した以外は実施例1と同様に行い、工程用剥離シートを作製した。
【0022】
比較例1〜3において、剥離層の光沢度80%以上の工程用剥離シートを作製することができなかった。
【0023】
<試験方法>
上記実施例および比較例で得られた各工程用剥離シートを用いて以下の試験を行い、得られた結果を表1に示した。
【0024】
<試験項目>
1.支持体の平滑度
JAPAN TAPPI紙パルプ試験法に準じて、王研式平滑度を測定した。
2.剥離フィルムの最大表面粗さRt
JIS B0601に準じて測定した。
3.工程用剥離シートの剥離層の光沢度
JIS Z8741に準じて、75度鏡面光沢度を測定した。
4. 合成皮革の作製とその鏡面性
各工程用剥離シートの剥離層上に、合成皮革の表皮層となるウレタン樹脂溶液[大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタン樹脂溶液「クリスボン7367SL」100質量部と同社製黒色着色剤15質量部の混合物] を乾燥後の厚みが30μmになるように塗布し、100℃で2分間加熱・乾燥してウレタン樹脂層を形成させた。上記クリスボン7367SL層を塗布後、接着層としてウレタン樹脂溶液[大日本インキ化学工業(株)製、ポリウレタン樹脂溶液「クリスボン4010」の100質量部と同社製有機ポリイソシアネート架橋剤である「クリスボンNX」の10質量部との混合物] を乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、直ちに、この接着層の上に起毛布を貼り合わせて、100℃、5分間加熱した後、室温で3日間熟成し、工程用剥離シートを剥離して合成皮革を作製した。得られた合成皮革の表皮層の鏡面性を目視観察して外観の良否を下記の基準で評価した。
○:表皮層面が平坦で光沢感にくもりや光沢ムラがなく、輝いているもの。
△:表皮層面に多少のくもり感や光沢ムラがあるもの。
×:表皮層面のくもり感が顕著なもの。
【0025】
【表1】

【0026】
表1から明らかなように、実施例で得られた本発明の工程用剥離シートはいずれの特性についても比較例で得られた工程用剥離シートにおけるそれと比べて優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の工程用剥離シートの製造方法の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0028】
1:支持体繰り出しロール
2:支持体
3:加圧ロール
4:T−ダイ
5:熱可塑性樹脂
6:冷却ロール
7:剥離フィルム
8:剥離フィルム繰り出しロール
9:テンションロール
10:巻き取り用ロール
11:リリースロール
12:テンションロール
13:押出機バレル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより形成された熱可塑性樹脂からなる剥離層を有する工程用剥離シートであって、支持体の両面の平滑度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法、王研式平滑度)が100秒以上であり、剥離層の光沢度(JIS Z8741、75度鏡面光沢度)が80%以上であることを特徴とする工程用剥離シート。
【請求項2】
熱可塑性樹脂が、α-オレフィンの単独重合体またはα-オレフィンと他の重合性単量体との共重合体である請求項1に記載の工程用剥離シート。
【請求項3】
熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/またはペンテン系樹脂である請求項2に記載の工程用剥離シート。
【請求項4】
支持体の少なくとも一方の面に押出コーティングにより形成された熱可塑性樹脂からなる剥離層を有する工程用剥離シートの製造方法であって、押出コーティングに際し、支持体上に形成された剥離層面に最大表面粗さRt(JIS B0601)が0.250μm以下の面を有する剥離フィルムを密着させ、密着状態のまま冷却ロールで冷却することを特徴とする工程用剥離シートの製造方法。
【請求項5】
前記冷却ロールで冷却した後、剥離フィルムを剥離層から剥離し、工程用剥離シートを巻き取る請求項4に記載の工程用剥離シートの製造方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、α-オレフィンの単独重合体またはα-オレフィンと他の重合性単量体との共重合体である請求項4または5に記載の工程用剥離シートの製造方法。
【請求項7】
熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/またはペンテン系樹脂である請求項4または5に記載の工程用剥離シートの製造方法。
【請求項8】
支持体の両面の平滑度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験法、王研式平滑度)が100秒以上である請求項4〜7にいずれかに記載の工程用剥離シートの製造方法。
【請求項9】
剥離層が光沢度(JIS Z8741、75度鏡面光沢度)80%以上を有する請求項4〜8のいずれかに記載の工程用剥離シートの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−210305(P2007−210305A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35570(P2006−35570)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】