説明

布帛のパターン染色における増粘剤の使用

液体染料を用いる布帛基材の自動化されたピクセルによるパターニングと関連する特定の特性を有する増粘剤を用いるための方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、複数の個別に制御可能な着色料アプリケータを用いて水性着色料を計量分配することにより、予め決められたパターンで布帛基材を染色するための方法に関する。より具体的には、本発明は、染料または液体着色料を特定の特性を有する増粘剤と組み合わせで用いる方法に関する。そのような特性を有する増粘剤の使用は、基材上での予想外に優れた染色性能ならびに染色装置のよりすぐれた操作性をもたらす。
【0002】
背景
布帛の染色は最も古い技術の1つであるけれども、課題は革新と改善を促しつづけている。そのような革新の中には、電気的にコード化されたパターニング指示に従い布帛の自動化された染色またはパターニングを提供する染色方法およびそのような方法を実施するための装置が存在する。そのような方法は、2つの異なるアプローチに沿って生み出されている。第1のアプローチ(「ドロップ・オン・デマンド」アプローチ)において、染料または着色料は、パターニングされるべき布帛基材上に位置するバルブのついたアプリケータから直接塗布される。1つのそのようなシステムの例において、染料または着色料を基材上に計量分配しようとするときにバルブは開かれ、必要量の染料が基材の適切な予め決められた領域に送られたときにバルブは閉じられる。この第1のアプローチの例には、商品名クロモジェット(Chromojet)(登録商標)の下でサウス・カロライナ州スパータンバーグのズィンマー・マシナリー社により販売されているパターニング装置が含まれる。そのような装置において、複数の個別の染料ノズルを含むプリントヘッドは、パターニングしようとする基材の経路に対し横送りされる。1以上の染料ノズルは、個別の染料供給源に別々に接続され得、それらのそれぞれは、異なる色の染料を供給し得、多色パターニングを提供し得る。電子的に規定されたパターニング指示は、プリントヘッドが横送りされ、基材が適切に前方に割送られるとき選択されたノズルに割り当てられる。
【0003】
第2のアプローチ(「再循環」アプローチ)において、連続的に発生した染料溶液の流れは、溜めますに向けられる。染料溶液の流れは、空気または他の制御流体の間歇的に作動する(すなわち、パターンデータに従って作動する)横の流れにより、動いている基材の経路上に方向転換し、それにより、染料溶液が溜めますを回避し、電子的に規定されたパターンデータにより特定される量の染料を計量分配するのに十分な時間間隔の間基材の表面を打撃することを引き起こす。そのような装置の例は、詳細が以下に検討される図1〜2ならびに共通に譲渡された米国特許第4,116,626号、第5,136,520号、第5,142,481号および第5,208,592号を含む多数の米国特許に示され、それらの教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
上記参照された米国特許において記載された装置および技術において、基材パターンはピクセルとして規定され、および個別の着色料または着色料の組み合わせは、基材上の対応するピクセルまたはピクセルの大きさの領域に所望の色彩を付与するためにそれぞれのピクセルに割り当てられる。特定のピクセルへのそのような着色料の塗布は、パターニングしようとする移動する基材の経路を横切って離間した平行な関係に位置するカラーバーの長さに沿って載置された多くの個別の染料アプリケータの使用を通して達成される。1のカラーバー中のそれぞれのアプリケータは同じ着色料溜めから着色料を供給され、異なるアレーは、典型的には異なる着色料を含む異なる溜めから供給される。カラーバーの長さに沿ったアプリケータの位置と、移動する基材上の標的ピクセルの位置に対するカラーバーの位置を適合させる(accomodate)アプリケータの作動指示を発生させることにより、いずれものカラーバー由来のいずれもの利用できる着色料が、再現される特定のパターンにより要求され得るように、基材上のパターン領域内のいずれものピクセルにも適用され得る。
【0005】
詳細な説明
図1は、枠20内に固定された関係で配置された、それぞれが1の色の染料を計量分配することが可能な8個の個別のカラーバー15の組により構成される、サウス・カロライナ州スパータンバーグのミリケン&カンパニーにより販売されるミリトロン(登録商標)布帛パターニング機のような典型的なジェット染色装置10を示す。装置の所望される複雑さ、広い範囲の色に対する要求、および他の要因に依存して、より多いかより少ない数のカラーバーを用いることができる。
【0006】
各カラーバー15は、カラーバーの長さに沿って離間した配列で配置され当該カラーバーに割り当てられる着色料を供給される複数の個別に制御可能な染料アプリケータから構成される。カラーバーの単位長当りのアプリケータの数は、例えば、インチあたり10、インチあたり20またはその他の数であり得る。各カラーバーは、基材25の全幅にわたって延びている。図示されているように、布帛のような未パターン化基材25は、ロール30から供給され得、枠20を通して、一般的に44で示されるモーターにより駆動されるコンベア40により各カラーバー15の下を搬送される。
【0007】
基材の正確に規定された領域における染料溶液の正確なピクセル状配置を提供する様式でカラーバー15の下を輸送された後、今やパターン化された基材25Aは、乾燥、定着などのような他の通常の染色関連工程を経過し得る。例えば、パターン染色された布帛材料は、スチーマーを通過し得るものであり、そこでは、染色された布帛材料は、染料を定着させるためにスチーム雰囲気に供される。スチーム室を出て来た染色された布帛材料は、次いで、過剰の定着されていない染料および他の化学物質を除去するために水洗装置を通して輸送され得る。次いで、洗浄された布帛材料は、温熱空気乾燥機を通過して、送出および引き取り手段にいたり得る。輸送機構の適切な改変により、パターニングしようとする基材は、別々の単位(例えば、個別のカーペットタイル、マットなど)の形態にもあり得る。
【0008】
図2は、図1のパターニング装置の模式的平面図である。この図に含まれているものは、電子制御システム55、電子位置合せシステム60、およびロータリーパルス発生器または同様のトランスデューサー65と連関するコンピュータシステム50のブロック図である。それらのシステムの協働操作は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる共通に譲渡された米国特許第4,033,154号、第4,545,086号、第4,984,169号および第5,208,592号においてより詳細に記載されているように、パターン特異的色を用いて所望のパターンを再現するために必要な染料の、移動する基材25の表面上での正確なピクセル状塗布をもたらす個別の「オン/オフ」作動コマンドの発生をもたらす。
【0009】
本発明は、この再循環タイプの装置の観点で記載されているけれども、本明細書の教示は、そのような装置に限定されず、ドロップ・オン・デマンドタイプの装置とともにも用いられ得る。いずれのアプローチついても、染色しようとする基材の用途および繊維含有量に応じて、酸性、塩基性、反応性、直接、分散、媒染を含む広範な天然もしくは合成染料または顔料を用いて布帛をパターン化することができる。本明細書の教示は、広範な範囲のそのような染料ならびに広範な範囲の布帛材料の使用に適用可能である。本発明によりパターン染色され得る布帛材料には、ニット、織、不織布帛材料、タフト材料などが含まれる。一般的に、そのような布帛材料は、床敷物(例えば、カーペット、ラグ、カーペットタイル、フロアマットなど)、カーテン布帛、室内装飾布帛(自動車内装飾布帛を含む)などを含み得る。そのような布帛材料は、ポリエステル、ナイロン、ウール、綿、およびアクリルのような天然または合繊繊維並びにそのような天然または合成繊維の混合物を含む布帛材料またはそれらの組み合わせから形成され得る。
【0010】
以下に検討を容易にするために、文脈により別段の指示または要請のない限り、以下の定義が用いられるであろう。
【0011】
パターニングという用語は、予め決められたデータに従い、基材の表面を含む特定の領域(または全領域)に対して染料を選択的に塗布することを意味する。パターニングには、複数の色の配列または全基材に対する単色の均一塗布が含まれ得る。
【0012】
ピクセルという用語は、着色料の色または対応する量が正確にかつ信頼性をもって塗布され得る基材上の最小領域または位置を記述するために用いられる。したがって、ピクセルとは、パターンが規定される基準であり、本明細書で検討されるパターニング装置のためには、パターンを再現するために要求される染料アプリケータ作動コマンドを発生させるための基準である。派生用語ピクセル状(pixel−wise)とは、例えば、ピクセルの観点で規定されたパターンまたはパターン要素を再現するときに起こるであろうような、基材上の特定のピクセルの大きさの位置に染料または他の液体を割り当てまたは塗布することを記述するために用いられる。
【0013】
染料溶液という用語は、基材上に軽量分配される、染料(いずれか好適な種類の)および任意に本明細書で教示されるもののような他の添加剤を含む様々の成分の水性混合物を意味する。染料溶液は、「染料」または「着色料」からは区別されるべきであり、その代わりに、後者の用語は、染料溶液の実際の染料または着色料成分をいう。
【0014】
水性増粘剤という用語は、水性染料系における使用にとって好適ないずれもの天然に存するか合成的に誘導される粘度増加剤を意味する。そのような増粘剤の多数の具体例が知られているが、キサントモナス、アクリルおよびグアーおよびその誘導体は、本明細書に記載される種類のパターニングプロセスに関して最も一般的に用いられ、それらの中で、アニオン性バイオ多糖増粘剤またはキサンタンガム、および特には、清澄化されたキサンタンガムが一般的に好ましい。
【0015】
清澄化されたという用語は、ろ過可能な、すなわち水に不溶性の不純物を除去する目的のための追加の処理工程に供されることを意味する。キサンタンガムに適用されるとき、この用語は、追加のろ過とおそらく微生物または微生物関連デブリス(debris)の酵素による除去に供されたガムをいう。清澄化されたキサンタンガムの非限定的な例には、デラウエア州ウィルミントンのCPケルコにより販売されるケルザン(Kelzan)T(登録商標)およびケルトロール(Keltrol)T(登録商標)が含まれる。本明細書における目的のためには、キサンタンガムは、1%水溶液(蒸留水)が600nmで40%以上の透過率を有するならば、清澄化されているとみなし得るであろう。より具体的には、100%蒸留水からなる標準と比較して、25℃で泡のない状態で、1cmの経路長で、適切に較正された分光分析装置(英国ケンブリッジのUNICAMにより販売されるUV/VisスペクトロメーターUV2のような)を用いて測定するとき、キサンタンガムは、1%水溶液(蒸留水)が600nmで60%以上で75%以下の透過率を有するならば適度に清澄化されているとみなされ、1%水溶液(蒸留水)が600nmで75%を超え、85%未満の透過率を有するならば高度に清澄化されており、1%水溶液(蒸留水)が600nmで85%を超える透過率を有するならば超清澄化されているとみなされるであろう。
【0016】
基材という用語は、個別の天然または合成ヤーンで構成されるいずれかの実質的に平坦な布帛を意味する。本明細書で記載される方法が特に適している基材は、布帛およびカーペット、ラグ、カーペットタイルおよびフロアマットを含む床敷物が含まれる。
【0017】
フェースファイバーという用語は、パイルを有するカーペットおよび他の床敷物製品に言及するときは露出されているか露出されていないパイル全体をいい、パイル布帛に言及するときはパイル全体をいい、平坦な布帛に言及するときは布帛全体をいう。
【0018】
レベルという用語は、同じ色に染色された基材の領域が視覚的に均一な色を示す程度を意味する。貧弱なレベルを有する染色された領域は、まだらの外観を示す。
【0019】
上述の両方の先行技術の染色のアプローチの様々の態様は、顕著な成功を収めたという事実にもかかわらず、性能のいくつかの領域における改善は、研究されつづけている。1つのそのような領域には、アプリケータから基材への染料溶液の流動特性が含まれる。例えば、1以上の染料の均一な塗布を要求するパターンの領域内では、基材への染料溶液の送給または流れと関連する小さいが有意のピクセルからピクセルへの不均一性により微妙だが視覚的に明瞭なまだら効果を有する染色された領域をもたらす不均一な色レベルを有する領域を見いだすことは珍しくない。
【0020】
加えて、1以上の特定のピクセルに比較的少量の特定の着色料を送給することを要求するパターンの領域は、短時間に染料溶液の流れを開始させ、停止させることに関連する困難さにより適切な量の着色料を受容し得ない。アプリケータの応答時間の問題として言及されるこの性能の領域は、いくつかの望ましからぬ条件について少なくとも部分的に責を負うものであり得る。
【0021】
おそらく最も明らかなことには、アプリケータの応答時間の問題は、比較的少量の着色料が基材に塗布され得る程度を制限することにより、基材上の同じ位置に塗布され得る異なる着色料についての相対的な比率を制限する。このことは、同じピクセルに順次適用される2以上の異なる着色料についての適切な混合技術(「現場混合」として知られる)により製造され得る色の範囲を有効に減少させる。この、需要に応じた着色料の比較的短時間のバーストを正確に発生させることの不可能性は、同様に、パターンラインが開始され得る正確さも制限する。一群のアプリケータ内の各アプリケータに送られる染料溶液の計量分配を開始させるためのコマンドは、その群の中のアプリケータのわずかに同期されていない作動をもたらし得るものであり、それにより、パターン要素の前縁で、破断した不均一のラインの発生をもたらす。
【0022】
また、染料溶液の流量に関する制限も、比較的高いスループット速度で基材をパターニングすることが所望される場合に問題を提起する。そのようなスループット速度では、染料溶液アプリケータは、比較的高い速度で基材を通り越して移動しなければならない。このことは、2つの側面において染料溶液アプリケータについて尋常ならざる要求を突きつける。バルブは、比較的高速の流量で必要量の染料溶液を計量分配せねばならず、基材上のパターンを規定する様々のピクセル領域が操作可能にアプリケータの反対側に位置する短時間に適合するために比較的短い時間間隔でそれを成し遂げねばならない。多くの場合において、そのような流量は、特に例えば、高解像度のパターニングが所望される場合に、単に、供給される染料溶液の圧力を増加させるかまたはアプリケータのオリフィスの直径を増加させることにより達成することは困難である。加えて、バルブが開き、そして閉じなければならない時間間隔が1のピクセルサイズについてより短くなるので、それらのバルブの作動および作動停止性能に関する問題およびそれらの間隔の間の染料溶液の水力学的性能は、ますます重要になる。
【0023】
上記技術的問題に対する予想しなかった解決は、特別に調製されたアニオン性バイオ多糖増粘剤、特にキサンタンガムの使用の観察された効果において見いだされた。基材をパターニングするために用いられる染料または着色料と組合せて用いられるとき、そのような増粘剤は、限定されないが、以下の性能領域:(1)バルブ応答時間の減少、(2)バルブ間の変動の減少、(3)与えられた圧力およびオリフィスのサイズについての流量の増加、(4)ろ過要求の減少、(5)布帛基材上の染料浸透の増加、および(6)色の均一性の向上(すなわち、一定の色彩レベル)を含む方法と製品に対する有意な向上の主役を提供し得る。
【0024】
特に、上記性能領域についての通常のキサンタンガムの機能は一般的に許容可能であるけれども、上記領域における性能レベルは、化学製品供給者を通して一般的に入手可能な種類の清澄化されたキサンタンガムの使用を通して有意に向上し得ることが見いだされた。加えて、そして独立に、グリオキサール樹脂をほとんど含まないか全く含まないキサンタンガムの使用は、そのような樹脂を含むガムと比較したとき、よりすぐれた性能の染料溶液をもたらす傾向もあることが見いだされた。グリオキサール樹脂を実質的に含まない清澄化されたキサンタンガムを用いることにより、それぞれの個々の利益が実質的に保存され、追加的になり、それにより、上記列挙された領域における大きく高められた性能を有する染料溶液をもたらすことが見いだされた。例えば、一組の比較において、清澄化された、グリオキサールを含まないキサンタンガムで構成された染料溶液は、同様の条件(同じオリフィスサイズ、供給圧力など)の下で、清澄化されていないグリオキサール含有キサンタンガムと比較したとき、平均で、25%を超える大きなアプリケータ流量を提供した。
【0025】
デラウエア州ウィルミントンのCPケルコUS社は、上記キサンタンガムの特定的ではあるが非限定的な市販の例を提供する。ケルザンS(登録商標)はベースラインを規定する清澄化されていないグリオキサールを含むキサンタンガムであり、ケルザン(登録商標)は、ケルザンS(登録商標)のグリオキサールの存在しないバージョンである。ケルザンT(登録商標)は、ケルザンの清澄化されたバージョンであり、それゆえ、清澄化され、かつグリオキサールがない。ケルトロールT(登録商標)はケルザンT(登録商標)の食品グレードバージョンであり、付加的な清澄化プロセスに供される。図1〜3の装置によりなされた試行において、上記列挙された1〜6の性能の側面の観点での得られた染料溶液の性能は、キサンタンガムが清澄化され、グリオキサールが存在しない程度の順序で改善した。したがって、前述のケルザン/ケルトロール製品の中からのこの用途における好ましいキサンタンガムはケルトロールTであり、減少した優先度でケルザンTおよびケルザンが続き、それらの全ては、ベースラインのキサンタンガムであるケルザンSより優れている。同様のガムは、イリノイ州デケーターのADMおよびニューヨーク州ウィンダムのフェデレーテッド・ミルズ社のような多数の供給者から市販されている。
【0026】
プロセスにそのような試薬を導入するための最も一般的な技術は、計量分配の前に染料溶液に添加剤として存在させることが予想されるけれども、もしそれが不可能か不便であるならば、そのような試薬はまた、通常の装置および通常のプロセス工程を用いて染料溶液の適用の前に基材上に導入されうることが企図される。しかしながら、その場合には、染料溶液アプリケータバルブの性能およびろ過の要求に関連する利益が付与され得ないことが明らかである。そのような場合には、図1および2の布帛基材25または25A(付加的な処理がパターニング工程の前または後に実施されるかどうかに依存する)は、適切な組の支持ローラーを越えて任意のパッド浴、スプレー装置または他の通常のアプリケータにもたらし、そこで、所望であれば、水性処理溶液を布帛基材に適用することができる。ついで、基材から過剰な液体を除去するように設計され得るプレスロール、真空スロットまたは同様の装置に通じる。その後、濡れた布帛基材を、染料溶液中に増粘剤が存在するか、しないかで、所定のパターニング装置に通じることができる。一般的に、パターニングの前の基材へのガムの添加は、パターニングされた基材において観察されるレベリング(すなわち、色の均一性)の程度を改善する。
【0027】
染料溶液における染料の濃度は、全体的に所望の色に依存するが、しかし、一般的に、増粘剤を除いた染料溶液の重量に基づいて例えば約0.01から約2重量パーセントまで、好ましくは約0.01から約1.5重量パーセントまでのような布帛染色操作にとって通常である範囲に存在し得る。水性染料溶液に加えられる増粘剤の量は、個々のパターン染色方法に適切な所望の粘度を提供するように選択される。複数の異なる色の染料溶液を用いる場合には、水性増粘剤およびその濃度は、それぞれの染料溶液において同一または異なり得るものであることが理解されるべきである。しかしながら、全ての染料溶液において、同一の増粘剤を用いることが一般的に好ましい。
【0028】
一般的に、染料は、パターニング装置により分配される染料溶液に到達する増粘剤、消泡剤、湿潤剤、殺生物剤および他の添加物のような複数の他の構成成分と組み合わせられる。一般的に、増粘剤の量は、染料溶液の重量に基づいて0.1未満から約1.0重量パーセントまでの範囲をとる。基材のフェースファイバーについて測定されるように、約0.05%から約2.0%の範囲の増粘剤濃度が一般的に見いだされ、約0.05%から約0.5%の範囲の増粘剤濃度が一般的に好ましいことが見いだされた(全てのパーセンテージは、重量による)。図1および2に示されているような、染料溶液が再循環するパターニングシステムについての要求事項は、染料溶液を基材上に向けようとするときのみ染料溶液が流れるパターニングシステムについての要求事項とは幾分異なる。最適性能のためのそのような添加剤の相対的な比率および正確な組成はそれぞれのタイプのパターニング装置について変化し得るけれども、本明細書で開示される新規な教示は、両方の種類のパターニング装置について着色料の配合に適用可能であり、着色料溶液が基材表面上に分配される方式に関係なくよりすぐれた結果をもたらすことが可能であることが見いだされた。
【0029】
図1〜2に示される装置については、約50から約1,000センチポイズの範囲の染料溶液粘度が有用であることが示されている。例えば、ズィンマー・マシナリー社により販売されるクロモジェット(登録商標)装置のような非循環型染料溶液システムを用いる装置のような他の装置は、最良の結果のためには、操作条件(例えば、染料圧力およびアプリケータのオリフィスのサイズ)に依存して、約800から約3000センチポイズの範囲の粘度を要求すると信じられる。ここで列挙されたすべての粘度の値は、25℃で30rpmで走行するNo.3スピンドルを有するブルックフィールドLVT粘度計により測定されていることが意図されていることに注意されたい。
【0030】
本発明は、上記態様と関連させて記述されてきたけれども、記述されてきた特定の形態に本発明の範囲を限定することは意図されていない。それどころか、特許請求の範囲により規定される本発明の精神と範囲に含まれ得るそのような代替、修正、および均等をカバーすることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一連のカラーバーの長さに沿って配列された複数の個別に制御可能な着色料アプリケータがパターニングされるべき基材ウエブの経路に沿って展開される典型的なパターニング装置を模式的に描写する。
【図2】均一に着色されることを意図する基材のパターニングされた領域を示す図1の装置の平面図を模式的に描写する。
【符号の説明】
【0032】
10…装置、15…カラーバー、20…枠、25…基材、30…ロール、40…コンベア、50…コンピュータシステム、55…電子制御システム、60…電子位置合せシステム、65…トランスデューサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着された染料および清澄化されたキサンタンガムを含む領域で構成されたパターンが規定された布帛基材。
【請求項2】
前記基材が床敷物であり、前記清澄化されたキサンタンガムがフェースファイバーの0.05重量%ないし2.0重量%のレベルで存在する請求項1記載の基材。
【請求項3】
前記基材が床敷物であり、前記清澄化されたキサンタンガムがフェースファイバーの0.05重量%ないし0.5重量%のレベルで存在する請求項1記載の基材。
【請求項4】
前記清澄化されたキサンタンガムが適度に清澄化されている請求項1記載の基材。
【請求項5】
前記清澄化されたキサンタンガムが高度に清澄化されている請求項2記載の基材。
【請求項6】
前記清澄化されたキサンタンガムが超清澄化されている請求項3記載の基材。
【請求項7】
前記清澄化されたキサンタンガムがグリオキサール樹脂を実質的に含まない請求項1記載の基材。
【請求項8】
前記清澄化されたキサンタンガムがグリオキサール樹脂を実質的に含まない請求項5記載の基材。
【請求項9】
前記清澄化されたキサンタンガムがグリオキサール樹脂を実質的に含まない請求項6記載の基材。
【請求項10】
液体染料および清澄化されたキサンタンガムを布帛基材に適用することにより布帛基材をパターニングするための方法であって、前記染料を、電気的に規定されたパターンデータの制御の下で複数のアプリケータによりピクセル状に塗布する方法。
【請求項11】
前記染料を基材に塗布する前に、前記清澄化されたキサンタンガムを前記染料に添加する請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記清澄化されたキサンタンガムが適度に清澄化されている請求項11記載の基材。
【請求項13】
前記清澄化されたキサンタンガムが高度に清澄化されている請求項11記載の基材。
【請求項14】
前記清澄化されたキサンタンガムが超清澄化されている請求項11記載の基材。
【請求項15】
前記染料を前記基材に塗布する前に、前記清澄化されたキサンタンガムを前記布帛基材に塗布する請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記清澄化されたキサンタンガムが適度に清澄化されている請求項15記載の基材。
【請求項17】
前記清澄化されたキサンタンガムが高度に清澄化されている請求項15記載の基材。
【請求項18】
前記清澄化されたキサンタンガムが超清澄化されている請求項15記載の基材。
【請求項19】
前記清澄化されたキサンタンガムがグリオキサール樹脂を実質的に含まない請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記清澄化されたキサンタンガムがグリオキサール樹脂を実質的に含まない請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記清澄化されたキサンタンガムがグリオキサール樹脂を実質的に含まない請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−503195(P2006−503195A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545237(P2004−545237)
【出願日】平成15年8月13日(2003.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2003/025239
【国際公開番号】WO2004/035912
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】