説明

希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置

【課題】希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置において、内燃機関の自動停止が行われることでその後の燃料消費量が増加することを抑制し、燃費をより向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置において、次回ストイキ燃焼により内燃機関を始動させるよりも、希薄燃焼にてアイドル運転を行なっていたほうが燃料消費量を少なくすることができる場合には、自動停止を禁止し且つ希薄燃焼にてアイドル運転を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃費の向上や排気ガスの低減等の要請により、車両の停止時に内燃機関が自動的に停止されるものがある。また、ハイブリッド車両でも車両停止時や低速走行時には内燃機関が停止される。このように内燃機関を停止させる場合には、該内燃機関の温度が低下する。
【0003】
そして、内燃機関の始動時の冷却水温に基づいて、成層燃焼(希薄燃焼)若しくは均一燃焼(ストイキ燃焼)の何れかにより内燃機関を始動させて、始動時の燃焼状態を安定させるとともに、燃費を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−30468号公報
【特許文献2】特開2002−70634号公報
【特許文献3】特開平9−21457号公報
【特許文献4】特開2001−55939号公報
【特許文献5】特開平7−109936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、内燃機関の始動時の冷却水温度によっては、内燃機関の始動時の冷却水温度に基づいて燃焼方法を選択するよりも、内燃機関を停止させないで継続して作動させる場合のほうが燃費に対して有利な場合がある。
【0005】
ここで、従来の希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置では、機関冷却水が機関自動停止制御禁止水温(例えば、40℃)以下の場合には、燃費、ドライバビリティ、排気中の有害物質の低減、触媒の早期活性化等からの要求により冷却水温度を上昇させる必要があるため、内燃機関の停止は行なわないようにしている。また、希薄燃焼式内燃機関では、希薄燃焼禁止水温(例えば、80℃)よりも実際の冷却水温度が低い場合には、安定して希薄燃焼を行うことが困難となるためストイキ燃焼を行っている。このように、機関自動停止制御禁止水温は、希薄燃焼禁止水温よりも低い。
【0006】
そして、従来の希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置では、機関自動停止制御による機関停止が渋滞、道路工事、踏み切り等の理由により実行され機関停止時間が比較的長くなる場合、若しくはハイブリッド車両において電動機により長い間走行する場合には、内燃機関の冷却水が希薄燃焼禁止水温以下となる。そして、その後に内燃機関が始動されると、該内燃機関の温度が希薄燃焼可能な温度に上昇するまで、ストイキ燃焼にて内燃機関が運転される。
【0007】
ここで、ストイキ燃焼にて内燃機関の運転を行なった場合には、希薄燃焼にて内燃機関の運転を行った場合よりも燃料消費量が多い。そして、車両走行開始後には比較的大きな駆動力を必要とするため燃料消費量がさらに多くなる。従って、このときにストイキ燃焼を行なうと、希薄燃焼による運転を行った場合と比較して燃料消費量がさらに増加する。
【0008】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置において、内燃機関の自動停止が行われることでその後の燃料消費量が増加することを抑制し、燃費をより向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために本発明による希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置は、以下のことを特徴とする。すなわち、
リーン空燃比による希薄燃焼およびストイキ近傍でのストイキ燃焼を切り換えて運転可能な内燃機関と、
車両停止時および/または内燃機関の低負荷運転時に該内燃機関を自動的に停止させる内燃機関自動停止手段と、
を備えた希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置において、
前記内燃機関が所定期間停止してからストイキ燃焼にて該内燃機関を始動させ該内燃機関が希薄燃焼可能となるまでに必要となる燃料量を推定する第1燃料量推定手段と、
希薄燃焼によるアイドル運転を、前記所定期間、もしくは前記所定期間と前記内燃機関が前記所定期間停止してからストイキ燃焼にて内燃機関を始動させ該内燃機関が希薄燃焼可能となるまでの期間とを加えた期間、継続して行う場合に必要となる燃料量を推定する第2燃料量推定手段と、
前記第2燃料量推定手段により推定される燃料量が前記第1燃料量推定手段により推定される燃料量よりも少ない場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止を禁止し且つ前記内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転する希薄燃焼選択手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の最大の特徴は、内燃機関を停止させストイキ燃焼で始動させるよりも、希薄燃焼にて内燃機関の運転を継続したほうが燃料消費量の少ない場合には、内燃機関を停止させないことにある。
【0011】
ここで、自動停止装置による内燃機関の停止中に、該内燃機関の温度が低下する。そして、内燃機関の温度が希薄燃焼を安定して行うことができる温度(以下、希薄燃焼安定温度という。)よりも低下すると、次回内燃機関始動時にストイキ燃焼による運転が行なわれる。さらに、希薄燃焼安定温度以上に内燃機関の温度が上昇するまでの間はストイキ燃焼により内燃機関が運転される。ここで、ストイキ燃料運転は、希薄燃焼運転と比較して燃料の消費量が多い。
【0012】
一方、内燃機関を停止させないで希薄燃焼にてアイドル運転を続けることにより、内燃機関の温度を希薄燃焼安定温度以上に保つことができる。
【0013】
そして、内燃機関の自動停止が短い場合には、内燃機関の始動時にストイキ燃焼にて該内燃機関を運転して希薄燃焼可能な温度まで上昇させるよりも、内燃機関を希薄燃焼安定温度以上に保つように内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転させるほうが燃料の消費量が少ないことがある。すなわち、内燃機関を停止させるよりも内燃機関を停止させないほうが燃料の消費量が少ない場合がある。どちらを選択したほうが燃料の消費量が少ないかは、内燃機関の停止時間によるが、所定期間での燃料消費量を比較することにより、どちらを選択したほうが燃料の消費量が少ないか判定することができる。
【0014】
そして、内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転したほうが内燃機関を停止させるよりも燃料消費量が少ない場合には、内燃機関の自動停止を禁止してアイドル運転を行うことにより、燃費を向上させることができる。
【0015】
なお、「所定期間」は予め実験等を行なって定めておいてもよく、また以下のようにして決定してもよい。
【0016】
すなわち、本発明においては、車両の現在位置を検知し、さらに目的地に向けて走行経
路を設定するナビゲーションシステムと、
車両の走行状態および/または内燃機関の運転状態を前記ナビゲーションシステムにより得られる車両の位置と関連付けて記憶する記憶手段と、
をさらに備え、
前記所定期間は、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定される期間であって、前記内燃機関が前記内燃機関自動停止手段により自動的に停止され得る期間としてもよい。
【0017】
内燃機関が停止され得る期間および/または内燃機関が低負荷運転され得る期間は、道路事情等により異なり、予め定められるものではない。しかし、記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて、これらを推定することが可能となる。これにより、消費燃料量をより正確に得ることができる。
【0018】
上記課題を達成するために本発明による希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置は、以下のことを特徴としてもよい。すなわち、
リーン空燃比による希薄燃焼およびストイキ近傍でのストイキ燃焼を切り換えて運転可能な内燃機関と、
車両停止時および/または内燃機関の低負荷運転時に該内燃機関を自動的に停止させる内燃機関自動停止手段と、
を備えた希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置において、
車両の現在位置を検知し、さらに目的地に向けて走行経路を設定するナビゲーションシステムと、
車両の走行状態および/または内燃機関の運転状態を前記ナビゲーションシステムにより得られる車両の位置と関連付けて記憶する記憶手段と、
ストイキ燃焼で内燃機関を始動して車両が走行を開始し希薄燃焼に移行するまでに要する燃料消費量を、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定する第3燃料量推定手段と、
ストイキ燃焼で内燃機関を始動して車両が走行を開始し希薄燃焼に移行するまでに該車両が走行する距離を、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定するストイキ運転距離推定手段と、
希薄燃焼にて内燃機関を始動後に前記ストイキ運転距離推定手段により推定される走行距離を希薄燃焼で走行するときに要する燃料消費量に、現時点から希薄燃焼にてアイドル運転を継続するときに要する燃料消費量を加えたものを、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定する第4燃料量推定手段と、
前記第4燃料量推定手段により推定される燃料消費量が前記第3燃料量推定手段により推定される燃料消費量よりも少ない場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止を禁止し且つ前記内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転する自動停止禁止手段と、
を備えたことを特徴としてもよい。
【0019】
すなわち、記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて、以後の内燃機関の運転状態を推定することができるので、内燃機関を停止させた場合と、希薄燃焼にてアイドル運転させた場合と、の夫々の場合の燃料消費量をより正確に得ることができる。そして、燃料消費量のより少ない場合を選択することにより、燃費を向上させることが可能となる。
【0020】
本発明においては、前記自動停止禁止手段が内燃機関の自動停止を禁止し且つ前記内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転させているときの現時点までのアイドル運転中の燃料消費量を算出するアイドル使用燃料量算出手段をさらに備え、
前記第4燃料量推定手段により推定された燃料消費量に前記アイドル使用燃料量算出手段により算出された燃料消費量を加えたものが、前記第3燃料量推定手段により推定された燃料消費量以上となった場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止の禁止を解除して、前記内燃機関を停止させてもよい。
【0021】
ここで、希薄燃焼にてアイドル運転を継続させると燃料の消費量が増加していく。この状態が長時間続く場合には、内燃機関を停止させたほうが燃料消費量を少なくすることができる。従って、この場合に内燃機関を停止させることにより、燃料消費量を低減することができる。
【0022】
本発明においては、前記自動停止禁止手段により前記内燃機関が希薄燃焼にてアイドル運転されている場合であって、前記内燃機関の冷却水温度が希薄燃焼可能な温度以上となった場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止の禁止を解除して、前記内燃機関を停止させてもよい。
【0023】
内燃機関の冷却水温度が希薄燃焼可能な温度以上となった場合、すなわちストイキ燃焼にて内燃機関を始動する必要がない場合には、内燃機関を停止させることにより、さらに燃料消費量を低減することができる。なお、「希薄燃焼可能な温度」は、内燃機関が安定して希薄燃焼を行なうことが可能な温度であり、内燃機関の構造等により異なる温度である。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置では、内燃機関を停止させたときのその後の燃料消費量と、内燃機関を停止させないときの燃料消費量と、を比較して、燃料消費量がより少ない方を選択することにより燃費消費量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本実施例によるハイブリッドシステム、及び内燃機関の吸排気系の概略構成を示す図である。
【0027】
本実施の形態によるハイブリッド車は、内燃機関1、動力分割機構31、電動モータ32、発電機33、バッテリ34、インバータ35、車軸36、減速機37、車輪38を備えて構成されている。
【0028】
動力分割機構31は、内燃機関1からの出力を発電機33や車軸36に振り分けている。この動力分割機構31は、電動モータ32からの出力を車軸36に伝達する機能をも有する。電動モータ32は、減速機37を介して車軸36と比例した回転数にて回転する。該電動モータ32は、通常運転時には必要に応じて内燃機関1の出力を補助することもできる。また、電動モータ32及び発電機33には、インバータ35を介してバッテリ34が接続されている。そして、発電機33は、内燃機関1からの動力を得て発電しバッテリ34の充電を行う。
【0029】
このように構成されたハイブリッドシステムでは、通常走行時には内燃機関1の出力若
しくは電動モータ32の出力により車軸36を回転させ、車輪38が駆動される。また、内燃機関1の出力と電動モータ32の出力とを合わせて車軸36を回転させ、車輪38を駆動することもできる。一方、減速時には、車輪38の回転力により電動モータ32を発電機として作動させることで、運動エネルギを電気エネルギに変換しバッテリ34に回収させることもできる。このように、車両減速時に運動エネルギを電気エネルギに変換するため、車両の減速を補助することが可能となっている。
【0030】
次に、内燃機関1は、4つの気筒2を有し、該気筒2内へ燃料を直接噴射させる筒内直接噴射式ガソリンエンジンである。この内燃機関1は、希薄燃焼による運転が可能な機関である。
【0031】
この内燃機関1には、気筒2内へ燃料を噴射する燃料噴射弁3が備えられている。
【0032】
また、内燃機関1には、吸気枝管4が接続されており、吸気枝管4の各枝管は、各気筒2の燃焼室へと通じている。
【0033】
前記吸気枝管4は、吸気管5に接続され、該吸気管5の途中には、排気のエネルギを駆動源として作動するターボチャージャ15のコンプレッサハウジング15aが設けられている。
【0034】
前記吸気管5における吸気枝管4の直上流に位置する部位には、該吸気管5内を流通する吸気の流量を調節する吸気スロットル弁6が設けられている。この吸気スロットル弁6には、ステップモータ等で構成されて該吸気スロットル弁6を開閉駆動する吸気スロットル弁用アクチュエータ7が取り付けられている。
【0035】
さらに、コンプレッサハウジング15aよりも上流の吸気管5には、該吸気管5を通過する吸気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ17が取り付けられている。このエアフローメータ17の出力信号により内燃機関1の吸入空気量を得ることができる。
【0036】
一方、内燃機関1には、排気枝管9が接続され、該排気枝管9は、前記ターボチャージャ15のタービンハウジング15bと接続されている。前記タービンハウジング15bは、排気管10と接続されている。この排気管10は、下流にて大気へと通じている。
【0037】
前記タービンハウジング15bよりも下流の排気管10の途中には、排気浄化触媒11が備えられている。
【0038】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU12が併設されている。このECU12は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0039】
また、ECU12には、運転者がアクセルを踏み込んだ量に応じた電気信号を出力し、車両の負荷状態を検出可能なアクセル開度センサ13、内燃機関1の回転数を検出するクランクポジションセンサ14、内燃機関1の冷却水温度に応じた電気信号を出力し、該内燃機関1の冷却水温度を検出可能な水温センサ18の他、各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU12に入力されるようになっている。
【0040】
一方、ECU12には、燃料噴射弁3、吸気スロットル弁用アクチュエータ7等が電気配線を介して接続され、ECU12により制御することが可能になっている。
【0041】
ここで、本実施例においては、内燃機関1の冷却水温度が希薄燃焼を安定して行なうこ
とができる温度の下限値(以下、希薄燃焼安定温度という。)よりも低くなる場合には、内燃機関を作動させて該内燃機関1の冷却水温度を希薄燃焼安定温度以上に保つ。
【0042】
これにより、走行開始後のより多く燃料を消費するときに、燃費の良い希薄燃焼にて内燃機関1を作動させることができるので燃費の悪化を抑制することができる。すなわち、走行開始後に内燃機関1をストイキ燃焼にて運転して希薄燃焼安定温度まで冷却水温度を上昇させるよりも、内燃機関1の温度を希薄燃焼安定温度以上に保つためにアイドル運転させ、さらに走行開始後にも希薄燃焼にて内燃機関1を運転させたほうが燃料消費量を少なくすることができる。
【0043】
また、ターボチャージャ15を備えている場合には、内燃機関1を停止させずに希薄燃焼にて運転を続けることにより、走行開始時に既にターボチャージャ15がある程度回転しているため、ターボラグが生じる期間を短くすることができる。ターボラグが生じる期間が短くなると、燃費の良い状態での運転をより長く行うことができ、燃費を向上させることができる。
【0044】
さらに、ハイブリッド車の場合には、内燃機関1の温度を希薄燃焼安定温度以上に保つためのアイドル運転中に、発電機33にて発電を行い、バッテリ34を充電することができ、この電力を次回走行開始時に電動モータ32に供給することにより駆動力を得ることができるので、燃費の悪化を抑制することができる。
【0045】
次に、本実施例における内燃機関の自動停止制御の実行の可否を決定するフローについて説明する。
【0046】
図2は、本実施例における内燃機関の自動停止制御の実行の可否を決定するフローを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に実行される。
【0047】
ステップS101では、ECU12は、内燃機関の自動停止制御により内燃機関1が停止中であるか否か判定する。すなわち、車両停止時若しくは内燃機関1の低負荷時に該内燃機関1が自動的に停止された状態であるか否か判定する。
【0048】
ステップS101で肯定判定がなされた場合にはステップS102へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS101へ戻る。
【0049】
ステップS102では、ECU12は、内燃機関1の冷却水温度を検出する。内燃機関1の冷却水温度は水温センサ18により得ることができる。
【0050】
ステップS103では、ECU12は、冷却水温度が所定値よりも小さいか否か判定する。ここで、所定値とは、内燃機関1が希薄燃焼を安定して行なうことのできない温度の上限値(例えば、80℃)に内燃機関1の特性等に基づいて定められる値を加えたものである。内燃機関1の冷却水温度が所定値以上であれば、内燃機関1の始動後に希薄燃焼を安定して行なうことができる。
【0051】
ステップS103で肯定判定がなされた場合にはステップS104へ進み、一方、否定判定がなされた場合にステップS102へ戻る。
【0052】
ステップS104では、ECU12は、走行要求があるか否か判定する。走行要求とは、例えば運転者によりアクセルが踏み込まれた場合である。
【0053】
ステップS104で肯定判定がなされた場合にはステップS110へ進み、一方、否定
判定がなされた場合にはステップS105へ進む。
【0054】
ステップS105では、ECU12は、内燃機関1を始動させ且つ希薄燃焼にてアイドル運転を行い内燃機関1の温度を上昇させる。すなわち、希薄燃焼を安定して行うことができる温度を維持するように内燃機関1を運転させる。
【0055】
ステップS106では、ECU12は、内燃機関1の冷却水温度を検出する。内燃機関1の冷却水温度は水温センサ18により得ることができる。
【0056】
ステップS107では、ECU12は、冷却水温度が所定値以上であるか否か判定する。所定値については、ステップS103と同一である。
【0057】
ステップS107で肯定判定がなされた場合にはステップS108へ進み、一方、否定判定がなされた場合にステップS106へ戻る。
【0058】
ステップS108では、ECU12は、走行要求があるか否か判定する。
【0059】
ステップS108で肯定判定がなされた場合にはステップS110へ進み、一方、否定判定がなされた場合にステップS109へ進む。
【0060】
ステップS109では、ECU12は、内燃機関1を停止させ、内燃機関の自動停止制御へ戻る。ここでは、内燃機関1の冷却水温度が希薄燃焼を安定して行うことのできる温度となっているので、内燃機関1を停止させて燃料の消費を抑制する。
【0061】
ステップS110では、ECU12は、内燃機関1を始動させ、通常の走行制御を行う。すなわち、走行要求があり自動停止の必要はないので内燃機関1を始動させる。
【0062】
このようにして、内燃機関の自動停止中であっても内燃機関1の温度が、希薄燃焼安定温度よりも低下する場合には、内燃機関1を作動させて該内燃機関1の温度を希薄燃焼安定温度に保つことができる。これにより、走行開始後に希薄燃焼にて内燃機関1を運転することができるので燃費を向上させることができる。
【0063】
なお、自動停止を行う前の内燃機関1の温度が、希薄燃焼安定温度以上の場合には自動停止を行わず且つステップS101を省略して本ルーチンを適用しても良い。
【実施例2】
【0064】
本実施例は、車両の現在位置を検出するナビゲーションシステムを備えている点で実施例1と相違する。このナビゲーションシステムは、ECU12に接続されている。その他のハードウェアについては、実施例1と同じなので説明を省略する。
【0065】
ここで、本実施例で使用するナビゲーションシステムは、高度約2万キロメートルの宇宙空間に配置された複数の人工衛星からの信号を受信して現在位置を算出するシステムである。このナビゲーションシステムには車速信号を出力するスピードセンサスピードセンサ、車両の角速度を検出するジャイロセンサが接続されている。
【0066】
ナビゲーションシステムは、人工衛星からの信号により自車位置を算出し、更に、スピードセンサ、ジャイロセンサ等の信号に基づいて移動距離及び進行方向を検出する自立航法を組み合わせて自車位置を測位している。
【0067】
このように、ナビゲーションシステムによれば自車位置を得ることが可能となる。また
、本実施例によるナビゲーションシステムは、現在地からユーザ入力した目的地までの走行経路を検索する機能を有している。
【0068】
そして、本実施例では、走行経路が予め決まっている場合には、この走行経路における過去の走行データとナビゲーションシステムにより検出された車両の位置によって、該車両の停止時間を推定する。ここで、過去の走行データとは、過去に同一経路を走行したときに得られたデータであって、ECU12に記憶しておいたものをいう。また、過去に車両が同じ位置に停止したときの車両の停止時間と、今回車両が停止する時間とが等しいとしても良い。
【0069】
実施例1においては、走行要求があるまでは内燃機関1の冷却水温度が所定値よりも低くなったときに内燃機関1を始動させて、該内燃機関1の冷却水温度を上昇させていた。
【0070】
一方、本実施例においては、推定された車両停止時間中において希薄燃焼を行うために要する燃料量と、推定された車両停止時間中に内燃機関1を停止させその後にストイキ燃焼にて該内燃機関1を始動させてから希薄燃焼に移行するまでに必要となる燃料量と、を比較して、より燃料量の少ないほうを選択する。
【0071】
すなわち、車両の停車時間が短い場合には希薄燃焼にて内燃機関1を運転していたほうが燃費を向上させることができるが、車両の停止時間が長くなると内燃機関1を停止させたほうが燃費に関して有利となる場合があるので、この場合には内燃機関1を停止させる。
【0072】
このようにして、より燃費を向上させることが可能となる。
【実施例3】
【0073】
本実施例のハードウェアは、実施例2と同じなので説明を省略する。
【0074】
そして、本実施例では、走行経路が予め決まっている場合には、全走行経路における過去の走行データおよびナビゲーションシステムでの位置検出によって、現地点から走行を開始する場合の燃料使用量を平均的な加速パターンから予め推定する。ここで、過去の走行データとは、過去に同一経路を走行したときに得られたデータであって、ECU12に記憶しておいたものをいう。また、加速パターンとは、過去に得られた同一経路走行時における機関回転数、吸気スロットル弁6の開度、冷却水温度等の変化をいう。過去に複数回同一経路を走行した場合には平均値を求める。
【0075】
そして、例えば車両走行開始後にストイキで運転するほうが、希薄燃焼にてアイドル運転を続けるよりも燃料消費量が少なくできると判定された時点で希薄燃焼アイドル運転を中止する。若しくは、希薄燃焼アイドル運転を最初から行なわないようにする。
【0076】
すなわち、図2に示したフローチャートにおいて、自動停止制御により希薄燃焼可能水温以下の温度で内燃機関1が停止している場合(すなわち、実施例1では、希薄燃焼にてアイドル運転を実施する場合)であっても、加速パターンに従って推定した燃料消費量によれば、希薄燃焼によるアイドル運転の継続時間を短縮したり、内燃機関1を停止したままとしたりすることがある。
【0077】
そして、本実施例においては、車両の目的地を予めナビゲーションシステムに入力し、予定走行経路を定めておく。そして、車両が停止した場合、車両の停止地点をナビゲーションシステムにより検出する。さらに、冷却水温度が所定値より低いか否か判定し、低ければその後の発進および走行に必要な燃料消費量を、ストイキ燃焼にて走行した場合と、
希薄燃焼にて走行した場合と、についてECU12に記憶している過去の加速パターン(例えば、機関回転数、吸気スロットル弁6開度、冷却水温度経過等)から推定する。ただし、過去のデータがない場合には、以上の制御を行わないようにする。
【0078】
例えば、機関回転数および吸気スロットル弁6開度と燃料消費量との関係をストイキ燃焼時および希薄燃焼時夫々について予めマップ化しておき、その後に推定される加速パターンに従い、冷却水温度が所定値よりも低ければストイキ燃焼で運転されたときの燃料消費量を求め、また所定値以上であれば希薄燃焼で運転されたときの燃料消費量を求め、夫々の運転による燃料消費量を全て加えることにより、その後の発進および走行に必要な燃料消費量を得ることができる。
【0079】
次に、本実施例における内燃機関の自動停止制御の実行の可否を決定する制御について詳述する。
【0080】
なお、ストイキ燃焼で内燃機関1を始動して車両が走行を開始し、希薄燃焼に移行するまでに要する推定燃料消費量を以下、燃料量Vsとする。そして、車両が走行を開始してから希薄燃焼に移行するまでの車両の走行距離の推定値をストイキ走行距離Lとする。また、希薄燃焼にて内燃機関1を始動して車両が走行を開始し、ストイキ走行距離Lを希薄燃焼で走行するために必要となる推定燃料消費量に、現時点から希薄燃焼にてアイドル運転を続けるために必要となる推定燃料消費量を加えたものを以下、燃料量Vlとする。
【0081】
そして、燃料量Vsが燃料量Vlよりも大きい場合には、内燃機関1を希薄燃焼にて始動し、アイドル運転にて内燃機関1の温度を上昇させる。この場合、内燃機関1を希薄燃焼にて運転して内燃機関1を希薄燃焼可能な温度に保つことにより燃費を向上させることができる。
【0082】
ただし、希薄燃焼にて内燃機関1を始動させるためだけに使用する燃料量のみで燃料量Vlが燃料量Vs以上となる場合には、内燃機関1を始動させずに自動停止状態のままとする。この場合、内燃機関1の温度が希薄燃焼可能な温度よりも低下したとしても、次回ストイキ燃焼にて内燃機関1を始動させたほうが燃料使用量を少なくすることができ、燃費を向上させることができる。
【0083】
一方、燃料量Vsが燃料量Vlよりも大きい場合に、内燃機関1を希薄燃焼にて始動しその後のアイドル運転が継続して行われると、このアイドル運転に使用された燃料量が増加していく。ここで、推定されたアイドル運転中に消費される燃料量を超えた燃料量を燃料量Viとする。そして、燃料量Viを燃料量Vlに加算して、この値が燃料量Vsと等しくなった時点で、内燃機関1を停止させる。この内燃機関の自動停止は、例え冷却水温度が所定値よりも低い場合であっても希薄燃焼でのアイドル運転を中止して行なう。この場合、希薄燃焼にて運転を継続することによる燃料の消費をなくすことができ、燃費を向上させることができる。
【0084】
ところで、燃料量Viを燃料量Vlに加算して、この値が燃料量Vsと等しくなった場合には、希薄燃焼にてアイドル運転を継続させても、必ずしも燃費向上の効果が得られるとは限らない。また、推定されたよりも長い時間アイドル運転が継続された場合には、過去の加速パターンからは推定できない事態が発生している可能性がある。この場合、アイドル運転を継続するよりも、確実に内燃機関1を停止させることにより、予期せず燃料を大量に消費してしまうことを抑制することができる。
【0085】
燃料量Vsが燃料量Vlよりも大きい場合に、車両の停車が続いて、燃料量Vlに燃料量Viを加算したものが燃料量Vsよりも小さいまま冷却水温度が所定値以上となった場
合には、アイドル運転を中止して内燃機関1を停止させる。この場合、希薄燃焼にて内燃機関1を最始動することができるので、これ以上内燃機関1の温度を上昇させる必要はなく、内燃機関1を停止させることにより、燃費を向上させることができる。
【0086】
次に、本実施例における内燃機関の自動停止制御の実行の可否を決定するフローについて説明する。
【0087】
図3、図4、図5は、本実施例における内燃機関の自動停止制御の実行の可否を決定するフローを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に実行される。なお、前記フローと同一の処理がなされるステップについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
ステップS201では、ユーザが車両の目的地をナビゲーションシステムに入力し、この目的地に従いナビゲーションシステムが予め走行経路を決定する。
【0089】
ステップS202では、ECU12は、車両が現在どこにいるのかを検出する。検出はナビゲーションシステムの情報に基づいて行なわれる。
【0090】
ステップS203では、ECU12は、その後に予定されている発進および走行に必要な燃料量、すなわち燃料量Vsおよび燃料量Vlを推定できるか否か判定する。ここでは、過去に同一経路を走行したときのデータがECU12に記憶されている場合に、必要な燃料量を推定可能であると判定される。
【0091】
ステップS203で肯定判定がなされた場合にはステップS204へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS105へ進む。
【0092】
ステップS204では、ECU12は、その後に予定されている発進および加速走行について、ストイキ燃焼にて走行を開始した場合と、希薄燃焼にて走行を開始した場合と、について、記憶されている過去の加速走行パターンのデータ(機関回転数、吸気スロットル弁6開度、冷却水温度等)から燃料量Vsおよび燃料量Vlを推定する。
【0093】
ステップS205では、ECU12は、燃料量Vsが燃料量Vlよりも大きいか否か判定する。
【0094】
ステップS205で肯定判定がなされた場合にはステップS206へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS213へ進む。
【0095】
ステップS206では、ECU12は、内燃機関1を希薄燃焼にて始動し、その後希薄燃焼にてアイドル運転を行い該内燃機関1の温度を上昇させる。
【0096】
ステップS207では、ECU12は、燃料量Viを算出する。燃料量Viは、希薄燃焼にて内燃機関のアイドル運転を行っているときの燃料使用量を積算して求める。
【0097】
ステップS208では、ECU12は、内燃機関1の冷却水温度を検出する。
【0098】
ステップS209では、ECU12は、燃料量Vlに燃料量Viを加えたものが燃料量Vs以上であるか、または、冷却水温度が所定値以上であるか否か判定する。
【0099】
ステップS209で肯定判定がなされた場合にはステップS210へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS207へ戻る。
【0100】
ステップS210では、ECU12は、走行要求があるか否か判定する。
【0101】
ステップS210で肯定判定がなされた場合にはステップS212へ進み、一方、否定判定がなされた場合にはステップS211へ進む。
【0102】
ステップS211では、ECU12は、内燃機関1を停止させ、内燃機関の自動停止制御へ戻る。
【0103】
ステップS212では、ECU12は、内燃機関1を始動させ、通常の走行制御を行う。
【0104】
ステップS213では、ECU12は、内燃機関1を始動させずに内燃機関の自動停止制御へ戻る。この場合、例え内燃機関1の冷却水温度が所定値より低くても、希薄燃焼にてアイドル運転をせずに該内燃機関1を停止させる。
【0105】
このようにして、ナビゲーションシステムを利用することにより、内燃機関1を停止させたときの燃料消費量と、停止させないときの燃料消費量とを比較することができ、燃料消費量のより少ないほうを選択することで燃費をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例によるハイブリッドシステム、及び内燃機関の吸排気系の概略構成を示す図である。
【図2】実施例1による内燃機関の自動停止制御のフローを示したフローチャートである。
【図3】実施例3による内燃機関の自動停止制御のフローを示した第1フローチャートである。
【図4】実施例3による内燃機関の自動停止制御のフローを示した第2フローチャートである。
【図5】実施例3による内燃機関の自動停止制御のフローを示した第3フローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
1 内燃機関
2 気筒
3 燃料噴射弁
4 吸気枝管
5 吸気管
6 吸気スロットル弁
7 吸気スロットル弁用アクチュエータ
9 排気枝管
10 排気管
11 排気浄化触媒
12 ECU
13 アクセル開度センサ
14 クランクポジションセンサ
15 ターボチャージャ
15a コンプレッサハウジング
15b タービンハウジング
17 エアフローメータ
18 水温センサ
31 動力分割機構
32 電動モータ
33 発電機
34 バッテリ
35 インバータ
36 車軸
37 減速機
38 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン空燃比による希薄燃焼およびストイキ近傍でのストイキ燃焼を切り換えて運転可能な内燃機関と、
車両停止時および/または内燃機関の低負荷運転時に該内燃機関を自動的に停止させる内燃機関自動停止手段と、
を備えた希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置において、
前記内燃機関が所定期間停止してからストイキ燃焼にて該内燃機関を始動させ該内燃機関が希薄燃焼可能となるまでに必要となる燃料量を推定する第1燃料量推定手段と、
希薄燃焼によるアイドル運転を、前記所定期間、もしくは前記所定期間と前記内燃機関が前記所定期間停止してからストイキ燃焼にて内燃機関を始動させ該内燃機関が希薄燃焼可能となるまでの期間とを加えた期間、継続して行う場合に必要となる燃料量を推定する第2燃料量推定手段と、
前記第2燃料量推定手段により推定される燃料量が前記第1燃料量推定手段により推定される燃料量よりも少ない場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止を禁止し且つ前記内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転する希薄燃焼選択手段と、
を備えたことを特徴とする希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置。
【請求項2】
車両の現在位置を検知し、さらに目的地に向けて走行経路を設定するナビゲーションシステムと、
車両の走行状態および/または内燃機関の運転状態を前記ナビゲーションシステムにより得られる車両の位置と関連付けて記憶する記憶手段と、
をさらに備え、
前記所定期間は、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定される期間であって、前記内燃機関が前記内燃機関自動停止手段により自動的に停止され得る期間であることを特徴とする請求項1に記載の希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置。
【請求項3】
リーン空燃比による希薄燃焼およびストイキ近傍でのストイキ燃焼を切り換えて運転可能な内燃機関と、
車両停止時および/または内燃機関の低負荷運転時に該内燃機関を自動的に停止させる内燃機関自動停止手段と、
を備えた希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置において、
車両の現在位置を検知し、さらに目的地に向けて走行経路を設定するナビゲーションシステムと、
車両の走行状態および/または内燃機関の運転状態を前記ナビゲーションシステムにより得られる車両の位置と関連付けて記憶する記憶手段と、
ストイキ燃焼で内燃機関を始動して車両が走行を開始し希薄燃焼に移行するまでに要する燃料消費量を、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定する第3燃料量推定手段と、
ストイキ燃焼で内燃機関を始動して車両が走行を開始し希薄燃焼に移行するまでに該車両が走行する距離を、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定するストイキ運転距離推定手段と、
希薄燃焼にて内燃機関を始動後に前記ストイキ運転距離推定手段により推定される走行距離を希薄燃焼で走行するときに要する燃料消費量に、現時点から希薄燃焼にてアイドル運転を継続するときに要する燃料消費量を加えたものを、前記記憶手段により記憶されている過去の内燃機関の運転状態及び前記ナビゲーションシステムから得られる現在位置に基づいて推定する第4燃料量推定手段と、
前記第4燃料量推定手段により推定される燃料消費量が前記第3燃料量推定手段により推定される燃料消費量よりも少ない場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止を禁止し且つ前記内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転する自動停止禁止手段と、
を備えたことを特徴とする希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置。
【請求項4】
前記自動停止禁止手段が内燃機関の自動停止を禁止し且つ前記内燃機関を希薄燃焼にてアイドル運転させているときの現時点までのアイドル運転中の燃料消費量を算出するアイドル使用燃料量算出手段をさらに備え、
前記第4燃料量推定手段により推定された燃料消費量に前記アイドル使用燃料量算出手段により算出された燃料消費量を加えたものが、前記第3燃料量推定手段により推定された燃料消費量以上となった場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止の禁止を解除して、前記内燃機関を停止させることを特徴とする請求項3に記載の希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置。
【請求項5】
前記自動停止禁止手段により前記内燃機関が希薄燃焼にてアイドル運転されている場合であって、前記内燃機関の冷却水温度が希薄燃焼可能な温度以上となった場合には、前記内燃機関自動停止手段による内燃機関の自動停止の禁止を解除して、前記内燃機関を停止させることを特徴とする請求項3に記載の希薄燃焼式内燃機関の自動停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−46298(P2006−46298A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232403(P2004−232403)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】