帯状部材の切断装置
【課題】切断刃のホルダーへの取付けを容易に行うことができ、しかも切断刃をホルダーに確実に取付けることのできる帯状部材の切断装置を提供する。
【解決手段】ホルダー本体21の各傾斜面21cは当接面21aと対向するとともに左右方向の外側から内側に向かって傾斜しており、各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられるとともにそれぞれ傾斜面21cに当接可能であり、連結シャフト23は各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能であることから、当接面21aと各当接ブロック22との間に切断刃10を配置するとともに、連結シャフト23によって各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与すると、各当接ブロック22の押付力によって切断刃10が当接面21aに押付けられ、各当接ブロック22の押付力が常に等しくなる。
【解決手段】ホルダー本体21の各傾斜面21cは当接面21aと対向するとともに左右方向の外側から内側に向かって傾斜しており、各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられるとともにそれぞれ傾斜面21cに当接可能であり、連結シャフト23は各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能であることから、当接面21aと各当接ブロック22との間に切断刃10を配置するとともに、連結シャフト23によって各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与すると、各当接ブロック22の押付力によって切断刃10が当接面21aに押付けられ、各当接ブロック22の押付力が常に等しくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用空気入りタイヤの製造工程において、スチールコードによって補強された未加硫ゴムからなる帯状部材を所定の長さに切断するための帯状部材の切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の帯状部材の切断装置としては、所定の材料供給源から供給される帯状部材の上方及び下方にそれぞれ配置され、それぞれ帯状部材の幅方向に延びるように設けられた上下一対の切断刃と、各切断刃をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダーとを備え、上側の切断刃を保持した上側のホルダーを上下方向に移動させることにより、各切断刃によって帯状部材を所定の長さに切断するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−12126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記帯状部材の切断装置では、切断刃が固定部材の一端面に複数のボルトによって固定されるとともに、固定部材が帯状部材の幅方向に延びるように形成され、固定部材の他端面には下方から上方に向かって傾斜する傾斜面が設けられている。一方、ホルダーには、互いに帯状部材の幅方向に間隔をおいて配置された複数の当接ブロックと、各当接ブロックをそれぞれ上下方向に移動させる複数のボルトと、固定部材の一端面と当接可能な当接面が設けられ、固定部材の一端面が当接面に当接している状態で、各ボルトによって各当接ブロックを上下方向に移動させると、各当接ブロックが固定部材の傾斜面に当接して固定部材を当接面側に押付け、各当接ブロックの押付力によって切断刃が固定部材とともにホルダーに取付けられるようになっている。
【0004】
ここで、前記帯状部材の切断装置では、上側の切断刃が下方に向かって移動すると、上側の切断刃と下側の切断刃とがわずかに接触し、各切断刃によって帯状部材が切断されるようになっているので、下側の切断刃と上側の切断刃との刃厚方向の距離が所定距離よりもわずかに遠くなるだけで、切断面の品質が低下し、下側の切断刃と上側の切断刃との刃厚方向の距離が所定距離よりもわずかに近くなるだけで、各切断刃が無用に接触して各切断刃の寿命が短くなる。一方、各ボルトの締付力が異なると、各当接ブロックによって生ずる押付力が異なり、押付力の大きい位置が押付力の小さい位置よりも前記刃厚方向の距離が小さくなる。即ち、切断面の品質及び各切断刃の寿命を向上するために、各ボルトを互いに等しい締付力で締付ける必要があるので、切断刃をホルダーに取付ける作業が容易ではないという問題点があった。
【0005】
一方、当接ブロックを1つだけ設けることも考えられるが、固定部材が帯状部材の幅方向の1箇所だけで押圧されることになり、固定部材をホルダーに確実に取付けることができないという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切断刃のホルダーへの取付けを容易に行うことができ、しかも切断刃をホルダーに確実に取付けることのできる帯状部材の切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、所定の材料供給源から供給される帯状部材の上方及び下方にそれぞれ配置され、それぞれ所定方向に延びるように形成された上下一対の切断刃と、各切断刃をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダーとを備え、各切断刃によって帯状部材を切断する帯状部材の切断装置において、前記各ホルダーのうち少なくとも一方のホルダーに前記所定方向に延びるように設けられ、保持する切断刃の厚さ方向一端側に当接する当接面と、当接面と対向するように設けられ、前記所定方向の外側から内側に向って当接面側に傾斜する一対の傾斜面と、互いに前記所定方向に並ぶように設けられ、各傾斜面にそれぞれ当接可能な一対の当接ブロックと、各当接ブロックに互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能な付勢機構とを備えている。
【0008】
これにより、各傾斜面は当接面と対向するとともに前記所定方向の外側から内側に向かって傾斜しており、各当接ブロックは互いに前記所定方向に並ぶように設けられるとともにそれぞれ各傾斜面に当接可能であり、付勢機構は各当接ブロックに互いに近づく方向の力を付与可能であることから、当接面と各当接ブロックとの間に切断刃を配置するとともに、付勢機構によって各当接ブロックに互いに近づく方向の力を付与すると、各当接ブロックが各傾斜面に当接するとともに各当接ブロックが各傾斜面によって切断刃側に押付けられ、各当接ブロックの押付力によって切断刃が当接面に押付けられる。ここで、付勢機構は各当接ブロックに互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能であることから、各当接ブロックが各傾斜面に当接する力が互いに等しくなり、各当接ブロックの押付力が常に等しくなる。また、各当接ブロックは互いに前記所定方向に並ぶように設けられているので、切断刃は前記所定方向に並ぶ2箇所で当接面側に押付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各当接ブロックの押付力が常に等しくなるので、付勢機構によって各当接ブロックに互いに近づく方向の力を付与するだけで、切断刃の前記所定方向一端側及び他端側に加わる押付力を等しくすることができ、切断刃のホルダーへの取付けを容易に行うことができる。また、切断刃を前記所定方向に並ぶ2箇所で当接面側に押付けることができるので、切断刃をホルダーに確実に取付ける上で極めて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図9は本発明の一実施形態を示すもので、図1は帯状部材切断装置の平面図、図2は帯状部材を切断する前の状態の帯状部材切断装置の側面図、図3は帯状部材を切断した後の状態の帯状部材切断装置の側面図、図4はホルダーの側面図、図5は移動規制部材、各当接ブロック、連結シャフト及び切断刃を取外した状態のホルダーの側面図、図6及び図7は図4におけるA−A線断面図、図8及び図9は図4におけるB−B線断面図である。
【0011】
本実施形態の帯状部材切断装置は、図示しない材料供給装置から供給される帯状部材WAの上方及び下方にそれぞれ配置された上下一対の切断刃10と、各切断刃10をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダー20と、上側のホルダー20を上下方向に移動可能に保持する上側フレーム30と、下側のホルダー20を固定する下側フレーム40と、各切断刃10によって切断された帯状部材WAを載置可能な搬送コンベア50とを備えている。尚、以下の文章中の方向の説明は図1及び図2の前後方向、左右方向及び上下方向に準ずる。
【0012】
各切断刃10は左右方向に延びるように設けられ、所定の材料供給源から供給される帯状部材WAの長さ方向は左右方向と所定の角度αをなす。即ち、各切断刃10は帯状部材のWAの長さ方向と所定の角度αをなす方向に延びるように設けられ、各切断刃10によって切断された帯状部材WAの切断端面は帯状部材WAの長さ方向と前記所定の角度αをなす。切断刃10は厚さ方向一端側及び他端側の上端及び下端に刃部10aを有し、厚さ方向一端側及び他端側の上下方向中央部に把持面10bを有する。即ち、各刃部10aは切断刃10の4つの角によって形成されている。切断刃10の厚さ方向一端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致し、切断刃10の厚さ方向他端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致している。また、切断刃10の厚さ方向一端側において各刃部10aと把持面10bとの間にはそれぞれ溝部10cが形成され、切断刃10の厚さ方向他端側において各刃部10aと把持面10bとの間にはそれぞれ溝部10cが形成されている。
【0013】
各ホルダー20は、ホルダー本体21と、一対の当接ブロック22と、各当接ブロック22を連結する連結シャフト23と、各当接ブロック22の互いに離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材24とを有する。上側のホルダー20と下側のホルダー20とは同等の構成を有し、下側のホルダー20のホルダー本体21は上側のホルダー20のホルダー本体21を上下方向及び前後方向に反転させた構成になっている。上側のホルダー20及び下側のホルダー20が同等の構成を有するので、以下の文章では上側のホルダー20について説明する。
【0014】
ホルダー本体21には前方を臨む当接面21aが設けられ、当接面21aは左右方向に延びる平面状に形成されている。また、当接面21aからはスプリングピン21bが突出している。ホルダー本体21には当接面21aと対向する一対の傾斜面21cが設けられ、各傾斜面21cは互いに左右方向に並ぶように設けられている。また、各傾斜面21cは左右方向の外側から内側に向かって当接面21a側に傾斜しており、当接面21aに対する各傾斜面21cの傾斜角度は互いに略等しい。各傾斜面21cの左右方向の内側には溝部21dが設けられ、溝部21dは左右方向に延びるように設けられている。溝部21d内には連結シャフト23が配置されるようになっている。
【0015】
各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられ、各傾斜面21cにそれぞれ当接可能に形成されている。各当接ブロック22の前端面は各傾斜面21cに沿うように形成され、各当接ブロック22の後端面は左右方向に延びる平面上に形成されている。各当接ブロック22内にはそれぞれネジ孔22aが設けられ、ネジ孔22aは当接ブロック22を左右方向に貫通している。
【0016】
連結シャフト23は左右方向に延びる円柱状に形成され、連結シャフト23の左端側の外周面には左ネジ部23aが形成され、連結シャフト23の右端側の外周面には右ネジ部23bが形成されている。各ネジ部23a,23bはそれぞれ各当接ブロック22のネジ孔22aと螺合している。連結シャフト23の左端には断面正六角形の操作部23cが設けられ、連結シャフト23を回転させる際に、操作部23cに所定の工具が取付けられる。連結シャフト23は特許請求の範囲に記載した付勢機構に相当するとともに移動機構に相当する。
【0017】
移動規制部材24は左右方向に延びる平板状に形成され、移動規制部材24の左端及び右端には上方に向かって延びる係止部24aが形成されている。移動規制部材24は2つのボルト24bによってホルダー本体21の下端面に取付けられる。
【0018】
ホルダー本体21に各当接ブロック22、連結シャフト23及び移動規制部材24を取付ける場合は、図5に示すように、先ず連結シャフト23に各当接ブロック22が螺合している状態で、各当接ブロック22を各傾斜面21cに当接可能な位置に配置する。これにより、各当接ブロック22の間の連結シャフト23が溝部21d内に配置される。次に、各ボルト24bによって移動規制部材24をホルダー本体21の下端面に取付ける。これにより、各当接ブロック22及び連結シャフト23がホルダー本体21内の所定の位置に保持される。また、移動規制部材24の各係止部24aが各当接ブロック22に左右方向の外側から係止可能な状態になる。
【0019】
上側フレーム30は、設置面から上方に向かって延びるとともに後方に向かって延びる上側フレーム本体31と、上側フレーム本体31の後端部に上下方向に延びるように設けられた一対のレール32と、各レール32によって上下方向に移動可能に支持されたスライダー33とを備えている。スライダー33の下端面に上側のホルダー20のホルダー本体21が固定され、スライダー33は図示しないモータ及びカム機構によって上下動するようになっている。
【0020】
下側フレーム40は、水平方向に延びる平板状の固定ベース41aを有するとともに設置面状に載置された下側フレーム本体41と、固定ベース41a上に載置されている可動ベース42とを有する。下側のホルダー20のホルダー本体21は可動ベース42の前端側に固定されている。可動ベース42には複数の固定用ボルト42aが設けられ、各固定用ボルト42aを緩めると、可動ベース42が固定ベース41a上を移動可能となり、各固定用ボルト42aを締付けると、可動ベース42が固定ベース42aに固定される。また、可動ベース42の後方には複数の調整用ボルト42bが設けられ、各調整用ボルト42bは固定ベース41aに設けられた突出部41bに螺合している。即ち、各固定ボルト42aを緩めるとともに、各調整用ボルト42bを回転させることにより、可動ベース42の位置を微調整することができる。また、上側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置と下側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置とが切断刃10の刃の厚さ方向に一致するように、可動ベース42の位置が調整されている。
【0021】
搬送コンベア50は周知のベルトコンベアから成り、切断された帯状部材WAを左右方向に搬送可能である。また、搬送コンベア50は下側の切断刃10の前方に配置され、搬送コンベア50の上面は下側の切断刃10の上面よりもわずかに低い位置に配置されている。
【0022】
以上のように構成された帯状部材切断装置において、切断刃10をホルダー20に取付ける場合は、先ず、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させ、当接面21aと各当接ブロック22との間に切断刃10を配置する。この時、切断刃10の厚さ方向一端側の把持面10bが当接面21aと対向する位置に配置され、切断刃10の厚さ方向他端側の把持面10bが各当接ブロック22と対向する位置に配置される。また、スプリングピン21bが切断刃10の厚さ方向一端側の溝部10c内に配置され、スプリングピン21cと溝部10cとが上下方向に係止する。これにより、切断刃10がホルダー20に仮止めされ、切断刃10のホルダー20への取付作業が容易になる。
【0023】
次に、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22を互いに近づく方向に移動させるとともに、各当接ブロック22を各傾斜面21cにそれぞれ当接させる。続いて、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与することにより、各当接ブロック22が各傾斜面21cによって切断刃10側に押付けられ、各当接ブロック22の押付力によって切断刃10が当接面21aに押付けられる。これにより、切断刃10がホルダー20に取付けられる。ここで、連結シャフト23には右ネジ部23a及び左ネジ部23bが設けられ、各ネジ部23a,23bが各当接ブロック22のネジ部22aに螺合しているので、連結シャフト23を回転させると、各当接ブロック22に互いに近づく方向の力が互いに等しい大きさで付与される。
【0024】
ここで、上側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置と下側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致しており、切断刃10の厚さ方向一端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致しているので、各ホルダー20に各切断刃10を取付けるだけで、各切断刃10が帯状部材WAの切断に適した位置に配置される。即ち、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致するので、上側の切断刃10を下方に移動させると、上側の切断刃10の刃部10aと下側の切断刃10の刃部10aとがわずかに接触する。さらに、切断刃10の厚さ方向他端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致しているので、切断刃10を厚さ方向他端側が当接面21aに当接するようにホルダー20に取付けた場合でも、各切断刃10が帯状部材WAの切断に適した位置に配置される。
【0025】
このように各切断刃10が取付けられた帯状部材切断装置において、帯状部材WAを切断する場合は、図3に示すように、各切断刃10の間に帯状部材WAが配置された状態で、上側の切断刃10が下方に移動することにより、各切断刃10の間の帯状部材WAが切断される。また、切断された帯状部材WAは搬送コンベア50上に載置される。搬送コンベア50は切断された帯状部材WAが載置されると、その切断された帯状部材WAを左方向に所定距離だけ搬送する。この状態で次に切断された帯状部材WAが搬送コンベア50に載置されると、その帯状部材WAの幅方向端部と前に載置されている帯状部材WAの幅方向端部とが重ね合わせられる。また、各帯状部材WAの重ね合わせ部は図示しないローラ等によって貼り合わせられる。このように複数枚の切断された帯状部材WAが貼り合せられることによりベルト部材が成形される。
【0026】
一方、各切断刃10は定期的に研磨する必要があり、研磨の際は切断刃10が各ホルダー20から取外される。切断刃10をホルダー20から取外す場合は、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させ、各当接ブロック22による切断刃10の押付けを解除する。
【0027】
ここで、各当接ブロック22は切断刃10を大きな押付力で押付けているので、連結シャフト23を回転させた際に各当接ブロック22のうち何れか一方の当接ブロック22のみが移動し、他方の当接ブロック22による押付けを解除できない場合がある。これに対し、本実施形態では、各当接ブロック22の離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材24が設けられているので、何れか一方の当接ブロック22のみが移動した場合に、連結シャフト23をさらに回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させると、一方の当接ブロック22の移動が移動規制部材24によって規制されるとともに、一方の当接ブロック22の移動が規制されることにより他方の当接ブロック22が移動し、他方の当接ブロック22による押付けが解除される。即ち、連結シャフト23を回転させるだけで確実に切断刃10を取外すことができる。
【0028】
また、取外した切断刃10は厚さ方向一端側の面が全面に亘って研磨される。即ち、研磨後も刃部10aの位置と把持面10bの位置とが切断刃10の厚さ方向に一致する。このため、研磨後の切断刃10をホルダー20に取付けるだけで、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致する。
【0029】
このように、本実施形態によれば、ホルダー本体21の各傾斜面21cは当接面21aと対向するとともに左右方向の外側から内側に向かって傾斜しており、各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられるとともにそれぞれ傾斜面21cに当接可能であり、連結シャフト23は各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与可能であることから、当接面21aと各当接ブロック22との間に切断刃10を配置するとともに、連結シャフト23によって各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与すると、各当接ブロック22が各傾斜面21cに当接するとともに、各当接ブロック22が各傾斜面21cによって切断刃10側に押付けられ、各当接ブロック22の押付力によって切断刃10が当接面21aに押付けられる。ここで、連結シャフト23は各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能であることから、各当接ブロック22が各傾斜面21cに当接する力が互いに等しくなり、各当接ブロック22の押付力が常に等しくなる。即ち、連結シャフト23によって各当接部材22に互いに近づく方向の力を付与するだけで、切断刃10の左右方向一端側及び他端側に加わる押付力を等しくすることができ、切断刃10のホルダー20への取付けを容易に行うことができる。
【0030】
また、各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられているので、切断刃10が左右方向に並ぶ2箇所で当接面21a側に押付けられ、切断刃10をホルダー20に確実に取付ける上で極めて有利である。
【0031】
また、左端側の外周面に左ネジ部23aが形成されるとともに右端側の外周面に右ネジ部23bが形成された連結シャフト23を設け、連結シャフト23の各ネジ部23a,23bがそれぞれ各当接ブロック22に螺合するように構成したので、連結シャフト23を回転させるだけで各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与することができ、構成の簡素化及び軽量化を図ることができる。特に、上側のホルダー20は上側フレーム30によって上下方向に移動するようになっているので、ホルダー20の構成の簡素化は製造コストの低減を計る上で極めて有利であり、ホルダー20の軽量化は装置の振動低減や省エネルギー化を図る上で極めて有利である。
【0032】
また、各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させる連結シャフト23を設けたので、連結シャフト23を回転させることにより、各当接ブロック22が互いに離れる方向に移動し、各当接ブロック22による切断刃10の押付けを解除することができる。また、各当接ブロック22の互いに離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材24を設けたので、連結シャフト23の回転によって何れか一方の当接ブロック22のみが移動し、他方の当接ブロック22による押付けが解除されなかった場合でも、連結シャフト23をさらに回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させると、一方の当接ブロック22の移動が移動規制部材24によって規制されるとともに、一方の当接ブロック22の移動が規制されることにより他方の当接ブロック22が移動し、他方の当接ブロック22による押付けも解除される。即ち、連結シャフト23を回転させるだけで切断刃10を確実に取外すことができ、切断刃10のホルダー20への着脱を短時間で行う上で極めて有利である。
【0033】
また、上側のホルダー20及び下側のホルダー20にそれぞれ当接面21a、各傾斜面21c、各当接ブロック22及び連結シャフト23を設け、上側のホルダー20の当接面21aの位置と下側のホルダー20の当接面21aの位置とが切断刃10の厚さ方向に一致するとともに、ホルダー20に取付けられた切断刃10の厚さ方向一端側における刃部10aの位置とホルダー20の当接面21aの位置とが切断刃10の厚さ方向に一致するように構成したので、各ホルダー20に各切断刃10を取付けるだけで、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致する。即ち、研磨や交換のために切断刃10を着脱する場合に、上側の切断刃10に対する下側の切断刃10の位置を調整しなくても、常に各切断刃10を帯状部材WAの切断に適した位置に配置することができる。従って、切断刃10の着脱作業を行う作業者の熟練度によらず、切断面の品質及び各切断刃10の寿命の向上を図ることができる。
【0034】
尚、本実施形態では、切断刃10を直接ホルダー20に取付けるようにしたものを示したが、切断刃10を所定の固定部材60に取付けるとともに、切断刃10を固定部材60とともにホルダー20に取付けることも可能である(図10参照)。
【0035】
また、本実施形態では、各当接ブロック22を連結シャフト23によって移動させるようにしたものを示したが、連結シャフト23の代わりにエアーシリンダーや油圧シリンダーから成るシリンダー70を設けることも可能である(図11参照)。この場合でも、シリンダー70によって各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与することができるとともに、各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させることができる。
【0036】
尚、本実施形態では、切断刃10に溝部10cを設けたものを示したが、切断刃10を溝部10cが設けられていない断面矩形状に形成することも可能である。この場合でも、切断刃10の把持部10bの位置と刃部10aの位置とを切断刃10の厚さ方向に一致させることができるので、各ホルダー20に各切断刃10を取付けるだけで、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明における一実施形態を示す帯状部材切断装置の平面図
【図2】帯状部材を切断する前の状態の帯状部材切断装置の側面図
【図3】帯状部材を切断した後の状態の帯状部材切断装置の側面図
【図4】ホルダーの側面図
【図5】移動規制部材、各当接ブロック、連結シャフト及び切断刃を取外した状態のホルダーの側面図
【図6】図4におけるA−A線断面図
【図7】図4におけるA−A線断面図
【図8】図4におけるB−B線断面図
【図9】図4におけるB−B線断面図
【図10】本実施形態の第1変形例を示すホルダーの側面図
【図11】本実施形態の第2変形例を示すホルダーの断面図
【符号の説明】
【0038】
10…切断刃、20…ホルダー、21…ホルダー本体、21a…当接面、21b…スプリングピン、21c…傾斜面、21d…溝部、22…当接ブロック、22a…ネジ孔、23…連結シャフト、23a…左ネジ部、23b…右ネジ部、23c…操作部、24…移動規制部材、24a…係止部、40…上側フレーム、31…上側フレーム本体、32…レール、33…スライダー、40…下側フレーム、31…下側フレーム本体、42…可動ベース、50…搬送コンベア、60…固定部材、70…シリンダ、WA…帯状部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用空気入りタイヤの製造工程において、スチールコードによって補強された未加硫ゴムからなる帯状部材を所定の長さに切断するための帯状部材の切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の帯状部材の切断装置としては、所定の材料供給源から供給される帯状部材の上方及び下方にそれぞれ配置され、それぞれ帯状部材の幅方向に延びるように設けられた上下一対の切断刃と、各切断刃をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダーとを備え、上側の切断刃を保持した上側のホルダーを上下方向に移動させることにより、各切断刃によって帯状部材を所定の長さに切断するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−12126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記帯状部材の切断装置では、切断刃が固定部材の一端面に複数のボルトによって固定されるとともに、固定部材が帯状部材の幅方向に延びるように形成され、固定部材の他端面には下方から上方に向かって傾斜する傾斜面が設けられている。一方、ホルダーには、互いに帯状部材の幅方向に間隔をおいて配置された複数の当接ブロックと、各当接ブロックをそれぞれ上下方向に移動させる複数のボルトと、固定部材の一端面と当接可能な当接面が設けられ、固定部材の一端面が当接面に当接している状態で、各ボルトによって各当接ブロックを上下方向に移動させると、各当接ブロックが固定部材の傾斜面に当接して固定部材を当接面側に押付け、各当接ブロックの押付力によって切断刃が固定部材とともにホルダーに取付けられるようになっている。
【0004】
ここで、前記帯状部材の切断装置では、上側の切断刃が下方に向かって移動すると、上側の切断刃と下側の切断刃とがわずかに接触し、各切断刃によって帯状部材が切断されるようになっているので、下側の切断刃と上側の切断刃との刃厚方向の距離が所定距離よりもわずかに遠くなるだけで、切断面の品質が低下し、下側の切断刃と上側の切断刃との刃厚方向の距離が所定距離よりもわずかに近くなるだけで、各切断刃が無用に接触して各切断刃の寿命が短くなる。一方、各ボルトの締付力が異なると、各当接ブロックによって生ずる押付力が異なり、押付力の大きい位置が押付力の小さい位置よりも前記刃厚方向の距離が小さくなる。即ち、切断面の品質及び各切断刃の寿命を向上するために、各ボルトを互いに等しい締付力で締付ける必要があるので、切断刃をホルダーに取付ける作業が容易ではないという問題点があった。
【0005】
一方、当接ブロックを1つだけ設けることも考えられるが、固定部材が帯状部材の幅方向の1箇所だけで押圧されることになり、固定部材をホルダーに確実に取付けることができないという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切断刃のホルダーへの取付けを容易に行うことができ、しかも切断刃をホルダーに確実に取付けることのできる帯状部材の切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、所定の材料供給源から供給される帯状部材の上方及び下方にそれぞれ配置され、それぞれ所定方向に延びるように形成された上下一対の切断刃と、各切断刃をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダーとを備え、各切断刃によって帯状部材を切断する帯状部材の切断装置において、前記各ホルダーのうち少なくとも一方のホルダーに前記所定方向に延びるように設けられ、保持する切断刃の厚さ方向一端側に当接する当接面と、当接面と対向するように設けられ、前記所定方向の外側から内側に向って当接面側に傾斜する一対の傾斜面と、互いに前記所定方向に並ぶように設けられ、各傾斜面にそれぞれ当接可能な一対の当接ブロックと、各当接ブロックに互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能な付勢機構とを備えている。
【0008】
これにより、各傾斜面は当接面と対向するとともに前記所定方向の外側から内側に向かって傾斜しており、各当接ブロックは互いに前記所定方向に並ぶように設けられるとともにそれぞれ各傾斜面に当接可能であり、付勢機構は各当接ブロックに互いに近づく方向の力を付与可能であることから、当接面と各当接ブロックとの間に切断刃を配置するとともに、付勢機構によって各当接ブロックに互いに近づく方向の力を付与すると、各当接ブロックが各傾斜面に当接するとともに各当接ブロックが各傾斜面によって切断刃側に押付けられ、各当接ブロックの押付力によって切断刃が当接面に押付けられる。ここで、付勢機構は各当接ブロックに互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能であることから、各当接ブロックが各傾斜面に当接する力が互いに等しくなり、各当接ブロックの押付力が常に等しくなる。また、各当接ブロックは互いに前記所定方向に並ぶように設けられているので、切断刃は前記所定方向に並ぶ2箇所で当接面側に押付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各当接ブロックの押付力が常に等しくなるので、付勢機構によって各当接ブロックに互いに近づく方向の力を付与するだけで、切断刃の前記所定方向一端側及び他端側に加わる押付力を等しくすることができ、切断刃のホルダーへの取付けを容易に行うことができる。また、切断刃を前記所定方向に並ぶ2箇所で当接面側に押付けることができるので、切断刃をホルダーに確実に取付ける上で極めて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図9は本発明の一実施形態を示すもので、図1は帯状部材切断装置の平面図、図2は帯状部材を切断する前の状態の帯状部材切断装置の側面図、図3は帯状部材を切断した後の状態の帯状部材切断装置の側面図、図4はホルダーの側面図、図5は移動規制部材、各当接ブロック、連結シャフト及び切断刃を取外した状態のホルダーの側面図、図6及び図7は図4におけるA−A線断面図、図8及び図9は図4におけるB−B線断面図である。
【0011】
本実施形態の帯状部材切断装置は、図示しない材料供給装置から供給される帯状部材WAの上方及び下方にそれぞれ配置された上下一対の切断刃10と、各切断刃10をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダー20と、上側のホルダー20を上下方向に移動可能に保持する上側フレーム30と、下側のホルダー20を固定する下側フレーム40と、各切断刃10によって切断された帯状部材WAを載置可能な搬送コンベア50とを備えている。尚、以下の文章中の方向の説明は図1及び図2の前後方向、左右方向及び上下方向に準ずる。
【0012】
各切断刃10は左右方向に延びるように設けられ、所定の材料供給源から供給される帯状部材WAの長さ方向は左右方向と所定の角度αをなす。即ち、各切断刃10は帯状部材のWAの長さ方向と所定の角度αをなす方向に延びるように設けられ、各切断刃10によって切断された帯状部材WAの切断端面は帯状部材WAの長さ方向と前記所定の角度αをなす。切断刃10は厚さ方向一端側及び他端側の上端及び下端に刃部10aを有し、厚さ方向一端側及び他端側の上下方向中央部に把持面10bを有する。即ち、各刃部10aは切断刃10の4つの角によって形成されている。切断刃10の厚さ方向一端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致し、切断刃10の厚さ方向他端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致している。また、切断刃10の厚さ方向一端側において各刃部10aと把持面10bとの間にはそれぞれ溝部10cが形成され、切断刃10の厚さ方向他端側において各刃部10aと把持面10bとの間にはそれぞれ溝部10cが形成されている。
【0013】
各ホルダー20は、ホルダー本体21と、一対の当接ブロック22と、各当接ブロック22を連結する連結シャフト23と、各当接ブロック22の互いに離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材24とを有する。上側のホルダー20と下側のホルダー20とは同等の構成を有し、下側のホルダー20のホルダー本体21は上側のホルダー20のホルダー本体21を上下方向及び前後方向に反転させた構成になっている。上側のホルダー20及び下側のホルダー20が同等の構成を有するので、以下の文章では上側のホルダー20について説明する。
【0014】
ホルダー本体21には前方を臨む当接面21aが設けられ、当接面21aは左右方向に延びる平面状に形成されている。また、当接面21aからはスプリングピン21bが突出している。ホルダー本体21には当接面21aと対向する一対の傾斜面21cが設けられ、各傾斜面21cは互いに左右方向に並ぶように設けられている。また、各傾斜面21cは左右方向の外側から内側に向かって当接面21a側に傾斜しており、当接面21aに対する各傾斜面21cの傾斜角度は互いに略等しい。各傾斜面21cの左右方向の内側には溝部21dが設けられ、溝部21dは左右方向に延びるように設けられている。溝部21d内には連結シャフト23が配置されるようになっている。
【0015】
各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられ、各傾斜面21cにそれぞれ当接可能に形成されている。各当接ブロック22の前端面は各傾斜面21cに沿うように形成され、各当接ブロック22の後端面は左右方向に延びる平面上に形成されている。各当接ブロック22内にはそれぞれネジ孔22aが設けられ、ネジ孔22aは当接ブロック22を左右方向に貫通している。
【0016】
連結シャフト23は左右方向に延びる円柱状に形成され、連結シャフト23の左端側の外周面には左ネジ部23aが形成され、連結シャフト23の右端側の外周面には右ネジ部23bが形成されている。各ネジ部23a,23bはそれぞれ各当接ブロック22のネジ孔22aと螺合している。連結シャフト23の左端には断面正六角形の操作部23cが設けられ、連結シャフト23を回転させる際に、操作部23cに所定の工具が取付けられる。連結シャフト23は特許請求の範囲に記載した付勢機構に相当するとともに移動機構に相当する。
【0017】
移動規制部材24は左右方向に延びる平板状に形成され、移動規制部材24の左端及び右端には上方に向かって延びる係止部24aが形成されている。移動規制部材24は2つのボルト24bによってホルダー本体21の下端面に取付けられる。
【0018】
ホルダー本体21に各当接ブロック22、連結シャフト23及び移動規制部材24を取付ける場合は、図5に示すように、先ず連結シャフト23に各当接ブロック22が螺合している状態で、各当接ブロック22を各傾斜面21cに当接可能な位置に配置する。これにより、各当接ブロック22の間の連結シャフト23が溝部21d内に配置される。次に、各ボルト24bによって移動規制部材24をホルダー本体21の下端面に取付ける。これにより、各当接ブロック22及び連結シャフト23がホルダー本体21内の所定の位置に保持される。また、移動規制部材24の各係止部24aが各当接ブロック22に左右方向の外側から係止可能な状態になる。
【0019】
上側フレーム30は、設置面から上方に向かって延びるとともに後方に向かって延びる上側フレーム本体31と、上側フレーム本体31の後端部に上下方向に延びるように設けられた一対のレール32と、各レール32によって上下方向に移動可能に支持されたスライダー33とを備えている。スライダー33の下端面に上側のホルダー20のホルダー本体21が固定され、スライダー33は図示しないモータ及びカム機構によって上下動するようになっている。
【0020】
下側フレーム40は、水平方向に延びる平板状の固定ベース41aを有するとともに設置面状に載置された下側フレーム本体41と、固定ベース41a上に載置されている可動ベース42とを有する。下側のホルダー20のホルダー本体21は可動ベース42の前端側に固定されている。可動ベース42には複数の固定用ボルト42aが設けられ、各固定用ボルト42aを緩めると、可動ベース42が固定ベース41a上を移動可能となり、各固定用ボルト42aを締付けると、可動ベース42が固定ベース42aに固定される。また、可動ベース42の後方には複数の調整用ボルト42bが設けられ、各調整用ボルト42bは固定ベース41aに設けられた突出部41bに螺合している。即ち、各固定ボルト42aを緩めるとともに、各調整用ボルト42bを回転させることにより、可動ベース42の位置を微調整することができる。また、上側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置と下側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置とが切断刃10の刃の厚さ方向に一致するように、可動ベース42の位置が調整されている。
【0021】
搬送コンベア50は周知のベルトコンベアから成り、切断された帯状部材WAを左右方向に搬送可能である。また、搬送コンベア50は下側の切断刃10の前方に配置され、搬送コンベア50の上面は下側の切断刃10の上面よりもわずかに低い位置に配置されている。
【0022】
以上のように構成された帯状部材切断装置において、切断刃10をホルダー20に取付ける場合は、先ず、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させ、当接面21aと各当接ブロック22との間に切断刃10を配置する。この時、切断刃10の厚さ方向一端側の把持面10bが当接面21aと対向する位置に配置され、切断刃10の厚さ方向他端側の把持面10bが各当接ブロック22と対向する位置に配置される。また、スプリングピン21bが切断刃10の厚さ方向一端側の溝部10c内に配置され、スプリングピン21cと溝部10cとが上下方向に係止する。これにより、切断刃10がホルダー20に仮止めされ、切断刃10のホルダー20への取付作業が容易になる。
【0023】
次に、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22を互いに近づく方向に移動させるとともに、各当接ブロック22を各傾斜面21cにそれぞれ当接させる。続いて、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与することにより、各当接ブロック22が各傾斜面21cによって切断刃10側に押付けられ、各当接ブロック22の押付力によって切断刃10が当接面21aに押付けられる。これにより、切断刃10がホルダー20に取付けられる。ここで、連結シャフト23には右ネジ部23a及び左ネジ部23bが設けられ、各ネジ部23a,23bが各当接ブロック22のネジ部22aに螺合しているので、連結シャフト23を回転させると、各当接ブロック22に互いに近づく方向の力が互いに等しい大きさで付与される。
【0024】
ここで、上側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置と下側のホルダー20のホルダー本体21の当接面21aの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致しており、切断刃10の厚さ方向一端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致しているので、各ホルダー20に各切断刃10を取付けるだけで、各切断刃10が帯状部材WAの切断に適した位置に配置される。即ち、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致するので、上側の切断刃10を下方に移動させると、上側の切断刃10の刃部10aと下側の切断刃10の刃部10aとがわずかに接触する。さらに、切断刃10の厚さ方向他端側において各刃部10aの位置と把持面10bの位置とは切断刃10の厚さ方向に一致しているので、切断刃10を厚さ方向他端側が当接面21aに当接するようにホルダー20に取付けた場合でも、各切断刃10が帯状部材WAの切断に適した位置に配置される。
【0025】
このように各切断刃10が取付けられた帯状部材切断装置において、帯状部材WAを切断する場合は、図3に示すように、各切断刃10の間に帯状部材WAが配置された状態で、上側の切断刃10が下方に移動することにより、各切断刃10の間の帯状部材WAが切断される。また、切断された帯状部材WAは搬送コンベア50上に載置される。搬送コンベア50は切断された帯状部材WAが載置されると、その切断された帯状部材WAを左方向に所定距離だけ搬送する。この状態で次に切断された帯状部材WAが搬送コンベア50に載置されると、その帯状部材WAの幅方向端部と前に載置されている帯状部材WAの幅方向端部とが重ね合わせられる。また、各帯状部材WAの重ね合わせ部は図示しないローラ等によって貼り合わせられる。このように複数枚の切断された帯状部材WAが貼り合せられることによりベルト部材が成形される。
【0026】
一方、各切断刃10は定期的に研磨する必要があり、研磨の際は切断刃10が各ホルダー20から取外される。切断刃10をホルダー20から取外す場合は、連結シャフト23を回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させ、各当接ブロック22による切断刃10の押付けを解除する。
【0027】
ここで、各当接ブロック22は切断刃10を大きな押付力で押付けているので、連結シャフト23を回転させた際に各当接ブロック22のうち何れか一方の当接ブロック22のみが移動し、他方の当接ブロック22による押付けを解除できない場合がある。これに対し、本実施形態では、各当接ブロック22の離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材24が設けられているので、何れか一方の当接ブロック22のみが移動した場合に、連結シャフト23をさらに回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させると、一方の当接ブロック22の移動が移動規制部材24によって規制されるとともに、一方の当接ブロック22の移動が規制されることにより他方の当接ブロック22が移動し、他方の当接ブロック22による押付けが解除される。即ち、連結シャフト23を回転させるだけで確実に切断刃10を取外すことができる。
【0028】
また、取外した切断刃10は厚さ方向一端側の面が全面に亘って研磨される。即ち、研磨後も刃部10aの位置と把持面10bの位置とが切断刃10の厚さ方向に一致する。このため、研磨後の切断刃10をホルダー20に取付けるだけで、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致する。
【0029】
このように、本実施形態によれば、ホルダー本体21の各傾斜面21cは当接面21aと対向するとともに左右方向の外側から内側に向かって傾斜しており、各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられるとともにそれぞれ傾斜面21cに当接可能であり、連結シャフト23は各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与可能であることから、当接面21aと各当接ブロック22との間に切断刃10を配置するとともに、連結シャフト23によって各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を付与すると、各当接ブロック22が各傾斜面21cに当接するとともに、各当接ブロック22が各傾斜面21cによって切断刃10側に押付けられ、各当接ブロック22の押付力によって切断刃10が当接面21aに押付けられる。ここで、連結シャフト23は各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能であることから、各当接ブロック22が各傾斜面21cに当接する力が互いに等しくなり、各当接ブロック22の押付力が常に等しくなる。即ち、連結シャフト23によって各当接部材22に互いに近づく方向の力を付与するだけで、切断刃10の左右方向一端側及び他端側に加わる押付力を等しくすることができ、切断刃10のホルダー20への取付けを容易に行うことができる。
【0030】
また、各当接ブロック22は互いに左右方向に並ぶように設けられているので、切断刃10が左右方向に並ぶ2箇所で当接面21a側に押付けられ、切断刃10をホルダー20に確実に取付ける上で極めて有利である。
【0031】
また、左端側の外周面に左ネジ部23aが形成されるとともに右端側の外周面に右ネジ部23bが形成された連結シャフト23を設け、連結シャフト23の各ネジ部23a,23bがそれぞれ各当接ブロック22に螺合するように構成したので、連結シャフト23を回転させるだけで各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与することができ、構成の簡素化及び軽量化を図ることができる。特に、上側のホルダー20は上側フレーム30によって上下方向に移動するようになっているので、ホルダー20の構成の簡素化は製造コストの低減を計る上で極めて有利であり、ホルダー20の軽量化は装置の振動低減や省エネルギー化を図る上で極めて有利である。
【0032】
また、各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させる連結シャフト23を設けたので、連結シャフト23を回転させることにより、各当接ブロック22が互いに離れる方向に移動し、各当接ブロック22による切断刃10の押付けを解除することができる。また、各当接ブロック22の互いに離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材24を設けたので、連結シャフト23の回転によって何れか一方の当接ブロック22のみが移動し、他方の当接ブロック22による押付けが解除されなかった場合でも、連結シャフト23をさらに回転させて各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させると、一方の当接ブロック22の移動が移動規制部材24によって規制されるとともに、一方の当接ブロック22の移動が規制されることにより他方の当接ブロック22が移動し、他方の当接ブロック22による押付けも解除される。即ち、連結シャフト23を回転させるだけで切断刃10を確実に取外すことができ、切断刃10のホルダー20への着脱を短時間で行う上で極めて有利である。
【0033】
また、上側のホルダー20及び下側のホルダー20にそれぞれ当接面21a、各傾斜面21c、各当接ブロック22及び連結シャフト23を設け、上側のホルダー20の当接面21aの位置と下側のホルダー20の当接面21aの位置とが切断刃10の厚さ方向に一致するとともに、ホルダー20に取付けられた切断刃10の厚さ方向一端側における刃部10aの位置とホルダー20の当接面21aの位置とが切断刃10の厚さ方向に一致するように構成したので、各ホルダー20に各切断刃10を取付けるだけで、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致する。即ち、研磨や交換のために切断刃10を着脱する場合に、上側の切断刃10に対する下側の切断刃10の位置を調整しなくても、常に各切断刃10を帯状部材WAの切断に適した位置に配置することができる。従って、切断刃10の着脱作業を行う作業者の熟練度によらず、切断面の品質及び各切断刃10の寿命の向上を図ることができる。
【0034】
尚、本実施形態では、切断刃10を直接ホルダー20に取付けるようにしたものを示したが、切断刃10を所定の固定部材60に取付けるとともに、切断刃10を固定部材60とともにホルダー20に取付けることも可能である(図10参照)。
【0035】
また、本実施形態では、各当接ブロック22を連結シャフト23によって移動させるようにしたものを示したが、連結シャフト23の代わりにエアーシリンダーや油圧シリンダーから成るシリンダー70を設けることも可能である(図11参照)。この場合でも、シリンダー70によって各当接ブロック22に互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与することができるとともに、各当接ブロック22を互いに離れる方向に移動させることができる。
【0036】
尚、本実施形態では、切断刃10に溝部10cを設けたものを示したが、切断刃10を溝部10cが設けられていない断面矩形状に形成することも可能である。この場合でも、切断刃10の把持部10bの位置と刃部10aの位置とを切断刃10の厚さ方向に一致させることができるので、各ホルダー20に各切断刃10を取付けるだけで、各切断刃10の厚さ方向一端側の刃部10aの位置が切断刃10の厚さ方向に一致する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明における一実施形態を示す帯状部材切断装置の平面図
【図2】帯状部材を切断する前の状態の帯状部材切断装置の側面図
【図3】帯状部材を切断した後の状態の帯状部材切断装置の側面図
【図4】ホルダーの側面図
【図5】移動規制部材、各当接ブロック、連結シャフト及び切断刃を取外した状態のホルダーの側面図
【図6】図4におけるA−A線断面図
【図7】図4におけるA−A線断面図
【図8】図4におけるB−B線断面図
【図9】図4におけるB−B線断面図
【図10】本実施形態の第1変形例を示すホルダーの側面図
【図11】本実施形態の第2変形例を示すホルダーの断面図
【符号の説明】
【0038】
10…切断刃、20…ホルダー、21…ホルダー本体、21a…当接面、21b…スプリングピン、21c…傾斜面、21d…溝部、22…当接ブロック、22a…ネジ孔、23…連結シャフト、23a…左ネジ部、23b…右ネジ部、23c…操作部、24…移動規制部材、24a…係止部、40…上側フレーム、31…上側フレーム本体、32…レール、33…スライダー、40…下側フレーム、31…下側フレーム本体、42…可動ベース、50…搬送コンベア、60…固定部材、70…シリンダ、WA…帯状部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の材料供給源から供給される帯状部材の上方及び下方にそれぞれ配置され、それぞれ所定方向に延びるように形成された上下一対の切断刃と、各切断刃をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダーとを備え、各切断刃によって帯状部材を切断する帯状部材の切断装置において、
前記各ホルダーのうち少なくとも一方のホルダーに前記所定方向に延びるように設けられ、保持する切断刃の厚さ方向一端側に当接する当接面と、
当接面と対向するように設けられ、前記所定方向の外側から内側に向って当接面側に傾斜する一対の傾斜面と、
互いに前記所定方向に並ぶように設けられ、各傾斜面にそれぞれ当接可能な一対の当接ブロックと、
各当接ブロックに互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能な付勢機構とを備えた
ことを特徴とする帯状部材の切断装置。
【請求項2】
前記付勢機構を、軸方向一端側の外周面に右ネジ部が設けられるとともに軸方向他端側の外周面に左ネジ部が設けられた連結シャフトから形成し、
連結シャフトの右ネジ部が各当接ブロックのうち一方の当接ブロックに螺合するとともに、連結シャフトの左ネジ部が各当接ブロックのうち他方の当接ブロックに螺合するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の帯状部材の切断装置。
【請求項3】
各当接ブロックを互いに離れる方向に移動可能な移動機構と、
各当接ブロックの互いに離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材とを備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の帯状部材の切断装置。
【請求項4】
前記当接面、各傾斜面、各当接ブロック及び付勢機構を各ホルダーにそれぞれ設け、
一方のホルダーの当接面の位置と他方のホルダーの当接面の位置とが切断刃の厚さ方向に一致するとともに、ホルダーに取付けられた切断刃の刃部の位置とホルダーの当接面の位置とが切断刃の厚さ方向に一致するように構成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の帯状部材の切断装置。
【請求項1】
所定の材料供給源から供給される帯状部材の上方及び下方にそれぞれ配置され、それぞれ所定方向に延びるように形成された上下一対の切断刃と、各切断刃をそれぞれ着脱自在に取付可能な一対のホルダーとを備え、各切断刃によって帯状部材を切断する帯状部材の切断装置において、
前記各ホルダーのうち少なくとも一方のホルダーに前記所定方向に延びるように設けられ、保持する切断刃の厚さ方向一端側に当接する当接面と、
当接面と対向するように設けられ、前記所定方向の外側から内側に向って当接面側に傾斜する一対の傾斜面と、
互いに前記所定方向に並ぶように設けられ、各傾斜面にそれぞれ当接可能な一対の当接ブロックと、
各当接ブロックに互いに近づく方向の力を互いに等しい大きさで付与可能な付勢機構とを備えた
ことを特徴とする帯状部材の切断装置。
【請求項2】
前記付勢機構を、軸方向一端側の外周面に右ネジ部が設けられるとともに軸方向他端側の外周面に左ネジ部が設けられた連結シャフトから形成し、
連結シャフトの右ネジ部が各当接ブロックのうち一方の当接ブロックに螺合するとともに、連結シャフトの左ネジ部が各当接ブロックのうち他方の当接ブロックに螺合するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の帯状部材の切断装置。
【請求項3】
各当接ブロックを互いに離れる方向に移動可能な移動機構と、
各当接ブロックの互いに離れる方向への移動をそれぞれ規制可能な移動規制部材とを備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の帯状部材の切断装置。
【請求項4】
前記当接面、各傾斜面、各当接ブロック及び付勢機構を各ホルダーにそれぞれ設け、
一方のホルダーの当接面の位置と他方のホルダーの当接面の位置とが切断刃の厚さ方向に一致するとともに、ホルダーに取付けられた切断刃の刃部の位置とホルダーの当接面の位置とが切断刃の厚さ方向に一致するように構成した
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の帯状部材の切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−94056(P2008−94056A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281577(P2006−281577)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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