説明

帯電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】 放電ワイヤに対する汚れの付着を防止することが出来る帯電器、プロセスカートリッッジ並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 帯電器30は一対の対向電極61とこの対向電極61間を架設する天井壁58とからなるケーシング30A内に放電ワイヤ37を収容してなる。天井壁58のうち放電ワイヤ37と対向する位置には空気取り入れ口58Aが開口しており、更に、その口縁部には放電ワイヤ37に向かって延びる一対の対向片65が形成されている。そのため、空気取り入れ口58Aから流入した新鮮な外気を放電ワイヤ37に集中的に吹きかけることが出来から、放電ワイヤ37に汚れが付着し難くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザプリンタ等の画像形成装置では、帯電器によりコロナ放電を行って感光体を帯電させている。この種の帯電器においては放電電極を収容するケーシングに開口部を設けたものが知られている(特許文献1)。これは、コロナ放電が行われる際に放電電極にトナーに含まれるシリカ等の汚染物質が付着するのを防ぐことを目的としたものである。すなわち、コロナ放電によりケーシング内が負圧の状態となると、開口部より新鮮な空気がケーシング内に流れ込む。これにより、ケーシング内には汚れた空気が入り難くなる。
また、開口部にはケーシング内に新鮮な空気が流れ込み易くするために、外向きに突出する開口脚が形成されている。
【特許文献1】特開平9−160349号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構造では、開口脚210は外向きに張り出しているから、図12に示すように、開口部を通ってケーシング200内に流入した新鮮な空気の一部は放電電極205に直接吹きかけられるものの、大部分はケーシング200内で分散してしまう。そのため、一旦、放電電極205にシリカ等が付着すると、これをうまく取り除くことができず、改良の余地があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放電電極に対する汚れの付着を防止することが出来る帯電器、プロセスカートリッッジ並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、一対の対向電極と、この対向電極間を架設するようにして配置される壁体とからなるケーシング内にコロナ放電を生じさせて感光体を帯電させる放電電極を収容した帯電器であって、前記壁体は前記放電電極と対向する位置に開口する空気取り入れ口を有し、この空気取り入れ口の口縁部には前記ケーシングの内側に向けて突出して前記空気取り入れ口を通って前記ケーシング内に取り込まれる空気を前記放電電極に向けて案内する案内部が設けられているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記感光体が支軸を中心とする周方向に回動可能に支持されているものにおいて、前記対向電極は共に前記支軸の軸方向に延びる板状をなし、前記支軸に沿う端部の一方側を前記感光体に向けた状態で配され、前記壁体は前記支軸に沿って延びる板状をなすとともに、前記対向電極の前記支軸に沿う両端部のうち前記感光体と対向する側とは反対側の端部を架設しているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記案内部は前記放電電極に向って延びる一対の対向片よりなるとともに、これら両対向片は基端側から先端側に向かって対向間隔が狭くなる形状であるところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記壁体は絶縁性の樹脂材よりなるとともに、同壁体に前記対向片が一体的に形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載のものにおいて、前記放電電極が前記感光体とされた筒型の感光ドラムの軸方向の全体に亘って連続するような寸法をもって形成されたものにおいて、前記空気取り入れ口並びに、前記対向片は前記放電電極の軸方向の全体に亘って連続するように形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項6の発明は、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記感光体を前記支軸と交差する方向に切断した断面において、前記対向片はその先端が前記対向電極のうち前記壁体と連続する端縁部と前記放電電極との間を結ぶライン上に位置するような突出高さをもって形成されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のものにおいて、前記放電電極はワイヤであるところに特徴を有する。
【0011】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のものにおいて、前記ケーシングには前記感光体と前記放電電極との間に位置して、前記感光体に帯電するイオンの量を制御するためのグリッドが設けられているところに特徴を有する。
【0012】
請求項9の発明は、感光体と、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の帯電器を備えたところに特徴を有する。
【0013】
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項8に記載の帯電器あるいは、請求項9に記載のプロセスカートリッジを用いて画像形成を行うように構成されているところに特徴を有する。
【0014】
請求項11の発明は、請求項10に記載のものにおいて、一端が開放し、他端が前記空気取り入れ口に連なるダクトを備えているところに特徴を有する。
【0015】
請求項12の発明は、請求項11に記載のものにおいて、前記ダクトの一端側には空気を前記ケーシング内に送風するための送風手段が設けられているところに特徴を有する。
【0016】
請求項13の発明は、請求項12に記載のものにおいて、前記ダクトは前記一端及び他端のみが開放されるとともに、前記空気取り入れ口の開口幅は前記送風手段に近い側ほど広くなっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
<請求項1・9・10の発明>
請求項1・9・10の発明によれば、空気取り入れ口を通ってケーシング内に取り込まれた空気(フレッシュエア)は案内部によって放電電極へと導かれる。従って、放電電極に空気が集中的に吹きかけられることとなり、放電電極に汚れが付着し難くなる。
【0018】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、放電電極並びに壁体によって、感光体の支軸に沿った箱形のケーシングが形成される。
【0019】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、空気取り入れ口から帯電器内に取り込まれる空気の流れが滑らかになる。
【0020】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、壁体と対向片とが一体的に形成されているから、これら両部材を別部品により構成する場合に比べて部品点数が少なくて済む。
【0021】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、放電電極の軸方向の全体に亘ってほぼ均等に空気を取り込むことが出来る。
【0022】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、コロナ放電に影響を与えることなく、効果的に放電電極に外気を導くことができる。
【0023】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、放電電極はワイヤである。
【0024】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、感光体に付着されるイオンの帯電量を調整することが出来る。
【0025】
<請求項11の発明>
請求項11の発明によれば、空気の取り込み量の調整が可能となる。
<請求項12の発明>
請求項12の発明によれば、空気を積極的にケーシング内に取り込むことが可能となる。
【0026】
<請求項13の発明>
請求項13の発明によれば、ダクト内の気圧は送風手段が設けられている側ほど低くなり勝ちであるが、気圧が低い部分の開口幅を広くとってやれば、同部分においてもエアの流れが円滑となり、気圧の高い部分とのバランスがとれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に本発明の一つの実施形態である実施形態1について図1ないし図11を参照して説明する。
レーザプリンタ1は図1に示すように本体ケーシング2と、その本体ケーシング2内に収容される被記録媒体としての用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0028】
本体ケーシング2の一方側の側壁には、後述するプロセスカートリッジ20を着脱するための着脱口6が形成されており、その着脱口6を開閉するためのフロントカバー7が設けられている。このフロントカバー7は、その下端部に挿通されたカバー軸(図示せず)に回動自在に支持されている。これによって、フロントカバー7をカバー軸を中心として閉じると、図1に示すように、フロントカバー7によって着脱口6が閉鎖され、フロントカバー7をカバー軸を支点として開くと(傾倒させると)、図2に示すように、着脱口6が開放され、この着脱口6を介して、プロセスカートリッジ20を本体ケーシング2に対して着脱させることができる。なお、レーザプリンタ1においてプロセスカートリッジ20以外の本体部分が装置本体1aである。
【0029】
なお、以下の説明において、図1におけるフロントカバー7が設けられる側を「前側」とし、その反対側を「後側」とする。
【0030】
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ9と、給紙トレイ9の前端部の上方に設けられる給紙ローラ10および分離パッド11と、給紙ローラ10の後側に設けられるピックアップローラ12と、給紙ローラ10の前側下方において対向配置されるピンチローラ13と、給紙ローラ10の前側上方において対向配置される紙粉取りローラ8と、給紙ローラ10の後側上方に設けられるレジストローラ14とを備えている。
【0031】
給紙トレイ9の内部には、用紙3を積層状に載置可能な用紙押圧板15が備えられている。この用紙押圧板15は、後端部において揺動可能に支持されることによって、前端部が下方に配置され、給紙トレイ9の底板16に沿う載置位置と、前端部が上方に配置され、傾斜する搬送位置とに揺動変位可能とされている。
【0032】
また、給紙トレイ9の前端部には、用紙押圧板15の前端部を上方に持ち上げるためのレバー17が設けられている。このレバー17は、用紙押圧板15の前側から下側へ回り込むように断面略L字状に形成されており、その上端部が、給紙トレイ9の前端部に設けられたレバー軸18に取り付けられ、その後端部が、用紙押圧板15の下面の前端部に当接している。これによって、レバー軸18に図中時計回りの回転駆動力が入力されると、レバー17がレバー軸18を支点として回転し、レバー17の後端部が用紙押圧板15の前端部を持ち上げ、用紙押圧板15を搬送位置に位置させる。
【0033】
用紙押圧板15が搬送位置に位置されると、用紙押圧板15上の用紙3は、ピックアップローラ12に押圧され、ピックアップローラ12の回転によって、給紙ローラ10と分離パッド11との間に向けて搬送開始される。
【0034】
一方、給紙トレイ9を本体ケーシング2から離脱させると、用紙押圧板15は、その自重によって、前端部が下方に移動し、用紙押圧板15が載置位置に位置される。用紙押圧板15が載置位置に位置されると、用紙押圧板15上に用紙3を積層状に載置することができる。
【0035】
ピックアップローラ12によって給紙ローラ10と分離パッド11との間に向けて送り出された用紙3は、給紙ローラ10の回転によって、給紙ローラ10と分離パッド11との間に挟まれたときに、確実に1枚ごとに捌かれて給紙される。給紙された用紙3は、給紙ローラ10とピンチローラ13との間を通り、紙粉取りローラ8によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ14に搬送される。
【0036】
レジストローラ14は1対のローラから構成され、用紙3をレジスト後に、後述する感光体29と転写ローラ32との間であって、感光体29上のトナー像を用紙3に転写する転写位置に搬送する。
【0037】
画像形成部5は、スキャナ部19、プロセスカートリッジ20、定着器21などを備えている。
【0038】
スキャナ部19は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源、回転駆動されるポリゴンミラー22、fθレンズ23、反射鏡24、レンズ25および反射鏡26などを備えている。レーザ光源から発光される画像データに基づくレーザビームは鎖線で示すように、ポリゴンミラー22で偏向されて、fθレンズ23を通過した後、反射鏡24によって光路が折り返され、さらにレンズ25を通過した後、反射鏡26によってさらに光路が下方に屈曲されることにより、プロセスカートリッジ20の後述する感光体29の感光ドラム34の表面上に照射される。
【0039】
プロセスカートリッジ20はスキャナ部19の下方において、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。このプロセスカートリッジ20は筐体として上下に分割構成された上下フレーム27、28を備え、内部に感光体29、スコロトロン型帯電器30(以下、単に帯電器30という)、現像カートリッジ31、転写ローラ32、およびクリーニングブラシ33を備えている。
【0040】
上フレーム27は合成樹脂製(絶縁性のもの)であって図7に示すように、基板壁56の左右両縁部に下向きの側壁(以下、左側の側壁を左側壁54、右側の側壁を右側壁55とする)を設けてなる。そして、これら両側壁54、55間には図5に示すように、次述する感光体29を支持するためのドラム軸(本発明の支軸に相当する)35が遊転自在に取り付けられている。一方、下フレーム28は上フレーム27と同じく合成樹脂であって上向きに起立する1対の側壁92を連結壁95によって連結してなる。
【0041】
感光体29は、円筒形状をなし最表層がポリカーボネートなどからなる正帯電性の感光層により形成される感光ドラム34を備えてなる。感光ドラム34はドラム軸35に外嵌され、ドラム軸35と一体的に回動するようになっている。そして、本体ケーシング2内には図示しないモータが設けられており、このモータとドラム軸35との間に動力伝達ギアが介在されている。そのため、モータの駆動に伴って、動力伝達ギアが回転駆動されるとドラム軸35、ひいては感光ドラム34が一体的に回転する。感光体29の表面は帯電器30により一様に正帯電された後、スキャナ部19からのレーザビームの高速走査により露光され、用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0042】
また、ドラム軸35と並んで、転写ローラ32が配されている。転写ローラ32は下フレーム28の側壁92間を架設されたローラ軸108の外周部を導電性のゴム材料によって被覆してなる。そして、ローラ軸108とドラム軸35との間はギヤによって連結されており、ドラム軸(感光ドラム)35が駆動するとローラ軸(転写ローラ)108がそれとは反対方向に回動するようになっている。この転写ローラ32は図1に示すように、感光体29と上下方向において対向して接触し、感光体29との間にニップを形成するように配置され、転写時に転写バイアスが印加される。
【0043】
次に、帯電器30について説明する。図6に示すように、上フレーム27の基板壁56の後部寄りの位置であって、感光体29と対向する位置には感光体29に向かって一対の支持壁59が突設されるとともに、その内側には感光体29に向かって張りだす位置決め突起67が形成され前記支持壁59との間に取り付け溝を形成している。この取り付け溝は感光体29の軸方向に沿って形成され、そこには対向電極61が嵌め合わされるようになっている。対向電極61は共に、感光体29の軸方向に沿って延びる横長な板状をなす。この対向電極61は上フレーム27の基板壁56とともに枠状のケーシング30Aを構成しており、内部には放電ワイヤ(本発明の放電電極に相当する)37が収容されている。放電ワイヤ37は、図7に示すように、上フレーム27の左側壁54に一端が係止され、他端が付勢手段としてのねじりコイルばね121に繋がれており、適度な張力をもって上フレーム27の側壁54、55間に架設されている。
尚、対向電極61における取り付け溝に嵌合される端部(図6における上側の端部)が、本発明における前記支軸に沿う両端部のうち前記感光体と対向する側とは反対側の端部に相当する。
【0044】
また、図11に示すように、上フレーム27の基板壁56のうち特に帯電器30の天井部分を形成する壁面(本発明の壁体に相当するものであって、以下、天井壁58とする。)には、放電ワイヤ37と対向する位置に空気取り入れ口58Aが形成されている。この空気取り入れ口58Aは感光体29の軸方向の全体に亘って形成され、帯電器30内に外気を取り込む様に機能するものである。
【0045】
一方、図9に示すように、ケーシング30Aのうち天井壁58と対向する側は放電口66とされており、そこには両対向電極61間を架設して放電ワイヤ37から感光体29への放電量を制御するためのグリッド38が配されている。この帯電器30では、グリッド38にバイアス電圧を印加すると同時に、放電ワイヤ37に高電圧を印加して、ケーシング30A内においてコロナ放電を生じさせるようになっている。そして、コロナ放電により生じたイオンが放電口66より感光体29に流出することで、感光体29の表面を一様に正極性に帯電させる。
【0046】
なお、この帯電器30には、放電ワイヤ37をクリーニングするためのワイパ(図示せず)が付設されており、ワイパを放電ワイヤ37に沿って摺動させることで放電ワイヤ37のクリーニングを行うことが出来る。
【0047】
次に、現像カートリッジ31は後側が解放されるボックス状に形成され、下フレーム28に対して着脱自在に装着されている。この現像カートリッジ31内にはトナー収容室39、供給ローラ40、現像ローラ41および層厚規制ブレード42が設けられている(図1・図2参照)。
【0048】
トナー収容室39は、仕切板43によって仕切られる現像カートリッジ31の前側の内部空間として形成されている。トナー収容室39内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分のトナーが充填されている。このトナーとしては、重合性単量体、たとえば、スチレンなどのスチレン系単量体や、アクリル酸、アルキル(C1〜C4)アクリレート、アルキル(C1〜C4)メタアクリレートなどのアクリル系単量体を、懸濁重合などによって共重合させることにより得られる重合トナーが用いられている。このような重合トナーは、略球状をなし、流動性が極めて良好であり、高画質の画像形成を達成することができる。
【0049】
なお、このようなトナーにはカーボンブラックなどの着色剤やワックスなどが配合され、また、流動性を向上させるために、シリカなどの外添剤が添加されている。トナーの平均粒径は、約6〜10μmである。
【0050】
また、トナー収容室39内には、アジテータ44が設けられている。トナー収容室39内のトナーは、アジテータ44により攪拌されて、仕切板43の下方において前後方向に連通する開口部45から供給ローラ40に向かって放出される。
【0051】
供給ローラ40は、開口部45の後側に配置されて、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。この供給ローラ40は、金属製のローラ軸を、導電性の発泡材料からなるローラで被覆することにより構成されている。この供給ローラ40は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0052】
現像ローラ41は、供給ローラ40の後側において、供給ローラ40と互いに圧縮されるように接触した状態で、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。また、現像ローラ41は、現像カートリッジ31が下フレーム28に装着された状態で、感光体29に対向して接触する。この現像ローラ41は、金属製のローラ軸96を、導電性のゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されている。ローラ軸96は、現像カートリッジ31の後端部において、その両端部が現像カートリッジ31の側面から前後方向と直交する幅方向外方に突出している(図3および図4参照)。現像ローラ41のローラは、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。現像ローラ41には、現像時に現像バイアスが印加される。また、現像ローラ41は、図示しないモータからの動力の入力により、供給ローラ40と同じ方向に回転駆動される。
【0053】
層厚規制ブレード42は、金属の板ばね材からなるブレード本体46の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部47を備えている。この層厚規制ブレード42は、現像ローラ41の上方において現像カートリッジ31に支持されて、押圧部47がブレード本体46の弾性力によって現像ローラ41上に圧接されている。
【0054】
開口部45から放出されたトナーは、供給ローラ40の回転により、現像ローラ41に供給され、このとき、供給ローラ40と現像ローラ41との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ41上に供給されたトナーは、現像ローラ41の回転に伴って、層厚規制ブレード42の押圧部47と現像ローラ41との間に進入し、更に帯電され一定厚さの薄層として現像ローラ41上に担持される。
【0055】
現像ローラ41の回転により、現像ローラ41上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体29に対向して接触するときに、感光体29の表面上に形成されている静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光体29の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、感光体29の静電潜像は可視像化され、感光体29の表面には反転現像によるトナー像が担持される。
【0056】
その後、感光体29の表面上に担持されたトナー像は、図1に示すように、レジストローラ14によって搬送されてくる用紙3が、感光体29と転写ローラ32との間の転写位置を通る間に、転写ローラ32に印加される転写バイアスによって、用紙3に転写される。トナー像が転写された用紙3は、定着器21に搬送される。
【0057】
なお、転写後に感光体29上に残存する転写残トナーは、現像ローラ41に回収される。また、転写後に感光体29上に付着する用紙3からの紙粉は、クリーニングブラシ33によって回収される。クリーニングブラシ33は、下フレーム28に取り付けられており、感光体29の後側において、感光体29と対向して接触するように配置されている。
【0058】
また、プロセスカートリッジ20にはスキャナ部19からの高速走査されるレーザビームLBを入射させるためのレーザ光入射窓124並びに、コロナ放電が行われた後に帯電器30内の空気を排出する通気路125が設けられている。
より具体的に説明すると、図6に示すように、上フレーム27の基板壁56であって、帯電器30の前側(帯電位置P0と露光位置P1との間)には通気路125が形成され、更に、通気路125の前側にレーザ光入射窓124が設けられている。通気路125並びにレーザ光入射窓124は共に、上フレーム27を上下に貫通しており、その開口幅は通気路125に比べてレーザ光入射窓124の方が広く設定されている。また、図7に示すように通気路125は感光体29の軸方向に沿って間欠的に設けられているが、レーザ光入射窓124は感光体29の軸方向の全体に亘って切れ目無く連続している。
尚、ここでいう帯電位置P0とは感光体29に対してイオンが吹き付けられる位置であり、露光位置P1とはレーザビームLBの照射位置のことである。
【0059】
そして、図1に示すようにプロセスカートリッジ20の後側には定着フレーム48内に、加熱ローラ49および加圧ローラ50とを備えた定着器21が設けられている。加熱ローラ49は表面がフッ素樹脂によってコーティングされた金属管と、その金属管内に加熱のためのハロゲンランプとを備え、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0060】
加圧ローラ50は、加熱ローラ49の下方において、加熱ローラ49を押圧するように対向配置されている。この加圧ローラ50は、金属製のローラ軸を、ゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されており、加熱ローラ49の回転駆動に従って従動される。
【0061】
定着器21では、転写位置において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ49と加圧ローラ50との間を通過する間に熱定着させる。トナーが定着した用紙3は、本体ケーシング2の上面に向かって上下方向に延びた排紙パス51に搬送される。排紙パス51に搬送された用紙3は、その上側に設けられる排紙ローラ52によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ53上に排紙される。
【0062】
ところで、コロナ放電が起きると、帯電器30内は負圧の状態となる。一方、帯電器30の周辺には先に述べたように現像ローラ41並びにクリーニングブラシ33が設けられているから周囲にはトナー等の粉塵が飛散した状態にあり、これがコロナ放電に伴って帯電器30内に流入する。この場合に、流入した粉塵(特にトナーに含まれるシリカ)が放電ワイヤ37に付着するとその部分ではコロナ放電が起こり難くなり、画像品質の低下を招く虞があった。そこで、本実施形態では、帯電器30に粉塵等が含まれていない新鮮な外気を供給するためのダクト70並びに、ダクト70を通って取り込まれる外気を放電ワイヤ37に導く対向片65を設けている。
【0063】
より具体的に説明すると、図6に示すように装置本体1aにおける帯電器30と対向する位置には断面L字状をなす上側閉止片62が一片を下に向けた状態で設けられている。一方、プロセスカートリッジ20の下フレーム28の後端部分からは上向きに突出する下側閉止片64が設けられている。これら両閉止片62、64は帯電器30の天井壁58を取り囲んで、天井壁58との間にダクト70を形成している。
【0064】
ダクト70は図10に示すように、感光体20の軸方向に沿って(同図における左右方向)形成されている。ダクト70のうち同図に示す左側の端部は上フレーム27の左端部よりやや内側(同図における中央側)にあって装置本体1aに設けられる側壁63によって閉止されている。一方、同図における右側の端部は閉止されておらず開放している。ダクト70の開放口70A側は上フレーム27の左端部より外方(同図における右側)に突出され装置本体1aを構成するフレーム172に臨んだ状態にある。一方、フレーム172におけるダクト70と対向する位置には通気孔172Aがフレーム172を左右に貫通するようにして開口しており、そこには送風用のファン(本発明の送風手段に相当する)175が収容されている。
【0065】
そのため、一旦、ファン175が駆動されるとダクト70、空気取り入れ口58Aを通って装置外の外気が帯電器30内に取り込まれるようになっている。尚、ダクト70は開放口70A並びに空気取り入れ口58A以外の部分は全て塞がれており、更に、図6に示すように上側閉止片62を構成する垂れた垂片62Aと下側閉止片64とは上下方向において重なるような高さ寸法をもって形成されている。このような構成とすることでファン175によって送風された外気が漏れなく空気取り入れ口58Aに流れ込むようになっている。
【0066】
また、図11に示すように、空気取り入れ口58Aは同図における左側から右側に向かって開口幅(図11に示すA寸法)が広くなるようになだらかに形成されている。このような構成とするのは、ダクト70内の気圧はファン175が設けられている側ほど低くなり勝ちである(ファン175から遠い位置では側壁63によって対流が起こり気圧が高くなる)ため、気圧が低い部分の開口幅を広くとってやることで、同部分においても空気の流れが円滑となり、気圧の高い部分とのバランスをとることが出来る。
【0067】
次に、対向片65について説明する。
図9に示すように、空気取り入れ口58Aの口縁部からは一対の対向片65が帯電器30内に突出している。これら両対向片65は放電ワイヤ37に向かってやや傾斜しながら延びており、基端65B側から先端65A側に向かって対向間隔が狭くなっている(逆ハの字状をなす)。また、対向片65の先端65Aは同図に示すように、放電ワイヤ37と対向電極61の端縁61Aとを結んだラインLとほぼ交わる位置にある。仮に対向片65の突出量が小さく、先端65AがラインLより手前側(図9における上側)にあると、空気取り入れ口58Aから流入される外気は帯電器30内で分散してしまい、放電ワイヤ37の洗浄効果が低下するが、上記構成であれば、空気取り入れ口58Aを通って帯電器30内に供給される外気が放電ワイヤ37に集中的に直接吹きかけられることとなる。
また、先端65AがラインLを交差して延びていると(図9における下側)、放電ワイヤ37の周辺部分を樹脂によって取り囲んでしまうことになるから、コロナ放電が起こり難くなる。しかし、先端65AがラインL上にあれば、放電ワイヤ37の周辺部分が対向片65によって取り囲まれることがないからコロナ放電に支障を来すこともない。これにより、対向片65をコロナ放電に支障を与えない範囲で放電ワイヤ37に向けて延ばすことができ、効果的に外気を放電ワイヤ37に吹き付けることが可能となる。
【0068】
また、図8に示すように、対向片65は空気取り入れ口58Aの長手方向に関する全長に亘って形成されている。このような構成とすることで、放電ワイヤ37の全長に亘って外気が吹きかけられる。加えて、この対向片65は上フレーム27と一体的に形成されているから、その材質は樹脂である。このような構成とすることで、放電ワイヤ37に対向片65が近接した配置にあったとしても、放電ワイヤ37から対向片65に向けて放電が起こらないようにしている。仮に、対向片65が金属製であった場合には、放電ワイヤ37と対向片65との間には強い電界が生じるから、そこで火花放電が発生してしまう。
【0069】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
感光体29を露光するべくグリッド38にバイアス電圧を印加すると同時に、放電ワイヤ37に高電圧を印加すると、帯電器30内においてコロナ放電が生じるとともに、このコロナ放電によって帯電器30内から感光体29に向かういわゆるイオン風(コロナ放電による自発的な空気の流れ)が発生する。これにより、コロナ放電により生成されたイオンは放電口66を通って感光体29側に流れ込んで、同感光体29を帯電させる。そして、帯電器30内から流出したイオンを含んだ空気は感光体29の外周面34a付近でUターン状に流れて通気路125にて導出される。これにより、流出した空気は露光部を再度帯電してしまうことなく、排出される。
【0070】
また、上記したコロナ放電に伴って帯電器30内は負圧となるから、そこへはシリカ等の粉塵を含む空気が放電口66から流入する。しかし、帯電器30内へはファン175の駆動によりダクト70、空気取り入れ口58Aを取って新鮮な外気が絶えず取り込まれるようになっている。そして、帯電器30内に取り込まれた新鮮な外気は対向片65によって放電ワイヤ37へと案内され、放電ワイヤ37に対して集中的に吹きかけられる。そのため、シリカ等の粉塵が放電ワイヤ37に付着し難くなるし、仮に付着したとしてもこれを容易に落とすことが出来る。そのため、放電ワイヤ37の全長に亘って斑無くコロナ放電が起こるから、感光体29が斑無く帯電される。
【0071】
加えて、帯電器30内に入り込む粉塵の量に応じて、ファン175の駆動速度を調節してやれば、放電ワイヤ37に対して吹きかけられる空気の量を調節することが可能であり、多量に粉塵が流入する場合であってもこれを放電ワイヤ37に付着させることなく、帯電器30外に排出出来る。更に、対向片65は上フレーム27と一体的に形成されているから、このような対向片65を別部材により形成する場合に比べて部品点数が少なくて済む。
【0072】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0073】
(1)上記実施形態では、対向片65はハの字状に傾斜する構成であったが、天井壁58から放電ワイヤ37に向かって張り出すものであれば、両板が平行に延びるものであってもよい。
【0074】
(2)上記実施形態では、ファン175並びにダクト70によって外気を帯電器30内に強制的に送りこんだが、これに代えてイオン風を利用して外気を取り込むものであってもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、放電電極をワイヤ37により構成したが、針型の電極であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの断面図
【図2】レーザプリンタからプロセスカートリッジを取り外した状態を示す断面図
【図3】レーザプリンタの平面図
【図4】プロセスカートリッジの取り付け状態を示す側面図
【図5】感光体周辺部の断面図
【図6】感光体周辺部を拡大した断面図
【図7】上フレームの斜視図
【図8】対向片の形状を示す図
【図9】図7のA−A線断面図
【図10】ダクトと帯電器の位置関係を示す断面図
【図11】空気取り入れ口の開口形状を示す図
【図12】従来例の断面図
【符号の説明】
【0077】
30…帯電器
30A…ケーシング
58…天井壁
58A…空気取り入れ口
65…対向片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の対向電極と、この対向電極間を架設するようにして配置される壁体とからなるケーシング内にコロナ放電を生じさせて感光体を帯電させる放電電極を収容した帯電器であって、
前記壁体は前記放電電極と対向する位置に開口する空気取り入れ口を有し、この空気取り入れ口の口縁部には前記ケーシングの内側に向けて突出して前記空気取り入れ口を通って前記ケーシング内に取り込まれる空気を前記放電電極に向けて案内する案内部が設けられていることを特徴とする帯電器。
【請求項2】
前記感光体が支軸を中心とする周方向に回動可能に支持されているものにおいて、
前記対向電極は共に前記支軸の軸方向に延びる板状をなし、前記支軸に沿う端部の一方側を前記感光体に向けた状態で配され、
前記壁体は前記支軸に沿って延びる板状をなすとともに、前記対向電極の前記支軸に沿う両端部のうち前記感光体と対向する側とは反対側の端部を架設していることを特徴とする請求項1に記載の帯電器。
【請求項3】
前記案内部は前記放電電極に向って延びる一対の対向片よりなるとともに、これら両対向片は基端側から先端側に向かって対向間隔が狭くなる形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帯電器。
【請求項4】
前記壁体は絶縁性の樹脂材よりなるとともに、同壁体に前記対向片が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の帯電器。
【請求項5】
前記放電電極が前記感光体とされた筒型の感光ドラムの軸方向の全体に亘って連続するような寸法をもって形成されたものにおいて、
前記空気取り入れ口並びに、前記対向片は前記放電電極の軸方向の全体に亘って連続するように形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の帯電器。
【請求項6】
前記感光体を前記支軸と交差する方向に切断した断面において、前記対向片はその先端が前記対向電極のうち前記壁体と連続する端縁部と前記放電電極との間を結ぶライン上に位置するような突出高さをもって形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の帯電器。
【請求項7】
前記放電電極はワイヤであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の帯電器。
【請求項8】
前記ケーシングには前記感光体と前記放電電極との間に位置して、前記感光体に帯電するイオンの量を制御するためのグリッドが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の帯電器。
【請求項9】
感光体と、
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の帯電器を備えたプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8に記載の帯電器あるいは、請求項9に記載のプロセスカートリッジを用いて画像形成を行うように構成されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
一端が開放し、他端が前記空気取り入れ口に連なるダクトを備えたことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記ダクトの一端側には空気を前記ケーシング内に送風するための送風手段が設けられていることを特徴する請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ダクトは前記一端及び他端のみが開放されるとともに、前記空気取り入れ口の開口幅は前記送風手段に近い側ほど広くなっていることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−98509(P2006−98509A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281930(P2004−281930)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】