説明

帯電器ユニット及び画像形成装置

【課題】帯電器の高さ規制を確実に行うことができるばかりでなく、帯電器のグリッド及びシールドケースの通電安定化を実現することができる帯電器ユニットを提供する。
【解決手段】感光体15の表面に対向して感光体15の表面を均一に帯電させる帯電器16と、感光体15と帯電器16とを平行に保持するユニットフレーム22と、ユニットフレーム22に設けられて帯電器16を感光体15に向けて付勢する付勢部材29とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体の表面に対向して感光体の表面を均一に帯電させる帯電器と、感光体と帯電器とを平行に保持するフレームとを備えた帯電器ユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式の画像形成装置には、感光体と対面させて感光体の表面を帯電させる帯電器が周知である。
【0003】
感光体の外周には、帯電・現像・転写・クリーニング・除電の各プロセスをこの順に行うために、帯電器・現像器・転写器・クリーニング器・除電器が配置され、所定の電子写真プロセスにより転写紙に画像形成処理を行なう。
【0004】
この種の電子写真装置は、感光体の表面に均一帯電を図るために一般にシールドケース内にコロナワイヤを張設してなるコロナ帯電器を用い、コロナワイヤに高電圧を印加して帯電を行っているが、均一帯電を行うためには感光体の母線方向における電圧勾配、即ち感光体の表面との高さ規制を精度よく行う必要がある。
【0005】
この際、感光体は回転するために、感光体回転時に生じる振れ等により、精度よく高さ規制を行う必要がある。
【0006】
一方、帯電器側においても、感光体と対面するシールドケースの上下両面側は開放状態に有るため、浮遊トナー等がコロナワイヤに付着し、定期的なメインテナンスや交換の必要が生じてくる。
【0007】
しかしながら、帯電器を交換可能に構成すると、感光体に対する位置精度も狂いやすいという問題が発生する。
【0008】
また、感光体の帯電を安定させるため、コロナワイヤへの通電と共に感光体に対面している帯電器のグリッドやシールドケースの通電も重要な要素となっている。
【0009】
そこで、帯電器の両端に設けた支持体を感光体に接触させて感光体表面との高さ規制を行う技術などが種々開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0010】
例えば、特許文献1に開示の技術では、感光体に対しての帯電器の高さを規制するため、帯電部の両端にコロを配置し、そのコロを感光体に当接させることにより精度の高い位置決めを可能としている。
【0011】
また、特許文献2,3に開示の技術では、感光体に対しての帯電器の高さを規制するため、帯電部にスペーサ部材を配置し、そのスペーサを感光体に当接させることにより精度の高い位置決めを可能としている。
【0012】
さらに特許文献4に開示の技術では、感光体に対しての帯電器の高さを規制するため、帯電部と感光体フレームに係合手段を設け、精度の高い位置決めを可能としている。
【特許文献1】特開2002−365881号公報
【特許文献2】特開平08−095346号公報
【特許文献3】特開平08−101557号公報
【特許文献4】特開平10−207178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上記の如く構成された帯電器ユニットにあっては、例えば、特許文献1に開示の帯電器ユニットにあっては、感光体にコロが当接している場合は、高さ規制が可能であるが、付勢手段の記載が無いため、感光体は回転していることもあり、帯電器が離れ、帯電器の高さが変化する可能性があるという問題が生じていた。
【0014】
また、特許文献2,3に開示の帯電器ユニットにあっては、スペーサなどで感光体に帯電器を付勢して高さを規制しているが、付勢手段は帯電器のグリッド及びシールドケースの通電安定化には寄与していないため、別途通電させる部材又は手段が必要となるという問題が生じていた。
【0015】
さらに、特許文献4に開示の帯電器ユニットにあっては、感光体に対する帯電器の位置を長手方向で位置決めしているため、帯電器の高さ精度は構成部品と組立精度に左右されてしまう。
【0016】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、帯電器の高さ規制を確実に行い得て、しかも、帯電器のグリッド及びシールドケースの通電安定化を実現することができる帯電器ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の帯電器ユニットは、感光体の表面に対向して該感光体の表面を均一に帯電させる帯電器と、前記感光体と前記帯電器とを平行に保持するフレームとを備えた帯電器ユニットにおいて、前記フレームには、前記帯電器を前記感光体に向けて付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この際、前記帯電器の両端に前記感光体の表面と接触することで前記感光体と前記帯電器との相対位置を規制する規制部材が設けられているのが好ましい。
【0019】
また、前記付勢部材が前記帯電器のシールド及びグリッド電圧の設定に関わる導電部材を兼ねているのが好ましい。
【0020】
さらに、前記付勢部材が、前記フレームに対する前記帯電器の挿入方向終端側に設けられていることが好ましい。
【0021】
また、本発明は上記した何れかの構成からなる帯電器ユニットを採用した画像形成装置とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の帯電器ユニットは、簡単な構成で、帯電器の高さ規制を行うと共に、帯電器のグリッド及びシールドケースの通電安定化を達成することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態に係る帯電器ユニットについて、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係る帯電器ユニットを採用した画像形成装置としての複合機の説明図、図2は本発明の帯電器ユニットの斜視図、図3は本発明の帯電器ユニットの分解斜視図、図4は本発明の帯電器ユニットに用いられる帯電器の斜視図、図5は本発明の帯電器ユニットの帯電器装着前の要部の断面図、図6は本発明の帯電器ユニットの帯電器装着後の要部の断面図、図7(A)及び図7(B)は付勢部材の斜視図である。
【0025】
図1において、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機1は、装置本体2の正面から引き出し可能な転写紙収納装置3と、複写機・ファクシミリ・スキャナの各種機能として原稿を読み取る際に使用する自動原稿送り装置(ADF)4と、表示画面5と併用して各種機能等の設定・選択操作を行う操作部6とを備えている。
【0026】
尚、この複合機1の形状や構成・機能等は図示例のものに限定されるものではない。また、例えば、ソーター等のオプション機器等の設置を妨げるものではない。
【0027】
(複合機1の内部構成)
また、装置本体2の内部には、転写紙収納装置3に収納された転写紙(図示せず)を取り出す取出ローラ7と、取出ローラ7から排紙トレイ8に至る搬送経路9と、搬送経路9のシート搬送方向上流側から順次配置されたレジストローラ対10,画像形成部11,画像定着部12,排出ローラ対13と、画像形成済み転写紙の裏面に画像形成処理を行う場合に反転しつつ画像形成部11へと転写紙を再搬送するスイッチバック経路14と、を備えている。
【0028】
(画像形成部11)
画像形成部11は、ドラム状の感光体15と、この感光体15の周囲に配置された帯電器16、露光器17、現像器18、転写器19、感光体クリーニング器20、除電器21をこの順に備えている。
【0029】
これにより、画像形成部11は、感光体15が図示しない駆動手段によって所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動され、その表面が帯電器16によって所定の極性・電位に均一に帯電される。
【0030】
帯電後の感光体15は、その表面に露光器17によって静電潜像が形成される。ここで、露光器17は、例えば、複写機機能によりADF4を利用してスキャナー部で読み取った印刷データ、ファクシミリ機能により電話回線を通じて受信した印刷データ、プリンタ機能によりネットワーク等の通信回線によって接続されたパーソナルコンピュータ等から出力された印刷データに基づいて、感光体15の表面にレーザー光を照射し、感光体15の表面のレーザー光照射部分の電荷を除去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0031】
そして、感光体15の表面に形成された静電潜像は、現像器18によって電荷を有するトナーが静電的に付着されてトナー像として現像される。そのトナー像は、転写器19によって転写紙に転写像として転写される。
【0032】
この際、転写紙にトナー像を転写した感光体15は、感光体クリーニング器20によって残留トナー等が除去されると共に次の画像形成時の帯電のために除電器21によって除電される。
【0033】
一方、感光体15と帯電器16とは、図2乃至図6に示すように、ユニットフレーム22に装着されてユニット化されている。
【0034】
ユニットフレーム22は、その両端に支持フレーム23,24を備え、各支持フレーム23,24に感光体15の両端並びに帯電器16の両端のそれぞれが支持されている。
【0035】
具体的には、帯電器16は、感光体15の軸線方向と略平行になるように延在され且つ感光体15側に開放する断面コ字形状のシールドケース26を備え、このシールドケース26の両端に設けられたホルダー27,28が各支持フレーム23,24に形成された開口23a,24aに挿入・支持されている。
【0036】
この際、帯電器16は、支持フレーム23に形成された開口23aからホルダー28が挿入され、そのホルダー28が支持フレーム24の開口24aに支持されると共にホルダー27が開口23aに支持される。また、ホルダー28は開口24aに装着された付勢部材29を介して開口24aに支持される。
【0037】
また、帯電器16は、各ホルダー27,28に回転可能に保持されて感光体15の表面に当接・従動回転される一対のコロ30と、シールドケース26内に位置して各ホルダー27,28間に張設されたコロナワイヤ31と、シールドケース26の開放端を覆うように各ホルダー27,28間に張設されたグリッド32と、ホルダー28に装着されて付勢部材29と当接する配線部材33と、シールドケース26に形成されたガイド溝26aに沿って変位することでコロナワイヤ31を清掃する清掃部材34とを備えている。
【0038】
コロ30は、感光体15の表面とコロナワイヤ31との距離を規制すると共に感光体15の表面とグリッド32との距離を規制(例えば、0.5mm)する。
【0039】
付勢部材29は、開口24aと係合するクリップ35を介して開口24a内で支持フレーム24に保持されている。また、付勢部材29は、導電材料(例えば、ステンレス製の板バネ)からでできており、図7に示すように、クリップ35に支持される支持部29aと、常時は自由端29b側が感光体15側に向けて傾斜する弾性舌片部29cとが打ち抜きプレス等によって一体形成されている。また、付勢部材29は、クリップ35に設けられた一対の位置決め用突起36に支持部29aに形成された一対の位置決め穴29dを挿入することでクリップ35に保持される。さらに、付勢部材29は、帯電器16をユニットフレーム22で保持した際には配線部材33を介して弾性舌片部29cがシールドケース26に当接する構造となっており、シールドケース26及びグリッド32を所定電圧に調整することができる。
【0040】
具体的には、付勢部材29から可変抵抗部材を通じて本体アース(共に図示せず)に導通しており、グリッド32のグリッド電圧を調整できるようになっている。これにより、調整のばらつきを減らすことができ、帯電器16のシールドケース26との導通に対する確実性が向上されている。
【0041】
上記の構成において、帯電器16は、感光体15を保持したユニットフレーム22に保持されている。
【0042】
帯電器16は、ホルダー28側から開口23aに挿入され、そのまま押し続けることによってホルダー28が開口24aに支持されると共にホルダー27が開口23aに支持される。
【0043】
この際、ユニットフレーム22の支持フレーム24付近には、開口24aに向けて多段で下方傾斜(帯電器16が感光体15に接近する方向)するガイドリブ22aが形成されている。このガイドリブ22aは、感光体15と帯電器16との高さ規制用のコロ30が感光体15に当接するため、帯電器16をそのまま平行に移動させると感光体15の感光層にコロ30が干渉して傷が付いてしまうので、帯電器16が感光体15から離れて移動するように傾斜設定されている。
【0044】
また、付勢部材29は、図6に示すように、帯電器16を挿入し切った位置で感光体15側に向けて帯電器16を付勢することにより、感光体15に帯電器16(コロ30)が直接干渉することが抑制されている。
【0045】
さらに、付勢部材29は、シールドケース26に確実に当接させるため、ある程度の食い込みが設定されており、その食い込み量が帯電器16を感光体15側に付勢する力にもなっている。さらに、帯電器16の挿入時に付勢部材29がシールドケース26を擦るように当接するため、シールドケース26についた多少のゴミなどを落とす効果もあり、安定した導通を得ることができる。尚、付勢部材29は、ステンレス製の板バネ以外の導電材料を使用して帯電器16を付勢できれば、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0046】
また、帯電器16は、ユニットフレーム22から抜き取ることで機械使用者やサービス担当者がグリッド32やシールドケース26を清掃することができる。
【0047】
このように、本発明の帯電器ユニットによれば、帯電器16を感光体15対向面の逆面から感光体15側に付勢することにより、高さ規制を確実なものとし得て、しかも、帯電器のシールド及びグリッド電圧の設定に関わる導電性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る帯電器ユニットを採用した画像形成装置としての複合機の説明図である。
【図2】本発明の帯電器ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の帯電器ユニットの分解斜視図である。
【図4】本発明の帯電器ユニットに用いられる帯電器の斜視図である。
【図5】本発明の帯電器ユニットの帯電器装着前の要部の断面図である。
【図6】本発明の帯電器ユニットの帯電器装着後の要部の断面図である。
【図7】(A),(B)は本発明の帯電器ユニットに用いられる付勢部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1…複合機(画像形成装置)
15…感光体
16…帯電器
22…ユニットフレーム(フレーム)
29…付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の表面に対向して該感光体の表面を均一に帯電させる帯電器と、前記感光体と前記帯電器とを平行に保持するフレームとを備えた帯電器ユニットにおいて、
前記フレームには、前記帯電器を前記感光体に向けて付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする帯電器ユニット。
【請求項2】
前記帯電器の両端に前記感光体の表面と接触することで前記感光体と前記帯電器との相対位置を規制する規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の帯電器ユニット。
【請求項3】
前記付勢部材が前記帯電器のシールド及びグリッド電圧の設定に関わる導電部材を兼ねていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帯電器ユニット。
【請求項4】
前記付勢部材が、前記フレームに対する前記帯電器の挿入方向終端側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の帯電器ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の帯電器ユニットを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−268248(P2008−268248A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106834(P2007−106834)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】