説明

帯電装置、画像形成装置およびプログラム

【課題】フィラメント状放電に起因する白点画像の発生を防止することのできる帯電装置、画像形成装置およびプログラムを得る。
【解決手段】感光体ドラムの表面に接触または近接して配置され、前記表面との接触位置または最近接位置から離れるに従って前記表面との距離が遠くなるように構成されると共に、帯電用電源15によって直流電圧と交流電圧とが重畳された重畳電圧が印加されて感光体ドラムの表面を帯電させる帯電ローラに、制御部50により、前記距離が共通であるときの、前記重畳電圧が印加された状態で帯電ローラから感光体ドラムに対してフィラメント状放電が開始される前記交流電圧の振幅、および前記重畳電圧が帯電ローラに印加された状態で帯電ローラから感光体ドラムに対してグロー状放電が開始される前記交流電圧の振幅の差が予め定められた範囲内となる振幅の交流電圧を前記直流電圧に重畳させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、像担持体に接触もしくは近接させた帯電部材に電圧印加部より電圧を印加し、前記像担持体を近接放電により帯電させる帯電装置において、前記像担持体と前記帯電部材との間のギャップに発生する光の強度を検知する光センサと、該光センサが検知した光強度と目標とする放電条件との相関関係に基づいて放電条件を制御する制御手段と、を具備することを特徴とする帯電装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、回転する像担持体上の帯電処理を行う接触帯電手段と、前記接触帯電手段にバイアスを印加する電源と、前記像担持体に流れ込む直流電流成分を検知する直流電流検知手段と、前記像担持体に画像情報を記録する露光手段と、前記露光手段によって記録された画像情報のトナー像化する現像手段と、前記像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写部材と、を有する画像形成装置において、前記接触帯電部材に印加されるバイアスが交番電界に直流電界を重畳したものであり、該交番電界の画像形成時の制御値は、非画像形成時の所定のタイミングに、該交番電界を暫時、増加、あるいは減少させ、かつ直流電界を一定とした時に、前記、直流電流検知手段の検知値と、該交番電界の値との関係に応じて決定されることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材とを備えた画像形成装置において、前記帯電部材に前記像担持体の表面を帯電するための交流電圧を印加する交流電源と、前記帯電部材に印加される交流電圧に同期した固定位相で前記像担持体と前記帯電部材との間を流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により得られた電流値と予め設定される所定の電流値との差分を演算すると共に、前記差分が所定の値となるように前記交流電源の出力を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−92117号公報
【特許文献2】特開2004−333789号公報
【特許文献3】特開2002−72633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フィラメント状放電に起因する白点画像の発生を防止することのできる帯電装置、画像形成装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の帯電装置は、像保持体の表面に接触または近接して配置され、前記表面との接触位置または最近接位置から離れるに従って前記表面との距離が遠くなるように構成されると共に、直流電圧と交流電圧とが重畳された重畳電圧が印加されて前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記距離が共通であるときの、前記重畳電圧が前記帯電手段に印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してフィラメント状放電が開始される前記交流電圧の振幅、および前記重畳電圧が前記帯電手段に印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してグロー状放電が開始される前記交流電圧の振幅の差が予め定められた範囲内となる振幅の交流電圧を前記直流電圧に重畳させるように制御する制御手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記交流電圧の振幅を予め定められた範囲内で変化させたときの前記フィラメント状放電が開始される前記交流電圧の振幅の前記距離に対する第1の分布状態、および前記交流電圧の振幅を予め定められた範囲内で変化させたときの前記グロー状放電が開始される前記交流電圧の振幅の前記距離に対する第2の分布状態を導出する導出手段をさらに備え、前記制御手段が、前記導出手段によって導出された前記第1の分布状態を示す線と前記第2の分布状態を示す線との交点を含む予め定められた範囲内の何れかの振幅の交流電圧を前記直流電圧に重畳させるように制御するものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記帯電手段から前記像保持体に対する予め定められた放電領域を撮影する撮影手段をさらに備え、前記導出手段が、前記撮影手段による撮影によって得られた放電光の輝度の前記距離に対する分布状態に基づいて、前記第1の分布状態および前記第2の分布状態を導出するものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記フィラメント状放電が開始される交流電圧の振幅および前記グロー状放電が開始される交流電圧の振幅の少なくとも一方に影響を与えるものとして予め定められた物理量を検出する検出手段をさらに備え、前記制御手段が、前記検出手段により検出された物理量に基づいて、前記交点を含む予め定められた範囲内の何れかの振幅の交流電圧における当該振幅の補正を行うものである。
【0011】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記制御手段が、前記検出手段によって検出された物理量と、前記補正の対象となる交流電圧の振幅を決定した際の前記物理量との差が予め定められた量以上となった場合に前記補正を行うものである。
【0012】
一方、上記目的を達成するために、請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項5の何れか1項記載の帯電装置と、前記帯電装置により表面が帯電される像保持体と、前記帯電装置により前記表面が帯電された状態で前記像保持体に静電潜像を形成する形成手段と、を備えている。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項7に記載のプログラムは、コンピュータを、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の帯電装置における制御手段として機能させるためのものである。
【0014】
さらに、上記目的を達成するために、請求項8に記載のプログラムは、コンピュータを、像保持体の表面に接触または近接して配置され、前記表面との接触位置または最近接位置から離れるに従って前記表面との距離が遠くなるように構成されると共に、直流電圧と交流電圧とが重畳された重畳電圧が印加されて前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段に前記重畳電圧が印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してフィラメント状放電が開始される前記交流電圧の振幅、および前記重畳電圧が前記帯電手段に印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してグロー状放電が開始される前記交流電圧の振幅を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記フィラメント状放電が開始される交流電圧の振幅、および前記グロー状放電が開始される交流電圧の振幅の、前記距離が共通であるときの差が予め定められた範囲内となる振幅の交流電圧を前記直流電圧に重畳させるように制御する制御手段と、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、請求項6、請求項7、および請求項8に記載の発明によれば、当該発明における交流電圧を適用しない場合に比較して、フィラメント状放電に起因する白点画像の発生を防止することができる、という効果が得られる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、当該発明の導出手段を用いない場合に比較して、より確実にフィラメント状放電に起因する白点画像の発生を防止することができる、という効果が得られる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、当該発明の撮影手段を用いない場合に比較して、より簡易にフィラメント状放電に起因する白点画像の発生を防止することができる、という効果が得られる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、当該発明の補正を行わない場合に比較して、より確実にフィラメント状放電に起因する白点画像の発生を防止することができる、という効果が得られる。
【0019】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、不要な補正の実行を回避することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す側面図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の帯電ローラに対する電圧印加の制御に関する部分の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置の帯電ローラに印加する重畳電圧における交流電圧の振幅の決定方法の説明に供するグラフである。
【図4】実施の形態に係る上記重畳電圧における交流電圧の振幅が比較的小さい場合のフィラメント状放電およびグロー状放電の発生状態の一例を示す側面図である。
【図5】実施の形態に係る上記重畳電圧における交流電圧の振幅が比較的大きい場合のフィラメント状放電およびグロー状放電の発生状態の一例を示す側面図である。
【図6】実施の形態に係る基本情報導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係るフィラメント状放電の開始位置およびグロー状放電の開始位置の導出方法の説明に供するグラフ(一部側面図)である。
【図8】実施の形態に係るフィラメント状放電の開始位置およびグロー状放電の開始位置の導出方法の説明に供するグラフである。
【図9】実施の形態に係る画像形成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る画像形成処理プログラムにおいて実行される交流電圧の振幅に対する補正の説明に供するグラフである。
【図11】実施の形態に係る画像形成装置の他の形態例を示す図であり、感光体ドラムと帯電ローラの近接位置における表面形状を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0022】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
【0023】
同図に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、モータ(図示省略)により予め定められた回転速度で副走査方向である円弧矢印A方向に回転される感光体ドラム12を備えている。感光体ドラム12は、外周面に設けられ、電荷輸送層と電荷発生層とを有する感光膜12aと、感光膜12aを支持するアルミニウム等で構成された基材12bと、を備えている。
【0024】
感光体ドラム12の外周面には、感光体ドラム12の外周面を帯電させる帯電ローラ14が接触して設けられている。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、接触型の帯電器である帯電ローラ14を適用しているが、これに限らず、スコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などの非接触型の帯電器を用いてもよい。
【0025】
帯電ローラ14は、導電性のローラであり、感光体ドラム12の回転に追従するように回転自在とされている。また、帯電ローラ14には、帯電ローラ14の対汚染性能を向上させたり、帯電ローラ14の製造ばらつきの画質への影響を低減させたりすることを目的として、帯電用電源15から交流電圧と直流電圧とが重畳された電圧(以下、「重畳電圧」という。)が印加されるものとされており、これによって、帯電ローラ14は、感光体ドラム12の外周面を予め定められた電位に一様に帯電させる。なお、本実施の形態では、帯電ローラ14に印加する重畳電圧をマイナス(負の極性)としているため、感光体ドラム12の外周面は帯電ローラ14によってマイナスに帯電される。
【0026】
帯電ローラ14よりも感光体ドラム12の円弧矢印A方向の下流側にはレーザビーム走査装置16が配置されている。レーザビーム走査装置16は、光源から射出されるレーザビームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム12の外周面上を感光体ドラム12の軸線と平行に走査させる。これにより、感光体ドラム12の外周面上に静電潜像が形成される。
【0027】
レーザビーム走査装置16よりも感光体ドラム12の円弧矢印A方向の下流側には現像装置18が配置されている。現像装置18は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),およびブラック(K)の各色に対応する4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器18Y,18M,18C,および18Kが設けられている。現像器18Y,18M,18C,および18Kは各々現像ローラ(図示省略)を備え、内部に各々Y,M,C,およびKの色のトナーを貯留している。また、感光体ドラム12を挟んで現像装置18の反対側には、感光体ドラム12の外周面を除電する機能および外周面上に残留している不要トナーを除去する機能を備えた除電・清掃器22が配置されている。
【0028】
本実施の形態に係る画像形成装置10でのカラーの画像の形成は、感光体ドラム12が4回転する間に行われる。すなわち、感光体ドラム12が4回転する間、帯電ローラ14は感光体ドラム12の外周面の帯電を、除電・清掃器22は外周面の除電を各々継続し、レーザビーム走査装置16は、形成すべきカラー画像を示すY,M,C,およびKの画像情報のうちの何れかに応じて変調したレーザビームを感光体ドラム12の外周面上で走査させることを、感光体ドラム12が1回転する毎にレーザビームの変調に用いる画像情報を切り替えながら繰り返す。また、現像装置18は、現像器18Y,18M,18C,および18Kの何れかの現像ローラが感光体ドラム12の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム12の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム12の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム12が1回転する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。
【0029】
これにより、感光体ドラム12が1回転する毎に、感光体ドラム12の外周面上には、Y,M,C,およびKのトナー像が互いに重なるように順次形成されることになり、感光体ドラム12が4回転した時点で感光体ドラム12の外周面上にカラーのトナー像が形成されることになる。
【0030】
また、感光体ドラム12の下方には無端の中間転写ベルト20が配設されている。中間転写ベルト20はローラ24A〜Dに巻き掛けられており、外周面が感光体ドラム12の外周面に接触するように配置されている。ローラ24A〜Dはモータ(図示省略)の駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト20を矢印B方向に回転させる。
【0031】
中間転写ベルト20を挟んで感光体ドラム12の反対側には一次転写ローラ26が配置されており、一次転写ローラ26によって中間転写ベルト20が感光体ドラム12の外周面に押し付けられている。なお、画像形成装置10には、感光体ドラム12上のトナー像を中間転写ベルト20へ転写するために一次転写ローラ26に電力を供給する転写電源(図示省略)が設けられている。
【0032】
従って、転写電源によって一次転写ローラ26に電力が供給され、かつ一次転写ローラ26により中間転写ベルト20が感光体ドラム12の外周面に押し付けられることによって感光体ドラム12の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト20の画像形成面に転写される。なお、感光体ドラム12の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト20に転写されると、感光体ドラム12の外周面のうち転写されたトナー像を保持していた領域は、除電・清掃器22によって清掃される。
【0033】
中間転写ベルト20よりも下方側には用紙入れ30が配置されており、用紙入れ30内には用紙Pが多数枚積層された状態で収容される。同図における用紙入れ30の左斜め上方には取り出しローラ32が配置されており、取り出しローラ32による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対34,36が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している用紙Pは、取り出しローラ32が回転されることにより用紙入れ30から取り出され、ローラ対34,36によって搬送される。
【0034】
また、中間転写ベルト20を挟んでローラ24Aの反対側には二次転写ローラ38が配置されており、二次転写ローラ38によって中間転写ベルト20がローラ24Aの外周面に押し付けられている。ローラ対34,36によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト20と二次転写ローラ38の間に送り込まれ、中間転写ベルト20の画像形成面に形成されたトナー像が二次転写ローラ38によって転写される。なお、一次転写ローラ26と同じように二次転写ローラ38にも転写用の電力が供給されている。
【0035】
二次転写ローラ38よりも用紙Pの搬送方向(同図の矢印C方向)下流側には、定着器40が配置されている。定着器40は、用紙P上のトナー像を加熱する加熱ローラ40Aと、加熱ローラ40Aに押し当てられたローラ40Bとを備えており、用紙Pは、加熱ローラ40Aとローラ40Bとのニップ部を通過することによりトナー像が溶融、凝固して用紙Pに定着され、定着器40よりも用紙Pの搬送方向下流側に配置された排紙ローラ(図示省略)によって画像形成装置10の外へ排出される。
【0036】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の帯電ローラ14に対する電圧印加の制御に関する部分の電気的な構成を説明する。
【0037】
同図に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、CPU(中央処理装置)を中心とした電子回路等からなり、画像形成装置10の各部の作動を制御する制御部50が備えられている。
【0038】
制御部50には、前述した帯電用電源15が接続されており、帯電ローラ14に印加される重畳電圧は制御部50によって制御される。また、制御部50には、各種情報が記憶可能に構成された記憶部52が接続されており、制御部50は記憶部52への各種情報の書き込み、および記憶部52に記憶された各種情報の読み出しを行う。
【0039】
一方、制御部50には、予め定められた帯電ローラ14から感光体ドラム12に対する放電領域を撮影するカメラ54が接続されている。本実施の形態に係る画像形成装置10では、図1に示すように、カメラ54が帯電ローラ14と感光体ドラム12との接触位置近傍における、フィラメント状放電およびグロー状放電が発生し得ると想定される領域を上記放電領域として一度に撮影可能な位置に設けられている。
【0040】
さらに、制御部50には、帯電ローラ14と感光体ドラム12との接触位置付近の環境状態を示す物理量(本実施の形態では、温度および湿度)を検出する環境センサ56、帯電ローラ14の汚染の度合いを示す物理量(本実施の形態では、帯電ローラ14の抵抗値)を検出する汚染センサ58、および感光体ドラム12の感光膜12aの膜厚を検出する膜厚センサ60が接続されており、制御部50は、これらの各センサによる検出結果を示す情報(以下、「検出結果情報」という。)が入力される。
【0041】
ところで、前述したように、帯電ローラ14には、帯電ローラ14の対汚染性能を向上させたり、帯電ローラ14の製造ばらつきの画質への影響を低減させたりすることを目的として重畳電圧が印加されるが、当該重畳電圧における交流電圧の振幅が不十分な場合は形成された画像に白点画像が発生しやすくなる一方、当該交流電圧の振幅が大きすぎる場合には感光体ドラム12の摩耗が促進され、感光体ドラム12の寿命を縮めてしまうことになる。
【0042】
一方、本発明の発明者による鋭意検討の結果、感光体ドラム12の表面と帯電ローラ14の表面との距離(以下、「ギャップ」という。)に対するフィラメント状放電が開始される上記交流電圧の振幅(以下、「フィラメント状放電開始振幅」という。)と、同じくグロー状放電が開始される上記交流電圧の振幅(以下、「グロー状放電開始振幅」という。)とでは、互いに異なる傾向にあり、一例として図3に示すように、フィラメント状放電開始振幅の上記ギャップに対する分布状態を示す線(実線)と、グロー状放電開始振幅の上記ギャップに対する分布状態を示す線(破線)とは1箇所で交差することが見出された。
【0043】
ここで、上記各分布状態を示す線の交点に対応する上記交流電圧の振幅(図3に示す例では、1700Vpp(‘Vpp’は、ピーク・トゥ・ピーク電圧を表す。))より小振幅側の領域においては、一例として図4に示されるように、フィラメント状放電のみが発生するギャップの領域が存在するため、当該フィラメント状放電に起因する白点画像が生じやすい。しかしながら、この場合、上記交点に対応する上記交流電圧の振幅以上の領域においては、一例として図5に示されるように、フィラメント状放電のみが発生するギャップの領域は存在せず、グロー状放電によってフィラメント状放電による影響がレベリングされる結果、フィラメント状放電に起因する白点画像が生じにくい。
【0044】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、上記交流電圧の振幅として、上記ギャップが共通である場合のフィラメント状放電開始振幅とグロー状放電開始振幅の差が予め定められた範囲内となる振幅を適用する処理(以下、「振幅設定処理」という。)を実行する。
【0045】
なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、上記振幅設定処理において適用する上記予め定められた範囲を0(零)とする場合、すなわち、上記交流電圧の振幅として、上記交点に対応する振幅を適用する場合について説明するが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0046】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10では、上記振幅設定処理を実行可能とするために、帯電用電源15によって生成される重畳電圧における交流電圧の振幅が予め定められた範囲で可変とされており、当該範囲を示す範囲情報が記憶部52に予め記憶されている。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、上記予め定められた範囲として、上記交点を変動させる各種変動要因が変動しても当該交点が含まれる範囲として、画像形成装置10の実機を用いた実験や、画像形成装置10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等により予め得られた範囲(本実施の形態では、1100Vpp以上2000Vpp以下の範囲)を適用している。
【0047】
以上のように構成された画像形成装置10による振幅設定処理等の各種処理は、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現してもよい。但し、ソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現してもよいことは言うまでもない。
【0048】
以下では、本実施の形態に係る画像形成装置10が、上記プログラムを実行することにより各種処理を実現するものとされている場合について説明する。この場合、当該プログラムを画像形成装置10に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
【0049】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0050】
本実施の形態に係る画像形成装置10では、上記振幅設定処理を実行するための準備段階として、基本情報導出処理を実行する。そこで、まず、図6を参照して、上記基本情報導出処理を実行する際の画像形成装置10の作用を説明する。なお、図6は、予め定められたタイミング(本実施の形態では、画像形成装置10の電源スイッチが投入されたタイミング)で画像形成装置10の制御部50において実行される基本情報導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは記憶部52に予め記憶されている。
【0051】
まず、同図のステップ100では、予め定められた初期設定を実行する。なお、本実施の形態に係る基本情報導出処理プログラムでは、上記初期設定に、上記範囲情報を記憶部52から読み出し、読み出した範囲情報によって示される上記交流電圧の振幅の可変とされる範囲における最小値(本実施の形態では、1100Vpp)が適用されるように帯電用電源15に設定する処理が含まれている。
【0052】
次のステップ102では、カメラ54に対して撮影の開始を指示する指示情報を送信する。これに応じて、カメラ54は、当該カメラ54のシャッタを開放状態とすることによって撮影を開始する。
【0053】
次のステップ104では、重畳電圧の帯電ローラ14への印加を開始するように帯電用電源15を制御し、次のステップ106では、予め定められた期間(本実施の形態では、1秒間)だけ待機し、次のステップ108にて、カメラ54に対して撮影の停止を指示する指示情報を送信し、さらに、次のステップ110にて、重畳電圧の帯電ローラ14への印加を停止するように帯電用電源15を制御する。上記ステップ108の処理に応じて、カメラ54は、上記ステップ104において開放状態としたシャッタを閉じることによって撮影を停止する一方、上記ステップ110の処理により、帯電ローラ14への重畳電圧の印加が停止される。
【0054】
次のステップ112では、直前の撮影によって得られた画像情報をカメラ54から読み出し、次のステップ114では、読み出した画像情報に基づいて、フィラメント状放電が発生する最も遠い上記ギャップの位置(以下、「フィラメント状放電発生位置」という。)およびグロー状放電が発生する最も遠い上記ギャップの位置(以下、「グロー状放電発生位置」という。)を導出する。なお、本実施の形態に係る基本情報導出処理プログラムでは、上記フィラメント状放電発生位置およびグロー状放電発生位置を次のように導出する。
【0055】
上記画像情報により示される各ギャップの位置毎の輝度レベルの、感光体ドラム12に対する帯電ローラ14の接触方向に対する平均値の分布(以下、「輝度レベル分布」という。)は、一例として図7に示されるように、フィラメント状放電に関する部分とグロー状放電に関する部分とで異なる。これは、フィラメント状放電が瞬間的かつスポット的に発生する放電であるのに対し、グロー状放電が一様に発生する放電であるためである。
【0056】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、一例として図8に示すように、上記画像情報により示される輝度レベル分布に予め定められた閾値以上となる2つの凸部を有する場合において、当該2つの凸部の遠方側(同図に示す例では、紙面右側)の端部と、放電していない状態でカメラ54による撮影によって得られた画像情報により示される輝度レベル分布との交点の位置を、フィラメント状放電発生位置およびグロー状放電発生位置として導出する。従って、本実施の形態に係る画像形成装置10では、記憶部52に、放電していない状態でカメラ54による撮影によって得られた画像情報、または当該画像情報により示される輝度レベル分布を示す情報も予め記憶されており、これを用いてフィラメント状放電発生位置およびグロー状放電発生位置を導出する。
【0057】
次のステップ116では、上記ステップ114の処理によって導出したフィラメント状放電発生位置およびグロー状放電発生位置と、このときの上記交流電圧の振幅とを関連付けて記憶部52に記憶し、次のステップ118では、上記範囲情報によって示される上記交流電圧の振幅の範囲の全ての範囲について以上の処理が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ120に移行して、上記交流電圧の振幅を予め定められた振幅値(本実施の形態では、100Vpp)だけ増加するように帯電用電源15に設定した後に上記ステップ102に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ122に移行する。
【0058】
以上のステップ102からステップ120の繰り返し処理により、記憶部52には、上記範囲情報によって示される交流電圧の振幅の範囲内で、かつ上記予め定められた振幅値の刻み幅の各振幅別にフィラメント状放電発生位置およびグロー状放電発生位置を示す情報(以下、「基本情報」という。)が記憶されることになる。
【0059】
ステップ122では、環境センサ56、汚染センサ58、および膜厚センサ60から、この時点の検出結果情報を取得し、次のステップ124にて、取得した検出結果情報を記憶部52に記憶した後、本基本情報導出処理プログラムを終了する。
【0060】
次に、図9を参照して、前述した振幅設定処理が含まれる画像形成処理を実行する際の本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図9は、不図示の外部装置から形成すべき画像を示す画像情報が受信された際に画像形成装置10の制御部50において実行される画像形成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムも記憶部52に予め記憶されている。
【0061】
まず、同図のステップ200では、予め定められた初期設定を実行し、次のステップ202では、上記基本情報導出処理プログラムによって記憶された基本情報を記憶部52から読み出し、次のステップ204にて、読み出した基本情報を用いて、一例として図3に示されるフィラメント状放電開始振幅の上記ギャップに対する第1の分布状態と、グロー状放電開始振幅の上記ギャップに対する第2の分布状態を導出する。
【0062】
次のステップ206では、上記ステップ204の処理によって導出した第1の分布状態を示す線(図3に示される例では、実線)と、第2の分布状態を示す線(図3に示される例では、破線)との交点を導出した後、次のステップ208にて、導出した交点に対応する交流電圧の振幅(図3に示される例では、1700Vpp)が適用されるように帯電用電源15に設定する。
【0063】
次のステップ210では、環境センサ56、汚染センサ58、および膜厚センサ60から、この時点の検出結果情報を取得し、次のステップ212では、取得した情報によって示される各センサの検出結果に基づいて、上記ステップ208の処理によって帯電用電源15に設定した交流電圧の振幅を補正する必要があるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ214に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ216に移行する。
【0064】
なお、本実施の形態に係る画像形成処理プログラムでは、上記ステップ212における判定を次のように行う。
【0065】
まず、上記基本情報導出処理プログラムのステップ124の処理によって記憶した検出結果情報を記憶部52から読み出し、読み出した検出結果情報により示される各センサによる検出結果から、上記ステップ210の処理によって取得した検出結果情報により示される各センサによる同一種類の検出結果を減算することにより、各センサ毎の差分値を得る。以下、環境センサ56により検出された温度に関する差分値を差分値tと表し、環境センサ56により検出された湿度に関する差分値を差分値hと表し、汚染センサ58により検出された帯電ローラ14の汚染の度合いに関する差分値を差分値aと表し、膜厚センサ60により検出された感光体ドラム12の膜厚に関する差分値を差分値dと表す。
【0066】
そして、以上により得られた差分値t、h、a、dの各絶対値に、各々毎に予め定められた閾値以上となるものが存在するか否かを判定することにより上記ステップ212の判定を行う。
【0067】
ステップ214では、上記ステップ208の処理によって帯電用電源15に設定した交流電圧の振幅を補正し、その後にステップ216に移行する。なお、本実施の形態に係る画像形成処理プログラムでは、上記ステップ214における交流電圧の振幅の補正を次のように行う。
【0068】
上記交点に対応する交流電圧の振幅(以下、「交点振幅」という。)は、温度、湿度、感光体ドラム12の膜厚、および帯電ローラ14の汚染の度合いによって変化する。より具体的には、一例として図10に示すように、温度が高くなるほど交点振幅は小さくなり、湿度が高くなるほど交点振幅は小さくなり、感光体ドラム12の膜厚が厚くなるほど交点振幅は大きくなり、帯電ローラ14の汚染の度合いが高くなるほど交点振幅は大きくなる。
【0069】
そこで、本実施の形態に係る画像形成処理プログラムでは、上記交流電圧の振幅の補正として、上記ステップ208の処理によって帯電用電源15に設定した交点振幅Aを次の(1)式に代入することにより、補正後の交点振幅A’を算出する。ここで、(1)式におけるVtは差分値tに予め定められた係数を乗算して得られた値を表し、Vhは差分値hに予め定められた係数を乗算して得られた値を表し、Vaは差分値aに予め定められた係数を乗算して得られた値を表し、Vdは差分値dに予め定められた係数を乗算して得られた値を表す。なお、本実施の形態に係る画像形成処理プログラムでは、上記予め定められた係数として、(1)式にVt,Vh,Va,Vdの各値を代入した場合に交点振幅A’ができるだけ正確に算出される値として、画像形成装置10の実機を用いた実験や、画像形成装置10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等により予め得られた値を適用している。
【0070】
【数1】

そして、本ステップ214では、算出した交点振幅A’が適用されるように帯電用電源15に設定(更新)する。
【0071】
ステップ216では、予め定められた用紙枚数分(本実施の形態では、1枚分)の画像形成処理を実行し、次のステップ218では、受信した画像情報により示される全ての画像の形成が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ210に戻る一方、肯定判定となった時点で本画像形成処理プログラムを終了する。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0073】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、(1)式による演算により交流電圧の振幅を補正する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の演算式により補正する形態としてもよいし、演算により補正する形態に代えて、変換テーブルを用いた変換により補正する形態としてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、本発明の像保持体としてドラム型(円筒状)の感光体ドラム12を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ベルト型のものを適用する形態としてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、本発明の帯電手段としてドラム型(円筒状)の帯電ローラ14を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、側面視台形状、平行四辺形状、三角形状等の像保持体との接触位置(近接位置)から離れるに従ってギャップが増加する形状のものを適用する形態としてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、重畳する交流電圧の振幅として、一例として図3に示される交点そのものに対応する振幅を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記ギャップが共通である場合のフィラメント状放電開始振幅とグロー状放電開始振幅の差が、零を除く予め定められた範囲内となる振幅を適用する形態としてもよい。なお、上記予め定められた範囲は、要求される画質、装置の耐久性等に応じて、適宜設定すればよい。
【0078】
また、上記実施の形態では、カメラを用いてフィラメント状放電およびグロー状放電の各々の開始電圧を特定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、CCDラインセンサ、CMOSラインセンサ等の他のセンサを適用する形態としてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、帯電ローラ14に重畳電圧を印加した状態でフィラメント状放電およびグロー状放電の各々の開始電圧を導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、グロー状放電の開始電圧については直流電圧を帯電ローラ14に印加した状態で導出する形態としてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、帯電ローラ14の表面の状態については特に言及しなかったが、例えば、一例として図11に示すように、帯電ローラ14の表面に凹凸を設ける形態としてもよい。これにより、帯電ローラ14と感光体ドラム12とのギャップが異なるものとなる結果、一部のギャップにおいて白点画像が生じる場合でも、当該白点画像が視認され難くなる。
【0081】
また、上記実施の形態では、帯電ローラ14の材質についても特に言及しなかったが、例えば、当該材質として、カーボンをゴムに分散させて含有させたもの等を適用することにより、表面の電気抵抗値が分散された帯電ローラ14を適用する形態としてもよい。これにより、帯電ローラ14への印加電圧が低電圧化される結果、感光体ドラム12に対するストレスが低下される。
【0082】
また、上記実施の形態では、本発明の物理量として、温度、湿度、帯電ローラ14の汚染の度合い、および感光体ドラム12の膜厚の4種類を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら4種類に加えて、フィラメント状放電が開始される交流電圧の振幅およびグロー状放電が開始される交流電圧の振幅の少なくとも一方に影響を与える他の物理量の1つ、または複数の組み合わせを適用する形態としてもよい。
【0083】
その他、上記実施の形態で説明した画像形成装置10の構成(図1,図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0084】
さらに、上記実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れ(図6,図9参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成装置
12 感光体ドラム
14 帯電ローラ
15 帯電用電源
16 レーザビーム走査装置
18 現像装置
20 中間転写ベルト
40 定着器
50 制御部
52 記憶部
54 カメラ
56 環境センサ
58 汚染センサ
60 膜厚センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体の表面に接触または近接して配置され、前記表面との接触位置または最近接位置から離れるに従って前記表面との距離が遠くなるように構成されると共に、直流電圧と交流電圧とが重畳された重畳電圧が印加されて前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記距離が共通であるときの、前記重畳電圧が前記帯電手段に印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してフィラメント状放電が開始される前記交流電圧の振幅、および前記重畳電圧が前記帯電手段に印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してグロー状放電が開始される前記交流電圧の振幅の差が予め定められた範囲内となる振幅の交流電圧を前記直流電圧に重畳させるように制御する制御手段と、
を備えた帯電装置。
【請求項2】
前記交流電圧の振幅を予め定められた範囲内で変化させたときの前記フィラメント状放電が開始される前記交流電圧の振幅の前記距離に対する第1の分布状態、および前記交流電圧の振幅を予め定められた範囲内で変化させたときの前記グロー状放電が開始される前記交流電圧の振幅の前記距離に対する第2の分布状態を導出する導出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記導出手段によって導出された前記第1の分布状態を示す線と前記第2の分布状態を示す線との交点を含む予め定められた範囲内の何れかの振幅の交流電圧を前記直流電圧に重畳させるように制御する
請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記帯電手段から前記像保持体に対する予め定められた放電領域を撮影する撮影手段をさらに備え、
前記導出手段は、前記撮影手段による撮影によって得られた放電光の輝度の前記距離に対する分布状態に基づいて、前記第1の分布状態および前記第2の分布状態を導出する
請求項2記載の帯電装置。
【請求項4】
前記フィラメント状放電が開始される交流電圧の振幅および前記グロー状放電が開始される交流電圧の振幅の少なくとも一方に影響を与えるものとして予め定められた物理量を検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された物理量に基づいて、前記交点を含む予め定められた範囲内の何れかの振幅の交流電圧における当該振幅の補正を行う
請求項2または請求項3記載の帯電装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された物理量と、前記補正の対象となる交流電圧の振幅を決定した際の前記物理量との差が予め定められた量以上となった場合に前記補正を行う
請求項4記載の帯電装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項記載の帯電装置と、
前記帯電装置により表面が帯電される像保持体と、
前記帯電装置により前記表面が帯電された状態で前記像保持体に静電潜像を形成する形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の帯電装置における制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
像保持体の表面に接触または近接して配置され、前記表面との接触位置または最近接位置から離れるに従って前記表面との距離が遠くなるように構成されると共に、直流電圧と交流電圧とが重畳された重畳電圧が印加されて前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段に前記重畳電圧が印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してフィラメント状放電が開始される前記交流電圧の振幅、および前記重畳電圧が前記帯電手段に印加された状態で前記帯電手段から前記像保持体に対してグロー状放電が開始される前記交流電圧の振幅を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記フィラメント状放電が開始される交流電圧の振幅、および前記グロー状放電が開始される交流電圧の振幅の、前記距離が共通であるときの差が予め定められた範囲内となる振幅の交流電圧を前記直流電圧に重畳させるように制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−118317(P2011−118317A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278050(P2009−278050)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】