説明

帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】放電生成物(オゾン、NOxなど)の発生によって放電生成物が像担持体表面に付着したり、放電により生じた活性な気体によって像担持体表面が酸化して劣化したりするハザードが発生し、また、電子放出材料そのものも酸化による燃焼などの劣化が生じる。
【解決手段】電極101上に混合ガスプラズマ(ジボラン:水素化ホウ素B、水素、アンモニア、アルゴン)と同時にデフォーカス(多少集光した)紫外エキシマレーザー(λ:193nm、f:1030Hz)を照射してsp3結合性5H−BN材料の薄膜102を形成してなる電子放出素子1を用いて、sp3結合性5H−BN材料の薄膜102に電圧を印加することで電子を放出させて像担持体を帯電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関し、特に電子放出によって像担持体の帯電を行なう帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、プリンタ/ファックス/複写機複合機等の各種画像形成装置として電子写真プロセスを用いる画像形成装置が知られている。この電子写真プロセスにおいて、像担持体としての感光体に潜像を形成するために像担持体を一様に帯電させる帯電装置にはコロナ放電を利用するものが多い。
【0003】
このコロナ帯電方式は、白金やタングステンの直径50〜200μm程度のワイヤー電極、あるいは、ステンレス材料などの針状電極の周囲に、導電性のケース電極を設け、電極とケースの間に直流又は交流の高圧バイアスを印加して、電極周辺での空気分子が電離したイオンを用いて、感光体を帯電させるものであり、遠距離からの均一な帯電が可能である。
【0004】
しかしながら、コロナ帯電方式は、空気を電離・イオン化させるため、オゾン、窒素酸化物といった放電生成物が生成される。その発生量はオゾン、窒素酸化物ともに60分帯電後で4〜10ppmにも上ることが知られている。
【0005】
オゾンは、高濃度で画像形成装置内に滞留すると、感光体表面を酸化し、感光体光感度の低下や帯電能の劣化を生じさせ、形成画像が悪化することが知られている(非特許文献1)。また、感光体以外の部材の劣化が促進され、部品寿命が低下する等の不具合も生じる。
【非特許文献1】明珍寿史他、「オゾンによる感光体劣化軽減のためのコロナチャージャの開発」、電子写真学会誌、第31、1、1992。
【0006】
また、窒素酸化物は、次のような不具合を生じる。すなわち、放電により、窒素酸化物が発生することが知られているが、窒素酸化物は空気中の水分と反応して硝酸が、また、金属などと反応して金属硝酸塩が生成される。これらの生成物は、低湿環境下では高抵抗であるが、高湿環境下では空気中の水と反応し、低抵抗となる。そのため、感光体表面に硝酸又は硝酸塩による薄い膜が形成されると、画像が流れたような異常画像が発生する。これは硝酸、硝酸塩が吸湿することで低抵抗となり、感光体表面の静電潜像が壊れてしまうためである。
【0007】
さらに、窒素酸化物は、放電後も空気中に分解されずにその場に留まっているため、窒素酸化物から生成された化合物の感光体表面への付着は、帯電を行っていないとき、すなわち、プロセスの休止期間中にも生じる。そして、この化合物は、時間が経過するにつれて、感光体の表面から内部に浸透することから、感光体の劣化の一因となっている。
【0008】
この場合、感光体表面の付着物は、クリーニング時に感光体を少しずつ削りとることで除去するといった方法が取られているが、コストの上昇や経時的な劣化を生じるという新たな問題を伴っている。
【0009】
また、コロナ帯電方式は、遠距離からの放電のため、印加電圧がかなりの高電圧(4kV〜10kV)となるほか、帯電電位は帯電時間によって変わるため、必要な帯電電位(400V〜1000V)を得るためには、感光体速度が大きい場合にはケース電極の感光体回転方向の幅を大きくする必要があり、プリント速度が速い画像形成装置の小型化が難しくなる。
【0010】
一方、帯電装置としては、近接ローラ帯電方式も広く使用されるようになっている。この、近接ローラ帯電方式は、感光体近傍に保持した帯電部材(帯電ローラ)と感光体との間に、直流又は交流のバイアスを印加し、両者間の空隙で放電を生じさせ、感光体を帯電させるものである。この帯電方式では、パッシェンの放電則に則った帯電現象を利用しており、所望の帯電電位に対し放電開始電圧分だけ大きい電位差を形成することで、所望の帯電電位を得ている。
【0011】
この場合、交流バイアス方式では、近接帯電部材と感光体との間で電界の向きが時間とともに交互となり、放電、逆放電が繰り返される。交流バイアス方式では、放電、逆放電によって、帯電がならされより、均一な帯電が得られる利点があるものの、放電による感光体へのハザードが非常に大きくなっている。
【0012】
このように、感光体への電荷付与はこれまで何らかのパッシェン放電を伴う帯電手段で行われており、その結果、放電によって放電生成物が感光体表面に付着したり、放電によって生じた活性な気体によって感光体表面が酸化されたりするハザードは避けられない。
【0013】
そのため、現在、経時的な画質の劣化を低減して画質を維持するために、上述したように感光体の表面を微小に削りながら使用している。一方、感光体を削ることは消耗であり、長期的な観点から避けることが好ましいが、前述の感光体ハザードによる画質劣化防止とトレードオフとなっており、根本的な解決が困難である。
【0014】
さらに、帯電部材を感光体に接触させて感光体を帯電させる接触帯電装置がある。これは、例えば、ローラ状の帯電部材を感光体上に接触従動させて感光体の帯電を行なうものである。この接触帯電方式は、上述したコロナ帯電方式に比べると、オゾンの発生量、直流電圧印加時の60分帯電後のオゾン発生量が0.01ppmと少なく、また、印加電圧が低いため電源のコストが小さく、電気絶縁の設計が行い易いなど利点を有している。
【0015】
この接触帯電方式としては、例えば特開昭57−178257号公報、特開昭56−104351号公報、特開昭58−40566号公報、特開昭58−139156号公報、特開昭58−150975号公報、特開昭63−7380号公報等に記載されているように、その接触又は近接部分近傍に狭い空間を形成し、パッシェンの法則で解釈できるような放電を形成することにより、感光体を帯電する方法があり、これらの場合に、帯電開始電圧以上の直流電圧を導電性部材に印加する方法や、詳しくは特開昭63−149669号公報に記載されているように、目標帯電電位に相当する直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加することで帯電均一化を一層促進することができる。
【0016】
しかしながら、交流電圧を印加すると、帯電部材と感光体との間で電界の向きが時間と伴に交互となり、放電、逆放電が繰り返され、放電、逆放電によって、帯電がならされより均一な帯電が得られる利点がある反面、電流量が増えるため、オゾン、窒素酸化物の発生量も、電流量が増えるに従って多くなり、交流印加条件によっては60分帯電後にコロナ帯電方式に近い3ppmものオゾンが発生することもある。
【0017】
また、一方で、例えば特開平8−106200号公報に記載されているように、電圧を印加した前記導電性部材を感光体に接触させ、感光体表面にあるトラップ準位に電荷を注入して接触注入帯電を行なう方法もある。この方法における導電性部材としては、接触/離間状態や形状の制御のしやすさといった観点から、ローラ形状の導電性部材(帯電ローラ)が汎用的に使用される。
【0018】
しかしながら、帯電部材がゴム材であるため、長期間、コピー機を停止させた場合、感光体に接した状態にあるローラが変形する可能性がある。また、ゴムは吸水しやすい材料であるため環境の変化に伴う電気抵抗変動が大きい。さらに、ゴムはその弾性を発揮させるためや劣化防止のため数種の可塑剤や活性剤を必要としており、導電性顔料を分散させるためには分散補助剤を用いることも少なくない。つまり、感光体の表面はポリカーボネートやアクリルといった非晶性樹脂であるため、上述した可塑剤や活性剤および分散補助剤に対し非常に弱いとい問題がある。
【0019】
また、接触帯電方式では帯電部材と感光体との間に異物を巻き込み、帯電部材が汚染されて帯電不良が発生する、直接感光体にローラが触れているために長期保存した場合に感光体が汚染され、そのために横スジ等の画像不良を生じるという問題もある。
【0020】
そこで、これらに変わる帯電技術として、電子放出材料を用いた方式が着目されつつある。例えば、特許文献1には、絶縁層と半導体材料層、もしくは絶縁層と金属材料層よりなる電子放出層が、基板電極および薄膜電極とにより挟み込まれた構成を有する、所謂MIS型、MIM型の電子放出素子を用いたものが記載されている。
【特許文献1】特開2003−145826号公報
【0021】
特許文献2には、先端部分に金属または合金(a)、あるいは金属を含む窒化物、炭化物、ケイ化物またはホウ化物の少なくとも1種(b)で被覆されたカーボンナノチューブを構成要素として有する電子放出素子を用いたものが記載されている。
【特許文献2】特開2001−250467号公報
【0022】
特許文献3には、石英、ガラス、セラミックス、金属、シリコン基板などによって構成される支持体と、支持体の片面上に金属または合金を成膜することにより形成されたエミッタ電極と、エミッタ電極上に所定の間隔で設置された複数のアルミニウム膜を硫酸、過塩素酸などの酸中で陽極化することにより形成された複数の陽極化膜と、複数の陽極化膜の各陽極化膜間に形成され、エミッタ電極と反対側に開口部を有する細孔と、複数の陽極化膜の各陽極化膜間に形成された細孔内に底面がエミッタ電極に接するように設置され、電子を電界放出するカーボンナノチューブと、細孔の開口部を被覆する引き出し電極と、を備え、カーボンナノチューブは、エミッタ電極と陽極酸化膜と引き出し電極とに囲まれていることを特徴とする電子放出装置を用いたものが記載されている。
【特許文献3】特開2002−279885号公報
【0023】
特許文献4には、上部電極と下部電極との間に半導体層が形成されている電子放出素子であって、半導体層の半導体表面に有機化合物を吸着させて有機化合物吸着層を形成させる電子放出素子を用いたものが記載されている。
【特許文献4】特開2003−140444号公報
【0024】
その他、電子放出素子を用いるものとしては、特許文献5、同6に記載されているものもある。
【特許文献5】特開2002−311684号公報
【特許文献6】特開2004−327084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
上述した電子放出素子を用いるものの内でも、カーボンナノ材料についての研究は近年盛んに行われており、その中でもカーボンナノチューブについての研究は広く行われ、高い電子放出能が示唆されている。例えば、上記特許文献2には、カーボンナノチューブ先端部分の構成要素を規定することでカーボンナノチューブの耐久性を向上させると共に、帯電器として非接触、接触で使用可能であること記載されている。
【0026】
しかしながら、カーボンナノ材料は有機物であるため、電子写真方式で使用されるような大気中での電子放出では、放出された電子よって励起された酸素原子によってカーボンナノ材料そのものが酸化され、燃焼により分解されてしまい、構造的に非常に弱く所望の寿命を達成できないおそれがあるという課題がある。
【0027】
また、その他の特許文献1、同4に記載のMIS構造やMIM構造などを有する電子放出素子を用いた場合、十分な電子放出性が得られないという課題がある。
【0028】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、放電生成物が発生しないレベルでの電子放出を行ない得ることで像担持体のハザードを防止でき、電子放出材料自体の劣化の少ない帯電装置、この帯電装置を備えるプロセスカートリッジ、帯電装置又はプロセスカートリッジを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の課題を解決するため、本発明に係る帯電装置は、sp3結合性材料により形成された電子放出手段を備えている構成とした。
【0030】
ここで、sp3結合性材料がsp3結合性窒化ホウ素であることが好ましい。この場合、sp3結合性窒化ホウ素がsp3結合性5H−BN材料又はsp3結合性6H−BN材料であることが好ましい。
【0031】
また、sp3結合性材料により形成された電子放出手段と像担持体間に電圧を印加することで、sp3結合性材料表面から放出された電子又は該電子が大気中の分子に付着して生成されたイオンによって像担持体を帯電することが好ましい。この場合、sp3結合性材料により形成された電子放出手段と像担持体表面との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が印加されることが好ましい。
【0032】
さらに、sp3結合性材料により形成された電子放出手段は像担持体の表面との間に20μm以上の空隙を介して配置されることが好ましい。この場合、sp3結合性材料により形成された電子放出手段は像担持体の表面との間に50μm以上の空隙を介して配置されることが好ましい。
【0033】
また、sp3結合性材料により形成された電子放出手段と像担持体の表面との間に、像担持体の表面電位を制御する導電性部材を備えていることが好ましい。
【0034】
また、sp3結合性材料により形成された電子放出手段は導電材料の表層に形成された100μm以下の薄膜であることが好ましい。
【0035】
また、sp3結合性材料により形成された電子放出手段は、sp3結合性材料の粉体を導電性部分に導電的に接触して固定化して形成したものであることが好ましい。
【0036】
また、sp3結合性材料により形成された電子放出手段の表面には略一様な高さの突起を有していることが好ましい。この場合、sp3結合性材料により形成された電子放出手段の表面に形成される突起の高さを略一様な高さにするための処理が施されていることが好ましい。
【0037】
また、電子放出手段は導電性基体上にsp3結合性材料を配置して構成することができる。この場合、導電性基体はローラ形状、シート状とすることができる。
【0038】
本発明に係る帯電装置は、少なくとも導電性基体上にsp3結合性材料を配置した電子放出手段と、この電子放出手段に対して所定の空隙を持って配置される像担持体と電子放出手段との間に介在して像担持体の表面電位を制御するための表面電位制御部材とを備え、電子放出手段にはsp3結合性材料により形成された表面に存在する紡錘形状の突起の高さを一定に揃える処理が施されており、また像担持体を帯電するときにsp3結合性材料により形成された電子放出手段と表面電位制御部材との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が導電性基体に印加される構成とした。
【0039】
本発明に係る帯電装置は、少なくとも導電性基体上にsp3結合性材料を配置した電子放出手段と、この電子放出手段に対して所定の空隙を持って配置される像担持体と電子放出手段との間に介在して像担持体の表面電位を制御するための表面電位制御部材とを備え、電子放出手段の導電性基体がローラ形状であって、像担持体を帯電するときにsp3結合性材料により形成された電子放出手段と表面電位制御部材との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が導電性基体に印加される構成とした。
【0040】
本発明に係る帯電装置は、少なくとも導電性基体上にsp3結合性材料を配置した電子放出手段と、この電子放出手段に対して所定の空隙を持って配置される像担持体と電子放出手段との間に介在して像担持体の表面電位を制御するための表面電位制御部材とを備え、電子放出手段の導電性基体がシート状であって、像担持体の全域に対して同じ空隙を維持した状態で配置され、像担持体を帯電するときにsp3結合性材料により形成された電子放出手段と表面電位制御部材との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が導電性基体に印加される構成とした。
【0041】
本発明に係る画像形成装置は、この像担持体上に静電潜像を形成するために電荷を付与する本発明に係る帯電手段と、静電潜像に着色体を付着させ可視像化する現像手段を備えているものである。
【0042】
ここで、複数の独立した帯電手段と、各帯電手段に対して独立に電圧を設定し印加する電圧供給手段を備えていることが好ましい。この場合、電圧供給手段は、各帯電手段が像担持体に対して同量の電荷を供給するように制御した電圧を印加することが好ましい。
【0043】
本発明に係るプロセスカートリッジは、像担持体、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくともいずれかと、本発明に係る帯電手段とを含むものである。
【0044】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係るプロセスカートリッジを複数備えているものである。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、sp3結合性材料により形成された電子放出手段を備えている構成としたので、放電生成物が発生しないレベルでの電子放出を行なうことができて像担持体のハザードを防止でき、電子放出材料自体の劣化も少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る帯電装置を構成する電子放出手段としての電子放出素子について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1ないし図4は同電子放出素子の第1例ないし第4例を示す説明図説明図である。
【0047】
図1に示す第1例に係る電子放出素子1は、電極101上にsp3結合性材料の薄膜102を固定化して形成したものである。また、図2に示す第2例に係る電子放出素子11は、電極111上にsp3結合性材料の粉体112を分散して固定化して形成したものである。また、図3に示す第3例に係る電子放出素子31は、円筒状あるいはローラ状電極121上にsp3結合性材料の粉体121を分散して固定化して形成したものである。
また、図4に示す第4例に係る電子放出素子31は感光体の円筒状基体の形状に合わせて円弧のように湾曲したシート状の電極131にsp3結合性材料の薄膜132を固定化して形成したものである。なお、第1例、第4例において、薄膜102、132の代わりにsp3結合性材料の粉体112、122を分散して固定化して形成してもよい。
【0048】
これらの電子放出素子1、11、21、31は、電極101、111、121、131に対して図示しない電源によって電圧を印加することで電子を放出する。この放出された電子は、気体分子、例えば酸素、二酸化炭素、窒素またはこれらに水が付着した分子に付着し、負イオンを発生しこれらの負イオンによって被帯電体を帯電することができる。
【0049】
ここで、このような電子放出素子1、11、21、31を用いた場合のオゾン及び窒素酸化物の低減化について説明する。
一般的に、コロナ放電を用いて帯電を行なう場合においては、非常に多くのオゾンや窒素酸化物(NOx)を生じさせる。これは、電子衝突による窒素分子の解離エネルギーは24.3eV、電子衝突による酸素分子の解離エネルギーは8eVであるところ、コロナワイヤーから放出される電子のエネルギーは30eV以上であり、電子衝突により気体分子が解離するためである。
【0050】
これに対して、sp3結合性材料を用いた電子放出素子の場合、発生する電子のエネルギーは6eV程度であり、放出された電子は気体分子の解離を起こさず、窒素酸化物もオゾンも発生しない。
【0051】
これによって、放電生成物(オゾン、NOxなど)の発生がないので、放電生成物が被帯電体である像担持体表面に付着したり、放電により生じた活性な気体によって像担持体表面が酸化して劣化したりするハザードを防止できるとともに、電子放出材料そのものも酸化による燃焼などの劣化を生じなく、長期にわたり安定した帯電を行なうことができるようになる。また、低電圧動作で、短時間で十分な被帯電体の帯電電位を得ることができ、更に非接触帯電方式のため、転写残トナーの付着による劣化を生じることもなくなる。
【0052】
ここで、sp3結合性材料について説明すると、sp3結合性材料としては、sp3結合性窒化ホウ素、例えば、sp3結合性5H−BN材料又はsp3結合性6H−BN材料を用いることができる。つまり、一般式:BNで示され、六方晶系5H形又は6H型多形構造を有するsp3結合性窒化ホウ素としては、例えば特許第3598381号公報に記載されているものが知られている。
【0053】
本発明者らは、このようなsp3結合性5H−BN材料又はsp3結合性6H−BN材料について、画像形成装置における像担持体の帯電装置への適用について鋭意検討した結果、sp3結合性5H−BN材料又はsp3結合性6H−BN材料を電子放出材料として使用することで像担持体を帯電させることができることを見出して本発明を完成させたものである。
【0054】
特に、sp3結合性5H−BNは、ダイヤモンドと同じ結合状態をもち、ダイヤモンドの次に硬い窒化ホウ素の一種である。窒化ホウ素は例えばルツボなどにも使われる材料であり、抜群の耐熱性と化学物質に対する耐性を有することから、従来にない耐久性を持ち、かつ高負荷にも耐えられる電子放出材料であると言える。
【0055】
このsp3結合性5H−BNの製法は、シリコン、ニッケルなどの基板に混合ガスプラズマ(ジボラン:水素化ホウ素B、水素、アンモニア、アルゴン)と同時にデフォーカス(多少集光した)紫外エキシマレーザー(λ:193nm、f:1030Hz)を照射して作製することができる。特に、このようにして作製したsp3結合性5H−BN材料は、その作製方法そのものによって、レーザー照射方向に揃って薄膜表面に10μm程度の先端の尖った紡錘形状(突起)が多数形成され、電子放出エミッタとして働くという特徴を有している。
【0056】
このようなsp3結合性材料を用いた電子放出素子を作製するとき、上述したようにsp3結合性材料は導電材料(上記の電極)の表層に形成された100μm以下の薄膜とすることで、製造に時間がかかりコストが高くなる単結晶を用いる場合に比べて、電子放出特性をある程度維持したまま製造時間を短縮し、材料費を抑えつつコストダウンを図ることができる。あるいは、上述したように、粉体化したsp3結合性材料を電極となる導電性部分に導電的に接触させて固定化することにより、単結晶のsp3結合性材料を用いた場合に比べて製造工程が簡略され、コストの低減を図ることができる。
【0057】
次に、このような電子放出素子を備える本発明に係る帯電装置の第1実施形態について図5を参照して説明する。なお、同図は同実施形態の像担持体軸方向に沿う方向の説明図である。
この帯電装置は、複数の電子放出素子1をステンレス、ニッケル、アルミニウムなどからなる電極部材2上に隙間なく並べて配置し、導電性接着剤を用いて接着固定することで、電子放出アレイ10を構成し、この電子放出アレイ10に対して直流電源3から電圧を印加する構成としている。
【0058】
ここで、電子放出素子1は、具体的には、前述したように、10mm×5mm、厚み500μmのシリコン、ニッケルなどの電極(導電性部材)101に混合ガスプラズマ(ジボラン:水素化ホウ素B、水素、アンモニア、アルゴン)と同時にデフォーカス(多少集光した)紫外エキシマレーザー(λ:193nm、f:1030Hz)を照射して電極101上にsp3結合性5H−BN薄膜102を合成して形成している。
【0059】
一方、この帯電装置によって帯電させる被帯電体である像担持体201は、例えば、導電性基体202と感光体層203とで構成される。
【0060】
まず、導電性基体202としてのアルミ素管のみを用いて、電子放出素子アレイ10に電圧を印加し、その時に計測された電流量を電荷量に換算し、その電荷量から像担持体の表面帯電電位の理論値を求める実験を行った。
【0061】
電子放出素子アレイ10と導電性基体202とのギャップGを20μmに保って、電子放出素子アレイ10に電圧を印加した。このとき、導電性基体202は静止状態とし、電子放出素子アレイ10は固定で幅5mmとした。電源3から電子放出素子アレイ10に対して−20Vの電圧を印加した際に導電性基体202に流れる電流量を測定した結果、像担持体201の表面電位を−600Vに帯電できる程度の電流量が確認された。
【0062】
これにより、この帯電装置は、従来の帯電装置に比べて、理論的には非常に低電圧(ここでは|20V|)で十分な帯電能力を持つことが確認された。また、電子放出を継続して行なっても、帯電性能は持続し、電子放出素子1の劣化も見られなかった。
【0063】
また、電子放出素子アレイ10と導電性基体202とのギャップGを50μmに保って電子放出素子アレイ10に電圧を印加した。電源3から電子放出アレイ10に対して−50Vの電圧を印加した際に導電性基体202に流れる電流量を測定した結果、像担持体201の表面電位を−600Vに帯電できる程度の電流量が確認された。さらに、ギャップGを100μmに固定し、同様の実験を行なったところ、−100V印加で−100Vに帯電できる程度の電流量が得られた。
【0064】
続いて、実際に像担持体を帯電する能力を評価するために、電子放出素子アレイ10と被帯電体である像担持体201とのギャップGを20μmに保って非接触帯電を行なった。このとき、像担持体201の線速は200mm/sec、電子放出素子アレイ10は固定で幅5mmとした。電源3から電子放出素子アレイ10に対して−300Vの電圧を印加することで、像担持体201の表面電位が−200Vに帯電することが確認された。
なお、電子放出素子アレイ10に印加する電圧を−300Vとしたのは、ギャップ20μmのときのパッシェンの法則による放電限界電圧−436Vに対して十分低い電圧とすることで、放電の発生を防止するためである。
【0065】
同様に、電子放出素子アレイ10と被帯電体である像担持体201とのギャップGを50μmに保って非接触帯電を行なったところ、電源3から電子放出アレイ10に対して−300Vの電圧を印加することで、像担持体201の表面電位が−100Vに帯電することが確認された。さらに、ギャップGを100μmに固定し、同様の実験を行なったところ、−300V印加で帯電電位−50Vが得られた。
【0066】
これらの結果から、像担持体を帯電する帯電装置として電子放出素子アレイ10を用いることで、従来の帯電装置に比べて非常に低電圧で、被帯電体を帯電できることを確認できた。なお、理論値のように電子放出アレイ10に印加した電圧以上の像担持体201表面帯電電位が得られない理由は、像担持体201の感光層203が絶縁性であるため、電子放出に必要な電界強度を得づらくなるためだと考えられる。
また、ギャップGが大きくなると、電子放出素子1からの放出電子が像担持体201まで到達しにくいことが確認できた。したがって、後述するように、ギャップGが大きい場合は、必要な帯電電位を得るためには、放出電子を加速し像担持体201まで到達させるためのグリッドを備えることが好ましいことになる。
【0067】
ここで、電源3から電子放出素子1に印加する電圧は、sp3結合性材料と像担持体表面との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧とする。これにより、放電による大気中分子の電離によるオゾン、NOxを発生させないようにすることができ、パッシェン放電させないことによって帯電電位の制御性が良くなり、sp3結合性材料の部材寿命を延ばすことができる。
【0068】
また、上述したように、sp3結合性材料と像担持体表面との間の空隙(ギャップ)は、20μm以上とすること、好ましくは50μm以上とすることが好ましい。これにより、像担持体の振れ、二成分キャリア用の直径以上のギャップを予め確保することができ、電子放出素子1への異物や像担持体の衝突による傷を防止することができて、sp3結合性材料の部材寿命を延ばすことができる。
【0069】
次に、本発明に係る帯電装置の第2実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は同実施形態の側面説明図、図7は同じく像担持体軸方向に沿う説明図である。
この実施形態では、上述した第1実施形態の電子放出素子アレイ10を絶縁性の略コ字状のケース4内に収納し、ケース4の開口部4aを像担持体201に対向するように配置する。そして、ケース4の開口部4aにステンレス製のグリッド7を取り付け、このグリッド7に電源8から電圧を印加する構成としている。
【0070】
ここで、グリッド7としては、従来からスコロトロン帯電方式で用いられているハニカム構造のステンレス板を用いているが、その他の電子が通過する構造の導電性膜や穴を形成した導電性板状部材を使用することもできる。
【0071】
そして、電子放出素子アレイ10とグリッド7との距離は50μm、グリッド7と像担持体201間のギャップは1mmとし、電子放出素子アレイ10に電源3から−300Vの電圧を印加し、グリッド7に電源8から−650Vの電圧を印加し、ケース4の開口部4aが像担持体201に対向するように配置して非接触帯電を行なった。
【0072】
このとき、像担持体201の線速を200mm/secとした場合、像担持体201の表面は−600Vに帯電した。グリッド7に対する印加電圧を変化させると像担持体201の表面電位も変化し、グリッド7に−850Vの電圧を印加すると、像担持体201は約−800Vに帯電することが確認された。また、グリッド7に対する印加電圧を小さくすると、像担持体201の表面電位もそれに対応して小さくなることが確認された。
【0073】
このように、sp3結合性材料と像担持体表面との間の空隙(ギャップ)に像担持体表面電位を制御する導電性部材(グリッド)を配置することにより、sp3結合性材料と像担持体表面との間の空隙を広くしても所要の帯電電位を得ることができるようになる。これにより、遠距離から電子放出を行うことができ、トナーなどによる汚れを防ぐことができるとともに、帯電電位を安定化させることができ、帯電部材(電子放出素子)への異物や像担持体の衝突による傷を防止することができ、sp3結合性材料の部材寿命を延ばすことができる。
【0074】
次に、本発明の第3実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は同実施形態の像担持体軸方向に沿う方向の説明図、図9は同実施形態の側面説明図である。
この帯電装置は、複数の電子放出素子41をステンレス、ニッケル、アルミニウムなどからなる電極部材42上に隙間なく並べて配置し、導電性接着剤を用いて接着固定することで、電子放出アレイ40を構成し、この電子放出アレイ40に対して直流電源43から電圧を印加する構成としている。そして、この電子放出素子アレイ40を絶縁性の略コ字状のケース46内に収納し、ケース46の開口部46aを像担持体201に対向するように配置する。
【0075】
ここで、電子放出素子41は、具体的には、前記第1実施形態の電子放出素子1と同じように、10mm×5mm、厚み500μmのシリコン、ニッケルなどの電極(導電性部材)141に混合ガスプラズマ(ジボラン:水素化ホウ素B、水素、アンモニア、アルゴン)と同時にデフォーカス(多少集光した)紫外エキシマレーザー(λ:193nm、f:1030Hz)を照射して電極141上にsp3結合性5H−BN薄膜142を合成して形成している。
【0076】
そして、この実施形態における電子放出素子41では、sp3結合性5H−BN薄膜142の表面に形成される紡錘状突起の高さを略一様な高さにするための処理を施すことによって、p3結合性5H−BN薄膜142の表面に形成される紡錘状突起の高さが略一様なっている構成としている。
【0077】
具体的には、前記sp3結合性5H−BN薄膜142を合成した電極141を複数個隙間無く並べて帯電器の電極42に固定化する。複数固定化して帯電器としたあとの電極42の幅は10mm、長さは像担持体201の長さよりも短く必要な画像長さよりも余裕をもった長さという条件から310mmとした。
【0078】
一方、この帯電装置によって帯電させる被帯電体である感光体ドラム(像担持体)201は、例えば、導電性基体202と感光体層203とで構成される。ここでは、感光体層203として、比誘電率3、厚み25μmのものを使用した。
【0079】
この電子放出素子アレイ40を感光体ドラム201との最近接距離d=70μmに設定し、感光体ドラムを200mm/secの速度で駆動させながら電圧を−670V印加したところ、暗中で−600Vの帯電電位を得た。なお、帯電電位の測定は、トレック社表面電位計モデル344を用いて行った。また、最近接距離は、sp3結合性5H−BN薄膜142の表面に形成される紡錘状突起の底面から感光体層03表面までの高さである。ポリイミド製テープを電子放出素子アレイ40が固定されている電極42の両端部に貼り付け、ギャップを持たせてある。
【0080】
次に、帯電電位の均一性を評価するために、暗中での帯電電位を−250Vにするように印加電圧を調整し、200mm/secのスピードで感光体ドラム201を回転し、帯電を行い、帯電直後に2成分現像剤を入れた現像器により−250Vの帯電部に対して現像を行い、帯電部にトナーを付着させて帯電状態の可視化を行ったところ、帯電電位にムラが生じないことが確認された。
【0081】
このように、sp3結合性5H−BN薄膜142の表面に形成される紡錘状突起の高さが略一様になっている構成とすることによって、帯電ムラのない帯電電位を得ることができる。
【0082】
つまり、前述したこの実施形態の電子放出素子アレイ40に代えて、sp3結合性5H−BN薄膜142の表面に形成される紡錘状突起の高さを略一様な高さにするための処理を施さない電子放出素子アレイを用いて、上述したと同様の構成、及び、条件で、感光体ドラム201に対する帯電を行って帯電状態の可視化を行ったところ、帯電電位に帯電ムラが生じていることが確認された。帯電電位にムラがあると、その後の現像工程において帯電電位ムラを同じようなトナー付着状態のムラを生じ、画像品質が悪化することは周知である。
【0083】
そこで、本発明者らは、この帯電電位ムラの原因について鋭意究明しているが、その原因の1つには、sp3結合性材料からなる薄膜表面に多数存在している、電子放出源である先端の尖った紡錘形状部分(突起)の高さが完全に同じ高さではないこと、すべての突起から放出される電子による電流密度が同じではないことによるのではないか、つまり、各突起の電子放出性能の違いによるのではないかと考えた。
【0084】
そのため、像担持体表面を数十V以内の範囲で均一帯電するには、前記sp3結合性材料で形成した薄膜表面の突起の高さを一定に揃えるか、あるいは、像担持体の表面電位を均一に制御するための機構が必要であることが判明した。
【0085】
そこで、sp3結合性5H−BN薄膜142の表面に形成される紡錘状突起の高さを略一様な高さに揃えるために、次のような処理を施した。
つまり、突起高さ10μm〜30μmの突起が混在する電子放出素子41を含む電子放出素子アレイ40と高抵抗の導電板を対向させ各電子放出素子41に電圧を印加する。印加する電圧は、対向との距離がより近い30μmの突起との間にパッシェンの法則から導かれる大気中放電が発生する条件に設定する。そして放電を起こさせると、その突起は放電により焼き切られたようになり、高さが低い突起のみ残存するようになる。このようにして、略均一な高さの突起のみを残すような処理を行えば、突起の高さを一定に揃えることができる。
【0086】
ここで、パッシェンの法則について説明する。
微小空隙での放電限界電圧Vpaは、パッシェンの法則により、次の(1)式で表すことができる。2体間の電位差がこの値Vpaを超えると放電が発生し、電位差を小さくするように電荷が移動する。
【0087】
【数1】

ただし、Vpa:放電限界電圧、g:空隙間距離(m)
【0088】
図10に放電限界電圧Vpaの直線を示している。このVpa以上では放電が発生することが分かる。
【0089】
このように、sp3結合性5H−BN薄膜142の表面に形成される紡錘状突起の高さが略一様になっている構成とすることによって、帯電ムラのない帯電電位を得ることができ、画像形成装置に適用することにとって画像濃度ムラのない高品質の画像を形成することができる。
【0090】
次に、本発明の第4実施形態について図11を参照して説明する。なお、図11は同実施形態の像担持体軸方向に見た側面説明図である。
この実施形態では、図4に示した第4例の電子放出素子31(ただし、突起の高さは前記第3実施形態と同様に略一様に揃っている。)を用いている。つまり、シート状にし、大面積化したシート状導電性基体131に突起高さを均一化する処理を行ったsp3結合性材料の薄膜132を固定化して電子放出素子31とし、シート状導電性基体131の領域全域にわたり、対向する像担持体201との間に同じ空隙(ギャップ)dを維持しながら配置する。帯電動作のときは、この電子放出素子31のシート状導電性基体131に電圧を印加しながら感光体を帯電する。
【0091】
このようにシート状に大面積化した導電性基体にsp3結合性材料を固定化した電子放出素子を備えることによって、sp3結合性材料の突起が部分的に存在しない場合でも、像担持体における帯電しない部分の発生による欠落部を大面積化で補うことができて、帯電ムラを低減することができる。
【0092】
すなわち、前述したように、画像形成動作が開始され、感光体が回転移動を開始し、電子放出素子31の対向位置入口に突入すると、シート状導電性基体131に所定の電圧が印加され、各突起から電子が放出される。このとき、前述したように高さ均一化処理後に突起がなくなった位置では電子が放出されないが、感光体回転方向のシート幅を大きくし、感光体軸方向において20μm以上にわたり突起が存在しない箇所をつくらないようにすれば、1200dpiのドット画像を形成する場合であっても、帯電しない箇所がないようにすることができる。また、電子が放出されて、感光体が帯電し、電圧が印加されている電子放出素子との間の電界が小さくなると、もうそれ以上の電子放出も行なわれなくなり、感光体電位が一定値に収束する。
【0093】
ここで、図11において、図示しない電源から電子放出素子31に印加する電圧は、sp3結合性材料と像担持体表面との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧とする。これにより、放電による大気中分子の電離によるオゾン、NOxを発生させないようにすることができ、パッシェン放電させないことによってsp3結合性材料の部材寿命を延ばすことができる。
【0094】
次に、本発明の第5実施形態について図12を参照して説明する。なお、図12は同実施形態の像担持体軸方向に見た側面説明図である。
この実施形態は、図3に示した電子放出素子21(ただし、突起の高さは前記第3実施形態と同様に略一様に揃っている。)を用いている。つまり、ローラ状(ロール状を含む意味)にした導電性基体121に突起高さを均一化する処理を行ったsp3結合性材料の薄膜122を固定化して電子放出素子21とし、ローラ状導電性基体121の領域全域にわたり、対向する像担持体201との間に同じ空隙を維持しながら配置する。帯電動作のときは、このローラ状導電性基体121に電圧を印加しながら感光体を帯電する。
【0095】
このように、電子放出素子の導電性基体をローラ状導電性基体とすることで、像担持体との空隙(ギャップ)を簡単な構成で一定に保つことができる。
【0096】
次に、本発明の第6実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同実施形態の像担持体軸方向に見た側面説明図である。
この実施形態では、上記第5実施形態のローラ状導電性基体121を用いた電子放出素子21の周面に付着するトナーを除去するためのクリーニング手段としてのクリーニング部材18を、像担持体201と対向する位置以外の位置に配置している。なお、この場合のローラ表面(電子放出素子21表面)と像担持体(感光体)間のギャップ形成も、ポリイミドなどの既知の厚みを持つテープをローラ両端部に巻きつけ感光体と接触駆動させることにより行なうことができる。
【0097】
つまり、実際の画像形成装置に使用するときには、帯電器(装置)がトナーで汚れる可能性があることを考慮し、トナーを付着させた実験を行ったところ、帯電電位が低下することが判明した。ただし、sp3結合性5H−BNはルツボにも使われるほどの高硬度な材料のためトナークリーニング動作を行えばもとの帯電電位に戻すことができる。
【0098】
この場合、トナー汚れのクリーニング動作は、電子放出部が感光体と対向している位置のままではその空隙が100μm以下などの狭い空隙になっていて、払拭動作などが著しく困難である。
【0099】
そこで、帯電装置に用いる電子放出素子の導電性基体としてローラ状導電性基体121にして、ローラ表面にsp3結合性材料を固定化した電子放出素子21を使用し、電子放出素子21を回転させることによって、クリーニング動作を感光体対向箇所以外の箇所で行なうことができる。
【0100】
ここで、クリーニング部材18としては、導電性繊維を植毛したブラシ状のものが好適である。導電性繊維としては、カーボンやイオン系導電剤をナイロン、アクリル、ポリエステルなどの繊維に付与したものを用いている。また、ここではクリーニング部材18は固定ブラシとしている。
【0101】
このように、電子放出素子に付着するトナーなどの異物を除去するクリーニング手段を備えることによって、異物による帯電電位の低下を抑制することができ、安定した帯電を行うことができる。
【0102】
次に、本発明の第7実施形態について図14を参照して説明する。なお、図14は同実施形態の像担持体軸方向に見た側面説明図である。
この実施形態では、上記第5実施形態のローラ状導電性基体121を用いた電子放出素子21の周面に付着するトナーを除去するためのクリーニング手段としての回転可能なクリーニング部材19を、像担持体201と対向する位置以外の位置に配置している。なお、このクリーニング部材9としての回転可能なロールブラシの構成は上記クリーニング部材18と同様である。
【0103】
そして、このクリーニング部材19にはバイアス電源20によってトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加している。ここでは、トナーはマイナスの印加電圧を印加し電子を放出する電子放出素子21である帯電器に付着することによりマイナス帯電しているので、クリーニング部材19のブラシを導電性にしてプラスの電圧を印加している。これによって、トナークリーニング性が向上する。
【0104】
次に、本発明に係る帯電装置を備えた画像形成装置の第1実施形態について図15を参照して説明する。なお、同図は同画像形成装置の説明図である。
この画像形成装置は、矢示方向に回転する感光体ドラム201の周囲に、感光体ドラム201表面を帯電させるための上述した電子放出素子アレイ10で構成した第2実施形態の帯電装置211と、帯電した感光体ドラム201上に原稿画像に応じて照射されるレーザー光212によって形成された静電潜像を現像するための現像装置213と、感光体ドラム201上のトナー像を転写材215に転写するための転写装置216と、転写後の感光体ドラム201上の残留トナーを除去するクリーニング装置217と、感光体ドラム201上の残留電荷を除去する除電装置218とを配置している。また、転写装置216でトナー像が転写された転写材215に定着処理を行なう定着装置219を備えている。
【0105】
ここで、帯電装置211の電子放出素子アレイ10と感光体ドラム201表面との距離(ギャップG)は50μmとし、電子放出素子アレイ10に−560Vの電圧を印加することで、電子放出素子アレイ10から放出された電子は感光体ドラム201上に付着し、感光体ドラム201の表面が帯電する。帯電後の感光体ドラム201は200mm/secで回転し、図示しない書込み装置により静電潜像が形成される。その後、現像装置213によって潜像がトナーなどの現像剤で現像され可視像となり、感光体201上に形成されたトナー像は次に転写装置216により紙などの転写材215に転写される。トナー像が転写された後の感光体ドラム201上には微量の転写残トナーが残るが、次のクリーニング装置217によりクリーニングされ、次に除電装置218によって感光体ドラム201は必要に応じて除電され、次に画像形成プロセスに備える。
【0106】
なお、クリーニング工程のない、クリーナレスプロセスを行い、転写残トナーを現像装置により回収する構成とすることもできる。
【0107】
この場合、電子放出素子アレイを含む本発明に係る帯電装置は、前述したようにオゾン、NOxの発生がなく像担持体を帯電することができ、また、印加電圧を従来のコロナ帯電やローラ帯電方式に比べて低減することができるので、省エネルギーの画像形成装置を構成することができる。さらに、電子放出を低エネルギーで行うことができるので、感光体材料のポリカーボネートなどの有機材料をアタックして酸化・焼失させることがないので、感光体膜削れも低減できる。
【0108】
次に、本発明における電子放出素子によって直接潜像形成に使用する本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について説明する。
ここでは、電子放出素子1を像担持体の軸方向の長さ、例えば300mmにわたって例えば600dpiの密度で並べて配置し、各々の電子放出素子1に対して独立して電圧を印加するように構成する。
【0109】
そして、例えばプリント信号が与えられたときに、画像に応じた書き込み信号に従って各電子放出素子1に対して電圧を印加することで、電圧が印加された電子放出素子1のみから電子が放出して、その対向にある像担持体の1ドットにあたる面積を帯電する。電子放出素子に電圧が印加されなかった箇所は帯電しないので、像担持体上に帯電部と非帯電部が形成され、これが潜像となる。つまり、電子放出素子を含む帯電装置は像担持体上に潜像を書き込む書込み装置を兼ねることになる。
【0110】
その後、現像装置により潜像が現像され可視像となり、感光体上に形成されたトナー像は次に転写装置により紙などの転写材に転写される。トナー像が転写された後の感光体上には微量の転写残トナーが残るが、次のクリーニング工程によりクリーニングされ、次に感光体は必要に応じて除電され、再び帯電装置により帯電されて画像形成プロセスを繰り返し行なう。あるいは、クリーニング工程のない、クリーナレスプロセスを行い、転写残トナーを現像装置により回収するようにすることもできる。
【0111】
このように、直接潜像形成方式は従来の帯電と露光の2つのプロセスを一度に簡略化できるため画像形成装置の小型化、低コスト化を図ることができる。この場合、帯電装置及び露光装置の二つの装置が電荷付与装置になる。
【0112】
つまり、一つの画像形成装置に複数の独立して電圧印加を可能な帯電手段(sp3結合性材料を用いた電子放出素子)を備えて、複数の帯電手段に対して独立に電圧を設定し印加する電圧印加手段を備えることによって、像担持体を1ドット単位で帯電/非帯電することができるようになり、形成したい潜像を直接帯電時に像担持体上に形成することができ、像担持体として光半導体である感光体に潜像を形成するための露光装置を必要としなくなり、画像形成装置の低コスト化を図ることができる。
【0113】
この場合、複数の帯電手段(帯電装置)に対してはそれぞれ同量の電荷を像担持体に供給するように制御された電圧を印加する電圧印加手段を備えることが好ましい。つまり、複数の微細な帯電手段により潜像を直接帯電時に形成する場合に電位が揃っていなければ高画質な画像を得られないことになるので、一画素にあたる帯電手段それぞれが付与する電荷が同じになるように制御することによって、電位が揃い高画質な画像を得られる。
【0114】
次に、本発明に係る帯電装置を備えた画像形成装置の第3実施形態について図16を参照して説明する。なお、図16は同画像形成装置の説明図である。
この画像形成装置は、矢示方向に回転する感光体ドラム201の周囲に、感光体ドラム201表面を帯電させるための上述したシート状導電性基体でsp3結合性材料を担持した電子放出素子で構成した第4実施形態の帯電装置231と、帯電した感光体ドラム201上に原稿画像に応じて照射されるレーザー光212によって形成された静電潜像を現像するための現像装置213と、感光体ドラム201上のトナー像を転写材215に転写するための転写装置216と、転写後の感光体ドラム201上の残留トナーを除去するクリーニング装置217と、感光体ドラム201上の残留電荷を除去する除電装置218とを配置している。また、転写装置216でトナー像が転写された転写材215に定着処理を行なう定着装置219を備えている。
【0115】
ここで、帯電装置231の電子放出素子31と感光体ドラム201表面との距離dは50μmとし、電子放出素子31に−560Vの電圧を印加することで、電子放出素子31から放出された電子は感光体ドラム201上に付着し、感光体ドラム201の表面が−500Vに帯電する。帯電後の感光体ドラム201は200mm/secで回転し、図示しない書込み装置により静電潜像が形成される。
【0116】
その後、現像装置213によって潜像が2成分トナーあるいは1成分トナーなどの現像剤で現像され可視像となり、感光体201上に形成されたトナー像は次に転写装置216により紙などの転写材215に転写される。トナー像が転写された後の感光体ドラム201上には微量の転写残トナーが残るが、次のクリーニング装置217によりクリーニングされ、次に除電装置218によって感光体ドラム201は必要に応じて除電され、次に画像形成プロセスに備える。
【0117】
なお、クリーニング工程のない、クリーナレスプロセスを行い、転写残トナーを現像装置により回収する構成とすることもできる。
【0118】
この場合、電子放出素子アレイを含む本発明に係る帯電装置は、前述したようにオゾン、NOxの発生がなく像担持体を帯電することができ、また、印加電圧を従来のコロナ帯電やローラ帯電方式に比べて低減することができるので、省エネルギーの画像形成装置を構成することができる。さらに、電子放出を低エネルギーで行うことができるので、感光体材料のポリカーボネートなどの有機材料をアタックして酸化・焼失させることがないので、感光体膜削れも低減できる。
【0119】
次に、本発明に係る帯電装置を備えた画像形成装置の第4実施形態について図17を参照して説明する。なお、図17は同画像形成装置の説明図である。
この画像形成装置では、上記第1実施形態におけるシート状導電性基体の電子放出素子の用いた第3実施形態に係る帯電装置221に代えて、ローラ状導電性基体の電子放出素子21を用いた、第7実施形態に係るクリーニング装置(部材)19を備える帯電装置221を使用している。
【0120】
つまり、この画像形成装置は、矢示方向に回転する感光体ドラム201に対向して感光体ドラム201表面を帯電させるための、上述したsp3結合材料の粉体を隙間無くローラ状導電性基体(ローラ部材あるいは中空の円筒状部材)121上に固定化し、さらに電子放出素子21の突起高さを一定に揃える前述した処理を施した、帯電装置221を用いている。
【0121】
そして、帯電した感光体ドラム201上に原稿画像に応じて照射されるレーザー光212によって形成された静電潜像を現像するための現像装置213と、感光体ドラム201上のトナー像を転写材215に転写するための転写装置216と、転写後の感光体ドラム201上の残留トナーを除去するクリーニング装置217と、感光体ドラム201上の残留電荷を除去する除電装置218とを配置している。また、転写装置216でトナー像が転写された転写材215に定着処理を行なう定着装置219を備えている。
【0122】
ここで、帯電装置221の電子放出素子21と感光体ドラム201表面との距離dは50μmとし、電子放出素子21に−560Vの電圧を印加することで、電子放出素子21から放出された電子は感光体ドラム201上に付着し、感光体ドラム201の表面が−500Vに帯電する。帯電後の感光体ドラム201は100mm/secで回転し、図示しない書込み装置により静電潜像が形成される。なお、本実施形態では第3実施形態よりも感光体ドラム201の速度は遅くなっている。その理由は、電子放出素子21がローラ形状であることから、第3実施形態よりも、電子放出素子21と感光体ドラム201の最近接距離dを保つ時間が短くなるため、第3実施形態よりも感光体が単位時間に得ることができる電荷量が少なくなるため、帯電時間を多く取る必要があるためである。
【0123】
その後、現像装置213によって潜像が2成分トナーあるいは1成分トナーなどの現像剤で現像され可視像となり、感光体201上に形成されたトナー像は次に転写装置216により紙などの転写材215に転写される。トナー像が転写された後の感光体ドラム201上には微量の転写残トナーが残るが、次のクリーニング装置217によりクリーニングされ、次に除電装置218によって感光体ドラム201は必要に応じて除電され、次に画像形成プロセスに備える。
【0124】
一方、図示しないプリント枚数カウンターによってカウントされる所定枚数プリントごとに、非画像形成時に帯電装置211に電圧非印加の際にクリーニング装置(部材)19に電源20から+100Vの電圧が印加されると同時に図示しない回転駆動装置によって電子放出素子21の回転動作を行い、電子放出素子21上に付着したトナーをクリーニングする。
【0125】
次に、本発明に係る帯電装置を含む本発明に係るプロセスカ−トリッジの第1実施形態について図18参照して説明する。なお、同図は同プロセスカートリッジの説明図である。
このプロセスカートリッジ300は、像担持体301、本発明に係る帯電装置である帯電手段(ここでは第1実施形態に係る帯電装置を用いている。)311、現像手段313、クリーニング装置217をプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。なお、本発明に係るプロセスカートリッジの構成としてはこれに限るものではなくなく、本発明に係る帯電装置である帯電手段311と、像担持体301、現像手段313、クリーニング装置217の少なくともいずれかとで構成することもできる。
【0126】
帯電手段311を装置本体に対して着脱自在であるプロセスカ−トリッジ内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換を容易に行うことができるようになる。
【0127】
次に、この第1実施形態に本発明に係るプロセスカートリッジを用いたカラー画像形成装置の第1実施形態について図19を参照して説明する。なお、同図は同画像形成装置の説明図である。
この画像形成装置は、水平に延在する転写ベルト(像担持体)321に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するための上述したプロセスカ−トリッジ300Y、300M、300C、300Kを並置した形式のカラー画像形成装置である。各プロセスカ−トリッジ300Y、300M、300C、300Kで現像された各像担持体301上の現像トナーは水平に延在する転写電圧が印加された転写ベルト321に順次転写される。
【0128】
このようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと画像の形成が行なわれ、転写ベルト321上に多重に転写され、転写手段322で転写材323にまとめて転写される。そして、転写材323上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。なお、プロセスカ−トリッジ300は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
【0129】
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかることになる。そこで、本実施形態のように、像担持体、帯電手段、現像手段の構成要素をプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成することによって、ユーザーによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
【0130】
次に、本発明に係る帯電装置を含む本発明に係るプロセスカ−トリッジの第2実施形態について図20を参照して説明する。なお、同図は同プロセスカートリッジの説明図である。
このプロセスカートリッジ400は、像担持体401、本発明に係る帯電装置である帯電手段(ここでは第7実施形態に係る帯電装置を用いている。)411、現像手段413、クリーニング装置417をプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。なお、本発明に係るプロセスカートリッジの構成としてはこれに限るものではなくなく、本発明に係る帯電装置である帯電手段411と、像担持体401、現像手段413、クリーニング装置417の少なくともいずれかとで構成することもできる。
【0131】
帯電手段411を装置本体に対して着脱自在であるプロセスカ−トリッジ内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換を容易に行うことができるようになる。
【0132】
次に、この第2実施形態に係るプロセスカートリッジを用いたカラー画像形成装置について図21を参照して説明する。なお、同図は同画像形成装置の説明図である。
この画像形成装置は、前記図19に示したカラー画像形成装置と同様な構成であって、水平に延在する転写ベルト(像担持体)421に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成するための上述したプロセスカ−トリッジ400Y、400M、400C、400Kを並置した形式のカラー画像形成装置である。各プロセスカ−トリッジ400Y、400M、400C、400Kで現像された各像担持体401上の現像トナーは水平に延在する転写電圧が印加された転写ベルト421に順次転写される。
【0133】
このようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと画像の形成が行なわれ、転写ベルト421上に多重に転写され、転写手段422で転写材423にまとめて転写される。そして、転写材423上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。なお、プロセスカ−トリッジ400は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
【0134】
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかることになる。そこで、本実施形態のように、像担持体、帯電手段、現像手段の構成要素をプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成することによって、ユーザーによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る帯電装置で用いる電子放出素子の第1例を示す説明図である。
【図2】同じく電子放出素子の第2例を示す説明図である。
【図3】同じく電子放出素子の第3例を示す説明図である。
【図4】同じく電子放出素子の第4例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る帯電装置の第1実施形態の説明に供する像担持体軸方向に沿う説明図である。
【図6】本発明に係る帯電装置の第2実施形態の説明に供する側面説明図である。
【図7】同じく像担持体軸方向に沿う説明図である。
【図8】本発明に係る帯電装置の第3実施形態の説明に供する像担持体軸方向に沿う説明図である。
【図9】同じく側面説明図である。
【図10】パッシェン則による放電限界電圧の説明に供する説明図である。
【図11】本発明に係る帯電装置の第4実施形態の説明に供する側面説明図である。
【図12】本発明に係る帯電装置の第5実施形態の説明に供する側面説明図である。
【図13】本発明に係る帯電装置の第6実施形態の説明に供する側面説明図である。
【図14】本発明に係る帯電装置の第7実施形態の説明に供する側面説明図である。
【図15】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の説明に供する説明図である。
【図16】本発明に係る画像形成装置の第3実施形態の説明に供する説明図である。
【図17】本発明に係る画像形成装置の第4実施形態の説明に供する説明図である。
【図18】本発明に係るプロセスカートリッジの第1実施形態の説明に供する説明図である。
【図19】同プロセスカートリッジを備えた本発明に係る画像形成装置の説明図である。
【図20】本発明に係るプロセスカートリッジの第2実施形態の説明に供する説明図である。
【図21】同プロセスカートリッジを備えた本発明に係る画像形成装置の説明図である。
【符号の説明】
【0136】
1、11、21、31…電子放出素子
2…基板
3…電源
4…ケース
7…グリッド
8…電源
10…電子放出素子アレイ
101、111、121、131…sp3結合性材料
102、112、122、132…電極(導電性基体)
201…像担持体
202…導電性基体
203…感光体層
211、221、231…帯電装置
213…現像装置
216…転写装置
217…クリーニング装置
218…除電装置
219…定着装置
300、400…プロセスカートリッジ
301、401…像担持体
311、411…帯電手段
313、413…現像装置
317、417…クリーニング装置
321、421…転写ベルト
322、422…転写ローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に静電潜像を形成するために電荷を付与する帯電装置において、この帯電装置はsp3結合性材料により形成された電子放出手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料がsp3結合性窒化ホウ素であることを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の帯電装置において、前記sp3結合性窒化ホウ素がsp3結合性5H−BN材料又はsp3結合性6H−BN材料であることを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項1ないし4のいずれかに記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段と前記像担持体間に電圧を印加することで、前記sp3結合性材料表面から放出された電子又は該電子が大気中の分子に付着して生成されたイオンによって前記像担持体を帯電することを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段と前記像担持体表面との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が印加されることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段は前記像担持体の表面との間に所定の空隙を介して配置されることを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段は前記像担持体の表面との間に20μm以上の空隙を介して配置されることを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段は前記像担持体の表面との間に50μm以上の空隙を介して配置されることを特徴とする帯電装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段と前記像担持体の表面との間に、前記像担持体の表面電位を制御するための導電性部材を備えていることを特徴とする帯電装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段は導電材料の表層に形成された100μm以下の薄膜であることを特徴とする帯電装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段は、前記sp3結合性材料の粉体を導電性部分に導電的に接触して固定化して形成したものであることを特徴とする帯電装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段の表面には略一様な高さの突起を有していることを特徴とする帯電装置。
【請求項13】
請求項12に記載の帯電装置において、前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段の表面に形成される突起の高さを略一様な高さにするための処理が施されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の帯電装置において、前記電子放出手段は導電性基体上に前記sp3結合性材料を配置して構成されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項15】
請求項14に記載の帯電装置において、前記導電性基体はローラ形状であることを特徴とする帯電装置。
【請求項16】
請求項14に記載の帯電装置において、前記導電性基体はシート状であることを特徴とする帯電装置。
【請求項17】
像担持体上に静電潜像を形成するために電荷を付与する帯電装置において、この帯電装置は少なくとも導電性基体上にsp3結合性材料を配置した電子放出手段と、この電子放出手段に対して所定の空隙を持って配置される前記像担持体と前記電子放出手段との間に介在して前記像担持体の表面電位を制御するための表面電位制御部材とを備え、前記電子放出手段には前記sp3結合性材料により形成された表面に存在する紡錘形状の突起の高さを一定に揃える処理が施されており、また前記像担持体を帯電するときに前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段と前記表面電位制御部材との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が前記導電性基体に印加されることを特徴とする帯電装置。
【請求項18】
像担持体上に静電潜像を形成するために電荷を付与する帯電装置において、この帯電装置は少なくとも導電性基体上にsp3結合性材料を配置した電子放出手段と、この電子放出手段に対して所定の空隙を持って配置される前記像担持体と前記電子放出手段との間に介在して前記像担持体の表面電位を制御するための表面電位制御部材とを備え、電子放出手段の前記導電性基体がローラ形状であって、前記像担持体を帯電するときに前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段と前記表面電位制御部材との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が前記導電性基体に印加されることを特徴とする帯電装置。
【請求項19】
像担持体上に静電潜像を形成するために電荷を付与する帯電装置において、この帯電装置は少なくとも導電性基体上にsp3結合性材料を配置した電子放出手段と、この電子放出手段に対して所定の空隙を持って配置される前記像担持体と前記電子放出手段との間に介在して前記像担持体の表面電位を制御するための表面電位制御部材とを備え、電子放出手段の前記導電性基体がシート状であって、前記像担持体の全域に対して同じ空隙を維持した状態で配置され、前記像担持体を帯電するときに前記sp3結合性材料により形成された電子放出手段と前記表面電位制御部材との間の電位差がパッシェン則に基づく放電限界以下の電位差となる電圧が前記導電性基体に印加されることを特徴とする帯電装置。
【請求項20】
像担持体と、この像担持体上に静電潜像を形成するために電荷を付与する帯電手段と、静電潜像に着色体を付着させ可視像化する現像手段を備えた画像形成装置において、前記帯電手段が請求項1ないし19のいずれかに記載の帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
請求項20に記載の画像形成装置において、複数の独立した帯電手段と、各帯電手段に対して独立に電圧を設定し印加する電圧供給手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項21に記載の画像形成装置において、前記電圧供給手段は、前記各帯電手段が前記像担持体に対して同量の電荷を供給するように制御した電圧を印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
像担持体、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくともいずれかと、帯電手段とを含み、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記帯電手段が請求項1ないし19のいずれかに記載の帯電装置あることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項24】
カラー画像を形成する画像形成装置において、請求項23に記載のプロセスカートリッジを複数備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−323366(P2006−323366A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107092(P2006−107092)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】